JP2003267763A - 灰スラリーの流動性改善剤およびそれを含有する土木建築材料 - Google Patents

灰スラリーの流動性改善剤およびそれを含有する土木建築材料

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 石炭灰などの灰を土木建築材料等として有効
利用するために、灰をスラリー化した場合にその流動性
を改善する手段を提供すること。 【解決手段】 水溶性のカチオン系高分子化合物を含有
する灰スラリーの流動性改善剤が提供される。このカチ
オン系高分子化合物としては、第四級アンモニウム基を
分子内に有し、分子量が1,000以上300万以下で
あるカチオン系高分子化合物が好適に用いられ、さら
に、pH10のアルカリ性条件下で測定されるカチオン
当量が2meq/g以上のカチオン系高分子化合物であ
ればより好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃焼灰や焼却灰等
を原料とする灰スラリーの流動性を改善するための添加
剤および灰とセメントとを主要成分とする土木建築材料
に関する。
【0002】
【従来の技術】灰スラリーは、石炭灰(フライアッシ
ュ)などの灰を水と混合してスラリー化したものであ
り、例えば土木や建築分野では、セメント等の固化材を
添加し、流動性の良い埋戻し材として利用が図られつつ
ある。このように灰スラリーを土木建築材料として用い
る場合に必要とされる特性は、使途により異なるが、後
述するように固化前の性状としてフロー値、固化後の性
状として一軸圧縮強度やブリーディング率などが所定範
囲であることが挙げられる。これらの性状の調整は、基
本的に各材料の配合量の増減で行い、セメント量により
強度、水量により流動性を調整する。ただし、水量が多
いと混合後に流動性を保持できる時間が短くなったり、
固化後にブリーディングが発生し易くなる、といった問
題が生じる。
【0003】このため、各成分の配合量による性状調整
を補完するものとして添加剤が使用される。添加剤とし
ては、セメント用の分散剤(主にアニオン系高分子の
内、セメント粒子に対して分散剤として作用し、減水効
果を発揮するもの)が使用されてきた。セメント分散剤
は、水中でカチオン化しているセメント粒子表面に吸着
され、セメント粒子表面に負電荷を与えることによっ
て、粒子間に反発力を発生させてセメント粒子を分散さ
せ、所定の流動性を得るために必要な水量を減じる効果
を発揮する。
【0004】しかし、石炭灰等の灰を主材とする灰スラ
リーにセメント分散剤を使用する場合、減水効果が発揮
されないか、あるいはセメントの場合と同様な減水効果
を得るためには大量に使用しなければならないという問
題が生ずる。その原因としては、灰から溶出するカルシ
ウムイオンなどが影響しているものと推測されるが、さ
らに、灰の品質によって、溶出するイオン量が大きくば
らつくこともこの問題をいっそう複雑にしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、石炭
灰などの灰を土木建築材料等として有効利用するため
に、灰をスラリー化した場合に、灰の品質によらず、安
定的にその流動性を改善する手段を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1に記載の灰スラリーの流動性改善剤の発明
は、水溶性のカチオン系高分子化合物を含有することを
特徴とするものである。この発明によれば、水溶性のカ
チオン系高分子化合物は、石炭灰などを原料として含有
する灰スラリー中で灰粒子を安定的に分散させて、灰粒
子の凝集を抑制する作用を有するため、これを灰スラリ
ーに添加することによって、流動性と不分離性に優れた
灰スラリーを得ることができる。また、スラリーが固化
した際にはブリーディングの抑制を図ることが可能であ
る。
【0007】さらに、カチオン系高分子化合物は、金属
塩や金属イオンなどを比較的高濃度に含む石炭灰や汚泥
焼却灰などを原料とする灰スラリーに対しても流動性改
善効果を有するほか、高濃度の灰を含むスラリー中でも
十分に機能するため、これらの有効利用を図ることがで
きる。特に品質のばらつきが大きな石炭灰(JIS規格
以外のものなど)を有効利用できるという点で意義を持
つ。
【0008】請求項2に記載の灰スラリーの流動性改善
剤の発明は、請求項1において、カチオン系高分子化合
物が、第四級アンモニウム基を分子内に有するカチオン
系高分子化合物であることを特徴とする。この特徴によ
れば、第四級アンモニウム基を分子内に有するカチオン
系高分子化合物は、灰スラリー中のアルカリ性条件下で
も解離してカチオン性を示しやすい傾向を持つため、カ
チオン系高分子化合物の中でも特に高い流動性改善効果
を持つ点で優れたものである。
【0009】請求項3に記載の灰スラリーの流動性改善
剤の発明は、請求項1または2において、カチオン系高
分子化合物が、pH10のアルカリ性条件下で測定され
るカチオン当量が2meq/g以上のカチオン系高分子
化合物であることを特徴とする。本発明で、「pH10
のアルカリ性条件下で測定される」とは、pH10に調
整したカチオン系高分子化合物の0.1重量%水溶液を
55℃に1時間保持した後の水溶液での測定を意味す
る。この特徴によれば、pH10のアルカリ性条件下で
測定されるカチオン当量が2meq/g以上であるカチ
オン系高分子化合物は、アルカリ性条件下でもカチオン
基の解離能が低下したり、加水分解されたりすることが
ないので、灰スラリー中においても十分な流動性改善作
用を発揮するとともに、所望の強度で固化させる性能を
有する。
【0010】請求項4に記載の灰スラリーの流動性改善
剤の発明は、請求項1から3のいずれか1項において、
カチオン系高分子化合物の分子量が1,000以上30
0万以下であることを特徴とする。この特徴によれば、
分子量が1,000以上300万以下のカチオン系高分
子化合物を用いることにより、灰を凝集させる虞なく、
灰スラリーの流動性を改善することができる。
【0011】請求項5に記載の灰スラリーの流動性改善
方法の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の
流動性改善剤を灰と水とを含有する灰スラリー中に添加
して、流動性を改善することを特徴とする。この特徴に
よれば、流動性改善剤を添加することによって、上記各
請求項と同様に灰スラリーの流動性を改善させることが
可能であり、上記各請求項と同様の作用効果が得られ
る。しかも、流動性改善剤の添加は簡単に行うことがで
きるので、例えば、土木建築施工現場でも容易に実施で
きる。
【0012】請求項6に記載の土木建築材料の発明は、
請求項1から4のいずれか1項に記載の流動性改善剤と
灰とセメントと水とを含有してなることを特徴とする。
この特徴によれば、流動性改善剤と灰とセメントと水と
を含有してなる土木建築材料は、調製時にはスラリー状
態で所望の流動性を持ち、所定時間経過後に所望の強度
をもって固化する性質を持つため、例えば、埋設管の管
路充填材、地山の空隙の充填材(シールド施工後に埋戻
しを必要とする立坑などの地山の掘削部の埋戻し材な
ど)、道路の下部路床や盛り土などの地盤材等の広範な
用途での利用が可能である。このように土木建築用途で
の利用が広がることによって、石炭灰をはじめとする灰
の有効利用が図られる。また、セメントを配合すること
により、固化した状態での強度を向上させることが可能
となるため、強度が要求される道路の下部路床や盛り土
などの地盤材等に適したものとなる。
【0013】請求項7に記載の埋設管の管内充填工法の
発明は、請求項6に記載の土木建築材料を、埋設管の充
填材として管内空隙に圧送して用いることを特徴とす
る。この特徴によれば、流動性改善剤が添加された土木
建築材料は、圧送時に灰粒子同士が凝集することがない
ため、凝集した灰分が他の材料から分離したり、沈降し
たりすることがなく、所望の流動性を保ったまま圧送充
填することが可能であり、管内で目詰まりや充填ムラを
発生させることなく施工することができる。しかも、本
管路充填工法では石炭灰などの灰を使用するため、従来
の管内充填工法において充填材として用いられてきたエ
アモルタルに比べて熱伝導性が良好であり、管内に熱が
こもる心配はない。
【0014】請求項8に記載の地山の空隙の充填工法の
発明は、請求項6に記載の土木建築材料を、地山の空隙
の充填材として用いることを特徴とする。この特徴によ
れば、土木建築材料を埋戻し材として用いることによっ
て、所定時間経過後(例えば24時間後)に所望の強度
で埋戻し部分を固化させることが可能になり、土木建築
現場で利用しやすいため、施工期間の短縮化と石炭灰等
の灰の有効利用を図ることができる。
【0015】請求項9に記載の下部路床地盤の施工方法
の発明は、請求項6に記載の土木建築材料を、下部路床
の地盤材として用いることを特徴とする。この特徴によ
れば、土木建築材料を下部路床の地盤材として用いるこ
とによって、所定時間経過後(例えば24時間後)に所
望の強度で下部路床地盤を固化させることが可能になる
上、土木建築現場で利用しやすいため、施工期間の短縮
化と石炭灰等の灰の有効利用を図ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明における流動性改善剤は、
灰スラリー中の灰粒子の分散性を高め、凝集を制御する
作用とともに、灰スラリーが固化した状態でのブリーデ
ィング(液の滲出性)を抑制する作用を有する。この流
動性改善作用は、後記実施例に示すようなフロー試験お
よびブリーディング試験の結果を総合評価することによ
って判断できる。灰スラリーの流動性改善に固化後のブ
リーディング抑制作用を勘案するのは、灰スラリーの主
な用途が固化を前提とするものであり、ブリーディング
が多い場合には固化物が均一な状態ではなくなって必要
な強度を発揮できないと考えられることや、単に灰スラ
リーの流動性を向上させるだけであれば水分量を増加さ
せればよいのに対し、本発明では灰を比較的多く含む所
定の灰濃度のスラリーに所望の流動性を与えることを目
的としているためである。
【0017】本発明の流動性改善剤の適用対象となる灰
スラリーとは、少なくとも粉状の灰と水等の流体を含有
する混合物であって、調製時には所定の流動性を持ち、
経時的に固化する性質を持つものを意味し、灰と水のほ
かに、例えばセメント、砂、土、粘土等を含むものであ
ってもよい。また、灰スラリーの原料となる灰は、例え
ば、火力発電所のボイラーなどで石炭を燃焼させること
によって生成する石炭灰などの燃焼灰のほか、ごみ焼却
炉や下水汚泥焼却炉等から排出される焼却灰、銅などの
金属精錬の鉱さい(スラグ)などが含まれる。ここで、
燃焼灰や焼却灰としては、クリンカアッシュ(炉底灰)
とフライアッシュのいずれか、または両方を混合したも
のが含まれる。これらの灰は、スラリー化した場合にア
ルカリ性を示すとともに、塩類や金属イオンを比較的多
く含むため、アニオン系高分子化合物による流動性改善
効果は殆ど期待できないものである。もっとも、本発明
の流動性改善剤は、火山灰等の非燃焼灰を原料として調
製した灰スラリーにも適用することは可能である。
【0018】本発明に用いられるカチオン系高分子化合
物としては、アンモニア、アルキルアミン、ポリアルキ
レンポリアミン等のアミン化合物の1種以上とエピクロ
ルヒドリンの重縮合物や、カチオン性ビニル単量体の重
合物、当該単量体と共重合可能な単量体との共重合物な
どを例示することができる。ここで、アミン化合物とし
ては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、ト
リメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリ
エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミ
ン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、n−ヘキシ
ルアミン、n−オクチルアミン、ベンジルアミン、モノ
エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノー
ルアミン、ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノ
ールアミン、2−ヒドロキシプロピルアミン、ヒドロキ
シエチルオキシエチルアミン、エチレンジアミン、ヘキ
サメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチ
レンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチ
レンイミン等が挙げられる。また、カチオン性ビニル単
量体としては、2(メタクロイルオキシ)エチルトリメ
チルアンモニウムクロリド、2(アクリロイルオキシ)
エチルトリメチルアンモニウムクロリド、2(メタクロ
イルオキシ)エチルベンジルジメチルアンモニウムクロ
リド、2(アクリロイルオキシ)エチルベンジルジメチ
ルアンモニウムクロリド、アクリルアミドプロピルトリ
メチルアンモニウムクロリド、ジメチルジアリルアンモ
ニウムクロリド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レートの塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリル
アミドの塩等が例示される。これらの単量体は、その中
から選ばれる1種を重合させ、または2種以上を相互に
共重合させた(共)重合物として用いることができる。
【0019】また、上記カチオン性ビニル単量体を、他
の単量体と組み合わせて共重合させた共重合物を用いる
ことも可能であり、例えば、上記カチオン性単量体と共
重合可能な非イオン性ビニル単量体やアニオン性ビニル
単量体との共重合物も本発明の効果を損なわない範囲で
使用できる。ここで、非イオン性ビニル単量体として
は、例えば、アクリルアミド、メチレンビスアクリルア
ミド、ジメチルアクリルアミド、n−ビニルホルムアル
デヒド、アクリロニトリル等、アニオン性ビニル単量体
としては、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリ
ウム、イタコン酸ナトリウム、アクリルアミドプロパン
スルホン酸ナトリウム等を挙げることができる。このよ
うにして得られる共重合物のカチオン当量及びカチオン
当量に占める第四級アンモニウム塩基の比率(4級カチ
オン率)は、例えば、カチオン当量は3meq/g以上
(pH3)、4級カチオン率は50%以上に調製するこ
とが好ましい。
【0020】水溶性カチオン系高分子化合物の具体例と
しては、次の一般式(I)および一般式(II)、
【0021】
【化1】 (式中、R、R、RおよびRは、同一または異
なって、それぞれ水素原子、炭素原子数1〜3のアルキ
ル基、炭素原子数2〜12のヒドロキシアルキル基また
は炭素原子数2〜12のヒドロキシアルコキシアルキル
基を示し、Rは炭素原子数1〜12のアルキル基、炭
素原子数2〜12のヒドロキシアルキル基またはベンジ
ル基を示し、Xはアニオン性イオンを示し、nおよび
mは整数を意味する)で表される化合物から選ばれるも
のを挙げることができる。
【0022】上記一般式(I)で表される水溶性高分子
化合物は、アミン化合物(V)、 HNR (V) (ここで、R、Rは、前記と同じ意味を有する)と
エピクロルヒドリンとを重縮合することにより得られ
る。
【0023】また一般式(II)で表される高分子カチオ
ン化合物は、上記アミン化合物(V)およびアミン化合
物(VI) RNR (VI) (ここで、R、R、Rは、前記と同じ意味を有す
る)とエピクロルヒドリンとを重縮合することにより得
られる。
【0024】アミン化合物(V)としては、例えば、ア
ンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、エチル
アミン、ジエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプ
ロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールア
ミン、2−ヒドロキシプロピルアミン、ヒドロキシエチ
ルオキシエチルアミン等が挙げられる。アミン化合物
(VI)としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチ
ルアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノール
アミン、ジメチルアミノエタノール等が挙げられる。ま
た、Xで表されるアニオン性イオンとしては、例えば
塩素イオン等を挙げることができる。
【0025】また、好ましい水溶性のカチオン系高分子
化合物の別の具体例としては、次の一般式(III)およ
び一般式(IV)、
【0026】
【化2】 (式中、Aは酸素原子または基NHを示し、Bはエチレ
ン基、プロピレン基、ヒドロキシプロピレン基を示し、
は水素原子またはメチル基を示し、R、R は炭
素数1〜4のアルキル基を示し、Rは水素原子、メチ
ル基またはベンジル基を示し、Xはアニオン性イオン
を示す)からなる群より選ばれる1種または2種以上の
カチオン性ビニル単量体を重合して得られる化合物を挙
げることができる。
【0027】一般式(III)で示されるカチオン性ビニ
ル単量体としては、2(メタクロイルオキシ)エチルト
リメチルアンモニウムクロリド、2(アクリロイルオキ
シ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド、2(メタ
クロイルオキシ)エチルベンジルジメチルアンモニウム
クロリド、2(アクリロイルオキシ)エチルベンジルジ
メチルアンモニウムクロリド、アクリルアミドプロピル
トリメチルアンモニウムクロリド等が例示される。ま
た、一般式(IV)で表されるカチオン性ビニル単量体と
しては、例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロリ
ドを挙げることができる。Xで表されるアニオン性イ
オンとしては、前記と同じものを利用できる。
【0028】前記したように、上記一般式(III)また
は一般式(IV)の単量体は、これらの中から選ばれる2
以上を相互に共重合させることが可能であり、また他の
単量体と組み合わせて共重合させることも可能である。
一般式(III)または一般式(IV)の単量体と共重合可
能な他のビニル単量体としては、例えば、ジメチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレート塩酸塩、ジメチルアミノ
プロピル(メタ)アクリルアミド等のカチオン性ビニル
単量体が好ましい。また、前記したように、得られる共
重合物のカチオン当量及びカチオン当量に占める第四級
アンモニウム塩基の比率(4級カチオン率)を、所定の
値(例えば、pH3でのカチオン当量は3meq/g以
上、4級カチオン率は50%以上)に調製することによ
って、非イオン性ビニル単量体や、アニオン性ビニル単
量体を用いて一般式(III)または一般式(IV)の単量
体と共重合させることも可能である。
【0029】水溶性のカチオン系高分子化合物の好まし
い例としては、灰とセメントとを含む灰スラリー中など
のアルカリ性条件でも解離してカチオン性を呈するもの
として、第四級アンモニウム基を分子内に有する水溶性
のカチオン系高分子化合物を挙げることができる。
【0030】また、カチオン系高分子化合物は、同じ添
加量であればカチオン当量が高い方が灰を分散させる作
用が高いため、pH3におけるポリマー純分当たりのカ
チオン当量が2meq/g以上であるものが好ましく、
4meq/g以上であればより好ましい。特に、灰スラ
リーのpHが8以上のアルカリ性である場合は、カチオ
ン基が4級アンモニウム基に由来するものが好ましく、
後述するように、pH10にてコロイド滴定法により測
定されるカチオン当量が2meq/g以上であるものが
より好ましい。第四級アンモニウム基を分子内に有する
高分子化合物の場合は、第四級アンモニウム塩に起因す
るカチオン当量(4級カチオン率)が全カチオン当量に
対して50%以上であることが好ましい。
【0031】さらに、カチオン系高分子化合物は、分子
内のカチオン性解離基がアルカリ性条件下でも解離して
十分なカチオン当量を示すものが好ましい。従って、例
えばpH10のアルカリ性条件下で測定されるカチオン
当量が2meq/g以上であることを好適なカチオン系
高分子化合物の選定基準とすることができる。これは、
以下の理由による。
【0032】一般に第4級アンモニウム基以外のカチオ
ン系高分子化合物(例えば第1級、第2級、第3級のア
ンモニウム基を持つもの)においては、pH8以上のア
ルカリ性条件ではカチオン基の解離が抑えられるため、
カチオン系高分子としての機能を発揮できない。
【0033】また、第4級アンモニウム基を有するカチ
オン系高分子化合物であっても、アルカリ性雰囲気でカ
チオン基自体が加水分解を受けてカチオン系高分子化合
物としての機能を失ったり、カチオン基以外の構成単位
が加水分解を受けてアニオン基に変換され、分子内のカ
チオン基とイオン結合して電気的に中和されてしまう場
合がある。
【0034】以上のような場合には、後述するカチオン
当量の測定方法に準じてpH10のアルカリ性条件での
カチオン当量を測定すると2meq/gを下回っている
ので、これを目安としてアルカリ性条件下での流動性改
善効果を予測することができる。アルカリ性雰囲気下で
カチオン系高分子化合物自体が加水分解し、カチオン性
能が低下してカチオン当量が2meq/gを下回るもの
としては、2(アクリロイルオキシ)エチルトリメチル
アンモニウムクロリド、2(アクリロイルオキシ)エチ
ルベンジルジメチルアンモニウムクロリド等の単量体
や、アクリルアミド、アクリロニトリル等の非イオン性
の単量体を含む重合系のカチオン系高分子化合物が挙げ
られる。これらの中でも、加水分解しやすい単量体の構
成比が少なく、加水分解を受けた後でも前記したアルカ
リ性条件下でのカチオン当量が2meq/g以上を示す
カチオン系高分子化合物であれば、本発明の流動性改善
剤として好ましく使用できることは言うまでもない。な
お、カチオン系高分子化合物がアルカリ条件下で加水分
解するか否かの判定は、pH10に調整したカチオン系
高分子化合物の0.1重量%水溶液を、55℃で1時間
放置した後、後述するカチオン当量の測定方法に準じて
pH10でコロイド滴定を行うことによって確認でき
る。
【0035】また、カチオン系高分子化合物としては、
重量平均分子量が1,000以上300万以下のものが
好ましく、重量平均分子量が3,000以上100万以
下のものがより好ましい。カチオン系高分子化合物は、
分子量が大きくなると凝集力が強くなる傾向があり、添
加量によっては灰を凝集させてしまう可能性があるため
である。
【0036】上記カチオン系高分子化合物は、いずれも
既知物質であるか、あるいは既知の製造方法に従い容易
に合成可能であり、例えば、水溶液重合、エマルジョン
重合、塩水溶液中または有機溶媒中での懸濁重合等の通
常行われている製造方法によって得ることができる。
【0037】本発明の流動性改善剤の剤型としては、特
に制限はなく、例えば所定濃度で水に溶解させた水溶液
の形態や、粉末状態など、所望の形態に調製することが
できる。必要に応じて、任意成分を配合しておくことも
できる。
【0038】本発明の流動性改善剤は、灰スラリー中に
所定量添加して用いられる。本発明の流動性改善剤の灰
スラリーへの添加量は、灰スラリーに必要とされる流動
性の程度に応じて適宜調節できるが、例えば、1m
り灰を700kg含む灰スラリーに対してカチオン系高
分子化合物を純分あたり0.5〜10kg程度添加する
ことが好ましく、1〜5kgの添加量であればさらに好
ましい。上記範囲より少ない場合には、添加による流動
性の改善効果が十分に発揮されない場合があり、上記範
囲より多い場合には、灰スラリーの流動性が低下し過ぎ
て凝集を起こしたり、ゲル化したりする場合がある。
【0039】流動性改善剤の添加方法は特に制限はな
く、例えば、まず灰と水、さらに必要に応じセメント等
を含む灰スラリーを調製してその中に流動性改善剤を添
加する方法や、予め灰やセメントなどの中に所定割合で
流動性改善剤を混入しておき、後から水と混合してスラ
リー化する方法、予め大量の水に流動性改善剤を溶解し
ておき、あとから灰等を加えスラリー化する方法など、
種々の方法により行うことができる。流動性改善剤の添
加後は、混練、攪拌等の手段により灰スラリーを十分に
混合することが好ましい。
【0040】本発明の土木建築材料は、少なくとも、灰
とセメントと水と上記流動性改善剤とを含有してなるも
のであり、調製時にはスラリーの状態で所定の流動性を
持ち、経時的に固化する性質を持つものである。必要に
応じて、さらに砂、土、粘土、骨材等を配合したものと
してもよい。
【0041】この土木建築材料に使用される灰として
は、前記灰スラリーの説明において例示したものを挙げ
ることができる。また、流動性改善剤の配合方法など
は、前記灰スラリーへの流動性改善剤の添加と同様にし
て行うことができる。
【0042】本発明の土木建築材料の用途は特に制限が
なく、例えば、埋設管の管路充填材や、地山の空隙の充
填材(シールド施工後に埋戻しを必要とする立坑などの
地山の掘削部の埋戻し材など)、道路の下部路床や盛り
土などの地盤材として適用できる。また、目的用途に応
じて、セメント量を調整してブロックや擁壁の裏込め
材、シールドのインバート材等として利用することがで
きる。
【0043】本発明の土木建築材料における各成分の配
合割合は、目的とする用途に応じて、調製時の流動性、
ブリーディング率、固化後の硬度などを勘案しながら適
宜調節することが好ましい。例えば、土木建築材料を管
路充填材として使用する場合の好ましい組成例として
は、スラリー1m当り、灰を800〜1200kg、
水を400〜500kg、流動性改善剤としてのカチオ
ン系高分子化合物を1〜5kg、セメントを50〜10
0kg程度の配合割合とすることが可能である。また、
土木建築材料をシールド施工後に埋戻しを必要とする立
坑の埋戻し材や下部路床の地盤材などの用途に用いる場
合には、流動性改善効果はさほど高くなくてもよい一方
で、例えば1日(24時間)程度の短時間で固結し、十
分な強度を持つことが要求されるため、上記組成例より
もセメント量を多くしたり、砂や骨材等を配合すること
が好ましい。
【0044】次に、本発明土木建築材料を地下の埋設管
の管路充填材として利用する場合を例に挙げ、図面に基
づき具体的に説明する。
【0045】図1は埋設管の一例として地下送電管路1
0の内部の状態を示す図面である。この地下送電管路1
0は、いわゆる鞘管と呼ばれるものであり、推進工法や
シールド工法を利用して地中に配備されたものである。
この地下送電管路10内には、複数(ここでは12本)
の送電管13が格子枠材17に保持されている。地下送
電管路10の管内上部には、充填材注入管11が充填作
業回数と同じ本数で(ここでは3本)配管されており、
地上のポンプ(図示せず)と連結されている。流動性を
持つ管路充填材20は、ポンプにより圧送され、充填材
注入管11を介して地下送電管路10内に導入され、地
下送電管路10内の空隙15に充填される。このような
作業を数百メートルの長さ毎に充填材注入管11を替え
ながら順次繰り返すことにより、地下送電管路10の全
範囲に渡って管路充填材20を充填していく。管路充填
材20は、時間の経過により固化して地下送電管路10
および送電管13を防護するとともに、管内の狭い空隙
15を埋める役割を果たす。
【0046】以上のような埋設管の管内充填工法におい
て、従来管路充填材20としてはエアモルタル(セメン
ト、砂、水および空気の混合物)が用いられてきたが、
空気を多量に含むことによる断熱性があるため、送電管
路10内に熱がこもりやすいという問題があった。ま
た、石炭灰などの灰を主成分とする管路充填材20を使
用する場合、圧送中に灰分と水とが分離して、水や灰の
微粒分のみが圧送され、比較的大きな粒子分が管内途中
に取り残され、地下送電管路10を目詰まりさせ、管路
充填材20の圧送が不可能になる。このような灰分の分
離は、元押しポンプからの圧送充填距離が長くなればな
る程起こり易くなるため、圧送充填距離が400〜50
0メートルにも及ぶ場合には、灰とセメントと水とを混
練しただけの管路充填材20では、充填は不可能であっ
た。これに対して、カチオン系高分子化合物を配合した
本発明の土木建築材料を管路充填材20として使用する
ことにより流動性を高めることができるので、管路充填
材20中に均一かつ安定な状態で灰を分散させて地下送
電管路10内への圧送を円滑に行うことが可能になる。
【0047】本発明の土木建築材料を、例えばシールド
施工後に埋戻しを必要とする立坑などの掘削部の埋戻し
材や下部路床の地盤材等として用いる場合には、掘削部
や路床部分に充填するだけでよく、長距離圧送する必要
はないため、上記管路充填材として利用する場合に比べ
て流動性は高くなくてもよいが、施工期間の短縮化を図
る上では、後記実施例に示すように24時間程度の時間
の経過で所望の強度を以って固結する固化性能が重要と
なる。
【0048】
【実施例】以下、合成例、実施例および比較例を挙げ、
本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらによ
って何ら制約されるものではない。
【0049】なお、合成例におけるカチオン当量の測定
は、以下の方法により行った。 <カチオン当量測定方法>コニカルビーカーに蒸留水約
90.0mlと試料の500ppm溶液10.0gを加
え、0.1N塩酸水溶液でpH3.0に調整し、1分間攪
拌する。その後トルイジンブルーを2〜3滴加え、1/
400Nのポリビニル硫酸カリウムで滴定し、溶液が青
から赤紫に変化してから15秒以上保持して終点とす
る。カチオン当量は次の式により算出できる。 カチオン当量(meq/g)=[X×Y÷2]×[10
÷試料量(g)] X:1/400Nのポリビニル硫酸カリウム滴定量(m
l) Y:1/400Nのポリビニル硫酸カリウムファクター 合成例1 コンデンサー、温度計、窒素導入管、チュウビングポン
プ(SMP−21型、東京理科器械製)に接続した、単
量体供給管を備えた500mlの四ツ口フラスコ内に、
単量体としてジメチルジアリルアンモニウム塩化物(商
品名:DADMAC、65重量%水溶液、ダイソー株式
会社製)138.5g、イオン交換水161.5gを仕込
み、反応器内の温度を50℃に保って30分間窒素を吹
き込んだ。次いで、2,2−アゾビスアミジノプロパン
2塩化水素化物の10重量%水溶液2.7g(対単量体
当り0.5重量%)を添加して重合を開始させた。
【0050】反応容器内の温度を50℃に保ちながら重
合反応を継続し、7時間後、再度2,2−アゾビスアミ
ジノプロパン2塩化水素化物の10重量%水溶液2.7
gを添加し、さらに10時間重合反応させてポリジメチ
ルジアリルアンモニウム塩化物の45重量%水溶液を得
た。
【0051】重合終了後、得られた重合物のカチオン当
量および4級カチオン率をコロイド滴定法により、また
静的光散乱法による分子量測定装置(大塚電子製、DL
S−7000)によって重量平均分子量を測定した。こ
の化合物のカチオン当量は6.09meq/g、4級カ
チオン率100%、重量平均分子量約12万であった。
この重合物を化合物3とした。
【0052】合成例2 コンデンサー、温度計、窒素導入管、チュウビングポン
プ(SMP−21型、東京理科器械製)に接続した、単
量体供給管を備えた500mlの四ツ口フラスコ内に、
単量体としてメタアクリロイロキシエチルトリメチルア
ンモニウムクロライド75.0g、イオン交換水21
7.5gを入れ、仕込み反応器内の温度を50℃に保
ち、30分間窒素を吹き込んだ。次いで、2,2−アゾ
ビスアミジノプロパン2塩化水素化物の10重量%水溶
液3.75g(対単量体当り0.5重量%)を添加して
重合を開始させた。
【0053】反応器内の温度を50℃に保ったまま重合
反応を継続し、7時間後に再度2,2−アゾビスアミジ
ノプロパン2塩化水素化物の10重量%水溶液3.75
gを追加し、さらに10時間反応させてポリメタアクリ
ロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドの
25重量%水溶液を得た。
【0054】重合終了後、得られた重合物のカチオン当
量および4級カチオン率をコロイド滴定法により、また
静的光散乱法による分子量測定装置(大塚電子製、DL
S−7000)によって重量平均分子量を測定した。こ
の化合物のカチオン当量は4.61meq/g、4級カ
チオン率100%、重量平均分子量約15万であり、こ
の重合物を化合物4とした。
【0055】合成例3 単量体として、合成例2のメタアクリロイロキシエチル
トリメチルアンモニウムクロライドに替えてアクリロイ
ルエチルトリメチルアンモニウム塩化物を用いる以外
は、合成例2と同様な操作でポリアクリロイルエチルト
リメチルアンモニウム塩化物の25重量%水溶液を得
た。得られた重合物のカチオン当量は5.02meq/
g、4級カチオン率は100%、重量平均分子量約13
万であり、この重合物を化合物5とした。
【0056】合成例4 単量体として、合成例2のメタアクリロイロキシエチル
トリメチルアンモニウムクロライドに替えてジメチルア
ミノエチルメタアクリレート塩酸塩を用いる以外は、合
成例2と同様な操作でポリジメチルアミノエチルメタア
クリレート塩酸塩の25重量%水溶液を得た。得られた
重合物のカチオン当量は5.12meq/g、4級カチ
オン率は0%、重量平均分子量約12万であり、この重
合物を化合物6とした。
【0057】合成例5 コンデンサー、温度計、滴下漏斗及び攪拌機を取り付け
た四つ口フラスコに、50重量%ジメチルアミン水溶液
89.2gと蒸留水24.5gを仕込んだ。そこに、攪拌
下、40〜50℃に保ちながらエピクロルヒドリン10
0.9gを滴下漏斗で2時間かけて滴下し、滴下終了
後、40〜50℃に約2時間保持してから、室温まで冷
却し、蒸留水76.4gを加えて、濃度50%のカチオ
ン系高分子化合物の水溶液300gを得た。この重合物
を化合物7とした。重合終了後、得られた重合物のカチ
オン当量および4級カチオン率をコロイド滴定法によ
り、また静的光散乱法による分子量測定装置(大塚電子
製、DLS−7000)によって重量平均分子量を測定
した。このカチオン系高分子化合物のカチオン当量は、
7.88meq/g、4級カチオン率は、93%、重量
平均分子量は約2,000であった。
【0058】合成例6 コンデンサー、温度計、滴下漏斗及び攪拌機を取り付け
た四つ口フラスコに、50%ジメチルアミン水溶液8
8.7g、30重量%トリメチルアミン水溶液48.5
g、蒸留水22.2gを仕込んだ。そこに攪拌下、40
〜50℃に保ちながらエピクロルヒドリン91.1gを
滴下漏斗を用い2時間かけて滴下した。滴下終了後、4
0〜50℃に約2時間保持してから室温まで冷却し、蒸
留水49.5gを加えて濃度50重量%のカチオン系高
分子化合物の水溶液300gを得た。この重合物を化合
物8とした。重合終了後、得られた重合物のカチオン当
量および4級カチオン率をコロイド滴定法により、また
静的光散乱法による分子量測定装置(大塚電子製、DL
S−7000)によって重量平均分子量を測定した。こ
のカチオン系高分子化合物のカチオン当量は7.95m
eq/g、4級カチオン率は96%、重量平均分子量は
約1,500であった。
【0059】合成例7 単量体として、合成例2のメタアクリロイロキシエチル
トリメチルアンモニウムクロライドに替えてアクリルア
ミドプロパンスルホン酸ナトリウムを用いる以外は、合
成例2と同様な操作でポリアクリルアミドプロパンスル
ホン酸ナトリウムの15重量%水溶液を得た。得られた
重合物のアニオン当量は4.4meq/g、4級カチオ
ン率は0%、重量平均分子量約18万であり、この重合
物を化合物11とした。
【0060】上記合成例で得たカチオン系高分子化合物
およびアニオン系合成高分子化合物をまとめて表1に示
す。また、後記実施例、比較例で使用する市販のカチオ
ン系/アニオン系高分子化合物も併記した。
【0061】
【表1】
【0062】実施例1〜16、比較例1〜8 表1のカチオン系/アニオン系高分子化合物について、
表2に示す組成でセメント、灰および水と混合して灰ス
ラリーを調製し、土木建築材料として求められる特性を
試験した。また、比較のため、カチオン系高分子化合物
を添加しない場合およびアニオン系高分子化合物を添加
した場合についても同様に試験を行った。
【0063】石炭灰の原粉は、火力発電所より入手した
ものを用い、その密度は2.21g/cm、45μm
篩い残分が25%、比表面積2,480cm/gであ
った。クリンカアッシュは、同様に火力発電所より入手
したものを用いた。
【0064】カチオン系高分子化合物(アニオン系高分
子化合物)は10重量%濃度の水溶液として調整して添
加した。添加によって加えられる水分量は、灰スラリー
の調整水分量を減じることによって無添加のものに合わ
せた。
【0065】試験は、フロー値、ブリーディング率、1
軸圧縮強度(24時間後)の各項目について行った。そ
の結果を併せて表2に示す。各試験項目における試験方
法は以下のとおりである。
【0066】<フロー値>平板の上に置いた直径8c
m、高さ8cmの円筒内に灰スラリーを充填後、円筒を
取り除き、平板上に流れ広がる灰スラリーの範囲(縦・
横の直径)を測定し、フロー値とした。好適な流動性を
持つ灰スラリーの場合、フロー値は200〜300mm
程度の範囲が目安となる。なお、見かけ上のフロー値が
良好な範囲にある場合でも、均一な流動体を形成してお
らず、固形分と水分の分離が甚だしい場合には不良とし
た。
【0067】<ブリーディング率>プレパックドコンク
リートの注入モルタルのブリージング率及び膨張率試験
方法(ポリエチレン袋方法)に従って行った。固化後の
好適なブリーディング率はテーブル試験においては3%
以内が一応の目安となり、より好ましくは1%以内であ
る。
【0068】<一軸圧縮強度>セメントを含む灰スラリ
ーを24時間静置して固化させ、一軸圧縮強度(N/m
)を測定した。地山の埋戻し材として好適な固化物
の強度は、24時間で0.01N/mmより大きいこ
とが目安となる。これは、地山の埋戻し材として用いる
場合には、流動性とは別に24時間経過後に0.01N
/mmより大きな強度を持つことが、次工程への早期
着手を可能にし、工期の短縮化を図る上で重要な意味を
持つためである。
【0069】また、表2中の判定基準は以下のとおりで
ある。 <判定基準> ○:極めて良好 △:良好 ×:不良
【0070】表2中、流動性はフロー値とブリーディン
グ率から、また、固化性能は一軸圧縮強度(24時間)
に基づいて評価したものであり、総合評価は流動性と固
化性能を勘案して土木建築材料としての適性を総合的に
評価したものである。
【0071】
【表2】
【0072】表2の結果から明らかなように、実施例
3、実施例11を除き、水溶性のカチオン系高分子化合
物を配合した場合には、無添加の場合(比較例1、比較
例5)に比べて極めて良好な流動性と固化性能を有する
ことが示された。これに対してアニオン系の高分子化合
物を使用した比較例2〜比較例4、比較例6〜比較例8
では、流動性、固化性能ともに満足のいくものではなか
った。実施例4および実施例12で用いた化合物6並び
に実施例8および実施例16で用いた化合物10は、2
級または3級のアミノ基を主体とするカチオン系ポリマ
ーであるため、セメント共存下での土木建築材料中では
分散作用を十分に発揮できず、流動性の改善効果は4級
カチオン率の高いカチオン系高分子化合物に比べると、
やや劣る結果となった。
【0073】実施例3および実施例11で用いた化合物
5は、アルカリ性条件となるセメント、フライアッシュ
およびクリンカアッシュを含む系では、一応の流動性改
善作用は見られたが、固化性能は十分でなく、土木建築
材料としての評価は他の実施例に比べて見劣りした。こ
の理由としては、アルカリ性雰囲気でカチオン基自体が
加水分解を受けてカチオン系高分子化合物としての機能
を失ったり、あるいはカチオン基以外の構成単位が加水
分解を受けてアニオン基に変換され、分子内のカチオン
基とイオン結合して電気的に中和されてしまったことが
原因と考えられる。ここで用いた化合物5は、濃度0.
1重量%水溶液を、pH10、55℃で1時間放置した
後測定されるカチオン当量が、2meq/g未満のカチ
オン系高分子化合物である。
【0074】
【発明の効果】本発明に用いられる水溶性のカチオン系
高分子化合物は、石炭灰などを原料として含有する灰ス
ラリー中で灰粒子を安定的に分散させて流動性を改善
し、ブリーディングを抑制する流動性改善作用を有する
ため、これを灰スラリーに添加することによって、灰ス
ラリーの性質を利用しやすいものに改善することができ
る。また、金属塩や金属イオンなどを多量に含む石炭灰
や汚泥焼却灰などを原料とする灰スラリーに対しても効
果を有するので、これらの有効利用を図ることができ
る。この流動性改善剤は、石炭灰などの灰を高濃度に含
むスラリーに対しても十分流動性改善効果を発揮するた
め、土木建築材料等として多量の灰を有効利用する際に
特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る土木建築材料を充填
材として利用可能な地下送電管路の説明に供する図面。
【符号の説明】
10 地下送電管路 11 充填材注入管 13 送電管 15 空隙 17 格子枠体 20 管路充填材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 18:10 C04B 18:10 Z ) 103:30 103:30 111:70 111:70 (72)発明者 熊田 広幸 宮城県仙台市青葉区中山7丁目2番1号 東北電力株式会社内 (72)発明者 荒川 高而 宮城県仙台市青葉区中山7丁目2番1号 東北電力株式会社内 (72)発明者 齋藤 優 東京都千代田区一番町31番地 株式会社錢 高組内 (72)発明者 井田 隆久 東京都千代田区一番町31番地 株式会社錢 高組内 (72)発明者 福嶋 礼造 神奈川県茅ヶ崎市下町屋2−8−38 (72)発明者 佐藤 一行 神奈川県高座郡寒川町一之宮1−12−5 Fターム(参考) 2D051 AD07 AD08 AE02 AF02 AF04 AG09 AH02 AH03 CA10 4D077 AA10 AB20 AC05 BA01 BA02 DD03X DD04X DD42X DE34X 4G012 PA26 PB20 PB26 PC01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性のカチオン系高分子化合物を含有
    することを特徴とする、灰スラリーの流動性改善剤。
  2. 【請求項2】 請求項1において、カチオン系高分子化
    合物が、第四級アンモニウム基を分子内に有するカチオ
    ン系高分子化合物であることを特徴とする、灰スラリー
    の流動性改善剤。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、カチオン系
    高分子化合物が、pH10のアルカリ性条件下で測定さ
    れるカチオン当量が2meq/g以上のカチオン系高分
    子化合物であることを特徴とする、灰スラリーの流動性
    改善剤。
  4. 【請求項4】 請求項1から3のいずれか1項におい
    て、カチオン系高分子化合物の分子量が1,000以上
    300万以下であることを特徴とする、灰スラリーの流
    動性改善剤。
  5. 【請求項5】 請求項1から4のいずれか1項に記載の
    流動性改善剤を、灰と水とを含有する灰スラリー中に添
    加して、流動性を改善することを特徴とする、灰スラリ
    ーの流動性改善方法。
  6. 【請求項6】 請求項1から4のいずれか1項に記載の
    流動性改善剤と灰とセメントと水とを含有してなる土木
    建築材料。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の土木建築材料を、埋設
    管の充填材として管内空隙に圧送して用いることを特徴
    とする、埋設管の管内充填工法。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載の土木建築材料を、地山
    の空隙の充填材として用いることを特徴とする、地山の
    空隙の充填方法。
  9. 【請求項9】 請求項6に記載の土木建築材料を、下部
    路床の地盤材として用いることを特徴とする、下部路床
    地盤の施工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005194145A (ja) * 2004-01-08 2005-07-21 Denki Kagaku Kogyo Kk セメント組成物およびその使用方法
JP2007002100A (ja) * 2005-06-23 2007-01-11 Tohoku Electric Power Co Inc 石炭灰を用いた可塑性注入材及び当該可塑性注入材の注入方法
JP2016175787A (ja) * 2015-03-19 2016-10-06 株式会社日本触媒 水硬性組成物、フライアッシュ含有水硬性組成物の初期強度向上方法、および、フライアッシュ含有水硬性組成物用添加剤

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