JP2003251197A - 可視光応答性稀土類化合物光触媒とそれを用いた水素の製造方法及び有害化学物質分解方法 - Google Patents

可視光応答性稀土類化合物光触媒とそれを用いた水素の製造方法及び有害化学物質分解方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】紫外光のみならず可視光領域も利用しうる光触
媒を提供し、この触媒を用いて水等の分解に使用し、こ
れによって、水素を生成、製造する手段を提供しようと
するものであり、更にまた、有害化学物質の分解処理に
使用し、これによって、有害物質無害化処理手段を提供
しようとするものである。 【解決手段】光触媒成分として、一般式;RVO4で表
されるバナジウム(V)含有複合酸化物半導体(ただ
し、RはY元素或いはランタノイド元素を表す。)を使
用することによって、解決手段とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、元素周期表中Y或
いはランタノイド元素とバナジウム(V)を含みI41
/amd空間群に属すジルコンタイプ結晶構造を有する
複合酸化物半導体で、太陽光などに含まれる紫外線およ
び可視光線を効率よく吸収する高活性な水素製造用光触
媒、水分解用光触媒及び有害化学物質の分解用光触媒に
関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】地球温
暖化が世界的な問題となっている。大気中の二酸化炭素
がいまのペースで増え続けると2030年には、その濃
度は産業革命以前の大気中濃度の2倍になる、と予想さ
れている。その温室効果により、極地方の温度は約14
度上昇し、海面が60cm上昇すると地球の生態系や気
候変動に大きな悪影響を及ぼすとされている。各国の具
体的な二酸化炭素排出量削減の数値が検討され、日本は
2008年から2012年の平均排出量を1990年レ
ベルより少なくとも6%削減するよう目標が設定され
た。人類が21世紀以降においても持続的な発展を続け
るためには、二酸化炭素や環境汚染物質を排出しないク
リーンエネルギーの開発が必須となっている。また、既
に破壊しつつある環境を浄化することが必要不可欠であ
る。
【0003】水素は、熱効率がガソリンの3倍と大きい
上に燃えて水に帰し、その際有害物質など一切発生しな
いまさに究極的な燃料と考えられている。実際、水素を
燃料とした燃料電池が競って研究され、近いうちに実用
化される勢いである。また、水素自動車や水素タービン
などが、有毒物質を発生しないクリーンなシステムとし
て、開発が企業を含めて緊急に進められている。そし
て、水素の合成法は、それらすべての元となるため緊急
な課題となっている。現在、水素の殆どは石油や天然ガ
スなどからのリフォーミング反応、或いは水の電気分解
から生成されるが、それは同時に温暖化の原因となる二
酸化炭素を発生するか、貴重なエネルギー源を使ってし
まうことになる。
【0004】一方、一年間で地上に届く太陽エネルギー
は人類の年間エネルギー消費量の1万倍に相当するほど
莫大である。太陽エネルギーの利用法として、太陽電池
や太陽熱利用システムが開発されているが、その利用率
はまだまだ不十分である上、大規模のものが困難であ
り、コストが高いなど問題点が多い。太陽光の有効利用
を実現するためには、無尽蔵な太陽光と水から、可視光
半導体光触媒を用いて、クリーンな燃料となる水素と酸
素を直接製造することができる人工光合成技術が考えら
れる。
【0005】光触媒は、そのバンドギャップ以上のエネ
ルギーを吸収すると、正孔と電子を生成し、これらがそ
れぞれ水と酸化反応、還元反応を行い、酸素、水素を発
生させる。この光触媒の実用化を考えた場合、光源とし
て太陽光の利用は不可欠である。地表に降り注ぐ太陽光
は、可視光である波長500nm付近に放射の最大強度
をもっており、波長400〜750nmの可視光領域の
エネルギー量は全太陽光の約43%である。一方、波長
400nm以下の紫外線領域では5%にも満たない。従
って、太陽光スペクトルを効率よく利用するためには、
可視光の光にも触媒活性をもつ光触媒が望まれている。
【0006】しかし、従来の多くの半導体光触媒はエネ
ルギーの高い紫外光を照射したときには水素を生成でき
るが、可視光応答性の半導体光触媒による水素製造の検
討例は非常に限られており、かつ活性も低かった。太陽
光を利用するためには可視光の有効利用が可能な新規な
光触媒の開発が必要不可欠である。
【0007】また近年、光触媒の応用研究として、光触
媒を有害化学物質の分解に使用することがその分野で広
く検討されている。水中や大気中の農薬や悪臭物質など
の有機物の分解や触媒を塗布した固体表面のセルフクリ
ーニングなどの応用例が研究、提言されているが、その
大部分は二酸化チタンを用いたものであり、しかも可視
光線ではほとんど機能しないものであった。したがっ
て、上記の応用研究おいて、可視光が利用できる光触媒
を開発し、使用することができれば効率が向上すると期
待できる。その時重要なのが伝導帯の準位である。酸化
物半導体の価電子帯の正孔は酸化能力が非常に強く、水
や多くの有機物といった電子供与体を酸化することがで
きる。その時、同時に生成した伝導帯の電子は空気中の
酸素を還元することで消費される。つまり、伝導帯準位
が酸素の還元準位より負でなくてはならない。水素を発
生できる光触媒は酸素を還元できるポテンシャルを持つ
新規な均一系の光触媒で、上記の分野への応用が期待で
きる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は太陽光などに
含まれる紫外線を効率よく吸収する光触媒を提供しよう
とするものであり、この触媒を使用することによって、
有害物質や水素含有化合物に光を照射し、該有害物質あ
るいは水素含有化合物を分解し、以て、有害物質の無害
化処理方法或いは水素の生成、製造方法を提供しようと
云うものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】そのため本発明者等にお
いては、鋭意研究した結果、上記の目的は、下記(1)
〜(10)手段により解決し、達成しうることに成功し
た。
【0010】(1)一般式(I):RVO4;で表され
るバナジウム(V)含有複合酸化物半導体からなる光触
媒。式中、RはY元素或いはランタノイド元素である。
Rのモル数がVのモル数に等しい稀土類複合酸化物半導
体を使用し、この成分を含んでいることを特徴とするも
のであり、これによって解決を図るものである。 (2)前記RがY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、S
m、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Y
b、Lu からなる群から選択された少なくとも1種の
元素であることを特徴とする、(1)記載の光触媒。
【0011】(3)一般式(I)で表される稀土類複合
酸化物半導体はI41/amd空間群に属すジルコンタ
イプ結晶構造を有する複合酸化物半導体である、(1)
又は(2)に記載の光触媒。 (4)Ptなどの貴金属元素、Niなどの遷移金属元
素、NiOX(xは0を超え、1以下の値を表す。)I
rO2、RuO2からなる群から選ばれた1種又は2種以
上の成分からなる助触媒を含んでいることを特徴とす
る、(1)ないし(3)の何れか1項に記載の光触媒。 (5)前記(1)ないし(4)の何れか1項に記載の複
合酸化物半導体からなる水素製造用光触媒。 (6)前記(5)に記載の水素製造用光触媒の存在下、
水素含有化合物に紫外線および可視光線を含む光を照射
することを特徴とする水素の製造方法。
【0012】(7)前記(1)ないし(4)の何れか1
項に記載の複合酸化物半導体からなる水分解用光触媒。 (8)前記(7)に記載の水分解用光触媒の存在下、水
に紫外線および可視光線を含む光を照射することを特徴
とする水素の製造方法。 (9)前記(1)ないし(4)の何れか1項に記載の複
合酸化物半導体からなる有害化学物質を分解用光触媒。 (10)前記(9)に記載の有害化学物質を分解用光触
媒の存在下、有害化学物質に紫外線および可視光線を含
む光を照射することを特徴とする有害化学物質を分解す
る方法。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明する
が、これらは何れも本発明の具体的な一つの実施例を開
示しているものであって、本発明はこれに限られるもの
ではない。
【0014】本発明の請求項第1項に記載した酸化物R
VO4において、式中、RはY元素或いはランタノイド
元素である。Rのモル数がVのモル数に等しい複合酸化
物半導体を用いた光触媒。化学式の酸素は形式上4個で
表記されるが、実際に調製した結果得られた酸素数は酸
素欠陥などがあるので正確に4である必要はない。基本
骨格は一般式R3+5+4で表されるI41/amd空間
群(“International Tables f
or Crystallography”、vol.
A、p.472、Kluwer Academic P
ublishers、1995)に属すジルコンタイプ
結晶構造を持つ化合物であり、その結晶構造を保てばよ
い。
【0015】本発明の複合酸化物半導体は、通常の固相
反応法、すなわち原料となる各金属成分の酸化物を目的
組成の比率で混合し、常圧下空気中で焼成することで合
成することもできる。昇華し易い原料では少し多めに加
える必要がある。また、金属アルコキシドや金属塩を原
料とした各種ゾルゲル法、共沈法、錯体重合法など様々
な方法も用いられる。その中には酸化物前駆体を調製
し、焼成することで合成することも含むものである。
【0016】本発明の光触媒の形状は、光を有効に利用
するために微粒子で表面積の大きいことが望ましい。固
相反応法で調製した酸化物は粒子が大きく表面積が小さ
いが、ボールミルなどで粉砕を行うことで粒子径を小さ
くできる。一般には粒子の大きさは10nm〜200μ
m、好ましくは50μm以下である。また微粒子を成型
して板状として使用することもできる。或いは他の材質
に薄膜状にコーティングして使用することもできる。
【0017】更に、本発明の半導体に対しても、助触媒
であるPtなどの貴金属、Niなどの遷移金属、NiO
X(xは0を超え、1以下の値を表す。)やIrO2、R
uO 2等酸化物の担持等光触媒製造に通常用いられるよ
うな修飾を行うことができる。担持方法は含浸法や光電
着法などで行うことが出来る。含浸法では、光触媒活性
種の塩化物、硝酸塩等の化合物の水溶液を用いて半導体
に含浸させた後、100〜200℃で約2〜5時間乾燥
して、800℃以下、好ましいのは200〜500℃で
かつ還元性雰囲気及び/又は酸化雰囲気下で2〜5時間
焼成する。助触媒量は0.01〜10wt%、好ましく
は0.1〜5wt%である。
【0018】また、水の分解反応を行う際に用いる反応
溶液は、純水に限らず、通常、水の分解反応によく用い
られるように、炭酸塩や炭酸水素塩、ヨウ素塩、臭素塩
等の塩類を混ぜた水を用いてもよい。そして、上記水溶
液に本発明の光触媒を添加する。触媒の添加量は、基本
的に入射した光が効率よく吸収できる量を選ぶ。照射面
積25cm2に対して0.05〜10g、好ましくは
0.2〜3gである。このように光分解用触媒を添加し
た水溶液に光を照射することによって水が分解し、水素
が発生する。照射する光の波長は半導体の吸収がある領
域の波長の光を含むことが必要である。本発明では太陽
光を照射してもよい。
【0019】本発明の光触媒は、水の分解だけでなく多
くの光触媒反応に応用できる。たとえば有機物の分解の
場合、アルコールや農薬、悪臭物質などは一般に電子供
与体として働き、正孔によって酸化分解されるととも
に、電子によって水素が発生するか、酸素が還元され
る。反応形態は、有機物を含む水溶液に触媒を懸濁して
光照射しても良いし、触媒を基板に固定しても良い。悪
臭物質の分解のように気相反応でも良い。
【0020】(実施例)以下、本発明を詳細に説明す
る。以下の実施例においては、Y元素とV元素を用い、
YVO4を合成した。合成は、各成分の酸化物を化学量
論比で調合し、固相法により行った。
【0021】実施例1 Y元素とV元素を用い、YVO4を合成した。合成は、
1.0molY23と1.0molV25を金属当たり
の化学量論比で調合した。(図1) 例えば、10gYVO4を合成の場合はY23を5.5
39gとV25を4.461gそれぞれ秤量した。これ
をアルミナるつぼに入れて、空気中常気圧下で電気炉中
で700℃、12時間焼結した。焼成終了後、この焼成
物を乳鉢で10mm以下の大きさに粉砕した。XRDと
SEM−EDSを用いて触媒の化学組成と結晶構造を調
べた。リートベルト構造解析により、この系は正方晶系
に属し、空間群I41/amd、格子定数a=0.71
23、c=0.6292nm、ジルコンタイプ結晶構造
であることが判明した。紫外−可視吸収スペクトル測定
により、本光触媒は紫外線領域から上限600nmの可
視光領域まで吸収を示し、バンドキャップが2.1eV
以下と見積もることができ、可視光の応答性を有するこ
とがわかった。上記酸化物半導体の1.0wt%NiO
X担持はNi(NO32水溶液の含侵、200℃で5時
間乾燥して、500℃で水素還元、さらに200℃で再
酸化によって行った。1gのNiOX/YVO4を純水3
70mlに懸濁し水の光分解反応をさせた。閉鎖循環系
触媒反応装置を用い、マグネチックスターラーで攪拌し
ながら外部から光を照射した。光源には400W高圧水
銀ランプを用い、反応セルとしては石英ガラス製のもの
を用いた。生成した水素と酸素の検出及び定量はガスク
ロマトグラフィーで行った。その結果を図1に示す。そ
の結果、水素が300μmol/h、酸素が150μm
ol/hの速度で定常的に発生することがわかった。
【0022】実施例2 実施例1において、担持金属をNiOXの代わりにRu
2を用いた。YVO4半導体の1.0wt%RuO2
持はRuCl4水溶液の含侵、200℃で5時間乾燥し
て、500℃で酸化雰囲気下で2時間焼成行った。1g
のRuO2/YVO4を純水370mlに懸濁し水の光分
解反応をさせた。閉鎖循環系触媒反応装置を用い、マグ
ネチックスターラーで攪拌しながら外部から光を照射し
た。光源には400W高圧水銀ランプを用い、反応セル
としては石英ガラス製のものを用いた。生成した水素と
酸素の検出及び定量はガスクロマトグラフィーで行っ
た。その結果を図1に示す。この場合も水素が150μ
mol/h、酸素が75μmol/hの速度で定常的に
発生することがわかった。
【0023】実施例3 実施例1において、担持金属をNiOXの代わりにPt
を用いた。酸化物に対して0.1wt%相当の白金を塩
化白金酸水溶液で添加し、光電着により酸化物に担持さ
せた。1gのRuO2/YVO4を純水370mlに懸濁
し水の光分解反応をさせた。閉鎖循環系触媒反応装置を
用い、マグネチックスターラーで攪拌しながら外部から
光を照射した。光源には400W高圧水銀ランプを用
い、反応セルとしては石英ガラス製のものを用いた。生
成した水素と酸素の検出及び定量はガスクロマトグラフ
ィーで行った。その結果を図1に示す。
【0024】実施例4 実施例1において、担持金属の無い触媒を用いた。1g
のYVO4を純水370mlに懸濁し水の光分解反応を
させた。閉鎖循環系触媒反応装置を用い、マグネチック
スターラーで攪拌しながら外部から光を照射した。光源
には400W高圧水銀ランプを用い、反応セルとしては
石英ガラス製のものを用いた。生成した水素の検出及び
定量はガスクロマトグラフィーで行った。その結果を図
1に示す。この場合でも定常的な水素発生が認められ
た。以上、実施例1から実施例4までの結果をみると、
YVO4系半導体光触媒については、担持金属を有する
触媒(実施例1、実施例2、実施例3)は、担持金属の
無い触媒(実施例4)に比し、光触媒性能において優れ
ていることが分かった。また、担持している金属成分に
よりその光触媒性能には大きな差異があることも分かっ
た。このYVO4系半導体光触媒は、1.0wt%Ni
X担持した配合設計の光触媒において、最も活性が高
かった。
【0025】実施例5 有機物の分解が光照射で効率良く進行するかを確認する
ため、水溶液中のメタノールの分解を行った。触媒はP
t(0.1wt%)を担持した上記酸化物半導体を用い
た。1gの触媒を純水320mlとメタノール50ml
の混合液に懸濁し光分解反応をさせた。閉鎖循環系触媒
反応装置を用い、マグネチックスターラーで攪拌しなが
ら外部から光を照射した。光源には400W高圧水銀ラ
ンプを用い、反応セルとしては石英ガラス製のものを用
いた。生成した水素の検出及び定量はガスクロマトグラ
フィーで行った。その結果、水素が1.5mmol/h
定常的に発生した。酸素は発生しなかった。これは正孔
によりメタノールが酸化分解される一方で、電子が水を
還元し水素を発生する反応が光照射下で進行しているこ
とを示している。
【0026】実施例6 Gd元素とV元素を用い、GdVO4を合成した。合成
は、1.0molGd23と1.0molV25を金属
当たりの化学量論比で調合した(図1)。例えば、10
gGdVO4を合成の場合はGd23を6.659gと
25を3.341gそれぞれ秤量した。試料作製は実
施例1と同じである。この焼成物を乳鉢で10μm以下
の大きさに粉砕した。XRDとSEM−EDSを用いて
触媒の化学組成と結晶構造を調べた。リートベルト構造
解析により、この系は正方晶系に属し、空間群I41
amd、ジルコンタイプ結晶構造であることが判明し
た。紫外−可視吸収スペクトル測定により、本光触媒は
紫外線領域から上限600nmの可視光領域まで吸収を
示し、バンドキャップが2.1eV以下と見積もること
ができ、可視光の応答性を有することがわかった。上記
酸化物半導体の1.0wt%NiOX担持はNi(N
32水溶液の含侵、200℃で5時間乾燥して、50
0℃で水素還元、さらに200℃で再酸化によって行っ
た。1gのNiOX/GdVO4を純水370mlに懸濁
し水の光分解反応をさせた。閉鎖循環系触媒反応装置を
用い、マグネチックスターラーで攪拌しながら外部から
光を照射した。光源には400W高圧水銀ランプを用
い、反応セルとしては石英ガラス製のものを用いた。生
成した水素と酸素の検出及び定量はガスクロマトグラフ
ィーで行った。その結果を図1に示す。その結果、水素
が300μmol/h、酸素が150μmol/hの速
度で定常的に発生することがわかった。
【0027】実施例7 実施例6において、担持金属をNiOXの代わりにRu
2を用いた。GdVO4半導体の1.0wt%RuO2
担持はRuCl4水溶液の含侵、200℃で5時間乾燥
して、500℃で酸化雰囲気下で2時間焼成行った。1
gのRuO2/GdVO4を純水370mlに懸濁し水の
光分解反応をさせた。閉鎖循環系触媒反応装置を用い、
マグネチックスターラーで攪拌しながら外部から光を照
射した。光源には400W高圧水銀ランプを用い、反応
セルとしては石英ガラス製のものを用いた。生成した水
素と酸素の検出及び定量はガスクロマトグラフィーで行
った。その結果を図1に示す。この場合も水素が250
μmol/h、酸素が125μmol/hの速度で定常
的に発生することがわかった。
【0028】実施例8 有機物の分解が光照射で効率良く進行するかを確認する
ため、水溶液中のメタノールの分解を行った。触媒はP
t(0.1wt%)を担持した上記酸化物半導体を用い
た。1gの触媒を純水320mlとメタノール50ml
の混合液に懸濁し光分解反応をさせた。閉鎖循環系触媒
反応装置を用い、マグネチックスターラーで攪拌しなが
ら外部から光を照射した。光源には 400W高圧水銀
ランプを用い、反応セルとしては石英ガラス製のものを
用いた。生成した水素の検出及び定量はガスクロマトグ
ラフィーで行った。その結果、水素が2mmol/h定
常的に発生した。酸素は発生しなかった。これは正孔に
よりメタノールが酸化分解される一方で、電子が水を還
元し水素を発生する反応が光照射下で進行していること
を示している。
【0029】以上の結果を、図1にまとめて示す。すな
わち、使用された光触媒成分、担持助触媒の成分とその
有無、反応の種類(反応目的)、用いた光源、単位時間
あたりの水素ガスの発生量、等の関係を、図1に示して
いるものである。
【0030】
【発明の効果】以上の通り、一般式(I);RVO
4(ただし、RはY元素或いはランタノイド元素を表
す。)で表される本発明のI41/amd空間群に属す
るジルコンタイプ結晶構造を持つRVO4酸化物は、光
応答できる波長領域が上限600nmの可視光まで広が
り、これまでの光触媒が、紫外光領域でのみ機能してい
たことを考えると、有効利用できる波長領域を大きく広
げ、しかも太陽エネルギーの大部分の主要な領域を占め
る光に対して、機能し得ることから、その意義は極めて
大きい。また、光励起で生じたホール及びエレクトロン
が速やかに触媒の表面に移動でき、ホールとエレクトロ
ンの再結合の確率が減少し、光に対して高い触媒活性を
示す。本発明によれば、可視光エネルギーを利用して水
を分解して水素を生成できる。将来的には人工池に光触
媒を敷き詰めれば、無尽蔵の太陽光で効率よく水素が大
量に製造できる可能性があり、エネルギー問題の克服に
つながると言える。また、これらの光触媒を水の分解反
応でなく他の化学反応に使用しても一向にかまわない。
例えば有機物の分解反応や金属イオンの還元反応に応用
することができる。環境浄化などにも大きく寄与でき
る。以上本発明の稀土類化合物光触媒は、光の広い領域
に対して活性を有すること如上の通りであり、その特性
の故、前示使用例以外にも多様な用途に使われることが
期待され、今後その果たす役割は、非常に大きいと考え
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可視光応答性稀土類化合物光触媒を用
いた水及びメタノールの分解反応による水素の発生量を
示す図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 23/847 B01D 53/36 ZABJ C01B 3/04 H (72)発明者 押切 光丈 茨城県つくば市千現一丁目2番1号 独立 行政法人物質・材料研究機構内 Fターム(参考) 4D048 AA22 AB03 BA18X BA23X BA30X BA32X BA33X BA38X BA41X BA42X EA01 4G069 AA02 AA03 AA08 BA48A BB04A BB04B BB06A BB06B BC29A BC32A BC33A BC38B BC40A BC40B BC41A BC54A BC54B BC68A BC69A BC70B BC74A BC74B BC75A BC75B CA05 CA11 CC33 DA05 EC22X FA01 FA02 FB14 FB44

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I):RVO4で表されるバナジ
    ウム(V)含有複合酸化物半導体からなる光触媒。式
    中、RはY元素或いはランタノイド元素を表す。
  2. 【請求項2】前記RがY、La、Ce、Pr、Nd、P
    m、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、T
    m、Yb、Luからなる群から選択された少なくとも1
    種の元素であることを特徴とする請求項1に記載の光触
    媒。
  3. 【請求項3】一般式(I)で表される稀土類複合酸化物
    半導体がI41/amd空間群に属するジルコンタイプ
    結晶構造を有する複合酸化物半導体であることを特徴と
    する請求項1又は2に記載の光触媒。
  4. 【請求項4】Ptなどの貴金属元素、Niなどの遷移金
    属元素、NiOX(xは0を超え、1以下の値を表
    す。)、IrO2、RuO2からなる群から選ばれた1種
    又は2種以上の成分からなる助触媒を含んでいることを
    特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の光触
    媒。
  5. 【請求項5】請求項1ないし4の何れか1項に記載の複
    合酸化物半導体からなる水素製造用光触媒。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の水素製造用光触媒の存在
    下、水素含有化合物に紫外線および可視光線を含む光を
    照射することを特徴とする水素の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項1ないし4の何れか1項に記載の複
    合酸化物半導体からなる水分解用光触媒。
  8. 【請求項8】請求項7に記載の水分解用光触媒の存在
    下、水に紫外線および可視光線を含む光を照射すること
    を特徴とする水素の製造方法。
  9. 【請求項9】請求項1ないし4の何れか1項に記載の複
    合酸化物半導体からなる有害化学物質を分解用光触媒。
  10. 【請求項10】請求項9に記載の有害化学物質を分解用
    光触媒の存在下、有害化学物質に紫外線および可視光線
    を含む光を照射することを特徴とする有害化学物質を分
    解する方法。
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