JP2003249682A - 半導体発光装置 - Google Patents

半導体発光装置

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JP2003249682A JP2002045926A JP2002045926A JP2003249682A JP 2003249682 A JP2003249682 A JP 2003249682A JP 2002045926 A JP2002045926 A JP 2002045926A JP 2002045926 A JP2002045926 A JP 2002045926A JP 2003249682 A JP2003249682 A JP 2003249682A
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light emitting
semiconductor light
substrate
gap substrate
emitting device
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Koichi Nitta
田 康 一 新
Yukio Watanabe
辺 幸 雄 渡
Yasuhiko Akaike
池 康 彦 赤
Hideto Sugawara
原 秀 人 菅
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Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 GaP基板を用い、かつ、基板側を光取り出
し面とした半導体発光装置であって、封止樹脂としての
エポキシ樹脂と、GaP基板と、の剥離が起こりにく
く、経時変化による光取り出し効率の劣化が起こりにく
い装置を提供する。 【解決手段】 半導体発光素子と、エポキシ樹脂と、を
備え、前記半導体発光素子は、互いに向き合う第1およ
び第2の面と、端面と、を有し、光取り出し面となる前
記第1の面および前記端面の全部または一部の表面に、
高さ50nm以上700nm以下の複数の凸部が形成さ
れた第1導電型のGaP基板と、前記GaP基板の前記
第2の面上に形成された活性層を含む発光層を有するも
のとして構成され、前記エポキシ樹脂は、前記半導体発
光素子の前記GaP基板を覆い、前記波長λの光に対し
て透明で、前記GaP基板と、空気と、の間の屈折率を
有するものとして構成されていることを特徴とする半導
体発光装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体発光装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】半導体発光素子は、pn接合に順方向電
流を流すと発光する素子であり、活性層の半導体材料を
変えることで、赤外から紫外までの発光が実現できる。
この半導体発光素子は、小型、長寿命、低電力動作の特
徴を有している。このため、この半導体発光素子は、屋
内外の表示灯、自動車のヘッドライト・ステップラン
プ、道路標識、交通信号等に広く使われている。
【0003】半導体発光素子では、一般に、光取り出し
効率を高くし、輝度を高くすることが重要とされる。こ
のように輝度を高くするための方法として、赤色〜緑色
発光の半導体発光素子では、透明なGaP基板を用い、
基板側を光出射面とする方法が提案されている。このよ
うな発明は、例えば、特開平10−223931に記載
されている。この発明では、透明なGaP基板側を光出
射面とし、電極を光取り出し面と反対側に設けている。
これにより、発光層からの光が電極によって妨げられな
いようにして、輝度を向上させている。
【0004】上記の赤色〜緑色発光の半導体発光素子で
は、活性層の材料として直接遷移型のInGaAlPを
用いることにより、高い輝度が得られている。このIn
GaAlPは、通常、格子整合するn型GaAs基板上
にMOCVD法またはMBE法により形成される。もっ
とも、このn型GaAs基板は不透明である。そこで、
不透明なn型GaAs基板を剥離し、代わりに上記のよ
うな透明なGaP基板を接着して、輝度を高める方法が
提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者の実験によれば、透明なGaP基板を用い、かつ、基
板側を光出射面とした半導体発光装置には、経時変化に
よる光取り出し効率の劣化が起こりやすいという問題が
あることが分かった。
【0006】すなわち、一般的に、半導体発光装置で
は、光取り出し効率を上げるために、半導体発光素子
を、当該素子を構成する半導体と、空気と、の間の屈折
率を有する樹脂で覆う。例えば、AlGaAsを用いた
半導体発光素子では、AlGaAsの屈折率が約3.
5、空気の屈折率が約1であり、両者に大きな屈折率差
があるので、AlGaAsを屈折率約2の封止樹脂で覆
う。このような封止樹脂でAlGaAsを覆うと、Al
GaAsと、封止樹脂と、空気と、で順に屈折率が下が
るので、空気との界面での反射が減り、光取り出し効率
が上昇する。一般的に、封止樹脂としては、エポキシ樹
脂が広く用いられている。エポキシ樹脂は、熱硬化性樹
脂の1つであり、エポキシ化合物、硬化剤、充填剤の選
び方によりさまざまな性質の材料が得られる。また、硬
化収縮が小さいので寸法制御が良い。さらに、エポキシ
樹脂は、一般的に、接着性・密着性も高い。このため、
エポキシ樹脂は、半導体発光素子の封止樹脂として広く
用いられている。ところが、本発明者の実験によれば、
GaP基板を用い、かつ、基板側を光出射面とした素子
では、封止樹脂としてのエポキシ樹脂が、GaP基板か
ら剥離しやすいことが分かった。この結果、経時変化に
よる光取り出し効率の劣化が起こりやすくなることが分
かった。特に、大きい駆動電流で使用する場合、点灯・
消灯の回数が多い場合、高温の環境で使用する場合、に
は経時変化による光取り出し効率の劣化が起こりやすか
った。
【0007】上記のような樹脂剥離による光取り出し効
率の劣化を防止する方法としては、エポキシ樹脂に代え
て、耐熱性や耐湿性に優れたシリコーン樹脂を用いるこ
とも考えられる。しかし、本発明者は、汎用されている
エポキシ樹脂を用いながら樹脂剥離を防止できる方法を
得るべく、さまざまな実験を繰り返した。
【0008】本発明は、かかる独自の課題の認識に基づ
くものであり、その目的は、GaP基板を用い、かつ、
基板側を光取り出し面とした半導体発光装置において、
封止樹脂としてのエポキシ樹脂と、GaP基板と、の剥
離が起こりにくく、経時変化による光取り出し効率の劣
化が起こりにくい装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体発光装置
は、半導体発光素子と、エポキシ樹脂と、を備え、前記
半導体発光素子は、互いに向き合う第1および第2の面
と、端面と、を有し、光取り出し面となる前記第1の面
および前記端面の全部または一部の表面に、高さ50n
m以上700nm以下の複数の凸部が形成された第1導
電型のGaP基板と、前記GaP基板の前記第2の面上
に形成された第1導電型半導体層と、前記第1導電型半
導体層上に形成され、電流注入によって前記基板を透過
する波長λの光を放射する活性層と、前記活性層上に形
成された第2導電型半導体層と、を有するものとして構
成され、前記エポキシ樹脂は、前記半導体発光素子の前
記GaP基板を覆い、前記波長λの光に対して透明で、
前記GaP基板と、空気と、の間の屈折率を有するもの
として構成されていることを特徴とする。
【0010】また、本発明の半導体発光装置は、半導体
発光素子と、エポキシ樹脂と、を備え、前記半導体発光
素子は、互いに向き合う第1および第2の面と、端面
と、を有し、光取り出し面となる前記第1の面の面積が
前記第2の面の面積よりも小さく、前記端面に高さ50
nm以上700nm以下の複数の凸部が形成された第1
導電型のGaP基板と、前記GaP基板の前記第2の面
上に形成された第1導電型半導体層と、前記第1導電型
半導体層上に形成され、電流注入によって前記GaP基
板を透過する波長λの光を放射する活性層と、前記活性
層上に形成された第2導電型半導体層と、を有するもの
として構成され、前記エポキシ樹脂は、前記半導体発光
素子の前記GaP基板を覆い、前記波長λの光に対して
透明で、前記GaP基板と、空気と、の間の屈折率を有
するものとして構成されていることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照にしつつ、本
発明の実施の形態について説明する。本実施形態の特徴
の1つは、透明なGaP基板を用い基板側を光取り出し
面とする半導体発光装置において、GaP基板に複数の
微小な凸部を設けた点である。これにより、封止樹脂と
してのエポキシ樹脂の剥離を防止して、経時変化による
光取り出し効率の劣化を抑えることができる。以下、第
1の実施の形態では、図3のように、電極16、17を
基板10の同じ側に設けた装置について説明し、第2の
実施の形態では、図9のように、電極56、57を基板
50の両側に設けた素子について説明する。
【0012】(第1の実施の形態)図1は、本発明の実
施の形態の半導体発光素子を示す断面模式図である。透
明なp型(第1導電型)のGaP基板10の(100)
面上には、Inx1Ga Al1−x1−y1Pから
なるp型接着層11、Inx2Gay2Al1−x
2−y2Pからなるp型クラッド層12、Inx3Ga
y3Al1−x3−y3Pからなる活性層13、In
x4Gay4Al1−x4−y4Pからなるn型(第2
導電型)クラッド層14、Inx5Gay5Al
1−x5−y5Pからなるn型コンタクト層15、が順
次形成されている。この構造は、まず図示しない不透明
なn型GaAs基板上に積層体15〜11が結晶成長さ
れ、次に透明なp型GaP基板10がp型接着層11上
に接着され、その後不透明なGaAs基板が剥離され
て、形成される。ここで、0≦xa≦1、0≦ya≦
1、0≦xa+ya≦1、a=1〜5、である。積層体
11〜15までの一部はエッチング除去され、エッチン
グ除去された部分に、AuZnからなるp側電極16が
形成されている。他方、n型コンタクト層15上の全面
には、AuGeからなるn型電極17が形成されてい
る。
【0013】図1の半導体発光素子では、電流注入によ
り、活性層13から波長λの光が放射される。図1の装
置ではこの波長λを640nmとし、赤色発光の半導体
発光装置とした。活性層13からの発光は、この発光に
対して透明なGaP基板10側の図中上側の面から取り
出さる。また、GaP基板10の端面からも取り出され
る。つまり、GaP基板10の図中上側の面、および図
中端面が光取り出し面となる。この光取り出し面には、
複数の凸部が形成されている。なお、図1の素子の大き
さは、GaP基板10の厚さが数百μm、GaP基板1
0の凸部の大きさが約100nm、積層体11〜15の
厚さが数μm、であるが説明をしやすくするため倍率を
変えて示している。
【0014】図2は、上記の基板10の表面部分Aを拡
大して示した図である。上記のように基板10の表面に
は、複数の凸部18が形成されている。図2の素子で
は、この凸部の1つの大きさは、高さ約100nm、幅
約50nmとしている。
【0015】図3は、図1の半導体発光素子1を用いた
半導体発光装置である。リードフレーム3の内側は反射
板となっており、この反射板内に、半導体発光素子1が
設置されている。半導体発光素子1のp側電極16は、
p側リード4と電気的に接続されている。また、n側電
極17は、n側リード5と電気的に接続されている。そ
して、半導体発光素子1は、エポキシ樹脂2で覆われて
いる。
【0016】図3の装置では、p側リード4と、n側リ
ード5と、から電流が注入され、活性層13から光が放
射される。そして、この活性層13からの光は、GaP
基板10、エポキシ樹脂2、を介して図中上側から出力
光Lとして取り出される。ここで、半導体発光素子1の
n型GaP基板10の屈折率は約3.5であり、半導体
発光装置の外側の空気の屈折率は1.0である。また、
エポキシ樹脂の屈折率は、このGaP基板10と空気と
の間の値である。このため、図2の装置では、GaP基
板10、エポキシ樹脂2、空気、の順に屈折率が低くな
っており、光取り出し効率、および輝度が高くなる。
【0017】以上説明した図3の半導体発光装置の特徴
の1つは、上記のように、半導体発光素子1のGaP基
板10の光取り出し面に、高さ約100nm、幅約50
nmの複数の凸部を形成した点である。これより、図3
の装置では、経時変化による光取り出し効率の劣化を抑
えることができる。特に、図3の装置では、使用する駆
動電流が大きい場合、点灯・消灯の回数が多い場合、高
温の環境で使用する場合、などでも光取り出し効率の劣
化が少ない。本発明者の実験によれば、この理由は、以
下のように解析される。
【0018】まず、GaP基板10に凸部を形成するこ
とで、GaP基板10と、エポキシ樹脂2と、の密着性
を強化できるためだと解析される。このように密着性が
高くなると、GaP基板10とエポキシ樹脂2との剥離
が起こりにくくなり、光取り出し効率の劣化が起こりに
くくなる。
【0019】これに対し、凸部を設けない従来のGaP
基板は、エポキシ樹脂2との密着性が悪く、エポキシ樹
脂2の剥離が生じてしまった。このようにエポキシ樹脂
2が剥離すると、半導体発光素子1と、樹脂2と、の間
に隙間が生じてしまった。この隙間が生じると、隙間の
部分の屈折率は約1となり、この隙間の屈折率と、Ga
P基板10の屈折率と、の差が大きくなってしまう。こ
の結果、活性層13からの光が基板10と隙間と界面で
反射され、光取り出し効率が低下してしまった。
【0020】次に、GaP基板10に凸部を形成するこ
とで、GaP基板10の表面積が増加し、GaP基板1
0が放熱しやすくなるからであると解析される。このよ
うに、GaP基板10が放熱しやすくなると、点灯時で
も、GaP基板10の表面の温度が高くなりすぎない。
このため、GaP基板10との界面のエポキシ樹脂2の
変質が起こりにくくなり、エポキシ樹脂2の剥離が生じ
にくくなる。これにより、光取り出し効率の劣化が起こ
りにくくなる。本発明者の実験によれば、図3の半導体
発光素子1では、GaP基板10に凸部を設けない従来
の構造に比べ、1/3の熱抵抗になっていることが分か
った。
【0021】これに対し、凸部を設けない従来のGaP
基板10では、点灯時における表面の温度が高くなり、
GaP基板10との界面のエポキシ樹脂2が劣化し、エ
ポキシ樹脂2の剥離が起こって、光取り出し効率が劣化
してしまった。
【0022】次に、GaP基板10に凸部を形成してG
aP基板10が放熱しやすくなったことにより、点灯時
と、消灯時と、のGaP基板10の表面の温度差が小さ
くなったからであると解析される。これによりGaP基
板10との界面のエポキシ樹脂2の劣化が起こりにくく
なり、エポキシ樹脂2の剥離が起こりにくくなって、最
終的に光取り出し効率の劣化が起こりにくくなる。
【0023】このように、図3の装置では、エポキシ樹
脂2の剥離を防止し、光取り出し効率の劣化を抑えるこ
とができる。なお、具体的な樹脂剥離発生率については
後述する。
【0024】また、図3の半導体発光装置では、半導体
発光素子1の活性層13に直接遷移型の半導体であるI
nGaAlPを用いたので、輝度を高くすることができ
る。
【0025】また、図3の半導体発光装置では、半導体
発光素子1に透明なGaP基板10を用い、このGaP
基板10側を光射面とし、電極16、17を光出射面と
反対側に設けたので、活性層13からの光を電極16、
17が遮らないようにして、光取り出し効率を高くする
ことができる。
【0026】また、図3の半導体発光装置では、半導体
発光素子(図1)のGaP基板10が厚膜(数百μm)
のp型半導体なので、p側電極の形成のマージンが広
く、歩留まりを高くすることができる。これに対し、G
aP基板10を例えば透明なガラスに代えた場合は、薄
膜(数μm)のp型半導体層12、11にp側電極16
を形成しなければならず、p側電極16の形成のマージ
ンが狭くなり、歩留まりが低下してしまう。
【0027】また、図3の半導体発光装置では、GaP
基板10に凸部を設けたので、さらに光取り出し効率を
高くすることができる。すなわち、凸部に入射した光
は、光の波長より小さな形状を実効的な屈折率の違いと
感じる特性があり、凸部に入射した光は界面で反射され
ることが無く取り出すことが出来る。さらに凸部を形成
することで光取り出し面の表面積が増加するため、実効
的にチップサイズを大きくした事に相当し、光取り出し
効率を改善できる。なお、具体的な光取り出し効率は後
述する。
【0028】次に、図3の半導体発光装置におけるGa
P基板10の凸部の大きさについて検討する。すなわ
ち、図3の半導体発光装置では、GaP基板10の凸部
の大きさを、高さ約100nm、幅約50μmとした
が、これを他の大きさとすることも可能であるので、こ
の大きさについて検討する。
【0029】まず、エポキシ樹脂2の密着性の観点か
ら、凸部の大きさを検討する。図4(a)は、GaP基
板10の凸部の大きさと、エポキシ樹脂2の樹脂剥離発
生率と、の関係を示す図である。樹脂剥離発生率は、通
電条件を30mAに保ちながら−30℃〜80℃の温度
サイクルを100ステップ行うという条件で、エポキシ
樹脂2の剥離が発生した割合を示す。図4(a)から、
凸部の高さが数nm以下で実質的に凸部がない場合に
は、上記の条件では、90%以上のエポキシ樹脂2が剥
離することが分かる。その後、凸部の高さを10nm程
度より大きくすると樹脂剥離発生率が徐々に低下し、凸
部の高さを50nm以上にすると、上記の条件でも樹脂
剥離発生率が10%程度以下になる。さらに、凸部の高
さを60nm以上にすると、樹脂剥離発生率はほぼ0%
になる。これは、前述のように、エポキシ樹脂2とGa
P基板10との密着性が高くなること、および、GaP
基板10の表面の放熱性が向上すること、によると考え
られる。しかし、凸部の高さを600nmよりも大きく
すると樹脂剥離発生率が徐々に増加し、700nmより
も高くすると樹脂剥離発生率が10%程度以上になり、
1000nmよりも大きくすると凸部を設けない場合と
同程度まで上昇してしまう。これは、凸部を大きくしす
ぎると、前述の効果が得られなくなるからであると考え
られる。以上のように、GaP基板10と、エポキシ樹
脂2と、の樹脂剥離を防止するためには、凸部の高さ
を、10nm以上1000nm以下好ましくは50nm
以上700nm以下、さらに好ましくは60nm以上6
00nm以下にすると良い。また、凸部の幅は、高さと
同程度以下、好ましくは高さの1/2程度にすると、良
好な密着性が得られた。
【0030】次に、光取り出し効率の観点から、凸部の
高さを検討する。図4(b)は、GaP基板10の凸部
の大きさと、光取り出し効率と、の関係を示す図であ
る。光取り出し効率は、活性層13からの光の波長λに
も依存するため、凸部の大きさは、この波長λを用いて
表している。ここで、波長λは、活性層13の組成を変
化させ、560nm〜660nmの範囲で変化させるこ
とができる。図4(b)から、図3の装置では、凸部の
高さを0.07λ以上1.3λ以下、好ましくは0.1
λ以上λ以下にすると、光取り出し効率が高くなること
が分かる。ここで、上述した50nm以上700nm以
下の範囲は、0.07λ以上1.3λ以下の範囲に入っ
ている。従って、活性層13をInGaAlPとした本
実施形態の装置では、凸部を50nm以上700nmに
すると、光取り出し効率を高くする効果も得られること
が分かる。
【0031】以上説明した図4(a)、図4(b)か
ら、エポキシ樹脂2の密着性の観点と、光取り出し効率
の観点と、を総合して、GaP基板10の凸部の高さを
50nm以上700nm以下にする良いことが分かる。
【0032】以上説明した半導体発光装置では、半導体
発光素子の基板の面方位を(100)面としたが、凸部
18を形成しやすくするために、これを他の面方位とす
ることも可能である。また、エポキシ樹脂2とGaP基
板10との密着性をさらに向上させるためにGaP基板
10の形状を変えることも可能である。また、活性層1
3からの発光を均一にするために電極16、17を複数
設けたりすることも可能である。以下、いくつかの変形
例について具体的に説明する。
【0033】(変形例1)変形例1の半導体発光素子
が、第1の実施の形態(図1)と異なる点は、GaP基
板10の面方位を変化させ、オフ基板を用いた点であ
る。
【0034】第1の実施の形態(図1)のGaP基板1
0の図中下側の面は、前述のように、(100)面とな
っている。この場合、端面は、(011)面となり、こ
れは劈開面となる。このように端面が劈開面になるよう
にすると、素子分離が容易になる。図1の素子では、こ
の素子分離の後、端面に複数の凸部を形成する。つま
り、図1の素子は、素子分離の容易さを重視した構造で
ある。
【0035】これに対し、変形例1の半導体発光素子で
は、GaP基板10の基板面を、(100)面から[0
11]方向に15°傾斜した面としている。このような
GaP基板は、オフ基板と呼ばれる。このようなオフ基
板を用いると、端面の少なくとも1つは、(011)面
から15°傾斜した面となる。本発明者の実験によれ
ば、GaP基板10では、このように(011)面から
15°傾斜した面には、カットした際に複数の凸部が形
成されることが分かった。そして、この凸部の高さの大
部分は、約100nm程度になった。つまり、(10
0)面から[011]方向に15°傾斜したGaP基板
10を用いることで、図1の凸部を容易に形成できるこ
とが分かった。
【0036】また、本発明者は、さらに基板の傾斜方向
を変化させて実験したとこと、(011)面から10°
以上20°以下傾斜した面では、カットした際に高さ約
50nm以上700nm以下の複数の凸部ができた。以
上のことから、(100)面から[011]方向に10
°以上20°以下傾斜したGaP基板10を用いること
により、GaP基板10の端面の少なくとも1つの面を
(011)面から10°以上20以下傾斜した面とし、
この面の表面に高さ50nm以上700nm以下の複数
の凸部を容易に形成できることが分かる。
【0037】(変形例2)変形例2の半導体発光素子が
第1の実施の形態(図1)と異なる点は、図5から分か
るように、基板30に密着強化領域30aを設けた点で
ある。他の主な構成は、第1の実施の形態(図1)と同
様である。このように密着強化領域30aを設けると、
エポキシ樹脂2(図3)の密着強度をさらに増加させる
ことができる。
【0038】図6は、上記密着強化領域30aの水平方
向に対する角度と、素子の密着強度と、の関係を示す図
である。縦軸のダイシェア強度は、図5の素子を図3の
ように接着剤でマウント後、素子に側面から力を加えた
場合の、エポキシ樹脂2が剥離しない限界の力を示す。
密着強化領域30aを設けない場合、つまり角度が0°
または90°の場合、ダイシェア強度は250gであ
る。角度が約45°のとき、エポキシ樹脂2の密着強度
は最大になり、ダイシェア強度が、約500gとなる。
つまり、角度45°の密着強化領域30aを設けること
で、密着強化領域30aを設けない場合と比較して、エ
ポキシ樹脂2の接着強度が約2倍となる。このように、
密着強化領域30aを設けると、エポキシ樹脂2(図
3)の密着強度をさらに増加させることができる。
【0039】(変形例3)変形例3の半導体発光素子が
第1の実施の形態(図1)と異なる点は、図7から分か
るように、p側電極46a、46b、n側電極47a、
47b、をそれぞれ2個設けた点にある。一般に、p側
電極46a、46b、n側電極47a、47b、を基板
40の同じ側に設けると、活性層43に電流を均一に注
入することがやや難しくなり、活性層43の発光の均一
性を高くすることがやや難しくなる。しかし、図7のよ
うに、n側電極46a、47b、p側電極47a、47
bを複数設けることで、活性層43の発光の均一性を高
くすることができる。
【0040】(第2の実施の形態)第2の実施の形態の
半導体発光素子は、図8から分かるように、電極56、
57をGaP基板50の両側に設けた素子である。この
素子では、生産性の高さ、製造コストの低さ、および歩
留まりの高さ、を重視している。
【0041】図8は、本発明の第2の実施の形態の半導
体発光素子を示す断面模式図である。透明なp型(第1
導電型)のGaP基板50の上には、Ins1Gat1
Al 1−s1−t1Pからなるp型接着層51、In
s2Gat2Al1−s2−t Pからなるp型クラッ
ド層52、Ins3Gat3Al1−s3−t3Pから
なる活性層53、Ins4Gat4Al1−s4−t4
Pからなるn型(第2導電型)クラッド層54、In
s5Gat5Al1−s5−t5Pからなるn型コンタ
クト層55、が順次形成されている。ここで、0≦sq
≦1、0≦tq≦1、0≦sq+tq≦1、q=1〜
5、である。GaP基板50上には、AuZnからなる
p側電極57が形成されている。また、n型コンタクト
層55上の全面には、AuGeからなるn側電極56が
形成されている。
【0042】図8の半導体発光素子では、電流注入によ
り、活性層53から波長λの光が放射される。図1の装
置ではこのλを570nmとし、緑色発光の半導体発光
装置とした。活性層53からの発光は、この発光に対し
て透明なGaP基板50の図中上側の面から取り出され
る。また、GaP基板50の端面からも取り出される。
つまり、GaP基板50の図中上側の面、および図中端
面が光取り出し面となる。このGaP基板50の端面に
は複数の凸部が形成されている。凸部の大きさは、第1
の実施の形態(図2)と同様とした。なお、図8の素子
の大きさは、GaP基板50の厚さが約200μm、G
aP基板10の図中下側の面の幅が約500μm、図中
上側の面の幅が約250μm、GaP基板50の凸部の
高さが約100nm、積層体51〜55の厚さが数μ
m、であるが説明をしやすくするため倍率を変えて示し
ている。
【0043】図8の半導体発光素子では、p側電極57
を光取り出し面の側に形成している。
【0044】このp側電極は、大きすぎると、光取り出
し効率が下がり、小さすぎると、ボンディングワイヤの
ボンディングが難しくなる。このため、図9の素子で
は、p側電極57の直径は100μmとしている。
【0045】図9は、図8の半導体発光素子1を用いた
半導体発光装置である。この装置の基本的な構造は、半
導体発光素子1を替えた点以外は第1の実施の形態(図
3)とほぼ同様であり、第1の実施の形態に対応する部
分は同じ番号で示している。リードフレーム3の内側は
反射板となっており、この反射板内に、半導体発光素子
1が設置されている。半導体発光素子1のp側電極57
は、ボンディングワイヤー6によってp側リード4と電
気的に接続されている。また、n側電極56は、n側リ
ード5と電気的に接続されている。そして、半導体発光
素子1は、エポキシ樹脂2で覆われている。
【0046】図9の半導体発光装置では、基板50の端
部に複数の凸部を設けたので、第1の実施の形態(図
3)の装置と同様に、エポキシ樹脂2の剥離を防止し、
経時変化による光取り出し効率の劣化を少なくすること
ができる。
【0047】また、図9の半導体発光装置では、半導体
発光素子1の底面が上面に比べて広い構造であるため、
素子1をリード5上にアセンブリするときにチップが傾
きずらく、マウントが極めて容易である。このため、生
産性や歩留まりを高くすることができる。
【0048】また、図9の半導体発光装置に用いられる
半導体発光素子1は、1回の製造工程で1枚の基板から
多数製造できる。このため、図9の半導体発光装置は、
生産性が高く、製造コストが安い。以下、図10
(a)、図10(b)を用いて、このことを説明する。
図10(a)は、本実施形態の半導体発光素子1の製造
方法を模式的に示す図でありる。これに対し、図10
(b)は、比較例の半導体発光素子の製造方法を模式的
に示す図である。それぞれの図では、斜線部分が素子と
なる部分を示している。図10(a)、図10(b)か
ら分かるように、基板Sに形成された半導体発光素子
を、図中上側の面からダイシングにより分離する場合、
ダイシング装置の強度の関係で、隣接する素子の間に一
定の間隔dを設ける必要がある。比較例の図10(b)
の立方体形状の素子の場合、この間隔dの全部をダイシ
ングしているので、素子が得られない部分が多くなる。
これに対し、本実施形態の図10(a)の素子では、ハ
ーフダイシングを行うことで、素子が効率的に得られ
る。つまり、1回の製造工程で1枚の基板から多数製造
できる。このため、図9の半導体発光装置は、生産性が
高く、製造コストが安くなる。
【0049】また、図9の半導体発光装置では、GaP
基板50の端部に複数の凸部を設けたので、前述の反射
率の低下と表面積拡大により、端部から有効に光を取り
出すことができる。このため、GaP基板50の上面の
面積が小さく、GaP基板50の上面にp側電極57が
あるにもかかわらず、光取り出し効率が低下しない。こ
れに対し、GaP基板50の端部に凸部を設けないと、
GaP基板50の端部から光をほとんど取り出すことが
できず、光取り出し効率が低下してしまう。
【0050】このように、図9の半導体発光装置は、G
aP基板50側を光取り出し面とし、GaP基板50の
端部に複数の凸部を設け、GaP基板の図中下側の面を
図中上側の面よりも大きくしたので、生産性を高くし、
コストを安くし、歩留まりを高くすることができる。ま
た、図10の半導体発光装置では、基板50の端部に複
数の凸部を設けたので、エポキシ樹脂3の剥離による光
取り出し効率の低下を防ぐことができる。また、端面か
らの光取り出し効率を高くすることもできる。
【0051】(変形例)変形例の半導体発光素子は、図
11から分かるように、オフ基板60を用い、端面を傾
斜させている。この素子では、端面における凸部の形成
が容易になる。
【0052】図11は、本発明の第2の実施の形態の変
形例を示す図である。n型GaP基板60の図中下側の
面、すなわち基板面は、(100)面から[011]方
向に15°傾斜している。積層体51〜55の端面は垂
直方向から15°傾斜しており、この端面は劈開面とな
る。図11の素子では、GaP基板60の 図中左側の
端面が、この劈開面から15°傾斜するようにされてい
る。このようにすると、前述のように、基板面を形成し
た際に、高さ約100nmの複数の凸部が形成される。
この結果、図中左側の端面における凸部の形成が容易に
なる。このように、変形例の素子は、凸部の形成の容易
さを重視した構造である。本発明者の実験によれば、第
1の実施の形態と同様に、GaP基板60の端面が劈開
面から傾斜する角度を10°〜20°とすると、望まし
い凸部が形成できた。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、GaP基板を用い、か
つ、基板側を光取り出し面とした半導体発光装置におい
て、GaP基板に高さ50nm以上700nm以下の複
数の凹凸を設けたので、封止樹脂としてのエポキシ樹脂
の剥離を防止し、経時変化による光取り出し効率の劣化
を少なくすることができる。また、光取り出し効率を高
くすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態の半導体発
光素子の断面模式図。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態の半導体発
光素子の基板10表面の拡大図。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態の半導体発
光装置の断面模式図。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態の半導体発
光装置の特性を示す図で、図4(a)は、GaP基板1
0の凸部18の高さと、樹脂剥離発生率と、の関係を示
す図で、図4(b)は、GaP基板10の凸部18の高
さと、光取り出し効率と、の関係を示す図。
【図5】図5は、本発明の第1の実施の形態の変形例2
の半導体発光素子の断面模式図。
【図6】図6は、本発明の第1の実施の形態の変形例2
の半導体発光素子の、密着強化領域30aの水平方向に
対する角度と、ダイシェア強度と、の関係を示す図。
【図7】図7は、本発明の第1の実施の形態の変形例3
の半導体発光素子の断面模式図。
【図8】図8は、本発明の第2の実施の形態の半導体発
光素子の断面模式図。
【図9】図9は、本発明の第2の実施の形態の半導体発
光装置の断面模式図。
【図10】図10は、本発明の第2の実施の形態の半導
体発光素子の製造方法を示す図。
【図11】図11は、本発明の第2の実施の形態の変形
例の半導体発光素子の断面模式図。
【符号の説明】
10、30、40、50、60 p型のGaP基板 11、31、41、51、61 p型接着層(p型半導
体層) 12、32、42、52、62 p型クラッド層(p型
半導体層) 13、33、43、53、63 InGaAlP活性層 14、34、44、54、64 n型クラッド層(n型
半導体層) 15、35、45、55、65 n型コンタクト層(n
型半導体層) 1 半導体発光素子 2 エポキシ樹脂
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡 辺 幸 雄 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝マイクロエレクトロニクスセン ター内 (72)発明者 赤 池 康 彦 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝マイクロエレクトロニクスセン ター内 (72)発明者 菅 原 秀 人 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝マイクロエレクトロニクスセン ター内 Fターム(参考) 5F041 AA04 AA33 AA43 AA44 CA04 CA13 CA23 CA34 CA37 CA76 DA04 DA09 DA18 DA44 DB03 FF01 FF11

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体発光素子と、エポキシ樹脂と、を備
    え、 前記半導体発光素子は、 互いに向き合う第1および第2の面と、端面と、を有
    し、光取り出し面となる前記第1の面および前記端面の
    全部または一部の表面に、高さ50nm以上700nm
    以下の複数の凸部が形成された第1導電型のGaP基板
    と、 前記GaP基板の前記第2の面上に形成された第1導電
    型半導体層と、 前記第1導電型半導体層上に形成され、電流注入によっ
    て前記基板を透過する波長λの光を放射する活性層と、 前記活性層上に形成された第2導電型半導体層と、を有
    するものとして構成され、 前記エポキシ樹脂は、 前記半導体発光素子の前記GaP基板を覆い、前記波長
    λの光に対して透明で、前記GaP基板と、空気と、の
    間の屈折率を有するものとして構成されていることを特
    徴とする半導体発光装置。
  2. 【請求項2】半導体発光素子と、エポキシ樹脂と、を備
    え、 前記半導体発光素子は、 互いに向き合う第1および第2の面と、端面と、を有
    し、光取り出し面となる前記第1の面の面積が前記第2
    の面の面積よりも小さく、前記端面に高さ50nm以上
    700nm以下の複数の凸部が形成された第1導電型の
    GaP基板と、 前記GaP基板の前記第2の面上に形成された第1導電
    型半導体層と、 前記第1導電型半導体層上に形成され、電流注入によっ
    て前記GaP基板を透過する波長λの光を放射する活性
    層と、 前記活性層上に形成された第2導電型半導体層と、を有
    するものとして構成され、 前記エポキシ樹脂は、 前記半導体発光素子の前記GaP基板を覆い、前記波長
    λの光に対して透明で、前記GaP基板と、空気と、の
    間の屈折率を有するものとして構成されていることを特
    徴とする半導体発光装置。
  3. 【請求項3】前記活性層がInGaAlPからなること
    を特徴とする請求項1または請求項2記載の半導体発光
    装置。
  4. 【請求項4】前記基板が、(100)面から[011]
    方向に10°以上20°以下傾斜した基板であり、前記
    基板の前記端面の少なくとも1つの面が、劈開面となる
    (011)面から10°以上20°以下傾斜した面であ
    り、前記端面の表面に前記凸部が形成されていることを
    特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の半
    導体発光装置。
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