JP2003261756A - 耐熱性の改善された生分解性樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
耐熱性の改善された生分解性樹脂組成物及び成形体Info
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Abstract
脂組成物を提供する。 【解決手段】 融点が160℃以上またはD体含有量が
2質量%以下のポリ乳酸を50質量部以上含有する生分
解性ポリエステル系樹脂100質量部と、層間に1級な
いし3級アミン塩、4級アンモニウム塩、またはホスホ
ニウム塩を有する層状珪酸塩1〜20質量部とからな
り、荷重0.98MPaにおける熱変形温度が90℃以
上であることを特徴とする生分解性樹脂組成物。
Description
する生分解性ポリエステル系樹脂と層状珪酸塩とからな
り、耐熱性及び機械的特性に優れた生分解性樹脂組成物
に関するものである。
じめとする生分解性樹脂が注目されている。特に食品包
装分野や農業資材分野ではその有用性が高まっている。
生分解性樹脂の中でもポリ乳酸は最も耐熱性が高い樹脂
の1つであり、かつ再生可能な植物資源から製造でき、
大量生産も可能なためコストも安く、最も有用性が高
い。しかしながら、既存のポリプロピレンやポリエチレ
ンテレフタレート等の非生分解性の汎用樹脂に比べる
と、ポリ乳酸は硬くて脆いこと及び耐熱性が劣るという
欠点を有しており、用途が限定されてきた。特に耐熱性
の改善については、それにより様々な用途展開が可能な
ことから産業界からも強く要望されてきた。
タルク、マイカ、ガラス繊維等の無機充填剤の添加が行
われているが、無機充填剤は多量に添加しないと効果が
発現しにくく、樹脂自身の透明性がそこなわれるばかり
でなく、比重増加につながるという問題があった。これ
に対してモンモリロナイトや合成フッ素雲母等の膨潤性
層状珪酸塩を樹脂中にナノレベルで分散させると、少量
の添加で物性が飛躍的に高まることが知られており、ポ
リアミド樹脂や芳香族ポリエステル系樹脂に適用されて
きた。しかしながら生分解性を有する脂肪族ポリエステ
ル樹脂やポリ乳酸については、近年までこの手法の有用
性は検討されていなかった。
報には、脂肪族ポリエステルと有機化された層状珪酸塩
からなる組成物、およびこれらより得られるフィルムに
関する技術が開示されているが、ポリ乳酸樹脂について
は実際には全く検討されていない。また、特開2001
−89646号公報には、生分解性樹脂と有機化された
層状珪酸塩からなる組成物が開示されているが、実際に
は160℃でも成形可能な低融点タイプのポリ乳酸を使
用しているのみであり、得られる樹脂組成物の耐熱性は
低いものであった。本出願人らは先に特願2001−1
72804、特願2001−270434、特願200
1−278096号において、ポリ乳酸を主体とする生
分解性樹脂/層状珪酸塩複合体に関する発明を出願した
が、この場合も耐熱性は必ずしも十分ではなかった。耐
熱性は熱変形温度で評価することができるが、樹脂/層
状珪酸塩の相互作用が弱いと変形が起こりやすく、ポリ
アミド系樹脂と比較して極性の低いポリエステル系樹脂
ではこの傾向は強かった。
高め界面剥離強度を高める方法として、シランカップリ
ング剤の添加が有効であることが従来知られており(特
開昭51−24653号、特開昭51−24654号公
報)、樹脂の機械的物性向上のために用いられてきた。
また特公平7−23211号公報にはシラン処理ベント
ナイトに関する技術も開示されている。しかしながらこ
れらの系ではナノオーダーレベルでの分散ができないた
め、多量に添加しても物性の向上が不十分であった。
が可能な膨潤性の層状珪酸塩と樹脂との相互作用を高め
る方法として、特開平3−62846号公報には相溶化
剤を用いる方法、特開平8−333114号公報には極
性基含有ゲスト分子を用いる方法、特開平10−259
017号公報には官能基含有表面処理剤を用いる方法
が、また特開平11−181309号公報には官能基含
有ポリマー及び架橋剤を用いる方法がそれぞれ開示され
ている。しかしながら、生分解性ポリエステル系樹脂に
ついては、このような官能基含有化合物を添加して樹脂
/層状珪酸塩界面の接着性を高める試みはこれまでなさ
れていなかった。
点を解決しようとするものであり、耐熱性及び機械的特
性に優れた生分解性樹脂組成物を提供することにある。
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のポリ乳
酸を主体とした生分解性ポリエステル系樹脂と層状珪酸
塩の複合化によって、荷重0.98MPaでの熱変形温
度が顕著に向上することを見いだした。また層状珪酸塩
及び樹脂、さらにはアンモニウム塩中に含有される水酸
基の反応性を利用することで樹脂/層状珪酸塩の界面相
互作用を強化し、耐熱性及び機械的特性をさらに改善で
きることを見いだし、本発明に到達した。
る。 (1)融点が160℃以上またはD体含有量が2質量%
以下のポリ乳酸を50質量部以上含有する生分解性ポリ
エステル系樹脂100質量部と、層間に1級ないし3級
アミン塩、4級アンモニウム塩、またはホスホニウム塩
を有する層状珪酸塩1〜20質量部とからなり、荷重
0.98MPaにおける熱変形温度が90℃以上である
ことを特徴とする生分解性樹脂組成物。 (2)1級ないし3級アミン塩、4級アンモニウム塩、
またはホスホニウム塩が、水酸基を含有することを特徴
とする(1)記載の生分解性樹脂組成物。 (3)エポキシ、イソシアネート、酸無水物、及びアル
コキシシランよりなる群から選ばれた官能基を少なくと
も1単位以上含有する反応性化合物を、生分解性ポリエ
ステル系樹脂100質量部に対して0.01〜2質量部
含有することを特徴とする(1)または(2)記載の生
分解性樹脂組成物。 (4)アミド基含有化合物、オキサゾリン基含有化合
物、またはω末端アミノカルボン酸を、生分解性ポリエ
ステル系樹脂100質量部に対してアミド基に換算して
0.01〜2質量部含有することを特徴とする(1)〜
(3)のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物。 (5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の生分解性
樹脂組成物を、押出成形、真空及び/または圧空成形、
射出成形、ブロー成形、並びに発泡成形のいずれかの方
法によって成形してなる生分解性樹脂成形体。
本発明の生分解性樹脂組成物を構成する生分解性ポリエ
ステル系樹脂としては、融点が160℃以上またはD体
含有量が2%以下のポリ乳酸を50質量部以上含有して
いる必要がある。このポリ乳酸の含有量は、好ましくは
80質量部以上、さらに好ましくは90質量部以上であ
る。融点が160℃以上またはD体含有量が2%以下の
ポリ乳酸含有量が50質量部未満では、得られる生分解
性樹脂組成物の耐熱性や機械的特性が劣る。
樹脂の190℃、荷重21.2Nにおけるメルトフロー
レート(MFR)は0.1〜50g/10分であること
が好ましく、より好ましくは0.2〜20g/10分、
さらに好ましくは0.5〜10g/10分である。MF
Rが50g/10分を超える場合は、溶融粘度が低すぎ
て成形体の機械的特性や耐熱性が劣る。MFRが0.1
g/10分未満の場合は成形加工時の負荷が高くなりす
ぎ操業性が低下する場合がある。
樹脂は通常公知の溶融重合法で、あるいはさらに固相重
合法を併用して製造される。また生分解性ポリエステル
系樹脂のメルトフローレートを所定の範囲に調節する方
法として、メルトフローレートが大きすぎる場合は、少
量の鎖長延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、ビ
スオキサゾリン化合物、エポキシ化合物、酸無水物等を
用いて樹脂の分子量を増大させる方法が挙げられる。逆
に、メルトフローレートが小さすぎる場合はメルトフロ
ーレートの大きな生分解性ポリエステル系樹脂や低分子
量化合物と混合する方法が挙げられる。
脂には、ポリ乳酸の耐熱性や機械的特性を大幅に損ねる
ことのない範囲で、必要に応じてその他の生分解性樹脂
成分を共重合ないしは混合することもできる。その他の
生分解性樹脂としては、ポリ(エチレンサクシネー
ト)、ポリ(ブチレンサクシネート)、ポリ(ブチレン
サクシネート−co−ブチレンアジペート)等に代表さ
れるジオールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステ
ル、ポリ(グリコール酸)、ポリ(3−ヒドロキシ酪
酸)、ポリ(3−ヒドロキシ吉草酸)、ポリ(3−ヒド
ロキシカプロン酸)等のポリヒドロキシカルボン酸、ポ
リ(ε−カプロラクトン)やポリ(δ−バレロラクト
ン)に代表されるポリ(ω−ヒドロキシアルカノエー
ト)、さらに芳香族成分を含んでいても生分解性を示す
ポリ(ブチレンサクシネート−co−ブチレンテレフタ
レート)やポリ(ブチレンアジペート−co−ブチレン
テレフタレート)の他、ポリエステルアミド、ポリエス
テルカーボネート、ポリケトン、澱粉等の多糖類等が挙
げられる。
膨潤性層状粘土鉱物であり、具体的には、スメクタイ
ト、バーミキュライト、および膨潤性フッ素雲母等が挙
げられる。スメクタイトの例としては、モンモリロナイ
ト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイトが挙げら
れる。膨潤性フッ素雲母の例としては、Na型フッ素四
ケイ素雲母、Na型テニオライト、Li型テニオライト
等が挙げられ、また上記の他に、カネマイト、マカタイ
ト、マガディアイト、ケニアイト等のアルミニウムやマ
グネシウムを含まない層状珪酸塩を使用することもでき
る。天然品以外に合成品でもよく、合成方法としては、
溶融法、インターカレーション法、水熱法等が挙げられ
るが、いずれの方法であってもよい。
ル系樹脂100質量部に対して1〜20質量部、好まし
くは2〜10質量部である。1質量部未満では本発明の
目的とする、耐熱性や機械的特性等の改良効果が小さ
く、20質量部を超える場合には樹脂中への微分散が困
難となり、靭性が大きく低下するので好ましくない。
カチオンを含有していることが必要である。層状珪酸塩
が有機カチオンを含有しない場合、層間への生分解性ポ
リエステル樹脂の挿入あるいは層間剥離が困難となり、
目的とする耐熱性や機械的強度が得られない。有機カチ
オンとしては、1級ないし3級アミン塩、4級アンモニ
ウム塩、ホスホニウム塩等が挙げられる。有機カチオン
を構成するアルキル基の炭素数の合計は8以上であるこ
とが好ましく、さらに少なくとも1つのアルキル基の炭
素数が8以上であることが好ましい。炭素数の合計が8
未満では、生分解性樹脂組成物との相溶性が低く、良好
な分散性が得られにくい。有機カチオンの具体例として
は、1級アミン塩では、オクチルアミン、ドデシルアミ
ン、オクタデシルアミン等の塩が挙げられる。2級アミ
ン塩としては、ジオクチルアミン、メチルオクタデシル
アミン、ジオクタデシルアミン等の塩が挙げられる。3
級アミン塩としては、トリオクチルアミン、ジメチルド
デシルアミン、ジドデシルモノメチルアミン等の塩が挙
げられる。4級アンモニウムイオンとしては、テトラブ
チルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウ
ム、ジオクタデシルジメチルアンモニウム、ジヒドロキ
シエチルオクタデシルメチルアンモニウム、ビス(ポリ
エチレングリコール)ドデシルメチルアンモニウム、メ
チルジエチル(ポリプロピレングリコール)アンモニウ
ム、ジパーム油脂肪酸アルキルジメチルアンモニウム、
ジパーム油脂肪酸アルキルヒドロキシエチルメチルアン
モニウム、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシ
プロピルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。さら
に、ホスホニウムイオンとしては、テトラエチルホスホ
ニウム、テトラブチルホスホニウム、ヘキサデシルトリ
ブチルホスホニウム、テトラキス(ヒドロキシメチル)
ホスホニウム、2−ヒドロキシエチルトリフェニルホス
ホニウム等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用
してもよいが2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお有機カチオンとしては、牛脂、豚脂等の動物性油
脂、パーム油、ヤシ油等の植物性油脂等の天然油脂脂肪
酸由来のアルキル基を導入した有機カチオンを好適に用
いることができる。
チルオクタデシルメチルアンモニウム、ビス(ポリエチ
レングリコール)ドデシルメチルアンモニウム、2−ヒ
ドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチ
ルアンモニウム等の水酸基を含有する有機カチオンは樹
脂との相互作用を強化する意味で特に好適に用いられ
る。
有させる方法としては、まず層状珪酸塩を水または極性
有機溶媒中に分散させ、ここへ上記有機カチオンを塩の
形で添加して撹拌混合することにより、層状珪酸塩の無
機イオンを有機カチオンとイオン交換させた後、濾別・
洗浄・乾燥する方法が挙げられる。
物は、荷重0.98MPaにおける熱変形温度が90℃
以上であることが必要であり、100℃以上であること
がより好ましく、110℃以上であることがさらに好ま
しい。熱変形温度が90℃未満では耐熱性が低く、例え
ば食品容器として用いた場合に電子レンジ等での使用が
きわめて限定されるために好ましくない。
常に重要な意味を持っている。JIS規格K−7207
で規定される荷重たわみ温度(熱変形温度)の評価にお
いては、荷重として0.45MPaと1.81MPaの
2つが用いられている。先に本発明者らは特願2001
−270434号において、荷重0.45MPaでの熱
変形温度が100℃以上の、ポリ乳酸に代表される生分
解性ポリエステル系樹脂組成物に関する技術を開示した
が、荷重0.45MPaでの熱変形温度はほとんど樹脂
の溶融開始温度に影響され、耐熱性が低いとされるポリ
乳酸単独でも比較的高い熱変形温度を示し、実用的な指
標とは言えなかった。他方、荷重1.81MPaで測定
したポリ乳酸の熱変形温度はガラス転移温度の影響を受
け、実用的に問題のない場合でも低い値をとる場合があ
るため、指標としては必ずしも妥当でないことが判明し
た。本発明者らは中間の荷重0.98MPaで測定した
熱変形温度が実用的な指標となりうることを見いだし、
生分解性ポリエステル系樹脂と層状珪酸塩との複合化、
とくに官能基を含有させた場合の複合化により、該熱変
形温度が顕著に向上することを見いだした。
シ、イソシアネート、酸無水物、及びアルコキシシラン
よりなる群から選ばれた官能基を少なくとも1単位以上
含有する反応性化合物を、生分解性ポリエステル系樹脂
100質量部に対して0.01〜2質量部含有すること
が好ましい。反応性化合物を含有すると生分解性ポリエ
ステル系樹脂と層状珪酸塩との相互作用が強化され、生
分解性ポリエステル系樹脂の耐熱性が向上する。すなわ
ち、樹脂末端に存在する水酸基またはカルボキシル基
と、層状珪酸塩自身の表面または有機カチオンに存在す
る水酸基とが、反応性化合物により共有結合で結びつけ
られ、生分解性ポリエステル系樹脂/層状珪酸塩複合体
の物性が向上する。なお、反応性化合物中にこれらの官
能基は少なくとも1単位以上必要であり、2単位以上含
有することがより好ましい。
有する化合物としては、グリシジルメタクリレート−メ
チルメタクリレート共重合体、グリシジルメタクリレー
ト−スチレン共重合体、ポリエチレングリコールジグリ
シジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジ
ルエーテル、ヤシ脂肪酸グリシジルエステル、エポキシ
化大豆油、エポキシ化アマニ油等の各種グリシジルエー
テル及び各種グリシジルエステル等が挙げられる。
しては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジ
イソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等
が挙げられる。
トリメリット酸、無水ピロメリット酸、エチレン−無水
マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル−無水マレ
イン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等
が挙げられる。
は、各種のアルキルトリアルコキシシランが用いられ
る。アルコキシ基としてはメトキシ基やエトキシ基が好
適に用いられ、アルキル基としてはグリシジル基やイソ
シアネート基で置換されているものが好適に用いられ
る。具体的には、グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、イソ
シアネートプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキ
シプロピルメチルトリメトキシシラン、アクリロキシプ
ロピルメチルトリメトキシシラン、及びこれらが脱水縮
合したオリゴマー等が挙げられる。
に含有させる方法としては、予め樹脂と混合して反応さ
せる方法、予め層状珪酸塩と湿式または乾式で混合して
反応させる方法、あるいは樹脂及び層状珪酸塩と同時に
混合して反応させる方法のいずれの方法を用いてもよ
い。またアルコキシシランを溶融混練時に添加する場合
には、反応によって生成するアルコールをベント口より
減圧下で除去することが好ましい。
性化合物の含有量としては、生分解性ポリエステル系樹
脂100質量部に対して0.01〜2質量部であること
が必要であり、より好ましくは0.05〜1質量部であ
り、さらに好ましくは0.1〜0.5質量部である。含
有量が0.01質量部未満では物性の改善効果が小さ
く、含有量が2質量部を超えると生分解性が損なわれた
り、場合によっては架橋反応が進行しすぎて成形加工困
難になるため好ましくない。
状珪酸塩の相互作用を高めるために、アミド基を含有す
ることが好ましい。アミド基を導入する方法としては、
ポリ乳酸と相溶性のあるアミド基含有化合物を添加する
方法、オキサゾリン基含有化合物またはω末端アミノカ
ルボン酸を添加して、生分解性ポリエステル系樹脂との
反応によりアミド基を形成させる方法等がある。アミド
基含有化合物としては、ε−カプロラクタム及びその環
状または直鎖状オリゴマー、L−乳酸/ε−カプロラク
タム共重合体、脂肪族ジオール/脂肪族ジカルボン酸/
ε−カプロラクタム共重合体、ε−カプロラクトン/ε
−カプロラクタム共重合体等の生分解性ポリエステルア
ミド、生分解性ポリエステル系樹脂の分子末端または分
子鎖の一部に少なくとも1単位のアミド基を含有する化
合物等が挙げられる。またオキサゾリン基含有化合物と
しては、2−メチル−2−オキサゾリン、2−フェニル
−2−オキサゾリン、4,4−ジメチル−2−オキサゾ
リン等のモノオキサゾリン、また2,2’−ビス(2−
オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−
オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−
オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサ
ゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサ
ゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサ
ゾリン)、2,2’−シクロヘキシレンビス(2−オキ
サゾリン)等のビスオキサゾリン、さらにはオキサゾリ
ン基含有ポリスチレン等の多官能オキサゾリン化合物を
例示することができるが、特にビスオキサゾリンや多官
能オキサゾリン化合物が好適に用いられる。さらにω末
端アミノカルボン酸としては、アミノカプロン酸、アミ
ノドデカン酸等が挙げられる。
含有化合物、またはω末端アミノカルボン酸の含有量と
しては、生分解性ポリエステル系樹脂100質量部に対
して、アミド基に換算して0.01〜2質量部であるこ
とが必要であり、より好ましくは0.05〜1質量部で
あり、さらに好ましくは0.1〜0.5質量部である。
含有量が0.01質量部未満では物性の改善効果が小さ
く、含有量が2質量部を超えると生分解性が低下したり
するため好ましくない。
ポリエステル系樹脂と層状珪酸塩の分散性をさらに向上
させるために相溶化剤を含有してもよい。相溶化剤とし
ては、生分解性ポリエステル系樹脂および層状珪酸塩の
双方と親和性があり、沸点が250℃以上、かつ数平均
分子量が200〜50,000であるポリアルキレンオ
キシド、脂肪族ポリエステルおよびその重合体、多価ア
ルコールエステル、多価カルボン酸エステル等の化合物
が挙げられる。
テル系樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部、
好ましくは0.02〜2質量部である。含有量が0.0
1質量部未満では相溶効果が少なく、5質量部を超える
と生分解性樹脂組成物の耐熱性や機械的特性が著しく低
下する。相溶化剤を樹脂組成物に含有させる方法として
は、予め層状珪酸塩に直接相溶化剤を含浸処理させる方
法、水または有機溶剤存在下で相溶化剤を撹拌下で混合
した後に水または有機溶剤を除去する方法、生分解性ポ
リエステル系樹脂と層状珪酸塩の溶融混錬時に添加する
方法、生分解性ポリエステル系樹脂の合成時に層状珪酸
塩と共に添加する方法等が挙げられるが、予め層状珪酸
塩に混合処理しておく方法が好ましく用いられる。
を大きく損なわない限りにおいて、顔料、熱安定剤、酸
化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯
電防止剤、充填材等を添加することも可能である。熱安
定剤や酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノー
ル類、フォスファイト等のリン化合物、ヒンダードアミ
ン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン
化物あるいはこれらの混合物を使用することができる。
無機充填材としては、マイカ、タルク、炭酸カルシウ
ム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸
化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリ
ウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウ
ム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラ
ック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイ
ドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミッ
クウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラフ
ァイト、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。有機充
填材としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おか
ら、モミ殻、フスマ等の天然に存在するポリマーやこれ
らの変性品が挙げられる。可塑剤としては、ポリ乳酸を
主成分とする生分解性樹脂に相溶し、不揮発性かつ無毒
性のものが好ましく、ジオクチルフタレート等のフタル
酸エステル類、ジオクチルアジペート等のアジピン酸エ
ステル類、トリブチルシトレート、アセチルトリブチル
シトレート等のクエン酸エステル類、トリクレジルフォ
スフェート等のリン酸エステル類、エポキシ化大豆油や
エポキシ化アマニ油等のエポキシ類、グリセリンエステ
ル類、脂肪族ポリエステルのオリゴマー等が挙げられ
る。
の熱安定剤、酸化防止剤、可塑剤、充填材等を混合する
方法は特に限定されるものではなく、生分解性ポリエス
テル系樹脂の製造時、あるいは生分解性ポリエステル系
樹脂と層状珪酸塩を溶融混練する際に添加することがで
きる。
ては、一般的な押出機、例えば、一軸押出機、二軸押出
機、ロール混練機、ブラベンダー等を用いて、生分解性
ポリエステル系樹脂と層状珪酸塩とを溶融混練する方法
が挙げられるが、層状珪酸塩の分散をよくする意味で二
軸押出機を使用することが好ましい。また生分解性樹脂
組成物を製造する第2の方法としては、生分解性ポリエ
ステル系樹脂を形成するモノマーに対して、層状珪酸塩
を所定量存在させた状態でモノマーを重合することによ
って樹脂組成物を得る方法がある。
から押出成形、真空及び/または圧空成形、射出成形、
ブロー成形、並びに発泡成形のいずれかの方法によって
生分解性樹脂成形体を得ることができる。
およびインフレーション法により、上記生分解性樹脂組
成物から生分解性樹脂フィルムまたはシートを製造する
ことができる。成形温度は生分解性樹脂組成物の融点
(Tm)または流動開始温度以上であることが必要であ
り、好ましくは180〜230℃、さらに好ましくは1
90〜220℃の範囲である。成形温度が低すぎると成
形が不安定になったり、過負荷に陥りやすく、逆に成形
温度が高すぎるとポリ乳酸が分解し、得られる未延伸フ
ィルム、シートの強度が低下したり、着色する等の問題
が発生するため、好ましくない。得られた未延伸フィル
ム、シートはその形状で使用することもできるが、ロー
ル延伸法やテンター法等を用いて、1軸延伸、同時2軸
延伸、および逐次2軸延伸により、延伸フィルム、シー
トを製造することができる。延伸温度は(Tg+10
℃)以上、(Tg+30℃)以下であることが好まし
い。延伸温度が低すぎると延伸時に破断しやすく、延伸
温度が高すぎると厚み精度が低下しやすい。さらに、得
られた生分解性樹脂フィルム、シートの耐熱性を高める
目的で、(Tg+10)以上、(Tm−20℃)以下で
熱処理することもできる。
トは、真空及び/または圧空成形等の深絞り成形によ
り、食品用容器、ブリスターパック容器、及びプレスス
ルーパック容器等の各種形状に加工することができる。
深絞り成形温度および熱処理温度は、生分解性樹脂組成
物の(Tg+20℃)以上、(Tm−20℃)以下であ
ることが好ましい。深絞り温度が(Tg+20℃)未満
では深絞りが困難になったり、得られる容器の耐熱性が
不十分となる場合があり、逆に深絞り温度が(Tm−2
0℃)を超えると偏肉が生じたり、配向がくずれて耐衝
撃性が低下する場合がある。
常の射出成形法、さらにはガス射出成形、射出プレス成
形等により、各種形状の生分解性樹脂成形体を製造する
ことができる。射出成形時のシリンダ温度は、生分解性
樹脂組成物のTmまたは流動開始温度以上であることが
必要であり、好ましくは180〜230℃、さらに好ま
しくは190〜220℃の範囲である。成形温度が低す
ぎるとショートが発生したりして成形が不安定になった
り、過負荷に陥りやすく、逆に成形温度が高すぎると生
分解性ポリエステル系樹脂が分解し、得られる成形体の
強度が低下したり、着色する等の問題が発生するため、
好ましくない。一方、金型温度は生分解性樹脂組成物の
(Tm−20℃)以下にする必要がある。生分解性ポリ
エステル系樹脂の耐熱性を高める目的で金型内で結晶化
を促進する場合は、(Tg+20℃)以上、(Tm−2
0℃)以下で所定時間保った後、Tg以下に冷却するこ
とが好ましく、逆に後結晶化する場合は、直接Tg以下
に冷却した後、再度Tg以上(Tm−20℃)以下で熱
処理することが好ましい。
生分解性樹脂組成物から各種形状の容器等の成形体を製
造することができる。ブロー成形法としては、原料チッ
プから直接成形を行うダイレクトブロー法や、まず射出
成形で予備成形体(有底パリソン)を成形後にブロー成
形を行う射出ブロー成形法、さらには延伸ブロー成形等
も採用することができる。また予備成形体成形後に連続
してブロー成形を行うホットパリソン法、いったん予備
成形体を冷却し取り出してから再度加熱してブロー成形
を行うコールドパリソン法のいずれの方法も採用でき
る。ブロー成形温度は(Tg+20℃)以上、(Tm−
20℃)以下であることが必要である。ブロー成形温度
が(Tg+20℃)未満では成形が困難になったり、得
られる容器の耐熱性が不十分となる場合があり、逆にブ
ロー成形温度が(Tm−20℃)を超えると偏肉が生じ
たり、粘度低下によりブローダウンする等の問題が発生
するため、好ましくない。
ることにより生分解性樹脂発泡体を製造することもでき
る。成形方法としては、樹脂組成物に分解型発泡剤ある
いは揮発型発泡剤を添加し、上述の押出成形により連続
的に発泡体を製造する方法、あるいは型に樹脂を入れて
バッチ式で製造する方法等が挙げられる。ここで分解型
発泡剤の例としては、重炭酸ソーダ等の無機発泡剤の
他、アゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペン
タメチレンテトラミン、4,4’−オキシビス(ベンゼ
ンスルホニルヒドラジド)等を挙げることができる。ま
た揮発型発泡剤の例としては、二酸化炭素、窒素、炭化
水素、ハロゲン化炭化水素等を挙げることができる。ま
たこれらを併用することも可能である。これらの発泡剤
の添加量は0.1〜20質量%、好ましくは0.2〜1
0質量%がよい。 発泡倍率は目的に応じて2〜50
倍、好ましくは3〜30倍がよい。
互作用ないし接着力が高められたため、特に、生分解性
ポリエステル系樹脂と層状珪酸塩もしくはアンモニウム
塩に含まれる水酸基が反応性化合物により共有結合的に
反応したため、またはアミド基と層状珪酸塩とが強固な
水素結合を形成したため、熱変形温度や曲げ弾性率測定
の際の変形時における樹脂/層状珪酸塩界面の剥離が抑
制され、生分解性樹脂組成物の耐熱性や機械的特性が向
上したものと推察される。
明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではな
い。実施例および比較例の評価に用いた測定法は次のと
おりである。 (1)融点(Tm):示差走査熱量計を用い、昇温速度
10℃/分の条件で測定した。 (2)熱変形温度:JIS規格K−7207に準拠し、
120℃30分熱処理した試料について荷重0.98M
Paにおける熱変形温度を測定した。 (3)曲げ弾性率:ASTM D790に従い、120
℃30分熱処理した試料について変形速度1mm/分で
荷重をかけ、曲げ弾性率を測定した。
030D;D体=1.3%、Tm=169℃、MFR=
3.0)(PLA−A)100質量部と、層間がビス
(ポリエチレングリコール)ドデシルメチルアンモニウ
ム塩で置換された合成フッ素雲母(コープケミカル製ソ
マシフMEE)(MEE)4質量部とを混合し、スクリ
ュー径30mmφの2軸押出機を用いて200℃で溶融
混練し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をシリ
ンダ温度190℃、金型温度30℃で射出成形し、長さ
12.5mm、幅1.25mm、厚み3.2mmの成形
体を作成した。得られた成形体について各種物性評価を
行い、結果を表1に示した。
樹脂組成物、射出成形体を得、各種物性評価を行った。
結果を表1に示す。
ジルメタクリレート−スチレン共重合体(日本油脂製ブ
レンマーCP−50S)(BLCPS)0.2質量部を
混合し、実施例1と同様にして樹脂組成物、射出成形体
を得、各種物性評価を行った。結果を表1に示す。
ルアンモニウム塩で置換されたモンモリロナイト(ホー
ジュン製エスベンE)(SBE)4質量部、及びグリシ
ドキシプロピルトリメトキシシラン(TMOSG)0.
2質量部を混合し、実施例1と同様にして樹脂組成物、
射出成形体を得、各種物性評価を行った。結果を表1に
示す。
o−ブチレンテレフタレート)(BASF社製Ecof
lex、MFR=6.5)(PBAT)5質量部(生分
解性ポリエステル系樹脂全体でMFR=3.2)、及び
層間がジヒドロキシエチルオクタデシルメチルアンモニ
ウム塩で置換されたモンモリロナイト(DHE)4質量
部を混合し、実施例1と同様にして樹脂組成物、射出成
形体を得、各種物性評価を行った。結果を表1に示す。
ウム塩置換されたモンモリロナイト(Nanocor社
製ナノマーI.30T)(ODA)7質量部、及び2,
2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)(mP
BO)0.5質量部(アミド基に換算して0.2質量
部)を混合し、実施例1と同様にして樹脂組成物、射出
成形体を得、各種物性評価を行った。結果を表1に示
す。
5質量部を混合し、実施例1と同様にして樹脂組成物、
射出成形体を得、各種物性評価を行った。結果を表1に
示す。
し、実施例1と同様にして樹脂組成物、射出成形体を
得、各種物性評価を行った。結果を表1に示す。
040D;D体=4.1%、MFR=2.7、Tm=1
43℃)(PLA−B)100質量部とMEE4質量部
を混合し、実施例1と同様にして樹脂組成物、射出成形
体を得、各種物性評価を行った。結果を表1に示す。
熱性及び機械的特性に優れた樹脂組成物が得られた。一
方、比較例1では層状珪酸塩の代わりにタルクを使用し
たため、比較例2では層状珪酸塩の含有量が少ないた
め、また比較例3ではD体含有量の多いポリ乳酸を使用
したため、得られた樹脂組成物の耐熱性及び機械的特性
に劣るものであった。
性に優れた生分解性樹脂組成物、及び生分解性の各種成
形体が提供される。この成形体は食品用や農業用のフィ
ルムやシート、各種容器等に適用することができ、廃棄
する際にはコンポスト化可能であるので、ゴミの減量
化、肥料としての再利用が可能となる。
Claims (5)
- 【請求項1】 融点が160℃以上またはD体含有量が
2質量%以下のポリ乳酸を50質量部以上含有する生分
解性ポリエステル系樹脂100質量部と、層間に1級な
いし3級アミン塩、4級アンモニウム塩、またはホスホ
ニウム塩を有する層状珪酸塩1〜20質量部とからな
り、荷重0.98MPaにおける熱変形温度が90℃以
上であることを特徴とする生分解性樹脂組成物。 - 【請求項2】 1級ないし3級アミン塩、4級アンモニ
ウム塩、またはホスホニウム塩が、水酸基を含有するこ
とを特徴とする請求項1記載の生分解性樹脂組成物。 - 【請求項3】 エポキシ、イソシアネート、酸無水物、
及びアルコキシシランよりなる群から選ばれた官能基を
少なくとも1単位以上含有する反応性化合物を、生分解
性ポリエステル系樹脂100質量部に対して0.01〜
2質量部含有することを特徴とする請求項1または2記
載の生分解性樹脂組成物。 - 【請求項4】 アミド基含有化合物、オキサゾリン基含
有化合物、またはω末端アミノカルボン酸を、生分解性
ポリエステル系樹脂100質量部に対してアミド基に換
算して0.01〜2質量部含有することを特徴とする請
求項1〜3のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の生分解
性樹脂組成物を、押出成形、真空及び/または圧空成
形、射出成形、ブロー成形、並びに発泡成形のいずれか
の方法によって成形してなる生分解性樹脂成形体。
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