JP2003248304A - 感光性転写材料、及び、像形成方法 - Google Patents

感光性転写材料、及び、像形成方法

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JP2003248304A
JP2003248304A JP2002048535A JP2002048535A JP2003248304A JP 2003248304 A JP2003248304 A JP 2003248304A JP 2002048535 A JP2002048535 A JP 2002048535A JP 2002048535 A JP2002048535 A JP 2002048535A JP 2003248304 A JP2003248304 A JP 2003248304A
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photosensitive transfer
resin layer
photosensitive
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JP2002048535A
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Hidetomo Takahashi
秀知 高橋
Akira Hatakeyama
晶 畠山
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性に起因する転写性、定着性、及び、
オフセット性等に優れ、良質の像を形成可能な感光性転
写材料等の提供。 【解決手段】 支持体上に、少なくとも、分子間相互作
用により擬似的に架橋された擬似架橋型樹脂を有するこ
とを特徴とする感光性転写材料である。擬似架橋型樹脂
が、高分子化合物と低分子化合物との分子間相互作用に
より擬似的に架橋された擬似架橋型樹脂、及び、2種以
上の高分子化合物同士の分子間相互作用により擬似的に
架橋された擬似架橋型樹脂、の少なくともいずれかであ
る態様等が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分子間相互作用に
より擬似的に架橋された擬似架橋型樹脂を含む感光性転
写材料、及び、それを用いた像形成方法に関し、更に詳
しくは、プリント配線基板、凹版、凸版、平板等の印刷
版、ネームプレート、多色試し刷り見本等の校正材料、
オフセット印刷版、スクリーン印刷ステンシル、液晶表
示体等に有用なカラーフィルター等の作製に好適な感光
性転写材料及びそれを用いた像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】感光性転写材料は、支持体上に、少なく
とも感光性樹脂層を有し、基体(金属、ガラス、紙、プ
ラスチックフィルム等)上に像を形成する目的で用いら
れる。該感光性転写材料は、従来より、感光性材料を用
いる分野で広く用いられており、特公昭56−4082
4号公報等に記載されている。該感光性転写材料は、例
えば、プリント配線基板、凹版、凸版、平板等の印刷
版、ネームプレート、多色試し刷り見本等の校正材料、
オフセット印刷版、スクリーン印刷ステンシル、液晶表
示体等に有用なカラーフィルター等の作製に用いられて
いる。
【0003】更に、前記感光性樹脂層以外の層を有する
感光性転写材料も多く知られている。例えば、支持体
(仮支持体)、分離層、及び、感光性樹脂層(光重合性
層)からなり、基体と感光性樹脂層(光重合性層)とを
張り合わせ、その後、仮支持体のみを引き剥がし、分離
層を通して露光、現像し基体上に像を形成する感光性転
写材料等である。該感光性転写材料の場合、分離層は酸
素遮断の役割を果たし、空気中の露光に対して有利に働
き、又その厚みも0.5μmから5μm程度と非常に薄
いため、解像力の面でも問題はない。
【0004】しかし、転写される基体上に、ある程度の
凹凸が存在する場合には、その上に非常に薄い光重合性
層を転写する際に、光重合性層と基体との間に気泡等が
閉じ込められてしまい、転写不良を起こすという問題が
あった。例えば、カラーフィルターを作製する際、多色
画像を形成する場合に、第一色目の画素の上に第二色目
の光重合性層(感光性樹脂層)を転写する場合等が該当
する。また、プリント基板を作製する際、銅張り積層板
の銅表面が整面により生ずる微小な傷や打痕等を有する
ときに、ドライフィルムレジスト層を転写する場合等が
該当する。
【0005】一般に、前記感光性転写材料には、画像の
転写性、定着性、オフセット性等の改良を目的に、例え
ば「プラスチック便覧」(日本プラスチック工業連盟、
全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会発
行、1968年10月25日発行)等に記載の熱可塑性
樹脂等が用いられている。
【0006】しかしながら、これらの熱可塑性樹脂は、
充分な熱可塑性であるとは言い難く問題があった。例え
ば、特公昭56−40824号公報、特開昭63−30
9946号公報、及び、特願平3−153227号公報
に記載の技術においては、転写される基体上に凹凸が存
在すると、転写層と基体との間に気泡等が閉じ込めら
れ、転写不良を起こしたり、高速での転写が困難である
等の問題があった。
【0007】熱可塑性樹脂の重量平均分子量を小さくす
ることにより、加熱時により急激に軟化させることは可
能であるものの、転写材料としての利用を考えると、製
膜性が悪かったり、ガラス転移点温度の低下により室温
での取り扱いが困難である等の問題があった。例えば、
特許開平7−28232号公報に記載の技術を始め、熱
可塑性を向上させるために熱可塑性樹脂層に可塑剤とし
て低分子化合物を添加する方法は古くから知られてい
る。しかし、これらに記載の技術では、製膜性の悪化を
引き起こしたり、ガラス転移点の低下により室温での取
り扱い性の悪化、保存時のはみ出し等を招くという問題
があった。近年、技術の発達に伴い、製膜性、ガラス転
移温度向上による室温での取り扱い性と、加熱時の熱可
塑性とが両立された熱可塑性樹脂層を有する感光性転写
材料の開発が望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける諸問題を解決し、前記要望に応え、以下の目的を
達成することを課題とする。即ち、本発明は、熱可塑性
に起因する転写性、定着性、及び、オフセット性等に優
れ、良質の像を形成可能な感光性転写材料、及び、それ
を用い、転写性、定着性、及び、オフセット性等に優
れ、良質の像を形成可能な像形成方法を提供することを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決すべく、
本発明者等が鋭意検討した結果、以下の知見を得た。即
ち、分子間相互作用により擬似的に架橋された擬似架橋
型樹脂を用いることにより、溶融粘度が、温度変化によ
って急激に変化するシャープメルト性に優れ、像の転写
性、定着性、及び、オフセット性に優れた感光性転写材
料等が得られるという知見である。
【0010】本発明は、本発明者等による前記知見に基
づくものであり、前記課題を解決するための手段として
は、以下の通りである。 <1> 支持体上に、少なくとも、分子間相互作用によ
り擬似的に架橋された擬似架橋型樹脂を有することを特
徴とする感光性転写材料である。 <2> 擬似架橋型樹脂が、高分子化合物と低分子化合
物との分子間相互作用により擬似的に架橋された擬似架
橋型樹脂、及び、2種以上の高分子化合物同士の分子間
相互作用により擬似的に架橋された擬似架橋型樹脂、の
少なくともいずれかである前記<1>に記載の感光性転
写材料である。 <3> 高分子化合物及び低分子化合物が、一分子中
に、各々擬似架橋を形成し得る擬似架橋形成部位を少な
くとも2個以上有する前記<2>に記載の感光性転写材
料である。 <4> 擬似架橋形成部位が、カルボニル基、カルボキ
シル基、水酸基、アミノ基、アミド基、ウレア基、ウレ
タン基、及び、スルホン基から選択される少なくとも1
種である前記<3>に記載の感光性転写材料である。
【0011】<5> 高分子化合物の重量平均分子量
が、1000〜50000である前記<1>から<4>
のいずれかに記載の感光性転写材料である。 <6> 少なくとも、支持体、熱可塑性樹脂層、及び、
感光性樹脂層を有する前記<1>から<5>のいずれか
に記載の感光性転写材料である。 <7> 擬似架橋型樹脂が、少なくとも、熱可塑性樹脂
層に含まれる前記<6>に記載の感光性転写材料であ
る。 <8> 支持体上に、熱可塑性樹脂層及び感光性樹脂層
を、この順に有する前記<6>又は<7>に記載の感光
性転写材料である。
【0012】<9> 感光性樹脂層が、少なくとも色材
を含む前記<6>から<8>のいずれかに記載の感光性
転写材料である。 <10> 中間層を有する前記<6>から<9>のいず
れかに記載の感光性転写材料である。 <11> 前記<1>から<10>のいずれかに記載の
感光性転写材料を用いて、基材上にラミネートし、マス
ク露光した後、現像することを特徴とする像形成方法で
ある。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 [感光性転写材料]本発明の感光性転写材料は、支持体
上に、擬似架橋型樹脂を有し、必要に応じてその他の成
分、部材等を有する。前記感光性転写材料としては、少
なくとも、支持体、熱可塑性樹脂層、及び、感光性樹脂
層を有し、必要に応じてその他の層を有する態様等が好
適に挙げられる。
【0014】−熱可塑性樹脂層− 前記熱可塑性樹脂層は、前記擬似架橋型樹脂を含むのが
特に好ましい。該擬似架橋型樹脂は、分子間相互作用に
より擬似的に架橋された樹脂である。従って、製膜時等
の常温(25℃)程度の環境においては、ガラス転移点
が高く、取り扱い性・製膜性に優れ、一方、加熱により
分子間相互作用が弱まり、分子間の擬似架橋が容易に壊
れることから、急激に熱可塑性が高くなり、シャープメ
ルト性に優れる。従って、該擬似架橋型樹脂を熱可塑性
樹脂層に用いることにより、加熱により急激に軟化させ
ることができるため、像形成の際、基板上に凹凸等があ
っても気泡が混入することなく、転写性、定着性、オフ
セット性に優れる感光性転写材料が提供される。尚、こ
のような観点から、該擬似架橋型樹脂は、熱可塑性樹脂
層以外の層中に含有されていてもよいが、少なくとも熱
可塑性樹脂層に含有されているのが最も好ましい。
【0015】−−擬似架橋型樹脂−− 前記擬似架橋型樹脂において、前記分子間相互作用と
は、本発明において、酸及び塩基を混合した際の塩形成
によるイオン的な相互作用(イオン結合)、水素結合、
及び、分子間力を指す。本発明において、所定の樹脂が
「擬似架橋型樹脂」であるか否かは、以下のようにして
確認することができる。即ち、前記所定の樹脂のガラス
転移点を「Tg(℃)」、該所定の樹脂の作製に用い
た高分子化合物単独のガラス転移点を「Tg(℃)」
としたとき、Tg−Tgの値(ΔTg)が3℃以上
となるとき、該所定の樹脂を擬似架橋型樹脂という。
尚、高分子化合物を2種以上用いている場合には、最も
高いガラス転移点を有する高分子化合物のガラス転移点
を「Tg(℃)」とする。
【0016】前記擬似架橋型樹脂の態様としては、特に
制限はないが、高分子化合物と低分子化合物との分子間
相互作用により擬似的に架橋された擬似架橋型樹脂、及
び、2種以上の高分子化合物同士の分子間相互作用によ
り擬似的に架橋された擬似架橋型樹脂、の少なくともい
ずれかである態様等が好ましい。前記Tg−Tg
値(ΔTg)としては、3〜20℃であるのが好まし
く、5〜15℃であるのがより好ましい。前記Tg
Tgの値(ΔTg)が3℃未満であると、製膜性が悪
く、また室温(25℃)での取り扱いが困難となること
がある一方、20℃を超えると、加熱時に軟化し難くな
り、充分な熱可塑性が得られないことがある。
【0017】<高分子化合物>前記高分子化合物として
は、特に制限はないが、一分子中に、擬似架橋を形成し
得る擬似架橋形成部位を少なくとも2個以上有する化合
物等が好ましい。該擬似架橋形成部位としては、例え
ば、イオン結合や水素結合により擬似的に分子間に架橋
を形成する部位等が挙げられ、具体的には、カルボニル
基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド基、ウ
レア基、ウレタン基、及び、スルホン基等から目的に応
じて適宜選択される少なくとも1種が好適に挙げられ
る。
【0018】前記高分子化合物の分子量としては、重量
平均分子量(Mw)で1000〜60000である必要
があり、1000〜50000が好ましく、2000〜
20000が好ましい。前記重量平均分子量が、100
0未満であると、製膜性が悪く、ガラス転移温度の低下
により室温(25℃程度)での取り扱いが困難である一
方、60000を超えると、加熱時に軟化し難くなり、
充分な熱可塑性が得られない。
【0019】前記高分子化合物としては、具体的には、
ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリレート
(例えば、ポリ2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、ポリメチル(メタ)アクリルート等)、ポリ置換
スチレンスルホン酸(例えば、ポリヒドロキシスチレ
ン、ポリスチレンスルホン酸等)、ポリ(メタ)アクリ
ルアミド類(例えば、ポリ2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルホン酸、ポリ(メタ)アクリルアミ
ド、ポリN,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド
等)、アミノアルキル(メタ)アクリレート(例えば、
N,N’−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート
等)、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリエチ
レンイミン、ボリビニルアルコール、ポリビニルエステ
ル、ポリエステル、ポリビニルアミド、ポリアミド、ポ
リウレタン、ポリカーポネート、重合性オリゴマー(例
えば、片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレー
トオリゴマー等)などが挙げられる。これらは、(メ
タ)アクリル酸−(メタ)アクリレート共重合体、(メ
タ)アクリル酸−置換スチレン共重合体、(メタ)アク
リレート−(メタ)アクリルアミド共重合体、及び、
(メタ)アクリレート−アミノアルキル(メタ)アクリ
レート共重合体等のようにブロック状あるいはランダム
状に共重合していてもよく、また、スチレン−(メタ)
アクリル酸共重合体、スチレン−置換スチレン共重合
体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、及び、α−オレ
フィン−(メタ)アクリル酸共重合体等のように擬似架
橋形成部位を有しない他の共重合単位を含んでいてもよ
い。
【0020】更に、前記高分子化合物としては、前記各
重合体の変性体でもよく、カルボニル基、カルボキシル
基、水酸基、アミノ基、アミド基、ウレア基、ウレタン
基、及び、スルホン酸基等から選択され、擬似架橋を形
成し得る擬似架橋形成部位を、一分子中に少なくとも2
個以上有していれば、全ての種類のポリマーが挙げられ
る。これらの中でも、アルカリ現像での画像形成に用い
る場合には、カルボキシル基を含有する高分子化合物が
特に好ましい。
【0021】<低分子化合物>前記低分子化合物として
は、特に制限はないが、一分子中に、擬似架橋を形成し
得る擬似架橋形成部位を少なくとも2個以上有する化合
物等が好ましい。該擬似架橋形成部位としては、例え
ば、イオン結合や水素結合により擬似的に分子間に架橋
を形成する部位等が挙げられ、具体的には、カルボニル
基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド基、ウ
レア基、ウレタン基、及び、スルホン酸基から目的に応
じて選択される少なくとも1種が好適に挙げられる。
尚、前記低分子化合物とは、分子量が1000以下であ
る有機化合物を指す。
【0022】前記低分子化合物としては、具体的には、
多価アミン(例えば、エチレンジアミン、ジアミノペン
タン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N,
N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレ
ントリアミン、トリス(アミノアルキル)アミン、ジア
ミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンジアニリン、
ジアミノトルエン、ジアミノナフタレン等)、多価カル
ボン酸(例えば、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、
フタル酸等)、多価アルコール(例えば、エチレングリ
コール、ブタンジオール、シクロヘキサンジオール、ペ
ンタエリスリトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロ
キシナフタレン等)、多価ケトン(例えば、ペンタンジ
オン、シクロヘキサンジオン、アントラキノン等)、多
価アミド(例えば、多価カルボン酸や多価アルコールの
アミド体等)、多価ウレタン(例えば、多価イソシアナ
ートとアルコールの反応物等)などが挙げられる。
【0023】前記低分子化合物は、アミノプロパンスル
ホン酸、及び、2−アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸等のように、互いに異なる擬似架橋形成部
位を有していてもよい。更に、該低分子化合物は、ハロ
ゲン原子や他の官能基で置換されていてもよく、分岐あ
るいは環構造を形成してもよく、また途中にエーテル、
チオエーテル結合等を介していてもよく、カルボニル
基、カルボキシル蕃、水酸基、アミノ基、アミド基、ウ
レア基、ウレタン基、及び、スルホン酸基から選択さ
れ、擬似架橋を形成し得る擬似架橋形成部位を、一分子
中に少なくとも2個以上有していれば、総ての種類の低
分子化合物が使用可能である。これらの中でも、イオン
結合能或いは水素結合能の点で、水酸基、アミノ基、及
び、アミド基を有する低分子化合物が特に好ましい。
【0024】<擬似架橋型樹脂の製造方法等>前記擬似
架橋型樹脂の製造方法としては、特に制限はないが、前
記高分子化合物及び低分子化合物の少なくとも2種以上
を、有機溶媒中で混合する方法等が挙げられる。
【0025】前記擬似架橋型樹脂が、高分子化合物と低
分子化合物との分子間相互作用により擬似的に架橋され
た擬似架橋型樹脂である場合、混合する高分子化合物及
び低分子化合物の割合としては、前記高分子化合物中の
擬似架橋形成部位量(モル)に対する、前記低分子化合
物中の擬似架橋形成部位量(モル)で、10〜200モ
ル%が好ましく、20〜l00モル%がより好ましい。
前記低分子化合物中の擬似架橋形成部位量が、10モル
%未満であると、分子問での相互作用が不充分となり、
充分な擬似架橋を形成させることが困難となることがあ
る一方、200モル%を超えると、溶剤への溶解性が著
しく低下し、取り扱いが困難となることがある。前記擬
似架橋形成部位量が、前記数値範囲内であれば、製膜
性、取り扱い性に優れた熱可塑性樹脂層等が形成され、
また像形成の際、気泡が混入することなく、転写性、定
着性、オフセット性に優れ、良質の像を形成可能な感光
性転写材料が得られる。
【0026】前記有機溶媒としては、例えば、メチルエ
チルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、2−
プロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、N,N−ジメ
チルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、ト
ルエン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ア
セテート等の汎用有機溶媒が挙げられる。これらは、1
種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】前記混合の際、前記有機溶媒の使用量とし
ては、前記擬似架橋型樹脂に対し、30〜90質量%が
好ましく、40〜80質最%がより好ましい。前記有機
溶媒の使用量が、30質是%未満であると、擬似架橋型
樹脂の溶剤への溶解性が著しく低下し、取り扱いが困難
となることがある一方、90質量%を超えると、分子問
相互作用が不充分となり、充分な擬似架橋を形成させる
ことが困難となることがある。
【0028】<熱可塑性樹脂層の厚み>前記熱可塑性樹
脂層の厚みとしては、6〜100μmが好ましく、6〜
50μmがより好ましい。前記熱可塑性樹脂層の厚み
が、6μm未満であると、厚みが1μm以上ある下地の
凹凸を、完全に吸収することが困難となる等、転写性が
悪化することがある一方、100μmを超えると、製造
適性が悪化することがある。
【0029】−感光性樹脂層− 前記感光性樹脂層としては、少なくとも150℃以下の
温度で軟化もしくは粘着性になるのが好ましく、熱可塑
性であるのがより好ましい。公知の光重合性組成物を用
いることにより、このような感光性樹脂層が得られる
が、熱可塑性結合剤或いは相溶性の可塑剤を添加するこ
とにより、更に改質することも可能であり好ましい。
【0030】前記感光性樹脂層における材質としては、
公知の材質が総て好適に用いられ、例えば特願平2−8
2262号明細書に記載されている感光性樹脂等が総て
使用できる。具体的には、ネガ型ジアゾ樹脂及びバイン
ダー樹脂からなる感光性樹脂層、光重合性組成物、アジ
ド化合物及びバインダー樹脂からなる感光性樹脂組成
物、桂皮酸型感光性樹脂組成物等が挙げられる。これら
の中でも、光重合性樹脂が特に好ましい。該光重合性樹
脂は、光重合開始剤、光重合性モノマー及びバインダー
樹脂を基本構成要素として含んでいる。
【0031】前記感光性樹脂としては、アルカリ水溶液
により現像可能なもの、有機溶剤により現像可能なもの
が知られているが、公害防止、労働安全性の確保等の観
点から、アルカリ水溶液により現像可能なものが好まし
い。
【0032】前記感光性樹脂層は、更に、色材を含有す
るのが好ましい。該色材としては、特に制限はなく、目
的に応じて適宜選択されるが、例えば、有機顔料、無機
顔料、染料などが挙げられる。これらは、1種単独で使
用してもよいし、2種以上を併用してもよく、これらの
中でも、後述の現像処理や熱処理により消色するものも
好ましい。
【0033】前記色材としては、例えば、オーラミン
(C.I.41000)、ファット・ブラックHB
(C.I.26150)、モノライト・ファースト・ブ
ラックB(C.I.ピグメント・ブラック1)、カーボ
ン、C.I.ピグメント・グリーン7、C.I.ピグメ
ント・グリーン36、C.I.ピグメント・ブラウン2
3、C.I.ピグメント・ブラウン25、C.I.ピグ
メント・ブラウン26、ピグメント・ブラック7、パー
マネント・カーミンFBB(C.I.ピグメント・レッ
ド146)、パーマネント・ルビーFBH(C.I.ピ
グメント・レッド11)、ファステル・ピンクBスプラ
(C.I.ピグメント・レッド81)、C.I.ピグメ
ント・レッド97、C.I.ピグメント・レッド12
2、C.I.ピグメント・レッド149、C.I.ピグ
メント・レッド168、C.I.ピグメント・レッド1
77、C.I.ピグメント・レッド180、C.I.ピ
グメント・レッド192、C.I.ピグメント・レッド
215、C.I.ピグメント・レッド123、C.I.
ピグメント・レッド213、C.I.ピグメント・レッ
ド217、C.I.ピグメント・レッド220、C.
I.ピグメント・レッド223、C.I.ピグメント・
レッド224、C.I.ピグメント・レッド226、
C.I.ピグメント・レッド227、C.I.ピグメン
ト・レッド228、C.I.ピグメント・レッド24
0、C.I.ピグメント・レッド48、C.I.ピグメ
ント・レッド1、C.I.ピグメント・レッド209、
C.I.ピグメント・レッド254、モノライト・イエ
ローGT(C.I.ピグメント・イエロー12)、パー
マネント・イエローGR(C.I.ピグメント・イエロ
ー17)、パーマネント・イエローHR(C.I.ピグ
メント・イエロー83)、C.I.ピグメント・イエロ
ー20、C.I.ピグメント・イエロー24、C.I.
ピグメント・イエロー83、C.I.ピグメント・イエ
ロー86、C.I.ピグメント・イエロー93、C.
I.ピグメント・イエロー109、C.I.ピグメント
・イエロー110、C.I.ピグメント・イエロー11
7、C.I.ピグメント・イエロー125、C.I.ピ
グメント・イエロー137、C.I.ピグメント・イエ
ロー138、C.I.ピグメント・イエロー139、
C.I.ピグメント・イエロー147、C.I.ピグメ
ント・イエロー148、C.I.ピグメント・イエロー
153、C.I.ピグメント・イエロー154、C.
I.ピグメント・イエロー166、C.I.ピグメント
・イエロー168、C.I.ピグメント・イエロー18
5、C.I.ピグメント・オレンジ36、C.I.ピグ
メント・オレンジ43、C.I.ピグメント・オレンジ
51、C.I.ピグメント・オレンジ55、C.I.ピ
グメント・オレンジ59、C.I.ピグメント・オレン
ジ61、ホスターバームレッドESB(C.I.ピグメ
ント・バイオレット19)、モナストラル・ファースト
・ブルー(C.I.ピグメント・ブルー15)、C.
I.ピグメント・バイオレット19、C.I.ピグメン
ト・バイオレット23、C.I.ピグメント・バイオレ
ット29、C.I.ピグメント・バイオレット30、
C.I.ピグメント・バイオレット37、C.I.ピグ
メント・バイオレット40、C.I.ピグメント・バイ
オレット50、ビクトリア・ピュアーブルーBO(C.
I.42595)、ビクトリア・ピュアーブルーBO
H、ビクトリア・ピュアーブルーBOH−M、マラカイ
トグリーン、C.I.ピグメント・ブルー15:1、
C.I.ピグメント・ブルー15:4、C.I.ピグメ
ント・ブルー15:6、C.I.ピグメント・ブルー2
2、C.I.ピグメント・ブルー60、C.I.ピグメ
ント・ブルー64、カーボンブラック、などが挙げられ
る。
【0034】前記感光性樹脂層の厚みとしては、0.5
〜10μmが好ましく、1〜6μmがより好ましい。前
記感光性樹脂層の厚みが、0.5μm未満であると塗布
時にピンホールが発生し易いことがあり、製造適性上好
ましくなく、10μmを超えると現像時に未露光部を除
去するのに時間を要することがあり、好ましくない。
【0035】−支持体− 前記支持体としては、転写の際に支障とならない程度の
剥離性を有する仮支持体が好ましく、化学的・熱的に安
定で可撓性であるものが好ましい。該支持体の材料とし
ては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すること
ができ、例えば、テフロン(R)、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネー
ト、ポリエチレン、及び、ポリプロピレン等が挙げられ
る。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を
併用してもよい。
【0036】前記支持体の構造としては、特に制限はな
く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単
層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
【0037】前記支持体の厚みとしては、5〜300μ
m程度が好ましく、20〜150μmが好ましい。
【0038】前記支持体としては、その少なくとも一方
の表面に導電性層が設けられていることが好ましく、あ
るいは該支持体自体が導電性を有することが好ましい。
前記支持体がこのように設計されていると、該支持体を
備えた感光性転写材料を、被転写体上に密着させた後
で、該支持体を剥離する際に、該支持体や該被転写体等
が帯電して周囲のゴミ等を引き寄せることがなく、その
結果、該支持体を剥離した後にゴミ等が付着せず、その
後の露光過程で余分な未露光部が形成され、意図しない
ピンホールが形成されてしまうことを効果的に防止する
ことができる。前記支持体上の導電性層又は導電性を有
する支持体の表面における表面電気抵抗としては、10
13Ω以下であることが好ましい。
【0039】前記導電性を有する支持体にするには、該
支持体中に導電性物質を含有させればよい。前記導電性
物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択
することができるが、例えば、金属酸化物、帯電防止
剤、などが挙げられる。
【0040】前記金属酸化物としては、例えば、酸化亜
鉛、酸化チタン、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化イン
ジウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化バリウム、
酸化モリブデンなどが挙げられる。これらは、1種単独
で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記
金属酸化物の形態としては、結晶微粒子、複合微粒子な
どが挙げられる。
【0041】前記帯電防止剤としては、例えば、エレク
トロストリッパーA(花王(株)製)、エレノンNo1
9(第一工業製薬(株)製)等のアルキル燐酸塩系アニ
オン界面活性剤、アモーゲンK(第一工業製薬(株)
製)等のベタイン系両性界面活性剤、ニッサンノニオン
L(日本油脂(株)製)等のポリオキシエチレン脂肪酸
エステル系非イオン界面活性剤、エマルゲン106、1
20、147、420、220、905、910(花王
(株)製)やニッサンノニオンE(日本油脂(株)製)
等のポリオキシエチレンアルキルエーテル系非イオン界
面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエー
テル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、ポリオキシ
エチレンソルビタン脂肪酸エステル系、ポリオキシエチ
レンアルキルアミン系等のその他の非イオン系界面活性
剤が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよい
し、2種以上を併用してもよい。
【0042】前記導電性層としては、公知の導電性物質
の中から適宜選択して使用することにより形成すること
ができ、該導電性物質としては、例えば、ZnO、Ti
、SnO、Al、In、SiO
MgO、BaO、MoOなどが湿度環境に影響されず
安定した導電効果が得られる点で好ましい。これらは、
1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよ
い。
【0043】前記金属酸化物又は前記導電性物質の体積
抵抗値としては、10Ω・cm以下が好ましく、10
Ω・cm以下がより好ましい。前記金属酸化物又は前
記導電性物質の粒子径としては、0.01〜0.7μm
が好ましく、0.02〜0.5μmがより好ましい。
【0044】前記導電性層には、バインダーとして、例
えば、ゼラチン、セルロースナイトレート、セルロース
トリアセテート、セルロースジアセテート、セルロース
アセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオ
ネート等のセルロースエステル、塩化ビニリデン、塩化
ビニル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、炭
素数1〜4のアルキルアクリレート、ビニルピロリドン
等を含むホモポリマー又はコポリマー、可溶性ポリエス
テル、ポリカーボネート、可溶性ポリアミド、などを使
用することができる。
【0045】−その他の層− 前記その他の層としては、所望により、熱可塑性樹脂層
及び感光性樹脂層の間に、これらの層が混ざり合うのを
防止したり、感光性樹脂層への酸素侵入の遮断等を目的
として、両層の間に設けられる中間層等が挙げられる。
前記中間層としては、水又はアルカリ水溶液に分散・溶
解し、低い酸素透過性を示すのが好ましく、公知の材料
が適宜使用される。例えば、特開昭46−2121号、
特公昭56−40824号の各公報に記載の、ポリビニ
ルエーテル/無水マレイン酸重合体、カルボキシアルキ
ルセルロースの水溶性塩、水溶性セルロースエーテル
類、カルボキシアルキル澱粉の水溶性塩、ポリビニルア
ルコール、ポリビニルピロリドン、各種ポリアクリルア
ミド類、各種水溶性ポリアミド、ポリアクリル酸の水溶
性塩、ゼラチン、エチレンオキサイド重合体、各種澱粉
及びその類似物からなる群の水溶性塩、スチレン/マレ
イン酸共重合体、及び、マレイネート樹脂等が挙げられ
る。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を
併用してもよい。これらの中でも、酸素遮断能に優れる
点で、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドン
が最も好ましい。前記ボリビニルアルコールは、鹸化率
が80%以上であるものが好ましい。前記ポリビニルピ
ロリドンの、中間層固形分における含有量としては、1
〜75質量%が好ましく、1〜60質量%がより好まし
く、10〜150質量%が更に好ましい。前記含有量
が、1質量%未満であると、感光性樹脂層との充分な密
着が得られないことがある一方、75質量%を超える
と、酸素遮断能が低下することがある。
【0046】前記中間層の厚みとしては、極めて薄いの
が好ましく、0.1〜5μmが好ましく、0.5〜2μ
mがより好ましい。前記厚みが、0.1μm未満である
と、酸素透過性が高過ぎてしまい、5μmを超えると、
現像時や中間層除去時に長時間を要し、好ましくない。
【0047】以上説明した本発明の感光性転写材料にお
いては、前記支持体上に、熱可塑性樹脂層及び感光性樹
脂層を、この順に有するのが好ましい。本発明の感光性
転写材料は、少なくとも、分子間相互作用により擬似的
に架橋された擬似架橋型樹脂を用いているため、熱可塑
性、シャープメルト性に優れ、像の転写性、定着性、及
び、オフセット性に優れる。従って、本発明の感光性転
写材料は、プリント配線基板、凹版凸版印刷版、ネーム
プレート、多色試し刷り見本、オフセット印刷版、スク
リーン印刷ステンシル、液晶表示体等に使用するカラー
フィルター等の作製に特に好適である。
【0048】[像形成方法]本発明の像形成方法におい
ては、前記本発明の感光性転写材料を用いて、基材上に
ラミネートし、マスク露光した後、現像し、像を形成す
る。
【0049】前記基材としては、液晶素子における透明
基板(ガラス基板)、透明導電膜(例えばITO)付き
基板、カラーフィルター付き基板、などが挙げられる。
尚、前記液晶表示素子用部材としては、例えば、スペー
サー、オーバーコート材、液晶配向材などが挙げられ
る。
【0050】前記ラミネートは、加熱加圧下で行なわれ
るのが好ましい。該ラミネートにおいては、従来から公
知のラミネーター、真空ラミネーター等が好適に使用す
ることができ、より生産性を高めるためには、オートカ
ットラミネーターも使用することができる。その後、前
記支持体を、感光性転写材料から剥離させ、所定のマス
クを用いて、前記感光性樹脂層に対し露光を行い、現像
するのが好ましい。尚、このとき、前記感光性樹脂層が
前記色材をその呈色を失わない状態で含有している場合
には、該感光性樹脂層による画像が形成される。
【0051】前記現像としては、特に制限はないが、公
知のアルカリ現像の方法等に従って行うことができ、例
えば、溶剤若しくは水性の現像液、特にアルカリ水溶液
(アルカリ現像液)等を用いて、露光後の前記基材を、
前記現像液を収容させた現像浴中に浸漬させるか、該基
材に対しスプレー等で噴霧し、さらにその表面を回転ブ
ラシ、湿潤スポンジ等で擦ったり超音波を照射させなが
ら処理することにより行うことができる。前記現像の温
度としては、通常、室温付近から40℃程度が好まし
い。また、前記現像の後に、水洗処理を行うことが好ま
しい。
【0052】前記本発明の像形成方法においては、前記
本発明の感光性転写材料を用いるため、像の転写性、定
着性、及び、オフセット性等に優れた像が形成される。
【0053】
【実施例】以下、本発明を、実施例により詳細に説明す
るが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではな
い。尚、「ガラス転移点(Tg)」及び「重量平均分子
量」は、以下のようにして測定した。
【0054】<ガラス転移点(Tg)の測定>各実施例
及び比較例において、樹脂のガラス転移点(Tg)は、
DSC(示差走査型熱量計)により、条件(昇温速度;5
℃/min)にて測定し、吸熱開始温度及び終了温度の
中間温度をTgとした。
【0055】<重量平均分子量(Mw)の測定>各実施
例及び比較例において、樹脂の重量平均分子量を、ゲル
パーミエーションクロマトグラフィ(GPC、キャリア
ー:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)により測
定した。
【0056】(実施例1)ポリエチレンテレフタレート
フィルム(厚み25μm)仮支持体上に、下記処方1か
らなる擬似架橋型樹脂塗布液を塗布、乾燥させ、乾燥後
の厚みが15μmである熱可塑性樹脂層を設けた。
【0057】 −処方1− ・スチレン/アクリル酸共重合体・・・・・・・・・・・・・・200質量部 (COOH価:3.765mmol/g、重量平均分子量=1万、Tg=1 02℃) ・1,5−ジアミノペンタン・・・・・・・・・・・・・・・19.2質量部 ・メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・280質量部 ・プロピレングリコールモノメチルエーテル・・・・・・・・48.8質量部
【0058】尚、得られた熱可塑性樹脂層における擬似
架橋型樹脂のガラス転移点(Tg)を測定したとこ
ろ、111℃であった。
【0059】次に、前記熱可塑性樹脂層上に、下記処方
2からなる塗布液を塗布、乾燥させ、乾燥後の厚みが
1.6μmである中間層を設けた。
【0060】−処方2− ・ポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA20
5,鹸化率=80%)・・100質量部 ・ポリビニルピロリドン(GAFコーポレーション社製
PVP,K−90)・・・・・50質量部 ・蒸留水・・・・・・・4000質量部
【0061】前記中間層上に、表1に記載した成分の赤
色感光層用塗布液を塗布、乾燥させ、乾燥後の厚みが2
μmである着色感光性樹脂層を形成し、感光性転写材料
を得た。
【0062】
【表1】
【0063】前記感光性転写材料における着色感光性樹
脂層を、マイラーテープで凹凸をつけたガラス基板上
に、130℃、0.08MPaでラミネート(速度0.
5m/分)し、図2(a)に示す状態にした。図2
(a)で、感光性転写材料10はガラス基板1上にラミ
ネートされており、マイラーテープ2、感光性樹脂層
3、中間層4、熱可塑性樹脂層5、及び、仮支持体6が
この順に積層されている。尚、マイラーテープ2近傍に
は、帯状の気泡7が存在する。続いて、仮支持体6と熱
可塑性樹脂層5との界面で剥離し、仮支持体6を除去し
た。その後、ガラス基板1矢印側から光学顕微鏡を用い
て観察した。この様子を図2(b)に示す。図2(b)
においては、ガラス基板1に密着した、感光性樹脂層
3、気泡7、及び、マイラーテープ2がこの順に観察さ
れる。図2(b)において、帯状の気泡7部分の幅(帯
状の気泡7が存在するため、感光性樹脂層3がガラス基
板1に密着せずに浮いている部分の距離)Aを測定した
ところ、0.36mmであった。結果を表2に示す。こ
の幅Aが小さい程、凹凸のある基板に対する、感光性転
写材料の追従性が良いことを示す。
【0064】(実施例2)実施例1の処方1において、
1,5−ジアミノペンタン1.92質量部を、トリス
(2−アミノエチル)アミン1.38質量部に代えたほ
かは、同様にして感光性転写材料を作製し、同様にして
ラミネート試験を行ったところ、幅Aは0.34mmで
あった。結果を表2に示す。
【0065】尚、熱可塑性樹脂層を形成した際、得られ
た熱可塑性樹脂層における擬似架橋型樹脂のガラス転移
点(Tg)を測定したところ、113℃であった。
【0066】(実施例3)実施例1の処方1において、
1,5−ジアミノペンタン1.92質量部を、ジエチレ
ントリアミン1.29質量部に代えたほかは、同様にし
て、感光性転写材料を作製し、同様にしてラミネート試
験を行ったところ、幅Aは0.35mmであった。結果
を表2に示す。尚、熱可塑性樹脂層を形成した際、得ら
れた熱可塑性樹脂層における擬似架橋型樹脂のガラス転
移点(Tg)を測定したところ、112℃であった。
【0067】(実施例4)実施例1の処方1において、
スチレン/アクリル酸共重合体(COOH価:3.76
5mmol/g、重量平均分子量=1万、Tg=10
2℃)を、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重
合体(COOH価:3.5mmol/g、重量平均分子
量=0.8万、Tg=75℃)に代えたほかは、同様
にして、感光性転写材料を作製し、同様にしてラミネー
ト試験を行ったところ、幅Aは0.40mmであった。
結果を表2に示す。尚、熱可塑性樹脂層を形成した際、
得られた熱可塑性樹脂層における擬似架橋型樹脂のガラ
ス転移点(Tg)を測定したところ、85℃であっ
た。
【0068】(比較例1)実施例1の処方1において、
1,5−ジアミノペンタンを用いなかったほかは、同様
にして、感光性転写材料を作製したところ、製膜性が悪
く、熱可塑性樹脂層の上に、中間層を形成することがで
きなかった。尚、熱可塑性樹脂層を形成した際、得られ
た熱可塑性樹脂層における樹脂のガラス転移点(T
)を測定したところ、102℃であった。
【0069】(比較例2)実施例1の処方1において、
スチレン/アクリル酸共重合体(COOH価:3.76
5mmol/g、重量平均分子量=1万、Tg=10
2℃)をスチレン/アクリル酸共重合体(COOH価:
3.765mmol/g、重量平均分子量=10万、T
=110℃)に代えたほかは、同様にして、感光性
転写材料を作製し、同様にしてラミネート試験を行った
ところ、幅Aは0.72mmであった。結果を表2に示
す。尚、熱可塑性樹脂層を形成した際、得られた熱可塑
性樹脂層における樹脂のガラス転移点(Tg)を測定
したところ、136℃であった。
【0070】(比較例3)実施例1の処方1において、
1,5−ジアミノペンタンを用いず、スチレン/アクリ
ル酸共重合体(COOH価:3.765mmol/g、
重量平均分子量=1万、Tg=102℃)を、メタク
リル酸/ベンジルメタクリレート共重合体(COOH
価:3.5mmol/g、重量平均分子量=0.8万、
Tg=75℃)に代えたほかは、同様にして、感光性
転写材料を作製したところ、製膜性が悪く、熱可塑性樹
脂層の上に中間層を形成することができなかった。尚、
熱可塑性樹脂層を形成した際、得られた熱可塑性樹脂層
における樹脂のガラス転移点(Tg)を測定したとこ
ろ、75℃であった。
【0071】(比較例4)実施例1の処方1において、
スチレン/アクリル酸共重合体(COOH価:3.76
5mmol/g、重量平均分子量=1万、Tg=10
2℃)を、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重
合体(COOH価:3.5mmol/g、重量平均分子
量=8万、Tg=84℃)に代えたほかは、同様にし
て、感光性転写材料を作製し、同様にしてラミネート試
験を行ったところ、幅Aは0.79mmであった。結果
を表2に示す。尚、熱可塑性樹脂層を形成した際、得ら
れた熱可塑性樹脂層における樹脂のガラス転移点(Tg
)を測定したところ、105℃であった。
【0072】
【表2】
【0073】表2より、重量平均分子量の比較的小さい
熱可塑性樹脂のみを使用した比較例1及び3では、製膜
性、室温(25℃)での取り扱い性が悪く、中間層が形
成できず、評価不能であった。これに対し、重量平均分
子量の比較的小さな熱可塑性樹脂を、擬似架橋型樹脂と
した実施例1〜3及び実施例4では、製膜性が高く、室
温での取り扱い性も良好で問題が無かった。これは、擬
似架橋により、熱可塑性樹脂層における樹脂のガラス転
移点が上昇したことに起因すると考えられる。更に、比
較例に比べ、実施例で測定した幅Aが小さい値を示すこ
とから、実施例では、加熱することにより擬似的な架橋
が切断され、急激に軟化して極めて良好な熱可塑性を示
したことから、凹凸のある基板への感光性転写材料の追
従性が優れていたことがわかる。一方、重量平均分子量
の大きな樹脂のみを用いた比較例2及び4では、製膜
性、取り扱い性に関しては問題は無かったが、熱可塑性
が不充分であり、凹凸のある基板への感光性転写材料の
追従性が不良であったことがわかる。
【0074】(実施例5:多色画像(カラーフィルタ
ー)の形成)厚み25μmであるポリエチレンテレフタ
レートフィルム仮支持体上に、下記処方3からなる塗布
液を塗布、乾燥させ、乾燥後の厚みが15μmである熱
可塑性樹脂層を設けた。尚、得られた熱可塑性樹脂層に
おける擬似架橋型樹脂のガラス転移点(Tg)を測定
したところ、111℃であった。
【0075】 −処方3− ・スチレン/アクリル酸共重合体・・・・・・・・・・・・200質量部 (COOH価:3.765mmol/g、重量平均分子量=1万、Tg=1 02℃) ・1,5−ジアミノペンタン・・・・・・・・・・・・・19.2質量部 ・メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・280質量部 ・プロピレングリコールモノメチルエーテル・・・・・・48.8質量部
【0076】次に、前記熱可塑性樹脂層上に、下記処方
4からなる塗布液を塗布、乾燥させ、乾燥後の厚みが
1.6μmである中間層を設けた。
【0077】−処方4− ・ポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA20
5,鹸化率=80%)・・・100質量部 ・ポリビニルピロリドン(GAFコーポレーション社製
PVP,K−90)・・・50質量部 ・蒸留水・・・4000質量部
【0078】前記中間層上に、表3で示す成分の、黒色
(K層用)、赤色(R層用)、緑色(G層用)、及び、
青色(B層用)の4色の感光層用塗布液を、各々塗布、
乾燥させ、乾燥後の厚みが2μmである各色(赤色、青
色、緑色、黒色)の着色感光性樹脂層をそれぞれ形成し
た。
【0079】
【表3】
【0080】前記各色の着色感光性樹脂層上に、それぞ
れポリプロピレン(厚み:12μm)の被覆シートを室
温で圧着し、赤色、青色、緑色、及び、黒色の各感光性
転写材料を作製した。この感光性転写材料を用い、下記
方法により多色画像(カラーフィルター)を形成した。
即ち、赤色感光性転写材料の被覆シートを剥離し、感光
性樹脂層面を透明ガラス基板(厚さ1.1mm)上にラ
ミネーター(大成ラミネーター(株)製VP−11)を
用いて加圧(10kg/cm)・加熱(130℃)して
ラミネートし(速度3.0m/min)、続いて仮支持
体と熱可塑性樹脂層との界面で剥離し、仮支持体を除去
した。次に所定のフォトマスクを介して露光し、1質量
%のトリエタノールアミン水溶液で熱可塑性樹脂層及び
中間層を溶解除去した。次いで、1質量%炭酸ナトリウ
ム水溶液で感光性樹脂層を現像して不要部を除去し、ガ
ラス基板上に赤色画素パターンを形成した。
【0081】次いで、赤色画素パターンが形成されたガ
ラス基板上に、緑色感光性転写材料を前述と同様に貼り
合わせ、剥離、露光、現像を行い、緑色画素パターンを
形成した。このとき、赤色画素周辺には、気泡及びラミ
ズレによる色ムラは見られなかった。同様の工程を青
色、黒色感光性転写材料を用いて繰り返し、透明ガラス
基板上に、多色画像(カラーフィルター)を形成した。
これらの工程において、転写工程では、先行画素周辺に
気泡が全く残らず、またラミズレによる色ムラは見られ
なかった。尚、「先行画素」とは、特定の色の画素パタ
ーンを基板上に形成する前に、該基板上に既に形成され
た他の色の画素を指す。以下同様である。
【0082】(実施例6)実施例5の処方3において、
1,5−ジアミノペンタン1.92質量部をトリス(2
−アミノエチル)アミン1.38質量に代えたほかは、
実施例5と同様にして各色感光性転写材料を作製し、カ
ラーフィルターを形成した。転写工程では先行画素周辺
に気泡が全く残らず、またラミズレによる色ムラは見ら
れなかった。尚、熱可塑性樹脂層を形成した際、得られ
た熱可塑性樹脂層における擬似架橋型樹脂のガラス転移
点(Tg)を測定したところ、113℃であった。
【0083】(実施例7)実施例5の処方3において、
1,5−ジアミノペンタンをジエチレントリアミンに代
えたほかは、実施例5と同様にして各色感光性転写材料
を作製し、カラーフィルターを形成した。転写工程では
先行画素周辺に気泡が全く残らず、またラミズレによる
色ムラは見られなかった。尚、熱可塑性樹脂層を形成し
た際、得られた熱可塑性樹脂層における擬似架橋型樹脂
のガラス転移点(Tg)を測定したところ、112℃
であった。
【0084】(実施例8)実施例5の処方3において、
スチレン/アクリル酸共重合体(COOH価:3.76
5mmol、重量平均分子量=1万、Tg=102
℃)を、メタクリル酸/ベンンジルメタクリレート共重
合体(COOH価:3.5mmol/g、重量平均分子
量=0.8万、Tg=75℃)に代えたほかは、実施
例5と同様にして各色感光性転写材料を作製し、カラー
フィルターを形成した。転写工程では先行画素周辺に気
泡が全く残らず、またラミズレによる色ムラは見られな
かった。尚、熱可塑性樹脂層を形成した際、得られた熱
可塑性樹脂層における擬似架橋型樹脂のガラス転移点
(Tg)を測定したところ、85℃であった。
【0085】(比較例5)実施例5の処方3において、
スチレン/アクリル酸共重合体(COOH価:3.76
5mmol、重量平均分子量=1万、Tg=102
℃)を、スチレン/アクリル酸共重合体(COOH価:
3.765mmol、重量平均分子量=10万、Tg
=110℃)に代えたほかは、実施例5と同様にして各
色感光性転写材料を作成し、カラーフィルターを形成し
た。転写工程では先行画素周辺に気泡が多く混入し、色
ムラが生じた。またラミズレによる色ムラも観測され
た。尚、熱可塑性樹脂層を形成した際、得られた熱可塑
性樹脂層における樹脂のガラス転移点(Tg)を測定
したところ、136℃であった。
【0086】(比較例6)実施例5の処方3において、
スチレン/アクリル酸共重合体(COOH価:3.76
5mmol、重量平均分子量=1万、Tg=102
℃)を、メタクリル酸/ベンンジルメタクリレート共重
合体(COOH価:3.5mmol/g、重量平均分子
量=8万、Tg=84℃)に代えたほかは、実施例5
と同様にして各色感光性転写材料を作成し、カラーフィ
ルターを形成した。転写工程では先行画素周辺に気泡が
多く混入し、色ムラが生じた。またラミズレによる色ム
ラも観測された。尚、熱可塑性樹脂層を形成した際、得
られた熱可塑性樹脂層における樹脂のガラス転移点(T
)を測定したところ、105℃であった。
【0087】
【発明の効果】本発明によれば、従来における前記問題
を解決し、前記要望に応えることができ、熱可塑性に起
因する転写性、定着性、及び、オフセット性等に優れ、
良質の像を形成可能な感光性転写材料、及び、それを用
い、転写性、定着性、及び、オフセット性等に優れ、良
質の像を形成可能な像形成方法を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、着色感光性樹脂層を、マイラー
テープで凹凸をつけたガラス基板上に、所定条件で感光
性転写材料をラミネートした状態を示す概略図である。
図1(b)は、図1(a)を、ガラス基板の矢印側から
観察した概略図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 マイラーテープ 3 感光性樹脂層 4 中間層 5 熱可塑性樹脂層 6 仮支持体 7 帯状の気泡 10 感光性転写材料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA17 AB01 AB11 AB13 AB15 AD03 BC13 BC42 BC81 BC83 BC84 DA35 DA40 FA35 2H048 BA43 BA47 BA48 BB02 BB42

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、少なくとも、分子間相互作
    用により擬似的に架橋された擬似架橋型樹脂を有するこ
    とを特徴とする感光性転写材料。
  2. 【請求項2】 擬似架橋型樹脂が、高分子化合物と低分
    子化合物との分子間相互作用により擬似的に架橋された
    擬似架橋型樹脂、及び、2種以上の高分子化合物同士の
    分子間相互作用により擬似的に架橋された擬似架橋型樹
    脂、の少なくともいずれかである請求項1に記載の感光
    性転写材料。
  3. 【請求項3】 高分子化合物及び低分子化合物が、一分
    子中に、各々擬似架橋を形成し得る擬似架橋形成部位を
    少なくとも2個以上有する請求項2に記載の感光性転写
    材料。
  4. 【請求項4】 擬似架橋形成部位が、カルボニル基、カ
    ルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド基、ウレア
    基、ウレタン基、及び、スルホン基から選択される少な
    くとも1種である請求項3に記載の感光性転写材料。
  5. 【請求項5】 高分子化合物の重量平均分子量が、10
    00〜50000である請求項1から4のいずれかに記
    載の感光性転写材料。
  6. 【請求項6】 少なくとも、支持体、熱可塑性樹脂層、
    及び、感光性樹脂層を有する請求項1から5のいずれか
    に記載の感光性転写材料。
  7. 【請求項7】 擬似架橋型樹脂が、少なくとも、熱可塑
    性樹脂層に含まれる請求項6に記載の感光性転写材料。
  8. 【請求項8】 支持体上に、熱可塑性樹脂層及び感光性
    樹脂層を、この順に有する請求項6又は7に記載の感光
    性転写材料。
  9. 【請求項9】 感光性樹脂層が、少なくとも色材を含む
    請求項6から8のいずれかに記載の感光性転写材料。
  10. 【請求項10】 中間層を有する請求項6から9のいず
    れかに記載の感光性転写材料。
  11. 【請求項11】 請求項1から10のいずれかに記載の
    感光性転写材料を用いて、基材上にラミネートし、マス
    ク露光した後、現像することを特徴とする像形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007091537A1 (ja) * 2006-02-10 2007-08-16 Fujifilm Corporation 積層体の製造方法、積層体、液晶表示装置用基板、液晶表示素子及び液晶表示装置

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