JP2003257729A - 吸着用永久磁石 - Google Patents
吸着用永久磁石Info
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 紙やシート等の固定対象物を塗装鉄板、掲示
板等の吸着対象物に吸着固定するための強力な吸着力を
有するとともに、脱着操作性(取り外し性)の良好な吸
着用永久磁石を提供する。 【解決手段】 平面状もしくは被吸着面に沿った形状か
らなる吸着作用面と残りの非吸着作用面を有する永久磁
石であって、磁粉の磁化容易軸が吸着作用面から磁石内
部を通り、再び吸着作用面に戻ってくるように配向同時
着磁、もしくは配向同時着磁と同様のパターンでの逆磁
場再着磁されるとともに、その側断面において、前記吸
着作用面と接する前記非吸着作用面の吸着作用面と接す
る角度が90度よりも大きい部分を少なくとも1箇所有
することを特徴とする。
板等の吸着対象物に吸着固定するための強力な吸着力を
有するとともに、脱着操作性(取り外し性)の良好な吸
着用永久磁石を提供する。 【解決手段】 平面状もしくは被吸着面に沿った形状か
らなる吸着作用面と残りの非吸着作用面を有する永久磁
石であって、磁粉の磁化容易軸が吸着作用面から磁石内
部を通り、再び吸着作用面に戻ってくるように配向同時
着磁、もしくは配向同時着磁と同様のパターンでの逆磁
場再着磁されるとともに、その側断面において、前記吸
着作用面と接する前記非吸着作用面の吸着作用面と接す
る角度が90度よりも大きい部分を少なくとも1箇所有
することを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は吸着用永久磁石に関
し、更に詳しくは、該永久磁石の吸着力を利用して、紙
やシート等の固定対象物を塗装鉄板(白板)、電子黒
板、掲示板等の吸着対象物に吸着固定する場合に、強力
な吸着力を有するとともに、脱着の操作性に優れた、作
用面集束配向吸着用永久磁石に関する。
し、更に詳しくは、該永久磁石の吸着力を利用して、紙
やシート等の固定対象物を塗装鉄板(白板)、電子黒
板、掲示板等の吸着対象物に吸着固定する場合に、強力
な吸着力を有するとともに、脱着の操作性に優れた、作
用面集束配向吸着用永久磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の吸着用永久磁石として
は、希土類系又はフェライト系の焼結磁石や合成樹脂磁
石が使用されている。これらの磁粉の配向方向は、図1
8に示すように、軸方向(アキシャル方向)異方性磁石
であり、従って、吸着力の良し悪しは、使用する磁粉の
種類と含有率によって決まっていた。
は、希土類系又はフェライト系の焼結磁石や合成樹脂磁
石が使用されている。これらの磁粉の配向方向は、図1
8に示すように、軸方向(アキシャル方向)異方性磁石
であり、従って、吸着力の良し悪しは、使用する磁粉の
種類と含有率によって決まっていた。
【0003】この点を改良せんとして、特公昭63−5
9243号公報には、磁化容易軸の方向が集束する配向
を有する焼結異方性永久磁石が提案されている。
9243号公報には、磁化容易軸の方向が集束する配向
を有する焼結異方性永久磁石が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記公報に記載された
永久磁石は、図18に示すように、磁化容易軸の方向を
非吸着作用面(吸着作用面以外のすべての面)から吸着
作用面に向けて集束配向(以下、単純集束配向と記す)
させたもので、この磁石によれば単位面積あたりの磁束
密度を従来よりも大きくすることができる。
永久磁石は、図18に示すように、磁化容易軸の方向を
非吸着作用面(吸着作用面以外のすべての面)から吸着
作用面に向けて集束配向(以下、単純集束配向と記す)
させたもので、この磁石によれば単位面積あたりの磁束
密度を従来よりも大きくすることができる。
【0005】しかしながら、上記した単純集束配向磁石
は軸方向配向磁石に比べれば吸着力は大きいものの、必
ずしも十分とは云い難く、吸着力の更なる向上が望まれ
ている。また、焼結磁石は焼結時に磁化容易軸と磁化困
難軸との収縮率の差により、反り、ひび割れが起こり易
いという問題を含んでいる。この場合、たとえ焼結条件
を選択し、反りやひび割れを防いで製品化し得たとして
も、得られた製品は内部歪みのため吸着・脱着の使用中
にひび割れが頻発するという欠点を内包する。
は軸方向配向磁石に比べれば吸着力は大きいものの、必
ずしも十分とは云い難く、吸着力の更なる向上が望まれ
ている。また、焼結磁石は焼結時に磁化容易軸と磁化困
難軸との収縮率の差により、反り、ひび割れが起こり易
いという問題を含んでいる。この場合、たとえ焼結条件
を選択し、反りやひび割れを防いで製品化し得たとして
も、得られた製品は内部歪みのため吸着・脱着の使用中
にひび割れが頻発するという欠点を内包する。
【0006】このひび割れを防ぎ、吸着力を向上させる
ために、図19に示すように、焼結磁石9に強磁性体の
バックヨーク10を組み合わせてた使用する方法もある
が、磁石9の表面とバックヨーク10の端面とを同一面
上、即ち、面一に構成することは容易ではなく、バック
ヨーク端面が磁石表面よりも後退している場合は吸着力
の低下を招き、一方、バックヨーク端面が磁石表面より
も突出している場合は吸着力が低下するばかりでなく、
吸着時に、掲示板、電子黒板等の被吸着面を傷つけると
いう問題がある。
ために、図19に示すように、焼結磁石9に強磁性体の
バックヨーク10を組み合わせてた使用する方法もある
が、磁石9の表面とバックヨーク10の端面とを同一面
上、即ち、面一に構成することは容易ではなく、バック
ヨーク端面が磁石表面よりも後退している場合は吸着力
の低下を招き、一方、バックヨーク端面が磁石表面より
も突出している場合は吸着力が低下するばかりでなく、
吸着時に、掲示板、電子黒板等の被吸着面を傷つけると
いう問題がある。
【0007】本発明は、かかる実情に鑑み、上記単純集
束配向磁石よりも更に吸着力を更に向上させるととも
に、脱着操作性(被吸着物からの取り外し性)に優れた
吸着用永久磁石を提供するものである。
束配向磁石よりも更に吸着力を更に向上させるととも
に、脱着操作性(被吸着物からの取り外し性)に優れた
吸着用永久磁石を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意研究の結果、特定量の磁粉を含有す
る磁石組成物からなる永久磁石であって、特定の方向に
配向させるとともに、更に平面状もしくは被吸着面に沿
った形状からなる吸着作用面と残りの非吸着作用面を有
する永久磁石の側断面において、前記吸着作用面と接す
る前記非吸着作用面の吸着作用面と接する角度θが90
度よりも大きくすることにより、所期の目的が達成され
ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
解決するために鋭意研究の結果、特定量の磁粉を含有す
る磁石組成物からなる永久磁石であって、特定の方向に
配向させるとともに、更に平面状もしくは被吸着面に沿
った形状からなる吸着作用面と残りの非吸着作用面を有
する永久磁石の側断面において、前記吸着作用面と接す
る前記非吸着作用面の吸着作用面と接する角度θが90
度よりも大きくすることにより、所期の目的が達成され
ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明の請求項1は、平面状もしく
は被吸着面に沿った形状からなる吸着作用面と残りの非
吸着作用面を有する永久磁石であって、磁粉の磁化容易
軸が吸着作用面から磁石内部を通り、再び吸着作用面に
戻ってくるように配向同時着磁、もしくは配向同時着磁
と同様のパターンでの逆磁場再着磁されるとともに、そ
の側断面において、前記吸着作用面と接する前記非吸着
作用面の吸着作用面と接する角度θが90度よりも大き
い部分を少なくとも1箇所有することを特徴とする作用
面集束配向吸着用永久磁石を内容とする。
は被吸着面に沿った形状からなる吸着作用面と残りの非
吸着作用面を有する永久磁石であって、磁粉の磁化容易
軸が吸着作用面から磁石内部を通り、再び吸着作用面に
戻ってくるように配向同時着磁、もしくは配向同時着磁
と同様のパターンでの逆磁場再着磁されるとともに、そ
の側断面において、前記吸着作用面と接する前記非吸着
作用面の吸着作用面と接する角度θが90度よりも大き
い部分を少なくとも1箇所有することを特徴とする作用
面集束配向吸着用永久磁石を内容とする。
【0010】本発明の請求項2は、永久磁石の非吸着作
用面側に、磁石組成物以外の材料からなる把持部を設け
た請求項1記載の吸着用永久磁石を内容とする。
用面側に、磁石組成物以外の材料からなる把持部を設け
た請求項1記載の吸着用永久磁石を内容とする。
【0011】本発明の請求項3は、平均配向度が80%
以上である請求項1又は2記載の吸着用永久磁石を内容
とする。
以上である請求項1又は2記載の吸着用永久磁石を内容
とする。
【0012】本発明の請求項4は、永久磁石が、磁粉3
5〜75vol%、残部が合成樹脂からなる請求項1〜3の
いずれか1項に記載の吸着用永久磁石を内容とする。
5〜75vol%、残部が合成樹脂からなる請求項1〜3の
いずれか1項に記載の吸着用永久磁石を内容とする。
【0013】本発明の請求項5は、合成樹脂が、ポリア
ミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
(ABS)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレン
サルファイド(PPS)樹脂、液晶樹脂、エラストマー
から選ばれる少なくとも1種である請求項4記載の吸着
用永久磁石を内容とする。
ミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
(ABS)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレン
サルファイド(PPS)樹脂、液晶樹脂、エラストマー
から選ばれる少なくとも1種である請求項4記載の吸着
用永久磁石を内容とする。
【0014】本発明の請求項6は、永久磁石が、射出成
形により得られたものである請求項4又は5記載の吸着
用永久磁石を内容とする。
形により得られたものである請求項4又は5記載の吸着
用永久磁石を内容とする。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明者らは、まず永久磁石の吸
着力を向上させるには、磁石を吸着させたときに、非吸
着作用面から無駄に放射される磁力線を少なくすればよ
いのではないかと考え、磁粉の磁化容易軸を吸着作用面
から磁石内部に向かわせ、その後再び吸着作用面に戻す
配向が最適と考えた。更に、得られた永久磁石は極めて
強力な吸着力を有するため、その脱着操作性について検
討を進めた結果、平面状もしくは被吸着面に沿った形状
からなる吸着作用面と残りの非吸着作用面を有する永久
磁石の側断面において、前記吸着作用面と接する前記非
吸着作用面の吸着作用面と接する角度θを90度よりも
大きくすることにより、脱着操作性の良好な吸着用永久
磁石が得られることを見出し本発明に到達したものであ
る。
着力を向上させるには、磁石を吸着させたときに、非吸
着作用面から無駄に放射される磁力線を少なくすればよ
いのではないかと考え、磁粉の磁化容易軸を吸着作用面
から磁石内部に向かわせ、その後再び吸着作用面に戻す
配向が最適と考えた。更に、得られた永久磁石は極めて
強力な吸着力を有するため、その脱着操作性について検
討を進めた結果、平面状もしくは被吸着面に沿った形状
からなる吸着作用面と残りの非吸着作用面を有する永久
磁石の側断面において、前記吸着作用面と接する前記非
吸着作用面の吸着作用面と接する角度θを90度よりも
大きくすることにより、脱着操作性の良好な吸着用永久
磁石が得られることを見出し本発明に到達したものであ
る。
【0016】本発明の吸着用永久磁石は、焼結磁石、合
成樹脂磁石のいずれでもよいが、前記したような反りや
ひび割れが発生せず、使用中に誤って落下させても割れ
や欠けが発生せず、また成形性に富む点で合成樹脂磁石
が好ましい。本発明に用いられる磁粉としては、フエラ
イト系磁扮、アルニコ系磁粉及びサマリウム−コバルト
系磁粉やネオジム−鉄−ボロン系磁粉、サマリウム−鉄
−窒素系磁粉等の希土類元素を含む磁粉など、従来公知
のものいずれもが使用でき、その平均粒子径について
は、通常、フエライト系では0.5〜2.0μm程度、
その他のものでは2〜50μm程度が利用される。
成樹脂磁石のいずれでもよいが、前記したような反りや
ひび割れが発生せず、使用中に誤って落下させても割れ
や欠けが発生せず、また成形性に富む点で合成樹脂磁石
が好ましい。本発明に用いられる磁粉としては、フエラ
イト系磁扮、アルニコ系磁粉及びサマリウム−コバルト
系磁粉やネオジム−鉄−ボロン系磁粉、サマリウム−鉄
−窒素系磁粉等の希土類元素を含む磁粉など、従来公知
のものいずれもが使用でき、その平均粒子径について
は、通常、フエライト系では0.5〜2.0μm程度、
その他のものでは2〜50μm程度が利用される。
【0017】本発明に用いられるバインダーとしての合
成樹脂についても、従来公知のものいずれもが使用でき
る。その代表例を示すと、ポリアミド6、ポリアミド1
2、ポリアミド66、芳香環を含む芳香族ポリアミドな
どのポリアミド系樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂,塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリメチルメタクリレー
ト樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン及びポリプロ
ピレンなどを単独又は共重合したポリオレフィン系樹
脂;ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポ
リエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステ
ル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹
脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、塩素
化ポリエチレン(CPE)樹脂、クロロスルホン化ポリ
エチレン樹脂(デュポン社の商品名「ハイパロン」)、
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹
脂、液晶樹脂、エポキシ系樹脂,フエノール系樹脂等;
イソプレン、ネオプレン、スチレンブタジエン、ブタジ
エン、アクリロニトリルブタジエンなどのゴム;オレフ
ィン系エチレン−プロピレン−ジエン−メチレン(EP
DM)、ウレタン系、ポリエステル系などののエラスト
マー等が使用できる。これらは単独で又は必要により2
種以上混合して用いられる。これらの中で、ポリアミド
樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、PPS樹脂、
液晶樹脂、エラストマーが好ましい。
成樹脂についても、従来公知のものいずれもが使用でき
る。その代表例を示すと、ポリアミド6、ポリアミド1
2、ポリアミド66、芳香環を含む芳香族ポリアミドな
どのポリアミド系樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂,塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリメチルメタクリレー
ト樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン及びポリプロ
ピレンなどを単独又は共重合したポリオレフィン系樹
脂;ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポ
リエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステ
ル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹
脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、塩素
化ポリエチレン(CPE)樹脂、クロロスルホン化ポリ
エチレン樹脂(デュポン社の商品名「ハイパロン」)、
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹
脂、液晶樹脂、エポキシ系樹脂,フエノール系樹脂等;
イソプレン、ネオプレン、スチレンブタジエン、ブタジ
エン、アクリロニトリルブタジエンなどのゴム;オレフ
ィン系エチレン−プロピレン−ジエン−メチレン(EP
DM)、ウレタン系、ポリエステル系などののエラスト
マー等が使用できる。これらは単独で又は必要により2
種以上混合して用いられる。これらの中で、ポリアミド
樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、PPS樹脂、
液晶樹脂、エラストマーが好ましい。
【0018】磁粉とバインダーとしての合成樹脂との配
合割合は、磁粉が35〜75vol%、合成樹脂が65〜2
5vol%の範囲であり、好ましくは60〜72vol%であ
る。磁粉が35vol%未満では吸着力が不十分で、一方、
75vol%を越えると溶融粘度が高くなり射出成形が困難
となり、また射出成形できたとしても、ひび割れが発生
したり、吸着用磁石として繰り返し使用し、脱着を繰り
返している間に割れるというトラブルが発生し易くな
る。なお、その他にも、従来から常用される可塑剤や抗
酸化剤、表面処理剤などを目的に応じて使用できること
はいうまでもない。
合割合は、磁粉が35〜75vol%、合成樹脂が65〜2
5vol%の範囲であり、好ましくは60〜72vol%であ
る。磁粉が35vol%未満では吸着力が不十分で、一方、
75vol%を越えると溶融粘度が高くなり射出成形が困難
となり、また射出成形できたとしても、ひび割れが発生
したり、吸着用磁石として繰り返し使用し、脱着を繰り
返している間に割れるというトラブルが発生し易くな
る。なお、その他にも、従来から常用される可塑剤や抗
酸化剤、表面処理剤などを目的に応じて使用できること
はいうまでもない。
【0019】本発明の吸着用永久磁石は、該永久磁石を
構成する磁性粉の磁化容易軸が吸着作用面から磁石内部
を通り、再び吸着作用面に戻ってくるように配向同時着
磁、もしくは配向同時着磁と同様のパターンでの逆磁場
印加再着磁した異方性磁石からなる。このような異方性
磁石は、例えば、図1に示すような射出成形用金型によ
り製造することができる。
構成する磁性粉の磁化容易軸が吸着作用面から磁石内部
を通り、再び吸着作用面に戻ってくるように配向同時着
磁、もしくは配向同時着磁と同様のパターンでの逆磁場
印加再着磁した異方性磁石からなる。このような異方性
磁石は、例えば、図1に示すような射出成形用金型によ
り製造することができる。
【0020】図1は、3枚プレート突き出し方式の多数
個取りの射出成形用金型の一例を示す概略図で、1はキ
ャビティ、2はスプルー、3はランナー、4は永久磁
石、5はヨーク(強磁性体)、6は非磁性体である。図
2は、図1におけるI−I断面図、図3はII−II断面図
である。磁粉と合成樹脂とを主成分とする樹脂磁石組成
物は、スプルー2、ランナー3を経由してキャビティ1
内に充填され、矢示した如く磁力線に沿って磁粉粒子の
磁化容易軸が吸着作用面から磁石内部を通り再び吸着作
用面に戻ってくるように配向される。尚、図1では永久
磁石4を用いた例を示したが、これに代えて電磁石を使
用してもよいことは云うまでもない。キャビティ1より
取り出された吸着用永久磁石7は、吸着作用面K及び非
吸着作用面H1〜H3を有する。
個取りの射出成形用金型の一例を示す概略図で、1はキ
ャビティ、2はスプルー、3はランナー、4は永久磁
石、5はヨーク(強磁性体)、6は非磁性体である。図
2は、図1におけるI−I断面図、図3はII−II断面図
である。磁粉と合成樹脂とを主成分とする樹脂磁石組成
物は、スプルー2、ランナー3を経由してキャビティ1
内に充填され、矢示した如く磁力線に沿って磁粉粒子の
磁化容易軸が吸着作用面から磁石内部を通り再び吸着作
用面に戻ってくるように配向される。尚、図1では永久
磁石4を用いた例を示したが、これに代えて電磁石を使
用してもよいことは云うまでもない。キャビティ1より
取り出された吸着用永久磁石7は、吸着作用面K及び非
吸着作用面H1〜H3を有する。
【0021】本発明の吸着用永久磁石は、上記射出成形
の他、圧縮成形、押出成形等により得られるが、特に射
出成形により良好な吸着用永久磁石が得られる。圧縮成
形は磁粉により成形できない場合があり、例えば、平均
粒径が1〜5μm程度の粒径の小さいフェライトやSm
FeN系の磁粉は、特に薄物の磁石を得る場合、グリー
ン成形時にブリッジを起こしキャビティ内にスムーズに
導入されず、所謂充填不良を起こす場合がある。その結
果、製品に空隙が発生し、機械的強度が不良となり、使
用中に誤って落下させたような場合に、破損し易くなる
傾向がある。
の他、圧縮成形、押出成形等により得られるが、特に射
出成形により良好な吸着用永久磁石が得られる。圧縮成
形は磁粉により成形できない場合があり、例えば、平均
粒径が1〜5μm程度の粒径の小さいフェライトやSm
FeN系の磁粉は、特に薄物の磁石を得る場合、グリー
ン成形時にブリッジを起こしキャビティ内にスムーズに
導入されず、所謂充填不良を起こす場合がある。その結
果、製品に空隙が発生し、機械的強度が不良となり、使
用中に誤って落下させたような場合に、破損し易くなる
傾向がある。
【0022】また、押出成形は、押出し直後に形状を保
持させるため粘度を高く設定する必要があり、また配向
磁場の印加時間が短いために配向度が上がらず、その結
果、吸着力の高い製品が得られ難い場合がある。従っ
て、押出し速度を極端に遅くして磁場配向時間を長くす
る必要がある。
持させるため粘度を高く設定する必要があり、また配向
磁場の印加時間が短いために配向度が上がらず、その結
果、吸着力の高い製品が得られ難い場合がある。従っ
て、押出し速度を極端に遅くして磁場配向時間を長くす
る必要がある。
【0023】一方、射出成形は、キャビティ充填時の粘
度が低く、冷却固化するまでの磁場印加時間、即ち、配
向時間を十分に確保できるので、低コストで品質の良好
な吸着用永久磁石を得ることができるので特に好適であ
る。反応射出成形(RIM)は特別な成形システムが必
要となるが、射出成形の長所を兼ね備えた成形方法とし
て使用することができる。
度が低く、冷却固化するまでの磁場印加時間、即ち、配
向時間を十分に確保できるので、低コストで品質の良好
な吸着用永久磁石を得ることができるので特に好適であ
る。反応射出成形(RIM)は特別な成形システムが必
要となるが、射出成形の長所を兼ね備えた成形方法とし
て使用することができる。
【0024】本発明の吸着用永久磁石は、平均配向度を
80%以上に調整することが望ましい。平均配向度が8
0%未満では、磁粉の含有率を上げても強力な吸着力を
有する永久磁石を得ることが困難となる傾向がある。平
均配向度は、好ましくは、90%以上である。尚、本発
明において、平均配向度は下記の方法により求められ
る。
80%以上に調整することが望ましい。平均配向度が8
0%未満では、磁粉の含有率を上げても強力な吸着力を
有する永久磁石を得ることが困難となる傾向がある。平
均配向度は、好ましくは、90%以上である。尚、本発
明において、平均配向度は下記の方法により求められ
る。
【0025】被測定サンプルを配向方向に対して直角に
割り、その断面の各部分の配向状況を予めSEM写真で
とった基準配向度サンプルと比較し、各部分の配向度を
決定し平均配向度とする。基準配向度サンプルの作り方
は、例えば、その配向度が概ね5%きざみとなるよう
に、サンプル作成時の配向磁場の強さを設定して作成す
る。被測定サンプルのSEM写真の視野は、配向が吸着
作用面から磁石内部に連なり、再び吸着作用面に戻るま
でに10分割程度となるように設定し、その平均値を採
用する。
割り、その断面の各部分の配向状況を予めSEM写真で
とった基準配向度サンプルと比較し、各部分の配向度を
決定し平均配向度とする。基準配向度サンプルの作り方
は、例えば、その配向度が概ね5%きざみとなるよう
に、サンプル作成時の配向磁場の強さを設定して作成す
る。被測定サンプルのSEM写真の視野は、配向が吸着
作用面から磁石内部に連なり、再び吸着作用面に戻るま
でに10分割程度となるように設定し、その平均値を採
用する。
【0026】磁場配向励磁方法は、既に知られた永久磁
石方式と電磁石方式が使用できる。希土類系の磁粉を用
いた場合は、印加磁場が大きく期待できる電磁石方式が
有利であるが、フェライト系の場合は、永久磁石使用の
方が金型をコンパクトにできる利点がある。磁場配向励
磁用の永久磁石としては、既に知られたネオジム−鉄−
ボロン系焼結磁石、サマリウム−コバルト系焼結磁石が
好適に使用できる。
石方式と電磁石方式が使用できる。希土類系の磁粉を用
いた場合は、印加磁場が大きく期待できる電磁石方式が
有利であるが、フェライト系の場合は、永久磁石使用の
方が金型をコンパクトにできる利点がある。磁場配向励
磁用の永久磁石としては、既に知られたネオジム−鉄−
ボロン系焼結磁石、サマリウム−コバルト系焼結磁石が
好適に使用できる。
【0027】図4〜図10に、本発明の吸着用永久磁石
の磁気回路及び配向状態のいくつかの例を、逆台形状の
吸着用永久磁石を例に挙げて示す。尚、これらの図の中
で、数字は、参考までに寸法(mm)の一例を示したも
のである。
の磁気回路及び配向状態のいくつかの例を、逆台形状の
吸着用永久磁石を例に挙げて示す。尚、これらの図の中
で、数字は、参考までに寸法(mm)の一例を示したも
のである。
【0028】以上の如くして得られる本発明の作用面集
束配向永久磁石は、極めて強力な吸着力を示すため、特
定の形状としない場合には、該磁石を被吸着物より引き
離すことが困難で、脱着操作に支障を来すことになる。
そこで、平面状もしくは被吸着面に沿った形状からなる
吸着作用面Kと残りの非吸着作用面H1〜H3を有する
永久磁石の側断面において、前記吸着作用面と接する前
記非吸着作用面の吸着作用面と接する角度θが90度よ
りも大きい部分を少なくとも1箇所、好ましくは、少な
くとも2箇所有する形状とする必要がある。尚、本発明
において、吸着作用面と接する非吸着作用面の吸着作用
面と接する角度θとは、吸着作用面Kの端部と、吸着作
用面Kと接する非吸着作用面H1又はH2の最大部とを
結んだ直線と吸着作用面Kとの角度を指す。
束配向永久磁石は、極めて強力な吸着力を示すため、特
定の形状としない場合には、該磁石を被吸着物より引き
離すことが困難で、脱着操作に支障を来すことになる。
そこで、平面状もしくは被吸着面に沿った形状からなる
吸着作用面Kと残りの非吸着作用面H1〜H3を有する
永久磁石の側断面において、前記吸着作用面と接する前
記非吸着作用面の吸着作用面と接する角度θが90度よ
りも大きい部分を少なくとも1箇所、好ましくは、少な
くとも2箇所有する形状とする必要がある。尚、本発明
において、吸着作用面と接する非吸着作用面の吸着作用
面と接する角度θとは、吸着作用面Kの端部と、吸着作
用面Kと接する非吸着作用面H1又はH2の最大部とを
結んだ直線と吸着作用面Kとの角度を指す。
【0029】本発明の上記した特定の形状の永久磁石
は、側断面図を示す図11(a)〜(e)により例示さ
れる。即ち、(a)の永久磁石7は吸着作用面Kと非吸
着作用面H1、H2、H3とからなり、該吸着作用面K
と、これに接する非吸着作用面H1、H2との角度θが
90度よりも大きく形成された逆台形状からなる。また
(b)の永久磁石7は、吸着作用面Kと非吸着作用面H
1、H2、H3とからなり、該吸着作用面Kと、これに
接する、一部弧状に窪んだ非吸着作用面H1、H2の最
大部とを結んだ直線との角度θが90度よりも大きく形
成された略逆台形状からなる。また(c)の永久磁石7
は、吸着作用面Kと非吸着作用面H1、H2、H3とか
らなり、該非吸着作用面H1、H2は、非吸着作用面H
3寄りの一部が膨出した略T字形状からなり、吸着作用
面Kと、これに接する非吸着作用面H1、H2の最大部
(膨出部)を結んだ直線との角度θが90度よりも大き
く形成されている。更に、(d)の永久磁石7は中央部
に貫通孔8を有するドーナツ形状からなり、吸着作用面
Kと、これに接する非吸着作用面H1、H2との角度θ
が90度よりも大きく形成されている。更にまた、
(e)の永久磁石7は、角度θの部分を部分的に2箇所
設けた例を示し、吸着作用面Kと、これに接する非吸着
作用面H1、H2との角度θが90度よりも大きく形成
されている。
は、側断面図を示す図11(a)〜(e)により例示さ
れる。即ち、(a)の永久磁石7は吸着作用面Kと非吸
着作用面H1、H2、H3とからなり、該吸着作用面K
と、これに接する非吸着作用面H1、H2との角度θが
90度よりも大きく形成された逆台形状からなる。また
(b)の永久磁石7は、吸着作用面Kと非吸着作用面H
1、H2、H3とからなり、該吸着作用面Kと、これに
接する、一部弧状に窪んだ非吸着作用面H1、H2の最
大部とを結んだ直線との角度θが90度よりも大きく形
成された略逆台形状からなる。また(c)の永久磁石7
は、吸着作用面Kと非吸着作用面H1、H2、H3とか
らなり、該非吸着作用面H1、H2は、非吸着作用面H
3寄りの一部が膨出した略T字形状からなり、吸着作用
面Kと、これに接する非吸着作用面H1、H2の最大部
(膨出部)を結んだ直線との角度θが90度よりも大き
く形成されている。更に、(d)の永久磁石7は中央部
に貫通孔8を有するドーナツ形状からなり、吸着作用面
Kと、これに接する非吸着作用面H1、H2との角度θ
が90度よりも大きく形成されている。更にまた、
(e)の永久磁石7は、角度θの部分を部分的に2箇所
設けた例を示し、吸着作用面Kと、これに接する非吸着
作用面H1、H2との角度θが90度よりも大きく形成
されている。
【0030】本発明の吸着用永久磁石において、角度θ
が90度以下となると指が滑り、指を永久磁石に掛けて
永久磁石を被吸着物から引き剥がすことが困難となる。
角度θの上限は特に限定されないが、余り大きくなると
吸着作用面が相対的に小さくなり吸着力が低下するので
好ましくない。通常100〜135度程度が好ましい。
角度θ部を(a)〜(d)の如く永久磁石の全体に設け
ると、脱着操作の際に、指を掛ける場所に制限がなく、
従って、どこに指を掛けてもよいので使い勝手が良く、
また(e)の如く部分的に設けると、その部分に指を掛
けて脱着操作をする。また、非吸着作用面H1、H2の
面をショットブラスト加工又は金型での絞加工を施して
粗面化することにより、指の滑りが防止され、更に脱着
操作性を向上させるのに効果的である。
が90度以下となると指が滑り、指を永久磁石に掛けて
永久磁石を被吸着物から引き剥がすことが困難となる。
角度θの上限は特に限定されないが、余り大きくなると
吸着作用面が相対的に小さくなり吸着力が低下するので
好ましくない。通常100〜135度程度が好ましい。
角度θ部を(a)〜(d)の如く永久磁石の全体に設け
ると、脱着操作の際に、指を掛ける場所に制限がなく、
従って、どこに指を掛けてもよいので使い勝手が良く、
また(e)の如く部分的に設けると、その部分に指を掛
けて脱着操作をする。また、非吸着作用面H1、H2の
面をショットブラスト加工又は金型での絞加工を施して
粗面化することにより、指の滑りが防止され、更に脱着
操作性を向上させるのに効果的である。
【0031】また、本発明の吸着用永久磁石の上面図と
しては、特に制限されず、図12(a)〜(h)に例示
する如く、円形(a)、楕円形の他、三角形(b)、四
角形(c)、五角形(d)、六角形(e)、八角形状
(f)等の多角形、星形(g)、中央部に孔のあいたド
ーナツ形等のいずれでもよく、また、これらの角部に丸
味を持たせたものでもよい(h)。各種キャラクター、
動物等の形状とすることもできる。
しては、特に制限されず、図12(a)〜(h)に例示
する如く、円形(a)、楕円形の他、三角形(b)、四
角形(c)、五角形(d)、六角形(e)、八角形状
(f)等の多角形、星形(g)、中央部に孔のあいたド
ーナツ形等のいずれでもよく、また、これらの角部に丸
味を持たせたものでもよい(h)。各種キャラクター、
動物等の形状とすることもできる。
【0032】また、本発明の吸着用永久磁石は、脱着操
作性を高めるために、図13(a)、(b)、(c)に
例示するように、本発明の吸着用永久磁石7の非吸着作
用面側(吸着作用面の反対側のみならず側面を含む)に
把持部13を設けてもよい。このような把持部は磁石組
成物でもよいが、磁石組成物とは異なる樹脂を用いるの
が経済的である。このような樹脂としては特に制限され
ないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフ
ィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂等の安価
な汎用樹脂が好ましい。また、把持部として、取っ手を
つけてもよい。取っ手には、(d)に示すような鍋蓋方
式の取っ手14、逆シルクハット形式の取っ手等の既に
知られた形状を用いることができる。更に、吸着用永久
磁石の非吸着作用面側の吸着にさほど寄与しない部分の
磁石組成物をそぎ落として取っ手を設けた形状は、材料
の節約にもなりコスト的にも有利である。把持部や取っ
手は、インサート成形、成形後の嵌め込み或いは接着に
より設けられる。本発明の吸着用永久磁石はθが90度
よりも大きいので、使用中に把持部が不用意に外れると
いったトラブルが皆無である。
作性を高めるために、図13(a)、(b)、(c)に
例示するように、本発明の吸着用永久磁石7の非吸着作
用面側(吸着作用面の反対側のみならず側面を含む)に
把持部13を設けてもよい。このような把持部は磁石組
成物でもよいが、磁石組成物とは異なる樹脂を用いるの
が経済的である。このような樹脂としては特に制限され
ないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフ
ィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂等の安価
な汎用樹脂が好ましい。また、把持部として、取っ手を
つけてもよい。取っ手には、(d)に示すような鍋蓋方
式の取っ手14、逆シルクハット形式の取っ手等の既に
知られた形状を用いることができる。更に、吸着用永久
磁石の非吸着作用面側の吸着にさほど寄与しない部分の
磁石組成物をそぎ落として取っ手を設けた形状は、材料
の節約にもなりコスト的にも有利である。把持部や取っ
手は、インサート成形、成形後の嵌め込み或いは接着に
より設けられる。本発明の吸着用永久磁石はθが90度
よりも大きいので、使用中に把持部が不用意に外れると
いったトラブルが皆無である。
【0033】
【作用】図14、図15、図16は、それぞれ本発明の
吸着用永久磁石、従来の軸方向配向永久磁石、従来のバ
ックヨークを取り付けた軸方向配向永久磁石を用いて、
紙11を塗装鉄板12に吸着固定した状態を示す概念図
である。これらの図から明かなように、本発明の吸着用
永久磁石は、非吸着作用面から無駄に放射される磁力線
が少なく、磁力線が有効に吸着作用に利用されるため、
強力な吸着力を発揮するものと考えられる。
吸着用永久磁石、従来の軸方向配向永久磁石、従来のバ
ックヨークを取り付けた軸方向配向永久磁石を用いて、
紙11を塗装鉄板12に吸着固定した状態を示す概念図
である。これらの図から明かなように、本発明の吸着用
永久磁石は、非吸着作用面から無駄に放射される磁力線
が少なく、磁力線が有効に吸着作用に利用されるため、
強力な吸着力を発揮するものと考えられる。
【0034】
【実施例】以下、本発明は実施例、比較例を挙げて更に
詳細に説明するが、これらは本発明を何ら制限するもの
ではない。
詳細に説明するが、これらは本発明を何ら制限するもの
ではない。
【0035】実施例1
図1に示した磁気回路を設定した3枚プレート突き出し
方式の射出成形用金型を用いて、下記の3種の形状の作
用面集束配向吸着用磁石を下記の配合及び成形条件で磁
場配向射出成形により作製した。得られた吸着用永久磁
石についての物性を下記の方法及び基準により評価し
た。評価結果を表1に示す。尚、3種の形状の寸法は下
記のとおりである。 図11(a)の形状:直径d=30mm、厚みt=5m
m、θ=115度 図11(b)の形状:直径d=30mm、厚みt1=1
mm、t2=5mm、θ=120度 図11(c)の形状:直径d=30mm、厚みt1=1
mm、t2=5mm、θ=100度
方式の射出成形用金型を用いて、下記の3種の形状の作
用面集束配向吸着用磁石を下記の配合及び成形条件で磁
場配向射出成形により作製した。得られた吸着用永久磁
石についての物性を下記の方法及び基準により評価し
た。評価結果を表1に示す。尚、3種の形状の寸法は下
記のとおりである。 図11(a)の形状:直径d=30mm、厚みt=5m
m、θ=115度 図11(b)の形状:直径d=30mm、厚みt1=1
mm、t2=5mm、θ=120度 図11(c)の形状:直径d=30mm、厚みt1=1
mm、t2=5mm、θ=100度
【0036】
(配合)
磁粉(フェライト磁粉:マグネトプランバイト系ストロンチウム系フェライト
:平均粒子径1.5μm) 68vol%
合成樹脂(ポリアミド12) 31vol%
可塑剤(TTS:イソプロピルトリイソステアロイルチタネート) 1vol%
【0037】(成形条件)
射出シリンダー温度:280℃
金型温度:100℃
射出圧力:1500kg/cm2
励磁時間::20秒
冷却時間:25秒
射出サイクル:40秒
【0038】(評価方法及び基準)
吸着力:吸着用永久磁石を用いてA4コピー用紙を1枚
だけを塗装鉄板に吸着保持したときの吸着力(g/c
m2 )。 ◎:極めて強い(1200g/cm2 以上) ○:強い(900〜1200g/cm2 未満) △:普通(600〜900g/cm2 未満) ×:弱い(600g/cm2 未満)
だけを塗装鉄板に吸着保持したときの吸着力(g/c
m2 )。 ◎:極めて強い(1200g/cm2 以上) ○:強い(900〜1200g/cm2 未満) △:普通(600〜900g/cm2 未満) ×:弱い(600g/cm2 未満)
【0039】成形直後の反り:吸着用永久磁石の成形直
後の反りを肉眼により評価。 ◎:反りが認められない。 ○:反りが僅かに認められる。 △:反りが少し認められる。 ×:反りが認められる。
後の反りを肉眼により評価。 ◎:反りが認められない。 ○:反りが僅かに認められる。 △:反りが少し認められる。 ×:反りが認められる。
【0040】ひび割れ:吸着用永久磁石のひび割れを肉
眼により評価。 ◎:ひび割れが認められない。 ○:ひび割れが僅かに認められる。 △:ひび割れが少し認められる。 ×:ひび割れが顕著に認められる。
眼により評価。 ◎:ひび割れが認められない。 ○:ひび割れが僅かに認められる。 △:ひび割れが少し認められる。 ×:ひび割れが顕著に認められる。
【0041】くり返し使用時のひび割れ性:吸着用永久
磁石のくり返し使用時のひび割れ性を肉眼により評価。 ◎:ひび割れが認められない。 ○:ひび割れが僅かに認められる。 △:ひび割れが少し認められる。 ×:ひび割れが顕著に認められる。
磁石のくり返し使用時のひび割れ性を肉眼により評価。 ◎:ひび割れが認められない。 ○:ひび割れが僅かに認められる。 △:ひび割れが少し認められる。 ×:ひび割れが顕著に認められる。
【0042】取り外し性:
◎:軽く摘んで取り外せる。
△:軽く摘んだだけでは取り外せない場合がある。
×:強く摘んでも取り外せない場合がある。
【0043】実施例2〜8
表1に示す如く変更した他は実施例1と同様にして作用
面集束配向吸着用永久磁石を製造し、物性を評価した。
評価結果を表1に示す。尚、実施例8における図11
(d)の形状は下記のとおりである。 図11(d)の形状:直径d1=30mm、d2=10
mm、厚みt=5mm、θ=115度、θ1=115度
面集束配向吸着用永久磁石を製造し、物性を評価した。
評価結果を表1に示す。尚、実施例8における図11
(d)の形状は下記のとおりである。 図11(d)の形状:直径d1=30mm、d2=10
mm、厚みt=5mm、θ=115度、θ1=115度
【0044】
【表1】
【0045】実施例9〜11
表2に示す如く変更し、作用面集束配向吸着用永久磁石
を製造し、物性を評価した。尚、実施例11の焼結磁石
の配合及び成形条件は下記のとおりである。
を製造し、物性を評価した。尚、実施例11の焼結磁石
の配合及び成形条件は下記のとおりである。
【0046】
(配合)
磁粉(フェライト磁粉:マグネトプランバイト系ストロンチウム系フェライト
:平均粒子径1.5μm) 50vol%
水 50vol%
【0047】(成形条件)
水抜き方法:チャンバー方式
励磁方法:竪磁場成形
成形温度:25℃
焼成温度:1250℃
【0048】比較例1〜4
比較例1については軸方向配向に変更し、比較例2につ
いては単純集束配向に変更し、また比較例3については
実施例1において、形状(a)のθを115度から90
度に変更し、また比較例4については、上記実施例11
と同じ配合及び成形条件で得られる焼結磁石とし、軸方
向配向でバックヨーク有りとした例である。物性の評価
結果を表2に示す。尚、比較のために、実施例1の作用
面集束配向吸着用永久磁石の結果も併せて掲記した。
いては単純集束配向に変更し、また比較例3については
実施例1において、形状(a)のθを115度から90
度に変更し、また比較例4については、上記実施例11
と同じ配合及び成形条件で得られる焼結磁石とし、軸方
向配向でバックヨーク有りとした例である。物性の評価
結果を表2に示す。尚、比較のために、実施例1の作用
面集束配向吸着用永久磁石の結果も併せて掲記した。
【0049】(評価方法及び基準)表1に記載されてい
ない物性の評価方法及び基準は下記のとおりである。 吸着固定力:吸着用永久磁石を用いてA4コピー用紙を
塗装鉄板に吸着固定させたときの最大枚数。 吸着時のすり傷:吸着用永久磁石を塗装鉄板(メチルメ
タクリレートを主成分とする熱可塑性塗料組成物を塗
装)に吸着させたまま横滑りさせたときに鉄板塗装面の
すり傷の有無を肉眼で観察。 ◎:すり傷が全く認められない。 ○:すり傷が僅かに認められる。 △:すり傷が少し認められる。 ×:すり傷が多く認められる。
ない物性の評価方法及び基準は下記のとおりである。 吸着固定力:吸着用永久磁石を用いてA4コピー用紙を
塗装鉄板に吸着固定させたときの最大枚数。 吸着時のすり傷:吸着用永久磁石を塗装鉄板(メチルメ
タクリレートを主成分とする熱可塑性塗料組成物を塗
装)に吸着させたまま横滑りさせたときに鉄板塗装面の
すり傷の有無を肉眼で観察。 ◎:すり傷が全く認められない。 ○:すり傷が僅かに認められる。 △:すり傷が少し認められる。 ×:すり傷が多く認められる。
【0050】
【表2】
【0051】表1及び表2の結果から、比較例1の軸方
向配向や比較例2の単純集束配向の合成樹脂永久磁石は
吸着力が不十分で、また比較例3に示すように、作用面
集束配向であってもθが90度では、強力な吸着力を有
するため取り外し性が悪く、実用的ではなかった。ま
た、比較例4の如く、バックヨークを設けることによ
り、軸方向配向であっても吸着力は改善されるが、吸着
時に被吸着物表面に傷が入り易い。また、バックヨーク
端面と磁石表面が面一でないことにより、吸着力にバラ
ツキが認められた。
向配向や比較例2の単純集束配向の合成樹脂永久磁石は
吸着力が不十分で、また比較例3に示すように、作用面
集束配向であってもθが90度では、強力な吸着力を有
するため取り外し性が悪く、実用的ではなかった。ま
た、比較例4の如く、バックヨークを設けることによ
り、軸方向配向であっても吸着力は改善されるが、吸着
時に被吸着物表面に傷が入り易い。また、バックヨーク
端面と磁石表面が面一でないことにより、吸着力にバラ
ツキが認められた。
【0052】
【発明の効果】叙上のとおり、本発明によれば、被吸着
物表面に傷を付着させず、強力な吸着力を有するととも
に脱着操作性(取り外し性)に優れた吸着用永久磁石を
安価に提供することができる。
物表面に傷を付着させず、強力な吸着力を有するととも
に脱着操作性(取り外し性)に優れた吸着用永久磁石を
安価に提供することができる。
【図1】本発明の吸着用永久磁石を製造するための磁場
配向射出成形金型の一例を示す概略図である。
配向射出成形金型の一例を示す概略図である。
【図2】図1のI−I断面図である。
【図3】図1のII−II断面図である。
【図4】本発明の吸着用永久磁石を製造するための磁気
回路及び配向状態を示す概略図である。
回路及び配向状態を示す概略図である。
【図5】本発明の吸着用永久磁石を製造するための磁気
回路及び配向状態を示す概略図である。
回路及び配向状態を示す概略図である。
【図6】本発明の吸着用永久磁石を製造するための磁気
回路及び配向状態を示す概略図である。
回路及び配向状態を示す概略図である。
【図7】本発明の吸着用永久磁石を製造するための磁気
回路及び配向状態を示す概略図である。
回路及び配向状態を示す概略図である。
【図8】本発明の吸着用永久磁石を製造するための磁気
回路及び配向状態を示す概略図(III −III 断面)であ
る。
回路及び配向状態を示す概略図(III −III 断面)であ
る。
【図9】本発明の吸着用永久磁石を製造するための磁気
回路及び配向状態を示す概略図である。
回路及び配向状態を示す概略図である。
【図10】本発明の吸着用永久磁石を製造するための磁
気回路及び配向状態を示す概略図である。
気回路及び配向状態を示す概略図である。
【図11】(a)〜(e)は、いずれも本発明の吸着用
永久磁石の例を示す概略図で、(e)の上は断面図、下
は底面図である。
永久磁石の例を示す概略図で、(e)の上は断面図、下
は底面図である。
【図12】(a)〜(h)は、いずれも本発明の吸着用
永久磁石の例を示す上面図である。
永久磁石の例を示す上面図である。
【図13】(a)〜(c)は、いずれも本発明の吸着用
永久磁石の例を示す断面図、(d)は斜視図である。
永久磁石の例を示す断面図、(d)は斜視図である。
【図14】本発明の吸着用永久磁石を用いて紙を塗装鉄
板に吸着させた状態を示す概念図である。
板に吸着させた状態を示す概念図である。
【図15】従来の軸方向配向磁石を用いて紙を塗装鉄板
に吸着させた状態を示す概念図である。
に吸着させた状態を示す概念図である。
【図16】従来のバックヨークを取り付けた軸方向配向
磁石を用いて紙を塗装鉄板に吸着させた状態を示す概念
図である。
磁石を用いて紙を塗装鉄板に吸着させた状態を示す概念
図である。
【図17】従来の軸方向配向永久磁石を示す概略図で、
上は斜視図、下は断面図である。
上は斜視図、下は断面図である。
【図18】従来の単純集束配向永久磁石を示す概略図
で、上は斜視図、下は断面図である。
で、上は斜視図、下は断面図である。
【図19】従来の、バックヨークを取り付けた軸方向配
向永久磁石を示す断面図である。
向永久磁石を示す断面図である。
1 キャビティ
2 スプルー
3 ランナー
4 永久磁石
5 ヨーク(強磁性体)
6 非磁性体
7 吸着用永久磁石
8 貫通孔
9 焼結磁石
10 バックヨーク
11 紙
12 塗装鉄板
13 把持部
14 取っ手
K 吸着作用面
H1、H2、H3 非吸着作用面
d、d1、d2 直径
t、t1、t2 厚み
θ、θ1 角度
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
Fターム(参考) 5E040 AB03 AB09 BB03 CA01
5E062 CD01 CD05 CE02 CE03 CE04
CF01
Claims (6)
- 【請求項1】 平面状もしくは被吸着面に沿った形状か
らなる吸着作用面と残りの非吸着作用面を有する永久磁
石であって、磁粉の磁化容易軸が吸着作用面から磁石内
部を通り、再び吸着作用面に戻ってくるように配向同時
着磁、もしくは配向同時着磁と同様のパターンでの逆磁
場再着磁されるとともに、その側断面において、前記吸
着作用面と接する前記非吸着作用面の吸着作用面と接す
る角度θが90度よりも大きい部分を少なくとも1箇所
有することを特徴とする作用面集束配向吸着用永久磁
石。 - 【請求項2】 永久磁石の非吸着作用面側に、磁石組成
物以外の材料からなる把持部を設けた請求項1記載の吸
着用永久磁石。 - 【請求項3】 平均配向度が80%以上である請求項1
又は2記載の吸着用永久磁石。 - 【請求項4】 永久磁石が、磁粉35〜75vol%、残部
が合成樹脂からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載
の吸着用永久磁石。 - 【請求項5】 合成樹脂が、ポリアミド樹脂、アクリロ
ニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリ
塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PP
S)樹脂、液晶樹脂、エラストマーから選ばれる少なく
とも1種である請求項4記載の吸着用永久磁石。 - 【請求項6】 永久磁石が、射出成形により得られたも
のである請求項4又は5記載の吸着用永久磁石。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002053097A JP2003257729A (ja) | 2002-02-28 | 2002-02-28 | 吸着用永久磁石 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002053097A JP2003257729A (ja) | 2002-02-28 | 2002-02-28 | 吸着用永久磁石 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP4709940B1 (ja) * | 2010-12-27 | 2011-06-29 | 株式会社カレンダー広告 | 磁石保持用ベース、磁石ホルダ、磁石付きバインダ、リングバインダ、及び永久磁石 |
-
2002
- 2002-02-28 JP JP2002053097A patent/JP2003257729A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP4709940B1 (ja) * | 2010-12-27 | 2011-06-29 | 株式会社カレンダー広告 | 磁石保持用ベース、磁石ホルダ、磁石付きバインダ、リングバインダ、及び永久磁石 |
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