JP2003246615A - アミノ酸関連残基を含有する多孔性シリカから成る複合構造体およびその製造方法 - Google Patents
アミノ酸関連残基を含有する多孔性シリカから成る複合構造体およびその製造方法Info
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Abstract
ル等として有用な材料となり得る新規な人工構造体を提
供する。 【解決手段】 ナノメートルサイズの直径の細孔を有す
る多孔性シリカの内部に式X−A−Yで表わされる界面
活性物質(Xはカチオン性または非イオン性の親水部を
表わし、Yは脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素から
成る疎水部を表わし、Aはアミノ酸残基またはその修飾
体を表わす)が含有されている複合構造体。前記界面活
性物質、シリカ源、ゾルゲル反応触媒および水を含む反
応溶液を調製してゾルゲル反応を行い、生じたゲルをろ
過した後、乾燥することによって製造される。
Description
nによる無機有機複合構造体の技術分野に属し、特に、
生体モデルの材料等として有用な新規な複合構造体とそ
の製造方法に関する。
生体内の物質の機能を模擬して薬剤、試薬、または機能
素子等として有用な材料を人工的に作り出す技術であ
り、この目的で各種のタンパク質材料やペプチド材料が
案出されているが、未だ実現されていない分野も多い。
ハイマー病などの原因として最近注目されているベータ
アミロイドは、タンパク質やペプチドの二次構造が変異
して形成される平行ベータシート構造主体の不溶性繊維
構造であり、したがって、ペプチドの平行ベータシート
構造の人工モデルとなるような材料が得られれば、それ
らの疾病を解析し、診断や治療のための各種の試薬や薬
剤などの開発に資することができるものと期待される
が、そのような材料は殆ど見当らない。本発明の目的
は、平行ベータシート型のペプチド等の生体モデル等と
して有用な材料となり得る新規な人工構造体を提供する
ことにある。
た結果、有機化合物を鋳型として無機有機複合構造体を
合成する技術を利用し、これをさらに発展させることに
より、上記のごとき目的を達成し得る本発明を導き出し
たものである。
サイズの直径の細孔を有する多孔性シリカの内部に下記
の式(1)で表わされる界面活性物質が含有されている
ことを特徴とする複合構造体が提供される。
ン性の親水部を表わし、Yは脂肪族炭化水素または芳香
族炭化水素から成る疎水部を表わし、Aは下記の式
(2)で表わされるアミノ酸残基またはその修飾体を表
わす。
ともにアミノ酸残基を構成する官能基または原子団を表
わし、nは1から10の整数である。本発明に従えば、
さらに、上記の複合構造体を製造する方法であって、式
(1)で表わされる界面活性物質、シリカ源、ゾルゲル
反応触媒および水を含む反応溶液を調製してゾルゲル反
応を行い、生じたゲルをろ過した後、乾燥することを特
徴とする方法が提供される。
合構造(例えば、棒状ミセル)を鋳型として、その周囲
(表面)で適当なシリカ源を原料としてゾルゲル反応を
行わせてシリカを合成し、その後に鋳型と成る界面活性
物質を焼成などの手法によって除くと、ナノメートルサ
イズから数十ナノメートルサイズの直径を持つ細孔が規
則的に並んだ多孔性シリカ、所謂メソポーラスシリカを
作製できることが知られている(例えば、C.T. Kresge
他、Nature, 359, 710 (1992))(図1参照)。
では、界面活性剤の持つ機能構造をそのまま保持して利
用するものはほとんどない。特に、アミノ酸やペプチド
のような生体由来の残基が集積して形成する特異集合構
造を細孔内に固定化したものは見られない。これは、従
来のメソポーラスシリカの作製においては、界面活性物
質は、専ら、最終的に得られるシリカの構造を制御する
ための鋳型としてのみ留意され、したがって、単純な親
水頭部と疎水尾部とから成る非常に簡単な構造の界面活
性物質が用いられ、付加価値のないものとして除去され
ていたからである。
規な界面活性剤を内包することにより、平行ベータシー
ト型ペプチドのモデル等として有用な機能が付与された
多孔性シリカから成る機能性ナノ無機有機複合体であ
る。
おいて用いられる界面活性物質は、親水部(親水頭部)
Xと疎水部(疎水尾部)Yとの間にアミノ酸関連残基A
が導入された構造から成る。ここで、アミノ酸関連残基
とは、既述の式(2)から明らかなようにアミノ酸残
基、またはその修飾体である。修飾体とは、生体内でよ
く見られるようなタンパク質の変化を引き起こすような
各種の反応に因りアミノ酸が変化したものであり、例え
ば、リン酸化、メチル化、アセチル化等に因るものが挙
げられる。本発明に従えば、目的とする生体モデルに応
じて、(1)式で表わされる界面活性物質に導入されて
いるアミノ酸としてそのような修飾体を用いることもで
きる。
も既に明らかなように、式(2)に示す−NH−CH−
CO−とともにアミノ酸残基を構成する官能基または原
子団を表わす。すなわち、Rは、例えば、CH3(アラ
ニンの場合)、CH2Ph(フェニルアラニンの場合:
Phはフェニル基)、(CH3)2CH(バリンの場合)、
(CH3)2CHCH2(ロイシンの場合)、CH2OH(セ
リンの場合)、CH3(OH)CH(トレオニンの場
合)、CH2−SH(システインの場合)等を表わす。
アミノ酸(アミノ酸残基)の数を定めるnは、原理的に
は特に制限はないが、得られるモデル材料の安定性の点
から、一般に1〜10が好ましく、1〜6が特に好まし
い。なお、導入されるアミノ酸(アミノ酸残基)は、必
ずしも同一のアミノ酸でなく、複数種のアミノ酸であっ
てもよく、式(2)はそのような態様も含むものとして
表現している。さらに、人工の生体モデル系を提供する
本発明の構造体においては、導入するアミノ酸は、目的
に応じてL体またはD体のいずれでもよく、L体および
D体を混合して導入してもよい(後述の実施例4参
照)。
式(1)において、Xは、カチオン性または非イオン
(ノニオン)性親水部を表わすが、安定な構造体を得る
点からはカチオン性の官能基または原子団から成るもの
が好ましい。図2に、式(1)で表わされる本発明で用
いられる界面活性物質の親水部を構成するのに好ましい
官能基または原子団の例を示しているが、これらに限定
されるものではない。
において、Yは、界面活性物質の構成成分として従来よ
り知られた各種の脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水
素基から成る疎水部を表わす。図3に、本発明で使用さ
れる界面活性物質の疎水部を構成するのに好ましい官能
基または原子団の例を示しているが、これらに限定され
るものではない。
質は、既知の合成反応を工夫することにより得られる。
すなわち、概説すれば、式(1)の界面活性物質(界面
活性剤)は、一般に、次のように合成される。まず、所
望のアミノ酸のC末端を長鎖アルコールとの反応で長鎖
アルキル基を持つエステルとする(Y部の導入)。次
に、このアミノ酸のN末端に所望のアミノ酸を定法のペ
プチド伸張反応によって逐次的にアミノ酸を縮合してゆ
く、この反応により、所望の長さと組み合わせのペプチ
ド鎖が形成される(A部の形成)。さらにペプチド鎖の
N末端をブロモ酢酸ブロミドのような試薬との反応でア
ミド化しブロモ基を導入する。最後に、ジメチルアリル
アミンなどの適当なアミンによる四級化反応を行い、親
水部Xを導入して、式(1)の界面活性剤を合成するこ
とができる。ただし、界面活性剤の合成法はこれに限定
されるものではなく、X、A、Yの組み合わせに応じた
手法がとられる。
型として、その周囲(表面)でゾルゲル反応によりシリ
カが生成することにより、多孔性シリカの内部に界面活
性物質が含有された複合構造体である。ここで、骨格と
成る多孔性シリカ(メソポーラスシリカ)の構造は、界
面活性物質の集合構造により制御される。
種類や作製条件に応じて、棒状ミセル、層状二分子膜構
造、球状ミセル等の界面活性物質の各種の集合構造を鋳
型とし、それに応じて各種の構造の多孔性シリカを作製
するのに適用できるが、特に、シリンダー状の細孔が蜂
の巣状に配列した所謂ヘキサゴナル(六方晶)相の多孔
性シリカを得るのに好適である。図4には、後述の実施
例にも記すように、本発明に従いヘキサゴナル相を呈す
る多孔性シリカを得るのに好適な界面活性物質の例を示
している。すなわち、図4に示すように、本発明で用い
られるのに好適な界面活性物質として好ましい例は、式
(1)において、Xが第4級アンモニウムイオンを含む
カチオン性官能基または原子団から成り、Yが炭素数1
2〜18のアルキル鎖から成るものである。
表わされる界面活性物質、シリカ源、ゾルゲル反応触媒
および水を含む反応溶液を調製してゾルゲル反応を行わ
せるという簡単な方法により製造することができる。シ
リカ源としては、アルコキシド、水溶性珪酸塩、コロイ
ダルシリカなどの種々のものが使用可能であるが、ヘキ
サゴナル相の多孔性シリカを得るのに好ましいのは、テ
トラエトキシシラン(オルト珪酸テトラエチル:TEO
S)、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ンなどのアルコキシドである。ゾルゲル反応触媒とは、
アルコキシド等のシリカ源を加水分解し、重縮合させる
反応の触媒であり、酸、アルカリ、アミン等があるが、
ヘキサゴナル相の多孔性シリカを得るために既述したよ
うな界面活性物質と組合せて用いられるのに好適な触媒
は塩酸である。反応溶液には、必要に応じて混合を円滑
にするため有機溶媒を添加してもよい。ゾルゲル反応
は、軽く加熱した後、冷却してゲル生成を促進するよう
に行ってもよいが、一般的には、20〜30℃の常温下
に実施することができる。反応時間は、一般に、2〜1
0時間程度である。
シリカ源、ゾルゲル反応触媒、および水を混合するだけ
で、該溶液中で、界面活性物質が自己組織化して棒状ミ
セルのような集合構造を形成し、この界面活性物質の集
合構造を鋳型として、その周囲(表面)上で如上のゾル
ゲル反応が進行し、シリカ源が加水分解、重縮合しゲル
化することにより、界面活性物質を内包したシリカの構
造体が形成するものと考えられる。
ゲル反応が終了した後、生成したゲルをろ過し、乾燥に
供することにより、多孔性シリカの内部に界面活性物質
が含有された目的の構造体が得られる。すなわち、本発
明においては、従来の手法のように鋳型の界面活性物質
を取り除かずに、界面活性物質と多孔性シリカとから成
る複合構造体として単離する。乾燥手段は、特に限定さ
れず、真空乾燥の他、常温常圧下の自然乾燥でもよい。
乾燥後に、白色粉末として複合構造体が得られる。
では、ナノメートルサイズから数十ナノメートルサイズ
(一般に2〜50nm)の直径の細孔を有する多孔性シ
リカの内部に、界面活性物質がその分子間の相互作用を
介して集合しており、アミノ酸関連部分〔式(1)の
A〕としてオリゴペプチドを用いれば、この部分は平行
ベータシート型の集合構造をとる。図5は、ヘキサゴナ
ル相を呈する多孔性シリカの内部で界面活性物質(界面
活性剤)が集合している本発明の複合構造体を模式的に
示すものである。このような構造や特性は、X線回折分
析(XRD)、赤外分光法(FT−IR)、電子顕微
鏡、NMRなどの手段を用いて解析することにより確認
することができる(後述の実施例参照)。
料では困難であった平行ベータシート型のモデル等の生
体モデルの構築を可能にしたものである。したがって、
本発明の構造体は、例えば、平行ベータシート構造主体
の不溶性繊維構造であるベータアミロイドに起因する疾
病の診断試薬や薬剤をスクリーニングするのに有用であ
る。すなわち、ベータアミロイド構造に特異的に結合し
たり吸着するような物質、あるいはベータアミロイド構
造を壊すような物質を開発するに当たって、本発明の構
造体をベータアミロイド構造のモデル物質として、これ
と候補物質とを混合し、その結果を適当な手段で分析す
ることにより当該試薬や薬剤の一次的なスクリーニング
を行うことができる。
体的に説明するために実施例を示すが、本発明はこれら
の実施例により制限されるものではない。なお、本明細
書および図面中の化学構造式においては、慣用的な表現
法に従い、炭素原子や水素原子を省略して示しているこ
ともある。実施例1 図4に示す界面活性物質3を次のように合成した。ま
ず、L−アラニンを1当量のヘキサデシルアルコールと
1.2当量のp−トルエンスルホン酸存在下にトルエン中
で数時間環流することにより、アラニンのヘキサデシル
エステルを得た。この化合物をジクロロメタンに溶解さ
せ、2当量のトリエチルアミン存在下で1当量のブロモ
酢酸ブロミドと室温下にて反応させ、N−ブロモアセチ
ルアラニンヘキサデシルエステルを得た。この化合物を
エタノールに溶解させ、室温下で過剰量(3〜5当量)
のジメチルアリルアミンと1昼夜反応させることによ
り、界面活性剤3を得た。各段階の収率は90%前後であ
る。界面活性剤の構造の同定は、NMR法などによって
行った。界面活性剤3の分析データは次の通りである。 Mp:123.5−124.0℃.TLC: Rf 0(EtOAc).1H NMR(500 MHz,
DMSO−d6):δ9.00(NH,d, J= 6.5 Hz, 1H), 4.30(α-C
H, m, 1H), 4.12(N+CH2, s, 2H), 4.05(COOCH2,m, 2
H), 3.21(N+CH3, s, 9H), 1.55(COOCH2CH2, m, 2H),
1.31(CH3 in Ala, d, J = 7.5 Hz, 3H), 1.23(CH2 in a
liphatic chain, m, 26H), 0.84(CH3 in aliphatic cha
in, t, J = 7.0 Hz, 3H)。 次に、この界面活性物質3、水、濃塩酸、オルト珪酸テ
トラエチル(TEOS)をそれぞれ、0.12mmol、121mmo
l、8.2mmol、0.96mmol混合し、室温下で4時間反応させ
て白色粉末を得た。この粉末をろ過後乾燥して、アラニ
ン残基を充填した多孔性シリカを得た。さらに、このア
ラニン充填シリカを550℃で6時間焼結(焼成)し、アラ
ニン残基を取り除いた多孔性シリカも比較試料として合
成した。これらの2つの物質をXRDおよびFT−IR
にて分析した。その結果を図6および図7に示した。X
RDの結果(図6)から、焼結処理の有無にかかわら
ず、ヘキサゴナルに孔が配列したことを示すピークが見
られた。焼結操作によって、孔径等に若干の変化が得ら
れるものの、ヘキサゴナルに配列したシリカの多孔骨格
が安定に得られていることが確認された。FT−IR
(図7)では、焼結前の物質について、アルキル鎖部分
のピークの他に、アミノ酸の存在を示すアミドのピーク
が強く観測された。これは、焼結前の物質はアミノ酸
(アラニン)を高濃度で含むことを示している。焼結操
作によってこのピークは消失することから、他の混入物
のゴーストピークではなく、シリカに担持された物質の
ピークが焼結前に観測されたことがわかった。以上か
ら、上記操作によりアラニン残基を充填した多孔性シリ
カが得られることが明かとなった。
い、アミノ酸関連残基を有する界面活性物質が充填され
た多孔性シリカを合成した。そのXRDおよびFT−I
Rの結果を表1にまとめた。得られた結果は界面活性剤
3を用いたものと同様であり、様々な側鎖や長さのアミ
ノ酸関連残基やオリゴペプチドを充填した多孔性シリカ
が本発明の方法で合成されることが明らかとなった。図
8にはシリカの孔径を示す指標であるXRDの(100)
ピークの値をアラニン型のアミノ酸残基数に対してプロ
ットしたものを示したが、アミノ酸残基数に応じた孔径
のシリカが合成されていることがわかった。
物質が充填された多孔性シリカの構造の特異性を検証す
るため、界面活性物質3,4または5単独の粉末物質と
界面活性物質充填多孔性シリカのFT−IRスペクトル
を測定した。図9は、アルキル鎖部分の振動ピーク波数
(メチレン基の非対称伸縮ピーク)をアラニン残基数に
対してプロットしたものである。界面活性物質単独の粉
末物質のピーク波数は、2920cm-1以下であり、粉末固体
はアルキル鎖が結晶状態にあることが明かである。一
方、アミノ酸関連残基を有する界面活性物質が充填され
た多孔性シリカの場合には、メチレン基の非対称伸縮ピ
ーク波数は、2920cm-1以上でありアルキル鎖がゴーシュ
コンフォメーションを含む非結晶状態にあることが示さ
れた。これは、界面活性物質が多孔性シリカのマトリッ
クスに固定化されているため、単独粉末とは異なる固体
状態をとるためと理解される。図10には、界面活性物
質の単独粉末固体のFT−IRスペクトルのアミドカル
ボニルピーク部分を示す。アラニン残基の数の増加に伴
い低波数ピークが見られ、水素結合性が強くなっている
ことが理解される。しかし、界面活性物質単独の粉末結
晶では分子の配向が全く未知であるため、これらの水素
結合が平行型ベータシート構造、逆平行型ベータシート
構造、あるいは他の集合構造であるのかは、確定できな
い。一方、アミノ酸関連残基を有する界面活性物質が充
填された多孔性シリカの場合には、多孔性シリカ内壁に
対して界面活性物質の分子が平行に並んで配向するた
め、アミノ酸関連残基の部分は、必然的に平行ベータシ
ート型の集積構造となり、したがって、これらの界面活
性物質充填多孔性シリカは、平行ベータシート構造の水
素結合性を検討する適切なモデルになり得る。界面活性
物質3,4,5から作製されたアミノ酸関連残基を有す
る界面活性物質が充填された多孔性シリカのFT−IR
スペクトルのアミドカルボニルピーク部分を図11に示
す。アラニン残基数が増えるにしたがって、ピークが低
波数にシフトしており、水素結合性が強くなっているこ
とが理解される。この結果は、アミノ酸残基が増えると
平行ベータシート型の二次構造中の水素結合が強固にな
っていくことを示し、本発明に従い界面活性物質が充填
されている多孔性シリカが平行ベータシート型水素結合
構造を検討するための良好なモデル物質になることを明
示している。
が充填された本発明の構造体が、アミロイド構造の変化
を模擬するように設計できることを示すものである。ペ
プチドのD−アミノ酸導入がアミロイド構造形成に大き
な影響を与えることが知られている。本実施例では、ア
ミノ酸関連残基としてトリアラニンを有する界面活性物
質5の4種類の異性体(不斉構造が、LLL、DLL、
LDL、LLDのもの)を用いて界面活性物質充填多孔
性シリカを合成した。それらのFT−IRスペクトルの
アミドカルボニルピーク部分を図12に示す。図に示さ
れるように、D異性体が導入された界面活性物質を充填
したシリカでは、低波数側の1542cm-1のピークが消失し
ており、D異性体を導入することにより、ベータシート
構造がより不安定になることが理解される。すなわち、
トリアラニンの一残基をD置換することにより、部分的
に破壊されたアミロイドを模擬できることがわかる。以
上の結果は、アミノ酸関連残基を有する界面活性物質を
内包している多孔性シリカから成る本発明の複合構造体
がベータアミロイド構造形成の検証のモデルになり得る
ことを示している。
シリカ)の製造方法を模式的に示す。
成するのに好ましい官能基または原子団の例の化学構造
式を示す。
成するのに好ましい官能基または原子団の例の化学構造
式を示す。
して実施例で用いられたものの化学構造式を示す。
ている本発明の複合構造体を模式的に示す。
分析(XRD)データを示す。
(FT−IR)データを示す。
クのアミノ酸残基数依存性を示す。
ル鎖の振動ピーク波数のアミノ酸残基依存性を示す。
質の幾つかについてアミドカルボニルのFT−IRピー
クを示す。
ドカルボニルのFT−IRピークを示す。
明の複合構造体についてアミドカルボニルのFT−IR
ピークを示す。
Claims (5)
- 【請求項1】 ナノメートルサイズの直径の細孔を有す
る多孔性シリカの内部に下記の式(1)で表わされる界
面活性物質が含有されていることを特徴とする複合構造
体。 【化1】 〔式(1)中、Xはカチオン性または非イオン性の親水
部を表わし、Yは脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素
から成る疎水部を表わし、Aは下記の式(2)で表わさ
れるアミノ酸残基またはその修飾体を表わす。〕 【化2】 〔式(2)中、Rは−NH−CH−CO−とともにアミ
ノ酸残基を構成する官能基または原子団を表わし、nは
1から10の整数である。〕 - 【請求項2】 多孔性シリカがヘキサゴナル相を呈して
いることを特徴とする請求項1の複合構造体。 - 【請求項3】 Xが第4級アンモニウムイオンを含むカ
チオン性官能基または原子団を表わし、Yが炭素数12
〜18のアルキル鎖を表わすことを特徴とする請求項2
の複合構造体。 - 【請求項4】 請求項1の複合構造体を製造する方法で
あって、式(1)で表わされる界面活性物質、シリカ
源、ゾルゲル反応触媒および水を含む反応溶液を調製し
てゾルゲル反応を行い、生じたゲルをろ過した後、乾燥
することを特徴とする方法。 - 【請求項5】 界面活性物質として式(1)においてX
が第4級アンモニウムイオンを含むカチオン性官能基ま
たは原子団であり、Yが炭素数12〜18のアルキル鎖
であるものを用い、シリカ源としてアルコキシドを用
い、ゾルゲル反応触媒として塩酸を用いることを特徴と
する請求項4の複合構造体の製造方法。
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