JP2003246152A - 顕色剤およびこれを含む感熱記録材料 - Google Patents

顕色剤およびこれを含む感熱記録材料

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JP2003246152A JP2002046995A JP2002046995A JP2003246152A JP 2003246152 A JP2003246152 A JP 2003246152A JP 2002046995 A JP2002046995 A JP 2002046995A JP 2002046995 A JP2002046995 A JP 2002046995A JP 2003246152 A JP2003246152 A JP 2003246152A
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册雄 大井
Norio Yanase
典男 柳瀬
Yasuhisa Tsutsumi
安久 堤
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Konishi Chemical Ind Co Ltd
Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発色感度が高く、地肌の白色度に優れると共
に、発色画像および地肌の保存安定性、特に、耐湿熱
性、耐水性、耐可塑剤性および耐熱性に優れた感熱記録
材料、および、該感熱記録材料に好適に用いることがで
きる顕色剤を提供する。 【解決手段】 4,4’−ジヒドロキシジフェニルスル
ホンと2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの
混合物を主成分として含み、上記両化合物の重量比が9
0:10〜10:90の範囲内であり、かつ、上記混合
物の溶解色のハーゼン値が400未満である顕色剤と、
発色性染料とを分散媒に分散させることにより分散液を
調製した後、該分散液を支持体上に塗布して乾燥させる
ことにより、支持体上に顕色剤と発色性染料とを含む感
熱発色層を有する感熱記録材料を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、4,4’−ジヒド
ロキシジフェニルスルホンと2,4’−ジヒドロキシジ
フェニルスルホンとの混合物を主成分として含む顕色
剤、および、該顕色剤を含む感熱記録材料に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来より、顕色剤と発色性染料とを含む
感熱発色層を有する感熱記録紙(感熱記録材料)は、フ
ァクシミリ等の情報通信装置やプリンタ等の情報記録装
置に代表される各種機器の記録紙(出力用紙)として広
く利用されている。該感熱記録紙には、発色感度(発色
性)が高いこと、長期間保存ができるように発色画像お
よび地肌(発色画像が形成されていない部分)の堅牢度
が高いこと(経時変化が小さいこと)等の各種性能が要
求されている。
【0003】そして、顕色剤としては、4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルスルホンを主成分として含む顕色剤
や、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを主成
分として含む顕色剤が広く用いられている。ところが、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを顕色剤と
して用いた感熱記録紙は、発色感度が低く、また、発色
画像の保存安定性に劣るという問題点を有している。ま
た、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを顕色
剤として用いた感熱記録紙は、長期間にわたる保存安定
性、特に、発色画像の耐可塑剤性(耐油性)に劣るとい
う問題点を有している。
【0004】これに対し、特開2001−260544
号公報や特開2001−293964号公報には、4,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンと2,4’−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホンとの混合物、および、増
感剤を含む感熱発色層を有する感熱記録材料が開示され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に記載の感熱記録材料は、発色感度や耐可塑剤性につ
いては性能の向上は認められるものの、地肌の白色度、
および地肌の保存安定性、特に地肌の耐熱性に劣るとい
う問題点を有している。つまり、上記公報に記載の感熱
記録材料は、実用上、充分に満足の得られる程度にま
で、地肌の保存安定性が向上されていない。
【0006】また、現在市販されている感熱記録紙は、
長期間保存すると発色画像が薄くなって見え難くなる
等、経時変化が大きい。つまり、現在市販されている感
熱記録紙は、該感熱記録紙に要求される上記各種性能を
充分に満足することができないという問題点を有してい
る。従って、発色感度が高く、地肌の白色度に優れると
共に、発色画像および地肌の保存安定性に優れた感熱記
録材料、および、該感熱記録材料に好適に用いることが
できる顕色剤が求められている。
【0007】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その主たる目的は、発色感度が高く、地
肌の白色度に優れると共に、発色画像および地肌の保存
安定性に優れた感熱記録材料、および、該感熱記録材料
に好適に用いることができる顕色剤を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願発明者は、上記の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、4,4’−ジヒドロ
キシジフェニルスルホンと2,4’−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホンとの混合物の溶解色のハーゼン値と、上
記両化合物を特定の重量比でかつ主成分として含む顕色
剤の各種性能との間に、その機構(因果関係)は明らか
ではないものの、相関関係があることを見い出した。そ
して、従来全く知られていなかった該知見に基づき、特
定の範囲内の重量比で混合され、かつ、溶解色のハーゼ
ン値が特定の範囲内である4,4’−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホンと2,4’−ジヒドロキシジフェニルス
ルホンとの混合物を主成分として含む顕色剤を用いた感
熱記録材料が、発色感度が高く、地肌の白色度に優れる
と共に、発色画像および地肌の保存安定性に優れている
ことを確認して、本発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明の顕色剤は、上記の課題を解
決するために、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスル
ホンと2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの
混合物を主成分として含み、上記両化合物の重量比が9
0:10〜10:90の範囲内であり、かつ、上記混合
物の溶解色のハーゼン値が400未満であることを特徴
としている。
【0010】また、本発明の顕色剤は、上記の課題を解
決するために、上記構成に加えて、上記重量比が75:
25〜35:65の範囲内であることがより好ましい。
【0011】上記の構成によれば、顕色剤は、特定の範
囲内の重量比で混合され、かつ、溶解色のハーゼン値が
特定の範囲内である4,4’−ジヒドロキシジフェニル
スルホンと2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン
との混合物を主成分として含んでいる。これにより、発
色感度が高く、地肌の白色度に優れると共に、発色画像
および地肌の保存安定性、特に、耐湿熱性、耐水性、耐
可塑剤性および耐熱性に優れた感熱記録材料を得るのに
好適な顕色剤を提供することができる。
【0012】本発明の分散液は、上記の課題を解決する
ために、上記の顕色剤と、発色性染料とを分散媒に分散
させてなることを特徴としている。それゆえ、発色感度
が高く、地肌の白色度に優れると共に、発色画像および
地肌の保存安定性、特に、耐湿熱性、耐水性、耐可塑剤
性および耐熱性に優れた感熱記録材料を得るのに好適な
顕色剤を含んだ分散液を提供することができる。
【0013】本発明の感熱記録材料は、上記の課題を解
決するために、支持体上に顕色剤と発色性染料とを含む
感熱発色層を有する感熱記録材料であって、上記顕色剤
が、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンと2,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの混合物を主
成分として含み、上記両化合物の重量比が90:10〜
10:90の範囲内であり、かつ、上記混合物の溶解色
のハーゼン値が400未満であることを特徴としてい
る。
【0014】上記の構成によれば、顕色剤は、特定の範
囲内の重量比で混合され、かつ、溶解色のハーゼン値が
特定の範囲内である4,4’−ジヒドロキシジフェニル
スルホンと2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン
との混合物を主成分として含んでいる。これにより、発
色感度が高く、地肌の白色度に優れると共に、発色画像
および地肌の保存安定性、特に、耐湿熱性、耐水性、耐
可塑剤性および耐熱性に優れた感熱記録材料を提供する
ことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について説
明すれば、以下の通りである。
【0016】本発明にかかる感熱記録材料は、支持体上
に顕色剤と発色性染料とを含む感熱発色層を有し、該顕
色剤が、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン
「HO−C6 4 −SO2 −C6 4 −OH(4,4’
−ビスフェノールS)」と、2,4’−ジヒドロキシジ
フェニルスルホン「HO−C6 4 −SO2 −C6 4
−OH(2,4’−ビスフェノールS)」との混合物を
主成分として含み、上記4,4’−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンと2,4’−ジヒドロキシジフェニルスル
ホンとの重量比が90:10〜10:90の範囲内であ
り、かつ、上記混合物の溶解色のハーゼン値が400未
満に調節されている構成である。
【0017】本発明にかかる溶解色のハーゼン値とは、
JIS K 4101に記載の色数試験方法に準じて測
定される、上記混合物の溶解色のハーゼン値のことであ
る。測定方法(測定条件)は以下の通りである。
【0018】即ち、先ず、アセトン(試薬特級)と水と
を容量比80:20で混合してアセトン水溶液を調製す
る。次に、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン
と2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの混合
物5gを秤量して比色管Aに入れた後、該比色管Aに上
記アセトン水溶液を入れ、該混合物を溶解させると共
に、標線(50ml)に合わせる。このとき、目視にて
観察し、比色管A内に異物の無いことを確認する。一
方、アセトン水溶液を比色管Bに入れ、ブランクとす
る。次いで、ハーゼン測定器に上記比色管A・Bをセッ
トし、ハーゼン標準比色液(JIS K 4101に基
づく)と比較することにより、ハーゼン測定値を測定す
る。そして、このハーゼン測定値を溶解色のハーゼン値
(10%)とする。
【0019】本発明にかかる4,4’−ジヒドロキシジ
フェニルスルホンと2,4’−ジヒドロキシジフェニル
スルホンとの混合物(以下、単に混合物と記す)は、特
公平7−119195号公報や特開平10−25277
号公報に開示されているように、例えば、フェノール
と、スルホン化剤としてのp−フェノールスルホン酸お
よび/またはo−フェノールスルホン酸との脱水反応、
或いは、フェノールとスルホン化剤としての硫酸との脱
水反応によって安価に製造することができる。反応温度
や反応時間等の反応条件は、脱水反応が完結するように
適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0020】脱水反応を行った後、晶析、濾過、乾燥等
の各種操作を行うことにより、混合物を取り出すことが
できる。上記操作を行うことにより、2,4’−ジヒド
ロキシジフェニルスルホンを50重量%以下含有する混
合物が得られる。
【0021】そして、得られた混合物に対して、必要に
応じてさらに晶析、濾過、脱色、再結晶等の通常の各種
精製操作を適宜行うことにより、該混合物の溶解色のハ
ーゼン値を任意の値に、つまり、400未満に調節する
ことができる。また、上記各種精製操作を適宜行うこと
により、必要に応じて、4,4’−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンと2,4’−ジヒドロキシジフェニルスル
ホンとをそれぞれ単離することができる。それゆえ、こ
れら単離された化合物を適宜添加することにより、4,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンと2,4’−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホンとの重量比を任意の値
に、即ち、90:10〜10:90の範囲内に、より好
ましくは75:25〜35:65の範囲内に調節するこ
とができる。つまり、本発明における「混合物」の範疇
には、上述した各種操作によって反応液から取り出した
混合物の他に、該混合物に4,4’−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホンまたは2,4’−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホンを添加してその重量比を調節してなる混合
物、並びに、単離された4,4’−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホンと2,4’−ジヒドロキシジフェニルスル
ホンとを上記の重量比となるように混合してなる混合物
が含まれる。
【0022】4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ンの割合が上記範囲を超える混合物を主成分として含む
顕色剤を用いると、感熱記録材料の発色感度が著しく低
下すると共に、発色画像の保存安定性が著しく低下す
る。また、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン
の割合が上記範囲を下回る混合物を主成分として含む顕
色剤を用いると、感熱記録材料の発色画像および地肌の
保存安定性、特に、耐可塑剤性が著しく低下する。
【0023】従って、上記の混合物は、4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルスルホンと2,4’−ジヒドロキシ
ジフェニルスルホンとの重量比が90:10〜10:9
0の範囲内であり、かつ、溶解色のハーゼン値が400
未満に調節されていればよく、その製造方法や製造条件
(反応条件)は、特に限定されるものではない。これに
より、顕色剤に好適な混合物が得られる。溶解色のハー
ゼン値が400以上の混合物を含む顕色剤を用いると、
感熱記録材料の地肌の白色度が著しく低下すると共に、
地肌の保存安定性、特に、地肌の耐熱性が著しく低下す
る。
【0024】また、本発明にかかる顕色剤は、上記の混
合物を主成分として含んでいればよく、その調製方法
は、特に限定されるものではない。これにより、発色感
度が高く、地肌の白色度に優れると共に、発色画像およ
び地肌の保存安定性、特に、耐湿熱性、耐水性、耐可塑
剤性および耐熱性に優れた感熱記録材料を得るのに好適
な顕色剤が得られる。
【0025】そして、上記の混合物を主成分として含む
顕色剤と、発色性染料とを分散媒に分散させてなる分散
液を、支持体上に塗布して乾燥させることにより、感熱
発色層を形成することができる。即ち、支持体上に顕色
剤と発色性染料とを含む感熱発色層を有する感熱記録材
料を製造することができる。
【0026】発色性染料としては、具体的には、例え
ば、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7
−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジ−n−ブチル
アミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−
{N−エチル−N−(イソブチル)アミノ}−6−メチ
ル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジペンチ
ルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3
−(N,N−ジ−n−ブチルアミノ)−6−メチル−7
−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N,N−
ジ−n−ブチルアミノ)−7−(o−クロロアニリノ)
フルオラン、3−{N−エチル−N−(p−トリル)ア
ミノ}−6−メチル−7−アニリノフルオラン等のフル
オラン系染料;3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェ
ニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(p−ジメ
チルアミノフェニル)−3−(2−フェニル−3−イン
ドリル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニ
ル)−3−(1,2−ジメチル−3−インドリル)フタ
リド、3,3−ビス(9−エチル−3−カルバゾリル)
−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フ
ェニル−3−インドリル)−5−ジメチルアミノフタリ
ド等のトリアリルメタン系染料;4,4’−ビスジメチ
ルアミノベンズヒドリドベンジルエーテル等のジフェニ
ルメタン系染料;ベンゾイルロイコメチレンブルー等の
チアジン系染料(フェノチアジン系染料);3−メチル
スピロジナフトピラン等のスピロ系染料(スピロピラン
系染料);ラクタム系染料;ロイコオーラミン系染料;
インドリン系染料;インジゴ系染料;等のロイコ染料が
挙げられるが、常温で無色或いは淡色であり、加熱され
たときに酸性物質である顕色剤と反応することによって
発色することができる染料であればよく、特に限定され
るものではない。これら発色性染料は、一種類のみを用
いてもよく、二種類以上を用いてもよい。
【0027】本発明において、顕色剤に占める混合物の
割合は、95重量%以上であることが特に好ましい。顕
色剤における混合物以外の成分(化合物)としては、具
体的には、例えば、p−オクチルフェノール、p−t−
ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−ヒド
ロキシアセトフェノン、α−ナフトール、p−第三オク
チルカテコール、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、
1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2
−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ
−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アリ
ル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,4
−ジヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニルエーテル)ビス{2−(4−ヒドロキ
シフェニルチオ)エトキシ}メタン、4−(4−イソプ
ロポキシベンゼンスルホニル)フェノール、4−ヒドロ
キシフタル酸ジメチル、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)酢酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、
3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸等のフェノール類;
安息香酸、フタル酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸
類;サリチル酸亜鉛等の芳香族カルボン酸金属塩類;等
が挙げられるが、加熱されたときに発色性染料と反応す
ることができる化合物であればよく、特に限定されるも
のではない。これら化合物は、必要に応じて、一種類の
みを用いてもよく、二種類以上を用いてもよい。
【0028】発色性染料に対する顕色剤の使用量は、発
色性染料や顕色剤の種類並びに組み合わせ等に応じて設
定すればよく、特に限定されるものではないが、発色性
染料1重量部に対して顕色剤0.5〜6重量部の範囲内
がより好ましく、1〜2.5重量部の範囲内がさらに好
ましい。
【0029】分散媒は、顕色剤と発色性染料とを分散さ
せることができる化合物であればよく、特に限定される
ものではないが、ポリビニルアルコール、ラテックス、
メチルセルロース等のいわゆる水溶性バインダーが好適
である。
【0030】分散液は、必要に応じて増感剤をさらに含
んでいてもよい。つまり、分散液を用いて形成される感
熱発色層は、感熱記録材料に所望される各種性能を損な
わない限りにおいて、発色感度をより向上させるため
に、必要に応じて増感剤をさらに含んでいてもよい。該
増感剤としては、融点が50〜150℃の範囲内である
化合物が好適であり、具体的には、例えば、ステアリン
酸アミド、パルミチン酸アミド、リノール酸アミド、ス
テアリン酸アニリド等の含窒素化合物;4−ヒドロキシ
安息香酸ベンジルエステル、4−ベンジルオキシ安息香
酸ベンジルエステル、2−ナフトエ酸フェニルエステ
ル、2−ナフトエ酸ベンジルエステル、1−ヒドロキシ
−2−ナフトエ酸フェニルエステル、シュウ酸ジベンジ
ルエステル、シュウ酸ジ(4−メチルベンジルエステ
ル)、テレフタル酸ジベンジルエステル、イソフタル酸
−n−ブチルエステル、p−トルエンスルホン酸フェニ
ルエステル等のエステル化合物;4−ベンジルビフェニ
ル、m−ターフェニル、1,2−ビス(3,4−ジメチ
ルフェニル)エタン、1,2−ビス(2,4−ジメチル
フェニル)エタン、1,2−ビス(2,4,5−トリメ
チルフェニル)エタン等の芳香族化合物;2−ベンジル
オキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、
1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ジフェノキシベ
ンゼン、1,4−ジフェノキシベンゼン、4−(4’−
メチルフェノキシ)ビフェニル、ジフェニルスルホン、
4−メチルジフェニルスルホン、4,4’−ジイソプロ
ポキシジフェニルスルホン、4,4’−ジフェノキシジ
フェニルチオエーテル、ベンジル−4−メチルチオフェ
ニルエーテル、1,2−ビス(フェノキシメチル)ベン
ゼン等のエーテル化合物や含硫黄化合物;4−アセチル
ビフェニル;等が挙げられるが、特に限定されるもので
はない。これら増感剤は、必要に応じて、一種類のみを
用いてもよく、二種類以上を用いてもよい。顕色剤や発
色性染料に対する増感剤の使用量は、特に限定されるも
のではない。
【0031】また、分散液は、必要に応じて炭酸カルシ
ウム等の白色顔料、或いは、カオリン、クレー等の填
料、分散助剤、酸化防止剤、保存安定剤、消泡剤等の添
加剤をさらに含んでいてもよい。つまり、分散液を用い
て形成される感熱発色層は、感熱記録材料に所望される
各種性能を損なわない限りにおいて、各種性能や取り扱
い性をより向上させるために、必要に応じて上記添加剤
をさらに含んでいてもよい。顕色剤や発色性染料に対す
る添加剤の使用量は、特に限定されるものではない。
【0032】また、本発明にかかる感熱記録材料は、必
要に応じて、感熱発色層の他に、断熱層等のアンダーコ
ート層や、保護層等のオーバーコート層をさらに有して
いてもよい。
【0033】本発明にかかる分散液は、混合物を主成分
として含む顕色剤と、発色性染料と、必要に応じて上記
増感剤や添加剤とを分散媒に分散させることによって得
られる。分散液の調製方法としては、例えば、顕色剤を
含む分散液と、発色性染料を含む分散液とを別々に調製
した後、両者を混合する方法が挙げられる。増感剤や添
加剤は、顕色剤を含む分散液に添加してもよく、発色性
染料を含む分散液に添加してもよく、両者に添加しても
よく、或いは、顕色剤を含む分散液や発色性染料を含む
分散液とは別個に、増感剤や添加剤を含む分散液を調製
した後、互いに混合してもよい。顕色剤を含む分散液
は、分散媒に顕色剤を添加した後、例えばボールミル、
サンドミル、アトライタ、コロイダルミル、サンドグラ
イディングミル等の分散機を用いて、該顕色剤の粒子径
が3μm以下、より好ましくは1.5μm以下となるよ
うに粉砕(湿式粉砕)しながら分散させることによって
得ることができる。発色性染料を含む分散液や、増感剤
や添加剤を含む分散液も、同様の手法で得ることができ
る。分散液における顕色剤や発色性染料の濃度は、特に
限定されるものではなく、顕色剤や発色性染料、分散媒
の種類、これらの組み合わせ、或いは支持体上への分散
液の塗布方法等を考慮に入れて、最適な濃度となるよう
に適宜設定すればよい。尚、分散液の具体的な調製方法
は、特に限定されるものではない。
【0034】支持体としては、具体的には、例えば、上
質紙等の紙や高分子フィルム等が挙げられる。従って、
感熱記録材料としては、感熱記録紙、つまり、ファクシ
ミリ等の情報通信装置やプリンタ等の情報記録装置に代
表される各種機器の記録紙(出力用紙)、POS(point
of sales)情報管理システム用バーコードラベル、各種
チケット、カード等が挙げられる。
【0035】分散液を支持体上に塗布して乾燥させる方
法、つまり、感熱発色層を形成する方法は、特に限定さ
れるものではなく、従来公知の種々の方法を採用するこ
とができる。また、支持体単位面積当たりの分散液の塗
布量も、特に限定されるものではない。これにより、発
色感度が高く、地肌の白色度に優れると共に、発色画像
および地肌の保存安定性に優れた感熱記録材料を提供す
ることができる。
【0036】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものではない。感熱記録紙の発色感度および保
存安定性は、発色画像および地肌の動的発色試験、耐湿
熱性試験、耐可塑剤性試験および耐熱性試験を行うこと
によって評価した。
【0037】〔動的発色試験〕印字試験機(大倉電気株
式会社製)を使用して、24V,1.0msの条件下で
動的発色試験を行い、感熱記録紙に発色画像(印字部)
を形成した。そして、マクベス反射濃度計(RD−91
4)を用いて、上記感熱記録紙の発色画像および地肌の
発色濃度を測定(測色)した。
【0038】感熱記録紙は、発色画像の発色濃度が大き
い程、発色感度に優れていると評価することができ、地
肌の発色濃度が小さい程、地肌の白色度に優れていると
評価することができる。
【0039】〔耐湿熱性試験〕動的発色試験を行った後
の感熱記録紙を、50℃,相対湿度90%の恒温恒湿器
に24時間保持した。その後、マクベス反射濃度計(R
D−914)を用いて、該感熱記録紙の発色画像および
地肌の発色濃度を測定した。
【0040】感熱記録紙は、試験の前後における上記発
色濃度の変化が小さい程、耐湿熱性に優れていると評価
することができる。
【0041】〔耐可塑剤性試験〕動的発色試験を行った
後の感熱記録紙の全面に、ポリ塩化ビニル製のフィルム
(ラップ)を密着させた。次いで、該感熱記録紙を、4
0℃の乾燥器に24時間保持した。その後、マクベス反
射濃度計(RD−914)を用いて、該感熱記録紙の発
色画像および地肌の発色濃度を測定した。
【0042】感熱記録紙は、試験の前後における上記発
色濃度の変化が小さい程、耐可塑剤性に優れていると評
価することができる。
【0043】〔耐熱性試験〕動的発色試験を行った後の
感熱記録紙を、80℃の恒温乾燥器に24時間保持し
た。その後、マクベス反射濃度計(RD−914)を用
いて、該感熱記録紙の発色画像および地肌の発色濃度を
測定した。
【0044】感熱記録紙は、試験の前後における上記発
色濃度の変化が小さい程、耐熱性に優れていると評価す
ることができる。
【0045】従って、上記各試験の評価が高くかつバラ
ンスがよい程、感熱記録紙は、発色感度および保存安定
性に優れていると評価することができる。
【0046】〔実施例1〕重量比75:25で混合した
ときの混合物の溶解色のハーゼン値が100である4,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンと2,4’−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホンとを顕色剤として用い
た。
【0047】先ず、3−(N,N−ジ−n−ブチルアミ
ノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン(発色性染
料)20gと、ポリビニルアルコール10重量%水溶液
100gとを混合し、ボールミルを用いて粉砕しながら
分散させることにより、平均粒子径が0.8μmである
分散液aを調製した。
【0048】一方、4,4’−ジヒドロキシジフェニル
スルホン20gと、ポリビニルアルコール10重量%水
溶液100gとを混合し、ボールミルを用いて粉砕しな
がら分散させることにより、平均粒子径が0.8μmで
ある分散液bを調製した。
【0049】さらに、2,4’−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホン20gと、ポリビニルアルコール10重量%
水溶液100gとを混合し、ボールミルを用いて粉砕し
ながら分散させることにより、平均粒子径が0.8μm
である分散液cを調製した。
【0050】また、4−アセチルビフェニル(増感剤)
20gと、ポリビニルアルコール10重量%水溶液10
0gとを混合し、ボールミルを用いて粉砕しながら分散
させることにより、平均粒子径が0.8μmである分散
液dを調製した。
【0051】そして、上記分散液a〜dを重量比5:
7.5:2.5:10で混合することにより混合液20
0gを調製した後、この混合液に炭酸カルシウム(白色
顔料)50gを添加して分散させることにより、感熱発
色層を形成するための分散液を調製した。従って、上記
分散液における4,4’−ジヒドロキシジフェニルスル
ホンと2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの
重量比は、75:25である。
【0052】この分散液を、乾燥後の塗布量が6g/m
2 となるように上質紙(支持体)に塗布して乾燥させる
ことにより、該上質紙上に感熱発色層を形成した。即
ち、本発明にかかる感熱記録紙(感熱記録材料)を得
た。
【0053】得られた感熱記録紙を用いて、前記各試験
を行った。結果を表1に示す。該感熱記録紙は、発色感
度が高く、地肌の白色度に優れると共に、発色画像およ
び地肌の保存安定性に優れていた。
【0054】〔実施例2〕重量比35:65で混合した
ときの混合物の溶解色のハーゼン値が20である4,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンと2,4’−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホンとを顕色剤として用い
た。
【0055】そして、分散液a〜dを重量比5:3.
5:6.5:10で混合した以外は、実施例1の操作と
同様の操作を行うことにより、感熱記録紙を得た。従っ
て、分散液における4,4’−ジヒドロキシジフェニル
スルホンと2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン
との重量比は、35:65である。
【0056】得られた感熱記録紙を用いて、前記各試験
を行った。結果を表1に示す。該感熱記録紙は、発色感
度が高く、地肌の白色度に優れると共に、発色画像およ
び地肌の保存安定性に優れていた。
【0057】〔実施例3〕重量比35:65で混合した
ときの混合物の溶解色のハーゼン値が300である4,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンと2,4’−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホンとを顕色剤として用い
た。
【0058】そして、分散液a〜dを重量比5:3.
5:6.5:10で混合した以外は、実施例1の操作と
同様の操作を行うことにより、感熱記録紙を得た。従っ
て、分散液における4,4’−ジヒドロキシジフェニル
スルホンと2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン
との重量比は、35:65である。
【0059】得られた感熱記録紙を用いて、前記各試験
を行った。結果を表1に示す。該感熱記録紙は、発色感
度が高く、地肌の白色度に優れると共に、発色画像およ
び地肌の保存安定性に優れていた。
【0060】〔比較例1〕重量比35:65で混合した
ときの混合物の溶解色のハーゼン値が500である4,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンと2,4’−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホンとを顕色剤として用い
た。
【0061】そして、分散液a〜dを重量比5:3.
5:6.5:10で混合した以外は、実施例1の操作と
同様の操作を行うことにより、比較用の感熱記録紙を得
た。従って、分散液における4,4’−ジヒドロキシジ
フェニルスルホンと2,4’−ジヒドロキシジフェニル
スルホンとの重量比は、35:65である。
【0062】得られた比較用の感熱記録紙を用いて、前
記各試験を行った。結果を表1に示す。該感熱記録紙
は、混合物の溶解色のハーゼン値が400以上であるの
で、地肌の白色度に劣ると共に、地肌の保存安定性、特
に、地肌の耐熱性に劣っていた。
【0063】〔比較例2〕溶解色のハーゼン値が50で
ある4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを顕色
剤として用いた。つまり、2,4’−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホンを用いなかった。
【0064】そして、分散液a,b,dを重量比5:1
0:10で混合した以外は、実施例1の操作と同様の操
作を行うことにより、比較用の感熱記録紙を得た。
【0065】得られた比較用の感熱記録紙を用いて、前
記各試験を行った。結果を表1に示す。該感熱記録紙
は、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンと2,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの混合物を用
いていないので、発色感度に著しく劣ると共に、発色画
像の保存安定性に著しく劣っていた。
【0066】〔比較例3〕溶解色のハーゼン値が50で
ある2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを顕色
剤として用いた。つまり、4,4’−ジヒドロキシジフ
ェニルスルホンを用いなかった。
【0067】そして、分散液a,c,dを重量比5:1
0:10で混合した以外は、実施例1の操作と同様の操
作を行うことにより、比較用の感熱記録紙を得た。
【0068】得られた比較用の感熱記録紙を用いて、前
記各試験を行った。結果を表1に示す。該感熱記録紙
は、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンと2,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの混合物を用
いていないので、発色画像の保存安定性に著しく劣って
いた。
【0069】
【表1】
【0070】
【発明の効果】本発明の顕色剤は、以上のように、4,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンと2,4’−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホンとの混合物を主成分とし
て含み、上記両化合物の重量比が90:10〜10:9
0の範囲内であり、かつ、上記混合物の溶解色のハーゼ
ン値が400未満である構成である。
【0071】また、本発明の顕色剤は、以上のように、
上記構成に加えて、上記重量比が75:25〜35:6
5の範囲内である構成である。
【0072】これにより、発色感度が高く、地肌の白色
度に優れると共に、発色画像および地肌の保存安定性、
特に、耐湿熱性、耐水性、耐可塑剤性および耐熱性に優
れた感熱記録材料を得るのに好適な顕色剤を提供するこ
とができるという効果を奏する。
【0073】本発明の分散液は、以上のように、上記の
顕色剤と、発色性染料とを分散媒に分散させてなる構成
である。これにより、発色感度が高く、地肌の白色度に
優れると共に、発色画像および地肌の保存安定性、特
に、耐湿熱性、耐水性、耐可塑剤性および耐熱性に優れ
た感熱記録材料を得るのに好適な顕色剤を含んだ分散液
を提供することができるという効果を奏する。
【0074】本発明の感熱記録材料は、以上のように、
支持体上に顕色剤と発色性染料とを含む感熱発色層を有
する感熱記録材料であって、上記顕色剤が、4,4’−
ジヒドロキシジフェニルスルホンと2,4’−ジヒドロ
キシジフェニルスルホンとの混合物を主成分として含
み、上記両化合物の重量比が90:10〜10:90の
範囲内であり、かつ、上記混合物の溶解色のハーゼン値
が400未満である構成である。
【0075】これにより、発色感度が高く、地肌の白色
度に優れると共に、発色画像および地肌の保存安定性、
特に、耐湿熱性、耐水性、耐可塑剤性および耐熱性に優
れた感熱記録材料を提供することができるという効果を
奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柳瀬 典男 和歌山県和歌山市小雑賀3丁目4番77号 小西化学工業株式会社内 (72)発明者 堤 安久 福岡県北九州市戸畑区大字中原先の浜46− 80 新日鐵化学株式会社内 Fターム(参考) 2H026 AA07 BB30 BB39

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホ
    ンと2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの混
    合物を主成分として含み、上記両化合物の重量比が9
    0:10〜10:90の範囲内であり、かつ、上記混合
    物の溶解色のハーゼン値が400未満であることを特徴
    とする顕色剤。
  2. 【請求項2】上記重量比が75:25〜35:65の範
    囲内であることを特徴とする請求項1記載の顕色剤。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の顕色剤と、発色性
    染料とを分散媒に分散させてなることを特徴とする分散
    液。
  4. 【請求項4】支持体上に顕色剤と発色性染料とを含む感
    熱発色層を有する感熱記録材料であって、上記顕色剤
    が、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンと2,
    4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンとの混合物を主
    成分として含み、上記両化合物の重量比が90:10〜
    10:90の範囲内であり、かつ、上記混合物の溶解色
    のハーゼン値が400未満であることを特徴とする感熱
    記録材料。
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