JP2003258284A - 色素増感型光電変換装置およびその製造方法 - Google Patents

色素増感型光電変換装置およびその製造方法

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JP2003258284A
JP2003258284A JP2002055998A JP2002055998A JP2003258284A JP 2003258284 A JP2003258284 A JP 2003258284A JP 2002055998 A JP2002055998 A JP 2002055998A JP 2002055998 A JP2002055998 A JP 2002055998A JP 2003258284 A JP2003258284 A JP 2003258284A
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dye
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Takao Chiba
恭男 千葉
Haruhisa Takiguchi
治久 瀧口
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Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 太陽光を有効に利用でき、優れた光電変換効
率を有する色素増感型光電変換装置およびそれを用いた
太陽電池を提供することを課題とする。 【解決手段】 透明性導電膜上に、色素を吸着した酸化
物半導体層、真性半導体またはp型半導体の性質を示す
第1光電変換層、p型半導体の性質を示す第2光電変換
層(但し、第1光電変換層がp型半導体の性質を示すと
き、その不純物濃度は第2光電変換層のp型半導体の性
質を示す不純物濃度よりも低い)、および対極が順次積
層されてなることを特徴とする色素増感型光電変換装置
により、上記の課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色素増感型光電変
換装置およびその製造方法、ならびにそれを用いた太陽
電池に関する。さらに詳しくは、本発明は、真性半導体
またはp型半導体の性質を示す第1光電変換層と色素を
吸着した酸化物半導体層により光を吸収させる、優れた
光電変換効率を有する色素増感型光電変換装置およびそ
の製造方法、ならびにそれを用いた太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】色素増感型太陽電池が次世代の太陽電池
として注目されている。この太陽電池は、基本的に透明
電極層、光電変換層、電解質層および対極層から構成さ
れている。単層の光電変換層を形成する半導体表面に
は、可視光領域に吸収スペクトルを有する1〜2種類の
光増感剤として機能する色素(以下、単に「色素」と称
する)が吸着されている。
【0003】この太陽電池の動作原理を、一般的な色素
増感型光電変換装置のエネルギー準位を模式的に示す図
1を用いて説明する。図中の各エネルギー準位は相対的
な高さで示されている。光電変換層4に光が照射される
と、光電変換層4の色素で電子が発生し、この電子が色
素のLUMO準位11から光電変換層4に移動し、透明
導電層1から外部電気回路5を通って対極層31に移動
する。対極層31に移動した電子は、電解質層中のイオ
ンによって運ばれ、電解質層の酸化還元準位21を介し
て、色素のHOMO準位12に移動し、そして光電変換
層4にもどる。このような過程が繰り返されることによ
り電気エネルギーが取り出される。理想的には、光電変
換層4のフェルミ準位3と電解質層の酸化還元準位21
との間(伝導帯2)の電圧が得られる。
【0004】このような動作原理を用いた太陽電池は、
金属錯体の光誘起電子移動を応用した色素増感型太陽電
池として、例えば、特許第2664194号公報、国際
公開公報WO94/05025号、特開2000−90
989号公報に既に開示されている。しかしながら、特
許第2664194号公報および国際公開公報WO94
/05025号に記載されている色素増感型太陽電池
は、一般的に分光増感作用を付与するための色素の吸収
波長領域が限定され、可視から近赤外領域の太陽光を有
効に利用することができないため、シリコン系太陽電池
のように高変換効率を得にくいという問題があった。
【0005】また、特開2000−90989号公報に
は、n型およびp型の半導体材料をそれぞれ用いて形成
した第1および第2の透明半導体層に吸収スペクトルの
異なる色素を吸着させ、その第1および第2の透明半導
体層で挟持するようにキャリア移動層を形成した色素増
感型太陽電池が開示されている。この技術によれば、あ
る程度の光電変換効率の向上が期待できる。しかしなが
ら、上記の構造では、n型およびp型の半導体材料にお
ける短絡電流密度を等しく設定する必要があり、製造が
困難となる。また、長波長側に吸収スペクトルを有する
色素を、p型半導体材料を用いて形成した第2の透明半
導体層に吸着させた場合には、量子効率が小さくなり、
長波長側の光を吸収しても効率よく電流を取り出せない
という問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、太陽光を有
効に利用でき、優れた光電変換効率を有する色素増感型
光電変換装置およびそれを用いた太陽電池を提供するこ
とを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を行った結果、透明性導電膜上
に、色素を吸着した酸化物半導体層、第1光電変換層、
第2光電変換層および対極が順次積層された色素増感型
光電変換装置において、第1光電変換層を真性半導体ま
たはp型半導体の性質を示す層とし、第2光電変換層を
p型半導体の性質を示す層とすること(但し、第1光電
変換層がp型半導体の性質を示すとき、その不純物濃度
は第2光電変換層のp型半導体の性質を示す不純物濃度
よりも低い)により、酸化物半導体層に吸着した色素ば
かりでなく、第1光電変換層でも光を吸収させることが
でき、短絡電流密度の増加を図り、太陽光を有効に利用
することができ、優れた光電変換効率を有する色素増感
型光電変換装置が得られることを見出し、本発明を完成
するに到った。
【0008】かくして、本発明によれば、透明性導電膜
上に、色素を吸着した酸化物半導体層、真性半導体また
はp型半導体の性質を示す第1光電変換層、p型半導体
の性質を示す第2光電変換層(但し、第1光電変換層が
p型半導体の性質を示すとき、その不純物濃度は第2光
電変換層のp型半導体の性質を示す不純物濃度よりも低
い)、および対極が順次積層されてなることを特徴とす
る色素増感型光電変換装置が提供される。
【0009】また、本発明によれば、(a)透明性導電
膜と対になる対極上にp型半導体の性質を示す第2光電
変換層を形成する工程、(b)第2光電変換層上に真性
半導体またはp型半導体の性質を示す第1光電変換層
(但し、第1光電変換層がp型半導体の性質を示すと
き、その不純物濃度は第2光電変換層のp型半導体の性
質を示す不純物濃度よりも低い)を形成する工程、
(c)第1光電変換層上に酸化物半導体層を形成する工
程、(d)酸化物半導体層に色素を吸着させる工程、お
よび(e)酸化物半導体層上に透明性導電膜を形成する
工程を含むことを特徴とする色素増感型光電変換装置の
製造方法が提供される。
【0010】さらに、本発明によれば、上記の色素増感
型光電変換装置により形成された太陽電池が提供され
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の色素増感型光電変換装置
(以下、「光電変換装置」と称する)は、透明性導電膜
上に、色素を吸着した酸化物半導体層、真性半導体また
はp型半導体の性質を示す第1光電変換層、p型半導体
の性質を示す第2光電変換層(但し、第1光電変換層が
p型半導体の性質を示すとき、その不純物濃度は第2光
電変換層のp型半導体の性質を示す不純物濃度よりも低
い)、および対極が順次積層されてなることを特徴とす
る。
【0012】本発明の好適な実施形態について、図面を
用いて説明する。なお、この実施形態は一例であり、種
々の形態での実施が本発明の範囲内で可能である。図2
は、本発明の光電変換装置を模式的に示す概略断面図で
ある。図中、51は透明支持体41および透明性導電膜
42からなる導電性支持体、43は色素48を吸着した
酸化物半導体層、44は第1光電変換層、45は第2光
電変換層、52は対極46および支持体47からなる対
極側支持体、53は外部電気回路である。
【0013】図3は、本発明の光電変換装置のエネルギ
ー準位を模式的に示す図である。この光電変換装置は、
導電性支持体51が光の入射側(受光面)となり、酸化
物半導体層43、色素48、第1光電変換層44、第2
光電変換層45および対極側支持体52がこの順に積層
されている。図3では、酸化物半導体層43、色素4
8、第1光電変換層44および第2光電変換層45のエ
ネルギー準位を相対的に示している。
【0014】まず、ECBで示す伝導帯(伝導帯下端準
位、以下、「ECB」と称する)および色素のLUMO準
位について説明する。本発明の光電変換装置のエネルギ
ー準位は、図3に示すように、酸化物半導体層43のE
CBよりも色素48のLUMO準位が真空準位側(図中、
上側)に存在し、かつ第1光電変換層44のECBが色素
のLUMO準位よりも真空準位側に存在し、さらに第2
光電変換層45のECBが第1光電変換層44のECBと等
しいかもしくはそれよりも真空準位側に存在しているこ
とが望ましい。
【0015】次に、EVBで示す価電子帯(価電子帯上端
準位、以下、「EVB」と称する)および色素のHOMO
準位について説明する。本発明の光電変換装置のエネル
ギー準位は、図3に示すように、酸化物半導体層43の
VBよりも色素48のHOMO準位が真空準位側に存在
し、かつ第1光電変換層44のEVBが色素のHOMO準
位よりも真空準位側に存在し、さらに第2光電変換層4
5のEVBが第1光電変換層44のEVBよりも真空準位側
に存在していることが望ましい。
【0016】以下、本発明の光電変換装置の各構成要素
について具体的に説明する。透明性導電膜42または対
極46としては、白金、金、銀、炭素、アルミニウム、
インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ
などが挙げられ、透明性導電膜としては酸化スズが好ま
しく、これにはフッ素やアンチモンなどがドープされて
いてもよい。対極としては、白金、金、炭素が好まし
い。透明性導電膜42または対極46は、通常、光電変
換装置を保護するために、金属板基板、またはガラス板
および透明プラスチックシートなどの透明支持体41ま
たは支持体47上に形成されている。図3では、透明支
持体41と透明性導電膜42とを合わせて導電性支持体
51、対極46と支持体47とを合わせて対極側支持体
52としている。
【0017】透明支持体または支持体上に、透明性導電
膜または対極を形成する方法としては、材料となる成分
の真空蒸着法、マグネトロンスパッタリング法、CVD
法、PVD法などの気相法、ゾルゲル法によるコーティ
ング法などの公知の方法が挙げられ、気相法が好まし
い。図2において、透明支持体51は受光面であり、透
明材料により構成されているが、対極側支持体52も透
明材料により構成されていてもよい。
【0018】第2光電変換層45は、導電性支持体52
上に形成することができる。第2光電変換層の構成材料
としては、p型半導体の性質を示す半導体、例えば、S
i、Ge、SiC、BN、BP、AlP、InP、Zn
Se、ZnTe、ZnS、CdTe、GaAs、Cu2
O、CuI、BAs、InN、GaP、GaN、GaI
nN、GaSb、InAs、InSb、AlAs、Al
Sb、CuSCN、C uAlO2、CuGaO2、Sr
Cu22などの半導体および二元または三元混晶化合物
半導体が挙げられ、これらの中でもAlSbとCuSC
Nが特に好ましい。第2光電変換層には、第1光電変換
層と同種の材料を用いてもよいが、他の材料であっても
よい。例えば、第1光電変換層にAlSbを用いる場合
には、第2光電変換層にCuSCNを用いるのが特に好
ましい。
【0019】第1光電変換層がp型半導体の性質を示す
とき、その不純物濃度は第2光電変換層のp型半導体の
性質を示す不純物濃度よりも低く、その不純物濃度と第
2光電変換層の不純物濃度は、それぞれ1×1017〜1
×1018/cm3(好ましくは5×1017〜8×1017
/cm3)および1×1018〜1×1019/cm3(好ま
しくは5×1018〜8×1018/cm3)であるのが好
ましい 第2光電変換層の膜厚は、特に限定されるものではない
が、1〜2μm程度が好ましい。
【0020】次に、第2光電変換層としてAlSbを用
いる場合の形成方法について説明する。形成方法として
は、例えば、分子線エピタキシ法、気相成長法、スパッ
タリング法、PLD法などの公知の種々の成長法が挙げ
られる。AlSbの形成方法としては、横型MOCVD
法(有機金属気相成長法)のような気相成長法が特に好
ましい。
【0021】AlSbの気相成長法について具体的に説
明する。Al源としては、例えば、トリメチルアルミニ
ウム、トリエチルアルミニウム、トリメチルアミノアラ
ン、トリエチルアミノアランなどが挙げられ、これらの
中でもトリメチルアルミニウムが特に好ましい。Sb源
としては、例えば、トリメチルアンチモン、トリエチル
アンチモンが挙げられ、これらの中でもトリエチルアン
チモンが特に好ましい。p型のドーパントとしては、例
えば、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、トリメチル亜鉛、
トリエチル亜鉛などが挙げられ、これらの中でもジエチ
ル亜鉛が特に好ましい。
【0022】V族供給源(Sb源)とIII族供給源(A
l源)との比V/III比は、8〜20程度である。この
比率は、各供給源のキャリアガス(例えば、水素)中の
濃度およびガス流量などにより調整することができる。
また、p型のドーパントの添加量は、第2光電変換層の
不純物濃度が前記の範囲になるように調整すればよい。
この添加量は、キャリアガス(例えば、水素)中のp型
のドーパントの濃度およびガス流量などにより調整する
ことができる。
【0023】気相成長における成長温度は、500℃以
下が好ましく、400〜500℃が特に好ましい。成長
温度を低温にすることで、対極上に良好な界面を有する
第2光電変換層を形成することができる。一方、成長温
度が500℃を超える高温になると、導電性支持体が融
解することがあるので好ましくない。また、気相成長に
おける容器内の圧力は、76〜200Torrである。
【0024】次に、第2光電変換層としてCuSCNを
用いる場合の形成方法について説明する。形成方法とし
ては、例えば、電析法、気相成長法、滴下析出法などの
公知の種々の成長法が挙げられる。CuSCNの形成方
法としては、滴下析出法が特に好ましい。
【0025】この滴下析出法は、非常に簡便な方法であ
る。まず、適量のCuSCN粉末を、例えばアセトニト
リルのような溶剤に溶解させて飽和溶液を調製する。こ
のとき、溶液中にCuSCNが残留していてもかまわな
い。次いで、低温形成をさせるために、ホットプレート
などの加熱装置を用いて80〜120℃程度に加熱した
導電性支持体上に、得られた溶液をスポイトなどで滴下
し、これを繰り返すことによりCuSCN膜を得る。
【0026】第1光電変換層44は、第2光電変換層4
5上に形成することができる。第1光電変換層の構成材
料としては、第1光電変換層のバンドギャップが、酸化
物半導体層に吸着されている色素のLUMO準位とHO
MO準位のエネルギー差よりも小さいものがより好まし
い。このような材料を用いることで、酸化物半導体層お
よびそれに吸着されている色素で吸収できなかった波長
の光を第1光電変換層で吸収することができる。
【0027】第1光電変換層の構成材料としては、第2
光電変換層の構成材料として列挙した材料で、真性半導
体またはp型半導体の性質を示す半導体が挙げられ、こ
れらの中でも真性半導体の性質を示すAlSbが特に好
ましい。第1光電変換層の膜厚は、特に限定されるもの
ではないが、150〜500nm程度が好ましい。
【0028】次に、第1光電変換層としてAlSbを用
いる場合の形成方法について説明する。形成方法として
は、第2光電変換層としてAlSbを用いる場合と同様
の方法が挙げられ、横型MOCVD法(有機金属気相成
長法)のような気相成長法が特に好ましい。
【0029】Al源、Sb源およびp型のドーパントと
しては、第2光電変換層としてAlSbを用いる場合に
例示した化合物が挙げられ、Al源としてはトリメチル
アルミニウム、Sb源としてはトリエチルアンチモン、
p型のドーパントとしてはジエチル亜鉛が特に好まし
い。
【0030】V族供給源(Sb源)とIII族供給源(A
l源)との比(V/III比)は、8〜20程度である。
この比率は、各供給源のキャリアガス(例えば、水素)
中の濃度およびガス流量などにより調整することができ
る。また、p型のドーパントの添加量は、第2光電変換
層の不純物濃度が前記の範囲になるように調整すればよ
い。この添加量は、キャリアガス(例えば、水素)中の
p型のドーパントの濃度およびガス流量などにより調整
することができる。
【0031】気相成長における成長温度は、500℃以
下が好ましく、400〜500℃が特に好ましい。成長
温度を低温にすることで、第2光電変換層上に良好な界
面を有する第1光電変換層を形成することができる。一
方、成長温度が500℃を超える高温になると、導電性
支持体が融解することがあるので好ましくない。また、
気相成長における容器内の圧力は、76〜200Tor
rである。
【0032】酸化物半導体層43は、第1光電変換層4
4上に形成することができる。酸化物半導体層は、色素
を吸着させるために、多孔質であるのが好ましい。その
構成材料は、n型半導体の性質を示す酸化物半導体が好
ましく、具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ス
ズ、酸化タングステン、チタン酸バリウム、チタン酸ス
トロンチウムなどの酸化物またはこれら複合酸化物から
なる公知の半導体が挙げられる。これらの1種または2
種以上を用いることができ、中でも酸化チタンが特に好
ましい。その形態としては粒子状、膜状などが挙げら
れ、第1光電変換層上に形成された膜状の酸化物半導体
が特に好ましい。
【0033】次に、膜状の酸化物半導体層の形成方法に
ついて説明する。形成方法としては、公知の種々の方法
が挙げられる。具体的には、(1)半導体粒子を含有す
る懸濁液を第1光電変換層上に塗布し、乾燥および焼成
して酸化物半導体層を形成する方法、(2)所望の原料
ガスを用いたCVD法およびMOCVD法などにより、
第1光電変換層上に酸化物半導体層を形成する方法、
(3)原料固体を用いたPVD法、蒸着法、スパッタリ
ング法などにより、第1光電変換層上に酸化物半導体層
を形成する方法、(4)ゾルーゲル法、電気化学的な酸
化還元反応を利用した方法などにより、第1光電変換層
上に酸化物半導体層を形成する方法などが挙げられる。
【0034】酸化物半導体層の膜厚は、特に限定される
ものではないが、光透過性、光電変換効率などの観点か
ら、0.5〜20μm程度が好ましい。また、光電変換
効率を向上させるためには、より多くの色素を酸化物半
導体層に吸着させることが必要であり、このために酸化
物半導体層の比表面積は大きなものが好ましく、10〜
200m2/g程度が好ましい。
【0035】上記の酸化物半導体層の形成方法(1)に
ついて、具体的に説明する。材料となる半導体粒子を分
散剤、溶剤などに加え、分散させて懸濁液(ペースト)
を調製し、その懸濁液を第1光電変換層上に塗布する。
塗布方法としては、ドクターブレード法、スキージ法、
スピンコート法、スクリーン印刷法など公知の方法が挙
げられる。
【0036】その後、塗膜を乾燥および焼成することに
より、酸化物半導体層を得る。乾燥・焼成においては、
使用する第1光電変換層や半導体粒子の種類により、温
度、時間、雰囲気などの条件を適宜調整する必要があ
る。焼成は、例えば、大気雰囲気下または不活性ガス雰
囲気下、50〜800℃程度の範囲内で、10秒〜12
時間程度で行うことができる。この乾燥および焼成は、
単一の温度で1回または温度を変化させて2回以上行う
ことができる。
【0037】半導体粒子としては、市販されているもの
のうち適当な平均粒径、例えば1〜500nm程度の平
均粒径を有する、前記のような酸化物または複合酸化物
の半導体粒子などが挙げられる。また、この半導体粒子
を分散するために使用される溶剤は、エチレングリコー
ルモノメチルエーテルなどのグライム系溶剤、イソプロ
ピルアルコール、テルピネオールなどのアルコール系溶
剤、イソプロピルアルコール/トルエンなどの混合溶
剤、水などが挙げられる。
【0038】酸化物半導体層43に吸着して光増感剤と
して機能する色素48としては、種々の可視光領域およ
び/または赤外光領域に吸収をもつものであって、酸化
物半導体層に色素を強固に吸着させるために、色素分子
中にカルボキシル基、スルホン酸基、エステル基、メル
カプト基、ホスホニル基などのインターロック基を有す
るものが好ましい。なお、インターロック基は、励起状
態の色素と酸化物半導体の伝導帯との間の電子移動を容
易にする電気的結合を提供するものである。
【0039】インターロック基を有する色素としては、
例えば、ルテニウムビピリジン系色素、アゾ系色素、キ
ノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色
素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシア
ニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系
色素、ポリフィリン系色素、フタロシアニン系色素、ペ
リレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色
素などが挙げられ、これらの中で、ルテニウムビピリジ
ン系色素が特に好ましい。
【0040】酸化物半導体層に色素を吸着させる方法と
しては、例えば酸化物半導体層を、色素を溶解した溶液
(色素吸着用溶液)に浸漬する方法が挙げられる。色素
を溶解させる溶剤としては、色素を溶解するものであれ
ばよく、具体的には、エタノールなどのアルコール類、
アセトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒ
ドロフランなどのエーテル類、アセトニトリルなどの窒
素化合物類、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン
などの芳香族炭化水素、酢酸エチルなどのエステル類、
水などが挙げられる。これらの溶剤は2種以上を混合し
て用いることもできる。溶液中の色素濃度は、使用する
色素および溶剤の種類により適宜調整することができる
が、吸着機能を向上させるためにはできるだけ高濃度で
ある方が好ましい。色素濃度は、例えば5×10-5モル
/リットル以上であればよい。
【0041】上記のように吸着処理に付した酸化物半導
体層には、不活性な吸着、すなわち光電変換に寄与しな
い吸着(例えば、物理的吸着)をしている色素が存在す
る。このような色素は、光電変換の際に大きな抵抗とな
る可能性があり、吸着処理後に、エタノールなどのアル
コール類やアセトンなどのケトン類などの有機溶剤で酸
化物半導体層を洗浄するのが好ましい。また、洗浄後に
は乾燥を行うのがさらに好ましい。例えば、エタノール
で数回洗浄した後、約60℃で約15分間乾燥を行い、
洗浄溶剤を完全に除去する。なお、図3では、色素48
は酸化物半導体層43と第1光電変換層44との間に示
されているが、色素は酸化物半導体層の表面と内部に吸
着されている。
【0042】次に、酸化物半導体層43上に前記の材料
からなる透明性導電膜42を形成する。また、以上の工
程とは別に、前記の材料からなる透明支持体41上に前
記の材料からなる透明性導電膜42を形成して、導電性
支持体51を得る。得られた導電性支持体51の透明性
導電膜42と対極側支持体52の透明性導電膜42とが
対向するように設置して積層体を形成し、得られた積層
体の側面を封止材(例えば、エポキシ樹脂)で封止する
ことにより、光電変換装置を得る。
【0043】以上の工程をまとめると、本発明の光電変
換装置の製造方法は、(a)透明性導電膜と対になる対
極上にp型半導体の性質を示す第2光電変換層を形成す
る工程、(b)第2光電変換層上に真性半導体またはp
型半導体の性質を示す第1光電変換層(但し、第1光電
変換層がp型半導体の性質を示すとき、その不純物濃度
は第2光電変換層のp型半導体の性質を示す不純物濃度
よりも低い)を形成する工程、(c)第1光電変換層上
に酸化物半導体層を形成する工程、(d)酸化物半導体
層に色素を吸着させる工程、および(e)酸化物半導体
層上に透明性導電膜を形成する工程を含むことを特徴と
する。
【0044】本発明の光電変換装置は、太陽電池、光ス
イッチング装置、センサーなどのデバイスに適用でき
る。例えば、図2に示す光電変換装置を太陽電池に適用
した場合、太陽光が照射されると、酸化物半導体層43
中の色素48が光を吸収して励起され、第1光電変換層
44でも光を吸収して電子−ホール対が形成される。こ
れらの励起によって発生する電子が酸化物半導体層43
に移動し、次いで透明性導電膜42および外部電気回路
53を通って対極46に移動する。このようなプロセス
によって電流が流れ、光エネルギーが連続的に電気エネ
ルギーに変換される。
【0045】
【実施例】本発明を実施例および比較例によりさらに具
体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定
されるものではない。なお、以下の実施例および比較例
については、図2に基づいて説明する。
【0046】実施例1 まず、第2光電変換層45を作製した。支持体47とし
てのガラス基板に対極46としての白金を蒸着した対極
側支持体52上に、横型MOCVD法(有機金属気相成
長法)により、p型半導体の性質を示すAlSbからな
る、膜厚2μmの第2光電変換層45を形成した。用い
た原料と形成条件を以下に示す。
【0047】Al源:トリメチルアルミニウム 供給量1×10-5モル/分 Sb源:トリエチルアンチモン 供給量1×10-4モル/分 V/III比:10 全ガス流量:9リットル/分 p型ドーパント:ジエチル亜鉛 キャリアガス(水素)に400ppmまで希釈 流量は200〜500sccm 基板(対極側支持体)温度:500℃ CVD反応管内の圧力:76Torr 成長速度:0.2〜0.4μm/h
【0048】次に、第1光電変換層44を作製した。上
記のように形成した第2光電変換層45の上に、横型M
OCVD法により、真性半導体の性質を示すAlSbか
らなる、膜厚250nmの第1光電変換層44を形成し
た。用いた原料と形成条件を以下に示す。
【0049】Al源:トリメチルアルミニウム 供給量1×10-5モル/分 Sb源:トリエチルアンチモン 供給量1×10-4モル/分 V/III比:10 全ガス流量:9リットル/分 基板(第2光電変換層)温度:500℃ CVD反応管内の圧力:76Torr 成長速度:0.2〜0.4μm/h
【0050】次に、酸化物半導体層43を形成するため
の酸化チタンペーストを調製した。0.1M−硝酸水溶
液(キシダ化学株式会社製)750mlに、市販のチタ
ンイソプロポキシド(キシダ化学株式会社製)125m
lを滴下し、80℃で8時間加熱することにより加水分
解させて、ゾル液を調製した。得られたゾル液をチタン
製オートクレーブに投入し、250℃で12時間保持し
て、粒子を成長させ、さらに30分間、超音波分散を行
い、平均一次粒径15nmの酸化チタン粒子を含むコロ
イド溶液を得た(この工程で得られた酸化チタン粒子を
酸化チタンAとする)。
【0051】次に、得られたコロイド溶液をエバポレー
タで、酸化チタンAの濃度が15wt%になるまでゆっ
くりと濃縮を行い、さらにポリエチレングリコール(キ
シダ化学株式会社製、分子量20,000)と市販の酸
化チタン粒子(酸化チタンB、日本アエロジル株式会社
製、商品名:P−25、アナターゼ型:ルチル型=
(7:3)混合、平均一次粒径20nm)とを添加し、
酸化チタンAの濃度12wt%、ポリエチレングリコー
ルの濃度30wt%(酸化チタンAに対して)、酸化チ
タンBの濃度15wt%(酸化チタンAに対して)の組
成の酸化チタンペーストを得た。
【0052】上記のように形成した第1光電変換層44
の上に、10mm×10mm程度の面積で、ドクターブ
レード法により、酸化チタンペーストを塗布し、膜厚1
0μm程度の塗膜を得た。得られた塗膜を100℃で3
0分間予備乾燥した後、460℃で40分間、酸素下で
焼成した。その結果、膜厚8μm程度の酸化チタンから
なる酸化物半導体層43を得た。
【0053】次に、酸化物半導体層43に色素48を吸
着させた。ルテニウム色素(Solaronix社製、
商品名:Ruthenium535)を無水エタノール
に濃度4×10-4モル/リットルで溶解させ、吸着用色
素溶液を調製した。この吸着用色素溶液と、第2光電変
換層45、第1光電変換層44および酸化物半導体層4
3を形成した対極側支持体52を容器に入れ、約6時間
浸漬させることにより、酸化物半導体層43に色素48
を吸着させた。その後、無水エタノールで数回洗浄し、
約60℃で約20分間乾燥させた。
【0054】次に、色素48を吸着させた酸化物半導体
層43上に、マグネトロンスパッタリング法により透明
性導電膜42を形成した。用いた原料と形成条件を以下
に示す。 ターゲットソース:5N(99.999%)Sn イオン源:5N(99.999%)酸素ガス スパッタリングソース:5N(99.999%)アルゴ
ンガス 基板(酸化物半導体層)温度:80℃ 圧力:2×10-4Torr RFパワー:600W(13.56MHz) 成長速度:約0.2Å/秒
【0055】次に、上記と同様の条件で、透明支持体4
1上に透明性導電膜42を形成した。得られた導電性支
持体51の透明性導電膜42と対極側支持体52の透明
性導電膜42とが対向するように設置して積層体を形成
し、得られた積層体の側面を封止材(図示せず)として
のエポキシ系樹脂で封止することにより、光電変換装置
を得た。
【0056】得られた光電変換装置の変換効率を測定し
たところ、短絡電流密度:16.8mA/cm2、開放
電圧:0.70、FF:0.71、変換効率:8.35
%(測定条件:AM−1.5)であった。
【0057】酸化物半導体層、第1光電変換層および第
2光電変換層の伝導帯下端準位ならびに価電子帯上端準
位、色素のLUMO準位およびHOMO準位を、光電子
分光法、吸収スペクトルおよびサイクリックボルタンメ
トリー法により調べた結果、第1光電変換層の伝導帯
が、酸化物半導体層に吸着された色素のLUMO準位よ
りも真空準位側に存在し、かつ第1光電変換層の価電子
帯が酸化物半導体層に吸着された色素のHOMO準位よ
りも真空準位側に存在していることがわかった。また、
第2光電変換層の伝導帯が、第1光電変換層の伝導帯よ
りも真空準位側に存在し、かつ第2光電変換層の価電子
帯が第1光電変換層の価電子帯よりも真空準位側に存在
していることがわかった。
【0058】実施例2 第1光電変換層を作製する際のV/III比を15とする
こと以外は、実施例1と同様にして光電変換装置を作製
し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0059】実施例3 第1光電変換層を作製する際の基板(第2光電変換層)
の温度を400℃とすること以外は、実施例1と同様に
して光電変換装置を作製し、評価した。得られた結果を
表1に示す。
【0060】実施例4 第1光電変換層を作製する際のCVD反応管内の圧力を
200Torrとすること以外は、実施例1と同様にし
て光電変換装置を作製し、評価した。得られた結果を表
1に示す。
【0061】実施例5 第1光電変換層の膜厚を150nmとすること以外は、
実施例1と同様にして光電変換装置を作製し、評価し
た。得られた結果を表1に示す。
【0062】実施例6 第1光電変換層の膜厚を500nmとすること以外は、
実施例1と同様にして光電変換装置を作製し、評価し
た。得られた結果を表1に示す。
【0063】実施例7 第1光電変換層を作製する際のCVD反応管内の圧力を
200Torrとし、第1光電変換層の膜厚を500n
mとすること以外は、実施例1と同様にして光電変換装
置を作製し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0064】実施例8 第2光電変換層の膜厚を1μmとすること以外は、実施
例1と同様にして光電変換装置を作製し、評価した。得
られた結果を表1に示す。
【0065】実施例9 第2光電変換層を作製する際のV/III比を15とする
こと以外は、実施例1と同様にして光電変換装置を作製
し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0066】実施例10 第2光電変換層を作製する際の基板(対極側支持体)の
温度を400℃とすること以外は、実施例1と同様にし
て光電変換装置を作製し、評価した。得られた結果を表
1に示す。
【0067】比較例1 第1光電変換層を作製せず、第2光電変換層上に酸化物
半導体層を作製すること以外は、実施例1と同様にして
光電変換装置を作製し、評価した。得られた結果を表1
に示す。
【0068】実施例11 CuSCNを用い、以下のようにして第2光電変換層を
作製すること以外は、実施例1と同様にして光電変換装
置を作製した。CuSCN(キシダ化学株式会社製)を
アセトニトリルに溶解させて飽和溶液を調製した。その
後、支持体47としてのガラス基板に対極46としての
白金を蒸着した対極側支持体52を、80℃に加熱した
ホットプレート上に設置した。この対極側支持体52の
対極46上に、調製したCuSCN飽和溶液の滴下を繰
り返して、膜厚2μmのCuSCN膜を形成した。作製
した光電変換装置について、実施例1と同様にして評価
した。得られた結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】第1光電変換層または第2光電変換層の作
製条件を変化させること(実施例1〜10)、第2光電
変換層の材料を代えること(実施例11)により、光電
変換装置の光電変換効率に変化が見られた。第1光電変
換層について、実施例1に対して、V/III比を増加さ
せた実施例2、基板温度を低下させた実施例3、反応管
内の圧力を増加させた実施例4では、いずれも第1光電
変換層の結晶性が悪化したために十分に光を取り込むこ
とができず、短絡電流密度が低下したものと考えられ
る。また、結晶性の悪化により、直列抵抗成分が増加し
たために、FFも低下したものと考えられる。
【0071】また、実施例1に対して、第1光電変換層
の膜厚を薄くした実施例5では、光の吸収が十分でない
ために短絡電流密度が低下したものと思われる。逆に第
1光電変換層の膜厚を厚くした実施例6では、光の吸収
が十分であっても、直列抵抗成分が増加したために、F
Fが低下したものと考えられる。反応管内の圧力を増加
させ、かつ第1光電変換層の膜厚を厚くした実施例7で
は、上記の実施例4と実施例6を反映した結果になって
いる。
【0072】一方、第2光電変換層について、実施例1
に対して、第2光電変換層の膜厚を薄くした実施例8で
は、光電変換効率の増加が見られた。これは、膜厚を薄
くすることによって直列抵抗成分が減少し、FFが改善
されたためと考えられる。また、V/III比を増加させた
実施例9、基板温度を低下させた実施例10では、いず
れも第2光電変換層の結晶性が悪化したために十分に光
を取り込むことができず、短絡電流密度が低下したもの
と考えられる。また、結晶性の悪化により、直列抵抗成
分が増加したために、FFも低下したものと考えられ
る。
【0073】第2光電変換層の材料として、実施例1の
AlSbの代わりにCuSCNを用いた実施例11で
は、実施例1ほどの良好な結果は得られなかった。これ
は、CuSCNの結晶性がAlSbよりも悪いために、
FFが低下したものと考えられる。
【0074】以上のように、作製条件の違いにより光電
変換装置の特性は変化するものの、第1光電変換層を導
入した本発明の光電変換装置(実施例1〜11)は、従
来の光電変換装置(比較例1)と比較して、明らかに短
絡電流密度が高く、これにより高い光電変換効率を実現
できることがわかる。
【0075】
【発明の効果】本発明の光電変換装置は、受光面側から
透明性導電膜、色素を吸着した酸化物半導体層、真性半
導体またはp型半導体の性質を示す第1光電変換層、p
型半導体の性質を示す第2光電変換層、および対極が順
次積層されてなる。したがって、本発明によれば、酸化
物半導体層に吸着した色素ばかりでなく、第1光電変換
層でも光を吸収させることができ、短絡電流密度の増加
を図り、太陽光を有効に利用することができ、優れた光
電変換効率を有する光電変換装置を提供することができ
る。
【0076】また、本発明の光電変換装置は、従来の光
電変換装置と比較して、光を吸収する波長範囲が広く、
より多くの電流を得ることができ、高変換効率の光電変
換装置およびそれを用いた太陽電池を提供することがで
きる。さらに、本発明の光電変換装置では、従来の光電
変換装置において用いられていた液体の電解質層を使用
しないので、液漏れの恐れがない固体化した太陽電池を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な色素増感型光電変換装置のエネルギー
準位を模式的に示す図である。
【図2】本発明の色素増感型光電変換装置を模式的に示
す概略断面図である。
【図3】本発明の色素増感型光電変換装置のエネルギー
準位を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 透明導電層 2 伝導帯 3 フェルミ準位 4 光電変換層 5、53 外部電気回路 11 LUMO準位 12 HOMO準位 21 酸化還元準位 31 対極層 41 透明支持体 42 透明性導電膜 43 酸化物半導体層 44 第1光電変換層 45 第2光電変換層 46 対極 47 支持体 48 色素 51 導電性支持体 52 対極側支持体 ECB 伝導帯(伝導帯下端準位) EVB 価電子帯(価電子帯上端準位) LUMO LUMO準位 HOMO HOMO準位
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5F051 AA14 BA17 FA04 FA06 GA03 5H032 AA06 AS06 AS16 BB05 EE01 EE02 EE07 EE16 HH02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明性導電膜上に、色素を吸着した酸化
    物半導体層、真性半導体またはp型半導体の性質を示す
    第1光電変換層、p型半導体の性質を示す第2光電変換
    層(但し、第1光電変換層がp型半導体の性質を示すと
    き、その不純物濃度は第2光電変換層のp型半導体の性
    質を示す不純物濃度よりも低い)、および対極が順次積
    層されてなることを特徴とする色素増感型光電変換装
    置。
  2. 【請求項2】 酸化物半導体層が、n型半導体の性質を
    示す酸化チタンにより形成されてなる請求項1に記載の
    色素増感型光電変換装置。
  3. 【請求項3】 第1光電変換層が真性半導体の性質を示
    すAlSbにより形成され、かつ第2光電変換層がp型
    半導体の性質を示すAlSbまたはCuSCNにより形
    成されてなる請求項1または2に記載の色素増感型光電
    変換装置。
  4. 【請求項4】 第1光電変換層がp型半導体の性質を示
    す不純物濃度1×1017〜1×1018/cm3のAlS
    bにより形成され、かつ第2光電変換層がp型半導体の
    性質を示す不純物濃度1×1018〜1×1019/cm3
    のAlSbまたはCuSCNにより形成されてなる請求
    項1または2に記載の色素増感型光電変換装置。
  5. 【請求項5】 (a)透明性導電膜と対になる対極上に
    p型半導体の性質を示す第2光電変換層を形成する工
    程、(b)第2光電変換層上に真性半導体またはp型半
    導体の性質を示す第1光電変換層(但し、第1光電変換
    層がp型半導体の性質を示すとき、その不純物濃度は第
    2光電変換層のp型半導体の性質を示す不純物濃度より
    も低い)を形成する工程、(c)第1光電変換層上に酸
    化物半導体層を形成する工程、(d)酸化物半導体層に
    色素を吸着させる工程、および(e)酸化物半導体層上
    に透明性導電膜を形成する工程を含むことを特徴とする
    色素増感型光電変換装置の製造方法。
  6. 【請求項6】 工程(a)において、Al源としてトリ
    メチルアルミニウム、Sb源としてトリエチルアンチモ
    ン、p型のドーパントとしてジエチル亜鉛を用いた気相
    成長法により、p型半導体の性質を示すAlSbからな
    る第2光電変換層を形成するか、またはCuSCNの飽
    和溶液を用いた滴下析出法により、p型半導体の性質を
    示すCuSCNからなる第2光電変換層を形成する請求
    項5に記載の色素増感型光電変換装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 工程(b)において、Al源としてトリ
    メチルアルミニウム、Sb源としてトリエチルアンチモ
    ンを用いた気相成長法により、真性半導体の性質を示す
    AlSbからなる第1光電変換層を形成する請求項5ま
    たは6に記載の色素増感型光電変換装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜4のいずれか1つに記載の色
    素増感型光電変換装置により形成された太陽電池。
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