JP2003253171A - 金属光沢色インキ組成物 - Google Patents

金属光沢色インキ組成物

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JP2003253171A
JP2003253171A JP2002055543A JP2002055543A JP2003253171A JP 2003253171 A JP2003253171 A JP 2003253171A JP 2002055543 A JP2002055543 A JP 2002055543A JP 2002055543 A JP2002055543 A JP 2002055543A JP 2003253171 A JP2003253171 A JP 2003253171A
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resin
ink
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Tomoaki Nishikawa
知明 西川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】インキ組成物中の金属色着色剤の沈降抑制とイ
ンキの化学的安定性を改善し、再分散のための攪拌を必
要とせず、低粘度インキとした際にも顔料の沈降を抑制
することができ、高度な金属光沢色を維持しつつ、他の
成分、特に比重調整剤との化学的反応を防止する安定性
の高いインキ組成物を得ること。 【解決手段】少なくとも金属顔料と比重調整剤を含有
し、該金属顔料が厚さ300〜1000Åの金属蒸着薄
膜の表裏に厚さ0.8〜2μmの樹脂被膜を設けた積層
体を微細化した樹脂被覆金属薄膜積層体顔料などを用い
たものであることを特徴とする金属光沢色インキ組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インキ組成物中の
金属色着色剤の沈降抑制とインキの化学的安定性に関す
るものである。さらには高度な金属光沢色を維持しつ
つ、沈降を抑制し、かつ他の成分、特に比重調整剤との
化学的反応を防止する安定性の高いインキ組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来のインキ組成物において、インキ媒
質との比重差が大きい顔料を低粘度インキに用いると、
顔料が沈降してしまい、それを防止することができなか
った。例えば、特公昭62−37678号公報や特公平
1−56109号公報に提案されているような金属光沢
色を有する筆記具用インキは、通常、比重の大きい金属
粉末顔料を用いているが、インキ自体が低粘度であるた
め顔料が沈降分離してしまうなどのインキ安定性に問題
があった。
【0003】これらのものは、インキ収容室内に金属球
などの攪拌部材を収容し、使用前に本体を振って沈降し
た顔料を再分散しなければ良好な筆跡を得ることができ
ないという問題点を有しており、インキ収容室とインキ
出口との間にバルブ機構をもたないものには用いること
ができないという致命的な欠点があった。
【0004】特開平7−145339号公報や特許第2
978798号公報のように、グァーガム、キサンタン
ガム等の天然多糖類、架橋型アクリル酸重合体等の合成
系増稠剤などを添加することにより、インキにせん断減
粘性を生じさせ静置時高粘度となるようにして顔料の沈
降を抑制する方法も知られている。しかし、この方法で
得られるインキは金属球などの攪拌部材を必要としない
ものの、やはり、ゆっくりと顔料が沈降してしまった
り、比重の大きな顔料の使用に制限があったりした。ま
た、せん断減粘性を有するがゆえに低せん断時に高粘度
であり、せん断をあまりかけずにインキを追従させるこ
とが要求される、例えば、万年筆、サインペン、マーキ
ングペン、プレートペン等の通常、低粘度インキが採用
され、毛細管現象を利用した筆記具機構を持つ筆記具に
は使用できなかった。
【0005】また、顔料の沈降を抑制する方法として、
比重の軽い顔料を採用し、インキ媒質と顔料との比重差
を小さくする方法が知られている。この方法では、水を
主溶媒とするインキ媒質に対して、特に比重の小さい顔
料を選択する必要があり、インキ媒質と顔料との比重差
を極小にすることが困難で、低粘度インキでは沈降分離
を完全に防止することはできなかった。
【0006】一方、金属粉末顔料の反応性を問題にし、
その課題を解決しようとしたものとして特開2002-
38067号公報などが提案されている。該提案は反応
性の高いアルミニウム、ブロンズなどの一般的な金属粉
顔料素材の使用を避け、金、銀といった反応性の低い貴
金属素材を薄膜化した顔料を用いることで課題を解決し
ようとしたものである。しかしながら、これらの貴金属
は高コストであり、一般的に使用できうるものではな
く、さらに比重も大きいので沈降抑制のための粘度調整
剤を使用するか、再攪拌を行い使用するものである。つ
まり、反応性はある程度改善されるものの、沈降防止に
関しての抜本的解決には到っていないものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、インキ組成
物中の金属色着色剤の沈降抑制とインキの化学的安定性
を改善し、再分散のための攪拌を必要としないインキ組
成物を提供し、さらには高度な金属光沢色を維持しつ
つ、他の成分、特に比重調整剤との化学的反応を防止す
る安定性の高いインキ組成物を提供することを本発明の
目的とし、そのような課題の解決手段を提案するもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、少なくとも比重調整剤を添加したインキ
媒質と金属薄膜の表裏に樹脂被膜を設けた積層体構造の
金属薄膜積層体顔料を用い、両者の比重差を小さくする
ことなどによって、本発明のインキ組成物を完成した。
すなわち、本発明は、 「1.少なくとも金属顔料と比重調整剤を含有し、該金
属顔料が樹脂皮膜上に金属蒸着薄膜を形成し、さらにそ
の上に樹脂被膜を設けた積層体を微細化した樹脂被覆金
属薄膜積層体顔料であることを特徴とする金属光沢色イ
ンキ組成物。 2.樹脂被覆金属薄膜積層体顔料が厚さ0.8〜2μm
の樹脂皮膜上に厚さ300〜1000Åの金属蒸着薄膜
を形成し、その上に厚さ0.8〜2μmの樹脂被膜を設
けた積層体を微細化した樹脂被覆金属薄膜積層体顔料で
ある第1項に記載の金属光沢色インキ組成物。 3.比重調整剤がモリブデン酸、タングステン酸、およ
び/またはそれらの塩から選ばれた少なくとも1種類以
上のものである第1項または第2項の何れか1項に記載
の金属光沢色インキ組成物。 4.比重調整剤がポリモリブデン酸、ポリタングステン
酸、および/またはそれらの塩から選ばれた少なくとも
1種類以上である第1項ないし第3項の何れか1項に記
載の金属光沢色インキ組成物。 5.比重調整剤がメタタングステン酸ナトリウムである
第1項ないし第4項の何れか1項に記載の金属光沢色イ
ンキ組成物。 6.樹脂被覆金属薄膜積層体顔料の金属がアルミニウム
である第1項ないし第5項の何れか1項に記載の金属光
沢色インキ組成物。」である。
【0009】上記インキ組成物によれば、インキ組成物
中の金属色着色剤の沈降抑制とインキの化学的安定性を
改善し、再分散のための攪拌を必要とせず、低粘度イン
キとした際にも顔料の沈降を抑制することができ、高度
な金属光沢色を維持しつつ、他の成分、特に比重調整剤
との化学的反応を防止する安定性の高いインキ組成物を
得るという優れた効果を得ることができる。
【0010】本発明で使用する比重調整剤としては、各
種公知の比重調整剤が使用可能である。これら比重調整
剤は、インキ媒質中に溶解させることにより、インキ媒
質の比重を顔料の比重に合わせる目的で添加するので、
その添加量は用いる顔料の比重に応じて該比重調整剤の
溶解度まで任意に設定することができる。十分な沈降抑
制効果を得るために、インキ組成物全体に対して相当量
添加するのが好ましい。添加量が増加し、高濃度になれ
ばなるほど、溶液の粘度が増加する傾向があるので、本
発明においては比較的低比重の樹脂被覆金属薄膜積層体
顔料と併用することでインキの要求品質を満たすことが
できるのである。
【0011】本発明で使用する比重調整剤としては、各
種公知の比重調整剤が使用可能であるが、特にモリブデ
ン酸、タングステン酸、および/またはそれらの塩が好
適である。塩として具体的には、モリブデン酸ナトリウ
ム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸アンモニウ
ム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウ
ム、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸リチ
ウム、タングステン酸マグネシウム等のモリブデン酸
塩、タングステン酸塩などが挙げられる。本発明におい
てのモリブデン酸およびタングステン酸には、それぞれ
のイソポリ酸およびヘテロポリ酸等のポリ酸も含まれ
る。さらに、モリブデン酸塩およびタングステン酸塩に
はそれぞれのイソポリ酸塩およびヘテロポリ酸塩等のポ
リ酸塩も含まれる。ポリ酸とは、モリブデン、タングス
テン等の金属元素の酸素酸が縮合生成した多重酸であ
り、ただ一種類の金属によって構成され、縮合する陰イ
オンが全て同じ型のポリ酸をイソポリ酸といい、二種類
以上の陰イオンが縮合したポリ酸をヘテロポリ酸とい
う。そして、それぞれの塩をイソポリ酸塩、ヘテロポリ
酸塩という。イソポリ酸として具体的には、メタモリブ
デン酸、パラモリブデン酸、メタタングステン酸、パラ
タングステン酸などが、イソポリ酸塩として具体的に
は、メタモリブデン酸ナトリウム、メタモリブデン酸カ
リウム、メタモリブデン酸アンモニウム、パラモリブデ
ン酸ナトリウム、パラモリブデン酸カリウム、パラモリ
ブデン酸アンモニウム、メタタングステン酸ナトリウ
ム、メタタングステン酸カリウム、メタタングステン酸
アンモニウム、メタタングステン酸バリウム、パラタン
グステン酸ナトリウム等が挙げられる。ヘテロポリ酸と
して具体的にはモリブドリン酸、モリブドケイ酸、タン
グストリン酸、タングストケイ酸などが、ヘテロポリ酸
塩としては、モリブドリン酸ナトリウム、モリブドケイ
酸ナトリウム、タングストリン酸ナトリウム、タングス
トケイ酸ナトリウム等が挙げられる。これらの比重調整
剤は単独あるいは2種類以上を混合して使用することが
できる。
【0012】インキ媒質の比重は、インキ媒質中に溶解
させた比重調整剤の比重とその添加量に左右される。イ
ンキ媒質中に比重の大きい比重調整剤をより多く添加
し、溶解させれば、インキ媒質の比重を大きくすること
ができる。ポリモリブデン酸塩およびポリタングステン
酸塩などは、モリブデン、タングステンといった高比重
な金属元素を含んでおり、比較的比重の大きい化合物で
あることから、インキ媒質の比重を調整する添加物とし
て好適に用いることができる。比重調整剤として有用に
作用するのは、比重調整剤自体の比重が大きく、かつ溶
解度が大きいためと考えられ、これがインキ組成物中の
比重調整メカニズムと推測される。
【0013】上述の通り、上記比重調整剤の場合、モリ
ブデン・タングステンといった重金属元素が、比重を大
きくする要であり、モリブデンの比重は10.28、タ
ングステンの比重は19.32、中でもメタタングステ
ン酸ナトリウムは水に対する溶解度が極めて大きく、そ
の水溶液の比重を1.0〜3.1の範囲で自由に設定す
ることができることから、比重調整剤として好適に用い
ることができる。
【0014】一方、上記比重調整剤として挙げたものの
中には、インキ中で金属顔料と反応し、ガスを発生する
などの不具合を生じさせるものもある。インキ組成物と
して経時的に構成物が反応してしまうものは致命的であ
る。ひどい時には発生ガスにより内圧が高まり容器を破
損させ、使用者にケガを負わせたり、インキが漏れて周
囲を汚したりすることもあり好ましくない。そこで、本
発明において使用する顔料としては、比重調整剤と反応
してしまうなどの化学的影響を与えないものを採用す
る。
【0015】本発明においては、顔料の沈降を抑制する
ために顔料自体、比重の軽いものを使用する。高度な金
属光沢色を得るためには金属顔料を用いることが必須で
あるが、上述の通り、金属粉自体では比重が大きすぎて
使用に耐えうるものではない。そこで、本発明では金属
蒸着粉顔料を用いる。金属蒸着粉顔料は金属部分が平滑
でより高輝度の発色が得られる上、薄膜化が可能である
から、顔料粒子の質量を軽くすることができ、見かけ比
重も軽くすることができる。金属素材の中でも比較的比
重の軽いアルミニウムを用いると好適である。しかしな
がら、そのようなものであっても金属の比重は大きいの
で、蒸着面の表裏をさらに低比重の樹脂により被覆した
積層形状のものを用いる。その被覆の際には金属薄膜を
できる限り薄くし、積層体としての顔料の構成のなかで
限りなく金属の比率を下げたものが好ましいが、あまり
薄くすると好ましい金属光沢色を得ることが困難なの
で、金属薄膜の厚さは300〜1000Åがよい。この
範囲より薄いと発色が良くなく、厚いと顔料が重くなる
ので好ましくない。樹脂被膜は透明性の良い樹脂を用
い、0.8〜2μmの範囲で被覆するのがよい。この範
囲より薄いと後述する金属被覆の効果が得られにくくな
り、厚いと金属光沢が遮られて発色が悪くなる傾向があ
り、好ましくない。なお、樹脂被膜は透明性があれば着
色されていても良い。
【0016】ところで比重の軽い該樹脂被覆金属薄膜積
層体顔料を用いたとしても溶媒を中心としたインキ媒質
との比重差があると顔料は沈降してしまう。水の比重は
1で、その他の添加物により多少前後するが、理論上は
水系インキの場合でも顔料の比重を1前後にしないと沈
降することになる。事実上、比重1の顔料の作製は難し
く、実際は顔料だけでは沈降の問題が解決できない。水
より比重の軽い油系の場合はさらに条件が厳しくなる。
【0017】そこで、本発明ではインキ媒質の比重を顔
料の比重にあわせるべく、比重調整剤を配合する。しか
しながら、先に述べたように、比重調整剤と金属顔料の
金属部分が反応して不具合を生ずる問題がある。本発明
において特に好適に用いられる、モリブデン酸、タング
ステン酸、および/またはそれらの塩、ポリモリブデン
酸、ポリタングステン酸、および/またはそれらの塩、
メタタングステン酸ナトリウムは、金属との反応性が高
いものが多く、特に低比重金属顔料として採用したいア
ルミニウムとの反応性に富んでいる。中でも比重が大き
く、溶解度も高いので、最も有効に作用するメタタング
ステン酸ナトリウムなどは特に反応性が強い。これは、
メタタングステン酸ナトリウムの強い酸化力によるもの
で、鉄やアルミニウムなどの金属が酸化されてしまうか
らと考えられる。アルミニウムなどは比重調整剤との反
応もさることながら、水などの他の成分との反応性も強
く、問題を有するが、顔料の比重を小さくできるので、
沈降を抑制するための比重調整剤の添加量を少なくする
ことができ、インキ粘度を極力上昇させずに済むので好
ましい。該アルミニウムの化学的安定性の乏しさは、上
記樹脂被覆金属薄膜積層体顔料の構成にすることで、解
決するものである。つまり、無垢のアルミニウム顔料で
はインキ組成物として成り立たないところを上述したよ
うな樹脂被覆金属薄膜積層体顔料であれば金属蒸着面の
表裏を樹脂にてカバーしており、反応を抑制することが
できるのである。その際、実質的にインキ媒質によって
侵されない樹脂にて被覆を行うことはいうまでもない。
【0018】金属薄膜を樹脂にて被覆した樹脂被覆金属
薄膜積層体顔料を用いる理由は、比重を軽くするためだ
けでなく、インキの化学的安定性にも因るのである。本
発明に採用する金属蒸着膜を被覆する樹脂被膜は0.8
〜2μmで、該厚みより薄いと比重調整剤などとの反応
が抑制できなくなる傾向がある。
【0019】本発明に使用する樹脂被覆金属薄膜積層体
顔料としては、適宜選択した合成樹脂にアルミニウムな
どの金属を真空蒸着し、金属層を同様な樹脂により保護
して鱗片状に粉砕したエルジーSilver#500、
同#325、同#200(以上、尾池工業(株)製)、
ダイヤモンドピースレギュラーNo.55Silve
r、同No.501Silver(以上、ダイヤ工業
(株)製)などがある。さらに、樹脂層に着色を施した
エルジーR.Gold#500、同B.Gold#50
0、同R.Gold#325、同B.Gold#32
5、同Red#325、同Blue#325、同Gre
en#325、同Violet#325、同Black
#325、同Copper#325、同R.Gold#
200、同B.Gold#200、同Red#200、
同Blue#200、同Green#200、同Vio
let#200、同Black#200、同Coppe
r#200(以上、尾池工業(株)製)、ダイヤモンド
ピースレギュラーNo.55LG.Gold、同DG.
Gold、ダイヤモンドピースレギュラーNo.501
LG.Gold、同DG.Gold、同Green、同
Blue、同Red、同Maroon、同Ocean
Green、同Sky Blue、同Black、同P
ink、同Vioret(以上、ダイヤ工業(株)製)
などが挙げられる。このような加工顔料は比較的比重が
軽く、アルミニウムが2.5〜2.7前後の比重である
のに対し、おおよそ1.2〜1.4の比重である。
【0020】これらの顔料はそれぞれ単独で用いても2
種以上を組み合わせて用いてもよい。また、安定性に影
響を与えない範囲で比重の小さな顔料や染料を組み合わ
せて用いてもよい。
【0021】本発明のインキ組成物は、水系でも油系で
も良く、ニュートニアンインキやせん断減粘性インキな
どのどのような形態のインキ構成に用いても有用である
が、水系の低粘度のインキほど顔料等、分散物の沈降の
課題と化学的安定性の課題が大きいため、より好ましく
用いられる。せん断速度384s-1(at20℃)にお
けるインキ組成物の粘度が2.0〜100.0mPa・
s程度の低粘度インキの場合、より大きな効果を得るこ
とができる。
【0022】本発明においては、比重調整剤としてメタ
タングステン酸ナトリウムを用い、樹脂被覆金属薄膜積
層体顔料の金属素材としてアルミニウムを用いた際によ
り効果的な沈降抑制とインキの発色性等を得ることがで
きるので好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明は、特定の樹脂被覆金属薄
膜積層体顔料と比重調整剤を必須成分とするが、これ以
外の成分で通常インキ組成物として用いられる成分も、
任意に用いることができる。例えば、インキ粘度を調整
したり、顔料の被筆記媒体への定着性や耐久性を向上さ
せるために通常用いられる樹脂などを添加してもよい。
また、防腐剤、防錆剤、潤滑剤、保湿剤、分散剤、pH
調整剤、粘度調整剤、せん断減粘性付与剤、界面活性剤
等の成分も用いることができる。ただし、その種類、添
加量は本発明で用いる比重調整剤の比重調整機能と化学
的安定性に影響を与えない範囲で使用しなければならな
い。
【0024】本発明のインキ組成物は、公知である種々
のインキ組成物の製造方法により製造することができ
る。本発明のインキ組成物は、万年筆、サインペン、マ
ーキングペン、プレートペン、ボールペン等の筆記具に
おいて最も好適に使用できるが、その他、インクジェッ
トプリンタ用インキや印刷インキといった一般用途とし
ても広範に使用できる。
【0025】
【実施例】以下に実施例、比較例を挙げ、本発明を詳細
に説明するが、本発明は実施例によって何ら限定される
ものではない。
【0026】 実施例1 保湿剤(注1) 25.0質量部 保湿剤(注2) 6.3質量部 分散剤(注4) 1.0質量部 潤滑剤(注5) 0.5質量部 防腐剤(注6) 0.2質量部 pH調整剤(注7) 1.0質量部 樹脂被覆金属薄膜積層体顔料 20.0質量部 イオン交換水 46.0質量部 モリブデン酸ナトリウム(比重調整剤) 23.3質量% まず、比重調整剤をイオン交換水に溶解した後に、その
他の顔料以外の成分を混合し、該混合物に対して相当量
の顔料を攪拌しながら添加して、金属光沢色の水性イン
キ組成物を得た。比重調整剤としてはモリブデン酸ナト
リウム(鹿1級 関東化学(株)製)を用いた。樹脂被
覆金属薄膜積層体顔料としては500Åのアルミニウム
蒸着膜の表裏を1.0μmの樹脂で被覆したサンドイッ
チ構造のものを使用した。分散剤としてはポリビニルピ
ロリドン(K−15 ISPテクノロジーズ社製)を用
いた。潤滑剤としてはリン酸エステル系界面活性剤(プ
ライサーフA−208S第一工業製薬(株)製)を用い
た。防腐剤としては1,2−ベンゾイソチアゾリン−3
−オン(プロキセルXL−2(S)アビシア(株)製)
を用いた。pH調整剤としてはトリエタノールアミンを
用いた。
【0027】実施例2〜4、比較例1〜4 インキの組成を表1に示す通りとした以外は実施例1と
同様にして水性インキ組成物を得た。表中のアルミペー
スト顔料は、無垢のアルミニウム金属粉末をミネラルス
ピリットとステアリン酸、オレイン酸などを入れたボー
ルミルの中で粉砕、研磨し、薄鱗片状のアルミ微粒子に
したものを用いた。
【0028】
【表1】 注1:エチレングリコール 注2:尿素 注3:グリセリン 注4:ポリビニルピロリドン(K−15 ISPテクノ
ロジーズ社製) 注5:リン酸エステル系界面活性剤(プライサーフA−
208S 第一工業製薬(株)製) 注6:1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(プロ
キセルXL−2(S)アビシア(株)製) 注7:トリエタノールアミン 注8:鹿1級(関東化学(株)製) 注9:1級(関東化学(株)製) 注10:SPT(SOMETU社製)
【0029】上記実施例1〜4および比較例1〜4で得
られたインキ組成物について、次に示す試験方法で試験
を行った。その結果を表1に示す。 1.インキ媒質の比重:インキ組成物から顔料のみを除
いて配合したインキ媒質の比重を、20℃において10
ml比重びんを用いて測定した。 2.顔料の浮遊・沈降安定性:インキ組成物を(株)パ
イロット製の万年筆用インキカートリッジに充填し、栓
をした状態で縦置きに一定期間放置した後、顔料の分散
状態を目視で確認した。評価基準は、下記の通り3段階
評価とした。 ○:顔料は2週間以上安定した。 △:顔料は1週間安定した。 ×:顔料は6時間も安定しなかった。 3.インキ組成物の化学的安定性:インキ組成物を
(株)パイロット製の万年筆用インキカートリッジに充
填し、栓をした状態で縦置きに一定期間放置した後、イ
ンキ組成物の状態を観察した。評価基準は、下記の通り
3段階評価とした。 ○:外観上の変化はなかった。 △:インキ媒質が青色に変色した。 ×:発生ガスにより内圧が高まり開栓した。 4.インキ粘度:インキ組成物作成後、DV−2+粘度
計(ブルックフィールド社)で、CPE−42スピンド
ルを使用し、せん断速度384s-1(100rpm)に
おける粘度を測定した(at20℃)。インキ粘度が6
4.0mPa・sを超える場合、DV−2+粘度計では
で測定することができないため、ストレス制御式レオメ
ーターCSL−100(キャリメ社)を用い、直径4c
mのコーンプレート(2°)を使用して、せん断速度3
84s-1における粘度を測定した(at20℃) 。
(比較例4)
【0030】表1の結果より、実施例1〜4の水性イン
キ組成物は、低粘度ながら顔料の沈降安定性および化学
的安定性が良好で、再分散のための攪拌を必要としない
優れたインキ組成物であるということが判る。一般用途
に問題なく使用でき、万年筆、サインペン、マーキング
ペン、プレートペン、ボールペン等の筆記具に特に好適
に使用でき、良好な金属光沢色の筆跡を得ることができ
るものであった。特に実施例4は極低粘度でも顔料の沈
降を抑制でき、化学的安定性も良好であった。なお、実
施例3はやや浮遊傾向にあるものの使用できるレベルに
あった。
【0031】また、比較例1および2においては比重調
整剤を配合しなかったため、いずれの顔料を用いても顔
料が沈降してしまい、樹脂被覆金属薄膜積層体顔料を用
いても不十分なものであった。比較例3は比重調整剤を
用い、沈降を抑制しようと試みたが、アルミペーストと
反応して水素ガスを発生し、インキカートリッジの栓が
飛んでしまった。比較例4においては、粘度を上昇さ
せ、顔料の沈降を遅らせたものの、基本的に沈降を防止
することができず、低粘度用インキとして用いる際にも
粘度が高すぎて好ましくなかった。
【0032】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のインキ組成物は、少なくとも比重調整剤を添加したイ
ンキ媒質と金属薄膜の表裏に樹脂被膜を設けた積層体構
造の金属薄膜積層体顔料を用い、両者の比重差を小さく
することなどにより、インキ組成物中の金属色着色剤の
沈降抑制とインキの化学的安定性を改善し、再分散のた
めの攪拌を必要とせず、低粘度インキとした際にも顔料
の沈降を抑制することができ、高度な金属光沢色を維持
しつつ、他の成分、特に比重調整剤との化学的反応を防
止する安定性の高いインキ組成物を得るという優れた効
果を奏するものである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも金属顔料と比重調整剤を含有
    し、該金属顔料が樹脂皮膜上に金属蒸着薄膜を形成し、
    さらにその上に樹脂被膜を設けた積層体を微細化した樹
    脂被覆金属薄膜積層体顔料であることを特徴とする金属
    光沢色インキ組成物。
  2. 【請求項2】 樹脂被覆金属薄膜積層体顔料が厚さ0.
    8〜2μmの樹脂皮膜上に厚さ300〜1000Åの金
    属蒸着薄膜を形成し、その上に厚さ0.8〜2μmの樹
    脂被膜を設けた積層体を微細化した樹脂被覆金属薄膜積
    層体顔料である請求項1に記載の金属光沢色インキ組成
    物。
  3. 【請求項3】 比重調整剤がモリブデン酸、タングステ
    ン酸、および/またはそれらの塩から選ばれた少なくと
    も1種類以上のものである請求項1または2の何れか1
    項に記載の金属光沢色インキ組成物。
  4. 【請求項4】 比重調整剤がポリモリブデン酸、ポリタ
    ングステン酸、および/またはそれらの塩から選ばれた
    少なくとも1種類以上である請求項1ないし3の何れか
    1項に記載の金属光沢色インキ組成物。
  5. 【請求項5】 比重調整剤がメタタングステン酸ナトリ
    ウムである請求項1ないし4の何れか1項に記載の金属
    光沢色インキ組成物。
  6. 【請求項6】 樹脂被覆金属薄膜積層体顔料の金属がア
    ルミニウムである請求項1ないし5の何れか1項に記載
    の金属光沢色インキ組成物。
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