JP2003253186A - インクジェット記録液用水性着色粒子分散体の製造方法 - Google Patents

インクジェット記録液用水性着色粒子分散体の製造方法

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JP2003253186A
JP2003253186A JP2002053581A JP2002053581A JP2003253186A JP 2003253186 A JP2003253186 A JP 2003253186A JP 2002053581 A JP2002053581 A JP 2002053581A JP 2002053581 A JP2002053581 A JP 2002053581A JP 2003253186 A JP2003253186 A JP 2003253186A
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polyester resin
group
recording liquid
particle dispersion
acid
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Application number
JP2002053581A
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English (en)
Inventor
Seiichi Uno
誠一 宇野
Hideki Watanabe
英樹 渡邉
Naomi Aiko
直美 愛甲
Nobuyoshi Shirai
伸佳 白井
Shigeki Matsui
茂樹 松井
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保存安定性が良好で、高い画像濃度、精
細な画質、画像の耐水性及び耐候性等を備えた画像を提
供できるインクジェット記録液用の水性着色粒子分散体
の製造方法を提供すること。 【解決手段】 カルボキシル基含有ポリエステル樹脂
(A)中に顔料(B)が分散されている着色樹脂をアル
コール及び/またはグリコールエーテル系溶剤に溶解さ
せてなる着色樹脂溶液を用い、ポリエステル樹脂(A)
中のカルボキシル基の一部乃至全部の塩基性化合物によ
る中和と超音波照射による着色樹脂の水性媒体中への粒
子状での分散を行うことを特徴とする、インクジェット
記録液用水性着色粒子分散体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録ヘッドから記
録液(インク)の液滴を吐出させ、紙等の被記録媒体上
に文字情報、画像等を記録するインクジェット記録液に
好適に使用できるインクジェット記録液用水性着色粒子
分散体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来インクジェット記録方法の分野にお
いては、画像形成のために使用される記録液として、染
料を水に溶解し、さらに必要に応じ有機溶剤や水溶性高
分子を添加したものが広く用いられている。しかし、か
かる方法では記録液が水溶性であるため、形成された画
像の耐水性が劣り、また紙等の繊維質の記録媒体中に浸
み込み易いため高い画像濃度が得られず、にじみ等の問
題も生じ、高画質の記録ができないのが現状であった。
さらに、染料を着色剤として使用するため、画像の耐候
性が劣り、屋外用途には使用できないものであった。
【0003】前記従来技術の欠点を解消するため、20
〜1000eq/tonの範囲でイオン性基を有するポリエス
テル樹脂をテトラヒドロフラン等の溶剤に溶解し、染料
又は顔料を添加することにより着色し、粒子化したポリ
エステル樹脂粒子を含む溶液を脱溶剤化し、冷却後に水
を加えた水系分散体からなるインクジェット記録液が特
開平6−340835号公報等に開示されている。しか
しながら、該技術による着色樹脂粒子からなるインクジ
ェット記録液は、着色樹脂粒子の沈殿や凝集が生じやす
く、保存安定性に劣っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、保存
安定性が良好で、高い画像濃度、精細な画質、画像の耐
水性及び耐候性等を備えた画像を提供できるインクジェ
ット記録液用の水性着色粒子分散体の製造方法を提供す
ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を行った結果、イオン性基として
中和されたカルボキシル基を含有するポリエステル樹脂
を用い、該樹脂に顔料を分散させた着色樹脂をアルコー
ルおよび/またはグリコールエーテル系溶剤に溶解させ
着色樹脂溶液とし、該樹脂中のカルボキシル基の一部乃
至全部の中和と、超音波照射による着色樹脂の水性媒体
中への分散とを行うことにより、着色樹脂の水性媒体中
への粒子状での分散が極めて容易となり、粒子径の小さ
い、かつ粒子の分散安定性に優れた水性着色粒子分散体
が得られること、該着色粒子分散体からなるインクジェ
ット記録液は着色粒子の凝集や沈殿が無く、保存安定性
が良好で長期間に安定した画像が得られること、得られ
る画像も高濃度でにじみが無く高品質で、屋外での使用
に耐える耐水性及び耐候性を備えること等を見出し、本
発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明は、カルボキシル基含有ポリ
エステル樹脂(A)中に顔料(B)が分散されている着
色樹脂をアルコール及び/またはグリコールエーテル系
溶剤(C)に溶解させてなる着色樹脂溶液を用い、ポリ
エステル樹脂(A)中のカルボキシル基の一部乃至全部
の塩基性化合物による中和と超音波照射による着色樹脂
の水性媒体中への粒子状での分散とを行うことを特徴と
する、インクジェット記録液用水性着色粒子分散体の製
造方法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳細に説
明する。本発明で用いるカルボキシル基を含有するポリ
エステル樹脂(A)は、例えば、二塩基酸やその無水物
と二価のアルコールとを必須として、必要に応じて、三
官能以上の多塩基酸やその無水物、一塩基酸、三官能以
上のアルコール、一価のアルコール等を混合し、窒素雰
囲気中で加熱下に酸価を測定しながら脱水縮合する方法
等により調製することができる。
【0008】ポリエステル樹脂(A)の調製に使用され
る装置としては、窒素導入口、温度計、攪拌装置、精留
塔等を備えた反応容器の如き回分式の製造装置が好適に
使用できるほか、脱気口を備えた押出機や連続式の反応
装置、混練機等も使用できる。また、上記脱水縮合の
際、必要に応じて反応系を減圧することによって、エス
テル化反応を促進することもできる。さらに、エステル
化反応の促進のために、種々の触媒を添加することもで
きる。
【0009】前記の二塩基酸やその無水物としては、例
えば、マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸、蓚酸、マ
ロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチ
ン酸、デカン−1,10−ジカルボン酸等の脂肪族二塩
基酸;フタル酸、テトラヒドロフタル酸およびその無水
物、ヘキサヒドロフタル酸およびその無水物、テトラブ
ロムフタル酸およびその無水物、テトラクロルフタル酸
およびその無水物、ヘット酸およびその無水物、ハイミ
ック酸およびその無水物、イソフタル酸、テレフタル
酸、シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸等の芳香族または脂環式の二塩基酸等が挙
げられる。
【0010】二価のアルコ−ルとしては、例えば、エチ
レングリコ−ル、1,2−プロピレングリコ−ル、1,
4−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,
6−ヘキサンジオ−ル、ジエチレングリコ−ル、ジプロ
ピレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ネオペン
チルグリコ−ル等の脂肪族ジオ−ル類;ビスフェノ−ル
A、ビスフェノ−ルF等のビスフェノ−ル類;ビスフェ
ノ−ルAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノ−ル
Aのプロピレンオキサイド付加物等のビスフェノ−ルA
アルキレンオキサイド付加物;キシリレンジグリコ−
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、水添ビスフ
ェノ−ルA等のアラルキレングリコ−ルまたは脂環式の
ジオ−ル類等が挙げられる。
【0011】三官能以上の多塩基酸やその無水物として
は、例えば、トリメリット酸、無水トリメリット酸、メ
チルシクロヘキセントリカルボン酸、メチルシクロヘキ
セントリカルボン酸無水物、ピロメリット酸、無水ピロ
メリット酸等が挙げられる。
【0012】一塩基酸としては、例えば、安息香酸、p
−tert−ブチル安息香酸等が挙げられる。
【0013】三官能以上のアルコールとしては、例え
ば、グリセリン、トリメチロ−ルエタン、トリメチロ−
ルプロパン、ソルビト−ル、1,2,3,6−ヘキサン
テトロ−ル、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリト−
ル、ジペンタエリスリト−ル、2−メチルプロパントリ
オ−ル、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、トリス
(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−ト等が挙げら
れる。
【0014】また、下記のようなポリエポキシ化合物も
三官能以上のアルコ−ルとして使用することができる。
例えば、エチレングリコール、ヘキサンジオ−ル、ネオ
ペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、トリメ
チロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール、
ソルビトール、水添ビスフェノールA等の脂肪族ないし
は脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテル類;
【0015】ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、
ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノール
F等のフェノ−ル性水酸基の2個を含有する化合物のポ
リグリシジルエーテル類;上記したフェノ−ル性水酸基
の2個を含有する化合物のエチレンオキシド、プロピレ
ンオキシド付加体等の誘導体のジグリシジルエーテル
類;
【0016】ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエ
ーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;トリス
(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−トのポリグリ
シジルエーテル類;アジピン酸、ブタンテトラカルボン
酸、プロパントリカルボン酸、フタル酸、テレフタル
酸、トリメリット酸等の脂肪族ないしは芳香族ポリカル
ボン酸のポリグリシジルエステル類;
【0017】ブタジエン、ヘキサジエン、オクタジエ
ン、ドデカジエン、シクロオクタジエン、α−ピネン、
ビニルシクロヘキセン等の炭化水素系ジエンのビスエポ
キシド類;ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチ
ル)アジペート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチ
ル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート
等の脂環式ポリエポキシ化合物;ポリブタジエン、ポリ
イソプレン等のジエンポリマーのエポキシ化物等が挙げ
られる。
【0018】一価のアルコールとしては、例えば、ステ
アリルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。
【0019】前記した、二塩基酸やその無水物、三官能
以上の塩基酸やその無水物、一塩基酸は、それぞれ単独
で使用してもよいし、2種以上のものを併用してもよ
い。また、カルボキシル基の一部または全部がアルキル
エステル、アルケニルエステル又はアリ−ルエステルと
なっているものも使用できる。
【0020】前記した、二価のアルコールや三官能以上
のアルコール、一価のアルコールは、単独で使用しても
よいし2種以上のものを併用することもできる。
【0021】また、例えば、ジメチロ−ルプロピオン
酸、ジメチロ−ルブタン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸
のような、1分子中に水酸基とカルボキシル基を併有す
る化合物あるいはそれらの反応性誘導体も使用できる。
【0022】ポリエステル樹脂(A)は、カルボキシル
基を含有していれば良いが、更に、アルキル基および/
またはアルケニル基を含有すれば、着色樹脂を水性媒体
中に容易に分散させることができることから好ましい。
ポリエステル樹脂(A)にアルキル基および/またはア
ルケニル基を含有させるには、例えば、前記カルボキシ
ル基含有ポリエステル樹脂の調製方法において、アルキ
ル基やアルケニル基を有する原料、好ましくはアルキル
基やアルケニル基を有する二塩基酸やその無水物を必須
成分とすることにより調製できる。
【0023】アルキル基やアルケニル基を有する二塩基
酸やその無水物としては、例えば、n−ブチルコハク
酸、n−ペンチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イ
ソドデシル無水コハク酸、n−ドデセニルコハク酸、n
−ドデセニル無水コハク酸、イソドデセニルコハク酸等
が挙げられる。
【0024】アルキル基および/またはアルケニル基
は、直鎖状でも、分岐状のものでも良く、例えば、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、
ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、イソ
ノニル基、ドデシル基、ドデセニル基等のアルキル基や
アルケニル基が挙げられる。
【0025】更に、ポリエステル樹脂(A)としては、
アルキル基および/またはアルケニル基を有するポリエ
ステル樹脂のなかでも、末端に水酸基を有するポリエス
テル樹脂の末端水酸基に、アルキル基またはアルケニル
基を有する酸無水物を開環付加させて生成する末端構造
を有するポリエステル樹脂(A1)や、末端にカルボキ
シル基を有するポリエステル樹脂の末端カルボキシル基
にアルキル基またはアルケニル基を有する脂肪族モノエ
ポキシ化合物を開環付加させて生成する末端構造を持つ
ポリエステル樹脂(A2)が、上記のアルキル基および
/またはアルケニル基と水酸基またはカルボキシル基と
を、その末端に有することにより水性媒体中への分散と
顔料の分散が良好となること、耐候性が向上することか
らより好ましい。
【0026】ポリエステル樹脂(A1)は、例えば、水
酸基を有するポリエステル樹脂を加熱溶融しておき、そ
こにアルキル基またはアルケニル基を有する酸無水物を
投入し、開環付加させる等の調製方法により得られる。
【0027】ポリエステル樹脂(A1)の調製に用い
る、アルキル基やアルケニル基を有する酸無水物として
は、例えば、n−ブチル無水コハク酸、n−ペンチル無
水コハク酸、ネオペンチル無水コハク酸、n−ヘキシル
無水コハク酸、n−ヘプチル無水コハク酸、n−オクチ
ル無水コハク酸、イソオクチル無水コハク酸、2−エチ
ルヘキシル無水コハク酸、n−ドデシル無水コハク酸、
イソドデシル無水コハク酸、n−ドデセニル無水コハク
酸、イソドデセニル無水コハク酸、6−ブチル−1,
2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物、6−n−オク
チル−1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物等が
挙げられる。なかでも、イソドデシル無水コハク酸、ド
デセニル無水コハク酸が特に好ましい。
【0028】ポリエステル樹脂(A2)は、例えば、末
端にカルボキシル基を有するポリエステル樹脂(主鎖中
にカルボキシル基を有していても良い)を加熱溶融して
おき、そこに、カ−ジュラ−E10(シェルケミカル社
製分岐脂肪酸のグリシジルエステル)等のアルキル基ま
たはアルケニル基を有する脂肪族モノエポキシ化合物を
投入し、ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基の一部
に開環付加反応させる等の調製方法により得ることがで
きる。
【0029】ポリエステル樹脂(A2)の調製に用い
る、アルキル基または炭素原子数アルケニル基を有する
脂肪族モノエポキシ化合物としては、上記したカ−ジュ
ラ−E10の他に、例えば、ヒマシ油脂肪酸、ヤシ油脂
肪酸、大豆油脂肪酸、桐油脂肪酸等の飽和あるいは不飽
和の脂肪酸のモノグリシジルエステルや、イソノナン酸
等の分岐脂肪酸のモノグリシジルエステル等が挙げられ
る。
【0030】更に、ポリエステル樹脂(A1)の中で
も、下記の一般式(1)および/または(2)で示され
る末端構造を有するポリエステル樹脂が好ましく、ポリ
エステル樹脂(A2)の中でも、下記の一般式(3)で
示される末端構造を有するポリエステル樹脂が好まし
い。
【0031】
【化2】 (式中、R1及びR2は、同一又は異なり、水素原子、炭
素原子数4〜20のアルキル基または炭素原子数4〜2
0のアルケニル基を表すが、両方ともに水素原子である
ことはない。また、R3 は炭素原子数が4〜20のアル
キル基または炭素原子数が4〜20のアルケニル基を表
し、R4 は炭素原子数4〜20のアルキル基または炭素
原子数4〜20のアルケニル基を表す。)
【0032】上記一般式(1)、(2)及び(3)中の
1〜R4が示している炭素原子数4〜20のアルキル基
または炭素原子数4〜20のアルケニル基の例として
は、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、te
rt−ブチル基、ドデシル基、ドデセニル基等のアルキ
ル基ないしアルケニル基が挙げられるが、これらのアル
キル基又はアルケニル基は直鎖状でもよく、分岐状のも
のでもよい。
【0033】次に、ポリエステル樹脂(A)の性状につ
いて説明する。ポリエステル樹脂(A)は、顔料の分散
性、水性媒体中での分散安定性、画像の耐水性及び耐候
性等を考慮すると、特定の分子量の範囲にあることが好
ましい。すなわち、ポリエステル樹脂(A)のゲルパー
ミエーション(GPC)法による重量平均分子量は5,
000〜300,000の範囲にあることが好ましく、
さらに、7,000〜100,000の範囲であること
が好ましい。
【0034】ポリエステル樹脂(A)は、該樹脂中のカ
ルボキシル基の一部乃至全部が塩基性化合物により中和
されていることにより、着色樹脂の微細な粒子化が容易
で、かつ、粒子が水性媒体中で安定に存在する。このた
め、ポリエステル樹脂(A)は、カルボキシル基を有し
ていることが必須であるが、ポリエステル樹脂(A)の
酸価は、5〜100mgKOH/gの範囲にあることが
好ましく、10〜50mgKOH/gの範囲であること
がより好ましい。
【0035】ポリエステル樹脂(A)中のカルボキシル
基の一部乃至全部の中和に使用される塩基性化合物とし
ては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水
酸化リチウムなどのアルカリ化合物、それらの炭酸塩、
それらの酢酸塩;アンモニア水;メチルアミン、ジメチ
ルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチル
アミン、トリエチルアミンなどのアルキルアミン類、ジ
エタノールアミンなどのアルカノールアミン類等を使用
することができる。塩基性化合物としては、トリエチル
アミンが好ましい。
【0036】塩基性化合物の使用量は、ポリエステル樹
脂(A)中のカルボキシル基の当量に対して、1.0〜
2.0倍当量が好ましく、更に、1.05〜1.3倍当
量がより好ましい。
【0037】次に、本発明に使用する他の必須成分であ
る、顔料(B)について説明する。本発明において「顔
料」とは、着色剤であって、水、油、有機溶剤等に不溶
の粉末をいう。顔料(B)として使用できる代表的なも
のを挙げると、特に制限はないが、アゾ系、フタロシア
ニン系、ペリレン系、キナクリドン系などの多環式顔
料;酸化チタン、亜鉛華、酸化鉄、酸化コバルト等の金
属酸化物;サ−マルブラック法、アセチレンブラック
法、チャンネルブラック法、ファ−ネスブラック法、ラ
ンプブラック法等により製造される各種のカ−ボンブラ
ックなどがある。これらはそれぞれ単独で使用できる
し、2種以上を併用してもよい。
【0038】本発明の製造方法で使用する顔料(B)の
使用量は、特に制限はないが、水性媒体への着色樹脂の
分散性、画像品質等を考慮した場合、ポリエステル樹脂
(A)と顔料(B)の全重量を基準として、0.2〜4
0重量%の範囲にあることが好ましい。
【0039】次に、本発明の製造方法について説明す
る。本発明の水性着色粒子分散体の好ましい製造方法と
しては、例えば、 ポリエステル樹脂(A)及び顔料(B)を必須成分と
する混合物を混練し、着色樹脂を得る工程、 着色樹脂をアルコ−ルおよび/またはグリコ−ルエ−
テル系溶剤に溶解して着色樹脂溶液を得る工程、 着色樹脂溶液と、塩基性化合物を含有する水性媒体と
を混合し、ポリエステル樹脂(A)中のカルボキシル基
の一部乃至全部の中和と、超音波照射、好ましくは機械
的攪拌を行いながらの超音波照射による着色樹脂の水性
媒体中への粒子状での分散とを行い、水性着色粒子分散
体を得る工程、 からなる製造方法が挙げられる。
【0040】上記〜の製造方法では、ポリエステル
樹脂(A)中のカルボキシル基の中和を、塩基性化合物
を含有した水性媒体と混合することにより行っている
が、該カルボキシル基の中和は、この方法に限定される
ものではなく、例えば、カルボキシル基の塩基性化合物
による中和を行った後、着色樹脂溶液を調製し、水性媒
体中に分散させる方法や、着色樹脂溶液に塩基性化合物
を加えて中和を行う方法や、着色樹脂の超音波照射によ
る水性媒体中への分散を行った後、塩基性化合物を加え
て中和する方法であっても良い。
【0041】工程において使用される装置に特に制限
はないが、ポリエステル樹脂(A)に顔料(B)が良好
に湿潤し、顔料(B)がポリエステル樹脂(A)中に良
好に分散させることができるものであればよい。これら
の装置の例としては、1軸あるいは2軸の各種の混練機
若しくは押出機、加圧ニ−ダ−、2本あるいは3本ロ−
ル等がある。
【0042】次に、工程において、着色樹脂(I)は
アルコ−ルおよび/またはグリコ−ルエ−テル系溶剤
(C)に溶解される。ここで使用されるアルコ−ル系溶
剤には特に制限はなく、ポリエステル樹脂(A)を溶解
できるものであれば使用することができる。これらアル
コ−ル類の代表的なものを例示すると、メタノ−ル、エ
タノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、アミルアルコ−
ル、ヘキサ−ノ−ル、オクタノ−ル、シクロヘキサノ−
ル、ベンジルアルコ−ル等の1価アルコ−ル類、エチレ
ングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジエチレングリ
コ−ル、トリエチレングリコ−ル、グリセリン等のグリ
コ−ル類等がある。また、本発明においてグリコ−ルエ
−テル系溶剤とは、グリコ−ル類のアルキルエ−テル又
はグリコ−ル類のアルキルエ−テルエステルを総称する
ものとする。かかるグリコ−ルエ−テル系溶剤として
は、ポリエステル樹脂(A)を溶解できるものであれば
特に制限はなく、エチレングリコ−ルモノメチルエ−テ
ル、エチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、エチレン
グリコ−ルモノブチルエ−テル、エチレングリコ−ルジ
メチルエ−テル、エチレングリコ−ルジエチルエ−テ
ル、エチレングリコ−ルジブチルエ−テル、プロピレン
グリコ−ルモノメチルエ−テル、プロピレングリコ−ル
モノエチルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノブチル
エ−テル、ジエチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、
ジエチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、ジエチレン
グリコ−ルモノブチルエ−テル、トリエチレングリコ−
ルモノメチルエ−テル、トリエチレングリコ−ルモノエ
チルエ−テル、トリエチレングリコ−ルモノブチルエ−
テル、エチレングリコ−ルモノエチルエ−テルアセテ−
ト、ジエチレングリコ−ルモノエチルエ−テルアセテ−
ト、プロピレングリコ−ルモノエチルエ−テルアセテ−
ト等を例示することができる。これらのアルコ−ル又は
グリコ−ルエ−テル系溶剤は、それぞれ単独で使用して
も良いし、2種以上を併用することもできる。
【0043】上記アルコ−ルおよび/またはグリコ−ル
エ−テル系溶剤は、最終のインクジェット記録液の成分
としてそのまま使用することができるので、本発明の製
造方法における工程中において、これら溶剤類を除去す
る必要がなく、製造工程が著しく簡略化され、時間的・
コスト的な利点も大きいという顕著な効果をももたら
す。0
【0044】さらに、工程において、着色樹脂をアル
コ−ルおよび/またはグリコ−ルエ−テル系溶剤(C)
に溶解させて得られた着色樹脂溶液は、塩基性化合物を
含有する水性媒体と混合され、超音波照射により水性媒
体中へ粒子状に分散される。その結果、着色樹脂が粒子
状で水性媒体中に微細に分散した水性分散体が得られ
る。
【0045】着色樹脂の水性媒体中への粒子上での分散
は、超音波照射を行うことでなされるが、水性着色粒子
をより均一に分散せしめるために、機械的攪拌を行いな
がら超音波照射を行うことがより好ましい。機械的攪拌
の手段としては、ホモミキサー等の攪拌装置が挙げら
れ、一般的な攪拌翼を使用しての攪拌には、アンカー
翼、マックスブレンド翼、ファードラー翼、フルゾーン
翼、タービン翼等が使用できる。
【0046】この際に使用できる超音波装置には特に制
限はないが、代表的な市販品を例示すると、株式会社日
本精機製作所製の超音波ホモジナイザーUS−600T
型、ブラソン株式会社製の超音波ホモジナイザー900
型などの装置を例示することができる。
【0047】上記超音波照射装置を用いることにより、
水性着色粒子の粒径を揃えると共に、水性着色粒子の2
次凝集体を1次粒子にすることが可能となり、均一でし
かも安定なインクジェット記録液を製造することができ
る。
【0048】超音波照射の条件としては周波数、照射時
間等が挙げられる。周波数は、低周波ほどキャビテーシ
ョンによる衝突作用が効果的に発生し粒子が均一に分散
されるため、5〜35kHz、好ましくは15〜25k
Hzの領域で行うのが好ましく、超音波照射の照射時間
は着色樹脂溶液と水性媒体の合計1000部につき2〜
20分が好ましく、5〜10分がより好ましく、超音波
照射装置の出力は、200〜1200Wが好ましい。
【0049】また、超音波の照射エネルギーが高いと処
理液の温度上昇により水性着色樹脂粒子が凝集を引き起
こす場合があるため、超音波照射部には冷却装置が組み
込まれることが好ましい。
【0050】本発明においては、水性着色粒子を構成す
る必須成分であるポリエステル樹脂(A)及び顔料
(B)以外に他の成分を加えることもできる。使用でき
る他の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、顔料分散剤等の添加剤類、アクリル樹脂、メラミン
樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリカ−ボネ−ト、石油樹脂、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリプロピレンオキサイドなどの他の樹脂類等を例
示することができる。
【0051】次に、本発明の水性着色粒子分散体の性状
について説明する。本発明の水性着色粒子分散体は、ポ
リエステル樹脂(A)と顔料(B)とを必須の成分とす
る着色樹脂が水性媒体中に粒子状で安定に存在している
ものである。かかる樹脂粒子の重量平均粒子径は、記録
ヘッドの目詰まりを防止するため、5〜1000nm
(ナノメ−トル)の範囲にあることが好ましく、10〜
100nmの範囲にあることがより好ましい。
【0052】なお、本発明で用いる水性媒体とは、水を
主成分とする液体であればよく、水以外の成分として、
各種水溶性塩類、水不溶性の塩類、ポリビニルアルコ−
ル、カルボキシメチルセルロ−ス、ヒドロキシメチルセ
ルロ−ス、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等の水溶
性高分子、各種の界面活性剤、メタノ−ル、エタノ−
ル、ジアセトンアルコ−ル、アセトン、エチレングリコ
−ル、ジエチレングリコ−ル等の水溶性溶剤等を含むこ
ともできる。
【0053】インクジェット記録液は、本発明の製造方
法で得られた水性着色粒子分散体を必須の成分とし、さ
らに必要に応じて各種の添加剤等を加えて調製される。
これら添加剤としては、多価アルコ−ル類のような湿潤
剤、表面張力調整剤として各種の界面活性剤、シリコ−
ン系化合物等の消泡剤等を好適に使用することができ
る。
【0054】
【実施例】次に、合成例、実施例および比較例を挙げて
本発明を具体的に説明する。例中において「部」、
「%」は、特にことわりがない限り、重量基準である。
なお、GPC法による重量平均分子量の測定は、Sho
dex GPC SYSTEM−21〔昭和電工(株)製〕
を使用して行い、重量平均粒子径の測定はマイクロトラ
ックUPA150(Leeds plus North
lop社製光散乱式粒度分布計)を使用して行った。
【0055】合成例1〔ポリエステル樹脂(A)の合
成〕 攪拌装置、窒素導入管、温度センサ−及び精留塔を備え
た内容量5リットルのフラスコに、ビスフェノ−ルAの
エチレンオキサイド付加物(平均付加モル数2.2、水
酸基価360mgKOH/g)1745部及び1,4−
シクロヘキサンジメタノ−ル169部を仕込み、フラス
コ内の気相中に窒素ガスを導入しながら1時間を要して
温度を130℃まで上げ、内容物が溶解したことを確認
した後、ジブチル錫オキサイド1.5部、テレフタル酸
897部及びイソフタル酸105部を投入し、さらに5
時間を要して温度を240℃まで上げた。次いで、同温
度で4時間反応させ、酸価が5.1mgKOH/g、環
球法による軟化点が118℃のポリエステル樹脂中間体
を調製した。次いで、同温度でドデセニル無水コハク酸
113部を投入し、最終的に、GPC法による重量平均
分子量が18,000で、酸価が12.0mgKOH/
gのポリエステル樹脂を得た。これをポリエステル樹脂
(A−1)と略記する。
【0056】合成例2(同上) 攪拌装置、窒素導入管、温度センサ−、精留塔を備えた
内容量5リットルのフラスコに、ビスフェノ−ルAのエ
チレンオキサイド付加物(平均付加モル数2.2、水酸
基価360mgKOH/g)627部、ジエチレングリ
コ−ル477部、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル
156部及びトリメチロ−ルプロパン66部を仕込み、
系内が均一になったことを確認した後、ジブチル錫オキ
サイド1.5部を投入した。さらに系の温度を150℃
まで上げ、テレフタル酸1466部を投入し、フラスコ
内の気相中に窒素ガスを導入しながら3時間を要して温
度を240℃まで上げた。留出する水を系外に除去しな
がら内容物の酸価が24mgKOH/g以下となるまで
同温度で縮合反応を進めた。次いで、同温度でカ−ジュ
ラE10〔シェルケミカル社製の分岐脂肪酸(炭素数1
0)のグリシジルエステル〕113部を加え、同温度で
1時間反応させて、最終的に、GPC法による重量平均
分子量が14,500で、酸価が13.5mgKOH/
gのポリエステル樹脂を得た。これをポリエステル樹脂
(A−2)と略記する。
【0057】合成例3(同上) 攪拌装置、窒素導入管、温度センサ−及び精留塔を備え
た内容量5リットルのフラスコに、ビスフェノ−ルAの
エチレンオキサイド付加物(平均付加モル数2.2、水
酸基価360mgKOH/g)1745部及び1,4−
シクロヘキサンジメタノ−ル169部を仕込み、フラス
コ内の気相中に窒素ガスを導入しながら1時間を要して
温度を130℃まで上げ、内容物が溶解したことを確認
した後、ジブチル錫オキサイド1.5部、テレフタル酸
897部及びイソフタル酸105部を投入し、さらに5
時間を要して温度を240℃まで上げた。次いで、同温
度で2時間反応させ、酸価が10.8mgKOH/g、
環球法による軟化点が112℃のポリエステル樹脂を調
製した。このポリエステル樹脂のGPC法による重量平
均分子量は13,400であった。これをポリエステル
樹脂(A−3)と略記する。
【0058】実施例1 ポリエステル樹脂(A−1)900部とカ−ボンブラッ
ク〔キャボット社製エルフテックス8〕100部をヘン
シェルミキサ−で予備混合した後、2軸連続混練機(バ
レル温度100℃)を用いて溶融混練して着色樹脂を得
た。次いで、内容積が5リットルのフラスコに着色樹脂
900gとトリエチレングリコ−ルモノブチルエ−テル
600gを仕込み、撹拌しながら温度を80℃に加熱し
て着色樹脂溶液を得た。これに別途準備したトリエチル
アミンをイオン交換水で希釈し80℃に加熱した4.1
%濃度のトリエチルアミン水溶液を1500g加え、L
(フラスコ内径)/D(攪拌翼径)=0.5のアンカー
翼を用い300rpmにて攪拌すると共に、超音波ホモ
ジナイザーUS−600T(株式会社日本精機製作所
製、出力600W)を用い、周波数20kHzにて20
分間超音波照射を行い、固形分が30.0%の水性着色
粒子分散体を得た。
【0059】得られた水性着色粒子分散体80部に、グ
リセリン7部、イオン交換水12.5部及びデモ−ルN
〔花王(株)製ナフタレンスルフォン酸系界面活性剤〕
0.5部を加え混合して、インクジェット記録液を得
た。このインクジェット記録液中に粒子状で分散してい
る着色樹脂(I)の重量平均粒子径は48nm(ナノメ
−トル)であった。これをインクジェット記録液(J−
1)と略記する。
【0060】実施例2 ポリエステル樹脂(A−1)900部とカーボンブラッ
ク(キャボット社製エルフテックス8)100部の代わ
りに、ポリエステル樹脂(A−2)900部とKET
BLUE 123〔大日本インキ化学工業(株)製銅フタ
ロシアニンブル−系顔料〕100部を使用した以外は実
施例1と同様にして、インクジェット記録液を得た。こ
のインクジェット記録液中に粒子状で分散している着色
樹脂(I)の重量平均粒子径は80nmであった。これ
をインクジェット記録液(J−2)と略記する。
【0061】実施例3 ポリエステル樹脂(A−1)900部とカーボンブラッ
ク(キャボット社製エルフテックス8)100部の代わ
りに、ポリエステル樹脂(A−1)600部とTone
r Yellow HG〔クラリアントジャパン(株)製
ベンズイミダゾロン系黄色顔料〕400部を使用した以
外は実施例1と同様にして、インクジェット記録液を得
た。このインクジェット記録液中に粒子状で分散してい
る着色樹脂(I)の重量平均粒子径は51nmであっ
た。これをインクジェット記録液(J−3)と略記す
る。
【0062】実施例4 ポリエステル樹脂(A−1)900部とカーボンブラッ
ク(キャボット社製エルフテックス8)100部の代わ
りに、ポリエステル樹脂(A−2)700部とTone
r Magenta E02〔クラリアントジャパン
(株)製キナクリドン系赤色顔料〕300部を使用した以
外は実施例1と同様にして、インクジェット記録液を得
た。このインクジェット記録液中に粒子状で分散してい
る着色樹脂(I)の重量平均粒子径は31nmであっ
た。これをインクジェット記録液(J−4)と略記す
る。
【0063】実施例5 ポリエステル樹脂(A−1)の代わりに、ポリエステル
樹脂(A−3)を使用した以外は実施例1と同様にし
て、インクジェット記録液を得た。この記録液中の着色
樹脂粒子の重量平均粒子径は88nmであった。これを
インクジェット記録液(J−5)と略記する。
【0064】比較例1(比較対照用インクジェット記録
液の調製) ポリエステル樹脂(A−3)900部とカ−ボンブラッ
ク〔キャボット社製エルフテックス8〕100部をヘン
シェルミキサ−で予備混合した後、2軸連続混練機(バ
レル温度100℃)を用いて溶融混練して着色樹脂を得
た。次いで、内容積が5リットルのフラスコに着色樹脂
750gとテトラヒドロフラン750gを仕込み、撹拌
しながら温度を80℃に加熱して着色樹脂溶液を得た。
これに別途準備したトリエチルアミンをイオン交換水で
希釈し80℃に加熱した4.1%濃度のトリエチルアミ
ン水溶液を1500g加え、L(フラスコ内径)/D
(攪拌翼径)=0.5のアンカー翼を用い300rpm
にて攪拌し、固形分が25.0%の水系着色粒子分散体
を得た。さらに得られた水系着色粒子分散液中のテトラ
ヒドロフラン量が30ppm以下になるまで脱溶剤を行
い、その後トリエチレングリコ−ルモノブチルエ−テル
500gとイオン交換水を加え、固形分濃度が30.0
%の水性着色粒子分散体を得た。
【0065】得られた水性着色粒子分散体80部に、グ
リセリン7部、イオン交換水12.5部及びデモ−ルN
〔花王(株)製ナフタレンスルフォン酸系界面活性剤〕
0.5部を加え混合して、インクジェット記録液を得
た。このインクジェット記録液中に粒子状で分散してい
る着色樹脂(I)の重量平均粒子径は1000nm(ナ
ノメ−トル)であった。これを比較対照用インクジェッ
ト記録液(j−1)と略記する。
【0066】比較例2(同上) ポリエステル樹脂(A−3)900部の代わりに、ポリ
エステル樹脂(A−2)900部を使用した以外は比較
例1と同様にして、インクジェット記録液を得た。この
インクジェット記録液中に粒子状で分散している着色樹
脂(I)の重量平均粒子径は300nmであった。これ
を比較対照用インクジェット記録液(j−2)と略記す
る。
【0067】試験例1〜5及び比較試験例1、2 実施例1〜5及び比較例1、2で調製したインクジェッ
ト記録液(J−1)〜(J−5)及び(j−1)、(j
−2)の評価(記録液の安定性評価、印字画質の評価、
耐水性の評価、耐候性の評価、記録ヘッドの詰まり易さ
の評価)を以下のようにして行った。結果を重量平均粒
子径と共に第1表及び第2表に示す。
【0068】(1)記録液の安定性の評価;インクジェ
ット記録液を70℃で14日間保存した後の重量平均粒
子径で評価した。この数値が初期値と近い程保存安定性
が良好であることを表す。
【0069】(2)印字画質の評価;EPSON社製イ
ンクジェットプリンタ−:MJ−830Cを使用し、漢
字混じり日本語文字(明朝体、14ポイント)をA4サ
イズ普通紙に印字し、文字の鮮明度及びひげ状のにじみ
の程度を以下の基準で5段階目視評価した。 5:鮮明でにじみがない。 4:概ね鮮明であるが部分的ににじみがある。 3:複雑な漢字が不鮮明。 2:かな文字部分にもにじみが多い。 1:全体に不鮮明。
【0070】(3)耐水性の評価;印字画質の評価の際
に印字した普通紙を20℃で24時間放置した後、静水
中に1分間浸漬してから引き上げ、自然乾燥させた後に
印字画像を下記の基準で5段階目視評価した。 5:鮮明でにじみがほとんどない。 4:にじみが若干認められる。 3:画線部分が広がっている。 2:文字の判読が困難。 1:文字がほとんど消失。
【0071】(4)耐候性の評価;普通紙にベタ印字し
た試験片を用い、キセノンウェザ−メ−タ−Ci35A
〔アトラス(Atlas)社製促進耐候性試験機、照射
強度0.5J/sec/m2 、ブラックパネル温度63
℃、相対湿度55%〕を使用して、連続照射100時間
後の試験片と未照射試験片の色差(△E)で評価した。
この値が大きい程耐候性が悪いことを示す。
【0072】(5)記録ヘッドの詰まり易さの評価;イ
ンクジェットプリンタ−(EPSON社製MJ−830
C)で10分間連続印字した後、プリンタ−を停止し、
40℃で相対湿度25%の環境下に10日間放置した。
放置後、再度印字を開始し放置前と同等の品質の印字が
得られるまでに要した復帰動作の回数で評価した。この
回数が多い程、記録ヘッドの詰まりが生じていることを
表す。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【発明の効果】試験例及び比較試験例に示したとおり、
本発明の水性着色粒子分散体の製造方法を用いると、粒
子径が小さく、かつ、分散安定性に優れた水性着色粒子
分散体が得られる。また本発明により得られた水性着色
粒子分散体をインクジェット記録液に使用すると、高品
質の印字画像が得られ、その画像の耐水性及び耐候性も
良好であることが明らかである。さらに本発明により得
られた水性着色粒子分散体からなるインクジェット記録
液は保存安定性も良好で、記録ヘッドの詰まりもほとん
ど起こさず極めて有用であり、万年筆、水性ボ−ルペン
等の筆記具にも使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 白井 伸佳 神奈川県川崎市麻生区虹ヶ丘3−1−9− 501 (72)発明者 松井 茂樹 千葉県佐倉市大崎台3−5−1−2−201 Fターム(参考) 2H086 BA01 BA53 BA55 BA59 BA60 4J037 CB04 CB07 CC24 EE28

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシル基含有ポリエステル樹脂
    (A)中に顔料(B)が分散されている着色樹脂をアル
    コールおよび/またはグリコールエーテル系溶剤(C)
    に溶解させてなる着色樹脂溶液を用い、ポリエステル樹
    脂(A)中のカルボキシル基の一部乃至全部の塩基性化
    合物による中和と超音波照射による着色樹脂の水性媒体
    中への粒子状での分散とを行うことを特徴とする、イン
    クジェット記録液用水性着色粒子分散体の製造方法。
  2. 【請求項2】 着色樹脂溶液と塩基性化合物を含有する
    水性媒体との機械的攪拌と超音波の照射を行うことによ
    り、ポリエステル樹脂(A)中のカルボキシル基の一部
    乃至全部の中和と着色樹脂の水性媒体中への粒子状での
    分散を行う、請求項1記載のインクジェット記録液用水
    性着色粒子分散体の製造方法。
  3. 【請求項3】 超音波の周波数が5〜35kHzであ
    る、請求項1または2記載のインクジェット記録液用水
    性着色粒子分散体の製造方法。
  4. 【請求項4】 ポリエステル樹脂(A)が、カルボキシ
    ル基と、アルキル基および/またはアルケニル基とを有
    するポリエステル樹脂である、請求項1または2記載の
    インクジェット記録液用水性着色粒子分散体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 ポリエステル樹脂(A)が、末端に水酸
    基を有するポリエステル樹脂の末端水酸基にアルキル基
    またはアルケニル基を有する酸無水物を開環付加反応さ
    せて生成する末端構造を有する酸価5〜100mgKO
    H/gのポリエステル樹脂、および/または、末端にカ
    ルボキシル基を有するポリエステル樹脂の末端カルボキ
    シル基にアルキル基またはアルケニル基を有する脂肪族
    モノエポキシ化合物を開環付加反応させて生成する末端
    構造を有する酸価5〜100mgKOH/gのポリエス
    テル樹脂である、請求項1または2記載のインクジェッ
    ト記録液用水性着色粒子分散体の製造方法。
  6. 【請求項6】 ポリエステル樹脂(A)が、下記の一般
    式(1)、(2)、(3)で示される末端構造を有する
    酸価5〜100mgKOH/gのポリエステル樹脂であ
    る、請求項1または2記載のインクジェット記録液用水
    性着色粒子分散体の製造方法。 【化1】 (式中、R1及びR2は、同一又は異なり、水素原子、炭
    素原子数4〜20のアルキル基または炭素原子数4〜2
    0のアルケニル基を表すが、両方ともに水素原子である
    ことはない。また、R3 は炭素原子数が4〜20のアル
    キル基または炭素原子数が4〜20のアルケニル基を表
    し、R4 は炭素原子数4〜20のアルキル基または炭素
    原子数4〜20のアルケニル基を表す。)
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JP2017179129A (ja) * 2016-03-30 2017-10-05 Jnc株式会社 組成物、硬化膜の製造方法、硬化膜付き部材、電子・電気部品、および部材の製造方法

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