JP2003253595A - オフセット印刷用塗工紙 - Google Patents

オフセット印刷用塗工紙

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JP2003253595A JP2002050760A JP2002050760A JP2003253595A JP 2003253595 A JP2003253595 A JP 2003253595A JP 2002050760 A JP2002050760 A JP 2002050760A JP 2002050760 A JP2002050760 A JP 2002050760A JP 2003253595 A JP2003253595 A JP 2003253595A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】バインダーマイグレーションを防止することに
よって、高い塗工紙品質および印刷品質を有するオフセ
ット印刷用塗工紙及を提供する。 【解決手段】木材パルプを主体とする原紙上の両面また
は片面に顔料と接着剤を主成分とする塗工液を塗工して
なるオフセット印刷用塗工紙において、主たる該顔料
が、炭酸カルシウム/カオリン/シリカまたは炭酸カル
シウム/カオリン/アルミナからなり、かつ全顔料中の
該シリカまたは該アルミナの含有比率が0.5〜5.0
質量%であることを特徴とするオフセット印刷用塗工
紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オフセット印刷用
塗工紙に関するものであり、さらに詳しくはバインダー
マイグレーションを防止し、高い白紙光沢を有し、印刷
適性に優れたオフセット印刷用塗工紙に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】塗工紙製造において、塗工から乾燥段階
までの間でバインダーマイグレーションという現象が起
こる。これは塗工液中のバインダー成分が塗工層中に均
等に分布せず、原紙と塗工層の界面または塗工層表面に
集中して存在する現象を指す。
【0003】発生原因は、塗液が原紙表面に接触してか
ら乾燥するまでの間の水分の移動(原紙への吸水と、蒸
発)によると考えられている。特に、蒸発する水につら
れての塗工紙表面へのバインダーマイグレーションは印
刷ムラの原因となり、問題となっている。
【0004】塗工紙表面方向への移動と原紙方向への移
動を区別するために、原紙方向への移動をバインダーペ
ネトレーション、表面方向への移動をバインダーマイグ
レーションと呼んで区別することもあるが、本特許では
これらを区別して用いないこととする。
【0005】バインダーマイグレーションの度合いは澱
粉の存在で大きくなると言われている。それは、澱粉に
は水酸基がたくさんあり、加えて塗工紙で使用が多い澱
粉にはリン酸基等親水性を増したものが多く、水の移動
につられやすいためである。
【0006】一方、SBRラテックスバインダーは、そ
れ単独ではそれほど大きな移動は生じないと言われてい
るが、澱粉と共存すると、澱粉に引っ張られる形でバイ
ンダーマイグレーションを起こす。澱粉とラテックスと
の静電的引力や分子間力などによる相互作用によるもの
であろう。これはラテックスの粒子径が大きい方が起こ
りにくい。
【0007】ブレード、エアナイフ、バーコーターな
ど、塗工量を塗液を掻き取る方式で調節する塗工方式の
場合は、塗液をアプリケートしてから掻き取られるまで
の時間がバインダーマイグレーションに大きく影響を与
える。この際、塗液のアプリケート圧も若干ながら影響
を与える。
【0008】乾燥強度も大きな要因の1つである。相関
関係は明らかにされていないが、乾燥方法によって塗工
紙品質は大きく影響を受ける。
【0009】その他に影響を与える要因としては、塗工
液の保水性、原紙空隙の量や大きさ、原紙の濡れ性など
がある。
【0010】塗工層内のバインダーの分布は塗工紙の品
質に大きく影響を与える。白紙光沢、白紙面感、平滑
度、透気度、着肉性、印刷面質、インキセット性、印刷
光沢、ピック強度、耐ブリスター性などが影響を受け
る。その中でも、特に問題となるのは印刷面質である。
他の物性はラテックスの含有量などである程度調節可能
だが、バインダーマイグレーションによる印刷面質の不
均一さはいかんともしがたい。ひどくなってくると、着
肉ムラ、モットリングとなる。
【0011】従来までは、これによる多少の品質の低下
は無視することが多かった。また、品質の低下がひどい
ときには塗工液の配合を変えたり、乾燥条件を最適化す
るなどの制約を受けてきた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、バイ
ンダーマイグレーションを防止することによって、高い
白紙光沢、優れた印刷適性を有するオフセット印刷用塗
工紙を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記に鑑み
鋭意研究した結果、本発明のオフセット印刷用塗工紙を
発明するに至った。
【0014】すなわち、本発明のオフセット印刷用塗工
紙は、木材パルプを主体とする原紙上の両面または片面
に顔料と接着剤を主成分とする塗工液を塗工してなるオ
フセット印刷用塗工紙において、主たる該顔料が、炭酸
カルシウム/カオリン/シリカまたは炭酸カルシウム/
カオリン/アルミナからなり、かつ全顔料中の該シリカ
または該アルミナの含有比率が0.5〜5.0質量%で
あることを特徴とするものである。
【0015】上記発明において、シリカが、平均凝集粒
子径3μm以下であることを特徴とする。
【0016】また、好ましくはシリカが、気相法または
イオン交換法により製造されたものであることを特徴と
する。
【0017】また、上記発明において、アルミナが、平
均凝集粒子径3μm以下であることを特徴とする。
【0018】さらに好ましくは、アルミナの含有比率
が、3.0〜5.0質量%である。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明のバインダーマイグ
レーションを防止したオフセット印刷用塗工紙につい
て、詳細に説明する。
【0020】本発明のバインダーマイグレーションを防
止したオフセット印刷用塗工紙は、塗工層中に特定の顔
料を含有させることによって、塗工液の塗工から乾燥ま
での間に発生するバインダーマイグレーションを防止し
たものである。
【0021】バインダーマイグレーションは、液体の水
の原紙方向への移動や気化した水の表面方向への移動に
よって起こる。顔料は粒子径が大きいため、この水分の
移動に影響されることはほとんどない。一方、澱粉には
水酸基が大量に存在し、水分の移動に非常に影響され
る。
【0022】一般的なラテックスバインダーは数質量%
ではあるがカルボン酸残基を持つため、ある程度は水分
の移動につられることになる。しかし、その度合いは小
さいと言われている。しかし、ラテックスと澱粉は、静
電的結合、分子間力による相互作用があるため、澱粉が
存在すると結局ラテックスも移動し、塗工層内で不均一
に分布することとなる。
【0023】澱粉やラテックスバインダーは顔料とも相
互作用を持ち、それによって移動が防がれるが、一般的
には、その作用はバインダーマイグレーションを防ぐほ
ど強くない。
【0024】ところで、シリカやアルミナは多孔質性の
物質であり、表面積が非常に大きい。このため、他の物
質をよく吸着する。一度吸着した化合物をはがすのは容
易ではなく、通常、極性溶媒を用いて徐々に溶出させ
る。
【0025】よって、塗工層中にシリカやアルミナを少
量でも配合しておけば、澱粉やラテックスバインダーは
これらによって吸着されてしまい、移動を阻害される。
【0026】ここで言うシリカとは、シリカゲル、シリ
カゾルなど二酸化珪素を主体とする化合物またはその水
和物、混合物で、表面積が通常の化合物に比べ非常に大
きく、吸着能力の高いものを指す。特定の物理または化
学状態の化合物に特定されるものではない。
【0027】また、アルミナは、酸化アルミニウムを主
体とする化合物またはその水和物、混合物で、シリカの
場合と同様に表面積が通常の化合物に比べ非常に大き
く、吸着能力の高いものを指す。特定の物理または化学
状態の化合物に特定されるものではない。
【0028】さらには、同様の能力を持つ化合物でも本
効果は発揮できる。
【0029】結局、この効果を使うことによってバイン
ダーマイグレーションは阻害され、塗工層内のバインダ
ーの分布は均一となる。結果、塗工紙品質や印刷品質も
均一となり、面感の非常によい塗工紙、印刷面質の非常
によい印刷物となる。
【0030】本発明のオフセット印刷用塗工紙において
は、塗工層中に0.5〜5.0質量%のシリカやアルミ
ナが存在することでバインダーマイグレーション防止効
果を発揮することができる。
【0031】ここで、シリカやアルミナ含有量が0.5
質量%以下の場合、吸着することのできる絶対量が足り
ないため、印刷品質を満足させるほどバインダーマイグ
レーションを防ぐことができない。一方、5質量%を越
えて配合しようとすると塗工液液性が極端に悪くなり、
塗工液の濃度をかなり下げなくてはならず、品質を大き
く落とすことになるだけでなく、生産性も大きく落ち、
好ましくない。
【0032】塗工層中に含有する顔料の粒子径は塗工紙
の品質に大きく影響する。平均凝集粒子径が3μm以下
の顔料の場合、白紙光沢を通常と同じか上げる方向に働
くためこの粒径以下であることが好ましい。
【0033】この際、凝集粒子径に分布があるよりもそ
ろっている方がより好ましい。
【0034】また、塗工層中に存在する顔料の形状も重
要である。無定型よりも、形状がそろった場合の方が白
紙光沢を高くし、面質を均一なものとする。
【0035】加えて、塗工液中に分散した顔料は液性を
悪化させないことが好ましい。
【0036】シリカとアルミナを比較した場合、液性の
粘度においてはアルミナの方がチキソ性が高い。また保
水性はシリカがアルミナを大きく上回る。
【0037】塗工紙品質に与える影響については、バイ
ンダーマイグレーションの防止効果、インキ着肉性の向
上効果、ピック強度においてシリカはアルミナを上回
る。しかし、アルミナはシリカにはない印刷光沢向上効
果があり、この効果は配合量が3.0部を越えると顕著
となる。
【0038】ところで、気相法で合成されたシリカは沈
殿法やゲル法よって作られるものとは性質を異にし、ほ
とんど完全な球形で、かつ粒度がそろい、凝集性が少な
い。そのため平均凝集粒子径は極端に小さい。さらには
嵩密度が小さく、分散性がよい。また液体の増粘、揺変
性、分離沈降防止に優れている。また、イオン交換法で
合成されたシリカは、ほぼ完全に一次粒子の状態で溶液
中に分散されており、気相法の場合と同様に、沈殿法や
ゲル法よって作られるものに比べ平均凝集粒子径は極端
に小さい。そのため、これらのシリカは上記性質に加え
塗工液性も良いため、塗工紙品質をさらに高いものとす
る。
【0039】本発明において、塗工層を塗工する方法は
特に限定されるものではなく、サイズプレス、ゲートロ
ール、シムサイザーなどの各種メタードフィルムトラン
スファー、エアーナイフ、ロッド、ブレード、ダイレク
トファウンテンなどの各方式を適宜使用する。
【0040】本発明における塗工層は、一層に限定され
るものではなく、必要に応じて表裏ともに何層も設けて
もよい。ただし、シリカ含有塗工層は最上層に位置する
必要がある。
【0041】本発明において、塗工液に用いられるシリ
カやアルミナ以外の顔料は、特に限定されるものではな
く、例えば、各種カオリン、タルク、粉砕炭酸カルシウ
ムなどの精製した天然鉱物顔料、サチンホワイト、リト
ホンなどの複合合成顔料、酸化チタン、沈降性炭酸カル
シウム、水酸化アルミナなどの半合成顔料、プラスチッ
ク顔料などの合成顔料が挙げられる。
【0042】塗工液に用いられる澱粉としては、通常の
澱紛、酸化澱紛、エーテル化澱紛、エステル化澱紛、酵
素変性澱紛やそれらをフラッシュドライして得られる冷
水可溶性澱粉が挙げられる。また、ガゼインやCMCな
どでこれを代用しても良い。
【0043】また、塗工液に用いられる増粘剤として
は、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼ
イン、ポリアクリル酸ソーダなどの水溶性高分子、ポリ
アクリル酸塩、スチレンマレイン酸無水共重合体などの
合成重合体、珪酸塩などの無機重合体などが挙げられ
る。ただし、本発明においてはシリカやアルミナによっ
て既に保水性が高く保てるので、これらの配合料を減ら
すことができる。
【0044】塗工液に用いられる澱粉以外のバインダー
としては、スチレン−ブタジエン系、アクリル系、酢酸
ビニル系などの各種共重合体ラテックス、ポリビニルア
ルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオ
キシド、ポリアクリルアミド、ユリアまたはメラミン/
ホルマリン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリ
アミン/エピクロルヒドリンなどの水溶性合成物、ワッ
クス、カゼイン、大豆蛋白などの天然物およびこれらを
カチオン化したものなどが挙げられる。
【0045】また、必要に応じて、分散剤、消泡剤、耐
水化剤、着色剤などの通常使用されている各種助剤、お
よびこれらの各種助剤をカチオン化したものが好適に用
いられる。
【0046】本発明に用いられる原紙としては、LBK
P,NBKPなどの化学パルプ、GP、PGWRMP、
TMP、CTMP、CGPなどの機械パルプ、および故
紙パルプなどの各種パルプを含み、軽質炭酸カルシウ
ム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリンな
どの各種填料、サイズ剤、定着剤、歩留り剤、紙力増強
剤などの各種配合剤を好適に配合し、酸性、中性、アル
カリ性のいずれかでも抄造できる。
【0047】本発明の原紙においては、ノーサイズプレ
ス原紙、澱紛、ポリビニルアルコールなどでサイズプレ
スされた原紙などを用いることができる。また、必要と
する原紙の密度、平滑度を得るために各種カレンダー処
理を施す場合も有る。
【0048】一連の操業で、塗工、乾燥された塗工紙
は、必要に応じて各種カレンダー処理が施される。
【0049】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。なお、実施例中の部および%は、特に指定のない限
り、すべて質量部および質量%を示す。
【0050】 実施例1〜22および比較例1〜5 (原紙配合) LBKP(濾水度330〜440mlcsf) 70部 NBKP(濾水度390〜490mlcsf) 30部
【0051】 (内添薬品) 軽質炭酸カルシウム(*原紙中灰分で表示) *8部 市販カチオン化澱粉 1.0部 市販カチオン系ポリアクリルアミド歩留まり向上剤 0.03部
【0052】上記の配合にてパルプスラリーを調整し、
長網抄紙機を用いて坪量70g/m2の原紙を抄造し、内
部結合強度を調節するために、パルプ濾水度を上記の範
囲で変化させ、さらにウェットパートのプレス圧も適宜
調節しながら、オンラインにより澱粉をサイズプレスし
て後、乾燥し、さらにソフトカレンダー仕上げ装置を用
い、剛性ロールとして外径500mmのチルドロール、
弾性ロールとして外径500mmの樹脂ロールにより、
線圧180kg/cm、温度80℃にてカレンダリング
処理を施し、塗工用原紙を得た。
【0053】 (塗工液の配合) 市販シリカ(または市販アルミナ) 表中に記載 市販一級カオリンクレー * 市販重質炭酸カルシウム 50部 市販ポリアクリル酸系分散剤 0.1部 ラテックスバインダー 15部 市販燐酸エステル化澱粉 3部 市販カルボキシメチルセルロース系増粘剤(CMC) 0.1部 水酸化ナトリウムによりpH9.6に調製 *市販カオリンクレーの配合部数は、50部から市販シ
リカ(または市販アルミナ)の部数を差し引いた部数と
した。
【0054】上記の配合の塗工液を塗工用原紙に対し
て、ファウンテンアプリケーション/ブレード方式の塗
工装置を用い、塗工速度1600m/分で塗工液を片面
15g/m2の塗工量となるように塗工し、乾燥して塗工
紙を得た。
【0055】得られた塗工紙に対し、オフラインでスー
パーカレンダー仕上げ装置(段数:10段、剛性ロー
ル:外径400mmのチルドロール、弾性ロール:外径
400mmのコットンロール、線圧:220kg/c
m)を用いてカレンダリング処理を施し、オフセット印
刷用塗工紙を製造した。
【0056】実施例1〜22および比較例1〜5により
得られたオフセット印刷用塗工紙について、下記の評価
方法により評価し、その結果を表1、表2に示した。
【0057】<評価方法> (1) バインダーの分布 以下の実験結果をもって、バインダー分布を総合的に判
断した。○以上を発明の対象とした。 (イ) RI印刷試験器を用いてガーゼで拭き取れる程
度のタック値のインキを塗工紙に過剰量転写させ、一定
時間後余剰インクを拭き取った。塗工紙表面のインキの
分布を目視で判断した。 (ロ) 試験紙と固体のヨウ素を瓶の中に入れ1日放置
し、ヨウ素澱粉反応の染色具合を目視で判断した。 (ハ) 試験紙に飽和過マンガン酸カリウム水溶液を塗
布し消色箇所の分布を目視で判断した。 ◎(非常に均一):10点 ○(均一) :8〜9点 △(普通) :5〜7点 ×(偏っている):5点以下
【0058】(2)印刷面質 RI印刷試験器を用いて枚葉オフセットインキを塗工紙
に印刷し、塗工紙表面の印刷面質を目視で判断した。○
以上を発明の対象とした。 ◎(非常に良好):10点 ○(良好) :8〜9点 △(普通) :5〜7点 ×(不良) :5点以下
【0059】(3)白紙光沢 グロスメーターにて、光沢を75°−75°反射率で評
価した。請求項2、3、5においては○以上を発明の対
象とした。 ◎(非常に良好):72%以上 ○(良好) :70〜72% △(普通) :68〜70% ×(不良) :68%以下
【0060】(4)印刷光沢 RI印刷適性試験機を用い、藍色、紅色、黄色(インキ
量各0.2cc)の重色ベタ印刷を施した後、グロスメ
ーターにて、光沢を60°−60°反射率で評価した。
評価基準を以下に示す。請求項6においては◎以上を発
明の対象とした。 ◎(非常に良好):62%以上 ○(良好) :60〜62% △(普通) :58〜60% ×(不良) :58%以下
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】評価:実施例1〜18で得られたオフセッ
ト印刷用塗工紙では、適切な顔料を塗工層に配合するこ
とによってバインダーマイグレーションを効果的に防
ぎ、非常に良好な印刷面質を得ている。
【0064】実施例1〜5および実施例11〜15よ
り、シリカやアルミナ含有量の多い方が吸着できるバイ
ンダ量が増えるため、バインダーマイグレーション防止
効果は強くなっていく。シリカの方が防止効果は高い。
ただ、両者とも配合量が増えると液性が悪くなるため操
業性に影響がでてくる。そのため、場合に応じた適切な
配合量を選ぶ必要がある。
【0065】実施例14、15より、アルミナの場合
は、配合量が3.0部を越えると印刷光沢に良い効果が
ある。
【0066】実施例6、9、16のように平均凝集粒子
径が3.0μmを越えて大きいものは、バインダーマイ
グレーションは効果的に防がれているものの、白紙光沢
に悪い影響を与えている。これに対し、平均凝集粒子径
を規定して配合したその他の実施例では白紙光沢に影響
を与えていない。
【0067】一方、シリカを配合していない比較例1〜
5では、バインダーマイグレーションが発生しており、
印刷面質もそれなりのものしか得られていない。比較例
1〜4のように、バインダーマイグレーション防止する
ためにラテックスの粒径を大きくしていっても、比較例
5の用に澱粉を除いても、実施例のような効果的な防止
効果は得られず、印刷光沢を下げたり、印刷面質を悪く
するといった結果となる。
【0068】気相法やイオン交換法を用いた実施例9、
10では、バインダーマイグレーション防止効果が高い
だけではなく、白紙光沢にも良い効果を与えている。
【0069】実施例17、18の通りアルミナの場合、
種類による効果はシリカほど顕著ではない。
【0070】
【発明の効果】以上より、本発明のオフセット印刷用塗
工紙は、塗工層中にシリカやアルミナを規定量加えるこ
とにより、バインダーマイグレーションを防止し、高い
白紙光沢、優れた印刷適性を得ることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木材パルプを主体とする原紙上の両面ま
    たは片面に顔料と接着剤を主成分とする塗工液を塗工し
    てなるオフセット印刷用塗工紙において、主たる該顔料
    が、炭酸カルシウム/カオリン/シリカまたは炭酸カル
    シウム/カオリンアルミナからなり、かつ全顔料中の該
    シリカまたは該アルミナの含有比率が0.5〜5.0質
    量%であることを特徴とするオフセット印刷用塗工紙。
  2. 【請求項2】 シリカが、平均凝集粒子径3μm以下で
    あることを特徴とする請求項1記載のオフセット印刷用
    塗工紙。
  3. 【請求項3】 シリカが、気相法またはイオン交換法に
    より製造されたものであることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載のオフセット印刷用塗工紙。
  4. 【請求項4】 アルミナが、平均凝集粒子径3μm以下
    であることを特徴とする請求項1記載のオフセット印刷
    用塗工紙。
  5. 【請求項5】 アルミナの含有比率が、3.0〜5.0
    質量%であることを特徴とする請求項1または4記載の
    オフセット印刷用塗工紙。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006257625A (ja) * 2005-02-18 2006-09-28 Nippon Paper Industries Co Ltd 印刷用塗工紙
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