JP2011009192A - 光電変換素子及び太陽電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】光電変換効率が高い光電変換素子及びそれを用いた太陽電池を提供することである。
【解決手段】対向する第1電極と第2電極間に、少なくとも、350nm〜1000nmの波長領域に吸収を有する半導体層及び電荷輸送層を有する光電変換素子において、前記半導体層が前記波長領域に透過波長を有し、該電荷輸送層は、電子供与性化合物および電子受容性化合物から形成される電荷移動錯体を有し、かつ、該電荷移動錯体は、前記半導体層の透過波長に吸収を持つことを特徴とする光電変換素子及び太陽電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、色素増感型の光電素子及びそれを用いた太陽電池に関する。
近年、無限で有害物質を発生しない太陽光の利用が精力的に検討されている。このクリーンエネルギー源である太陽光利用として現在実用化されているものは、住宅用の単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン及びテルル化カドミウムやセレン化インジウム銅等の無機系太陽電池が挙げられる。
しかしながら、これらの無機系太陽電池の欠点としては、例えば、シリコン系では非常に純度の高いものが要求され、当然精製の工程は複雑でプロセス数が多く、製造コストが高いことが挙げられる。
その一方で、有機材料を使う太陽電池も多く提案されている。有機太陽電池としては、p型有機半導体と仕事関数の小さい金属を接合させるショットキー型光電変換素子、p型有機半導体とn型無機半導体、あるいはp型有機半導体と電子受容性有機化合物を接合させるヘテロ接合型光電変換素子等があり、利用される有機半導体はクロロフィル、ペリレン等の合成色素や顔料、ポリアセチレン等の導電性高分子材料、またはそれらの複合材料等である。これらを真空蒸着法、キャスト法またはディッピング法等により薄膜化し、電池材料が構成されている。有機材料は低コスト、大面積化が容易等の長所もあるが、変換効率は1%以下と低いものが多く、また耐久性も悪いという問題もあった。
こうした状況の中で、良好な特性を示す太陽電池が、スイスのグレッツェル博士らによって報告された(例えば、非特許文献1参照)。提案された電池は色素増感型太陽電池であり、ルテニウム錯体で分光増感された酸化チタン多孔質薄膜を作用電極とする湿式太陽電池である。また、酸化物半導体の接触をよくすることで電気伝導度の向上をはかるため、酸化物半導体微粒子同士を結合・接合させる処理を行っている。この方式の利点は酸化チタン等の安価な酸化物半導体を高純度まで精製する必要がないこと、従って安価で、さらに利用できる光は広い可視光領域にまで亘っており、可視光成分の多い太陽光を有効に電気へ変換できることである。ところが、このような電解質溶液を使用した湿式色素増感型太陽電池は、長期使用の際に、電解質溶液の揮発、液漏れ、増感色素の離脱等の点で、信頼性及び長期安定性に劣るという問題点を持つ。この問題を解決するため、ホール輸送材を含有する固体電解質を用いた固体型色素増感太陽電池が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
一方有機EL材料或いは太陽電池等のホール輸送材料として、フルオレノン即鎖を有する材料を用いた電荷移動錯体を使用することが電荷輸送材料として好適であることが、紹介されている(特許文献2参照)。
ところが、このような、電荷移動錯体を単に色素増感太陽電池の電荷輸送層に用いただけでは、外部から電圧印加のない素子である太陽電池等では、充分な移動度が得られず、高い光電変換効率が得られなかった。また、充分な移動度が得られない光電変換素子の場合、素子内部にキャリアがたまりやすく、暗時での劣化が進みやすい。特に活性ガス雰囲気下での安定性が低い等、問題点があった。
特開2007−115665号公報 特許第4173482号公報
B.O’Regan、M.Gratzel,Nature,353,737(1991)
本発明の目的は、耐久性が良好で、光電変換効率の高い光電変換素子とそれを用いた太陽電池を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.対向する第1電極と第2電極間に、少なくとも、350nm〜1000nmの波長領域に吸収を有する半導体層及び電荷輸送層を有する光電変換素子において、前記半導体層が前記波長領域に透過波長を有し、該電荷輸送層は、電子供与性化合物および電子受容性化合物から形成される電荷移動錯体を有し、かつ、該電荷移動錯体は、前記半導体層の透過波長に吸収を持つことを特徴とする光電変換素子。
2.前記半導体層の透過波長における透過率が40%以上であることを特徴とする前記1に記載の光電変換素子。
3.前記電荷移動錯体を形成する電子供与性化合物と電子受容性化合物のモル濃度比が電子供与性化合物:電子受容性化合物=20:1〜5:1であることを特徴とする前記1または2に記載の光電変換素子。
4.前記1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子を有することを特徴とする太陽電池。
本発明によれば、耐久性が良好で、光電変換効率の高い光電変換素子とそれを用いた太陽電池を提供することができる。
本発明の光電変換素子の一例を示す断面図である。 本発明の光電変換素子の他の一例を示す断面図である。 本発明に係る半導体層の透過スペクトルを示す図である。 本発明に係る電子供与性化合物、及び電子受容性化合物の吸収スペクトルと、両者を混合し形成した電荷輸送層の吸収スペクトルを示す図である。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者は、従来の固体電解質を用いた色素増感光電変換素子の光電変換効率が低い原因を検討したところ、固体電解質中のキャリア数が少なく伝導度が低いため、十分な光電変換効率が得らないことが判明した。また、キャリア数を増加するためホールドープ剤を添加する方法が知られているが、不安定なカチオンラジカルが常に存在するため耐久性が低下する。そこで電解質の働きを担う電荷輸送層に2種類の化合物を用い、電荷移動錯体を形成し、光によって励起させ、輸送キャリアを多数増加させることにより優れた光電変換特性を示す素子を提供することができることを見出した。この電荷移動錯体の光によるキャリア増加は、電荷移動錯体が光励起を必要とし、具体的には、電荷移動錯体の吸収波長領域に光が当たることにより達成できる。従って、従来の単なるホール輸送層への電荷移動錯体の添加では、半導体層が光を吸収してしまい、電荷移動錯体の吸収領域に光が当たらず、キャリアの増大化がおこらず、充分な電荷輸送能を発揮するまでに至っていなかった。
本発明では、ホールドープ剤を添加した光電変換素子と異なり、光励起キャリアによるキャリア数増加による伝導度向上であるため、光が当たっていないときはカチオンラジカルが存在せず、耐久性の低下はみられないだけでなく、継続的なホールドープが可能となり、長期使用の際も効率の低下が生じない。
《光電変換素子》
本発明の光電変換素子について、図により説明する。
図1は、本発明の光電変換素子の一例を示す断面図である。本発明の光電変換素子は図1に示すように、基板1、透明導電膜2、半導体層6、電荷輸送層7、第2電極8等から構成されている。
本発明の光電変換素子の製造例を以下に述べる。第1電極9として透明導電膜2を付けた透明の基板1上に、必要に応じて絶縁層3を形成した後、焼結して形成した空孔を有する半導体5を形成し、その空孔表面に色素4を吸着させて半導体層6を形成する。さらに電子供与性の化合物と電子受容性の化合物を含む電荷輸送層7を半導体層6上に設け、その上に第2電極8を設置している。この時、第1電極9及び第2電極8に端子を付けて光電流を取り出す。図2に絶縁層を設けた素子の断面図の一例を示す。
(半導体層)
本発明に係る半導体層6の作製方法について説明する。
本発明に係る半導体層は、半導体と色素、及び必要によって添加剤からなる。
本発明に係る半導体層は、350〜1000nmの波長領域において、半導体、色素またはそれらの凝集体によって光を吸収する。このとき、半導体層はできるだけ光エネルギーを広範囲に吸収することが望まれ、半導体層の透過率は、40%未満が好ましく、より好ましくは、2〜35%、更に好ましくは2〜20%である。吸収が高すぎて、透過率が2%を下回るほど吸収した場合には、光電変換素子を高温の使用環境にて動作させた場合に、キャリアの発生数が増大し、発生した電子が電極に排出しづらくなり、透過率が高い場合に比べ、逆に変換効率が低下してしまうことがある。本発明に係る半導体が焼成により作製される場合には、色素を用いての半導体の増感処理(吸着、多孔質への入り込み等)は、半導体の焼成後に実施することが好ましい。焼成後、半導体に水が吸着する前に素早く色素の吸着処理を実施することが特に好ましい。
本発明は、図3に示すように半導体層の350nm〜1000nmの波長域に透過波長を有する。ここで、透過波長とは半導体層の透過率が35%以上の波長のことである。透過率の好ましい範囲は40〜95%であり、より好ましくは、55〜95%、更に好ましくは75〜95%である。半導体層が透過波長を有する為には、この波長域に透過波長を有する色素分子あるいは色素凝集体を半導体に吸着させている。
本発明に係る半導体が粒子状の場合には、半導体を導電性支持体に塗布あるいは吹きつけて、半導体の膜を作製するのがよい。また、本発明に係る半導体が膜状であって、導電性支持体上に保持されていない場合には、導電性支持体上に貼合して半導体の膜を作製することが好ましい。
本発明の光電変換素子において、半導体としては、周期表(元素周期表ともいう)の第3族〜第5族、第13族〜第15族系の元素を有する化合物、金属のカルコゲニド(例えば、酸化物、硫化物、セレン化物等)、金属窒化物等を使用することができる。
好ましい金属のカルコゲニドとして、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、またはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモンまたはビスマスの硫化物、カドミウムまたは鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の半導体としては、亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素または銅−インジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物、チタンの窒化物等が挙げられる。
具体例としては、TiO、ZrO、SnO、Fe、WO、ZnO、Nb、Ta、CdS、ZnS、PbS、Bi、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS、CuInSe、Ti等が挙げられるが、好ましく用いられるのは、TiO、ZnO、SnO、Fe、WO、Nb、CdS、PbSであり、より好ましく用いられるのは、TiOまたはSnOであるが、中でも特に好ましく用いられるのはTiOである。
光電極に用いる半導体は、上述した複数の半導体を併用して用いてもよい。例えば、上述した金属酸化物もしくは金属硫化物の数種類を併用することもでき、また酸化チタン半導体に20質量%の窒化チタン(Ti)を混合して使用してもよい。また、J.Chem.Soc.Chem.Commun.,15(1999) 記載の酸化亜鉛/酸化錫複合としてもよい。このとき、半導体として金属酸化物もしくは金属硫化物以外に成分を加える場合、追加成分の金属酸化物もしくは金属硫化物半導体に対する質量比は30%以下であることが好ましい。
(半導体微粉末含有塗布液の調製)
先ず、半導体の微粉末を含む塗布液を調製する。この半導体微粉末はその1次粒子径が微細な程好ましく、その1次粒子径は1〜5,000nmが好ましく、さらに好ましくは2〜50nmである。半導体微粉末を含む塗布液は、半導体微粉末を溶媒中に分散させることによって調製することができる。溶媒中に分散された半導体微粉末は、その1次粒子状で分散する。溶媒としては半導体微粉末を分散し得るものであればよく、特に制約されない。
前記溶媒としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合液が含まれる。有機溶媒としては、メタノールやエタノール等のアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素等が用いられる。塗布液中には、必要に応じ界面活性剤や粘度調節剤(ポリエチレングリコール等の多価アルコール等)を加えることができる。溶媒中の半導体微粉末濃度の範囲は0.1〜70質量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜30質量%である。
(半導体微粉末含有塗布液の塗布と形成された半導体の焼成処理)
上記のようにして得られた半導体微粉末含有塗布液を、導電性支持体上に塗布または吹きつけ、乾燥等を行った後、空気中または不活性ガス中で焼成して、導電性支持体上に半導体の膜が形成される。
導電性支持体上に塗布液を塗布、乾燥して得られる被膜は、半導体微粒子の集合体からなるもので、その微粒子の粒径は使用した半導体微粉末の1次粒子径に対応するものである。
このようにして導電性支持体等の基板上に形成された半導体微粒子集合体膜は、導電性支持体との結合力や微粒子相互の結合力が弱く、機械的強度の弱いものであることから、機械的強度を高め、基板に強く固着した焼成物膜とするため、前記半導体微粒子集合体膜の焼成処理が好ましく行われる。
本発明においては、この焼成処理で得られる焼成物膜はどのような構造を有していてもよいが、多孔質構造膜(空隙を有する、ポーラスな層ともいう)であることが好ましい。
ここで、本発明に係る半導体薄膜の空隙率は10体積%以下が好ましく、さらに好ましくは8体積%以下であり、特に好ましくは0.01〜5体積%以下である。なお、半導体の空隙率は誘電体の厚み方向に貫通性のある空隙率を意味し、水銀ポロシメーター(島津ポアサイザー9220型)などの市販の装置を用いて測定することができる。
多孔質構造を有する焼成物膜になった半導体の膜厚は、10nm以上が好ましく、さらに好ましくは100〜10000nmである。
焼成処理時、焼成物膜の実表面積を適切に調製し、上記の空隙率を有する焼成物膜を得る観点から、焼成温度は1000℃より低いことが好ましく、さらに好ましくは200〜800℃の範囲であり、特に好ましくは300〜800℃の範囲である。
また、見かけ表面積に対する実表面積の比は、半導体微粒子の粒径及び比表面積や焼成温度等によりコントロールすることができる。また、加熱処理後、半導体粒子の表面積を増大させたり、半導体粒子近傍の純度を高め、色素から半導体粒子への電子注入効率を高めたりする目的で、例えば、四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
(色素)
本発明に係る、半導体に吸着させる色素としては、色素が吸着した半導体層が350nm〜1000nmの波長域に透過波長を有することが必要である。好ましくは、同じ波長域に吸収を有する。また、電荷の半導体への効率的な注入の観点から、上記色素はカルボキシル基を有することが好ましい。以下に、色素の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2011009192
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Figure 2011009192
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(半導体の増感処理)
半導体の増感処理は色素を適切な溶媒に溶解し、その溶液に前記半導体を焼成して固着した基板を浸漬することによって行われる。その際には、半導体を焼成により形成し基板を、予め減圧処理や加熱処理して膜中の気泡を除去し、色素が半導体内部深くに進入できるようにしておくことが好ましく、半導体が多孔質構造膜である場合には特に好ましい。また、空隙率の高い半導体の場合には、空隙に水分、水蒸気等により水が半導体表面、並びに半導体内部の空隙に吸着する前に、前記増感色素の吸着処理(半導体の増感処理)を完了することが好ましい。
色素を溶解するのに用いる溶媒は、色素を溶解することができ、かつ半導体を溶解したり半導体と反応したりすることのないものであれば格別の制限はないが、溶媒に溶解している水分及び気体が半導体に進入して、前記色素の吸着等の増感処理を妨げることを防ぐために、予め脱気及び蒸留精製しておくことが好ましい。
好ましく用いられる溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒であり、混合溶媒を用いてもよい。特に好ましくはメタノール、エタノール、t−ブチルアルコール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、トルエン及びこれらの混合溶媒である。
半導体を焼成した基板を、色素を含む溶液に浸漬する時間は、半導体に前記色素が深く進入して吸着等を十分に進行させ、半導体を十分に増感させ、かつ溶液中で前記色素の分解等により生成した分解物が色素の吸着を妨害することを抑制する観点から、25℃では1〜48時間が好ましく、さらに好ましくは3〜24時間である。この温度、時間は、特に半導体膜が多孔質構造膜である場合に好ましい。ただし、浸漬時間については25℃での値であり、温度条件を変化させて場合にはこの限りではない。
浸漬しておくに当たり、色素を含む溶液は、溶液に含まれる化合物が分解しない限り、沸騰しない温度にまで加熱して用いてもよい。好ましい温度範囲は10〜100℃であり、さらに好ましくは25〜80℃であるが、前記の通り溶媒が前記温度範囲で沸騰する場合はこの限りでない。
吸着処理は半導体が粒子状の時に行ってもよいし、支持体上に膜を形成した後に行ってもよい。また、半導体微粒子と本発明の増感色素とを同時に塗布することにより、色素の吸着を実施してもよい。ここで、未吸着の色素は洗浄によって除去することができる。
色素を用いて増感処理を行う場合、色素を単独で用いてもよいし、複数を併用することもできる。
また、本発明に好ましいカルボキシル基を有する色素と他の色素を併用して用いることもできる。併用して用いることのできる色素としては、本発明に係る半導体を分光増感しうるものならばいずれの色素も用いることができる。光電変換の波長域をできるだけ広くし、かつ光電変換効率を上げるため2種類以上の色素を混合することが好ましい。また、目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように混合する色素とその割合を選ぶことができる。
特に、本発明の光電変換素子の用途が後述する太陽電池である場合には、光電変換の波長域をできるだけ広くして太陽光を有効に利用できるように、吸収波長の異なる2種類以上の色素を混合して用いることが好ましい。
併用して用いる色素の中では、光電子移動反応活性、光耐久性、光化学的安定性等の総合的な観点から、金属錯体色素、フタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、ポリメチン系色素が好ましく用いられる。
本発明に好ましいカルボキシル基を有する色素と併用して用いることのできる色素としては、例えば、USP4,684,537、同4,927,721、同5,084,365、同5,350,644、同5,463,057、同5,525,440、JP A H7−249790、JP A 2000−150007等に記載の色素を挙げることができる。
色素を複数種類併用したり、本発明に好ましいカルボキシル基を有する色素以外の他の色素を併用したりして増感処理する際には、各々の色素の混合溶液を調製して用いてもよいし、それぞれの色素について溶液を用意して、各溶液に順に浸漬して作製することもできる。各色素について別々の溶液を用意し、各溶液に順に浸漬して作製する場合は、半導体に前記色素を含ませる順序がどのようであっても、本発明に記載の効果を得ることができる。また、色素を単独で吸着させた半導体微粒子を混合する等により作製してもよい。
(電荷輸送層)
第1電極と第2電極間の電気的接続を固体の電解質によって行う固体型色素増感太陽電池は、光電変換効率が非常に低いという問題がある。この原因は固体電解質中のキャリア数が少なく伝導度が低いためと推定しており、キャリア数を増加するためホールドープ剤を添加すると、不安定なカチオンラジカルが常に存在するため耐久性が低下する。
そこで本発明では、電解質の働きを担う電荷輸送層に半導体層と吸収が重ならない領域に吸収を持つ電荷移動錯体を形成する2種類の化合物を用いる。詳しくは、電荷移動錯体を形成する電子供与性の化合物Bおよび電子受容性の化合物Cを含み、半導体層が350nm〜1000nmの波長域に少なくとも透過率が35%以上の透過波長を有し、電荷移動錯体が透過波長に少なくとも吸収を持つ半導体層及び電荷輸送層を用いる。
電荷輸送層が電荷移動錯体を形成するためには、電子供与性の化合物と電子受容性の化合物を共に系内に存在させることにより形成できる。電子供与性化合物と電子受容性化合物の混合モル比率は、電子供与性化合物:電子受容性化合物=20:1〜5:1であることが好ましい。電子供与性化合物の比率が、前記の範囲よりも増えると、電荷移動錯体の吸収が弱くなり、十分な量のキャリアが発生せず、伝導度の向上が十分得られない可能性がある。一方、電子供与性化合物の比率が前述の範囲よりも少ないと、キャリア数が増加しすぎてしまい、酸化された色素を還元する速度が遅くなるため、逆方向の電子の流れの割合が増加して光電変換素子の変換効率が低下してしまう可能性がある。
本発明において、電子供与性化合物とは、電子を与えたときに安定な化合物であり、大気中光電子分光装置(理研計器株式会社製、商品名「AC−3」)で測定したイオン化ポテンシャル(Ip)が4.5〜5.9eVの化合物である。Ipの好ましい範囲は、4.7〜5.8eVが好ましく、さらに好ましくは、4.8〜5.5eVである。電子供与性化合物としては分子構造内で電子リッチなものが好ましい。例えば、分子のπ電子系に置換もしくは無置換アミン基、水酸基、エーテル基、硫黄原子等を有するものが挙げられ、具体的にはフェニルアミン系、トリフェニルメタン系、カルバゾール系、フェノール系、テトラチアフルバレン系材料が挙げられる。
一方、本発明において、電子受容性化合物とは、電子を受け取ったときに安定な化合物である。電子受容性化合物としては、分子構造内で電子が不足していることが好ましい。例えば、分子のπ電子系にニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、ハロゲン基等の電子求引性の置換基を有するものが挙げられ、具体的には、キノン系、フルオレノン系、クロラニル系、ブロマニル系、テトラシアノキノジメタン系等が挙げられる。
ここで、電荷移動錯体の吸収の求め方について図4を用いて説明する。図4(a)において、電子供与性化合物と電子受容性化合物の吸収スペクトルのうち、吸収極大(λmax)が短波側にある化合物の吸収スペクトルをS1、長波側にある化合物の吸収スペクトルをS2、電子供与性化合物と電子供与性化合物を混合して形成した電荷輸送層の吸収スペクトルをS3とする。
S3は、素子から電荷輸送層を削り取り測定することができ、S1,S2は、電荷輸送層から各化合物の抽出及び分離して得られた化合物から測定できる。一例としてS1、S2のスペクトルは、化合物を溶解或いは分散させた溶液或いは分散液をスライドガラスに塗布後乾燥して薄膜サンプルを作製し、このサンプルの吸収スペクトルを測定する。
《S1のλmaxよりも短波側に、S2の裾がある場合の決め方》
S1のλmaxよりも短波側でかつ、S2の裾がある波長領域にて、2つの波長λ1、λ2(nm)を任意に決め、S1、S2のそれぞれの波長の吸光度S1(λ1)、S1(λ2)、S2(λ1)、S2(λ2)を測定する。
次いで、2つの波長λ1、λ2(nm)のS3の吸光度S3(λ1)、S3(λ2)から、電子供与性化合物と電子受容性化合物の混合比を算出する。算出式は以下の通り。
S3(λ1)=αS1(λ1)+βS2(λ1)、S3(λ2)=αS1(λ2)+βS2(λ2)
よりα、βがそれぞれ決定される。
そして、S3からこの混合比のS1、S2を引いて、半導体吸収の無い波長領域にて0にならない領域が残った場合に、電荷移動錯体が形成したと判断する。このときの0にならない波長範囲が電荷移動錯体の吸収範囲である。このことを図4(b)に示す。吸収スペクトルS1及び、吸収スペクトルS2と吸収スペクトルS3を比較すると、S1及びS2には見られない新たな吸収が現れる。S3から上記の方法で決定した混合比のS1、S2を引くと電荷移動錯体の吸収スペクトルS4が得られ、電荷移動錯体が形成していることが確認できる。
《S1のλmaxよりも短波側にS2の裾がない場合》
S3からS1のλmaxが0になるようにS1を引く。残りのスペクトルからS2のλmaxが0になるようにS2を引いていったときに0にならない領域が残った場合に、電荷移動錯体が形成したと判断する。このときの0にならない波長範囲が電荷移動錯体の吸収範囲である。
上記測定方法に於ける、0にならないとは、吸光度が0.02以上の波長が存在することを意味する。
このように計算して、電荷移動錯体の吸収範囲を有する場合には、電荷移動錯体を形成している。
このときの電荷移動錯体を形成する電子供与性化合物と電子受容性化合物のモル濃度比は、電子供与性化合物が暗時に、それ自身ホール輸送物質としても機能している為、電子供与性化合物と電子受容性化合物の等モル量に対し、過剰に系内にある方が、キャリア輸送能を向上させるため好ましいが、極端に過剰にすると、電荷移動錯体の吸収が弱くなり、十分な量のキャリアが発生せず伝導度の向上が十分でなくなる可能性がある。一方、電子受容性化合物を過剰に入れるとキャリアのトラップサイトや、逆方向の電子の流れの割合が増加し、光電変換素子の変換効率が低下する可能性がある。電荷移動錯体の効果を発揮しつつ、電子受容性化合物の過剰含有のマイナスを抑制するには、電子供与性化合物と電子受容性化合物のモル濃度比が電子供与性化合物:電子受容性化合物=20:1〜5:1であることが好ましい。
以下に、本発明に係る、電子供与性の化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2011009192
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以下に、本発明に係る、電子受容性の化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2011009192
Figure 2011009192
(電荷輸送層の作製)
電荷輸送層は上記電子供与性の化合物及び電子受容性の化合物のいずれの分子も溶解する溶媒に溶解させた混合溶液を半導体層上に塗布した後、室温、大気下で放置し、その後真空引きをすることで乾燥して作製できる。塗布方法は、材料や溶液の粘度により適宜設定され、特に限定されない。例えば、ディッピング、滴下、ドクターブレード、スピンコート、刷毛塗り、スプレー塗装、ロールコーター等の各種塗布法が挙げられる。電子供与性の化合物と電子受容性の化合物の混合溶液は、それぞれの化合物を混合してから溶媒に溶かしても、それぞれを溶媒に溶解してから混合してもよい。
電荷輸送層形成の際に用いる溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、ブチレンオキシド、クロロホルム、シクロヘキサノン、クロロベンゼン、アセトン、各種アルコールのような極性溶媒、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジメチルスホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミドのような非プロトン性溶媒等の有機溶媒等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、電荷輸送層には、必要に応じて、例えば、N(PhBr)SbCl、Li[(CFSON]や4−t−ブチルピリジン(TBP)等の各種添加剤を添加するようにしてもよい。これらの添加剤を加えることにより、電荷輸送層は、より効率よく電荷を伝達(輸送)することができる。
また、必要に応じて、有機バインダー等の添加物を添加してもよい。この有機バインダー(高分子バインダー)としては、正孔の輸送を極度に阻害しないものを用いるのが好ましく、例えば、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリビニリデンフロライド(PVDF)、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等を用いることができる。
また、このような塗布、熱処理(乾燥)の操作を、繰り返し行って積層するようにしてもよい。
電荷輸送層の平均厚さとしては、特に限定されないが、例えば、0.5〜30μm程度であるのが好ましく、1〜25μm程度であるのがより好ましく、2〜20μm程度であるのがさらに好ましい。
本発明の光電変換素子は、第1電極上の半導体に色素を吸着した半導体層と第2電極とを電荷輸送層を介して対向配置してなる。以下、第1電極、第2電極について説明する。
(第1電極)
本発明の光電変換素子や本発明の太陽電池に用いられる第1電極の例としては金属(例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム)の板のような導電性材料や、あるいはガラス板やプラスチックフィルムのような非導電性材料(基板)に導電性金属酸化物(例えば、インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの)や炭素のような導電性物質を設けた構造のものを挙げることができる。第1電極の厚さは特に制約されないが、0.0003〜5mmが好ましい。
また、第1電極は実質的に透明であることが好ましく、実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが最も好ましい。透明な第1電極を得るためには、ガラス板またはプラスチックフィルムの表面に、導電性金属酸化物からなる導電性層を設けることが好ましい。透明な第1電極を用いる場合、光は支持体側から入射させることが好ましい。不透明な第1電極を用いる場合には、第2電極が透明であって、第2電極側から光を入射して動作が可能である。また、第1電極、第2電極のいずれも透明であってもよい。
第1電極は、表面抵抗は50Ω/cm以下であることが好ましく、10Ω/cm以下であることがさらに好ましい。
(第2電極)
本発明に用いられる第2電極について説明する。
第2電極は導電性を有するものであればよく、任意の導電性材料が用いられるが、電荷輸送層との接触性のよい金属薄膜であることが好ましい。電荷輸送層との仕事関数の差が小さく、化学的に安定である金属である金薄膜が特に好ましい。
〔太陽電池〕
本発明の太陽電池について説明する。
本発明の太陽電池は、本発明の光電変換素子の一態様として太陽光に最適の設計並びに回路設計が行われ、太陽光を光源として用いたときに最適な光電変換が行われるような構造を有する。即ち、色素増感された半導体に太陽光が照射されうる構造となっている。本発明の太陽電池を構成する際には、前記半導体層、電荷輸送層及び第2電極をケース内に収納して封止するか、あるいはそれら全体を樹脂封止することが好ましい。
本発明の太陽電池に太陽光または太陽光と同等の電磁波を照射すると、半導体に吸着された色素は、照射された光もしくは電磁波を吸収して励起する。励起によって発生した電子は半導体に移動し、次いで第1電極を経由して第2電極に移動して、電荷輸送層に含まれる芳香族アミン誘導体等の電子供与性の化合物を還元する。一方、半導体に電子を移動させた色素は酸化体となっているが、第2電極から電荷輸送層を経由して電子が供給されることにより、還元されて元の状態に戻り、同時に電荷輸送層に含まれる芳香族アミン誘導体等の電子供与性の化合物は酸化されて、再び第2電極から供給される電子により還元されうる状態に戻る。このようにして電子が流れ、本発明の光電変換素子を用いた太陽電池を構成することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明これらに限定されない。
〔光電変換素子1の作製〕
フッ素ドープ酸化スズ(FTO)導電性ガラス基板上に、アルコキシチタン溶液(松本交商:TA−25/IPA希釈)をスピンコート法にて塗布した。室温で30分放置後、450℃で30分間焼成を行い、短絡防止層(絶縁層)とした。続いて、市販の酸化チタンペースト(粒径18nm)を上記短絡防止層上にドクターブレード法により塗布した後、60℃で10分間加熱処理後、500℃で30分間焼成を行い、厚さ5μmの酸化チタン薄膜を有する半導体が導電性支持体上に保持された半導体基板を得た。
例示色素A−1をエタノールに溶解し、3×10−4mol/lの溶液を調製した。上記半導体基板を、この溶液に室温で3時間浸漬して、色素の吸着処理を行った後、エタノールで洗浄、乾燥し、色素を担持した半導体層とした。このときの、450nmの透過率は5%であり、吸収領域を有していた。また530nmの透過率は45%であり、透過領域を有していた。
次に、クロロベンゼン:アセトニトリル=19:1混合溶媒に、170mmol/lの電子供与性化合物B−1、10mmol/lの電子受容性化合物C−1、15mmol/lのLi[(CFSON]、及び50mmol/lのTBPを溶解し、色素吸着後の上記光電変換電極上にスピンコートし、室温、大気下で30分放置後、10分間真空引きを行い、電荷輸送層を形成した。このとき、電荷輸送層の膜厚は5μmであった。さらに真空蒸着法により金を60nm蒸着し、第2電極を作製し、光電変換素子1を作製した。
化合物B−1とC−1の混合物の吸収スペクトルから、化合物B−1と化合物C−1の吸収スペクトルを引いたところ、530nmで吸光度は0.046であり、化合物B−1とC−1を混合することで、電荷移動錯体を形成することを確認した。
(光電変換素子20の作製)
光電変換素子1の作製において、化合物C−1を加えない以外は同様にして光電変換素子20を作製した。
(光電変換素子2〜19、21、22の作製)
光電変換素子1の作製において、半導体層の色素A−1、電子供与性化合物B−1、電子受容性化合物C−1及び電子供与性化合物と電子受容性化合物のモル濃度比を、それぞれ表1に示す化合物、割合に変えた以外は光電変換素子1と同様にして光電変換素子2〜19、21、22を作製した。
表1に、半導体層の吸収及び透過波長とその透過率、電荷移動錯体の形成の有無及び電荷移動錯体の吸光度を示す。尚、半導体層の吸収及び透過波長とその透過率は、電荷輸送層に電子供与性化合物および電子受容性化合物を添加せず、金の第2電極を形成しない以外は、それぞれ光電変換素子1〜22と同様にして光電変換素子を作製して測定した。同様に、電荷移動錯体の吸光度は、半導体層及び、金の第2電極を形成しない以外は、それぞれ光電変換素子1〜22と同様にして光電変換素子を作製して測定した。
尚、表1において、半導体層の透過波長は、電荷移動錯体の吸収領域の中の特定波長である。また、電荷移動錯体の吸光度は前記半導体層の透過波長での測定値である。透過率及び吸光度の測定は、分光光度計(日立社製、商品名;「U−3500」)を用いた。
Figure 2011009192
《光電変換素子の評価》
(発電特性)
作製した光電変換素子を、ソーラーシミュレータ(Wacom Electric Co。Ltd。ワコム電創株式会社製、商品名;「WXS−85−H型」)を用い、AMフィルター(AM−1.5)を通したキセノンランプから100mW/cmの擬似太陽光を照射することにより行った。即ち、光電変換素子について、I−Vテスターを用いて室温にて電流−電圧特性を測定し、短絡電流(Isc)、開放電圧(Voc)、及び形状因子(FF)を求め、これらから光電変換効率(η(%))を求めた。さらに、10ppm30分間のオゾン暴露試験前後での光電変換効率を比較した。
評価の結果を表2に示す。
Figure 2011009192
表2より、本発明の光電変換素子1〜19は、いずれも比較の光電変換素子20〜22に比べ光電変換効率が高いことが分かる。また、オゾン暴露前後における光電変換効率比(B/A)が高く、耐久性に優れることが分かる。よって、電荷輸送層に半導体層の透過波長に吸収を持つ電荷移動錯体を形成する2種類の化合物を用いると、性能が優れた光電変換素子を提供できる。
1 基板
2 透明導電膜
3 絶縁層
4 色素
5 半導体
6 半導体層
7 電荷輸送層
8 第2電極
9 第1電極
S1 電荷輸送層に用いる吸収極大が短波側にある化合物の吸収スペクトル
S2 電荷輸送層に用いる吸収極大が長波側にある化合物の吸収スペクトル
S3 電荷輸送層の吸収スペクトル
S4 電荷移動錯体の吸収スペクトル

Claims (4)

  1. 対向する第1電極と第2電極間に、少なくとも、350nm〜1000nmの波長領域に吸収を有する半導体層及び電荷輸送層を有する光電変換素子において、前記半導体層が前記波長領域に透過波長を有し、該電荷輸送層は、電子供与性化合物および電子受容性化合物から形成される電荷移動錯体を有し、かつ、該電荷移動錯体は、前記半導体層の透過波長に吸収を持つことを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記半導体層の透過波長における透過率が40%以上であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記電荷移動錯体を形成する電子供与性化合物と電子受容性化合物のモル濃度比が電子供与性化合物:電子受容性化合物=20:1〜5:1であることを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子を有することを特徴とする太陽電池。
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