JP2003240716A - 光学式計測装置 - Google Patents

光学式計測装置

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JP2003240716A JP2002038434A JP2002038434A JP2003240716A JP 2003240716 A JP2003240716 A JP 2003240716A JP 2002038434 A JP2002038434 A JP 2002038434A JP 2002038434 A JP2002038434 A JP 2002038434A JP 2003240716 A JP2003240716 A JP 2003240716A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】検出精度を確保しつつ低消費電力化を図ること
ができる光学式計測装置を提供する。 【解決手段】センサ10は、所定の周期にて所定時間だ
け二次電池50から電力の供給を受けて発光素子11か
ら被検出対象に向けて光を発するとともに被検出対象か
らの反射光を受光素子12にて受ける。減算器21は受
光素子12からの受光信号SG1に対し直流成分SG3
を減算して変動成分を抽出する。減算器21の出力信号
は増幅器22にて増幅され、その信号はA/D変換器3
6にてA/D変換される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学式計測装置に
係り、例えば、人の体の一部に装着して血液の流れ等を
電気信号にして取り出して計測する装置に適用できるも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、生体信号を検出する装置として、
携帯タイプの光学式計測装置が知られている。この装置
は被験者の腕などに装着して使用され、生体信号を検出
するセンサと、このセンサが検出した生体信号を監視装
置へ伝送する送信回路と、前記センサ及び前記送信回路
を作動させるための電力を蓄えた電池とを備えている。
【0003】ところが、被験者の健康状態を正確に監視
しようとすると、生体信号を高頻度で検出することが必
要であり、消費電力の増大を招く。生体信号検出装置
は、被験者の腕などに装着して使用されるので、容量の
大きい大型の電池を用いることは困難である。このた
め、頻繁に電池を交換する必要があり、手間がかかると
ともに運用上のコスト上昇を招いていた。
【0004】また、検出できる生体信号としては、脈拍
数、脈拍間隔といった時間軸情報が主であり、生体異常
予知に必要とされる情報、例えば、脈拍振幅の絶対値
(受光信号の絶対値)とその経時変化などの振幅の微細
変化情報の検出が困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような背
景の下になされたものであり、その目的は、検出精度を
確保しつつ低消費電力化を図ることができる光学式計測
装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】今、図6に示すように、
発光素子201に対応して受光素子202が用意され、
受光素子202と増幅器204をコンデンサ203にて
カップリング(ACカップリング)し、増幅器204の
出力信号をA/D変換器205を通して取り出す場合を
考える。図7に示すように、受光素子202の出力信号
(V1)に対し増幅器204の入力側信号(V2)はゼ
ロレベルを中心に変動することになり、この信号(V
2)が増幅器204にて増幅されて増幅信号(V3)が
得られる。
【0007】ここで、発光素子201において発光動作
させるための消費電力を少なくすべく発光素子201を
デューティ駆動することを考える。具体的には、図8に
示すように、発光素子301に流す電流をオン/オフ制
御することとし、受光素子302の出力は増幅器303
を介してA/D変換する。ところが、図9に示すよう
に、増幅器303のフルスケールが0ボルトから受光信
号の変動成分を含む幅(範囲)となり、フルスケールに
対する受光信号での変動成分の振幅としては小さいもの
しか得られずA/D変換後において精度が悪いものとな
ってしまう。換言すると、検出信号が微弱で多くの直流
成分を持っているため、そのまま増幅すると容易にフル
スケールを超えてしまう。
【0008】そこで、本発明者らは、図10に示すよう
に、受光信号(V1)を減算器403に送り、ここで、
当該受光信号(V1)に対し直流成分を減算させ、その
信号を増幅器404にて増幅することを考えた。これに
より、図11に示すように、受光信号(V1)に対し直
流成分を差し引いた信号(V2)を得て、この信号(V
2)を増幅器404で増幅する。ここで、フルスケール
に対する振幅としては大きいものが得られ、A/D変換
後においては精度のよいものとなる。
【0009】つまり、請求項1に記載の光学式計測装置
は、所定の周期にて所定時間だけ電池から電力の供給を
受けて発光素子から被検出対象に向けて光を発するとと
もに被検出対象からの反射光を受光素子にて受けるセン
サと、受光素子からの受光信号に対し直流成分を減算し
て変動成分を抽出するための減算器と、減算器の出力信
号を増幅する増幅器と、増幅器の出力信号をA/D変換
するA/D変換器と、を備えたことを特徴としている。
【0010】よって、センサの発光素子がデューティ駆
動され(所定のサンプリング周期において所定のデュー
ティ比で駆動され)、この際、電池の電力が使われる。
減算器において、受光素子からの受光信号に対し直流成
分が減算されて変動成分が抽出される。そして、減算器
の出力信号が増幅器およびA/D変換器によって増幅お
よびA/D変換される。その結果、図8に示した方式に
比較して振幅としては大きなものが得られる。また、こ
のようにして充分大きな振幅が得られることにより、デ
ューティ駆動でのサンプリング周期における発光素子の
発光時間を短くすることができる。これにより、検出精
度を確保しつつ低消費電力化を図ることができる。
【0011】また、請求項2に記載のように、A/D変
換器によるA/D変換値を用いて直流成分のレベルを補
正する直流成分補正手段を備えたものとし、請求項3に
記載のように、直流成分補正手段は、A/D変換器によ
るA/D変換値の時間的な変化をモニターしてその変化
に基づいて直流成分のレベルを補正するもの、詳しく
は、請求項4に記載のように、A/D変換値の時間的な
変化として増加傾向にあるときには、直流成分のレベル
を大きくする補正を行い、減少傾向にあるときには、直
流成分のレベルを小さくする補正を行うものとすると、
より確実に測定することが可能となる。
【0012】また、請求項5に記載のように、受光素子
からの受光信号を直接A/D変換した値を用いて直流成
分のレベルを補正する直流成分補正手段を備えたものと
し、請求項6に記載のように、直流成分補正手段は、受
光素子からの受光信号を直接A/D変換した値が予め定
めた上限値よりも大きくなった場合には直流成分のレベ
ルを大きくする補正を行い、受光素子からの受光信号を
直接A/D変換した値が予め定めた下限値よりも小さく
なった場合には直流成分のレベルを小さくする補正を行
うものとすると、受光信号が急峻に変化した場合の対応
が可能となる。
【0013】また、請求項7に記載のように、A/D変
換器によるA/D変換データに加えて直流成分データを
後段に送るようにすると、両データの総和が受光信号の
絶対値となり、振幅の微細変化情報を得ることが可能と
なる。
【0014】また、請求項8に記載のように、少なくと
もA/D変換器によるA/D変換値に基づいて発光素子
の発光強度を調整するようにし、請求項9に記載のよう
に、A/D変換器によるA/D変換値が所定の範囲から
外れる状況が継続すると、発光素子の発光強度を弱くし
たり、請求項10に記載のように、A/D変換器による
A/D変換値の時間的変化において当該A/D変換値が
所定の範囲内に入っているときは、発光素子の発光強度
を強くするようにすると、感度を自動調節することがで
きる。
【0015】また、光学式計測装置は、請求項11に記
載のように、人体の一部に装着して使用され、発光素子
は被検出対象としての血管に向かって光を発するものに
適用するとよい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、この発明を具体化した一実
施の形態を図面に従って説明する。図1には、本実施形
態における光学式計測装置の全体構成を示す。
【0017】本実施形態における光学式計測装置は生体
信号を検出するための装置であって、人体の一部、具体
的には被験者の上腕部等に装着して使用される。また、
図1に示す装置はアンテナ41を通して監視装置(図示
略)にデータを伝送することができるようになってい
る。また、この監視装置は受信装置として機能するだけ
でなく充電器としても機能し、図1に示す装置を監視装
置に取り付けることにより二次電池50を充電すること
ができるようになっている。
【0018】以下、詳しく説明していく。同装置は、セ
ンサ10とアナログ信号処理回路20とマイコン30と
送信回路40とアンテナ41と二次電池50と使用検知
素子51を備えている。
【0019】生体信号を検出するためのセンサ10は、
発光素子11と受光素子12を備えている。本実施形態
では、発光素子11として発光ダイオード(LED)を
用い、受光素子12としてフォトダイオード(PD)を
用いている。そして、発光素子(LED)11から被検
出対象である血管(皮膚)に向けて光を発するとともに
被検出対象からの反射光を受光素子(PD)12にて受
けるようになっている。発光素子11はデューティ駆動
され、所定の周期(=50ms)にて所定時間(=80
μs)だけ駆動され、それに伴ない受光素子12から受
光信号SG1が得られる。
【0020】アナログ信号処理回路20は、センサ10
の受光素子(PD)12からの信号SG1を入力してア
ナログ信号処理を行うものであり、減算器21と増幅器
22を備えている。減算器21は、受光素子12からの
受光信号SG1に対し直流成分SG3を減算して出力す
る。増幅器22は減算器21の出力信号を増幅して出力
する。
【0021】マイコン30は、信号処理回路31とCP
U(中央処理装置)32とメモリ33とパルス発生回路
34とA/D変換器35,36とD/A変換器37を備
えている。CPU32は、マイコン全体の動きを制御す
るためのものであり、センサ10の発光素子11を前述
したように所定のサンプリング周期(=50ms)にて
所定時間(=80μs)だけ駆動する。A/D変換器36
は、増幅器22の出力信号SG2をA/D変換して信号
処理回路31に送る。A/D変換器35は、受光素子1
2からの受光信号SG1を直接、A/D変換して信号処
理回路31に送る。D/A変換器37は信号処理回路3
1からのデータをD/A変換して減算器21への信号S
G3、即ち、所定の直流成分レベルを生成する。信号処
理回路31にはCPU32が接続されている。そして、
A/D変換器35,36からのA/D変換値は信号処理
回路31を通してCPU32に送られるとともに、CP
U32は信号処理回路31を通してD/A変換器37に
D/A変換する値を指令する。CPU32はメモリ33
およびパルス発生回路34と接続されている。
【0022】信号処理回路31には送信回路40が接続
され、この送信回路40にはアンテナ41が接続されて
いる。送信回路40とアンテナ41により、デジタル処
理されたデータを監視装置(図示略)へワイヤレスで伝
送することができるようになっている。
【0023】二次電池50には、全ての機器を作動させ
る電力が蓄えられ、二次電池50の電力はセンサ10
(発光素子11)とアナログ信号処理回路20とマイコ
ン30と送信回路40に供給されるようになっている。
この電力の供給にてセンサ10等の各機器を作動させる
ことができるようになる。つまり、発光素子11におい
ては、所定のサンプリング周期(=50ms)にて所定
時間(=80μs)だけ二次電池50から電力の供給を
受けて被検出対象である血管(皮膚)に向けて光を発す
る。また、二次電池50は使用感知素子51からの信号
を入力する。つまり、充電を終えた計測装置(生体信号
検出装置)を使用するために監視装置(図示略)から取
り外すと、使用感知素子51は、二次電池50から各機
器に対し電力の供給を許可する信号を出力する。
【0024】また、CPU32は二次電池50の電圧
(充電電圧)をモニターしている。次に、本測定装置の
作用について説明する。図2には、各種の波形を示す。
この図2において、受光素子(PD)12の出力信号
(受光信号)SG1と、増幅器22の出力信号SG2
と、減算器21への直流成分信号SG3を示す。
【0025】また、図3,4は、CPU32における処
理内容を示すフローチャートである。まず、図1,2を
用いて説明する。
【0026】図1のパルス発生回路34にて正確なサン
プリングタイミングが発生し、CPU32はサンプリン
グ時間になるとセンサ10の発光素子(LED)11に
電力を供給し、センシングが開始される。発光素子11
が発光すると、光が人体の皮膚を通して内部に入り毛細
血管に到達して一部が吸収されるとともに、反射散乱さ
れて皮膚内部から戻り、その戻る光が受光素子(PD)
12にて受光される。
【0027】受光素子12にて受光する光は、このよう
な毛細血管などに当たって人体内部から戻る光と、皮膚
での表面反射による光とがある。よって、図2での受光
素子12の出力信号SG1の波形として、表面反射によ
る直流成分に脈動成分(変動成分)が重畳したものが得
られる。
【0028】検出された信号SG1は、アナログ信号処
理回路20に入り、減算器21において受光素子12か
らの受光信号SG1に対して直流成分SG3が減算さ
れ、脈動成分(変動成分)が抽出される。この脈動成分
の抽出において、CPU32により、減算器21への直
流成分のレベルを補正しつつ(過去の直流成分の変化か
ら予測された直流成分データをD/A変換器37へフィ
ードバックしつつ)今回のサンプリング時の脈動成分を
取り出す方法を採っている。換言すれば、CPU(中央
処理装置)32で直流成分を計算し、アナログ信号処理
回路20にフィードバックしている。
【0029】具体的には、(i)直流成分がゆっくり変
化した場合の予測処理、および、(ii)体動やセンサ
ずれによる直流成分が急峻に変化したときに、最新の直
流成分値をただちにフィードバックしてデータの欠落を
最小限にする処理を行う。この(i),(ii)の具体
的処理については後ほど図3,4を用いて説明する。
【0030】受光素子12からの信号SG1中の脈動成
分の値は非常に微弱であるため、減算器21の出力はア
ナログ信号処理回路20内の増幅器22にて増幅され、
A/D変換器36に取り込まれ、A/D変換される。一
方、受光素子12の出力信号SG1は直接、A/D変換
器35にてA/D変換される。これらA/D変換器3
5,36にてデジタル化されたデータは信号処理回路3
1を介してCPU32に取り込まれる。
【0031】A/D変換器36を通して取り込まれたデ
ータ(脈動成分データ及び直流成分データ)およびA/
D変換器35を通して取り込まれたデータは、メモリ3
3に保存される。CPU32は、データの保存を終える
と、センサ10の発光素子(LED)11への電力供給
を停止する。その後、データの伝送処理が行われる。
【0032】このような一連の処理は具体的には次のよ
うに行われる。CPU32は、図3のステップ100で
初期設定を行う。具体的には、変数のクリア、基準サン
プリング時間データセット(20Hz)、通信ボーレー
ト設定、通信フォーマットセット等を行う。そして、C
PU32は、ステップ101において発光タイミングで
あるか判定し、発光タイミングであると、ステップ10
2で二次電池50の電圧値を読み込み、ステップ103
において電圧低下が発生していないか判定する。電圧低
下が発生していると、ステップ104で発光素子(LE
D)11の通電電流値を高く設定して必要な発光強度
(輝度)を維持する。
【0033】引き続き、CPU32は、ステップ105
において発光素子(LED)11を通電して点灯させ
る。そして、CPU32はステップ106で受光素子
(PD)12から減算器21と増幅器22を通過した信
号SG2のA/D変換値、および直接の受光信号SG1
のA/D変換値に対しデータサンプリングを行った後、
ステップ107で発光素子(LED)11での通電を終
了して消灯させる。
【0034】その後、CPU32は図4のステップ10
8,109で、受光素子12からの受光信号SG1を直
接A/D変換した値が予め定めた上限値または下限値を
外れていないか判定し、外れていないとステップ110
で当該データをメモリ33に格納する。一方、受光信号
SG1のA/D変換値が予め定めた上限値または下限値
を外れていると、ステップ111において直流成分のレ
ベルを補正する。詳しくは、直流成分補正手段としての
CPU32は、受光素子12からの受光信号SG1を直
接A/D変換した値が予め定めた上限値よりも大きくな
った場合には直流成分のレベルを大きくする補正を行
い、また、受光素子12からの受光信号SG1を直接A
/D変換した値が予め定めた下限値よりも小さくなった
場合には直流成分のレベルを小さくする補正を行う。
【0035】このステップ111の処理や後記するステ
ップ113の処理を実行することにより、次回のサンプ
リングのために直流成分のレベルが補正されることにな
る(予測計算されることになる)。
【0036】ステップ110の処理後において、CPU
32はステップ112で、A/D変換器36によるA/
D変換値が上昇傾向あるいは下降傾向にあるか判定し、
いずれかの傾向があるとステップ113において上昇率
・下降率に応じて直流成分のレベルを補正する。具体的
には、最新の32個分のデータの平均値と、その前の3
2個分のデータの平均値との差を求め、この差分に係数
をかけるたものを現在の直流成分値に加算する。
【0037】詳しくは、例えば、図5において期間T1
に示すごとくA/D変換値の時間的な変化として増加傾
向にあるときには、直流成分のレベルを大きくする補正
を行う。その結果、図5においてt1のタイミングにて
直流成分のレベルが大きくなることにより、減算器21
の出力を増幅した後の波形としては、Δ1だけレベルが
下がることになる。一方、図5において期間T2に示す
ごとく減少傾向にあるときには、直流成分のレベルを小
さくする補正を行う。その結果、図5においてt2のタ
イミングにて直流成分のレベルが小さくなることによ
り、減算器21の出力を増幅した後の波形としては、Δ
2だけレベルが上がることになる。
【0038】このように、直流成分補正手段としてのC
PU32は、A/D変換器36によるA/D変換値の時
間的な変化をモニターしてその変化に基づいて直流成分
のレベルを補正する。
【0039】図4において前述のステップ111あるい
はステップ113を処理した後、CPU32はステップ
114においてデータカウンタを1インクリメントし、
さらに、ステップ115において送信回路40を駆動し
て送信許可を与えるとともにスリープを解除する。そし
て、CPU32はステップ116で送信データをセット
する。これにより、所定のタイミングでデータが送信回
路40およびアンテナ41を通して監視装置に送られる
ことなる。その後、CPU32はステップ117で送信
禁止およびスリープ設定を行う。これが終わると、図3
のステップ100に戻る。
【0040】図4でのステップ114〜117の処理
(データ伝送処理)に関して、伝送するデータは、メモ
リ33に保存された脈動成分データと直流成分データ及
びこのサンプリングが何回目なのかを表すデータカウン
ト値の3つであり、これらデータが通信のためのフォー
マット形式に変換される。伝送開始時には、送信回路4
0がそれまでの電力低減状態(スリープモード)から解
除される。また、送信回路40が送信可能状態に設定さ
れると、データが送信回路40を通して監視装置にワイ
ヤレスで伝送される。そして、伝送が終わると送信可能
モードが解除され、次のサンプリング時間まで送信回路
40がスリープモードに設定される。
【0041】このようにして、A/D変換器36による
A/D変換データに加えて直流成分データが後段の監視
装置に無線にて送られる。一方、生体信号検出装置は、
未使用となった時に監視装置(充電器)に取り付ける
と、内蔵した充電回路より生体信号検出装置内の二次電
池50に充電を始める。
【0042】この際、充電回路は充電完了確認機能を有
しているため、過充電によって二次電池50に不具合が
発生することを防止でき、生体信号検出装置を監視装置
(充電器)に取り付けたままでも二次電池50に悪影響
を及ぼすことはない。
【0043】再度使用する場合は、監視装置(充電器)
から取り外すことで生体信号検出装置は動作をはじめ、
被験者の体の部位に装着することで検出が可能となる。
このため、電池の交換の手間がかからないとともに、運
用コストも低減できる。
【0044】ここで、光学式計測装置(生体信号検出装
置)においては、発光素子(LED)11での発光に多
くの電力が必要となる。電池交換の手間を無くすため二
次電池を採用するが、一次電池に比較してエネルギー密
度が低いため消費電力を減らす必要があり、発光素子
(LED)を点灯させるために全消費電力のうちの多く
がこれに充てられる。今、図12に示す構成とした場合
をついて考える。つまり、発光素子501と受光素子5
02とコンデンサ503を備え、コンデンサカップリン
グ(コンデンサ503)によりDC成分をカットして微
小変化量のみが通過する構成とした場合を考える。消費
電力を下げるためにはスイッチ504のオン時間(LE
D501の発光時間)を短くしていくことになる。とこ
ろが、図13に示すように、図12でのコンデンサ50
3の時定数の関係による不具合、即ち、放電時間割合が
長いと信号の電位を保持しきれないため信号精度が犠牲
になり、そのため、精度の許容値から発光時間(デュー
ティ比)を短縮できなかった。即ち、検出する生体信号
がアナログの連続値のため、発光素子(LED)501
をある程度の時間点灯させる必要があった。また、コン
デンサ503で脈波信号(V1:図13では説明上、直
線としている)から擬似脈波波形(V2)を整形してい
るため、信号精度も落ちている。このように、図12に
示す構成とした場合には、消費電力と信号精度の間がト
レードオフの関係になっている。よって、精度の許容値
から、デューティ比は20%程度となってしまう。
【0045】これに対し、図1に示す本実施形態におい
ては、センシングした脈波信号をそのままデータ処理で
きるため、デューティ比をセンシングに必要な時間のみ
(アナログ部品の伝播特性+マイコンでのA/Dの変換
時間=80[μs])に短縮することができる。つま
り、LED発光デューティ比は80[μs]/50[m
s](サンプリング周期)=0.16%となり、センサ
での消費電力を図12の構成とした場合の20%から
0.16%へ1/100以下に低減することができる。
【0046】生体信号データをメモリ33に保存した後
は、次のサンプリング時間までセンサの発光素子(LE
D)11を消灯することで、サンプリング間隔の99.
8%の時間を消灯(LEDをオフ)させることができ、
消費電力を減らすことができる。その結果、信号の精度
とは無関係に低消費電力化を実現することができる。
【0047】また、図12の構成においては、コンデン
サカップリング(コンデンサ503)によりDC成分を
カットしていること(微小変化量のみが通過)により、
生体異常予知指標等が含まれている極低周波(脈波基線
の揺らぎ)や信号の絶対値のデータが失われてしまう。
【0048】これに対し、本実施形態においては、間接
的に、脈波に含まれるDC成分(SG3)をA/D変換
器36で取り込み、マイコン30内で処理し、直流成分
データとして減算器21にフィードバックすることで、
脈波信号データ及びDC値データの収集を実現してい
る。詳しくは、脈波信号データとDC値(直流成分)デ
ータの加算により生データが得られることから、信号の
絶対値収集が可能である。つまり、アナログ信号処理回
路20の減算器21にて減算した後の微弱信号のみを増
幅し、生体信号データとしてメモリ33に保存する。こ
の時、アナログ信号処理回路20にフィードバックした
直流成分データもメモリ33に保存することで、その総
和が生体信号の絶対値となり、振幅の微細変化情報の検
出が可能となる。このことにより、図2に示すごとく、
脈波の基線の揺らぎ(挙動)を計測することが可能とな
る。
【0049】さらに、図12の構成では、脈波データの
分解能を上げるべく増幅器505において信号の増幅を
行った後、コンデンサ503により生成した擬似波形を
脈波波形形状に近づけるためにローパスフィルタ506
を通過させ(階段状の波形を滑らかに鈍らせ)、A/D
変換器507にてデータとして収集する。このため、急
峻なデータ変化において信号精度が低下する。
【0050】これに対し、本実施形態においては、生の
脈波データを扱っているため、増幅後に直接、マイコン
30に取り込むことが可能であり、高精度のデータ収集
を実現することができる。
【0051】図3,4に示すフローチャート(フィード
バックデータ処理のアルゴリズム)において、体動・セ
ンサのズレなど脈波データが急峻に変化した場合や、図
2に示す脈波基線の揺らぎでアナログデータの入力範囲
を超えてしまった場合のデータ欠落を最小限にすること
ができる。即ち、図4のステップ108,109,11
1の処理を実行することにより、急峻に変化した時の対
応が可能であり、ステップ112,113の処理を実行
することにより、上昇・下降傾向にある時の予測を行う
ことができる。その結果、より正確に測定することが可
能となる。
【0052】また、図12の構成では、脈波データ(変
化量)のみを収集しており、この収集データは処理を行
い、脈波の間隔情報(周波数)については得ることがで
きる。
【0053】本実施形態においては、脈波データ(変化
量)に加え、DC成分データの収集が可能となり、これ
により、図2に示す脈波基線の揺らぎや振幅の絶対値
(受光信号の絶対値)といった新たな情報の収集を行う
ことが可能となる。
【0054】以上説明してきたように、本実施形態にお
いては、生体信号に基づいて医師などが行う被験者の診
断の正確性を低下させることなく消費電力を減らすこと
ができ、かつ、生体信号中の振幅の微細変化情報の検出
が可能となる。また、図8に示す方式との比較において
は、振幅としては大きなものが得られ、また、このよう
にして充分大きな振幅が得られることにより、デューテ
ィ駆動でのサンプリング周期における発光素子11の発
光時間を短くすることができる。これにより、検出精度
を確保しつつ低消費電力化を図ることができる。
【0055】以下に応用例を説明する。図14に示すよ
うに、発光素子11のドライバ60において複数の抵抗
R1,R2,R3を配置し、この抵抗R1,R2,R3
を選択することにより通電電流iを可変にし、少なくと
も図1のA/D変換器36によるA/D変換値に基づい
て発光素子11の発光強度を調整するようにしてもよ
い。
【0056】詳しくは、図15に示すように、A/D変
換器36によるA/D変換値に対する上限レベルと下限
レベルが決められており、受光信号レベル(SG2)が
上限レベルに達すると直流成分のレベルを強制的に所定
値だけ下げ(現象A)、また、受光信号レベル(SG
2)が下限レベルに達すると直流成分のレベルを強制的
に所定値だけ上げる(現象B)ようにする。そして、所
定期間において、この直流成分のレベルの強制変更動作
が所定回以上続くか否か判定し(現象Aと現象Bを繰り
返して所定回以上続くか否か判定し)、所定回以上続く
ならば、発光素子11の通電電流iを小さくする(発光
強度を下げる)。これにより、脈波振幅が大きい場合に
感度を下げることができる(感度を自動調節することが
できる)。
【0057】このように、A/D変換器36によるA/
D変換値が所定の範囲から外れる状況が継続すると、発
光素子11の発光強度を弱くしてもよい。また、図16
に示すように、所定測定期間における最大値と最小値と
の差(振幅)Vpが所定以内となる場合が所定判定期間
において所定回数以上存在するならば、発光素子11の
通電電流iを大きくする(発光強度を上げる)。これに
より、脈波振幅が小さい場合に感度を上げることができ
る(感度を自動調節することができる)。
【0058】このように、A/D変換器36によるA/
D変換値の時間的変化において当該A/D変換値が所定
の範囲内に入っているときは、発光素子11の発光強度
を強くするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態における光学式計測装置の全体構成
を示す図。
【図2】作用説明のための波形を示す図。
【図3】作用説明のためのフローャート。
【図4】作用説明のためのフローチャート。
【図5】作用説明のための波形を示す図。
【図6】本発明を説明するために用いた比較のための構
成図。
【図7】本発明を説明するために用いた比較のための波
形図。
【図8】本発明を説明するために用いた比較のための構
成図。
【図9】本発明を説明するために用いた比較のための波
形図。
【図10】本発明を説明するために用いた構成図。
【図11】本発明を説明するために用いた波形図。
【図12】本発明を説明するために用いた比較のための
構成図。
【図13】本発明を説明するために用いた比較のための
波形図。
【図14】応用例を説明するための構成図。
【図15】応用例を説明するための波形図。
【図16】応用例を説明するための波形図。
【符号の説明】
10…センサ、11…発光素子、12…受光素子、20
…アナログ信号処理回路、21…減算器、22…増幅
器、30…マイコン、31…信号処理回路、32…CP
U、33…メモリ、34…パルス発生回路、35…A/
D変換器、36…A/D変換器、37…D/A変換器、
40…送信回路、41…アンテナ、50…二次電池、5
1…使用感知素子。
フロントページの続き (72)発明者 永草 誠治 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 木村 禎祐 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 Fターム(参考) 2G059 AA05 BB13 CC16 EE02 FF06 GG02 GG07 KK01 MM01 MM09 MM10 MM17 4C017 AA11 AC28 BB12 BC01 BC07 BC11 FF19

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の周期にて所定時間だけ電池(5
    0)から電力の供給を受けて発光素子(11)から被検
    出対象に向けて光を発するとともに被検出対象からの反
    射光を受光素子(12)にて受けるセンサ(10)と、 前記受光素子(12)からの受光信号(SG1)に対し
    直流成分(SG3)を減算して変動成分を抽出するため
    の減算器(21)と、 前記減算器(21)の出力信号を増幅する増幅器(2
    2)と、 前記増幅器(22)の出力信号をA/D変換するA/D
    変換器(36)と、を備えたことを特徴とする光学式計
    測装置。
  2. 【請求項2】 前記A/D変換器(36)によるA/D
    変換値を用いて前記直流成分のレベルを補正する直流成
    分補正手段(32)を備えたことを特徴とする請求項1
    に記載の光学式計測装置。
  3. 【請求項3】 前記直流成分補正手段(32)は、前記
    A/D変換器(36)によるA/D変換値の時間的な変
    化をモニターしてその変化に基づいて前記直流成分のレ
    ベルを補正するものであることを特徴とする請求項2に
    記載の光学式計測装置。
  4. 【請求項4】 前記直流成分補正手段(32)は、前記
    A/D変換値の時間的な変化として増加傾向にあるとき
    には、直流成分のレベルを大きくする補正を行い、減少
    傾向にあるときには、直流成分のレベルを小さくする補
    正を行うものであることを特徴とする請求項3に記載の
    光学式計測装置。
  5. 【請求項5】 前記受光素子(12)からの受光信号
    (SG1)を直接A/D変換した値を用いて前記直流成
    分のレベルを補正する直流成分補正手段(32)を備え
    たことを特徴とする請求項1に記載の光学式計測装置。
  6. 【請求項6】 前記直流成分補正手段(32)は、受光
    素子(12)からの受光信号(SG1)を直接A/D変
    換した値が予め定めた上限値よりも大きくなった場合に
    は直流成分のレベルを大きくする補正を行い、受光素子
    (12)からの受光信号(SG1)を直接A/D変換し
    た値が予め定めた下限値よりも小さくなった場合には直
    流成分のレベルを小さくする補正を行うものであること
    を特徴とする請求項5に記載の光学式計測装置。
  7. 【請求項7】 前記A/D変換器(36)によるA/D
    変換データに加えて直流成分データを後段に送るように
    したことを特徴とする請求項1に記載の光学式計測装
    置。
  8. 【請求項8】 少なくとも前記A/D変換器(36)に
    よるA/D変換値に基づいて前記発光素子(11)の発
    光強度を調整するようにしたことを特徴とする請求項1
    に記載の光学式計測装置。
  9. 【請求項9】 前記A/D変換器(36)によるA/D
    変換値が所定の範囲から外れる状況が継続すると、前記
    発光素子(11)の発光強度を弱くするようにしたこと
    を特徴とする請求項8に記載の光学式計測装置。
  10. 【請求項10】 前記A/D変換器(36)によるA/
    D変換値の時間的変化において当該A/D変換値が所定
    の範囲内に入っているときは、前記発光素子(11)の
    発光強度を強くするようにしたことを特徴とする請求項
    8に記載の光学式計測装置。
  11. 【請求項11】 人体の一部に装着して使用され、発光
    素子(11)は被検出対象としての血管に向かって光を
    発するものであることを特徴とする請求項1〜10のい
    ずれか1項に記載の光学式計測装置。
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