JP2003247570A - ドラムブレーキ装置 - Google Patents

ドラムブレーキ装置

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JP2003247570A
JP2003247570A JP2002049619A JP2002049619A JP2003247570A JP 2003247570 A JP2003247570 A JP 2003247570A JP 2002049619 A JP2002049619 A JP 2002049619A JP 2002049619 A JP2002049619 A JP 2002049619A JP 2003247570 A JP2003247570 A JP 2003247570A
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shoe
pin
brake
braking
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JP2002049619A
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Toshifumi Maehara
利史 前原
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Akebono Brake Industry Co Ltd
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Akebono Brake Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 前進制動時及び後進制動時の双方で、ブレー
キ力に応じた制動力の制御によって安定したブレーキの
効きを確保できるドラムブレーキ装置を得る。 【解決手段】 ブレーキシュー3,4からアンカピン1
0に作用するブレーキ力に応じて制動力をメカ的に制御
するシュー駆動カム7を備えるドラムブレーキ装置にお
いて、制動時にカムピン21,23が当接するカム穴7
6b,77b,76c,77cのアンカピン10側のピ
ン接触面81,83を、カム板76,77がシュー操作
力の作用を減ずる方向に回転した際にカムピン21,2
3との当接位置が徐々にアンカピン10の中心に近づく
案内面に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、前進制動時及び後
進制動時の何れにおいても、ブレーキシューのドラムへ
の押圧力をブレーキ力に応じて制御して、ブレーキの高
い効きと安定性を確保することができ、しかも、ブレー
キ装置の電動化にも適するドラムブレーキ装置に関する
ものである。 【0002】 【従来の技術】従来、車両の走行を制動するために種々
の形式のドラムブレーキ装置が用いられているが、これ
らのドラムブレーキ装置は、略円筒状のドラムの内周面
に押圧されるブレーキシューの配置によって、リーディ
ングトレーリング式やツーリーディング式、若しくはデ
ュオサーボ式等に分類される。 【0003】デュオサーボ式のドラムブレーキ装置は、
一般に、円筒状のドラム内に、互いに対向して配置され
たプライマリシューとセカンダリシューの一対のブレー
キシューを備える。プライマリシューは、ドラムの前進
回転方向入口側が入力部とされると共に、ドラムの前進
回転方向出口側は例えばアジャスタを介してセカンダリ
シューの入口側に連結される。一方、セカンダリシュー
の出口側はバッキングプレート上に装備されたアンカ部
に当接させられ、プライマリシュー及びセカンダリシュ
ーに作用するブレーキ力(制動トルク)をアンカ部で受
け止めるようになっている。 【0004】これにより、プライマリシュー及びセカン
ダリシューを拡開させてドラムの内周面に押し付ける
と、プライマリシューに作用するブレーキ力がセカンダ
リシューの入口側に入力してセカンダリシューをドラム
内周面に押し付けるように作用するため、プライマリシ
ューとセカンダリシューの双方に自己サーボ作用が働
き、非常にゲインの高い制動力を得ることができる。 【0005】前述したデュオサーボ式ドラムブレーキ装
置は、リーディングトレーリング式やツーリーディング
式のドラムブレーキ装置と比較して、極めて高い制動力
を得ることができるばかりでなく、小型化し易く、かつ
パーキングブレーキの組み込みも容易である等の多くの
長所を有している。ところが、このようなデュオサーボ
式ドラムブレーキ装置は、ブレーキシューのライニング
の摩擦係数の変化に敏感であるため、制動力を安定させ
にくい傾向にあり、制動力を安定化させる工夫が要求さ
れている。 【0006】また、最近の車両用のブレーキ装置は、ア
ンチロックブレーキシステムを始めとするブレーキ機能
のインテリジェント化や、環境汚染の軽減等に適した電
気自動車(EV車)等への対応のため、ブレーキ装置の
電動化も重要課題とされている。 【0007】このような背景から、本願出願人は、制動
時にブレーキシューを拡開するシュー駆動機構として、
サービスブレーキ時に操作力発生手段から入力レバーに
伝達されるシュー操作力に応じて一対のブレーキシュー
を拡開してドラムに押圧する一方、制動時にアンカピン
に作用するブレーキ力がシュー操作力に対して所定倍率
に達するとシュー操作力の作用を減ずる方向の制動制限
力を入力レバーに作用させるリンク機構を、既に提案し
ている。このようなリンク機構を使用することで、デュ
オサーボ式ドラムブレーキ装置における制動力の安定化
が図れ、更に、上記した操作力発生手段として、従来の
液圧式のホイールシリンダの代わりに、電動モータ等を
利用した電動式の操作力発生手段を採用するだけで、ブ
レーキ装置の電動化も容易に実現することができた。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のリンク
機構によるシュー駆動機構は、一般に、部品点数が多
く、構成の煩雑化によりコストアップを招くという問題
があった。更には、前進制動時あるいは後進制動時の何
れか一方を対象にして制動力の安定を図るもので、前進
制動時及び後進制動時の双方で制動力の安定を図るに
は、更に部品点数の増加や機構の煩雑化を招くという問
題があった。 【0009】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的は、前進制動時及び後進制動時の何れにお
いても、ブレーキシューのドラムへの押圧力をブレーキ
力に応じて制御して、ブレーキの高い効きと安定性を確
保することができ、しかも、ブレーキ装置の電動化にも
適するドラムブレーキ装置を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明に係るドラムブレーキ装置は、ドラム内に対向
配置される一対のブレーキシューと、これら一対のブレ
ーキシューの一方の対向端側においてバッキングプレー
トに立設されたアンカピンと、制動操作に応じたシュー
操作力を発生する操作力発生手段と、前記アンカピン周
りを回転可能なカム板を有するシュー駆動カムとを備
え、前記操作力発生手段のシュー操作力を受けて前記カ
ム板が前記アンカピン周りを回転して前記ブレーキシュ
ーを拡開させると共に、制動時にはブレーキシューから
作用するブレーキ力に応じて前記カム板が前記シュー操
作力の作用を減ずる方向に回転して制動力を制御するド
ラムブレーキ装置において、前記ブレーキシューは端部
にカムピンが接合され、前記カム板は、前記カムピンを
前記ブレーキシューの移動方向に沿って一定範囲内で移
動可能に受け入れるカム穴を有し、更に、このカム穴の
ピン接触面は、前記カム板が前記シュー操作力の作用を
減ずる方向に回転した際に前記カムピンとの当接位置が
徐々にアンカピンの中心に近づく案内面に形成されたこ
とを特徴とする。 【0011】このように構成されたドラムブレーキ装置
においては、前進制動時及び後進制動時の何れにおいて
も、制動操作時には、シュー駆動カムのカム板が操作力
発生手段の出力するシュー操作力を受けてアンカピン周
りに回転し、このカム板の回転に伴い、カム板上の各カ
ムピンが各ブレーキシューを拡開して、制動力を発生さ
せる。そして、制動時には、出力側のブレーキシューに
接合したカムピンは、該カムピンが当接するカム穴のピ
ン接触面を介してブレーキシューから受けたブレーキ力
をカム板に伝達する。その結果、カム板には、シュー操
作力による回転力を制限する方向に、ブレーキ力による
回転モーメントが作用して、このブレーキ力がシュー操
作力に対して所定倍率を超えた時には、ブレーキ力によ
る回転モーメントでカム板がシュー操作力による回転を
減ずる戻り方向に回転する。このカム板の戻り方向への
回転時、ブレーキシューからブレーキトルクを受けてい
るカムピンは、カム穴のピン接触面である案内面によっ
て、徐々にアンカピンの中心に近づくように変位して、
カム板への押圧を軽減させる。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係るドラムブレー
キ装置の好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明
する。図1は、本発明に係るドラムブレーキ装置の一実
施の形態の正面図である。この第1の実施の形態のドラ
ムブレーキ装置1は、所謂、デュオサーボ式ドラムブレ
ーキ装置で、図示せぬ略円筒形のドラム内空間に対向配
備されるプライマリシュー3及びセカンダリシュー4の
一対のブレーキシュー3,4と、これら一対のブレーキ
シュー3,4の一方の対向端側に配設されてサービスブ
レーキの操作時にこれら各ブレーキシュー3,4をドラ
ムに押圧するためのシュー操作力を発生する操作力発生
手段6と、この操作力発生手段6の発生するシュー操作
力を各ブレーキシュー3,4に伝達して各ブレーキシュ
ー3,4を拡開するシュー駆動機構であるシュー駆動カ
ム7と、各ブレーキシュー3,4の他方の対向端間に配
設されてプライマリシュー3の出力をセカンダリシュー
4に入力するリンク機構を兼ねたアジャスタユニット8
と、これらの構成部材を支持するバッキングプレート9
と、バッキングプレート9上に立設されたアンカピン1
0と、駐車時にブレーキを作動させるパーキングブレー
キ機構51とを備えている。 【0013】なお、図示せぬドラムは、バッキングプレ
ート9と同心で、車両の前進時には図1の矢印R方向に
回転する。 【0014】ブレーキシュー3,4は、その取り付け用
穴部3d,4dに挿入されるシューホールドダウンピン
(不図示)により、ドラムの内周面に向かって移動可能
にバッキングプレート9に取り付けられる。そして、各
ブレーキシュー3,4の操作力発生手段6側の端部は、
シューリターンスプリング92,93を介して互いに接
近する方向(即ち、ドラムから離間する方向)に付勢さ
れている。また、各ブレーキシュー3,4のアジャスタ
ユニット8側の端部相互は、シュートゥシュースプリン
グ95の付勢力によって、アジャスタユニット8の端部
に当接した状態が維持されるように付勢されている。 【0015】本実施の形態の場合、操作力発生手段6
は、サービスブレーキ用のブレーキペダル等のブレーキ
操作に応じて出力ロッドが図1で右方に進出して、図3
及び図4に示すように、シュー操作力Wとなる押圧力を
シュー駆動カム7の入力レバー34に出力するホイール
シリンダである。 【0016】アジャスタユニット8は、本来は、各ブレ
ーキシュー3,4のライニングの摩耗の進行に応じて、
これらのブレーキシュー3,4の端部間の間隔を調整す
るもので、アジャスタスプリング81の付勢力によって
先端がアジャスタユニット8上の調整用歯車8aに当接
されたアジャスタレバー82の回転により、ブレーキシ
ュー3,4の端部間の間隔を自動調整するように構成さ
れている。 【0017】アジャスタレバー82には、アジャスタ駆
動機構84が連結されている。本実施の形態の場合、ア
ジャスタ駆動機構84は、セカンダリシュー4のウェブ
4aに回転自在に支持された中継手段85と、一端がア
ンカピン10の上端部に連結されると共に他端が前記中
継手段85に連結された第1のアジャスタロッド86
と、一端が中継手段85に連結されると共に他端がアジ
ャスタスプリング81を介してアジャスタレバー82に
連結された第2のアジャスタロッド87とを有した構成
で、制動時のセカンダリシュー4の移動量に応じてアジ
ャスタレバー82に回転力を作用させて、アジャスタユ
ニット8の伸長をコントロールする。 【0018】本実施の形態のシュー駆動カム7は、アン
カピン10に回転可能に嵌合装着される上下一対のカム
板76,77と、セカンダリシュー4の移動方向に沿う
一定範囲内を移動可能であって、前進制動時にセカンダ
リシュー4のブレーキ力(制動トルクで、アンカ反力と
も呼ぶ)を前記カム板76,77に伝達するセカンダリ
カムピン23と、カム板76,77上のアンカピン10
からドラムの径方向内側に離間した位置でカム板76,
77に固定されたレバー支持ピン25と、プライマリシ
ュー3の移動方向に沿う一定範囲内を移動可能であっ
て、後進制動時にプライマリシュー3のブレーキ力をカ
ム板76,77に伝達するプライマリカムピン21と、
これらのカムピン21,23の間に揺動可能に装備され
るスイッチレバー32及び入力レバー34の2つのレバ
ー部材とを備えている。 【0019】一対のカム板76,77相互は、略同形状
の板材で、前記したレバー支持ピン25やアンカピン1
0等により、スイッチレバー32及び入力レバー34を
挟んで対向した状態に、結合される。 【0020】プライマリカムピン21は、プライマリシ
ュー3の端部に固着装備されており、且つ、図1及び図
3に示すように、ピン21の両端がカム板76,77に
形成されたカム穴76b,77bに嵌合している。ま
た、カム穴76b,77bは、プライマリシュー3の移
動方向に沿って長い形状に設定されている。従って、プ
ライマリカムピン21は、カム穴76b,77bによっ
て、カム板76,77上を、プライマリシュー3の移動
方向に沿う一定範囲内で移動可能である。 【0021】セカンダリカムピン23は、セカンダリシ
ュー4の端部に固着装備されており、且つ、図1及び図
3に示すように、ピン23の両端がカム板76,77に
形成されたカム穴76c,77cに嵌合している。ま
た、カム穴76c,77cは、セカンダリシュー4の移
動方向に沿って長い形状に設定されている。従って、セ
カンダリカムピン23は、カム穴76c,77cによっ
て、カム板76,77上を、セカンダリシュー4の移動
方向に沿う一定範囲内で移動可能である。 【0022】スイッチレバー32は、図2に示すよう
に、基端がレバー支持ピン25に回転自在に支持される
と共に、先端部にはセカンダリカムピン23に当接する
ピン当接部32bが設けられている。更に、本実施の形
態の場合、スイッチレバー32の中間部には、図1にも
示すように、パーキングブレーキ機構51のパーキング
レバー53によって押圧されるパーキング用操作部32
dが突設されている。 【0023】入力レバー34は、図2に示すように、一
端に操作力発生手段6からシュー操作力を受ける入力受
け部34bを有すると共に、他端にはプライマリカムピ
ン21に当接するピン当接部34cを有し、且つ、中間
部にはスイッチレバー32のプライマリシュー3側の中
間部側縁に揺動可能に点接触で係合する入力伝達部34
aを有して、操作力発生手段6から入力したシュー操作
力Wを、スイッチレバー32及びプライマリカムピン2
1に伝達する。 【0024】以上のシュー駆動カム7は、例えば、前進
制動時には、図3に示すように、操作力発生手段から、
シュー操作力Wが入力すると、入力レバー34がスイッ
チレバー32との当接部(入力伝達部34a)を支点と
して回転して、ピン当接部34cがプライマリカムピン
21をブレーキシュー3の拡開方向に押圧する。また、
このとき、入力レバー34は、入力伝達部34aを介し
てスイッチレバー32を押圧して、スイッチレバー32
をレバー支持ピン25周りにセカンダリシュー4側に回
転させて、セカンダリカムピン23をブレーキシュー4
の拡開方向に押圧する。 【0025】そして、入力レバー34によってプライマ
リシュー3側に押圧されたプライマリカムピン21は、
カム穴76b,77b内をプライマリシュー3側に移動
して、プライマリシュー3をドラム内面に押圧する。ま
た、スイッチレバー32によってセカンダリカムピン2
3が、カム穴76c,77c内をセカンダリシュー4側
に押圧されることによって、セカンダリシュー4もドラ
ム内面に押圧されて制動状態となる。 【0026】なお、前進制動開始時のカム穴76b,7
7b内でのプライマリカムピン21のプライマリシュー
3側への移動は、プライマリカムピン21がカム穴76
b,77bのプライマリシュー3側のピン接触面に到達
した時点で終了する。そして、プライマリカムピン21
がカム穴76b,77bのプライマリシュー3側のピン
接触面に到達した後は、入力レバー34に入力するシュ
ー操作力Wによって、入力レバー34と一体にカム板7
6,77がアンカピン10の周りを図3で反時計方向に
回転し、カム板76,77上の各カムピン21,23が
各ブレーキシューをドラム内面に押圧する。 【0027】なお、図3に示すように、アンカピン10
とシュー操作力の作用点である入力受け部34bとの間
の離間距離をL1 、プライマリカムピン21がプライマ
リシュー3を押圧する力をF0 、プライマリカムピン2
1とアンカピン10との間の離間距離をL2 とすると、
シュー操作力Wによってカム板76,77に作用する反
時計方向の回転モーメントM1 は、 M1 =W×L1 ……(1) である。また、プライマリシュー3からプライマリカム
ピン21に作用する反力による回転モーメントMfは、 Mf=F0 ×L2 ……(2) である。 【0028】そして、前進制動時には、図3に示すよう
に、セカンダリシュー4の端部に固定されているセカン
ダリカムピン23が、カム穴76c,77cのアンカピ
ン10側に位置するピン接触面81に当接した状態にな
っていて、セカンダリシュー4からセカンダリカムピン
23を介して、カム板76,77にブレーキ力Faが作
用する。そのため、セカンダリカムピン23とアンカピ
ン10との間の離間距離をS1とすると、前進制動時に
は、セカンダリカムピン23を介して作用するブレーキ
力Faによって、時計方向の回転モーメントM2 が作用
する。 M2 =Fa×S1 ……(3) 【0029】この前進制動時のブレーキ力による回転モ
ーメントM2 は、シュー操作力による回転モーメントM
1 に抗する方向のもので、制動制限力となり、これらの
モーメントM1 ,M2 ,Mfの釣り合いで、発生する実
際の制動力がシュー操作力の所定倍率内に維持される。
そして、本実施の形態の場合、前進制動時にセカンダリ
カムピン23が当接するカム穴76c,77cのピン接
触面81は、カム板76,77がブレーキ力による回転
モーメントによって戻り方向(図3で時計方向)に回転
した際にセカンダリカムピン23との当接位置が徐々に
アンカピン10の中心に近づく案内面に形成されてい
る。従って、制動力がシュー操作力の所定倍率に到達す
るまで上昇し、ブレーキ力による回転モーメントによっ
てカム板76,77が戻り方向に回転した際には、セカ
ンダリカムピン23のアンカピン10側への変位によっ
て、セカンダリシュー4がドラム内面から離間する方向
に速やかに引き戻されて、それ以上の制動力の上昇が速
やかに防止されることになる。 【0030】一方、シュー駆動カム7は、後進制動時に
は、図4に示すように、操作力発生手段から、シュー操
作力Wが入力すると、入力レバー34がスイッチレバー
32との当接部(入力伝達部34a)でスイッチレバー
32を押圧して、スイッチレバー32をレバー支持ピン
25の周りに回転させる。このスイッチレバー32の回
転によって、スイッチレバー32のピン当接部32bが
セカンダリカムピン23をセカンダリシュー4の拡開方
向に押圧する。また、このとき、入力レバー34は、入
力伝達部34aを支点として揺動して、プライマリカム
ピン21をプライマリシュー3側に押圧する。 【0031】スイッチレバー32によってセカンダリシ
ュー4側に押圧されたセカンダリカムピン23は、カム
穴76c,77c内をセカンダリシュー4側に移動し
て、セカンダリシュー4をドラム内面に押圧する。ま
た、入力レバー34によってプライマリカムピン21が
プライマリシュー3側に押圧されることによって、プラ
イマリシュー3もドラム内面に押圧されて制動状態とな
る。なお、後進制動開始時のカム穴76c,77c内で
のセカンダリカムピン23のセカンダリシュー4側への
移動は、セカンダリカムピン23がカム穴76c,77
cのセカンダリシュー4側のピン接触面に到達した時点
で終了する。そして、セカンダリカムピン23がカム穴
76c,77cのセカンダリシュー4側のピン接触面に
到達した後は、入力レバー34に入力するシュー操作力
Wによって、入力レバー34及びスイッチレバー32と
一体にカム板76,77がアンカピン10の周りを図4
で反時計方向に回転し、カム板76,77上の各カムピ
ン21,23が各ブレーキシューをドラム内面に押圧す
る。 【0032】なお、図4に示すように、アンカピン10
とシュー操作力の作用点である入力受け部34bとの間
の離間距離をL1 、セカンダリカムピン23がセカンダ
リシュー4を押圧する力をF0 、セカンダリカムピン2
3とアンカピン10との間の離間距離をL3 とすると、
シュー操作力Wによってカム板76,77に作用する反
時計方向の回転モーメントM1 は、前述の(1)式に示
す通りである。また、セカンダリシュー4からセカンダ
リカムピン23に作用する反力による回転モーメントM
bは、 Mb=F0 ×L3 ……(4) である。 【0033】そして、後進制動時には、図4に示すよう
に、プライマリシュー3の端部に固定されているプライ
マリカムピン21が、カム穴76b,77bのアンカピ
ン10側に位置するピン接触面83に当接した状態にな
っていて、プライマリシュー3からプライマリカムピン
21を介して、カム板76,77にブレーキ力Fbが作
用する。そのため、プライマリカムピン21とアンカピ
ン10との間の離間距離をS2とすると、後進制動時に
は、プライマリカムピン21を介して作用するブレーキ
力Fbによって、時計方向の回転モーメントM3 が作用
する。 M3 =Fb×S2 ……(5) 【0034】この後進制動時のブレーキ力による回転モ
ーメントM3 は、シュー操作力による回転モーメントM
1 に抗する方向のもので、制動制限力となり、これらの
モーメントM1 ,M3 ,Mbの釣り合いで、発生する実
際の制動力がシュー操作力の所定倍率内に維持される。
そして、本実施の形態の場合、後進制動時にプライマリ
カムピン21が当接するカム穴76b,77bのピン接
触面83は、カム板76,77がブレーキ力による回転
モーメントによって戻り方向(図4で時計方向)に回転
した際にプライマリカムピン21との当接位置が徐々に
アンカピン10の中心に近づく案内面に形成されてい
る。従って、制動力がシュー操作力の所定倍率に到達す
るまで上昇し、ブレーキ力による回転モーメントによっ
てカム板76,77が戻り方向に回転した際には、プラ
イマリカムピン21のアンカピン10側への変位によっ
て、セカンダリシュー4がドラム内面から離間する方向
に速やかに引き戻されて、それ以上の制動力の上昇が速
やかに防止されることになる。 【0035】上側のカム板76の上に突出するアンカピ
ン10の上端部には、図1に示すように、スプリングブ
ラケット28が嵌合装着されている。このスプリングブ
ラケット28は、板金製で、アンカピン10の上部に嵌
合するアンカ嵌合穴を有した本体28bと、シューリタ
ーンスプリング92の一端のフック部を係止する係止部
28eと、シューリターンスプリング93の一端のフッ
ク部を係止する係止部28fとを備えている。 【0036】このスプリングブラケット28は、図1に
示すように、各シューリターンスプリング92,93の
戻し力の作用線が、各ブレーキシュー3,4の各カムピ
ン21,23への当接部とカムピン21,23の中心と
を通る直線上に略重なるように、係止部28eは非制動
時のプライマリカムピン21の中心付近、係止部28f
は非制動時のセカンダリカムピン23の中心付近に位置
するように、各部の寸法を設定している。 【0037】また、本実施の形態のパーキングブレーキ
機構51は、駐車ブレーキ操作によってパーキングレバ
ー53を回転させると、パーキングレバー53の端部
が、スイッチレバー32上のパーキング用操作部32d
を押圧する構成である。パーキングレバー53からパー
キング用操作部32dに操作入力を受けたスイッチレバ
ー32は、入力レバー34を操作力発生手段6との当接
部を支点にプライマリシュー3側に揺動させて、プライ
マリカムピン21をプライマリシュー3側に押圧して、
プライマリシュー3をドラムに押圧して、制動力を発生
させる。 【0038】以上に説明したように、本実施の形態のド
ラムブレーキ装置1では、前進制動時及び後進制動時の
何れにおいても、制動操作時には、操作力発生手段6の
出力するシュー操作力を受けたシュー駆動カム7のカム
板76,77がアンカピン10周りに回転し、このカム
板76,77の回転に伴い、カム板76,77上の各カ
ムピン21,23が各ブレーキシュー3,4を拡開し
て、制動力を発生させる。 【0039】そして、制動時には、出力側のブレーキシ
ュー(前進制動時であればセカンダリシュー4、後進制
動時であればプライマリシュー3)からブレーキ力を受
けたカムピンは、該カムピンが当接するカム穴のピン接
触面81,83を介して受けたブレーキ力をカム板7
6,77に伝達する。その結果、カム板76,77に
は、シュー操作力による回転力を制限する方向に、ブレ
ーキ力による回転モーメントが作用し、ブレーキ力がシ
ュー操作力に対して所定倍率を超えた時には、ブレーキ
力による回転モーメントでカム板76,77がシュー操
作力による回転を減ずる戻り方向に回転する。このカム
板76,77の戻り方向への回転時には、ブレーキシュ
ーからブレーキトルクを受けているカムピンは、カム穴
のピン接触面81,83である案内面によって、徐々に
アンカピン10の中心に近づくように変位して、カム板
76,77への押圧力を軽減させるため、発生する制動
力を制動時の入力であるシュー操作力の一定倍率以内に
抑えて、安定したブレーキの効きを確保することができ
る。 【0040】そして、制動時のブレーキ力によるカム板
76,77の戻り方向への回転に伴ってカムピンをアン
カピン10の中心に近づける作用は、カムピン21,2
3を支持するためにカム板76,77に形成したカム穴
76b,77b,76c,77cのピン接触面81,8
3の形状によって得ているので、構成部品の追加を招か
ずに、プライマリシュー用及びセカンダリシュー用のそ
れぞれのカムピン21,23に対して同等に装備するこ
とができる。従って、構成部品の増加を招くことの無い
単純な構成で有りながら、前進制動時及び後進制動時の
何れにおいても、ブレーキシュー3,4のドラムへの押
圧力をブレーキ力に応じて制御して、ブレーキの高い効
きと安定性を確保することができる。 【0041】また、本実施の形態のシュー駆動カム7
は、操作力発生手段6と各ブレーキシュー3,4との間
に配置されて制動力の制御をメカ的に行うため、操作力
発生手段としては、従来の油圧式ホイールシリンダ等の
液圧式のアクチュエータだけでなく、電動モータ等の電
動式のアクチュエータを使用することも容易で、ブレー
キ機能のインテリジェント化や車両のハイブリッド化等
のための電動化も容易にできる。 【0042】更に、本実施の形態の場合、スプリングブ
ラケット28を使用することによって、シューリターン
スプリング92,93の戻し力の作用線が、各ブレーキ
シュー3,4の一端部の各カムピン21,23への当接
部とカムピン21,23の中心とを通る直線31,32
上に略重なるように設定されていて、各ブレーキシュー
のアンカピン10側の端部は、常時、カムピン21,2
3に当接した状態が維持される。そのため、各ブレーキ
シュー3,4の端部は、制動解除時には、アンカピン1
0から半径方向外側のドラム側に離れていても、シュー
駆動カム7のカム板76,77の復帰動作に連動してカ
ムピン21,23が初期位置に戻る際に、カムピン2
1,23に追従して確実に初期位置に戻る。従って、シ
ューリターンスプリング92,93による直線的な引張
力だけでも、戻り不良によってブレーキシューの引き摺
りが発生することを防止することができる。 【0043】なお、本発明において、シューリターンス
プリング92,93の係止のためにアンカピン10に装
備するスプリングブラケット28の具体的な構造等は、
上記実施の形態に限定するものではなく、本発明の趣旨
を逸脱しない範囲で、適宜に設計変更可能である。ま
た、上記の実施の形態では、シュー駆動カム7には一対
のカム板76,77を対向配置したが、各カムピン2
1,23やレバー支持ピン25、及び各レバー32,3
4を適正に支持できるなら、一対のカム板を単一のカム
板に置き換えるようにしても良い。 【0044】 【発明の効果】以上に説明したように、本発明のドラム
ブレーキ装置によれば、前進制動時及び後進制動時の何
れにおいても、制動操作時には、操作力発生手段の出力
するシュー操作力を受けるとシュー駆動カムのカム板が
アンカピン周りに回転し、このカム板の回転に伴い、カ
ム板上の各カムピンが各ブレーキシューを拡開して、制
動力を発生させる。そして、制動時には、出力側のブレ
ーキシューからブレーキ力を受けたカムピンは、該カム
ピンが当接するカム穴のピン接触面を介して受けたブレ
ーキ力をカム板に伝達する。その結果、カム板には、シ
ュー操作力による回転力を制限する方向に、ブレーキ力
による回転モーメントが作用し、ブレーキ力がシュー操
作力に対して所定倍率を超えた時には、ブレーキ力によ
る回転モーメントでカム板がシュー操作力による回転を
減ずる戻り方向に回転する。このカム板の戻り方向への
回転時には、ブレーキシューからブレーキトルクを受け
ているカムピンは、カム穴のピン接触面である案内面に
よって、徐々にアンカピンの中心に近づくように変位し
て、カム板への押圧を軽減させるため、発生する制動力
を制動時の入力であるシュー操作力の一定倍率以内に抑
えて、安定したブレーキの効きを確保することができ
る。 【0045】そして、制動時のブレーキ力によるカム板
の戻り方向への回転に伴ってカムピンをアンカピンの中
心に近づける作用は、カムピンを支持するためにカム板
に形成したカム穴のピン接触面の形状によって得るもの
で、構成部品の追加を招かずに、プライマリシュー用及
びセカンダリシュー用のそれぞれのカムピンに対して同
等に装備することができる。従って、構成部品の増加を
招くことの無い単純な構成で有りながら、前進制動時及
び後進制動時の何れにおいても、ブレーキシューのドラ
ムへの押圧力をブレーキ力に応じて制御して、ブレーキ
の高い効きと安定性を確保することができる。 【0046】また、シュー駆動カムは、操作力発生手段
と各ブレーキシューとの間に配置されて制動力の制御を
メカ的に行うため、操作力発生手段としては、従来の油
圧式ホイールシリンダ等の液圧式のアクチュエータだけ
でなく、電動モータ等の電動式のアクチュエータを使用
することも容易で、ブレーキ機能のインテリジェント化
や車両のハイブリッド化等のための電動化も容易にでき
る。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係るドラムブレーキ装置の一実施の形
態の正面図である。 【図2】図1に示したドラムブレーキ装置のシュー駆動
カムと各ブレーキシューとの位置関係の説明図である。 【図3】図1に示したシュー駆動カムの前進制動時にお
ける各カムピンと各ブレーキシューとの当接状態の説明
図である。 【図4】図1に示したシュー駆動カムの後進制動時にお
ける各カムピンと各ブレーキシューとの当接状態の説明
図である。 【符号の説明】 1 ドラムブレーキ装置 3 プライマリシュー(ブレーキシュー) 4 セカンダリシュー(ブレーキシュー) 6 操作力発生手段(ホイールシリンダ) 7 シュー駆動カム(シュー駆動機構) 8 アジャスタユニット 9 バッキングプレート 10 アンカピン 21 プライマリカムピン(カムピン) 23 セカンダリカムピン(カムピン) 25 レバー支持ピン 28 スプリングブラケット 28e,28f 係止部 32 スイッチレバー 32b ピン当接部 32d パーキング用操作部 34 入力レバー 34b 入力受け部 34a 入力伝達部 34c ピン当接部 51 パーキングブレーキ機構 53 パーキングレバー 76,77 カム板 81,83 ピン接触面(案内面)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 ドラム内に対向配置される一対のブレー
    キシューと、これら一対のブレーキシューの一方の対向
    端側においてバッキングプレートに立設されたアンカピ
    ンと、制動操作に応じたシュー操作力を発生する操作力
    発生手段と、前記アンカピン周りを回転可能なカム板を
    有するシュー駆動カムとを備え、前記操作力発生手段の
    シュー操作力を受けて前記カム板が前記アンカピン周り
    を回転して前記ブレーキシューを拡開させると共に、制
    動時にはブレーキシューから作用するブレーキ力に応じ
    て前記カム板が前記シュー操作力の作用を減ずる方向に
    回転して制動力を制御するドラムブレーキ装置におい
    て、 前記ブレーキシューは端部にカムピンが接合され、 前記カム板は、前記カムピンを前記ブレーキシューの移
    動方向に沿って一定範囲内で移動可能に受け入れるカム
    穴を有し、更に、このカム穴のピン接触面は、前記カム
    板が前記シュー操作力の作用を減ずる方向に回転した際
    に前記カムピンとの当接位置が徐々にアンカピンの中心
    に近づく案内面に形成されたことを特徴とするドラムブ
    レーキ装置。
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