JP2001281564A - 微細構造体、その製造方法、光スイッチングデバイス、光スイッチングユニットおよび画像表示装置 - Google Patents

微細構造体、その製造方法、光スイッチングデバイス、光スイッチングユニットおよび画像表示装置

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JP2001281564A
JP2001281564A JP2000095415A JP2000095415A JP2001281564A JP 2001281564 A JP2001281564 A JP 2001281564A JP 2000095415 A JP2000095415 A JP 2000095415A JP 2000095415 A JP2000095415 A JP 2000095415A JP 2001281564 A JP2001281564 A JP 2001281564A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学素子をアクチュエータで駆動する光スイ
ッチングデバイスにおいて、耐久性および信頼性の高い
デバイスを提供する。 【解決手段】 光学素子3とアクチュエータ6とが接続
する上電極7の上面の接続面15の面粗度Raを0.0
2μから0.2μ程度の範囲する。この程度の面粗度R
aは、アニールあるいはイオン照射などによって実現で
き、光学素子3とアクチュエータ6との密着度を飛躍的
に高めることができる。したがって、高速駆動が可能
で、信頼性および耐久性の高い光スイッチングデバイス
50を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ミクロンあるいは
サブミクロンのマイクロ光学素子を備えた光スイッチン
グ素子およびデバイスを構成するのに適した微細構造体
およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プロジェクタなどの画像表示装置のライ
トバルブとして光をオンオフ制御できる画像表示デバイ
スとしては、液晶を用いたものが知られている。しかし
ながら、この液晶を用いた画像表示デバイスは、高速応
答特性が悪く、たかだか数ミリ秒程度の応答速度でしか
動作しない。このため、高速応答を要求されるような高
解像度の画像を表示する装置、さらには、光通信、光演
算、ホログラムメモリー等の光記録装置、光プリンター
は、液晶を用いたスイッチングデバイスで実現するのは
難しい。
【0003】そこで、上記のような用途に対応できる高
速動作可能なスイッチングデバイスあるいは画像表示デ
バイスが求められており、ミクロンオーダあるいはさら
に小さなサブミクロンオーダの微細構造(マイクロスト
ラクチャ)を備えたスイッチングデバイスの開発が鋭意
進められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】その1つが本願出願人
が出願中の、光を全反射して伝達可能な導光部の全反射
面に対しスイッチング部の抽出面を接触させてエバネセ
ント光を抽出し、光学素子の1波長程度あるいはそれ以
下の微小な動きによって、高速で光を変調制御可能な光
スイッチングデバイスである。
【0005】図1に、エバネセント光によるスイッチン
グを行う画像表示デバイス(光スイッチングデバイス)
を用いた画像表示装置の一例としてプロジェクタ80の
概略を示してある。このプロジェクタ80は、白色光源
81と、この白色光源81からの光を3原色に分解して
画像表示ユニット(光スイッチングユニット)55の導
光板(光ガイド)1に入射させる回転色フィルタ82
と、各色の光を変調して出射する画像表示ユニット55
と、出射された光85を投映する投写用レンズ86とを
備えている。そして、各色毎の変調された光85がスク
リーン89に投写され、時間的に混色されることにより
多諧調のマルチカラーの画像が出力される。プロジェク
タ80は、さらに、画像表示ユニット55および回転色
フィルタ82を制御してカラー画像を表示する制御回路
84を備えている。画像表示ユニット55は、光ガイド
1と以下に詳述する画像表示デバイス(光スイッチング
デバイス)50とにより構成されており、この制御回路
84からカラー画像を表示するためのデータφなどは画
像表示デバイス50に供給される。
【0006】このように、図1に示したプロジェクタ8
0は、光を全反射しながら伝達する光ガイド1に投影用
の光を供給する光源81などと共に光ガイド1から出射
された光を投写するレンズ85などを備えた光を入出力
する手段と、光ガイド1に供給された投映用の光を変調
する画像表示デバイス50とを備えており、画像表示デ
バイス50により光ガイド1から漏出するエバネセント
光を制御して画像が表示される。
【0007】図2に、エバンセント波(エバネセント
光)を利用して光を変調する画像表示デバイス(エバネ
セント光スイッチングデバイス)50の概要を示してあ
る。画像表示デバイス50は複数の光スイッチング素子
(光スイッチング機構)10が2次元に配列されたスイ
ッチングデバイスであり、個々の光スイッチング素子1
0は、単体では導入された光2を全反射して伝達可能な
導光板(光ガイド)1に接近および離反して光を変調可
能な光学素子(スイッチング部)3と、この光学素子部
3を駆動するアクチュエータ6とを備えている。そし
て、光学素子3の層およびアクチュエータ6の層がアク
チュエータ6を駆動する駆動回路およびデジタル記憶回
路(記憶ユニット)が作りこまれた半導体基板20の上
に積層され、1つの画像表示デバイスとして集積化され
ている。
【0008】図2を参照してエバネセント光を利用した
本例の画像表示デバイス50についてさらに詳しく説明
しておく。個々の光スイッチング素子10をベースに説
明すると、図2の左側に示した光スイッチング素子10
aはオン状態であり、右側に示した光スイッチング素子
10bがオフ状態である。光学素子3は、導波路として
の機能を果たす導光板1の面(全反射面)1aに密着す
る面(接触面または抽出面)3aと、この面3aが全反
射面1aに密着したときに漏れ出たエバネセント波を抽
出するV字型のプリズム(マイクロプリズム4)と、こ
のプリズム4の底面で導光板1に対しほほ垂直な方向に
反射するための反射膜46と、V字型のプリズム4を支
持するサポート構造5とを備えている。
【0009】アクチュエータ6は、光学素子3を静電駆
動するタイプであり、そのために、光学素子3のサポー
ト構造5と機械的に連結されて光学素子3と共に動く上
電極(第1の電極)7と、この上電極7と対峙した位置
で半導体基板20に固定された下電極(第2の電極)8
を備えている。さらに、上電極7はアンカープレート9
から上方に伸びた支柱11により支持されている。
【0010】図2に示したように、導光板1には光源か
ら照明光2が全反射面1aで全反射する角度で供給され
ており、その内部の全ての界面、すなわち、光学素子部
(光スイッチング部)3に面した側1aと、上方の面
(出射面)において光が繰り返し全反射し、導光板1の
内部が光線で満たされる。したがって、この状態で巨視
的には照明光2は導光板1の内部に閉じ込められ、その
中を損失なく伝播している。一方、微視的には、導光板
1の全反射している面1aの付近では、導光板1から光
の波長程度のごく僅かな距離だけ、照明光2が一度漏出
し、進路を変えて再び導光板1の内部に戻るという現象
が起きている。このように面1aから漏出した光を一般
にエバネッセント波と呼ぶ。このエバネッセント波は、
全反射面1aに光の波長程度またはそれ以下の距離で他
の光学部材を接近させることにより取り出すことができ
る。本例の光スイッチング素子10は、この現象を利用
して導光板1を伝達する光を高速で変調、すなわち、ス
イッチング(オンオフ)することを目的としてデザイン
されている。
【0011】たとえば、図2の光スイッチング素子10
aでは、光学素子3が導光板1の全反射面1aに接触し
た第1の位置にあるので、光学素子3の面3aによりエ
バネセント波を抽出することができる。このため、光学
素子3のマイクロプリズム4で抽出した光2は反射膜4
6で角度が変えられて出射光2aとなる。そして、この
出射光2aが図1に示すプロジェクタ80の投映用の光
85として利用される。一方、光スイッチング素子10
bでは、電極7および8の間に働く静電力により光学素
子3が導光板1から離れた第2の位置に動かされる。し
たがって、光学素子3によってエバネセント波は抽出さ
れず、光2は導光板1の内部から出ない。
【0012】エバネセント波を用いた光スイッチング素
子は単独でも光をスイッチングできる装置として機能す
るが、図2に示したように、これらを1次元あるいは2
次元方向、さらには3次元に並べて配置することができ
る構成になっている。特に、2次元にマトリクスあるい
はアレイ状に並べて配置することにより、液晶あるいは
DMDと同様に平面的な画像を表示可能な映像デバイス
あるいは画像表示ユニット55を提供することができ
る。そして、エバネセント光を用いた画像表示デバイス
50では、スイッチング部である光学素子3の移動距離
がサブミクロンオーダとなるので、液晶より1桁あるい
はそれ以上応答速度の速い光変調装置として利用でき、
これを用いた高速動作が可能なプロジェクタ80あるい
は直視型の画像表示装置を提供することが可能となる。
さらに、エバネセント光を用いた光スイッチング素子1
0は、サブミクロンオーダの動きで光をほぼ100パー
セントオンオフすることが可能であり、非常にコントラ
ストの高い画像を表現することができる。このため、時
間的な分解能を高くすることが容易であり、高コントラ
ストの画像表示装置を提供できる。
【0013】さらに、この光スイッチングデバイス50
では、駆動回路などが作りこまれた半導体集積基板20
にアレイ状に配置されたアクチュエータ6および光学素
子3が積層された構成の画像表示デバイス50を1チッ
プで提供することが可能である。すなわち、半導体基板
20の上にアクチュエータ6および光学素子3といった
マイクロストラクチャが構築されたマイクロマシンある
いは集積化デバイスである画像表示デバイス50と光ガ
イド1とを組み立てることにより画像表示ユニット55
を供給でき、これを組み込むことにより動作速度が速く
高解像で、さらに、高コントラストの画像を表示できる
プロジェクタを提供できる。
【0014】アクチュエータ6は、図2の上下1対の電
極を備えたものに限定されず、上電極7および下電極8
に加え、これらの間で動く中間電極を備えたもの、さら
に、電極対を使用した静電アクチュエータの代わりに、
ピエゾ素子などの他の電気信号により駆動力を供給可能
な機構を用いてアクチュエータを構成することも可能で
ありアクチュエータとしてはいくつかのものが考えられ
ている。したがって、以下、本明細書では、簡単のため
上下電極の静電駆動タイプのアクチュエータに基づき説
明するが、アクチュエータの構成はこれに限定されるも
のではない。
【0015】このようなスイッチングデバイスは、樹脂
製の光学素子を静電アクチュエータにより、上下に、あ
るいは、光ガイド1に押し付ける方向と離す方向とに駆
動するものである。したがって、光学素子と静電アクチ
ュエータとが基本的には一体となっている必要がある。
特に、光ガイド1から光学素子3を引き剥がす際は引張
力が作用するので、光学素子と静電アクチュエータの密
着度が低いと剥離する可能性がある。しかしながら、光
学素子3は、光学的な性質が優れた、たとえば、透明な
樹脂により成形されるのに対し、静電アクチュエータ6
は静電力を発揮するために導電性の素材、たとえば、金
属あるいはポリシリコンなどにより構成される。したが
って、製造方法も異なり、アクチュエータ6はフォトリ
ソグラフィ技術により構築できるのに対し、光学素子3
は型転写により成形することが望ましいことが本願出願
人らによって開示されている。
【0016】このため、アクチュエータ6と光学素子3
との密着度をどのように確保するかは、この光スイッチ
ング素子およびこれを用いた光スイッチングデバイス、
さらには光スイッチングユニットにおいて重要な課題で
ある。また、上述した光スイッチング素子およびデバイ
スを高速で駆動するとともに、高い信頼性を確保するた
めにも重要な課題となっている。もちろん、光スイッチ
ング素子に限らず、アクチュエータでマイクロバルブを
駆動するような他の形式の微細構造体においても同様の
課題がある。
【0017】そこで、本発明においては、これらの課題
に鑑み、2つの層、上記の例では、光学素子の層と、ア
クチュエータの層とが充分な強度で密着され、これらが
剥離することがなく高速駆動が可能で、信頼性の高い微
細構造体、およびそれを製造する方法を提供することを
目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】このため、本発明では、
2つの構造層を積み重ねる際に、第1の構造層の表面を
粗くすることにより第2の構造層との接触面積を増大
し、第1の構造層と、第2の構造層との密着度を高める
ようにしている。そして、ミクロンオーダ、すなわち数
百ミクロンからサブミクロンの範囲、さらには、数十ミ
クロンから数ミクロンの範囲の単位の構造層において
は、不活性気体中で適当な温度、たとえば1000度前
後で1時間程度アニールすることにより結晶粒が成長
し、表面の中心線粗さの平均値Ra(以降においてはR
aで参照する)が0.02ミクロンあるいはそれ以上に
することができる。そして、この程度の中心線粗さRa
が確保できると、中心線粗さRaが0.01あるいは
0.015ミクロンの表面に対し、密着度が大幅に増加
し、たとえば、塗料試験方法として公知の碁盤目テープ
法では、Raが0.015では40%程度が剥離するの
に対し、Raが0.02ミクロンになると剥離する率が
0%になる。さらに、表面にレーザ光を照射してアニー
ルすると、結晶粒を短時間にさらに大きくすることがで
き、Raを0.07から0.2ミクロン程度まで上げる
ことができる。一方、Raが0.2ミクロン程度を超え
ると、ミクロン単位の構造体に影響を与える可能性があ
るので望ましくない。
【0019】すなわち、本発明に係る微細構造体は、ほ
ぼミクロン単位の構造を備えた第1の構造層と、この第
1の構造層に積層された第2の構造層とを有する微細構
造体であって、第1の構造層の表面のうち、少なくとも
第2の構造層が接する接続領域の表面の中心線平均粗さ
Raが0.02から0.2ミクロンの範囲であることを
特徴としている。さらに、中心線平均粗さRaは、0.
025から0.1ミクロンの範囲であることが望まし
い。
【0020】そして、本発明の微細構造体は、ほぼミク
ロン単位の構造を備えた第1の構造層を製造する第1の
工程と、この第1の構造層に第2の構造層を積層する第
2の工程と、この第2の工程の前に、第1の構造層の表
面のうち、少なくとも第2の構造層が接する接続領域の
表面を、その中心線平均粗さRaが0.02から0.2
ミクロンの範囲、さらに望ましくは、中心線平均粗さR
aが0.025から0.1ミクロンの範囲に加工する工
程とを有することを特徴とする微細構造体の製造方法に
より製造できる。この範囲の中心線平均粗さRaは、第
1の構造層をアニールすることにより実現でき、特に、
第1の構造層を窒素あるいはアルゴンなどの不活性気体
中で高温にすることが望ましい。あるいは、レーザ光を
照射してアニールすることでもよく、中心線平均粗さR
aを0.07ミクロンあるいはそれ以上の範囲はレーザ
アニールが有効である。
【0021】また、スパッタリング、RIEあるいはF
IBによって第1の構造層の少なくとも接続領域にイオ
ンあるいは原子を照射することによっても同程度の表面
粗さRaを得ることができる。
【0022】したがって、本発明の微細構造体およびそ
の製造方法により、第2の構造層が光学素子がアレイ状
に配置された層であり、第1の構造層が光学素子を駆動
するアクチュエータがアレイ状に配置された層となる光
スイッチング素子あるいは光スイッチングデバイスに適
した微細構造体を製造することができる。そして、この
微細構造体では、アクチュエータが光学素子をこれらの
構造層に対し垂直方向に移動あるいは駆動するが、アク
チュエータと光学素子の密着度が非常に高いので、剥離
などが発生せず、信頼性が高く、高速駆動が可能な光ス
イッチング素子および光スイッチングデバイスを提供す
ることができる。
【0023】また、アクチュエータと光学素子との密着
度が高まるので、素材的に光学素子と異なる静電アクチ
ュエータを容易に採用できる。たとえば、アクチュエー
タはポリシリコンで製造することができ、上記の製造方
法により適当なRaを備えた面を製造できる。
【0024】したがって、本発明の微細構造体およびそ
の製造方法により、光学素子が垂直方向に移動した第1
の位置で光ガイドの全反射面からエバネセント光を抽出
し、そこから離れた第2の位置ではエバネセント光を抽
出しない光スイッチングデバイス、さらに、この光スイ
ッチングデバイスと、光ガイドとを有する光スイッチン
グユニットを提供できる。そして、光スイッチングユニ
ットと、光ガイドの画像を形成するための光を入出力す
る手段とを有する画像表示装置を提供することが可能で
あり、そのライトバルブとなる光スイッチングユニット
がより高速駆動が可能で信頼性も高いので、分解能が高
く、耐久性も高い画像表示装置を提供できる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明をさ
らに説明する。以下では、先に説明したエバネセント波
を用いて光をスイッチングするデバイスに本発明を適用
した例で説明する。図3および図4に示すように、本例
の光スイッチング素子10は、単体では導入された光2
を全反射して伝達可能な導光板(光ガイド)1と、この
導光板1に接近および離反する光学素子3と、この光学
素子3を駆動するアクチュエータ部6と、このアクチュ
エータ部6を制御する回路が作り込まれた半導体基板2
0とを備えている。
【0026】光学素子3は、導波路としての機能を果た
す導光板1の面(全反射面)1aに密着する面(接触面
または抽出面)3aと、この面3aが全反射面1aに密
着したときに漏れ出たエバネセント波を抽出して内部に
導くV字型のマイクロプリズム4と、導かれた光を光ガ
イド1に対しほほ垂直な方向に反射する反射膜46と、
V字型のプリズム4を支持するサポート構造5とを備え
ている。このような構造および光学素子としての性能を
実現するために、本例においては、光学素子3は有機系
の樹脂を用いて形成されている。樹脂としては、フッ化
水素酸(BHF)に耐性のある塩化ビニール系、ABS
系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、アクリル系、
フッ素系、ポリカーボネイト系、メチルベンゼン系、フ
ェノール系、エポキシ系、天然ゴム系、スチレンゴム系
またはブチルゴム系の樹脂が採用されている。さらに、
これらのうちで、硬質塩化ビニール系、ABS系、ポリ
エチレン系、ポリプロピレン系、アクリル系、フッ素
系、ポリカーボネイト系、メチルベンゼン系、フェノー
ル系、エポキシ系またはブチルゴム系の樹脂は、高濃度
のフッ化水素酸にも侵食されにくい。
【0027】さらに、これらの樹脂のうち、光反応型の
高分子材料が、光学素子を成型する上はいっそう有効で
ある。たとえば、光重合することにより成型することが
できる紫外線硬化樹脂などが有効であり、紫外線硬化樹
脂の一例としてはラジカル重結合系である、アクリル系
のポリエステルアクリル、ウレタンアクリル、エポキシ
アクリル、ポリエーテルアクリル、側鎖アクリロイル型
アクリル樹脂や、チオール・エン型のポリチオール・ア
クリル誘導体、ポリチオール・スピロアセタール系、や
カチオン重合系であるエポキシ型エポキシ樹脂が使用で
きる。
【0028】このように、本例では光学素子3としてフ
ッ化水素酸に耐性のある樹脂を採用するので、光学素子
3およびアクチュエータ6の構造を実現する犠牲層とし
てフッ化水素酸で除去できるPSGなどの酸化シリコン
製の素材を採用できる。したがって、アクチュエータ部
を構成する材料としては、金属であればフッ化水素酸に
耐性のある、金、白金あるいはステンレス系の材料とな
り、シリコン系の材料としてはCVDなどの方法で製造
できる低コストなポリシリコン(多結晶シリコン)を採
用することができる。
【0029】本例のアクチュエータ6の構成は、先に図
2に基づき説明したものと同様であるので、以下では構
成およびその動作についての詳しい説明は省略する。図
3は、光スイッチング素子10がオンの状態を示してあ
り、光学素子3が光ガイド1の全反射面1aに接触して
いるので、光学素子部3の面3aによりエバネセント波
を抽出することができ、光学素子3のマイクロプリズム
4で抽出した光が反射膜46により角度を変え、導光板
1に対し垂直な方向の出射光2aが得られている。これ
により光2をスイッチングして画像などを表現すること
が可能となる。
【0030】図4は、光スイッチング素子10がオフの
状態を示してあり、アクチュエータ6の静電力で光学素
子3を光ガイド1から離している。したがって、光学素
子3によってはエバネセント波は抽出されず、光2が光
ガイド1の内部から出ない。本例の光スイッチング素子
10では、上電極7を支持するポスト11の近傍に下電
極8に向かって凸となるへこみ(ディンプル)13が形
成されており、これがストッパーとなって上下の電極7
および8が密着してしまうのを防止している。
【0031】このようなエバネセント波を利用した光ス
イッチング素子10を半導体基板20の上にアレイ状に
並べ、半導体基板20のCMOS回路によって各々の光
スイッチング素子を制御する画像デバイス(光スイッチ
ングデバイス50が提供される。
【0032】本例の光スイッチングデバイス50におけ
るこれらの構造体、すなわち、光学素子3およびアクチ
ュエータ6はミクロンオーダで製造されている。たとえ
ば、光学素子3は、厚さが十数ミクロンであり、幅が数
十ミクロン程度である。また、アクチュエータ6を構成
する電極7および8は厚さ2ミクロン程度である。した
がって、詳しくは以下で説明するが、アクチュエータ6
はフォトリソグラフィー技術を用いて製造され、光学素
子3は型転写技術を用いて製造されている。
【0033】そして、本例の光スイッチングデバイス5
0においては、これら2つの構造体であるアクチュエー
タ6と光学素子3とが接合する部分、すなわち、上電極
7の状面7aのうち、V字型のサポート部5と接する部
分15の面が加工され、その面粗度が中心線平均粗さR
aで0.02から0.2ミクロン程度になっている。通
常、電極7をポリシリコンで製造すると、その面粗さR
aは0.015ミクロン程度であり、塗料の一般試験法
として公知の碁盤目テープ法(JISK5400)によ
ると、剥離する割合が36%程度で、評価点数は2、す
なわち、切り傷による剥がれの幅が広く、欠損部の面積
は全正方形の35から65%となる。これに対し、粗さ
Raを以下に述べる方法により大きくし、たとえば、
0.026にすると剥離の割合は0%となり、評価点数
は10、すなわち、切り傷1本ごとが細くて両側が滑ら
かであり、切り傷の交点と正方形の1目1目に剥がれが
ない状態となる。
【0034】したがって、本例のようなミクロンオーダ
の微細構造では、接続面15の表面粗さRaの剥離に対
する影響は非常に大きく、Raが0.02ミクロン程度
を境に密着度は大幅に向上することが分かる。このた
め、本例の接続面15の粗さRaを粗くした光スイッチ
ング素子10およびそれを用いた光スイッチングデバイ
ス50、さらには光ガイド1と組み立てた光スイッチン
グユニット55においては、光学素子3とアクチュエー
タ6との密着度あるいは接着度は飛躍的に増大する。し
たがって、図3および図4に示したスイッチングを繰り
返したときに、光学素子3とアクチュエータ6が剥離す
る可能性を非常に小さくすることが可能である。特に、
オンからオフに光スイッチング素子10を駆動するとき
は、引っ張り力になるので、光学素子3とアクチュエー
タ6との接合面15に働く力は大きくなる。このため、
剥離を防止するためにはアクチュエータ6の作動速度を
ある程度の範囲に収める必要があったが、本例の光スイ
ッチング素子10においてはそのような心配もなくな
る。したがって、非常に動作速度が早く、動作周波数の
高い光スイッチングデバイスを提供することができる。
また、動作速度を上げても剥離などの心配がないので、
信頼性が高く、耐久性も高く光スイッチングデバイス5
0およびユニット55を提供することができる。
【0035】本発明に係る光スイッチングユニット55
を採用して組み立てた図1に示した画像表示装置80に
より、信頼性および耐久性ともに高く、動作速度が速
く、高解像度の画像を表示できる画像表示装置を提供で
きる。
【0036】以下では、図5ないし図14に基づき、本
発明の製造方法を用いて、上記の光スイッチング素子1
0を半導体基板20の上にアレイ状に並べて形成し、光
スイッチングデバイス(画像デバイス)を製造する様子
を説明する。
【0037】まず、図5ないし図7に示す工程により、
第1の構造層となるアクチュエータ6の層を製造する。
図5に示してあるように、CMOSが構成されている基
板20の上面21に第1の電極層としてポリシリコンの
薄膜31をディポジットする。次に、その電極層31に
パターニング41を行い、下電極8と、ばねおよび上電
極を兼ねた構造のアンカー部分9を形成する。
【0038】図6に示してあるように、電極層31の上
に酸化シリコン系のPSG(Phospho-Silicate-Glass)
により犠牲層32を形成する。PSG層は、フォトリソ
グラフィー技術により半導体装置を製造する際に多用さ
れており、集積回路に影響を与えずに製造する技術が確
立され、膜厚を管理する技術も確立されている。したが
って、下に存在する半導体基板20に形成されたCMO
S回路にダメージを与えずに、その半導体基板の上に、
ミクロンオーダあるいはサブミクロンオーダの精度で構
造物を製造するのに適している。その犠牲層32にスト
ッパーの役目をするディンプル13を形成する凹み42
を掘り、また、ポストとなる部分をパターニング43に
より形成する。
【0039】図7に示してあるように、犠牲層32の上
に、ばねと上電極を兼ねた構造7を形成する第2の電極
層33を、図5と同様に、ポリシリコンをディポジット
した薄膜により形成する。この段階でポスト11も形成
され、アクチュエータ6としての構造が半導体基板20
の上に形成される。
【0040】次に、このアクチュエータ6の上にマイク
ロ光学素子部3を形成するプロセスに移行する。まず、
図8に示してあるように、第2の電極層33の上、すな
わち、上電極7の表面7aに第1の犠牲層32と同じ物
質であるPSGを第2の犠牲層34としてディポジット
し、パターニング44を行う。これにより、上電極7の
表面7aのうち、光学素子3のV字型のサポート部5と
接続する面15だけが表面に現れるようにする。
【0041】次に、図9に示すように、この接続する面
15の面粗さを大きくする加工を行う。面粗さを上げる
方法は以下のようなものがあり、これを単独で行っても
良いし、複数の方法を組み合わせることにより、適度な
面粗さにすることも可能である。1つの方法は、窒素雰
囲気下でアニールする方法である。たとえば、本例のよ
うにポリシリコンで電極を構成する光スイッチング素子
においては、1050℃で1時間程度アニールすること
により接続面の面粗度が中心線平均粗さRaで0.01
5μmから0.026μmに増大する。これは、ポリシ
リコンの結晶粒がアニールにより成長したためと考えら
れる。
【0042】また、この領域15をレーザアニールする
ことも可能である。上記のように高温でアニールした後
に、レーザアニールすることによりRaが0.070μ
m程度まで容易に上げられることが本願発明者らの実験
により確認されている。
【0043】さらに、アニールする代わりに、あるい
は、アニール処理に合わせて、スパッタリング装置、R
IE(反応性イオンエッチング、reavtive ion etchin
g)装置、さらには、FIE(高速イオンエッチング、f
irst ion etching)装置などを用いてイオンあるいは原
子を接続面15に照射して表面粗さRaを高くすること
も可能である。たとえば、これらの装置により100W
で10分程度の照射を行うと、上記と同程度の表面粗さ
を実現することができる。
【0044】面粗度Raを高くすることにより接触面積
が増加するので、密着度から考えると面粗度Raは高い
ほうが望ましい。しかしながら、上記の方法により、結
晶粒を大きくすると、組成が変化したり、単結晶化する
ことにより構造体自体の強度が低下する可能性があり、
微細構造体の基本的な設計から考え直す必要が生ずる。
したがって、この工程により面粗度を高くする範囲は、
微細構造体あるいはこれを構成する構造層の基本的な性
質あるいは強度などに影響を及ぼさない範囲に止めるこ
とが望ましい。したがって、本例においては、上電極7
の膜厚が2μであるので、面粗度Raの上限をその10
%程度、すなわち0.2μに設定している。この程度の
面粗度であれば、構造に影響を与えることはない。ま
た、アニールあるいはイオン照射などによって加工する
時間も少なくて済み、製造時間あるいは工程に与える影
響も少なくて済む。
【0045】さらに、ポリシリコン上の面粗度Raにつ
いては、先に説明したように、碁盤目試験によって面粗
さRaが0.025μ程度以上あると非常に付着力が高
いことが確認されている。また、加工時間、それに用い
られるエネルギーなどを考慮すると、面粗さRaの範囲
は小さい方が望ましい。これらの条件を考慮すると、面
粗さRaは、0.025μから0.1μ程度の範囲で充
分な付着力が得られ、また、加工時間なども短縮できる
ので、さらに効果的である。
【0046】このように、面粗度Raを制御した接続面
15の上に、さらに、図10に示すように、V型をした
パターン(サポート構造)5を形成する。本例では、接
続面15および犠牲層34の上に第3の構造層となる樹
脂35を塗布し、その樹脂にV溝の型を転写してサポー
ト構造5を製造する。この樹脂層35は、上述した、フ
ッ化水素酸(BHF)に耐性のある塩化ビニール系、A
BS系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、アクリル
系、フッ素系、ポリカーボネイト系、メチルベンゼン
系、フェノール系またはエポキシ系の樹脂であり、本例
においては、転写で構造が成型しやすい紫外線硬化樹脂
である、アクリル系のポリエステルアクリル、ウレタン
アクリル、エポキシアクリル、ポリエーテルアクリル、
側鎖アクリロイル型アクリル樹脂や、チオール・エン型
のポリチオール・アクリル誘導体、ポリチオール・スピ
ロアセタール系、あるいはカチオン重合系であるエポキ
シ型エポキシ樹脂が使用される。そして、型をあててUV
照射などにより硬化させる。
【0047】その後に、転写型をはずし、図11に示す
ように、さらに、V溝45の上部にアルミニウムまたは
銀をスパッタリングして反射膜46を形成する。ディポ
ジットして形成することも可能であるが、付着力を高く
するにはスパッタリングが望ましい。
【0048】さらに、図12に示してあるように、第4
の構造層となる透明な樹脂36をV溝形状に成型された
樹脂層35に塗布し、さらにその上から平坦な型を転写
してV溝45を平坦に埋める。この樹脂36も、上記の
樹脂層35と同様にBHFに耐性のあるいずれかの系の
樹脂を用いることが望ましい。この工程により、抽出し
たエバネセント光を上方に反射するマイクロプリズム4
が形成され、光学素子3も形成される。したがって、上
記の4層の構造層、すなわち、第1の電極層31、第2
の電極層(ばね層)33、樹脂層35および36によ
り、光学素子部3およびアクチュエータ6からなる光ス
イッチング素子10となる構造が半導体基板20の上に
形成される。
【0049】本例の光スイッチング素子10では、アク
チュエータを構成する電極層31(下電極8)および電
極層33(上電極7)の層はフォトリソグラフィ技術に
よりポリシリコンで形成されているのに対し、光学素子
3を構成する樹脂層35(V字型のサポート5)および
樹脂層36(プリズム4)は型成形(マイクロレプリカ
技術)により成形されており、素材も上記のようなUV
硬化型の樹脂が採用されている。このため、製造方法お
よび材料が異なるので、その接続する部分、すなわち、
面15の密着度が問題になるが、上記のように、この面
15の面粗度Raを上げることにより接着面積を増や
し、密着度を上げている。したがって、これらのアクチ
ュエータ6および光学素子3を構成する各構造層は一体
となって強度の高い光スイッチング素子10を形成し、
耐久性の高いスイッチング素子を製造できる。
【0050】次に、半導体基板20の上に積層された部
材および部分で不要なものを除去するプロセスに移行す
る。まず、図13に示すように、画像デバイスとして本
例の光スイッチング素子デバイス50を用いる場合に、
個々の画素を構成する個々のマイクロ光学素子3を分離
するため、第2の犠牲層34の上に積層された樹脂層3
5および36を垂直方向に犠牲層33が現れるまで酸素
プラズマエッチングなどを用いて溝47を掘る。そし
て、光学素子部3の間を隙間47により分離する。この
状態では、まだ、犠牲層は共に除去されていない。
【0051】さらに、図14に示した工程で、犠牲層3
2および34を図13の工程で構成した光学素子3の隙
間47を通して除去する。ここでは、犠牲層32および
34を形成するPSGをドライエッチングするためにフ
ッ化水素酸(BHF)ガス48が用いられる。もちろ
ん、フッ化水素酸水溶液を用いてウェットエッチングし
ても良い。光学素子3を構成している樹脂35および3
6は、上述したようにフッ化水素酸に耐性があり、ま
た、電極層32および31を構成するポリシリコンもフ
ッ化水素酸に耐性があり侵食されない。これらに対し、
フッ化水素酸は酸化シリコン系のPSGを効率よくエッ
チングする。一方、半導体基板の保護膜として最上層2
1を形成している窒化シリコンはほとんど侵食しない。
したがって、フッ化水素酸でエッチングすることによ
り、半導体基板20およびその上に構成される樹脂に影
響を与えることなく犠牲層32および34を除去するこ
とができる。
【0052】なお、図14では、電極を構成する層33
によって犠牲層32および34が区切られているような
記載になっているが、電極には隙間あるので犠牲層32
および34を同時に除去することができる。さらに、フ
ッ化水素酸によりドライエッチングで除去するので、電
極間などの狭い隙間なども吸着という問題を起こすこと
なく完全に犠牲層を除去することができ、電極間に駆動
用の空間を確実に形成できる。したがって、信頼性のあ
るアクチュエータ6を実現できる。
【0053】以上の工程で半導体基板20の上にアクチ
ュエータ6および光学素子3が垂直に積み重ねあわされ
た光スイッチングデバイス50が製造され、これと光ガ
イド導光板1とを組み合わせることにより図1および図
2に基づき説明した光スイッチングユニット55を提供
することができる。したがって、本発明により、アクチ
ュエータ6と光学素子3が一体となった耐久性が高く、
より高速で駆動できる光スイッチングデバイス50を提
供することが可能となり、さらに、この光スイッチング
デバイス50を用いてより解像度が高く、耐久性および
信頼性の高い画像表示装置を提供できる。また、この半
導体基板上に光スイッチングアレイが形成された光スイ
ッチングデバイス50により、光コンピュータ、光プリ
ンタなどの多種多様な装置を提供することが可能とな
る。
【0054】なお、本例では、CMOS基板の上に構造
物を構成する例を説明しているが、バイポーラ回路基
板、半導体レーザ基板あるいはその他の半導体基板上に
樹脂製の微細構造物を構築する場合に本発明を適用でき
ることはもちろんである。さらに、上記では、半導体基
板上に静電アクチュエータと、光学素子が垂直に積み重
ねられた光スイッチング素子を例に説明しているが、ピ
エゾ効果などの他の電気機械的な効果を用いたアクチュ
エータを用いることも可能であり、その場合も、アクチ
ュエータと光学素子が接触する面を予めアニールあるい
はイオン照射などの方法により面粗度を調整することに
より強度の高い光スイッチング素子を提供することがで
きる。また、スイッチングする対象はエバネセント波に
限定されることはなく、他の光学系においてスイッチン
グ作用を示す光学素子アレイも同様に製造することがで
きる。
【0055】さらに、本発明の製造方法および微細構造
体は、光スイッチング素子および光スイッチングデバイ
スに限定されることはなく、一般のマイクロストラクチ
ャであって、素材あるいは製造方法が異なる2つの層を
積み重ねて構成するものにも適用できる。たとえば、流
体を制御できるマイクロバルブをアクチュエータで駆動
するような微細構造体、面発光レーザに集光用のレンズ
を付加した微細構造体など、適用範囲は広い。
【0056】また、積層される構造体は2層に限定され
るものではなく、3層以上の構造体に対しても本発明を
適用することは可能であり、それら複数の構造体の層を
極めて密着度高く接合でき、これらの構造層により一体
となった微細構造体を提供することができる。
【0057】また、上記では弗化水素酸ガスを用いたド
ライエッチングを例に説明しているが、水溶液を用いた
ウェットエッチングであっても良い。ドライエッチング
は電極間の張り付きを防止できるなどの利点があるため
比較的多く採用される。これに対し、ウェットエッチン
グは、溶液のエッチャントがドライエッチの分子に比べ
大きいため樹脂の隙間から侵食するエッチャントの流動
を抑制できエッチングされたくない構造物を保護したい
という要望にはマッチしており、また、量産性があるの
で大量のウエハを投入でき、スループットが早いといっ
たメリットもある。したがって、目的に応じてドライエ
ッチングあるいはウェットエッチングを使い分けること
ができ、本発明は、そのいずれにも適用することができ
る。
【0058】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、マイクロ光学素子を有する光スイッチングデバイス
などのミクロンオーダの構造を有する微細構造体を製造
する際に、製造方法あるいは素材が異なる2つの構造層
を接合するために面粗度をアニールあるいはイオン照射
などの方法で大きくするようにしている。したがって、
2つの構造層の間の接触面積を大きくすることが可能と
なり、光スイッチング素子であれば、高速駆動が可能
で、耐久性および信頼性の高い光スイッチング素子およ
びデバイスを提供することができる。
【0059】ミクロンオーダの構造層をディポジットな
どで成形すると、その表面の粗さ(中心線平均粗さ)R
aは0.015μ程度であり、付着力はそれほど高くな
い。これに対し、面粗さRaを0.02μから0.2μ
程度に大きくすることにより、付着率あるいは密着度は
飛躍的に向上することを本発明では明らかにしており、
さらに、この程度の面粗さRaは、アニールあるいはイ
オン照射、原子照射によって容易に実現できることを本
発明において開示している。したがって、本発明の製造
方法により、動作周波数がさらに高く、耐久性も高い光
スイッチングデバイスを提供できる。このため、本発明
の光スイッチングデバイスを採用することにより、さら
に高解像度の画像を表示することができ、信頼性および
耐久性の高い画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エバネセント光を利用した映像表示デバイスを
用いたプロジェクタの概要示す図である。
【図2】エバネセント光を利用した映像表示デバイス
(スイッチングデバイス)の概要を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる光スイッチング素
子の全体構成を示す断面図であり、オン状態を示す図で
ある。
【図4】図3に示す光スイッチング素子のオフ状態を示
す断面図である。
【図5】図3に示す光スイッチング素子の製造プロセス
を示す図であり、半導体基板の上に第1の電極層を形成
した状態を示す図である。
【図6】図3に示す光スイッチング素子の製造プロセス
を示す図であり、第1の電極層の上に第1の犠牲層を形
成した状態を示す図である。
【図7】図3に示す光スイッチング素子の製造プロセス
を示す図であり、第1の犠牲層の上に第2の電極層(ば
ね層)を形成した状態を示す図である。
【図8】図3に示す光スイッチング素子の製造プロセス
を示す図であり、第2の電極層の上に第2の犠牲層を形
成した状態を示す図である。
【図9】図3に示す光スイッチング素子の製造プロセス
を示す図であり、第2の電極層の接続面をアニーリング
して面粗度を上げた状態を示す図である。
【図10】図3に示す光スイッチング素子の製造プロセ
スを示す図であり、第2の犠牲層の上に第1の樹脂層を
形成した状態を示す図である。
【図11】図3に示す光スイッチング素子の製造プロセ
スを示す図であり、第1の樹脂層の上に反射膜を形成し
た状態を示す図である。
【図12】図3に示す光スイッチング素子の製造プロセ
スを示す図であり、反射膜の上に第2の樹脂層を形成し
た状態を示す図である。
【図13】図3に示す光スイッチング素子の製造プロセ
スを示す図であり、樹脂層を分離した状態を示す図であ
る。
【図14】図3に示す光スイッチング素子の製造プロセ
スを示す図であり、犠牲層を除去した状態を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 光ガイド 2 照明光 3 光学素子部 4 マイクロプリズム 5 V型のサポート構造 6 アクチュエータ部 7 上電極およびばね構造 8 下電極 9 アンカー 10 光スイッチング素子 11 ポスト(支柱) 13 ディンプル 15 接続面(接触面) 20 半導体基板 32、34 犠牲層 35、36 樹脂層 46 反射膜

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ほぼミクロン単位の構造を備えた第1の
    構造層と、この第1の構造層に積層された第2の構造層
    とを有する微細構造体であって、前記第1の構造層の表
    面のうち、少なくとも前記第2の構造層が接する接続領
    域の表面の中心線平均粗さRaが0.02から0.2ミ
    クロンの範囲であることを特徴とする微細構造体。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記中心線平均粗さ
    Raが0.025から0.1ミクロンの範囲であること
    を特徴とする微細構造体。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記第2の構造層は
    光学素子がアレイ状に配置された層であり、前記第1の
    構造層は前記光学素子を駆動するアクチュエータがアレ
    イ状に配置された層である微細構造体。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記アクチュエータ
    は前記光学素子をこれらの構造層に対し垂直方向に移動
    することを特徴とする微細構造体。
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記アクチュエータ
    は静電アクチュエータである微細構造体。
  6. 【請求項6】 請求項5において、前記アクチュエータ
    はポリシリコン製である微細構造体。
  7. 【請求項7】 請求項3に記載の微細構造体であって、
    前記光学素子は、垂直方向に移動した第1の位置で光ガ
    イドの全反射面からエバネセント光を抽出し、そこから
    離れた第2の位置ではエバネセント光を抽出しない微細
    構造体を有する光スイッチングデバイス。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の光スイッチングデバイ
    スと、前記光ガイドとを有する光スイッチングユニッ
    ト。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の光スイッチングユニッ
    トと、前記光ガイドの画像を形成するための光を入出力
    する手段とを有する画像表示装置。
  10. 【請求項10】 ほぼミクロン単位の構造を備えた第1
    の構造層を製造する第1の工程と、 この第1の構造層に第2の構造層を積層する第2の工程
    と、 この第2の工程の前に、前記第1の構造層の表面のう
    ち、少なくとも前記第2の構造層が接する接続領域の表
    面を、その中心線平均粗さRaが0.02から0.2ミ
    クロンの範囲となるように加工する工程とを有する微細
    構造体の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項10において、前記加工する工
    程では、前記中心線平均粗さRaが0.025から0.
    1ミクロンの範囲にすることを特徴とする微細構造体の
    製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項10において、前記加工する工
    程は、前記第1の構造層をアニールする工程を備えてい
    ることを特徴とする微細構造体の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項12において、前記アニールす
    る工程では、前記第1の構造層を不活性気体中で高温に
    することを特徴とする微細構造体の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項12において、前記アニールす
    る工程では、少なくとも前記接続領域にレーザ光を照射
    することを特徴とする微細構造体の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項10において、前記加工する工
    程は、前記第1の構造層の少なくとも前記接続領域にイ
    オンあるいは原子を照射する工程を備えている微細構造
    体の製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項10において、前記第2の構造
    層は光学素子がアレイ状に配置された層であり、前記第
    1の構造層は前記光学素子を駆動するアクチュエータが
    アレイ状に配置された層である微細構造体の製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項16において、前記アクチュエ
    ータは前記光学素子をこれらの構造層に対し垂直方向に
    移動することを特徴とする微細構造体の製造方法。
  18. 【請求項18】 請求項16において、前記アクチュエ
    ータは静電アクチュエータである微細構造体の製造方
    法。
  19. 【請求項19】 請求項18において、前記アクチュエ
    ータはポリシリコン製である微細構造体の製造方法。
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