JP2001194598A - 微細構造体、映像デバイスおよびそれらの製造方法 - Google Patents

微細構造体、映像デバイスおよびそれらの製造方法

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JP2001194598A
JP2001194598A JP2000007017A JP2000007017A JP2001194598A JP 2001194598 A JP2001194598 A JP 2001194598A JP 2000007017 A JP2000007017 A JP 2000007017A JP 2000007017 A JP2000007017 A JP 2000007017A JP 2001194598 A JP2001194598 A JP 2001194598A
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microstructure
layer
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actuator
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Masatoshi Yonekubo
政敏 米窪
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マイクロアクチュエータの層に、マイクロ光
学素子の層を積層した構成の映像表示デバイスの歩留ま
りを向上する。 【解決手段】 半導体基板20の上にアクチュエータア
レイ層25を製造し、ガラス基板60の上に光学素子ア
レイ層65を別々に製造する。その後、それぞれの微細
構造層25および65の良品同士を接合し、アクチュエ
ータ6により光学素子3が駆動される映像表示デバイス
50を製造する。各々の微細構造層25および65を別
々の工程で製造し、良品同士によってデバイス50を製
造できるので歩留まりを向上できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、データプロジェク
タ、ビデオプロジェクタなどの映像投映装置あるいは画
像表示装置、それに適した微細構造を備えた映像表示デ
バイスなどの微細構造体およびその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】プロジェクタのライトバルブとして光を
オンオフ制御できる映像表示デバイスとしては、液晶を
用いたものが知られている。図17に、その概略構成を
示す。この光スイッチング素子900は、偏光板901
および908、ガラス板902および903、透明電極
904および905、液晶906および907より構成
され、透明電極間に電圧を印加することにより液晶分子
の方向を変えて偏向面を回転させ光スイッチングを行う
ものである。例えば、このような光スイッチング素子
(液晶セル)を2次元に並べて液晶パネルとして映像表
示デバイスあるいは画像表示デバイスを構成することが
可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この液晶を用いた複数
の光スイッチング素子からなる映像表示デバイスは、高
速応答特性が悪く、たかだか数ミリ秒程度の応答速度で
しか動作しない。このため、高速応答を要求されるよう
な高解像度の画像を表示する装置、さらには、光通信、
光演算、ホログラムメモリー等の光記録装置、光プリン
ターは、液晶デバイスでの実現は難しい。
【0004】そこで、上記のような用途に対応できる高
速動作可能な映像表示デバイスが求められており、ミク
ロンオーダあるいはさらに小さなサブミクロンオーダの
微細構造(マイクロストラクチャ)を備えた映像表示デ
バイスの開発が鋭意進められている。その1つは、マイ
クロミラーデバイスであり、ミラーをヨークで旋回可能
に支持し、ミラーの角度を変えて電気的または光学的な
入力に対応して入射光を変調して出射するようになって
いる。
【0005】また、反射機能あるいは透過機能を備えた
光学素子をアクチュエータで平行に動かして入射光を変
調することが可能であり、そのような原理に基づき映像
表示デバイスを構成することも可能である。本願出願人
が出願中の、光を全反射して伝達可能な導光部の全反射
面に対しスイッチング部の抽出面を接触させてエバネセ
ント光を抽出し、光学素子の1波長程度あるいはそれ以
下の微小な動きによって、高速で光を変調制御可能な映
像表示デバイスも、その1つである。
【0006】図1に、エバネセント光によるスイッチン
グを行う映像表示デバイスを用いた画像表示装置の一例
としてプロジェクタ80の概略を示してある。このプロ
ジェクタ80は、白色光源81と、この白色光源81か
らの光を3原色に分解して映像表示ユニット55の導光
板(光ガイド)1に入射させる回転色フィルタ82と、
各色の光を変調して出射する映像表示ユニット55と、
出射された光85を投映する投写用レンズ86とを備え
ている。そして、各色毎の変調された光85がスクリー
ン89に投写され、時間的に混色されることにより多諧
調のマルチカラーの画像が出力される。プロジェクタ8
0は、さらに、映像表示ユニット55および回転色フィ
ルタ82を制御してカラー画像を表示する制御回路84
を備えている。この制御回路84から画像表示ユニット
55を光ガイド1と共に構成する映像表示デバイス50
に対して、カラー画像を表示するためのデータφなどが
供給される。
【0007】このように図1に示したプロジェクタ80
は、光を全反射しながら伝達する光ガイド1に投影用の
光を供給する光源81などと共に光ガイド1から出射さ
れた光を投写するレンズ85などを備えた光を入出力す
る手段と、光ガイド1に供給された投映用の光を変調す
る映像表示デバイス50とを備えており、映像表示デバ
イス50により光ガイド1から漏出するエバネセント光
を制御して画像が表示される。
【0008】図2に、エバンセント波(エバネセント
光)を利用して光を変調する映像表示デバイス(エバネ
セント光スイッチングデバイス)の概要を示してある。
映像表示デバイス50は複数の光スイッチング素子(光
スイッチング機構)10が2次元に配列されたデバイス
であり、個々の光スイッチング素子10は、単体では導
入された光2を全反射して伝達可能な導光板(光ガイ
ド)1に接近および離反して光を変調可能な光学素子3
と、この光学素子部3を駆動するアクチュエータ6とを
備えている。そして、光学素子3の層およびアクチュエ
ータ6の層がアクチュエータ6を駆動する駆動回路およ
びデジタル記憶回路(記憶ユニット)が作りこまれた半
導体基板20の上に積層され、1つの映像表示デバイス
として集積化されている。
【0009】図2を参照してエバネセント光を利用した
本例の映像表示デバイス50についてさらに詳しく説明
しておく。個々の光スイッチング素子10をベースに説
明すると、図2の左側に示した光スイッチング素子10
aはオン状態であり、右側に示した光スイッチング素子
10bがオフ状態である。光学素子3は、導波路として
の機能を果たす導光板1の面(全反射面)1aに密着す
る面(接触面または抽出面)3aと、この面3aが全反
射面1aに密着したときに漏れ出たエバネセント波を抽
出して内部で導光板1に対しほほ垂直な方向に反射する
V字型の反射プリズム(マイクロプリズム)4と、この
V字型のプリズム4を支持するサポート構造5とを備え
ている。
【0010】アクチュエータ6は、光学素子3を静電駆
動できるようになっており、光学素子3のサポート構造
5が機械的に連結された上電極7と、この上電極7と対
峙した下電極8とを備えている。そして、下電極8と、
上電極7のアンカープレート9は半導体基板20の最上
面20aに積層されている。上電極7はアンカープレー
ト9から上方に伸びた支柱9aにより支持されており、
下電極8と上電極7との間に空間が形成されている。し
たがって、たとえば、プレート9を介して上電極7を接
地し、下電極8に対し駆動ユニット21から電位あるい
は電荷を加える(以降においては高電位)と上電極7が
下方に動き、これに連動して光学素子部3が導光板1か
ら離れる(第2の位置)。一方、上電極7は弾性部材と
しての機能を部分的に備えており、下電極8に記憶ユニ
ット21から加えられていた電位あるいは電荷が除去さ
れる、あるいは解除される(以降においては低電位)
と、下電極8から上電極7が離れ、上電極7の弾性によ
り光学素子部3が導光板1に密着する(第1の位置)。
【0011】図2に示したように、導光板1には光源か
ら照明光2が全反射面1aで全反射する角度で供給され
ており、その内部の全ての界面、すなわち、光学素子部
(光スイッチング部)3に面した側1aと、上方の面
(出射面)において光が繰り返し全反射し、導光板1の
内部が光線で満たされる。したがって、この状態で巨視
的には照明光2は導光板1の内部に閉じ込められ、その
中を損失なく伝播している。一方、微視的には、導光板
1の全反射している面1aの付近では、導光板1から光
の波長程度のごく僅かな距離だけ、照明光2が一度漏出
し、進路を変えて再び導光板1の内部に戻るという現象
が起きている。このように面1aから漏出した光を一般
にエバネッセント波と呼ぶ。このエバネッセント波は、
全反射面1aに光の波長程度またはそれ以下の距離で他
の光学部材を接近させることにより取り出すことができ
る。本例の光スイッチング素子10は、この現象を利用
して導光板1を伝達する光を高速で変調、すなわち、ス
イッチング(オンオフ)することを目的としてデザイン
されている。
【0012】したがって、光スイッチング素子10aで
は、光学素子3が導光板1の全反射面1aに接触した第
1の位置にあるので、光学素子3の面3aによりエバネ
セント波を抽出することができる。このため、光学素子
3のマイクロプリズム4で抽出した光2は角度が変えら
れて出射光2aとなる。そして、この出射光2aが図1
に示すプロジェクタ80の投映用の光85として利用さ
れる。一方、光スイッチング素子10bでは、駆動ユニ
ット21により上下電極7および8に極性の異なる電圧
が印加され、これらの電極7および8の間に働く静電力
により光学素子3が導光板1から離れた第2の位置に動
かされる。したがって、光学素子3によってエバネセン
ト波は抽出されず、光2は導光板1の内部から出ない。
【0013】エバネセント波を用いた光スイッチング素
子は単独でも光をスイッチングできる装置として機能す
るが、図2に示したように、これらを1次元あるいは2
次元方向、さらには3次元に並べて配置することができ
る構成になっている。特に2次元にマトリクスあるいは
アレイ状に並べて配置することにより、液晶あるいはD
MDと同様に平面的な画像を表示可能な映像デバイスあ
るいは画像表示ユニット35を提供することができる。
そして、エバネセント光を用いた映像表示デバイス50
では、光学素子3の移動距離がサブミクロンオーダとな
るので、液晶より1桁あるいはそれ以上応答速度の速い
光変調装置として利用でき、これを用いたプロジェクタ
50あるいは直視型の画像表示装置を提供することが可
能となる。さらに、エバネセント光を用いた光スイッチ
ング素子10は、サブミクロンオーダの動きで光をほぼ
100パーセントオンオフすることが可能であり、非常
にコントラストの高い画像を表現することができる。こ
のため、時間的な分解能を高くすることが容易であり、
高コントラストの画像表示装置を提供できる。
【0014】さらに、駆動回路などが作りこまれた半導
体集積基板20にアレイ状に配置されたアクチュエータ
6および光学素子3が積層された構成の映像表示デバイ
ス50を1チップで提供することが可能である。すなわ
ち、半導体基板21の上にアクチュエータ6および光学
素子3といったマイクロストラクチャが構築されたマイ
クロマシンあるいは集積化デバイスである映像表示デバ
イス50と光ガイド1とを組み立てることにより映像表
示ユニット50を供給でき、これを組み込むことにより
動作速度が速く高解像で、さらに、高コントラストの画
像を表示できるプロジェクタを提供できる。
【0015】また、図3に示すように、上電極7および
下電極8に加え、これらの間で動く中間電極51を設
け、この中間電極51に連動して光学素子3が駆動され
るような構成のアクチュエータ6を備えた映像表示デバ
イスも可能である。このエバネセント光を利用した映像
表示デバイス50は、アクチュエータ6の構成が複雑に
なるが低電圧で駆動できるというメリットを備えてい
る。この3層の電極を備えたアクチュエータを備えた映
像表示デバイスは、光学素子3が第1および第2の位置
のほぼ中間の状態が安定状態となるなどの制御上の相違
は若干あるが、アクチュエータによって光学素子を駆動
する構成は変わりない。さらに、電極を使用した静電ア
クチュエータの代わりに、ピエゾ素子を用いてアクチュ
エータを構成することも可能でありアクチュエータとし
てはいくつかのものが考えられている。したがって、以
下、本明細書では、簡単のため上下電極の静電駆動タイ
プのアクチュエータに基づき説明するが、アクチュエー
タの構成はこれに限定されるものではない。
【0016】エバネセント光を利用した映像表示デバイ
スは上記のように優れた特性を備えている。しかしなが
ら、この映像表示デバイスを実用化するためにはいくつ
かの解決すべき課題があり、その1つは、歩留まりの向
上と低コスト化である。すなわち、映像表示デバイスを
構成する個々の光スイッチング素子が画素を表示するの
で、欠陥があると画質が劣化する。したがって、画素欠
陥のない、あるいは少ない歩留まりの高い映像表示デバ
イスを製造することが重要となる。また、歩留まりを向
上することにより、画素欠陥のない製品を低コストで提
供するが可能となる。
【0017】しかしながら、エバネセント光を利用した
映像表示デバイスは、上述したようにアクチュエータの
層に光学素子の層が積層した構成になっており、アクチ
ュエータに欠陥がなくても光学素子に欠陥があると、そ
れが光スイッチング素子としては欠陥となってしまう。
すなわち、アクチュエータを製造するまでの過程の歩留
まりに、光学素子を製造する過程の歩留まりを乗算した
ものが製品の歩留まりとなってしまう。このため、マイ
クロ光学素子を作る過程で欠陥があると、駆動回路が作
りこまれた半導体基板およびその上にフォトリソグラフ
ィー技術などによって作られた微細構造のアクチュエー
タを備えた基板が無駄になってしまう。したがって、映
像表示デバイスを製造する工程において、光学素子を製
造する過程で欠陥が発生すると非常にコスト高になり、
光学素子を製造する工程の歩留まりが製品全体の歩留ま
りおよび製品コストに当れる影響が非常に大きい。
【0018】その一方で、微細構造の光学素子をアクチ
ュエータ上に製造するのでアクチュエータを製造するま
での過程における微細な寸法公差などの影響を受けやす
い。あるいはアクチュエータの機能上は影響がないもの
の、その上に微細構造を作り込む上では影響が現れる微
細な構造上の欠陥があると光学素子の欠陥として現れる
可能性がある。したがって、エバネセント光を利用した
映像表示デバイスのように、微細な構造層を積層したデ
バイスを歩留まり良く製造することは難しい問題であ
る。
【0019】そこで、本発明においては、上述したエバ
ネセント光を利用した映像表示デバイスのように、ミク
ロンオーダあるいはサブミクロンオーダなどの微細構造
が積層された微細構造体の歩留まりを飛躍的に向上する
ことができる製造方法を提供することを目的としてい
る。そして、欠陥の少ない高品質の映像表示デバイスを
低コストで提供し、プロジェクタなどの画像表示装置に
実際に適用可能とすることを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】このため、本発明におい
ては、微細構造層が積層された構成の構造体を、微細構
造層を積み重ねて製造するのではなく、別々に製造して
から接合するようにしている。すなわち、本発明の、第
1の微細構造層と、第2の微細構造層とを有する微細構
造体の製造方法においては、第1の微細構造層を第1の
基板上に製造する工程と、第2の微細構造層を第2の基
板上に製造する工程と、これら第1および第2の微細構
造層を接合する工程とを有する。本発明においては、第
1の微細構造層と、第2の微細構造層とを別々の基板上
に製造することにより、それぞれの微細構造層の欠陥の
ない部分、あるいは所定の欠陥率以下のものを選択して
接合して微細構造体とすることができる。したがって、
第1の微細構造の歩留まりと、第2の微細構造の歩留ま
りとを別々に管理することが可能であり、各々の工程の
歩留まりを乗算した結果が微細構造体の歩留まりとなる
のを避けることができる。
【0021】さらに、本発明においては、各々の微細構
造層を各々の基板上に製造することができるので、相互
の微細構造層の影響を受けずに微細構造層を製造するこ
とができる。したがって、本発明により各々の微細構造
層の歩留まりを向上することも可能となる。また、各々
の微細構造層を別々に製造するので、それぞれの微細構
造層の欠陥がない部分を組み合わせて微細構造体を製造
することが可能となる。したがって、欠陥が発生した場
合であってもロスを大幅に低減することができる。この
ように、本発明の製造方法により微細構造層が積層され
た微細構造体の歩留まりを大幅に向上することが可能と
なる。
【0022】第1または第2の基板は、第1および第2
の微細構造層を接合した後に剥離することも可能であ
る。さらに、剥離用の層を基板と微細構造層との間に設
けておくことも可能である。上述したエバンセント光を
利用した映像デバイスを製造する場合は、マイクロアク
チュエータが2次元に配置されたアクチュエータアレイ
層を第1の基板上に製造し、これと同時にあるいは前後
して、マイクロ光学素子が2次元に配置された光学素子
アレイ層を第2の基板上に製造し、これらアクチュエー
タアレイ層と光学素子アレイ層を接合し、さらに、第2
の基板を剥離するといった工程で製造することができ
る。
【0023】第1および第2の微細構造層は、接着剤、
直接接合または陽極接合により接合することが可能であ
る。このため、本発明に係る微細構造体は、第1の微細
構造層と、第2の微細構造層とを有し、これら第1およ
び第2の微細構造層が接着剤、直接接合または陽極接合
により接合されている。
【0024】上述したように、第1の微細構造層をマイ
クロアクチュエータとし、第2の微細構造層をマイクロ
光学素子とすることにより、光スイッチング素子を実現
する微細構造体を提供できる。特に、第1の微細構造層
はマイクロアクチュエータが2次元に配置されたアクチ
ュエータアレイ層とし、第2の微細構造層はマイクロ光
学素子が2次元に配置された光学素子アレイ層とするこ
とにより、映像表示デバイスを本発明の製造方法により
製造および提供できる。マイクロアクチュエータとして
静電アクチュエータを、また、マイクロ光学素子として
エバネセント光による光スイッチングを行うマイクロプ
リズムを採用すれば、エバネセント光を利用した映像表
示デバイスを極めて歩留まり良く低コストで製造および
提供することが可能となる。
【0025】このため、本発明の映像表示デバイスと、
この映像表示デバイスに対し表示用の光を入出力する手
段とを組み合わせることにより、エバネセント光を利用
した映像表示デバイスを実際に搭載したプロジェクタな
どの画像表示装置を提供することが可能となる。
【0026】第1および第2の微細構造層をパイレック
スとシリコンとで形成し、これらの間に電位を印加して
陽極接合したり、接合する界面をプラズマ照射すること
などによって活性化して直接接合することが可能であ
る。これらに対し、現状では一般的な方法は、接着剤を
塗布して第1および第2の微細構造層を接合することで
ある。このためには、第1および第2の微細構造層の少
なくともいずれかに、接合用の接着剤を部分的に塗布す
る構造を設けておくことが望ましい。たとえば、第1あ
るいは第2の微細構造層の接合部分を部分的に突起また
は凹みにすることができる。さらに、この接合する個所
にインクジェットヘッドにより接着剤を塗布するように
すれば、ミクロンオーダあるいはサブミクロンオーダの
構造の所定の場所に簡単に接着剤を塗布することができ
る。
【0027】さらに、上述したアクチュエータなどの微
細構造層はフォトリソグラフィー技法などを応用して製
造される。このため、第1および第2の微細構造層の少
なくともいずれかは製造後に除去される犠牲層を用いて
製造されるが、犠牲層は接合する工程の後に除去するこ
とが望ましい。犠牲層により微細構造層を保護できると
共に、接合するときにアクチュエータなどの微細構造層
を犠牲層で固定することが可能となり、接合精度を向上
することができる。また、犠牲層で所定の個所に凹みを
つくり、この部分を第1及び第2の微細構造層を接合す
るための接着剤を部分的に塗布する構造として利用する
ことも可能となる。
【0028】また、第1または第2の基板を剥離する工
程が控えている場合は、その後に犠牲層を除去すること
が望ましい。第1または第2の微細構造層に基板を剥離
する影響が及ぶのを防止することができる。
【0029】本発明の製造方法により、第1の微細構造
層はマイクロアクチュエータ、第2の微細構造層はマイ
クロ光学素子とすることにより映像表示デバイスを製造
することができる。その際、マイクロアクチュエータが
2次元に配置されたアクチュエータアレイ層であり、第
2の微細構造層はマイクロ光学素子が2次元に配置され
た光学素子アレイ層であるときは、第2の微細構造層を
製造する工程で光学素子アレイ層をマイクロ光学素子に
分離するところまで行っておくことが望ましい。接合し
た後の加工は、歩留まりを低下させ、コストアップの原
因となるので避けることが望ましく、第2の基板上で素
子分離を行うことが可能である。
【0030】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照しながら本発明
をさらに説明する。本発明の製造方法で上述したエバネ
セント光を利用した映像表示デバイス50を製造する際
は、アクチュエータ6までを基板20に製造する工程
と、光学素子3を製造する工程とを別々に行う。
【0031】まず、図4ないし図7に、アクチュエータ
6を製造する工程を示してある。図4に示すように、C
MOSが構成されている基板20の上面20aに電極層
(Al膜)31をディポジットする。次に、その電極層
31にパターニング41を行って、下電極8と、ばねお
よび上電極を兼ねた構造のアンカー部分9を形成する。
【0032】図5に示すように、電極層31の上に犠牲
層32をディポジットする。この犠牲層32はアモルフ
ァスシリコンで数十℃から百数十℃でディポジットで
き、下に存在する半導体基板20に形成されたCMOS
回路にダメージを与えることがない。その犠牲層32に
ストッパーの役目をするディンプル42を掘り、また、
ポストとなる部分をパターニング43する。
【0033】図6に示してあるように、犠牲層32の上
に、ばねと上電極を兼ねた構造7を形成する第2の構造
層となる第2の電極層(Al膜)33をディポジットす
る。さらに、電極層33をパターニングして上電極7お
よびポスト11を形成する。この段階で、アクチュエー
タ部6としての構造が半導体基板20の上に形成され
る。犠牲層と電極層を構成する材料の組み合わせは上記
に限定されるものではない。たとえば、アモルファスシ
リコンの代わりにポリイミドによって犠牲層を形成して
も良い。また、犠牲層として酸化シリコン、電極層とし
てポリシリコンを用いることも可能である。
【0034】図6に示した段階でアクチュエータ部6と
しての機能を果たす構造層(アクチュエータアレイ層)
25までが製造できたので、この段階で基板20の側の
製造を終了しても良い。しかしながら、本例において
は、さらに、アクチュエータ部6の上にマイクロ光学素
子3を接着剤で貼り付ける(接合する)ための接着剤を
塗布する凹みを第2の犠牲層により形成している。すな
わち、図7に示すように、第2の電極層33の上に第1
の犠牲層32と同じ物質で第2の犠牲層34としてディ
ポジットし、パターニングして塗布用の凹み44を形成
している。
【0035】図8ないし図11に、半導体基板20に対
し第2の基板となるガラス基板60の上に光学素子3を
製造する過程を示してある。図8に示すように、まず、
ガラス基板60の上に剥離用の膜61をデポジットし、
つぎに、フッ化系などの透明な樹脂36をV字型に成形
し、これらによりエバネセント光を上方に反射するマイ
クロプリズム4を形成する。マイクロプリズム4を成形
する方法としてはエッチング、レーザ光などを用いた光
造形などいくつかあるが、最も適切な方法は転写型を用
いた型成形である。そして、ガラス基板60の上に型成
形されたマイクロプリズム4のガラス基板に面した側が
エバネセント光を抽出する面35aとなる。
【0036】この型成形を用いた処理においては、特
に、成形用の樹脂として光硬化性(光重合性)の樹脂を
用い、紫外線などの光に対し透明な転写型を用いること
によりマイクロプリズムに適した形状を光硬化処理によ
り製造することができる。このような製造方法は2P(P
hoto‐polymer)法として公知であるので、詳しい説明
は省略する。また、剥離膜61は、樹脂36および基板
60として採用する材料あるいは成形方法により剥離が
容易であれば基板60とマイクロプリズムとの間に設け
る必要はない。
【0037】樹脂36が硬化し転写型をはずした後、図
9に示すように、マイクロプリズム4の底面となる部分
にアルミニウムを蒸着するなどの方法により反射膜46
をつける。
【0038】次に、図10に示すように、マイクロプリ
ズム4に重ねて樹脂35を塗布し、サポート構造5を製
造する。サポート構造5も、マイクロプリズム4と同様
に種々の方法で製造することが可能であるが、樹脂層3
5としてフッ化系の樹脂、あるいは光重合系の樹脂を用
いれば型成形(2P法も含む)により簡単に製造するこ
とができる。また、本例においては、サポート構造5の
上方の一部5aを突出した構造にし、この突出した部分
5aをアクチュエータ6の上部電極7に機械的に接合す
ることによりマイクロプリズムを駆動できる構造にして
いる。
【0039】図10に示した過程で光学素子3としての
機能を果たす構造層(光学素子アレイ層)65は製造で
きたので、図11では、映像デバイスあるいは画像表示
装置として用いる光スイッチング素子アレイの光学素子
となるように個々の画素を構成する個々のマイクロ光学
素子3を分離する。このため、個々のマイクロプリズム
4が分離するように、ガラス基板60の上に積層された
樹脂層35および36を垂直方向に桝目状にガラス基板
60が現れるまでプラズマエッチングなどにより掘る。
そして、光学素子3の間に隙間47を形成して分離す
る。
【0040】このようにして、半導体基板20の上に第
1の微細構造層であるアクチュエータアレイ層25が製
造され、ガラス基板60の上に第2の微細構造層である
光学素子アレイ層65が製造された。このため、図12
に示すように、第2の基板であるガラス基板60を反転
して第1の基板である半導体基板20の上に接合するこ
とによりアクチュエータアレイ層25の上に光学素子ア
レイ層65を積層する。この段階で、アクチュエータ6
により光学素子3を駆動するスイッチング素子としての
構造を半導体基板20の上に構築することができる。
【0041】本例の光スイッチング素子としてアクチュ
エータ6により光学素子3を駆動するためには、サポー
ト構造5を上電極7に機械的に接続する必要がある。こ
の方法もいくつか提唱することができる。1つの方法
は、陽極接合であり、剥離層61に伝導性の素材を使用
し、これを一方の電極として上電極7とサポート構造5
に電位を印加して接合することが可能である。現状、陽
極接合できる素材としてはパイレックスとシリコンが知
られている。このため、陽極接合により光学素子3を接
合するには、上電極7としてシリコン(ポリシリコン)
を用い、光学素子(サポート構造も含む)3としてパイ
レックスを用いることが望ましい。
【0042】また、直接接合によってサポート構造5を
上電極7に接合することも可能である。現状、直接接合
は同じ素材あるいは同質の素材間で行われており、接合
する界面をプラズマ照射して活性化した後に張り合わせ
ることが行われている。このため、上電極7がアルミニ
ウムの場合は、サポート構造5もアルミニウムにより製
造しておくことが望ましい。また、上電極7をシリコン
で製造するのであれば、サポート構造5もシリコンで製
造することができる。
【0043】材質などの限定を受けにくい接合方法とし
ては、接着剤を用いる方法があり、接合する個所に接着
剤71を塗布した後にアクチュエータアレイ層25と光
学素子アレイ層65とを接合することによりアクチュエ
ータ6と光学素子3とを機械的に接続することができ
る。接着剤71を所定の個所に塗布する方法としては、
図15または図16に示したように、インクジェットプ
リンタの技術を用いることが可能である。すなわち、イ
ンクジェットヘッド75によりアクチュエータアレイ層
25あるいは光学素子アレイ層65の所定の位置に接着
剤71を塗布することが望ましい。インクジェットヘッ
ド75は現状で数百DPI以上の分解能があり、本例の
映像表示デバイスにおいて各光学素子3あるいはアクチ
ュエータ6の各々に接着剤を塗布するのに十分な機能を
備えている。
【0044】さらに、塗布された接着剤71が所定の個
所から拡散してしまうのを防ぐことが望ましい。接着剤
71の効果が弱くなってしまう可能性があり、また、周
囲に広がると接合すべきもの以外のものが接着されてし
まい、その後の製造工程において障害となる可能性があ
る。このため、本例においては、アクチュエータアレイ
層25において、上電極7を成形した後に、さらに犠牲
層34を1層重ね、これによって塗布された接着剤71
を保持するための凹み44を形成している。この凹み4
4は、光学素子3のサポート構造5の突出した部分5a
と合致する形状となっており、この凹み44にサポート
構造5を差し込むことによって位置合わせする機能も備
えている。したがって、図15においては、アクチュエ
ータアレイ層25に桝目状に配置された凹み44に対
し、インクジェットヘッド75により接着剤71を液滴
状に吐出し、所定の位置に接着剤71を塗布している。
【0045】凹みに限らず、突出した部分もその位置に
接着剤71を塗布することにより周囲に広がるのを防止
することができる。したがって、図16に示すように、
アクチュエータアレイ層25の凹み44の代わりに、ガ
ラス基板60の上に製造された光学素子アレイ層65の
サポート構造5の突起部5aにインクジェットヘッド7
5により接着剤71を塗布するようにしてもよい。
【0046】このように、半導体基板20の上に製造さ
れたアクチュエータアレイ層25と、ガラス基板60の
上に製造された光学素子アレイ層65とを接着剤71あ
るいはその他の方法により接合し、接合強度が確保され
た後、図13に示すように、ガラス基板60を光学素子
アレイ層65から剥離する。この段階で、半導体基板2
0の上にアクチュエータアレイ層25に光学素子アレイ
層65が積層された微細構造体が製造される。
【0047】さらに、この状態では、まだ、犠牲層は共
に除去されていないので、図14において、ドライエッ
チングなどの方法により、隙間47を通して犠牲層32
および34を除去する。ここでは、犠牲層32および3
4を形成するアモルファスシリコンをドライエッチング
するためにフッ化キセノン(XeF2)ガス48が用い
られる。光学素子3をフッ化系の樹脂35および36で
構成すれば、光学素子3はFXeガスでは侵食されず、
シリコン製の犠牲層32および34は効率よくエッチン
グ除去される。また、電極を構成しているアルミニウム
もフッ化ガスでは侵食されない。したがって、フッ化ガ
スでエッチングすることにより、半導体基板20および
その上に構成される樹脂およびアルミニウムからなる微
細構造物に影響を与えることなくアモルファスシリコン
の犠牲層32および34を除去することができる。さら
に、フッ化ガスによりドライエッチングで除去するの
で、電極間などの狭い隙間なども吸着という問題を起こ
すことなく完全に犠牲層を除去することができ、電極間
に駆動用の空間12を確実に形成できる。したがって、
信頼性のあるアクチュエータ6を実現できる。
【0048】このようにして半導体基板20の上に微細
構造層であるアクチュエータ6および光学素子3が垂直
に積み重ねあわされた映像表示デバイス50が製造でき
る。したがって、この映像表示デバイス50と導光板1
とを組み合わせることにより図1および図2に基づき説
明したエバネセント光を利用した光スイッチング素子1
0の技術に基づく映像表示ユニット55およびプロジェ
クタなどの画像表示装置80を提供することができる。
さらに、本発明によりエバネセント光を利用したデバイ
ス(光スイッチング素子アレイ)を実際に量産可能な技
術を提供することことが可能となり、この光スイッチン
グ素子アレイは、映像デバイスあるいは画像形成装置に
限らず、光コンピュータ、光プリンタなどの多種多様な
装置に適用することが可能である。
【0049】以上のように、本例においては、第1の基
板である半導体基板20の上に第1の微細構造層として
アクチュエータ6としての機能を実現するアクチュエー
タアレイ層25を製造し、これとは別に、第2の基板で
あるガラス基板60の上に第2の微細構造層として光学
素子3としての機能を実現する光学素子アレイ層65を
製造している。そして、それぞれの基板上に製造された
アクチュエータアレイ層25と、光学素子アレイ層65
を接合し、その後、ガラス基板60を剥離することによ
り半導体基板20の上に微細構造層が積層された構造の
光スイッチング素子としての微細構造体を構築するよう
にしている。
【0050】このため、アクチュエータアレイ層25の
欠陥のない、あるいは欠陥率が所定の基準に達したも
の、またはそのような部分と、光学素子アレイ層65の
欠陥のない、あるいは欠陥率が所定の基準に達したも
の、またはそのような部分とを組み合わせることにより
映像表示デバイス50を製造することができる。すなわ
ち、本例の製造方法では、アクチュエータアレイ層25
と、光学素子アレイ層65とを別々の基板上に製造する
ことにより、アクチュエータ6と、光学素子3の良品同
士を使用できる。したがって、アクチュエータ6と、光
学素子3が積層した構造の映像表示デバイス50の歩留
まりを飛躍的に向上することができる。
【0051】特に、従来のアクチュエータ6に光学素子
3を積み重ねながら製造する方法では、製造コストは比
較的低い光学素子3を作りこむときに欠陥があると、上
部に微細構造のアクチュエータ6が製造された高価な半
導体基板20が無駄になってしまう。これに対し、本例
の製造方法では、光学素子3を製造するときに欠陥が発
生してもアクチュエータアレイ層25、さらにはそのア
クチュエータアレイ層25が上部に構築された高価な半
導体基板20を無駄にならない。したがって、半導体基
板上にミクロンオーダあるいはサブミクロンオーダの構
造物が成形され、製造コストが高価になりやすい映像表
示デバイスの製造コストを低減することが可能となる。
【0052】さらに、本発明の製造方法においては、ア
クチュエータアレイ層25および光学素子アレイ層25
といった各々の微細構造層を各々の基板上に製造するこ
とができる。したがって、相互の微細構造層の影響を受
けずに微細構造層を製造することができる。すなわち、
アクチュエータアレイ層25にマイクロマシンとしての
性能上は問題なくても、その上部にマイクロ光学素子を
製造する上では障害となるような欠陥があったとして
も、本例の製造方法では、マイクロ光学素子がマイクロ
マシンとは別工程で製造されるので、その影響を受けず
にすむ。したがって、この点でも、本例の製造方法によ
り微細構造層が積層された微細構造体の歩留まりを向上
でき、信頼性のさらに高い製品を提供することが可能と
なる。
【0053】また、本発明の製造方法においては、特に
接着剤を用いて接合すると、アクチュエータ6あるいは
光学素子3に多少の公差があった場合であっても、それ
らを接着剤71によって接合するときに接着剤71の厚
みの範囲内においてそのような公差を吸収し、いっそう
精度の高い製品を提供することも可能となる。
【0054】さらに、アクチュエータ6と、光学素子3
とを別々の工程により製造することができるので、それ
ぞれの部品(微細構造層)に対し最適な材料およびプロ
セスをそれぞれの部品を製造することができる。たとえ
ば、光学素子アレイ層65を素子分離する際に、アクチ
ュエータ6を構成する部品、たとえば梁や電極に影響を
与えるガスを用いてエッチングすることが可能となる。
したがって、相互に最適なプロセス設計が可能となり、
この点でも、製造コストを低減でき、より性能の高い製
品を提供することができる。
【0055】また、各々の微細構造層を別々に製造する
ので、それぞれの微細構造層の製造過程を各々管理する
ことが可能となる。したがって、これらの微細構造層を
同時に、あるいはシーケンシャルで製造する必要はな
く、いずれか一方の微細構造層を先行して製造してスト
ックしておくことも可能である。このため、本発明の製
造方法はフレキシブルなものであり、たとえば、ストッ
クした両基板あるいはその上の構造物の欠陥がない部分
を組み合わせて映像表示デバイスといった微細構造体を
製造することが可能となる。このように、本発明の製造
方法により製造工程のフレキシビリティーが増し、いず
れか一方の基板または微細構造層に欠陥が発生した場合
であっても全体としてのロスを大幅に低減することがで
きる。
【0056】このように、本例の製造方法は歩留まりを
大幅に改善できるのみならず、上記のようなさまざまな
メリットを備えている。そして、本例の製造方法による
製品はアクチュエータ6に光学素子3が積層された構成
であることは変わりなく、それらが順番に積み重ねられ
て製造されたか、別々に製造された後に接合されたかの
違いがあるだけである。したがって、上述したように性
能あるいは精度の向上が望めるという利点はあるが、先
に説明したアクチュエータ6の上に光学素子3をシーケ
ンシャルに積み重ねて製造した映像表示デバイスと機能
および性能が同様の映像表示デバイス50を本発明の製
造方法により製造し、提供することが可能である。
【0057】さらに、上記に開示した本例の製造方法に
おいては、インクジェットヘッドを用いて接着剤を塗布
することにより必要最小限の接着剤を必要な個所にのみ
配置することが可能となる。したがって、インクジェッ
トヘッドを用いることにより製造コストを下げられるの
みならず、品質も良好な映像表示デバイスを提供でき
る。
【0058】また、アクチュエータアレイ層25を製造
する際の犠牲層を基板60の光学素子アレイ層65と重
ね合わせ、さらに、基板60を剥離した後に除去するよ
うにしており、最終的な製品になるまで犠牲層によって
アクチュエータ6の構造を保護できるようにしている。
したがって、光学素子アレイ層65と接合するときにア
クチュエータが破損するなどの歩留まりの低下につなが
る危険を未然に防止することができる。
【0059】なお、本例では、上述したように、上下電
極を備えた静電型のマイクロアクチュエータによりマイ
クロ光学素子を駆動する光スイッチング素子がアレイ状
に配置された映像表示デバイス50を例に本発明を説明
している。しかしながら、本発明の対象となるものはこ
れに限定されることはなく、たとえば、中間電極を備え
たアクチュエータ、ピエゾ素子を用いたアクチュエータ
などの他の構成のアクチュエータを備えたデバイスにも
適用できる。また、エバネセント光をオンオフする光学
素子に代わり、アクチュエータにより上下に動くことで
反射方向を変えてスイッチングするような光学素子を備
えたデバイスも本発明の製造方法により製造することが
できる。もちろん、アクチュエータに駆動される対象は
光学素子に限定されることはなく、マイクロバルブなど
のように機械的に流体あるいは光などをオンオフするデ
バイスなどにも本発明の製造方法を適用することができ
る。
【0060】また、ミクロンオーダより大きな構造物を
製造する際にも本発明を適用することが可能であるが、
そのようなサイズの構造物になれば基板上に転写型ある
いはフォトリソグラフィー技法によって製造する要求は
少なくなり歩留まりの改善率はそれほど高くならないで
あろう。したがって、本発明はミクロンオーダ、あるい
はサブミクロンオーダさらにはそれより小さな微細構造
層を備えたデバイスの製造に適している。
【0061】また、本例では、アクチュエータ層と光学
素子層の2層が積層された構造の微細構造体(デバイ
ス)に基づき説明しているが、2層に限定されることは
なく、3層以上の微細構造層を備えた構造体を製造する
ことも可能である。このような構造の微細構造体におい
ては、いずれか一方の基板に2層を積み重ねて製造し、
他方の基板と接合する製造方法を採用することも可能で
ある。また、3層以上の微細構造層を3つ以上の基板に
それぞれ製造し、順次接合していく製造方法を採用する
ことも可能である。
【0062】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、複数の微細構造層を積層した構成の微細構造体を製
造する際に、複数の基板上に微細構造層を別々のプロセ
スにより製造し、それらを検査した後に接合する製造方
法およびその製造方法により製造される微細構造体を提
供している。したがって、各々のプロセスにより製造さ
れた良品の微細構造層同士を接合して最終製品にするこ
とができるので、最終製品の歩留まりを向上することが
できる。さらに、各々のプロセスにより製造される微細
構造層を製造することにより、良品の上に他の微細構造
層を製造した際に生じた欠陥によって良品が無駄になる
事態も防止できる。したがって、本発明により品質の高
い微細構造体を低コストで提供することが可能となる。
【0063】本発明は本願出願人が鋭意開発を進めてい
るエバネセント光を利用した映像表示デバイスに適用す
ることが可能である。したがって、本発明により低コス
トで品質の良い、エバネセント光をりようした映像表示
デバイス、およびこの映像表示デバイスを用いたプロジ
ェクタなどの画像表示装置を提供することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】エバネセント光を利用した映像表示デバイスを
用いたプロジェクタの概要示す図である。
【図2】エバネセント光を利用した映像表示デバイスの
概要を示す図である。
【図3】エバネセント光を利用した映像表示デバイスの
異なる例を示す図である。
【図4】半導体基板の上にアクチュエータを製造するプ
ロセスを示す図であり、第1の電極層を形成した状態を
示す図である。
【図5】半導体基板の上にアクチュエータを製造するプ
ロセスを示す図であり、第1の電極層の上に第1の犠牲
層を形成した状態を示す図である。
【図6】半導体基板の上にアクチュエータを製造するプ
ロセスを示す図であり、第1の犠牲層の上に第2の電極
層(ばね層)を形成した状態を示す図である。
【図7】半導体基板の上にアクチュエータを製造するプ
ロセスを示す図であり、第2の電極層の上に第2の犠牲
層を形成した状態を示す図である。
【図8】ガラス基板上に光学素子を製造するプロセスを
示す図であり、マイクロプリズムを成形した状態を示す
図である。
【図9】ガラス基板上に光学素子を製造するプロセスを
示す図であり、マイクロプリズムに反射層を成形した状
態を示す図である。
【図10】ガラス基板上に光学素子を製造するプロセス
を示す図であり、サポート構造を成形した状態を示す図
である。
【図11】ガラス基板上に光学素子を製造するプロセス
を示す図であり、光学素子を分離した状態を示す図であ
る。
【図12】半導体基板上に製造したアクチュエータアレ
イ層に、ガラス基板上に製造した光学素子アレイ層を接
合する様子を示す図である。
【図13】接合した後にガラス基板を剥離する様子を示
す図である。
【図14】犠牲層を除去する様子を示す図である。
【図15】インクジェットヘッドによりアクチュエータ
アレイ層に接着剤を塗布する様子を示す図である。
【図16】インクジェットヘッドにより光学素子アレイ
層に接着剤を塗布する様子を示す図である。
【図17】従来の液晶を用いた映像表示デバイスを示す
図である。
【符号の説明】
1 導光板 2 照明光 3 光学素子 4 マイクロプリズム 5 V型のサポート構造 6 アクチュエータ 7 上電極およびばね構造 8 下電極 9 アンカー 10 光スイッチング素子 11 ポスト(支柱) 20 半導体基板 25 アクチュエータアレイ層 32、34 犠牲層 50 映像表示デバイス 55 映像表示ユニット 60 ガラス基板 65 光学素子アレイ層 71 接着剤 75 インクジェットヘッド 80 プロジェクタ

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の微細構造層と、第2の微細構造層
    とを有する微細構造体の製造方法であって、 前記第1の微細構造層を第1の基板上に製造する工程
    と、 前記第2の微細構造層を第2の基板上に製造する工程
    と、 これら第1および第2の微細構造層を接合する工程とを
    有する微細構造体の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記第1および第2
    の微細構造層を接合した後に前記第1または第2の基板
    を剥離する工程を有する微細構造体の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記第1の微細構造
    層と第1の基板、または第2の微細構造層と第2の基板
    の間に剥離用の層を製造する工程を有する微細構造体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1において、前記第1および第2
    の微細構造層を接着剤、直接接合または陽極接合により
    接合することを特徴とする微細構造体の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1において、前記第1および第2
    の微細構造層の少なくともいずれかは、接合用の接着剤
    を部分的に塗布する構造を有する微細構造体の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項5において、部分的に塗布する構
    造は突起または凹みであることを特徴とする微細構造体
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1において、接合する工程の前
    に、前記第1または第2の微細構造層の所定の個所にイ
    ンクジェットヘッドにより接着剤を塗布する工程を有す
    る微細構造体の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1において、前記第1および第2
    の微細構造層の少なくともいずれかは製造後に除去され
    る犠牲層を用いて製造され、前記接合する工程の後に犠
    牲層を除去する工程を有する微細構造体の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項8において、前記第1の微細構造
    層を製造する工程および前記第2の微細構造層を製造す
    る工程のいずれかにおいて、前記犠牲層により前記第1
    及び第2の微細構造層を接合するための接着剤を部分的
    に塗布する構造を成形することを特徴とする微細構造体
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項9において、前記接着剤を部分
    的に塗布する構造は凹みであることを特徴とする微細構
    造体の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項8において、前記第1または第
    2の基板を剥離する工程を有し、前記犠牲層を除去する
    工程は前記剥離する工程の後に行う微細構造体の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 請求項1において、前記第1の微細構
    造層はマイクロアクチュエータであり、前記第2の微細
    構造層はマイクロ光学素子である微細構造体の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 請求項1において、前記第1の微細構
    造層はマイクロアクチュエータが2次元に配置されたア
    クチュエータアレイ層であり、前記第2の微細構造層は
    マイクロ光学素子が2次元に配置された光学素子アレイ
    層である微細構造体の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項13において、前記第2の微細
    構造層を製造する工程は、前記光学素子アレイ層をマイ
    クロ光学素子に分離する工程を備えている微細構造体の
    製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項13において、前記マイクロア
    クチュエータは静電アクチュエータであり、前記マイク
    ロ光学素子はエバネセント光による光スイッチングを行
    うマイクロプリズムである微細構造体の製造方法。
  16. 【請求項16】 マイクロアクチュエータが2次元に配
    置されたアクチュエータアレイ層を第1の基板上に製造
    する工程と、 マイクロ光学素子が2次元に配置された光学素子アレイ
    層を第2の基板上に製造する工程と、 これらアクチュエータアレイ層と光学素子アレイ層を接
    合する工程と、 第2の基板を剥離する工程とを有する映像表示デバイス
    の製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項16において、前記マイクロア
    クチュエータは静電アクチュエータであり、前記マイク
    ロ光学素子はエバネセント光による光スイッチングを行
    うマイクロプリズムである映像表示デバイスの製造方
    法。
  18. 【請求項18】 第1の微細構造層と、第2の微細構造
    層とを有し、これら第1および第2の微細構造層が接着
    剤、直接接合または陽極接合により接合されている微細
    構造体。
  19. 【請求項19】 請求項18において、前記第1および
    第2の微細構造層の少なくともいずれかは、接合用の接
    着剤を部分的に塗布する構造を有する微細構造体。
  20. 【請求項20】 請求項19において、部分的に塗布す
    る構造は突起または凹みであることを特徴とする微細構
    造体の製造方法。
  21. 【請求項21】 請求項20において、前記第1の微細
    構造層はマイクロアクチュエータであり、前記第2の微
    細構造層はマイクロ光学素子である微細構造体。
  22. 【請求項22】 請求項20において、前記第1の微細
    構造層はマイクロアクチュエータが2次元に配置された
    アクチュエータアレイ層であり、前記第2の微細構造層
    はマイクロ光学素子が2次元に配置された光学素子アレ
    イ層である微細構造体。
  23. 【請求項23】 請求項22において、前記マイクロア
    クチュエータは静電アクチュエータであり、前記マイク
    ロ光学素子はエバネセント光による光スイッチングを行
    うマイクロプリズムである微細構造体。
  24. 【請求項24】 請求項22または23に記載の微細構
    造体と、 前記アクチュエータを駆動する回路とを有する映像表示
    デバイス。
  25. 【請求項25】 請求項24に記載の映像表示デバイス
    と、この映像表示デバイスに対し表示用の光を入出力す
    る手段とを有する画像表示装置。
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