JP3718710B2 - 可視光応答性光触媒及びそれを用いた水素製造方法と有害化学物質分解方法 - Google Patents

可視光応答性光触媒及びそれを用いた水素製造方法と有害化学物質分解方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Inとバナジウム(V)を含む複合酸化物半導体を含んでなる光触媒、或いは、該複合酸化物半導体であってCmcm空間群に属する結晶構造を有する複合酸化物半導体に関し、特に、太陽光などに含まれる紫外線および可視光線を効率よく吸収する高活性な水素製造用光触媒、水分解用光触媒及び有害化学物質の分解用光触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現代において、我々人類がこのような高度な文明社会を築き上げてきた背景には、化石資源である石炭や石油をエネルギー源として用い、それらを有効に活用したことが挙げられる。そして、現在、エネルギー源としては、化石資源である石油と、原子核を構成する陽子・中性子の変化に伴って放出されるエネルギーを利用する原子力(原子エネルギー)が用いられている。ところが、地球規模の環境問題の一つとして地球温暖化問題が提起された。この地球温暖化の原因の一つとして、化石燃料を燃焼する際に排出するCO2が挙げられている。このように石油資源に対しては枯渇問題及び環境問題の双方から問題を抱えている。
【0003】
一方、原子力に対しては夢のエネルギーと騒がれ登場したにも係わらず、安全性において社会的コンセンサスが未だに得られていない状況にある。そのため、最近では各国において新規の原子力発電所の建設が困難な状況にある。また、使用済核燃料の再処理についても新聞を賑わしている。このように原子力については、放射能に対する恐怖感から、未だに社会的に問題の多いエネルギー源であると言える。
【0004】
上記のことを踏まえ、エネルギー問題を環境問題と共に考えるときCO2の排出や放射能の放出のない、クリーンなエネルギー源である水素が有用であると考えられている。そして、それを実現するための技術が、無尽蔵な太陽光と水から、クリーンな燃料となる水素と酸素を直接製造することができ、人工光合成技術とも考えられる可視光半導体光触媒の研究開発である。
【0005】
光触媒は、そのバンドギャップ以上のエネルギーを吸収すると、正孔と電子を生成し、これらがそれぞれ水と酸化反応、還元反応を行い、酸素、水素を発生させる。この光触媒の実用化を考えた場合、光源として太陽光の利用は不可欠である。地表に降り注ぐ太陽光は、可視光である波長500nm付近に放射の最大強度をもっており、波長400〜750nmの可視光領域のエネルギー量は全太陽光の約43%である。一方、波長400nm以下の紫外線領域では5%にも満たない。従って、太陽光スペクトルを効率よく利用するためには、可視光の光にも触媒活性をもつ光触媒が望まれている。
【0006】
しかし、従来の多くの半導体光触媒はエネルギーの高い紫外光を照射したときには水素を生成できるが、可視光応答性の半導体光触媒による水素製造の検討例は非常に限られており、かつ活性も低かった。太陽光を利用するためには可視光の有効利用が可能な新規な光触媒の開発が必要不可欠である。
【0007】
また近年、光触媒を使って有害化学物質を分解し、無害化しようとする試みが広く検討され始めている。水中や大気中の農薬や悪臭物質などの有機物の分解や触媒を塗布した固体表面のセルフクリーニングなどの態様が考えられているが、現状は、紫外光において活性な二酸化チタンによるところがほとんであり、この場合、可視光線ではほとんど機能しない。すなわち、可視光が利用できる光触媒が開発されれば、一層効率が向上すると期待できる。
【0008】
その時重要なのが伝導帯の準位である。酸化物半導体の価電子帯の正孔は酸化能力が非常に強く、水や多くの有機物といった電子供与体を酸化することができる。その時、同時に生成した伝導帯の電子は空気中の酸素を還元することで消費される。つまり、伝導帯準位が酸素の還元準位より負でなくてはならない。水素を発生できる光触媒は酸素を還元できるポテンシャルを持つ新規な均一系の光触媒で、上記の分野への応用が期待できる。
【0009】
本発明者等は、如上の観点に立って可視光に対しても活性な触媒を開発することは技術的にも、社会的にも大きな意義のあることであるとの確信の下に、鋭意研究した結果、元素周期律表中3b族元素或いは3価の遷移金属元素とバナジウム(V)を含む複合酸化物半導体が、前示目的に対応する光触媒として機能しうることを見いだしたものである。そのうち、特定の結晶構造を有するもの、すなわち、Cmcm空間群に属する結晶構造を有する複合酸化物半導体酸化物或いはその周辺類似化合物の中には、これまでの光触媒と比べて、可視光線を効率よく吸収し、高い触媒活性を示すものがあることを見いだした。そしてこの研究をさらに進めた結果、Cmcm空間群に属す構造を持つ酸化物においては、光励起で生じたホール及びエレクトロンが半導体の微粒子上を比較的容易に移動するため、還元物質及び酸化物質に比較的短時間で辿り着き、ホールとエレクトロンの再結合の確率が減少すること、そのため、反応に関与できるホールとエレクトロンが増え、高い触媒活性が得られるとの知見に至ったものである。
本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、本発明は、太陽光などに含まれる紫外線および可視光線を効率よく吸収する可視光応答型光触媒を提供しようとするものであり、この触媒を使用することによって、有害化学物質や水素含有化合物に光を照射し、該有害物質或いは水素含有化合物を分解し、以て、有害物質の無害化処理方法或いは水素の生成、製造方法を提供しようと云うものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そのための解決手段は、前述したように鋭意研究の結果、前示知見に基づいて導き出されたもので、すなわち、下記(1)〜(18)に記載の事項による構成を特徴とし、これによって達成手段とするものである。
【0012】
第1番目の解決手段は、(1)光触媒材料設計を一般式:InV0 4 で表されるバナジウム(V)含有複合酸化物半導体を使用し、この成分を含んでいることを特徴とするものであり、これによって解決をはかるものである。
【0013】
以下、第2番目から第18番目までの解決手段を順次記載すると以下の通りである。
(2)前記光触媒が可視光応答性を有することを特徴とする(1)に記載する光触媒。
(3)前記一般式(1)で表されるバナジウム(V)含有複合酸化物半導体がCmcm空間群に属する結晶構造を有するものであることを特徴とする(1)または(2)に記載する光触媒。
(4)前記光触媒の含有成分がPt、NiO x (xは0を超え、1以下の値を表す)、RuO 2 から選択される1種又は2種以上の成分からなる助触媒を含んでいることを特徴とする(1)ないし(3)の何れか1項に記載する光触媒。
【0014】
(5)一般式(1):InV0 4 で表されるバナジウム(V)含有複合酸化物半導体を含んでいることを特徴とする水素製造用光触媒。
(6)前記水素製造用光触媒が可視光応答性を有することを特徴とする(5)項に記載する水素製造用光触媒。
(7)前記一般式(1)で表されるバナジウム(V)含有複合酸化物半導体がCmcm空間群に属する結晶構造を持つことを特徴とする(5)または(6)項に記載する水素製 造用光触媒。
(8)Pt、NiO x (xは0を超え、1以下の値を表す)、RuO 2 から選択される1種又は2種以上の成分からなる助触媒を含んでいることを特徴とする(5)ないし(7)の何れか1項に記載する水素製造用光触媒。
【0015】
(9)前記(1)ないし(4)の何れかに記載の光触媒であって、水分解用に用いられることを特徴とする水分解用光触媒。
【0016】
(10)一般式:InV0 4 で表されるバナジウム(V)含有複合酸化物半導体を含んでいることを特徴とする有害化学物質分解用光触媒。
(11)前記光触媒が可視光応答性を有することを特徴とする(10)に記載する有害化学物質分解用光触媒。
(12)前記一般式で表されるバナジウム(V)含有複合酸化物半導体がCmcm空間群に属する結晶構造を持つことを特徴とする(10)または(11)に記載する有害化学物質分解用光触媒。
(13)Pt、NiO x (xは0を超え、1以下の値を表す)、RuO 2 から選択される1種又は2種以上の成分からなる助触媒を含んでいることを特徴とする(10)ないし(12)のいずれか1項に記載する有害化学物質分解用光触媒。
【0017】
(14)前記(5)ないし(8)の何れかに1項に記載する水素製造用光触媒の存在下で、水素含有化合物に紫外線又は可視光を含む光を照射することを特徴とする水素の製造方法。
(15)前記水素含有化合物が水であることを特徴とするの(14)に記載する水素の製造方法。
(16)前記水素含有化合物がアルコールであることを特徴とする(14)に記載する水素の製造方法。
【0018】
(17)前記(9)記載の水分解用光触媒の存在下で、水に紫外線又は可視光を含む光を照射することを特徴とする水の分解方法。
【0019】
(18)前記(10)ないし(13)の何れか1項に記載の有害化学物質分解用光触媒の存在下で、有害化学物質に紫外線または可視光を含む光を照射することを特徴とする有害化学物質を分解する方法。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は、この具体例のみに限られるものではない。
本発明において、光触媒として使用する一般式BVO4で表されるバナジウム(V)含
有複合酸化物半導体は、式中Bは元素周期表中3b元素の3価数をもつAl、Ga、In、Tlからなる群、或いはTi、V、Cr、Mn、Feなど3価の遷移金属から選択される。BとVは等モルの関係にあり、酸素も含めた関係は、1:1:4の関係にある複合酸化物であって、半導体特性を有してなるものである。ただし、化学式の酸素は、形式上4個で表記されるが、実際に調製した結果得られた酸素数は酸素欠陥などがあるので正確に4である必要はない。
【0021】
該一般式で表される複合酸化物は、その基本骨格は、主として、典型的には一般式B3+5+4で表されるCmcm空間群に属す結晶構造を持つ化合物であり、これによってその結晶構造が保たれているが、この結晶構造のみに限られない。
【0022】
本発明の一般式(1)で表される酸化物の内、Cmcm空間群に属する化合物について説明すると、この酸化物は、「BO6]八面体と[VO4]八面体で表されるCmcm空間群に属する化合物である。化合物を構成するBのサイズは、その構成する元素によってサイズは異なることから、「BO6」八面体の大きさは一様ではない。すなわち、同じ結晶構造であっても、[BO6]八面体の大きさが変わる。一方、酸化物の電荷バランスを保つために、酸素−金属−酸素の結合角度も変わる。従来の光触媒のバンドギャップは酸素のp電子準位と金属のd電子準位で作るが、Cmcm空間群に属す化合物は二種類の金属−酸素多面体を持つため、バンドギャップの調整は比較的簡単にできる。その結果、光励起できる波長範囲が広がり、また、光励起で生じたホール及びエレクトロンが速やかに触媒の表面に移動し、ホールとエレクトロンの再結合の確率が減少する。これが本件発明の光触媒が太陽光などに含まれる紫外線および可視光線を効率よく吸収する所以である、と考えられる。
【0023】
本発明の複合酸化物半導体は、通常の固相反応法、すなわち原料となる各金属成分の酸化物を目的組成の比率で混合し、空気中常気圧下で焼成することで合成できる。昇華し易い原料では少し多めに加える必要がある。また、金属アルコキシドや金属塩を原料とした各種ゾルゲル法、錯体重合法など様々な方法も用いられる。
【0024】
本発明の光触媒の形態は、粉末のまま、成形加工、あるいは焼結されて使用されるが、いずれにしても光を有効に利用するために、比表面積の大きいものが望ましいことは言うまでもない。一般に固相反応法で調製した酸化物は粒子が大きく、その比表面積は小さいが、ボールミルなどで粉砕を行うことで粒子径を小さくできる。一般には粒子の大きさは10nm〜200μm、好ましくは50μm以下である。また微粒子を成型して板状として使用することもできる。
【0025】
更に、本発明の光触媒は、Ptなどの白金族元素、Niなどの遷移金属、NiOx、IrO2、RuO2等からなる群から選択される1種又は2種以上の成分からなる助触媒によって修飾、担持することができる。担持方法は含浸法や光電着法などで行うことが出来る。含浸法では、光触媒活性種の塩化物、硝酸塩等の化合物の水溶液を用いて半導体に含浸させた後、100〜200℃で約2〜5時間乾燥して、800℃以下、好ましいのは200〜500℃でかつ還元性雰囲気及び/又は酸化雰囲気下で2〜5時間焼成する。助触媒量は0.01〜10wt%、好ましくは0.1〜5wt%である。
【0026】
また、水の分解反応を行う際に用いる反応溶液は、純水に限らず、通常、水の分解反応によく用いられるように、炭酸塩や炭酸水素塩、ヨウ素塩、臭素塩等の塩類を混合、溶解した水を用いてもよい。
【0027】
上記水溶液に本発明の光触媒を添加する。触媒の添加量は、基本的に入射した光が効率よく吸収できる量を選ぶ。照射面積25cm2に対して0.05〜10g、好ましくは0.2〜3gである。このように光分解用触媒を添加した水溶液に光を照射することによって水が分解し、水素が発生する。例えば、純水に本発明の光触媒を添加して可視光の照射により水を分解し、同時水素を生成させることができる。照射する光の波長は半導体の吸収がある領域の波長の光を含むことが必要である。本発明では太陽光を照射してもよい。
【0028】
本発明の光触媒は、水の分解だけでなく多くの光触媒反応に応用できる。
たとえば有機物の分解の場合、アルコールや農薬、悪臭物質などは一般に電子供与体として働き、正孔によって酸化分解されるとともに、電子によって水素が発生するか、酸素が還元される。反応形態は、有機物を含む水溶液に触媒を懸濁して光照射しても良いし、触媒を基板に固定しても良い。悪臭物質の分解のように気相反応でも良い。
【0029】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。以下の実施例においては、元素周期表中3b元素とV元素を用い、BVO4を合成した。合成は、各成分の酸化物を化学量論比で調合し、固相法により行った。
【0030】
【実施例1】
本触媒系は、1.0molIn23と1.0 molV25を金属当たりの化学量論比で調合した。例えば、10gInVO4を合成の場合は、In23を6.042g、V25を3.958g、それぞれ秤量した(表1)。これをアルミナるつぼに入れて、空気中常圧下で電気炉中で800℃、12時間焼結した。焼成終了後、この焼成物を乳鉢で10μm以下の大きさに粉砕した。XRDとSEM−EDSを用いて触媒の化学組成と結晶構造を調べた。リートベルト構造解析により、この系は斜方晶系に属し、空間群Cmcm、格子定数a=0.5765、b=0.8542、c=0.6592nmであることが判明した。結晶構造の特徴はInO6八面体からなるチェーンがVO4四面体と繋がり、3次元的に広がる構造である。この結晶構造を持つため、電子が比較的移動しやすい。UV−Vis吸収スペクトル測定により、バンドキャップが2.12eV以下と見積もることができ、可視光の応答性を有することがわかった
上記酸化物半導体の1.0wt% NiOx担持はNi(NO32水溶液の含侵、200℃5時間乾燥して、500℃で水素還元、さらに200℃で再酸化によって行った。
0.5gのNiOx/InVO4を純水250mlに懸濁し水の光分解反応をさせた(ここに、xの値は、還元時間に依存し、0を超え、1以下の値で、この範囲で任意で有り得る。以下同一表記においては注釈を省略する。)。閉鎖循環系触媒反応装置を用い、マグネチックスターラーで撹拌しながら外部から可視光を照射した。光源には300Wキセノンランプを用い、反応セルとしてはパイレックスガラス製(コーニング社の登録商標、以下同一表記において注釈は省略する。)のものを用いた。光源からの光は、短波長側の光をカットするカットオフフィルター(波長> 420nm)を透過させてから、試料(光触媒)に照射した。生成した水素の検出及び定量はガスクロマトグラフィーで行った。
その結果、水素が10μmol/hの速度で定常的に発生した。可視光で水を分解して水素を発生することがわかった。
【0031】
【実施例2】
実施例1において、担持金属をNiOxの代わりにRuO2を用いた。InVO4半導体の1.0wt%RuO2担持はRuCl4水溶液の含侵、200℃で5時間乾燥して、500℃で酸化雰囲気下で2時間焼成行った。0.5gのRuO2/InVO4を純水250mlに懸濁し水の光分解反応をさせた。閉鎖循環系触媒反応装置を用い、マグネチックスターラーで攪拌しながら外部から可視光を照射した。光源には300Wキセノンランプを用い、反応セルとしてはパイレックスガラス製のものを用いた。光源からの光は、短波長側の光をカットするカットオフフィルター(波長>420nm)を透過させてから、試料(光触媒)に照射した。生成した水素の検出及び定量はガスクロマトグラフィーで行った。 その結果を表1に示す。この場合も可視光で定常的な水素発生が認められ、水の分解が可視光で進行していることがわかった。
【0032】
【実施例3】
実施例1において、担持金属をNiOxの代わりにPtを用いた。酸化物に対して0.1wt%相当の白金を塩化白金酸水溶液で添加し、光電着により酸化物に担持させた。0.5gのPt/InVO4を純水250mlに懸濁し水の光分解反応を行った。閉鎖循環系触媒反応装置を用い、マグネチックスターラーで撹拌しながら外部から可視光を照射した。光源には300Wキセノンランプを用い、反応セルとしてはパイレックスガラス製のものを用いた。光源からの光は、短波長側の光をカットするカットオフフィルター(波長> 420nm)を透過させてから、試料(光触媒)に照射した。生成した水素の検出及び定量はガスクロマトグラフィーで行った。その結果を表1に示す。
【0033】
【実施例4】
実施例1において、担持金属の無い触媒を用いた。0.5gのInVO4を純水250mlに懸濁し水の光分解反応をさせた。閉鎖循環系触媒反応装置を用い、マグネチックスターラーで攪拌しながら外部から可視光を照射した。光源には
300Wキセノンランプを用い、反応セルとしてはパイレックスガラス製のものを用いた。光源からの光は、短波長側の光をカットするカットオフフィルター(波長> 420nm)を透過させてから、試料(光触媒)に照射した。生成した水素の検出及び定量はガスクロマトグラフィーで行った。その結果を表1に示す。この場合も可視光で定常的な水素発生が認められ、水の分解が可視光で進行していることがわかった。担持金属が有る触媒は担持金属の無い触媒より光触媒の性能が高い。担持金属により光触媒の性能が大きく異なることがわかった。この半導体系は1.0wt%NiOxを担持した光触媒の活性が最も高かった。
【0034】
【実施例5】
有機物の分解が可視光で効率良く進行するかを確認するため、水溶液中のメタノールの分解を行った。触媒はPt(0.1wt%)を担持した上記酸化物半導体を用いた。0.5gの触媒を純水240mlとメタノール10mlの混合液に懸濁し光分解反応をさせた。閉鎖循環系触媒反応装置を用い、マグネチックスターラーで攪拌しながら外部から可視光を照射した。光源には 300Wキセノンランプを用い、反応セルとしてはパイレックスガラス製のものを用いた。光源からの光は、短波長側の光をカットするカットオフフィルター(波長> 420nm)を透過させてから、試料(光触媒)に照射した。生成した水素及び酸素の検出及び定量はガスクロマトグラフィーで行った。その結果、水素が130μmol/h定常的に発生した。酸素は発生しなかった。これは正孔によりメタノールが酸化分解される一方で、電子が水を還元し水素を発生する反応が可視光照射下で進行していることを示している。
【0035】
【比較例1】
実施例1において、InVO4のVをNbに置換したInNbO4およびRuO2/InNbO4の活性を評価したところ、InNbO4はワールフレマイト型の結晶構造をもち、バンドキャップが2.54eVであり、実施例1よりも活性が低かった。
【0036】
【比較例2】
代表的な光触媒であるPt−TiO2では可視光照射のみでは反応は全く進行しなかった。(表1)
以上、実施例、比較例の結果については、それぞれ使用された光触媒成分、担持助触媒の成分とその有無、反応の種類(反応目的)、用いた光源、単位時間あたりの水素ガスの発生量、等の関係が表1に示されている。
【0037】
【表1】
Figure 0003718710
【0038】
【発明の効果】
以上、一般式(1)で表される本発明の光触媒は、八面体と四面体の構造ユニットを持つため、バンドギャップの調整が簡単にできる。その結果、光応答できる波長範囲が可視光まで広がり、太陽エネルギーの大部分を占める可視光を有効利用できる。また、光励起で生じたホール及びエレクトロンが速やかに触媒の表面に移動でき、ホールとエレクトロンの再結合の確率が減少し、光に対して高い触媒活性を示す。本発明によれば、可視光エネルギーを利用して水を分解して水素を生成できる。将来的には人工池に光触媒を敷き詰めれば、無尽蔵の太陽光で効率よく水素が大量に製造できる可能性があり、エネルギー問題の克服につながると言える。また、これらの光触媒を水の分解反応でなく他の化学反応に使用しても一向にかまわない。例えば有機物の分解反応や金属イオンの還元反応に応用することができる。環境浄化などにも大きく寄与できる。以上具体的に、いくつかの典型的使用形態を上げたが、この使用例の場合をとっても、本発明の光触媒は、その果たす役割は、非常に大きいところであるが、光の広い領域に対して活性を有すること如上の通りであり、その特性の故、前示使用例以外にも多様な用途に使われることが期待され、その果たす役割は、非常に大きいと考えられる。

Claims (18)

  1. 一般式(1):InV0 4 で表されるバナジウム(V)含有複合酸化物半導体を含んでいることを特徴とする光触媒。
  2. 前記光触媒が可視光応答性を有することを特徴とする請求項1に記載する光触媒。
  3. 前記一般式(1)で表されるバナジウム(V)含有複合酸化物半導体がCmcm空間群に属する結晶構造を有するものであることを特徴とする請求項1または2項に記載する光触媒。
  4. 前記光触媒の含有成分がPt、NiO x (xは0を超え、1以下の値を表す)、RuO 2 から選択される1種又は2種以上の成分からなる助触媒を含んでいることを特徴とする請求項1ないし3項の何れか1項に記載する光触媒。
  5. 一般式(1):InV0 4 で表されるバナジウム(V)含有複合酸化物半導体を含んでいることを特徴とする水素製造用光触媒。
  6. 前記水素製造用光触媒が可視光応答性を有することを特徴とする請求項5に記載する水素製造用光触媒。
  7. 前記一般式(1)で表されるバナジウム(V)含有複合酸化物半導体がCmcm空間群に属する結晶構造を持つことを特徴とする請求項5または6項に記載の水素製造用光触媒。
  8. Pt、NiO x (xは0を超え、1以下の値を表す)、RuO 2 から選択される1種又は2種以上の成分からなる助触媒を含んでいることを特徴とする請求項5ないし7項の何れか1項に記載の水素製造用光触媒。
  9. 請求項1ないし4項の何れか1項に記載する光触媒であって、水分解用に用いられることを特徴とする水分解用光触媒。
  10. 一般式(1):InV0 4 で表されるバナジウム(V)含有複合酸化物半導体を含んでいることを特徴とする有害化学物質分解用光触媒。
  11. 前記光触媒が可視光応答性を有することを特徴とする請求項10に記載する有害化学物質分解用光触媒。
  12. 前記一般式(1)で表されるバナジウム(V)含有複合酸化物半導体がCmcm空間群に属する結晶構造を持つことを特徴とする請求項10または11項に記載する有害化学物質分解用光触媒。
  13. Pt、NiO x (xは0を超え、1以下の値を表す)、RuO 2 から選択される1種又は2種以上の成分からなる助触媒を含んでいることを特徴とする請求項10ないし12の何れか1項に記載する有害化学物質分解用光触媒。
  14. 請求項5ないし8項の何れか1項に記載する水素製造用光触媒の存在下で、水素含有化合物に紫外線又は可視光を含む光を照射することを特徴とする水素の製造方法。
  15. 前記水素含有化合物が水であることを特徴とする請求項14に記載する水素の製造方法。
  16. 前記水素含有化合物がアルコールであることを特徴とする請求項14に記載する水素の製造方法。
  17. 請求項9に記載する水分解用光触媒の存在下で、水に紫外線又は可視光を含む光を照射することを特徴とする水の分解方法。
  18. 請求項10ないし13の何れか1項に記載する有害化学物質分解用光触媒の存在下で、有害化学物質に紫外線または可視光を含む光を照射することを特徴とする有害化学物質を分解する方法。
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