JP2003260067A - ワクシング・マンドレル及びこれを用いた根面板の蝋型作製方法 - Google Patents

ワクシング・マンドレル及びこれを用いた根面板の蝋型作製方法

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JP2003260067A JP2002064971A JP2002064971A JP2003260067A JP 2003260067 A JP2003260067 A JP 2003260067A JP 2002064971 A JP2002064971 A JP 2002064971A JP 2002064971 A JP2002064971 A JP 2002064971A JP 2003260067 A JP2003260067 A JP 2003260067A
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博帥 中山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】歯科用磁性アタッチメントの根面板作製の際に
用いられる鑞型にキーパー取り付けスペースを形成する
際、簡便で安価な方法で且つ正確にキーパー取り付けス
ペースを形成する。 【解決手段】作業模型5を模型台7に義歯の着脱方向を
考慮してセットし、取り付けを予定しているキーパーの
大きさより若干大きい形状を有する型付部を一端に有す
るワクシング・マンドレル1を所定位置にセッティング
する。ワクシング・マンドレル1を包むようにワクシン
グを行った後、マンドレルの上面にかぶったワックス1
0を取り除き、ワクシング・マンドレル1を静かに引き
抜くことにより、キーパーが取り付けられるスペースが
確保された根面板の蝋型が得られる。この蝋型を通法に
より埋没し、根面板用合金にて鋳造して、キーパーの取
り付けスペースが確保された根面板を形成し、キーパー
を接着し、支台歯に取り付ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁力を用いて全部
床義歯または部分床義歯等の可撤性義歯を固定するする
ために用いられる歯科用磁性アタッチメントの根面板を
作製する際に用いられる鑞型の作製方法、より詳細に
は、歯科用磁性アタッチメントの根面板の鑞型に形成さ
れるキーパー取り付け対応スペースを形成する方法及び
この方法で用いられるワクシング・マンドレルに関す
る。
【0002】
【従来の技術】歯の欠損が生じた場合、義歯によりこれ
を補うことは古くから行われている。義歯は、咀嚼を良
好に行うことができるよう、残存歯に固定することが必
要であるが、このような義歯の固定、維持装置として、
従来、クラスプ、アタッチメント、テレスコープ・クラ
ウンが広く知られている。クラスプは、残存歯に取り付
ける金属などからなる維持装置であり、製造が簡単であ
って、各種の形状を採用できることから、症例に応じた
製造ができ、広く採用されている。しかし、クラスプは
健全な残存歯に接触して使用されることから、歯の表面
のエナメル質を傷めるとか、咀嚼時に残存歯に負担がか
かる、食渣が停滞し易い、審美性に問題があるなどの欠
点を有する。
【0003】このような欠点を有さない維持装置とし
て、アタッチメント及びテレスコープ・クラウンが知ら
れている。アタッチメントとしては、滑動型アタッチメ
ント、蝶番型アタッチメント、関節型アタッチメント、
固定バー型アタッチメント等各種のものが知られてい
る。他方、テレスコープ・クラウンとしては、コーヌス
クローネテレスコープが挙げられる。しかし、アタッチ
メントは、その製作が複雑であるとともに、咀嚼時の咬
合圧により装置の破損、取り付け歯の損傷などが起るこ
とがある。また、テレスコープ・クラウンは高価であ
り、良好な適合精度を確保するために熟練を要し、内冠
と外冠の適合精度が悪い場合には、義歯の脱落を招くこ
とがあるなどの問題がある。
【0004】このようなアタッチメント及びテレスコー
プ・クラウンにおける問題を解決するものとして、例え
ば、特開昭54−16891号公報、特開平4−227
253号公報などに記載されるような、磁気吸引力を利
用して義歯を固定、維持する磁性アタッチメントが提案
され、急速に普及してきている。この磁性アタッチメン
トは、図7に示されるように、義歯床27に埋め込まれ
た磁石構造体25と人体の支台歯23の歯根部に埋設さ
れた根面板22に埋め込まれたキーパー(吸着体)21
からなっている。前記磁石構造体25は永久磁石26を
内蔵し、接合面26aを露出するようにして義歯床27
に埋設固定される。一方キーパー21は軟磁性材料から
なり、吸着面21aが永久磁石26と対面するよう根面
板22に設けられる。磁石構造体25は、キーパー21
に対して垂直方向には強い磁気回路が形成されるよう構
成されており、このためキーパー21は強く磁石構造体
25に吸引されるが、キーパー表面に平行な力に対して
は比較的弱い力で離脱が可能となる。
【0005】このように磁性アタッチメントは磁気的な
力により義歯の固定、維持がなされるため、従来のアタ
ッチメントのように製作が複雑でなく、また装置の破損
の問題も少なく、さらに磁性アタッチメントは側方への
移動は比較的簡単に行われるため、側方力による支台歯
等への悪影響は少ない。またキーパーと磁石構造体との
接合構造は、方向性の制限がないため、テレスコープ・
クラウン程の精度は要されず、製作が容易である。ま
た、上記のとおり着脱も容易であると共に審美的な問題
もない。
【0006】この磁性アタッチメントにおいてキーパー
を根面板に設置する方法としては、従来、鋳接法とプラ
スチックハウジングを用いる方法が知られている。この
公知の方法の内、鋳接法では、キーパーは次のようにし
て根面板に固設される。すなわち、根面板を鋳造するた
めの鑞型を作製する際に、予めキーパーを所定の位置に
配置した状態で鑞型を作製し、キーパーが配置された鑞
型を埋没材で埋没した後加熱して蝋を焼却して根面版の
鋳型を作製し、この鋳型内に金−銀−パラジウム等の歯
科用合金からなる根面板用溶湯を注湯して根面板の鋳造
を行う。これによりキーパーと根面板とが一体に接合さ
れた根面板が得られる。このため、鋳接法においてはキ
ーパーは安定的に根面板に接合されることとなるが、鋳
接作業は通常1000℃程度の高温で行われるため、磁
性ステンレス鋼からなるキーパー表面が鋳造時に酸化さ
れ、酸化被膜がその表面に形成される。キーパー表面に
形成された酸化被膜の内、磁石構造体に接する面の酸化
被膜は、研磨等により除去できるものの、高精度での鏡
面仕上げを行うには熟練を要する。この酸化膜の除去及
び鏡面の形成が良好に行われない場合には、磁石面とキ
ーパー面の密着が不十分となり、この結果磁気回路の形
成が不十分となり、磁気吸引力が低下することにより磁
気アタッチメントの保持力が低下することとなる。一
方、歯科用合金との境界面に形成された酸化被膜は除去
することができず、口腔内にキーパーが取り付けられた
後には常に唾液等による化学的影響を受け、これによっ
て酸化被膜が溶解するとか変性するなどし、キーパーと
歯科用合金間の隙間の形成とか、キーパーと歯科用合金
との間の分離が起き、最悪の場合にはキーパーが根面板
から外れてしまうとか、そこまで行かなくてもキーパー
のガタツキの原因となる。キーパーがガタツクと義歯の
安定性の問題が生ずることにつながることとなる。ま
た、キーパーは鋳造時冷やし金として働くため、キーパ
ー周辺での鋳造欠陥ができやすく、良好なキーパー付き
根面板を得るには熟練を要する。
【0007】さらに、キーパーは通常磁性ステンレス鋼
からなるため、脳などのMRI(核磁気共鳴)診断時に
診断場所によっては診断画像が変形する可能性がある。
このため、場合によってはMRI診断時にキーパーを除
去することが必要となるが、このとき口腔内でキーパー
を切削するなどの作業を行うことが必要となり、患者に
大きな負担が掛かることとなる。また、MRI診断後、
キーパーが除去された根面板の凹部に再度キーパーを接
着剤等により接着することとなるが、再接着したキーパ
ーの位置が元の場所と同じになるとは限られないし、ま
たキーパーの吸着面が磁石構造体の接合面と良好な密着
が得られることになるとも必ずしもいえない。このよう
な場合には、磁性アタッチメントの機能が大きく殺がれ
てしまうこととなる。
【0008】このような鋳接法による問題を解決する方
法として、プラスチックハウジングを用いる方法が提案
されている(例えば、特開平11−137575号公
報)。この方法は、鋳接により根面板にキーパーを直接
取り付けるのではなく、キーパーの大きさに対応した凹
部(キーパー取り付けスペース)を設けた根面板を鋳造
した後、この凹部に歯科用セメント等を用いてキーパー
を接着することによりキーパーが取り付けられるもので
ある。このプラスチックハウジングを用いる方法は、図
8に示されるように、作業模型からの印象採得により形
成された耐火模型31に根面板の蝋型29をワックスア
ップする際、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレ
ン、ポリエチレンなどからなるキーパー対応ハウジング
パターン30を蝋型29に埋設し、埋没材で型ごと埋設
して鋳型を得、次いで、これを炉中で加熱して、蝋型2
9及びキーパー対応ハウジングパターン30を焼却揮散
させ、鋳型内に鋳造用スペースを形成し、この鋳造用ス
ペースに金−銀−パラジウム合金のような歯科用合金の
溶湯を鋳込むことで、キーパー取り付けスペースを有す
る根面板を形成し、この根面板のキーパー取り付けスペ
ースにキーパーを接着するものものである。このときキ
ーパーの吸着面21aはキーパー取り付けスペースを形
成する根面板22の頂部面と同一面となるようにされ
る。
【0009】このプラスチックハウジングを用いる方法
においては、キーパーは高温に曝されることがないた
め、その表面に酸化膜が形成されることがない。このた
め、キーパー設置後にキーパー表面を研磨する必要もな
いし、また、キーパーと鋳造用合金の間に酸化被膜も存
在しないため、使用している間にキーパーと鋳造用合金
間に隙間ができるなどのおそれもない。このように、プ
ラスチックハウジングを用いる方法は鋳接法に比べ優れ
た方法といえる。しかし、この方法による場合、根面板
を製作するには毎回必ずプラスチックハウジングを使用
しなければならず、更には、プラスチックハウジング自
体小さいので設置位置に正確かつ水平に設置することが
難しい上、プラスチックハウジングを設置するための手
間がかかるという問題がある。さらに、同一義歯におい
て複数の磁石構造体が組み込まれることもあるが、この
ような場合にプラスチックハウジングをいずれも同一方
向(水平)に整列させることが難しいという問題もあ
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記したキ
ーパーの大きさに対応したキーパー取り付けスペースを
設けた根面板をまず鋳造し、その後歯科用セメントなど
によりキーパーを接着してキーパーを設置した根面板を
形成する方法において、キーパー取り付けスペースを根
面板の蝋型に形成する際に、プラスチックハウジングを
用いることなく、簡単、迅速、正確且つ経済的に根面板
の蝋型を形成する方法及びこの方法に使用される器具を
提供することを目的とする。
【0011】また、本発明は、複数の根面板の鑞型に平
行にキーパーの大きさに対応した凹部を設けることので
きる根面板の蝋型形成方法を提供することを目的とす
る。さらに、本発明は、蝋型にキーパー取り付けスペー
スを形成するために用いられ、同時に複数歯の平行関係
を設定可能な器具を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的を解決
する本発明の構成は以下のとおりである。すなわち、本
発明は、棒状部材の一端に、歯科用磁性アタッチメント
のキーパーに対応する厚み及び形状を有する板状の型付
部が設けられた、歯科用磁性アタッチメントの根面板の
蝋型にキーパー取り付けスペースを形成するために用い
られるワクシング・マンドレルに関する。
【0013】また、本発明は、棒状部材の一端に、歯科
用磁性アタッチメントのキーパーに対応する厚み及び形
状を有する板状の型付部が設けられたワクシング・マン
ドレルを、根面板のキーパー取り付け対応位置に設置し
て根面板の蝋型を形成した後、ワクシング・マンドレル
を蝋型から除去することを特徴とする歯科用磁性アタッ
チメントの根面板の蝋型作製方法に関する。
【0014】
【発明の実施の態様】以下、本発明を、図を参照つつ更
に具体的に説明する。図1に、本発明のワクシング・マ
ンドレルの第一の実施例を示す。図1(a)は、第一の
実施例のワクシング・マンドレル1の斜視図を、図1
(b)は、同正面図を示す。第一の実施例のワクシング
・マンドレルにおいては、材質は例えばハイス鋼SKH
51〔(株)ミナミ社製〕からなり、円柱状の形状をし
た棒状部材2及びこの棒状部材2の一端に設けられた円
板状の型付部3からなっている。ワクシング・マンドレ
ル1の棒状部材2は、直径rが2.3mmであり、長
さhは40mmとされ、型付部と同心状をなし、棒状部
材の中心線は円板状の型付部の表面に対し垂直となるよ
うにされている。さらに、このワクシング・マンドレル
1の円板状の型付部3は、直径が3.5mm、厚みが
0.7mmの円形をしたSタイプのキーパーに対応する
取り付けスペースを形成できるよう、直径rは3.9
mm、厚みtが0.9mmとされている。型付部の直径
及び厚みとキーパーの直径及び厚みとの差、各0.2m
mは、キーパーと鋳造された根面板の凹部にキーパーが
接着される際の接着剤のスペースである。また、棒状部
材2には、このワクシング・マンドレルがSタイプのキ
ーパー用のものであることを示す一本線の識別用マーク
4が付されている。
【0015】また、図2に、本発明のワクシング・マン
ドレルの第二の実施例を示す。図2(a)は、第二の実
施例のワクシング・マンドレル1の斜視図を、また図2
(b)は、同正面図を示す。この第二のワクシング・マ
ンドレルは、直径が4.0mm、厚みが0.8mmの円
形をしたLタイプのキーパーに対応する取り付けスペー
スを形成できるよう、型付部の直径r及び厚みtが、
各4.2mm及び1.0mmとされ、棒状部材2にこの
ワクシング・マンドレルがLタイプのキーパー用のもの
であることを示す二本線の識別用マーク4が付されてい
ることを除き第一の実施例のワクシング・マンドレルと
同じである。
【0016】上記第一及び第二の実施例においては、ワ
クシング・マンドレルの棒状部材及び型付部の形状はい
ずれも断面円形とされているが、本発明のワクシング・
マンドレルの棒状部材及び型付部の形状は、断面円形状
のものに限られるものではない。型付部の形状は、取り
付けが予定されているキーパーの形状に対応したもので
あればよく、例えばキーパーが正方形であれば、正方形
とされ、また長方形であれば、長方形とされる。またそ
の大きさもキーパーの大きさに更に接着剤用のスペース
を付加した大きさ及び厚さとされる。接着剤用のスペー
ス幅は上記例に限られるものではなく、任意のものでよ
いが、接着剤用のスペース幅があまりに厚い場合には、
キーパーが正確にキーパー取り付け位置に取り付けられ
ない場合も出てくるから、接着剤用スペース幅は通常
0.1乃至0.2mm程度が好ましい。
【0017】図3(a)〜(g)に型付部の形状の例を
示す。図3に示されるように、方形の場合角は落とされ
ても、丸められてもよい。さらに、型付部の形状は方形
以外の多角形であってもよいし、それ以外の形状であっ
てもよい。要は、磁性アタッチメントの磁石構造体の接
合面の形状に対応するキーパーの形状に相似或いは略相
似の形状であればよい。
【0018】また、棒状部材の形状も断面が正方形或い
は長方形とされてもよいし、方形以外の多角形であって
もよい。棒状部材は摘み部としての役割をするものであ
ればよく断面形状はどのようなものであってもよい。棒
状部材と型付部の形状を相似の形状としておけば、棒状
部材の形状によりワクシング・マンドレルの一端に設け
られた型付部の形状が明らかとなり、類似したワクシン
グ・マンドレルが多数取り揃えられている場合、使用す
るワクシング・マンドレルを選択することが容易とな
る。さらに、正方形、長方形などのキーパー用の凹部形
成の際には、棒状部材の方形の各辺の方向を型付部の各
辺の方向と平行に作製しておけば、キーパー取り付け用
スペースである凹部形状の方向を所定の方向に合わせや
すくなり好ましい。さらに、棒状部材の径も使用時変形
のない範囲のものであればよく、特に限定されるもので
はないし、その長さも適宜の長さであればよく、特に限
定されるものではない。
【0019】一方、上記第一及び第二の実施例にも付さ
れているが、型付部の大きさなどを峻別できるように、
棒状部材にマークを付しておくことが好ましい。この識
別用のマークは、実施例においては線状とされている
が、ドットなど任意のものでよく、またマークを付す位
置も任意の位置でよい。なお、本発明において「キーパ
ーに対応した厚み及び形状を有する」とは、マンドレル
の型付部の形状がキーパーの形状と相似或いはほぼ相似
の形状であり、その大きさ及び厚さがキーパーの大きさ
に接着剤用のスペースを付加した大きさ及び厚さを有す
ることを意味するものである。
【0020】前記ワクシング・マンドレルの材質は、使
用時に変形のおそれがなく、また使用している間に錆び
ないものであればどのようなものであってもよく、実施
例で記載されたものに限定されない。また前記ワクシン
グ・マンドレルは着磁器により着磁を行い、マグネチッ
クマンドレルとして使用してもよい。磁性が不要となれ
ば脱磁を行えば通常のワクシング・マンドレルとして使
用できる。ワクシング・マンドレルを着磁すれば、マグ
ネチック・マンドレルとして用いることができると同時
に、マグネット・ホルダーとしても利用できる。
【0021】次に、上記第二の実施例のワクシング・マ
ンドレルを用いて、根面板の蝋型を製造する方法を図4
により説明する。まず、(a)通法により作製された作
業模型5を模型台7に義歯の着脱方向を考慮してセット
する。作業模型5には、着脱方向を示す着脱方向線6を
設けるようにしておくと便利である。次に、(b)模型
台上でワクシング・マンドレル1の下面を辺縁歯肉9の
頂点9Tの高さで且つ咬合平面に対し垂直にセットし、
その後根面中央に且つ咬合平面に対し垂直面で平行移動
させる。これにより、支台歯8の辺縁歯肉9の頂点9T
上1mmにマンドレルの型付部の上面がセットされ、キ
ーパーを根面板のキーバー取り付けスペースに取り付け
た際、キーパー表面が口腔内の辺縁歯肉から1mm離れ
たの高さの位置となるように設定がなされることとな
る。次いで、(c)マンドレルを包むようにワックス1
0を用いワクシングを行った後、(d)マンドレル1の
型付部上面にかぶったワックスを取り除き、(e)ワク
シング・マンドレル1を静かに引き抜く。これによっ
て、キーパーが取り付けられるスペースが確保された根
面板の蝋型を作製することができる。
【0022】こうして作製された蝋型11を図5に示す
ように埋没材12で埋没した後、蝋を焼却除去し、図6
に示すように鋳型空間13を形成する。この形成された
鋳型空間13に歯科用合金の溶湯を流し込んで根面板の
鋳造を行い、鋳造された鋳造物を取り出し研磨して、根
面板とする。作製された根面板にはキーパーが歯科用セ
メント等により接着され、支台歯に接合される。キーパ
ーの根面板への接合は根面板を支台歯に取り付けた後で
あってもよい。次いで、通法により義歯用印象採得を行
うなどして、磁石構造体が埋設された義歯床の作製が行
われる。
【0023】さらに、本発明のワクシング・マンドレル
を用いて、同時に複数歯の平行関係を設定することがで
きる。
【0024】本発明の蝋型形成方法においては、作業模
型の作製方法、ワクシングの際に用いられるワックスの
材料、鋳型の形成方法、鋳造方法、鋳造用合金などは、
従来公知或いは周知の方法、材料を用いればよい。例え
ば、ワクシングにおいて用いられるワックスとしては、
IQコンパクトワックス(YETI DENTAL社
製)、メービス(メービス社製)などが、根面板を形成
する合金としては、金−銀−パラジウム合金、コバルト
−クロム系合金等の歯科用合金が用いられる。
【0025】さらには、鋳造された根面板に取り付けら
れるキーパー、義歯に取り付けられる磁石構造体、義歯
製造法、義歯材料などは従来磁性アタッチメントの作製
の際に用いられる公知或いは周知のものを用いればよ
い。
【0026】例えば、キーパーとしては、鏡面加工され
たクロムモリブデン合金などの磁性ステンレス鋼など、
軟磁性金属材料を用いればよい。またキーパーの形状
は、磁石構造体の接合面の形状に合わせ円形、長方形、
角が落とされたもの、角を丸めたもの等任意のものであ
ってよい。さらに、キーパーは、磁石構造体との吸着面
を除いた表面に、金属接着性ポリオレフィン(低密度ポ
リエチレンにビニルカルボン酸をグラフトしたもの)を
含む合成樹脂被膜が形成されたものでもよいし、磁石構
造体との吸着面にクロム拡散層など耐酸化被膜が形成さ
れたものなど既に公知、周知の構造を有するもの、或い
は処理などが施されたものであってもよい。合成樹脂被
膜が形成されたキーパーを用いる場合、使用する合成樹
脂或いは合成樹脂被膜の膜厚によっては、合成樹脂被膜
が咀嚼時に歯根膜の沈下量を補う形で弾性変形し、クッ
ション層として働くことにより衝撃を緩和できるという
効果を得られることが考えられる。
【0027】また、キーパーを根面板に接着する場合に
は、接着に先立ち、キーパーの接着面又は根面板凹部に
サンドブラスト処理、プライマー処理など接着性改善処
理が行われてもよい。また、接着剤によりキーパーを取
り付けた場合には、キーパーの取り外しは接着層を破壊
すればよく、再度の接着も歯科用接着材を用いて容易に
行うことができる。なお、接着剤としては、歯科用セメ
ントを用いる。歯科用セメントとして、古くから金属酸
化物とリン酸またはポリカルボン酸からなるものが使用
されているが、近年開発されたレジン系セメントなど、
従来公知或いは周知の材料を用いればよい。
【0028】以上具体例を挙げて本発明のワクシング・
マンドレル及び根面板の蝋型作製方法を説明したが、本
発明のワクシング・マンドレル及び根面板の蝋型作製方
法には種々の変形が考えられる。本発明はこのような種
々の変形をも包含するものであって、上記具体例に限定
されるものではないことは容易に理解できることであ
る。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のワクシン
グ・マンドレルを用い根面板の蝋型を作製することによ
り、蝋型にキーパーを取り付けるためのスペースを形成
する際に用いられていたプラスチックハウジングを用い
る必要がない。このため従来プラスチックハウジングを
用いた方法において1回毎に1つ消費されていたプラス
チックハウジングの費用を節約することができるととも
に、プラスチックハウジングを水平に設置するために必
要とされていた煩雑な工程を省略することができ、スピ
ーディかつ正確に作業を行うことができる。このよう
に、本発明によれば、熟練を要することなく、簡便且つ
安価に、良好なキーパー用スペースを形成することがで
きる。また、本発明のワクシング・マンドレルを用いる
ことにより、複数歯の平行関係の設定も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施例のワクシング・マンドレルの斜視
図(a)及び平面図(b)である。
【図2】第二の実施例のワクシング・マンドレルの斜視
図(a)及び平面図(b)である。
【図3】ワクシング・マンドレルの型付部形状の例を示
す図である。
【図4】本発明の根面板の蝋型を作製法の一例を説明す
る説明図である。
【図5】根面板の蝋型を埋没材で埋没した状態の説明図
である。
【図6】埋没材で埋没された根面板の蝋型から蝋を焼却
除去して鋳型が形成された状態を示す説明図である。
【図7】磁性アタッチメントの説明図である。
【図8】従来のプラスチックハウジングを用いた根面板
の蝋型作製法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 ワクシング・マンドレル 2 棒状部材 3 型付部 4 識別用マーク 5 作業模型 6 着脱方向線 7 模型台 8 支台歯 9 辺縁歯肉 9T 辺縁歯肉の頂部 10 ワックス 11 蝋型 12 埋没材 13 鋳型空間 21 キーパー 21a 吸着面 22 根面板 23 支台歯 24 歯肉 25 磁石構造体 26 永久磁石 26a 接合面 27 義歯床 28 人工歯 29 蝋型 30 プラスチックハウジングパターン 31 耐火模型

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】棒状部材の一端に、歯科用磁性アタッチメ
    ントのキーパーに対応する厚み及び形状を有する板状の
    型付部が設けられた、歯科用磁性アタッチメントの根面
    板の蝋型にキーパー取り付けスペースを形成するために
    用いられるワクシング・マンドレル。
  2. 【請求項2】棒状部材の一端に、歯科用磁性アタッチメ
    ントのキーパーに対応する厚み及び形状を有する板状の
    型付部が設けられたワクシング・マンドレルを、根面板
    のキーパー取り付け対応位置に設置して根面板の蝋型を
    形成した後、ワクシング・マンドレルを蝋型から除去す
    ることを特徴とする歯科用磁性アタッチメントの根面板
    の蝋型作製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017116729A (ja) * 2015-12-24 2017-06-29 リコーイメージング株式会社 偏芯調整構造及び光学機器

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