JP2012064440A - 光電変換素子及び太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い光電変換効率を有し、耐熱性、耐光性を有する光電変換素子及び該光電変換素子を用いた太陽電池を提供することである。
【解決手段】可撓性を有する透光性絶縁基板の上に、少なくとも、透光性を有する第1電極、透光性を有し電子輸送性を有する整流層、内部に正孔輸送材料を含有し且つ色素が吸着された多孔質半導体を含有する半導体層、固体正孔輸送層及び第2電極を、この順に有する光電変換素子において、前記整流層の上に、体積抵抗率が整流層の体積抵抗率より大きい中間抵抗層を有することを特徴とする光電変換素子。
【選択図】なし
【解決手段】可撓性を有する透光性絶縁基板の上に、少なくとも、透光性を有する第1電極、透光性を有し電子輸送性を有する整流層、内部に正孔輸送材料を含有し且つ色素が吸着された多孔質半導体を含有する半導体層、固体正孔輸送層及び第2電極を、この順に有する光電変換素子において、前記整流層の上に、体積抵抗率が整流層の体積抵抗率より大きい中間抵抗層を有することを特徴とする光電変換素子。
【選択図】なし
Description
本発明は、色素増感型の光電変換素子及び該光電変換素子を用いた太陽電池に関する。
近年、無限で有害物質を発生しない太陽光の利用が精力的に検討されている。このクリーンエネルギー源である太陽光利用として現在実用化されているものは、住宅用の単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン及びテルル化カドミウムやセレン化インジウム銅等の無機系太陽電池が挙げられる。
しかしながら、これらの無機系太陽電池の欠点としては、例えば、シリコン系では非常に純度の高いものが要求され、当然精製の工程は複雑でプロセス数が多く、製造コストが高いことが挙げられる。
その一方で、有機材料を使う太陽電池も多く提案されている。有機太陽電池としては、p型有機半導体と仕事関数の小さい金属を接合させるショットキー型光電変換素子、p型有機半導体とn型無機半導体、あるいはp型有機半導体と電子受容性有機化合物を接合させるヘテロ接合型光電変換素子等があり、利用される有機半導体は、クロロフィル、ペリレン等の合成色素や顔料、ポリアセチレン等の導電性高分子材料またはそれらの複合材料等である。これらを真空蒸着法、キャスト法またはディッピング法等により、薄膜化し電池材料が構成されている。有機材料は低コスト、大面積化が容易等の長所もあるが、変換効率は1%以下と低いものが多く、また耐久性も悪いという問題もあった。
こうした状況の中で、良好な変換効率を示す太陽電池として、色素増感型太陽電池が提案され開発されている。特に、電解質溶液を用いず、固体の固体正孔輸送層を用いた太陽電池は、電解質溶液の揮発、液漏れ、色素の離脱といった問題が無く、広く開発が行われている。
この太陽電池は、第1電極、半導体層、固体正孔輸送層及び第2電極が順に積層された構成になっている。ここで、半導体層は、酸化チタン等の半導体多孔質に色素を吸着させた層を用いている。
しかし、半導体層は多孔質であるため、固体正孔輸送層と第1電極とが短絡して、逆方向の電子移動が生じる部分があり、光電変換効率が上がらないといった問題があった。
そこで、電荷の逆流を防止するために、第1電極と半導体層との間に、整流層を設けることが提案されている。
特許文献1には、水溶性のチタン化合物から得られた酸化チタンの分散液を用いて形成された整流層が記載されている。
特許文献2には、スパッタリング法等を用いて形成した非晶質の酸化チタンからなる整流層が記載されている。
特許文献3には、金属アルコキシド等の金属化合物を溶質として含む有機溶媒溶液からなる塗布液を塗布し、熱処理することにより金属酸化物からなる整流層を形成することが記載されている。
上記の整流層を設けることにより、ある程度、光電変換効率は改善されるが、これらの整流層は、ブロッキング性(電子の逆流防止性能)において必ずしも十分ではなく、光電変換効率が十分高くない。また、長期にわたり使用した場合、光電変換効率の低下が生じていた。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、高い光電変換効率を有し、耐熱性、耐光性を有する光電変換素子及び該光電変換素子を用いた太陽電池を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
1.可撓性を有する透光性絶縁基板の上に、少なくとも、透光性を有する第1電極、透光性を有し電子輸送性を有する整流層、内部に正孔輸送材料を含有し且つ色素が吸着された多孔質半導体を含有する半導体層、固体正孔輸送層及び第2電極を、この順に有する光電変換素子において、前記整流層の上に、体積抵抗率が整流層の体積抵抗率より大きい中間抵抗層を有することを特徴とする光電変換素子。
2.前記中間抵抗層の体積抵抗率が、1×109Ωm以上であることを特徴とする前記1に記載の光電変換素子。
3.前記中間抵抗層がSi原子を含むことを特徴とする前記1または2に記載の光電変換素子。
4.前記1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子を用いたことを特徴とする太陽電池。
本発明により、高い光電変換効率を有し、耐熱性、耐光性を有する光電変換素子及び該光電変換素子を用いた太陽電池を提供することができた。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、可撓性を有する透光性絶縁基板の上に、少なくとも、透光性を有する第1電極、透光性を有し電子輸送性を有する整流層、内部に正孔輸送材料を含有し且つ色素が吸着された多孔質半導体を含有する半導体層、固体正孔輸送層及び第2電極を、この順に有する光電変換素子において、前記整流層の上に、体積抵抗率が整流層の体積抵抗率より大きい中間抵抗層を設けることにより、高い光電変換効率を有し、耐熱性、耐光性を有する光電変換素子を提供できることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明を詳細に説明する。
《光電変換素子》
図1は本発明の光電変換素子の層構成を示す断面図である。基板1上に第1電極2、整流層3、中間抵抗層4、色素51を担持した半導体52を含有する半導体層5、固体正孔輸送層6、及び、第2電極7を順に積層した構成を有する。
図1は本発明の光電変換素子の層構成を示す断面図である。基板1上に第1電極2、整流層3、中間抵抗層4、色素51を担持した半導体52を含有する半導体層5、固体正孔輸送層6、及び、第2電極7を順に積層した構成を有する。
前記第1電極は透明であり、半導体層が起電力を発生するための光を透過する。基板は透明な絶縁性材料から選択され、光は基板側から照射される。
透明な透光性絶縁基板としては、ガラス、プラスチックフィルム等が挙げられる。
〔中間抵抗層〕
本発明は、透光性を有し電子輸送性を有する整流層(後述)の上に、体積抵抗率が整流層の体積抵抗率より大きい中間抵抗層を有することが特徴である。
本発明は、透光性を有し電子輸送性を有する整流層(後述)の上に、体積抵抗率が整流層の体積抵抗率より大きい中間抵抗層を有することが特徴である。
整流層は第1電極から固体正孔輸送層に電子が逆流するのを防止する効果を有し、整流層を設けることにより、ある程度、光電変換効率は改善されるが、これらの整流層は、ブロッキング性(電子の逆流防止性能)において必ずしも十分ではなく、光電変換効率が十分高くない。また、長期にわたり使用した場合、光電変換効率の低下が生じていた。
本発明者らは、これらの原因について鋭意検討した結果、多孔質の半導体を整流層上に塗布して形成したとき、半導体は連続した膜状にならずに、島状に形成され、整流層と半導体との非接触箇所が生じるため、半導体層で発生した電子の一部は、整流層、第1電極の方向に流れず、整流層、この非接触箇所を通じて固体正孔輸送層への逆流が発生することが分かった。本発明では、整流層の上に、体積抵抗率が整流層の体積抵抗率より大きい中間抵抗層を設けることで、この逆流を防止する。従って、整流層と半導体とが接触している箇所には逆流防止の中間抵抗層はなくてもよい。中間抵抗層は連続した膜状ではなく、整流層と半導体とが接触している箇所だけがない、穴の空いた膜状でもよい。
中間抵抗層の体積抵抗率は、1×109Ωm以上であることが好ましい。中間抵抗層の体積抵抗率の上限は、1×1016Ωm程度である。中間抵抗層の体積抵抗率が、1×109Ωm以上の場合には、高温環境等で素子が劣化しやすい環境においても劣化せず、良好な変換効率が維持される。
体積抵抗率は、以下の方法で測定される。
試料を測定用に別途作製する。スライドガラス上に整流層、または中間抵抗層試料を塗布、設置する。膜厚は、Dektak3030(SLOAN TECHNOLOGY社製)で測定した。体積抵抗率の測定は、抵抗計(三菱油化電子社製、ハイレスタあるいはローレスタ)を用いた。体積抵抗率106Ωcm以上ではハイレスタを、体積抵抗率106Ωcm以下ではローレスタを用いる。ハイレスタを用いる場合には、測定電圧10V、測定時間10秒で測定された値を用いる。詳しくは任意の5点の計測値を得、それらの平均値を体積抵抗率とする。ローレスタを用いる場合には、測定電圧10V、測定時間10秒で測定された値を用い、任意の5点の計測値を得る。それらの平均値を体積抵抗率とする。なお測定環境は温度23℃、湿度45%とする。
前記中間抵抗層は、金属酸化物により形成されることが好ましい。金属酸化物を形成しうる金属元素としては、例えば、Zn、Al、Mg、Nb、Si、Ti等が挙げられるが、容易に入手でき硬く緻密な皮膜が形成できることから、Mg、Si、Tiが好ましく、特にSiが好ましい。中間抵抗層を形成する酸化物としては、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化珪素が好ましい。
前記中間抵抗層の形成方法としては、(A)蒸着法、(B)スパッタリング法、(C)金属化合物を有する塗布液を塗布後に焼成により酸化物皮膜を形成する方法等が挙げられる。
(C)の塗布液としては、アルコキシシラン、酸化マグネシウム、チタンアルコキシドを有機溶剤に溶解、分散した溶液が好ましい。(C)の塗布方法としては、スピンコート法、噴霧法、浸漬方等がある。該噴霧法としては、アルコキシシラン、酸化マグネシウム、チタンアルコキシド等を有機溶剤に溶解、分散した原料溶液を、スプレー熱分解薄膜形成装置を用いて、高温に保持した基板上に噴霧しながら同時に焼成する方法が好ましい。ここで、基板の温度は元の温度(原料溶液を噴霧する前の基板の温度)を焼成温度に保持し、噴霧中も元の温度に対し±10℃の範囲で基板の温度を保持することが好ましい。
前記中間抵抗層の厚みは、ピンホールを防止して十分な逆流防止効果が得られる点から5nm以上が好ましく、抵抗を小さく抑えることから1μm以下であることが好ましい。
〔第1電極、第2電極〕
第1電極は透明導電層である。透明電極と対向する第2電極は不透明導電層であってもよい。
第1電極は透明導電層である。透明電極と対向する第2電極は不透明導電層であってもよい。
透明導電層とは、導電層のうち実質的に透明であるものを指し、実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。透明導電層を形成する材料としては、例えばITO、FTO、SnO2、ZnOが挙げられるが、高い生産性と高い透明性の点からFTOが好ましい。
不透明導電層に用いられる材料の例としては、金属(例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム、チタン)あるいは導電性金属酸化物(例えば、インジウム、スズ、亜鉛、ガリウム等の酸化物、及びこれらの元素の複合酸化物)や炭素を挙げることができる。酸化スズを用いる時はフッ素ドーピングをしたものを用いるのが好ましい。不透明導電層は表面抵抗が50Ω/cm2以下であることが好ましく、10Ω/cm2以下であることがさらに好ましい。
不透明導電層は、I3 −イオン等の酸化や他のレドックスイオンの還元反応を十分な速さで行わせる触媒能を持った物質であることが好ましい。このようなものとしては、白金電極、導電材料表面に白金メッキや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、カーボン、ポリピロール等が挙げられる。
〔半導体層〕
本発明に係る半導体層の作製方法について説明する。
本発明に係る半導体層の作製方法について説明する。
(半導体)
本発明に係る多孔質半導体を焼成により作製する場合には、色素を用いた半導体の増感処理(吸着、多孔質への入り込み等)は、半導体の焼成後に実施することが好ましい。焼成後、半導体に水が吸着する前に素早く色素の吸着処理を実施することが特に好ましい。
本発明に係る多孔質半導体を焼成により作製する場合には、色素を用いた半導体の増感処理(吸着、多孔質への入り込み等)は、半導体の焼成後に実施することが好ましい。焼成後、半導体に水が吸着する前に素早く色素の吸着処理を実施することが特に好ましい。
本発明に係る半導体が粒子状の場合には、半導体を整流層に塗布あるいは吹きつけて作製するのがよい。また、半導体が膜状であって、整流層上に保持されていない場合には、半導体を整流層上に貼合して作製することが好ましい。
本発明の光電変換素子において、半導体としては、周期表(元素周期表ともいう)の第3族〜第5族、第13族〜第15族系の元素を有する化合物、金属のカルコゲニド(例えば、酸化物、硫化物、セレン化物等)、金属窒化物等を使用することができる。
好ましい金属のカルコゲニドとして、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、またはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモンまたはビスマスの硫化物、カドミウムまたは鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の半導体としては、亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素または銅−インジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物、チタンの窒化物等が挙げられる。
具体例としては、TiO2、ZrO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、Ta2O5、CdS、ZnS、PbS、Bi2S3、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2、Ti3N4等が挙げられるが、好ましく用いられるのは、TiO2、ZnO、SnO2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、CdS、PbSであり、より好ましく用いられるのは、TiO2またはSnO2であるが、中でも特に好ましく用いられるのはTiO2である。
半導体は、上述した複数の半導体を併用して用いてもよい。例えば、上述した金属酸化物もしくは金属硫化物の数種類を併用することもでき、また酸化チタン半導体に20質量%の窒化チタン(Ti3N4)を混合して使用してもよい。また、J.Chem.Soc.Chem.Commun.,15(1999)記載の酸化亜鉛/酸化錫複合としてもよい。この時、半導体として金属酸化物もしくは金属硫化物以外に成分を加える場合、追加成分の金属酸化物もしくは金属硫化物半導体に対する質量比は30%以下であることが好ましい。
(半導体微粉末含有塗布液の調製)
まず、半導体の微粉末を含む塗布液を調製する。この半導体微粉末はその1次粒子径が微細な程好ましく、その1次粒子径は1〜5000nmが好ましく、さらに好ましくは2〜50nmである。半導体微粉末を含む塗布液は、半導体微粉末を溶媒中に分散することによって調製することができる。溶媒中に分散された半導体微粉末は、その1次粒子状で分散する。溶媒としては半導体微粉末を分散し得るものであればよく、特に制約されない。
まず、半導体の微粉末を含む塗布液を調製する。この半導体微粉末はその1次粒子径が微細な程好ましく、その1次粒子径は1〜5000nmが好ましく、さらに好ましくは2〜50nmである。半導体微粉末を含む塗布液は、半導体微粉末を溶媒中に分散することによって調製することができる。溶媒中に分散された半導体微粉末は、その1次粒子状で分散する。溶媒としては半導体微粉末を分散し得るものであればよく、特に制約されない。
前記溶媒としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合液が含まれる。有機溶媒としては、メタノールやエタノール等のアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素等が用いられる。塗布液中には、必要に応じ界面活性剤や粘度調節剤(ポリエチレングリコール等の多価アルコール等)を加えることができる。溶媒中の半導体微粉末濃度の範囲は0.1〜70質量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜30質量%である。
(半導体微粉末含有塗布液の塗布と形成された半導体層の焼成処理)
上記のようにして得られた半導体微粉末含有塗布液を、導電性支持体(透光性絶縁基板上に第1電極を有する支持体)上に塗布または吹きつけ、乾燥等を行った後、空気中または不活性ガス中で焼成して、導電性支持体上に半導体層(半導体膜)が形成される。
上記のようにして得られた半導体微粉末含有塗布液を、導電性支持体(透光性絶縁基板上に第1電極を有する支持体)上に塗布または吹きつけ、乾燥等を行った後、空気中または不活性ガス中で焼成して、導電性支持体上に半導体層(半導体膜)が形成される。
導電性支持体上に塗布液を塗布、乾燥して得られる皮膜は、半導体微粒子の集合体からなるもので、その微粒子の粒径は使用した半導体微粉末の1次粒子径に対応するものである。
このようにして導電性支持体等の基板上に形成された半導体微粒子集合体膜は、導電性支持体との結合力や微粒子相互の結合力が弱く、機械的強度の弱いものであることから、機械的強度を高め、基板に強く固着した焼成物膜とするため、前記半導体微粒子集合体膜の焼成処理が好ましく行われる。
本発明においては、この焼成処理で得られる焼成物膜は、多孔質構造膜(空隙を有する、ポーラスな層ともいう)である。
ここで、本発明に係る半導体薄膜の空隙率は10体積%以下が好ましく、さらに好ましくは8体積%以下であり、特に好ましくは0.01〜5体積%以下である。なお、半導体薄膜の空隙率は誘電体の厚み方向に貫通性のある空隙率を意味し、水銀ポロシメーター(島津ポアライザー9220型)等の市販の装置を用いて測定することができる。
多孔質構造を有する焼成物膜になった半導体層の膜厚は、10nm以上が好ましく、さらに好ましくは100〜10000nmである。
焼成処理時、焼成物膜の実表面積を適切に調製し、上記の空隙率を有する焼成物膜を得る観点から、焼成温度は1000℃より低いことが好ましく、さらに好ましくは200〜800℃の範囲であり、特に好ましくは300〜800℃の範囲である。
また、見かけ表面積に対する実表面積の比は、半導体微粒子の粒径及び比表面積や焼成温度等によりコントロールすることができる。また、加熱処理後、半導体粒子の表面積を増大させたり、半導体粒子近傍の純度を高め、色素から半導体粒子への電子注入効率を高めたりする目的で、例えば、四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
(色素)
本発明では、半導体に色素(増感色素)を担持させている。電荷の半導体薄膜への効率的な注入の観点から、上記色素はカルボキシル基を有することが好ましい。以下に、色素の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明では、半導体に色素(増感色素)を担持させている。電荷の半導体薄膜への効率的な注入の観点から、上記色素はカルボキシル基を有することが好ましい。以下に、色素の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(半導体の増感処理)
半導体粒子に色素を担持する際、色素同士の会合を防ぐために包接化合物の共存下、色素を担持することが効果的である。ここで包摂化合物としてはコール酸等のステロイド系化合物、クラウンエーテル、シクロデキストリン、カリックスアレン、ポリエチレンオキサイドなどが挙げられるが、好ましいものとしてはデオキシコール酸、デヒドロデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、コール酸メチルエステル、コール酸ナトリウム等のコール酸類、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。
半導体粒子に色素を担持する際、色素同士の会合を防ぐために包接化合物の共存下、色素を担持することが効果的である。ここで包摂化合物としてはコール酸等のステロイド系化合物、クラウンエーテル、シクロデキストリン、カリックスアレン、ポリエチレンオキサイドなどが挙げられるが、好ましいものとしてはデオキシコール酸、デヒドロデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、コール酸メチルエステル、コール酸ナトリウム等のコール酸類、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。
半導体の増感処理は上記のように色素を適切な溶媒に溶解し、その溶液に前記半導体を焼成して固着した基板を浸漬することによって行われる。その際には、半導体層(半導体膜ともいう)を焼成により形成し、基板を予め減圧処理や加熱処理して膜中の気泡を除去し、色素が半導体層(半導体膜)内部深くに進入できるようにしておくことが好ましく、半導体層(半導体膜)が多孔質構造膜である場合には特に好ましい。
色素を溶解するのに用いる溶媒は、溶解することができ、かつ半導体を溶解したり半導体と反応したりすることのないものであれば格別の制限はないが、溶媒に溶解している水分及び気体が半導体膜に進入して、前記色素の吸着等の増感処理を妨げることを防ぐために、予め脱気及び蒸留精製しておくことが好ましい。
好ましく用いられる溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒であり、混合溶媒を用いてもよい。特に好ましくはエタノール、t−ブチルアルコール、アセトニトリルである。
半導体を焼成した基板を、色素を含む溶液に浸漬する時間は、半導体層(半導体膜)に前記色素が深く進入して吸着等を十分に進行させ、半導体を十分に増感させ、かつ溶液中で前記色素の分解等により生成した分解物が色素の吸着を妨害することを抑制する観点から、25℃では1〜48時間が好ましく、さらに好ましくは3〜24時間である。この温度、時間は、特に半導体膜が多孔質構造膜である場合に好ましい。ただし、浸漬時間については25℃での値であり、温度条件を変化させて場合にはこの限りではない。
浸漬しておくに当たり、色素を含む溶液は、色素が分解しない限り、沸騰しない温度にまで加熱して用いてもよい。好ましい温度範囲は10〜100℃であり、さらに好ましくは25〜80℃であるが、前記の通り溶媒が前記温度範囲で沸騰する場合はこの限りでない。
色素を用いて増感処理を行う場合、色素を単独で用いてもよいし、複数を併用することもできる。
また、本発明に好ましいカルボキシル基を有する色素と他の色素を併用して用いることもできる。併用して用いることのできる色素としては、本発明に係る半導体層を分光増感しうるものならばいずれの色素も用いることができる。光電変換の波長域をできるだけ広くし、かつ光電変換効率を上げるため2種類以上の色素を混合することが好ましい。また、目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように混合する色素とその割合を選ぶことができる。
特に、本発明の光電変換素子の用途が後述する太陽電池である場合には、光電変換の波長域をできるだけ広くして太陽光を有効に利用できるように、吸収波長の異なる二種類以上の色素を混合して用いることが好ましい。
併用して用いる色素の中では、光電子移動反応活性、光耐久性、光化学的安定性等の総合的な観点から、金属錯体色素、フタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、ポリメチン系色素が好ましく用いられる。
本発明に好ましいカルボキシル基を有する色素と併用して用いることのできる色素としては、例えば、米国特許第4,684,537号明細書、同4,927,721号明細書、同5,084,365号明細書、同5,350,644号明細書、同5,463,057号明細書、同5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2000−150007号公報等に記載の色素を挙げることができる。
半導体層に色素を含ませるには、前記色素を適切な溶媒(エタノール等)に溶解し、その溶液中によく乾燥した半導体を長時間浸漬する方法が一般的である。
色素を複数種類併用したり、本発明に好ましいカルボキシル基を有する色素以外の他の色素を併用したりして増感処理する際には、各々の色素の混合溶液を調製して用いてもよいし、それぞれの色素について溶液を用意して、各溶液に順に浸漬して作製することもできる。各色素について別々の溶液を用意し、各溶液に順に浸漬して作製する場合は、半導体層に前記色素を含ませる順序がどのようであっても、本発明に記載の効果を得ることができる。また、色素を単独で吸着させた半導体微粒子を混合する等により作製してもよい。
吸着処理は、半導体層が粒子状の時に行ってもよいし、支持体上に膜を形成した後に行ってもよい。吸着処理に用いる化合物を溶解した溶液はそれを常温で用いてもよいし、該化合物が分解せず溶液が沸騰しない温度範囲で加熱して用いてもよい。また、後述する光電変換素子の製造のように、半導体微粒子の塗布後に前記色素の吸着を実施してもよい。また、半導体微粒子と色素とを同時に塗布することにより、色素の吸着を実施してもよい。また、未吸着の色素は洗浄によって除去することができる。
また、本発明に係る半導体層の増感処理については、半導体が色素を含むことにより増感処理が行われるが、増感処理の詳細については、後述する光電変換素子のところで具体的に説明する。
また、空隙率の高い半導体薄膜を有する半導体層の場合には、空隙に水分、水蒸気等により水が半導体薄膜上、及び半導体薄膜内部の空隙に吸着する前に、前記色素の吸着処理(半導体層の増感処理)を完了することが好ましい。
〔固体正孔輸送層〕
固体正孔輸送層は、レドックス電解質の分散物や正孔輸送材料としてのp型化合物半導体(正孔輸送剤)を主成分として構成されている。
固体正孔輸送層は、レドックス電解質の分散物や正孔輸送材料としてのp型化合物半導体(正孔輸送剤)を主成分として構成されている。
レドックス電解質としては、I−/I3 −系や、Br−/Br3 −系、キノン/ハイドロキノン系等が挙げられる。このようなレドックス電解質は従来公知の方法によって得ることができ、例えば、I−/I3 −系の電解質は、ヨウ素のアンモニウム塩とヨウ素を混合することによって得ることができる。これらの分散物は溶液である場合に液体電解質、常温において固体である高分子中に分散させた場合に固体高分子電解質、ゲル状物質に分散された場合にゲル電解質と呼ばれる。固体正孔輸送層として液体電解質が用いられる場合、その溶媒としては電気化学的に不活性なものが用いられ、例えば、アセトニトリル、炭酸プロピレン、エチレンカーボネート等が用いられる。
本発明では、光電変換素子の取り扱い性及び耐久性の点から固体の電解質を用いた固体正孔輸送層を使用する。固体高分子電解質の例としては、特開2001−160427号公報記載の電解質が、ゲル電解質の例としては「表面科学」21巻、第5号288〜293頁に記載の電解質が挙げられる。
正孔輸送剤としては、色素吸収を妨げないために大きいバンドギャップを持つことが好ましい。本発明で使用する正孔輸送剤のバンドギャップは、2eV以上であることが好ましく、さらに2.5eV以上であることが好ましい。また、正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルは色素ホールを還元するためには、色素吸着電極イオン化ポテンシャルより小さいことが必要である。使用する色素によって固体正孔輸送層に使用する正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルの好ましい範囲は異なってくるが、一般に4.5eV以上5.5eV以下が好ましく、さらに4.7eV以上5.3eV以下が好ましい。
正孔輸送剤としては、正孔の輸送能力が優れている芳香族アミン誘導体が好ましい。このため、固体正孔輸送層を主として芳香族アミン誘導体で構成することにより、光電変換効率をより向上させることができる。芳香族アミン誘導体としては、特に、トリフェニルジアミン誘導体を用いるのが好ましい。トリフェニルジアミン誘導体は、芳香族アミン誘導体の中でも、特に正孔の輸送能力が優れている。また、このような芳香族アミン誘導体は、モノマー、オリゴマー、プレポリマー、ポリマーのいずれを用いてもよく、これらを混合して用いてもよい。
前記正孔輸送剤は多孔質の半導体層上に塗布され、固体正孔輸送層が形成される。このとき、正孔輸送剤は多孔質の半導体に浸透し、内部に正孔輸送材料を含有し且つ色素が吸着された多孔質半導体を含有する半導体層が得られる。
〔整流層〕
前記正孔輸送剤は多孔質の半導体層上に塗布され、固体正孔輸送層が形成される。前記整流層がない場合、正孔輸送剤は多孔質の半導体層に浸透し、第1電極と接触し、第1電極から、正孔輸送剤、固体正孔輸送層への電子の逆流が発生する。前記整流層は前記第1電極から固体正孔輸送層に電子が逆流するのを防止する。
前記正孔輸送剤は多孔質の半導体層上に塗布され、固体正孔輸送層が形成される。前記整流層がない場合、正孔輸送剤は多孔質の半導体層に浸透し、第1電極と接触し、第1電極から、正孔輸送剤、固体正孔輸送層への電子の逆流が発生する。前記整流層は前記第1電極から固体正孔輸送層に電子が逆流するのを防止する。
前記整流層は、金属酸化物により形成されることが好ましい。金属酸化物を形成しうる金属元素としては、例えば、Ti、Al、Zn、Ni、Fe、Cu等が挙げられるが、容易に入手でき硬く緻密な皮膜が形成できることから、Tiが好ましい。整流層を形成する酸化物としては、酸化チタンが好ましい。
前記整流層の形成方法としては、(A)蒸着法、(B)スパッタリング法、(C)金属化合物を有する塗布液を塗布後に焼成により酸化物皮膜を形成する方法等が挙げられる。
(C)の塗布液としては、チタンアルコキシドを有機溶剤に溶解した溶液が好ましい。(C)の塗布方法としては、スピンコート法、噴霧法等がある。該噴霧法としては、チタンアルコキシドを有機溶剤に溶解した原料溶液を、スプレー熱分解薄膜形成装置を用いて、高温に保持した基板上に噴霧しながら同時に焼成する方法が好ましい。ここで、基板の温度は元の温度(原料溶液を噴霧する前の基板の温度)を焼成温度に保持し、噴霧中も元の温度に対し±10℃の範囲で基板の温度を保持することが好ましい。
前記整流層の好ましい厚みは、ピンホールを防止して十分な逆流防止効果が得られる点から5nm以上が好ましく、抵抗を小さく抑えることから1μm以下であることが好ましい。
本発明の整流層を得るには、下記の手段を2項目以上組み合わせることが好ましく、これらにより本発明に係る良好な整流層を得ることができる。
(1)整流層を設ける前の第1電極の表面を洗浄する。
(2)チタンアルコキシドを有する、整流層の塗布液の水分量を100ppm以下に低減する。
(3)整流層の塗布液中の粒径0.45μm以上の粗大粒子を除去する。
(4)整流層の塗布液を塗布した後、温度を上昇させ始めてから焼成温度まで昇温する時間を5分以上にする。
(5)整流層の形成を複数回に分割して行う。
(6)整流層の塗布液を塗布してから高圧でプレスする。
(7)酸化物半導体を蒸着して整流層を形成する。
(8)酸化物半導体をターゲットとしたスパッタリングにより整流層を形成する。
(9)整流層を設ける前の第1電極の表面を金属塩化物で表面処理する。
(10)整流層を形成後に表面を洗浄する。
(11)整流層を形成後に表面を金属塩化物で表面処理する。
〔太陽電池〕
本発明の太陽電池について説明する。
本発明の太陽電池について説明する。
本発明の太陽電池は、本発明の光電変換素子の一態様として太陽光に最適の設計並びに回路設計が行われ、太陽光を光源として用いた時に最適な光電変換が行われるような構造を有する。即ち、色素増感された半導体に太陽光が照射されうる構造となっている。
本発明の太陽電池に、太陽光または太陽光と同等の電磁波を照射すると、半導体に吸着された色素は、照射された光もしくは電磁波を吸収して励起する。励起によって発生した電子は半導体に移動し、次いで導電性支持体を経由して対向電極に移動して、固体正孔輸送層のレドックス電解質を還元する。一方、半導体に電子を移動させた色素は酸化体となっているが、対向電極から固体正孔輸送層のレドックス電解質を経由して電子が供給されることにより、還元されて元の状態に戻り、同時に固体正孔輸送層のレドックス電解質は酸化されて、再び対向電極から供給される電子により還元されうる状態に戻る。このようにして電子が流れ、本発明の光電変換素子を用いた太陽電池を構成することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例
〈光電変換素子の作製〉
(光電変換素子1の作製)
市販のフッ素ドープ酸化スズ(FTO)導電性ガラス基板を、アルカリ洗剤(関東化学製 シカクリーンLX−3)/超純水=10/90洗浄液に超音波を照射しながら15分間洗浄した。その後、超純水で洗浄した。この洗浄液での洗浄と超純水での洗浄を3回繰り返した。その後、合成石英ガラス紫外線ランプを用いて、UV/オゾン洗浄を15分間実施した。
〈光電変換素子の作製〉
(光電変換素子1の作製)
市販のフッ素ドープ酸化スズ(FTO)導電性ガラス基板を、アルカリ洗剤(関東化学製 シカクリーンLX−3)/超純水=10/90洗浄液に超音波を照射しながら15分間洗浄した。その後、超純水で洗浄した。この洗浄液での洗浄と超純水での洗浄を3回繰り返した。その後、合成石英ガラス紫外線ランプを用いて、UV/オゾン洗浄を15分間実施した。
この洗浄基板に、整流層として、TC100(マツモト交商社製、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート))をスピンコート法により塗布した。80℃で10分間加熱して乾燥した後、450℃で10分間焼成を行い、膜厚100nmの整流層を得た。同様にして、スライドガラス上に、前記整流層と同一条件で作製して、抵抗測定用サンプルを作製した。この上に、酸化チタンペースト(粒径18nm)をドクターブレード法により塗布した。60℃で10分間加熱して乾燥させた後、500℃で30分間焼成を行い、厚さ0.5μmの多孔質酸化チタン層を得た。
その後、整流層と多孔質酸化チタンの非接触部を覆うため、KBM503(グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)のエタノール15質量%溶液に1時間浸漬し、中間抵抗層を設けた。同様にして、スライドガラス上に、前記整流層と同一条件で作製して、抵抗測定用サンプルを作製した。浸漬後、多孔質酸化チタン層の表面をエタノールで洗浄した。その後、先に使用した酸化チタンペースト(粒径18nm)をドクターブレード法により再度塗布し、60℃で10分間加熱して乾燥させた後、500℃で30分間焼成を行い、厚さ1.5μmの多孔質酸化チタン層を積層した。
色素(N719、ソラオニクス社製、ビス(テトラブチルアンモニウム)シス−ビス(チオシアナト)ビス(2,2’−ビピリジル−4−ジカルボキシリックアシッド,4’−カルボキシレート)ルテニウム(II)錯体)、及び色素に対して1.5当量のケノデオキシコール酸をアセトニトリル:t−ブチルアルコール=1:1の混合溶媒に溶解し、色素濃度3×10−4モル/Lの溶液を調製した。前記の多孔質酸化チタン層を担持したFTO基板を、この溶液に室温で3時間浸漬して、色素の吸着処理を行い、色素を担持した半導体層を得た。
次に、トルエン溶媒中に、正孔輸送剤として、下記spiro−MeOTAD:(2,2’,7,7’−tetrakis−(N,N−di−p−methoxyphenylamine)9,9’−spirobifluorene)0.17M、ホールドーピング剤としてN(PhBr)3SbCl6を0.33mM、Li[(CF3SO2)2N]を15mMを溶解し、色素吸着後の上記光電変換電極上にスピンコートし、正孔輸送層を形成した。さらに真空蒸着法により金を30nm蒸着し、第2電極を作製し、光電変換素子SC−1を得た。
(光電変換素子2の作製)
光電変換素子1の作製において、整流層として、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)を用いる代わりに、塩化亜鉛を2−メトキシエタノールに溶解したものを用いた以外は同様にして、光電変換素子2を作製した。
光電変換素子1の作製において、整流層として、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)を用いる代わりに、塩化亜鉛を2−メトキシエタノールに溶解したものを用いた以外は同様にして、光電変換素子2を作製した。
(光電変換素子3の作製)
光電変換素子1の作製において、整流層と多孔質酸化チタン層の非接触部に用いる化合物として、KBM503を用いる代わりに、N719色素をアセトニトリル:t−ブチルアルコール=1:1の混合溶媒に溶解し、色素濃度3×10−6モル/Lの溶液に調製したものを用いた以外は同様にして、光電変換素子3を作製した。
光電変換素子1の作製において、整流層と多孔質酸化チタン層の非接触部に用いる化合物として、KBM503を用いる代わりに、N719色素をアセトニトリル:t−ブチルアルコール=1:1の混合溶媒に溶解し、色素濃度3×10−6モル/Lの溶液に調製したものを用いた以外は同様にして、光電変換素子3を作製した。
(光電変換素子4の作製)
光電変換素子1の作製において、整流層と多孔質酸化チタン層の非接触部に用いる化合物として、KBM503を用いる代わりに、酸化マグネシウムをEtOHに分散したものに1時間浸漬させて用いた以外は同様にして、光電変換素子4を作製した。
光電変換素子1の作製において、整流層と多孔質酸化チタン層の非接触部に用いる化合物として、KBM503を用いる代わりに、酸化マグネシウムをEtOHに分散したものに1時間浸漬させて用いた以外は同様にして、光電変換素子4を作製した。
(光電変換素子5の作製)
光電変換素子2の作製において、整流層と多孔質酸化チタン層の非接触部に用いる化合物として、KBM503を用いる代わりに、酸化マグネシウムをEtOHに分散したものに1時間浸漬させて用いた以外は同様にして、光電変換素子5を作製した。
光電変換素子2の作製において、整流層と多孔質酸化チタン層の非接触部に用いる化合物として、KBM503を用いる代わりに、酸化マグネシウムをEtOHに分散したものに1時間浸漬させて用いた以外は同様にして、光電変換素子5を作製した。
(光電変換素子6の作製)
光電変換素子1の作製において、整流層として、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)を用いる代わりに、Nb(O−i−C3H7)5、ペンタ−i−プロポキシニオブを用いた以外は同様にして、光電変換素子6を作製した。
光電変換素子1の作製において、整流層として、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)を用いる代わりに、Nb(O−i−C3H7)5、ペンタ−i−プロポキシニオブを用いた以外は同様にして、光電変換素子6を作製した。
(光電変換素子7の作製)
光電変換素子1の作製において、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)整流層と多孔質酸化チタン層の非接触部に用いる化合物を使用しなかった(中間抵抗層なし)以外は同様にして、光電変換素子7を作製した。
光電変換素子1の作製において、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)整流層と多孔質酸化チタン層の非接触部に用いる化合物を使用しなかった(中間抵抗層なし)以外は同様にして、光電変換素子7を作製した。
(光電変換素子8の作製)
光電変換素子1の作製において、整流層と多孔質酸化チタン層の非接触部に用いる化合物をTC100(マツモト交商社製、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート))に代えた以外は同様にして、光電変換素子8を作製した。
光電変換素子1の作製において、整流層と多孔質酸化チタン層の非接触部に用いる化合物をTC100(マツモト交商社製、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート))に代えた以外は同様にして、光電変換素子8を作製した。
光電変換素子1〜8の構成、及び整流層と中間抵抗層の体積抵抗率を表1に示す。各整流層と光電変換素子1〜6、8の中間抵抗層の体積抵抗率は、前述の測定方法で測定した。
〈光電変換素子の評価〉
作製した光電変換素子について、強度100mW/cm2のキセノンランプ照射下、酸化物半導体電極に5×5mm2のマスクをかけた条件下で光電変換特性の測定を行った。
作製した光電変換素子について、強度100mW/cm2のキセノンランプ照射下、酸化物半導体電極に5×5mm2のマスクをかけた条件下で光電変換特性の測定を行った。
即ち、光電変換素子1〜8について、I−Vテスターを用いて室温にて電流−電圧特性を測定し、短絡電流(Jsc)、開放電圧(Voc)、及び形状因子(F.F.)を求め、これらから光電変換効率(η(%))を求めた。なお、光電変換素子の光電変換効率(η(%))は下記式(A)に基づいて算出した。
η=100×(Voc×Jsc×F.F.)/P・・・(A)
ここで、Pは入射光強度[mW・cm−2]、Vocは開放電圧[V]、Jscは短絡電流密度[mA・cm−2]、F.F.は形状因子を示す。
ここで、Pは入射光強度[mW・cm−2]、Vocは開放電圧[V]、Jscは短絡電流密度[mA・cm−2]、F.F.は形状因子を示す。
さらに劣化操作として、光電変換素子を、80℃2h加熱した後、強度100mW/cm2のキセノンランプで120分間光照射し、その後、直径7cmの丸棒に10分間巻きつけた後での光電変換特性の変化を比較した。
評価の結果を表2に示す。
表2より、本発明の光電変換素子は比較例に比べ、高い光電変換効率を有し、耐熱性、耐光性を有することが分かる。
1 基板
2 第1電極
3 整流層
4 中間抵抗層
51 色素
52 半導体
5 半導体層
6 固体正孔輸送層
7 第2電極
2 第1電極
3 整流層
4 中間抵抗層
51 色素
52 半導体
5 半導体層
6 固体正孔輸送層
7 第2電極
Claims (4)
- 可撓性を有する透光性絶縁基板の上に、少なくとも、透光性を有する第1電極、透光性を有し電子輸送性を有する整流層、内部に正孔輸送材料を含有し且つ色素が吸着された多孔質半導体を含有する半導体層、固体正孔輸送層及び第2電極を、この順に有する光電変換素子において、前記整流層の上に、体積抵抗率が整流層の体積抵抗率より大きい中間抵抗層を有することを特徴とする光電変換素子。
- 前記中間抵抗層の体積抵抗率が、1×109Ωm以上であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
- 前記中間抵抗層がSi原子を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換素子。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子を用いたことを特徴とする太陽電池。
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-
2010
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