JP2003266395A - 微細構造体の製造方法 - Google Patents

微細構造体の製造方法

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JP2003266395A
JP2003266395A JP2002070941A JP2002070941A JP2003266395A JP 2003266395 A JP2003266395 A JP 2003266395A JP 2002070941 A JP2002070941 A JP 2002070941A JP 2002070941 A JP2002070941 A JP 2002070941A JP 2003266395 A JP2003266395 A JP 2003266395A
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JP2002070941A
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Taisuke Yamauchi
泰介 山内
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の微細な構造層を組み合わせて微細構造
体を製造する方法において、パターニングの際に発生し
た残渣を容易に除去可能な製造方法を提供することを目
的としている。 【解決手段】 O2エッチングにより樹脂製の第2の構
造層をパターニングした際に発生する重化合物などの残
渣80を、アクチュエータ構造33となる第1の構造層
51の上方に位置する除去層93と共にウェットエッチ
ングする。したがって、第1の犠牲層91を除去する前
に、残渣80を除去層93ごと除去できるので、残渣8
0がアクチュエータ構造33に入り込むことはなく、信
頼性の高い微細構造体を歩留まり良く製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ミクロンあるいは
サブミクロンのマイクロ光学素子を備えた光スイッチン
グデバイス等のマイクロマシンを製造するのに適した微
細構造体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プロジェクタなどの画像表示装置のライ
トバルブとして、液晶デバイスに代わり、光をオンオフ
制御でき、高速動作可能なスイッチングデバイスあるい
は画像表示デバイスが求められている。その1つとして
ミクロンオーダあるいはさらに小さなサブミクロンオー
ダの微細構造(マイクロストラクチャ)を備えたマイク
ロマシンであるスイッチングデバイスの開発が鋭意進め
られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらのマイクロマシ
ンを製造する1つの有効な方法は、フォトリソグラフィ
技術を用いてマイクロマシンの構成を複数の構造層に分
けて積層しながら形成する方法である。複数の構造層に
分けて製造することにより、各々の構造層をその構造層
の機能に適した製造方法や材質で製造することができ
る。したがって、例えば、ライトバルブとしての機能を
備えた光スイッチングデバイスを製造する場合は、駆動
性能の高いアクチュエータ層と、光学性能の高い光学素
子層とを積層することにより、それぞれの層構造の特性
を活かし、光スイッチングデバイスとして好適なハイブ
リッドな微細構造体を製造することができる。
【0004】このような微細構造体は基板の上に下方の
層から順番に積層する方法により製造することが可能で
ある。あるいは、それぞれの構造層を異なった装置ある
いは異なったタイミングで製造し、後に接合または接着
するという方法も可能であり、各々の構造層の製造プロ
セスが異なる場合には特に有効である。たとえば、この
製造方法により、温度による各構造層の材料変化を回避
することが容易となる。
【0005】ハイブリッドな微細構造体を製造する際
に、接着機能が要求されたり、あるいは光学的な特性の
要求から樹脂(高分子材料)からなる構造層を、それを
駆動するためのアクチュエータ層に積層する必要が生じ
ることがある。光スイッチングデバイスを例に説明する
と、この樹脂からなる構造体は画素をスイッチングする
光スイッチング素子の一部となるので、所望の形状に加
工すると同時に画素分離するためにエッチングによりパ
ターニングされる。また、転写型を用いたり、接合する
基板を転写型として樹脂層を挟み、その樹脂層を紫外線
(UV)照射により光硬化させることによりパターニン
グする方法もあるが、この手法ではパターニングできる
解像度がせいぜい数μm〜10μm程度である。また、
この方法では、紫外線を透過しない基板同士を接着(接
合)させる場合には、用いることができないというディ
メリットもある。
【0006】したがって、樹脂層はO2プラズマエッチ
ングなどのドライエッチングによりパターニングする方
法が最も柔軟性があり、パターニングで成形される微細
構造の解像度も高く、さらに基板同士を接合させるよう
な場合にも制限がない。しかしながら、樹脂層のパター
ニングをドライエッチングで行うと、その際に重合物が
残渣あるいは残滓として大量に発生する。静的な構造体
であると残渣による影響はほとんどない。しかしなが
ら、上述したような光スイッチングデバイスのように、
現在、微細構造体の多くが稼動する部分、すなわちアク
チュエータ層を備えた構造体であることを考慮すると、
残渣(重化合物)が十分に除去されない場合には、アク
チュエータ構造の可動用のスペース(隙間)に潜り込
み、動作不良などトラブルの要因となる。したがって、
残渣が発生するエッチング方法は、微細構造体の製造に
おいて大きなディメリットとなる。
【0007】そして、発生した残渣は、基板上に付着
し、その際に化学結合などが起き基板に強固に付着する
ため、溶液により溶解させ除去することは難しい。さら
に、残渣を除去するために、超音波など機械的な手段を
併用しようとすると、アクチュエータ層の構造にダメー
ジを与えないようにすることが難しい。したがって、い
ったん残渣が発生してしまうと除去することも難しい。
【0008】したがって、現状の微細構造体、特にスイ
ッチングデバイスのような稼動構造を備えた微細構造体
では、樹脂からなる構造層を除外した構成にすることが
難しく、その一方で、樹脂からなる構造層を採用しよう
とすると、転写型の方法でもドライエッチングを用いた
方法でも一長一短である。このため、精度が高く、信頼
性も高い微細構造体を、歩留まり良く製造することは難
しい。
【0009】そこで、本発明においては、樹脂層とアク
チュエータ層を含む複数の構造層を積層して微細構造体
を製造する際に、解像度が高い微細な構造を安定して製
造でき、さらに、アクチュエータ層に対する影響もない
製造方法を提供することを目的としている。そして、信
頼性が高く、高品質な微細構造体を歩留まり良く生産で
きる製造方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】このため、本発明では、
アクチュエータ層の犠牲層をエッチングする前に、残渣
が発生したとしても、それを除去することにより、残渣
がアクチュエータ層に影響を与えないようにして、アク
チュエータで駆動される構造体の一部を樹脂により構成
できるようにしている。そして、残渣を事前に取り除く
ために、アクチュエータ層の上部を構成する構造層の第
2の犠牲層自体、あるいは第2の犠牲層の最下層をウェ
ットエッチングで除去できる除去層とし、残渣を除去層
ごと除去できるようにしている。
【0011】すなわち、本発明は、基板上に、アクチュ
エータ構造が第1の犠牲層により支持された第1の構造
層と、アクチュエータ構造により駆動される被駆動構造
が第2の犠牲層により支持された第2の構造層とが積層
されたワークから第1および第2の犠牲層をエッチング
する微細構造体の製造方法であって、第2の犠牲層のう
ち、少なくとも第1の犠牲層との境界側に位置する除去
層をウェットエッチングにより除去する第2層のエッチ
ング工程と、その後、第1の犠牲層を除去する第1層の
エッチング工程とを有することを特徴としている。
【0012】本発明の製造方法では、第2の構造層の第
2の犠牲層、第2の構造層の構造体、あるいは第2の構
造層にさらに積層された構造層をドライエッチングする
際に発生する残渣は除去層の上面に堆積する。除去層
は、ウェットエッチングするために第1の構造層の上に
積層しても良いし、第2の犠牲層のうち第1の構造層を
カバーしている領域部分を除去層としてウェットエッチ
ングしても良い。いずれの場合も、除去層により、それ
以前の工程で発生した残渣を受け止め、除去層をウェッ
トエッチングすることで、アクチュエータ層の第1の犠
牲層をエッチングする前に除去層ごと残渣を簡単に確実
に除去できる。そして、残渣を取除いた後に第1層のエ
ッチング工程を行い第1の犠牲層を除去すれば、アクチ
ュエータ構造に残渣が潜り込むことはなく、動作不良の
要因を回避できる。また、第2層のエッチング工程にお
けるウェットエッチング中あるいはウェットエッチング
後では、第1の犠牲層によりアクチュエータ構造が保護
されている。したがって、残渣を除去し難い場合は、超
音波洗浄などの機械的な手段を施してもアクチュエータ
構造に影響を与えることなく、残渣をさらに確実に除去
できる。
【0013】したがって、本発明の製造方法では、ウェ
ットエッチングする第2層のエッチング工程を設けるこ
とで、第2の構造層、あるいはその上に積層される構造
層に樹脂などの高分子材料を用いることができ、さら
に、その構造層をドライエッチングにより高精度でパタ
ーニングを行って被駆動構造を成形することができる。
このため、樹脂などの高分子材料を素材とした微細構造
層を備えた構造体であって、高精度で信頼性の高い微細
構造体を歩留まり良く生産できる。
【0014】本発明の第2層のエッチング工程および第
1層のエッチング工程における材料の組み合わせを、い
くつか示すことができる。例えば、第1の構造層はシリ
コンであり、第1の犠牲層は酸化シリコンであり、第1
層のエッチング工程のエッチャントはフッ化水素であ
り、第2の構造層は樹脂であり、除去層はアルミニウム
またはクロムであり、第2層のエッチング工程のウェッ
トエッチャングのエッチャントは弱酸である組み合わせ
である。第1の構造層はシリコンであり、第1の犠牲層
は酸化シリコンであり、第1層のエッチング工程のエッ
チャントはフッ化水素であり、第2の構造層は樹脂であ
り、除去層は酸化シリコンであり、ウェットエッチング
のエッチャントはフッ化水素である組み合わせであって
も良い。第1の構造層はアルミニウムであり、第1の犠
牲層はシリコンであり、第1層のエッチング工程のエッ
チャントはフッ化キセノンであり、第2の構造層は樹脂
であり、除去層はシリコンであり、ウェットエッチング
のエッチントは水酸化カリウムである組み合わせであっ
ても良い。
【0015】第1の犠牲層と除去層とが同じ種類のエッ
チャントによりエッチング可能な素材であるときは、第
2層のエッチング工程と第1層のエッチング工程におい
てエッチャントを入れ替えることが望ましい。残渣を含
んだエッチャントにより第1の犠牲層を除去すると、残
渣がアクチュエータ構造に影響を与える可能性が残るか
らである。
【0016】第1の犠牲層と除去層とが同種のエッチャ
ントによりエッチング可能な素材であるときは、さら
に、エッチャントを変えるか、あるいは、エッチャント
の活性度を変えるなどの方法により、第2層のエッチン
グ工程では、第1層のエッチング工程のエッチャントよ
りもエッチングレートの低いものを用いることが望まし
い。第2層のエッチング工程では、除去層までを残渣と
共に除去し、その後、第1の犠牲層を除去することが望
ましいからである。
【0017】このような本発明の微細構造体の製造方法
により、鏡面の傾きを変えてオンオフするミラーデバイ
ス、エバネセント波を抽出しオンオフする光スイッチン
グデバイス、干渉を利用した光スイッチングデバイスな
どのミクロンサイズあるいはそれ以下のサブミクロンサ
イズのマイクロマシンであって、樹脂材を構造材とした
様々なデバイスを、歩留まり良く量産することが可能と
なる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下では、図面を参照して本願の
発明をさらに説明する。図1に示した微細構造の光スイ
ッチングデバイス1は、エバネセント光を利用したスイ
ッチングデバイスの1つであり、入射光71を全反射し
て伝達可能な導光部21の全反射面22に対し、透光性
の抽出面41を備えたスイッチング部40を接触させて
エバネセント波を抽出することができるスイッチング素
子である。
【0019】このデバイス1は、ガラス製で入射光71
の透過率の高い光ガイド(導光部、カバーガラス)21
を備えており、全反射面22で入射光71が全反射する
ように全反射面22に対し適当な角度で入射光71が入
射される。そして、スイッチング部40の抽出面41が
全反射面22に接近あるいは密着してエバネセント光を
抽出できる位置(第一の位置あるいはオン)になると、
導光部21から入射光71がスイッチング部40に抽出
される。本例のスイッチング部40は抽出された入射光
71を導光部21に向けて反射可能な反射面42を備え
ており、抽出された光は導光部21を通ってほぼ垂直な
出射光72となり出力される。一方、スイッチング部4
0が第1の位置から離れて、抽出面41が全反射面22
から離れた位置(第2の位置あるいはオフ)になると、
入射光71は全反射面22で全反射され導光部21から
エバネセント光として抽出されない。したがって、出射
光72は得られない。
【0020】このスイッチング部40の下方には、スイ
ッチング部40を動かすアクチュエータ33の層と、お
よびアクチュエータ33を制御する制御ICが構成され
たシリコン基板(ICチップ)31の層が積層されてい
る。
【0021】このように、本例の光スイッチングデバイ
ス1は、スイッチング部40を第1および第2の位置に
移動することにより、入射光71を出射光72として変
調することができる空間光変調装置の1つである。
【0022】以下に、この光スイッチングデバイス1を
本発明の製造方法により製造する方法を、図2〜図8を
参照しながら説明する。先ず、図2に示すように、半導
体基板31にアルミニウム製の第1の構造層51を、シ
リコンを第1の犠牲層91として形成する。この第1の
構造層51は、アクチュエータ構造33として機能する
アルミニウム製の下電極33aと上電極33bとを備え
ており、これら上下の電極33aおよび33bが第1の
犠牲層91により形成されると共に支持されている。
【0023】次に、図3に示すように、第1の構造層5
1の上方に、CVDなどによりシリコンの第2の犠牲層
92を作成し、フォトリソグラフィ技術によりパターニ
ングする。
【0024】そして、図4に示すように、パターニング
された第2の犠牲層92の表面に、型転写を用いてスイ
ッチング部40のV溝部を樹脂材、本例ではアクリルを
用いて形成し、その上にアルミニウム製の反射面42を
スパッタにより成膜し、さらにその上をアクリル樹脂を
スピンコートすることによりスイッチング部40の最表
面を平坦にし、スイッチング部40を形成する。このス
イッチング部40は第2の構造層52となる。
【0025】これにより、半導体基板31上に犠牲層9
1および92で支持された第1の構造層51および第2
の構造層52が積層された微細構造体のワーク50が出
来上がる。
【0026】この第2の構造層52は、下方の第1の構
造層51のアクチュエータ構造33と接着あるいは密着
し、アクチュエータ構造33に駆動される被駆動体のス
イッチング部40となる。このため、第2の構造層52
は、画素単位で分離する必要がある。したがって、図5
に示すように、第2の構造層52の上面に、酸化シリコ
ンを成膜し、フォトリソグラフィによりパターニングす
ることにより、画素パターンが形成され、この面を抽出
面41とする。さらに抽出面41をマスクとして、樹脂
製の第2の構造層52をO2プラズマエッチングにより
パターニングし、図6に示すように、独立した被駆動体
となるスイッチング部40を形成する。この際に、上述
したように、有機物の構造層である第2の構造層52を
2プラズマエッチングによりパターニングすると、重
化合物の残渣80が発生し、第2の犠牲層92の上に残
る。あるいは、残渣80が第2の犠牲層92の上に付着
する。
【0027】したがって、図6に示したように、本例で
は第2の犠牲層92を除去層93としてウェットエッチ
ングして残渣80ともども除去層93を除去する。すな
わち、本例では、第2の犠牲層92を第1の構造層51
のアクチュエータ構造(上電極33b)との境界に位置
する領域に形成してあるので、O2プラズマエッチング
では除去層93が除去されずに残る。このため、パター
ニングで発生した残渣80は除去層93の上に堆積し下
方のアクチュエータ構造33となる第1の構造層51に
付着することはない。このため、第2層のエッチング工
程として、除去層93を除去するためにウェットエッチ
ングを行うと除去できる。
【0028】本例では、エッチャント81に水酸化カリ
ウム(KOH)溶液を用いてシリコン製の除去層93を
除去すると共に、そこに付着している残渣80も一掃す
る。本例の製造方法では、除去層93と第1の犠牲層9
1はどちらもシリコンであり、第2層のエッチング工程
のエッチャント81である水酸化カリウム溶液で除去す
ることも可能である。しかしながら、この段階では、エ
ッチング時間を制御し、第1の犠牲層91が水酸化カリ
ウム溶液ではほとんどエッチングされないようにする。
水酸化カリウム溶液のエッチングレートは、以下で第1
層のエッチャントとして利用するフッ化キセノンと比較
して、低い値となるように溶液濃度を設定し、制御が容
易に行えるようにする。したがって、水酸化カリウム溶
液81でウェットエッチングされる段階では、第1の構
造層51のアクチュエータ構造33は、第1の犠牲層9
1で支持および保護されており、除去層92を除去して
いる段階では残渣80がアクチュエータ33の駆動スペ
ースや隙間などに潜り込むことはない。
【0029】除去層93を残渣80と共にウェットエッ
チングによりワーク50から排除した後に、図7に示す
ように、第1層のエッチング工程として、エッチャント
82にフッ化キセノン(XeF2)を用いて第1の構造
層51の第1の犠牲層91をドライエッチングにより除
去する。その結果、図8に示すように、アクチュエータ
構造33の上にスイッチング部40が支持され、アクチ
ュエータ構造33によりスイッチング部40が駆動され
る光スイッチングデバイス1が完成する。
【0030】以上で説明したように、本発明の製造方法
では、第1の犠牲層91を除去する前に、ウェットエッ
チングする工程を設けることで、それ以前の製造プロセ
ス中に生じた残渣80を、第1の構造層51の上に積層
され、他の層に対しては下地となる除去層93ごと除去
する。したがって、残渣80は確実に除去することが可
能であり、残渣80などの不純物を含まないワーク50
を、次のアクチュエータ構造33を完成するプロセスに
移行させることができる。その結果、アクチュエータ3
3に残渣80が潜り込み、動作不良の要因となることも
なく、所望の駆動特性を確実に得ることができる、信頼
性の高い、高品質な光スイッチングデバイス1を製造で
きる。
【0031】また、第2層のエッチング工程で、水酸化
カリウム溶液81でウェットエッチングしただけでは、
全ての残渣80が完全には取除けず、微量の残渣80が
残る可能性がある場合には、ウェットエッチング中に水
酸化カリウム溶液81を介して超音波を加えて残渣80
を除去し易くしたり、ウェットエッチングした後に水洗
いし、その際に超音波により残渣80を除去するように
しても良い。この段階では、第1の犠牲層91でアクチ
ュエータ構造33が保護されているので、ワーク50を
超音波洗浄してもアクチュエータ構造33を破壊した
り、悪影響を与えることはない。
【0032】したがって、本発明の製造方法によりアク
チュエータ構造33が含まれる層の上に積層された犠牲
層92などのエッチングにより除去される層を、ウェッ
トエッチングにより除去する第2層のエッチング工程を
設けることで、その前のプロセスにおいてエポキシ樹脂
またはアクリル樹脂などの高分子材料を用い、さらに、
その高分子の層をプラズマエッチングなどのドライエッ
チングにより、高解像度でパターニングできる。したが
って、樹脂などの高分子材料の特性を活かした微細構造
であって、解像度の高い構造を備えた微細構造体を歩留
まり良く製造できる。このため、本発明の製造方法によ
り、樹脂などの高分子材料の微細加工(パターニング)
が容易となるので、微細構造体の構成や構造をさらに広
げることが可能となり、様々な微細構造体のスイッチン
グデバイスを本発明の製造方法により製造することが可
能となる。
【0033】なお、本発明の製造方法が適用可能な各層
の構成は、上記の例に限らず、アクチュエータ構造を含
む構造層をカバーすることになる除去層を、その上方の
構造体にダメージを与えないでウェットエッチングでき
るものであれば良い。その幾つかの例を図9に示してあ
る。この図9に示したパターンの内、最初のパターン
(パターン1)が上述した例である。パターン2は、ア
クチュエータ構造33となる第1の構造層51にシリコ
ンを用い、第1の犠牲層91に酸化シリコンを用いる。
そして、この第1の犠牲層91を除去する際に用いるエ
ッチャント82には、フッ化水素(HF)を用いる。第
2の構造層52にエポキシを用いて、この第2の構造層
52を支持し、さらに除去層93も兼ねる第2の犠牲層
92に、アルミニウムまたはクロムを用いる。そして、
除去層93をウェットエッチングする第2層のエッチン
グ工程では、エッチャント81に、PNC(燐酸・硝酸
・酢酸の混酸)などの弱酸を用い残渣80と共に除去層
93をエッチングする。
【0034】パターン3では、第1の構造層51にシリ
コンを用い、第1の犠牲層91に酸化シリコンを用い、
そのエッチャント82にはフッ化水素を用いる。第2の
構造層52にアクリルを用い、第2の犠牲層(除去層)
に酸化シリコンを用いて、そのエッチャント81もフッ
化水素を用いる。
【0035】このパターン3では、パターン1と同様に
第1および第2の犠牲層91および92が同じ材料であ
り、同質のエッチャントにより除去することができ、パ
ターン3では実際に同じエッチャント81および82に
より除去している。この際、除去層93と共に残渣80
を除去する第2層のエッチング工程(図6)では、下層
の第1の犠牲層91を侵食(エッチング)しないように
時間管理することが必要である。さらに、第1層のエッ
チング工程(図7)では、エッチャント81をエッチャ
ント82に入れ替えることにより、残渣80の影響を排
除することが望ましい。
【0036】また、上記では、同一の基板上に順番に構
造層51および52を積層するプロセスに本発明を適用
した例を説明しているが、これに限らない。例えば、複
数の基板を用いて、各々に構造層を形成した後に、基板
同士を接合するように組み合わせるような製造プロセス
においても、本発明を適用できる。この製造方法は、異
なる機能および材質を備えた構造層を、積層する際の温
度などに起因する特性変化を回避できるので、微細構造
体の構成をさらに変化に富んだものにすることができ
る。この製造方法において、本発明により簡単に使用す
ることができる高分子材料の構造層は接着層として機能
する。すなわち、エポキシあるいはアクリル系の高分子
材料は基板同士を接着する接着層としても機能する。し
たがって、本発明の製造方法により、高分子材料を光学
素子としての特性だけではなく、その他の様々な特性を
活かした微細構造体を製造することができる。
【0037】さらに、マイクロマシン(微細構造体)の
構成も上記に限定されるものではない。たとえば、静電
アクチュエータの代わりに、ピエゾ素子などの他の電気
信号により駆動力を供給可能な機構を用いてアクチュエ
ータを構成することも可能である。そして、本発明の製
造方法により製造可能な光スイッチングデバイスは、上
記のエバネセント波を抽出しオンオフする光スイッチン
グデバイスに限定されることはなく、鏡面の傾きを変え
てオンオフするミラーデバイス、干渉型のスイッチング
デバイスにも適用可能である。さらに、光スイッチング
デバイスに限定されず、流体などをスイッチングするデ
バイスなどにも本発明を提供することができる。
【0038】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の製造方
法においては、ドライエッチングして構造層をパターニ
ングした後に、除去層をウェットエッチングする工程を
設けることで、パターニングの際に生じる残渣を除去層
ごと除去できるようにしている。したがって、除去層の
下層となるアクチュエータ構造に残渣が潜り込んだりす
ることがなく、信頼性の高い微細構造体を歩留まり良く
製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エバネセント波を抽出しオンオフする光スイッ
チングデバイスの概要を示す図である。
【図2】図1に示す光スイッチングデバイスの本発明に
係る製造プロセスを示す図であり、基板上にアクチュエ
ータ層を形成する状態を示す図である。
【図3】図2に示すアクチュエータ層上に第2の犠牲層
を積層しパターニングする様子を示す図である。
【図4】図3に示す第2の犠牲層を介して光学素子層を
形成する様子を示す図である。
【図5】図4に示す光学素子層をドライエッチングして
パターニングする様子を示す図である。
【図6】図5に示すパターニングの際に生じた残渣を除
去するウェットエッチングする様子を示す図である。
【図7】アクチュエータ層を支持している第1の犠牲層
をエッチングする様子を示す図である。
【図8】第1の犠牲層が除去され、図1に示したマイク
ロデバイスが完成した様子を示す図である。
【図9】本発明に係るマイクロデバイスを製造する際の
各層の材料とエッチャントの組み合わせ例を示す表であ
る。
【符号の説明】
1 光スイッチングデバイス 21 導光板、22 全反射面 31 半導体基板 33 アクチュエータ 40 被駆動体(反射体)、41 抽出面、42
反射面(反射膜) 50 ワーク、51 第1の構造層、52 第2
の構造層 91 第1の犠牲層、92 第2の犠牲層、93
除去層 80 残渣 81、82 エッチャント 71 入射光、 72 出射光

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、アクチュエータ構造が第1の
    犠牲層により支持された第1の構造層と、前記アクチュ
    エータ構造により駆動される被駆動構造が第2の犠牲層
    により支持された第2の構造層とが積層されたワークか
    ら前記第1および第2の犠牲層をエッチングし微細構造
    体を製造する方法であって、 前記第2の犠牲層のうち、少なくとも前記第1の犠牲層
    との境界側に位置する除去層をウェットエッチングによ
    り除去する第2層のエッチング工程と、 その後、前記第1の犠牲層を除去する第1層のエッチン
    グ工程とを有する微細構造体の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記第2の構造層
    は、エポキシ樹脂またはアクリル樹脂であり、 前記第2層のエッチング工程の前に、ドライエッチング
    により前記被駆動構造の少なくとも1部が形成される微
    細構造体の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記第1の構造層は
    シリコンであり、前記第1の犠牲層は酸化シリコンであ
    り、前記第1層のエッチング工程のエッチャントはフッ
    化水素であり、 前記第2の構造層は樹脂であり、前記除去層はアルミニ
    ウムまたはクロムであり、前記ウェットエッチングのエ
    ッチャントは弱酸である微細構造体の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1において、前記第1の構造層は
    シリコンであり、前記第1の犠牲層は酸化シリコンであ
    り、前記第1層のエッチング工程のエッチャントはフッ
    化水素であり、 前記第2の構造層は樹脂であり、前記除去層は酸化シリ
    コンであり、前記ウェットエッチングのエッチャントは
    フッ化水素である微細構造体の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1において、前記第1の構造層は
    アルミニウムであり、前記第1の犠牲層はシリコンであ
    り、前記第1層のエッチング工程のエッチャントはフッ
    化キセノンであり、 前記第2の構造層は樹脂であり、前記除去層はシリコン
    であり、前記ウェットエッチングのエッチントは水酸化
    カリウムである微細構造体の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1において、前記第1の犠牲層と
    前記除去層とが同質のエッチャントにより除去可能な材
    質であるときは、前記第1層および第2層のエッチング
    工程では、前記エッチャントを入れ替える微細構造体の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1において、前記第1の犠牲層と
    前記除去層とが同質のエッチャントにより除去可能な材
    質であるときは、前記第2層のエッチング工程のエッチ
    ェントのエッチングレートを、前記第1層のエッチング
    工程で用いる前記エッチャントのエッチングレートより
    低くする微細構造体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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