JP2003239786A - 内燃機関の空燃比制御装置、及び空燃比制御方法 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置、及び空燃比制御方法

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JP2003239786A
JP2003239786A JP2002038392A JP2002038392A JP2003239786A JP 2003239786 A JP2003239786 A JP 2003239786A JP 2002038392 A JP2002038392 A JP 2002038392A JP 2002038392 A JP2002038392 A JP 2002038392A JP 2003239786 A JP2003239786 A JP 2003239786A
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fuel ratio
air
amount
way catalyst
oxygen storage
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JP2002038392A
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English (en)
Inventor
Koji Ide
宏二 井手
Toshinari Nagai
俊成 永井
Daisuke Kobayashi
大介 小林
Naoto Kato
直人 加藤
Shuntaro Okazaki
俊太郎 岡崎
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 触媒内に貯留されるアンモニアが窒素酸化物
に転換されて排出されてしまうことを回避すること。 【解決手段】 この内燃機関の空燃比制御装置は、排気
通路に備えられた三元触媒の酸素吸蔵量OSAを推定
し、推定した酸素吸蔵量OSAが目標酸素吸蔵量OSA
refと等しくなるように機関の空燃比を制御する(時刻
t0〜t1)。また、機関の空燃比が所定のリッチ空燃
比AFRより一時的にリッチとなると、上記酸素吸蔵量
OSAが目標酸素吸蔵量OSArefと等しくなるように
行う機関の空燃比制御を中止し、所定時間だけ理論空燃
比による制御を行う(時刻t2〜t5の実線)。この結
果、アンモニアが三元触媒内に貯留している場合に、酸
素を含むリーン空燃比のガスが同三元触媒内に流入しな
いので、アンモニアが窒素酸化物に転換されず、窒素酸
化物の排出が回避される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は排気通路に三元触媒
を備えた内燃機関の空燃比制御装置、及び同内燃機関の
空燃比制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、内燃機関の排気ガスを浄化す
るため、三元触媒が内燃機関の排気通路に配設されてい
る。この三元触媒は、酸素を貯蔵するO2ストレージ機
能(以下、この機能を酸素吸蔵機能と称呼し、三元触媒
内に貯蔵される酸素量を酸素吸蔵量と称呼する。)を有
していて、流入するガスの空燃比がリッチである場合に
は貯蔵している酸素によりHC,CO等の未燃成分を酸
化するとともに、流入するガスの空燃比がリーンである
場合には窒素酸化物(NOx)を還元して同NOxの酸
素を内部に貯蔵する。これにより、三元触媒は、機関の
空燃比が理論空燃比から偏移した場合でも、未燃成分や
窒素酸化物を浄化することができる。
【0003】ところで、内燃機関の運転状態は時々刻々
変化するから、空燃比はリッチとなったり、リーンとな
ったりする。一方、三元触媒の酸素吸蔵量は、「0」か
ら最大酸素吸蔵量の間で変化する。従って、仮に、三元
触媒内の酸素吸蔵量が「0」であるときに空燃比がリッ
チとなると、三元触媒内で未燃成分を酸化することがで
きない。反対に、三元触媒内の酸素吸蔵量が最大酸素吸
蔵量であるときに空燃比がリーンとなると、三元触媒内
で窒素酸化物を還元することができない。以上のことか
ら、三元触媒内の酸素吸蔵量は最大酸素吸蔵量の半分程
度に維持されていることが好ましく、そのために、特開
平10−184425号公報に開示された空燃比制御装
置は、三元触媒の酸素吸蔵量を推定し、推定した酸素吸
蔵量が所定の酸素吸蔵量(目標酸素吸蔵量)と一致する
ように機関の空燃比を制御するようになっている。この
装置によれば、加減速運転等により機関の空燃比が一時
的にリーンとなると三元触媒内の酸素吸蔵量が増大する
ので、同機関の空燃比が直ちにリッチとなるように制御
され、他方、加減速運転等により機関の空燃比が一時的
にリッチとなると三元触媒内の酸素吸蔵量が減少するの
で、同機関の空燃比が直ちにリーンとなるように制御さ
れる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、リッチ
空燃比の混合気が内燃機関内で燃焼すると、アンモニア
(NH3)が生成され、このアンモニアは三元触媒内に
貯留された状態となり、その後、酸素吸蔵量を目標酸素
吸蔵量と一致させるための上記空燃比の制御によって酸
素を大量に含むリーン空燃比のガスが同三元触媒に流入
すると、貯留されたアンモニアが流入した過剰の酸素に
よって酸化されて窒素酸化物が生成され、同窒素酸化物
が排出されてしまうという問題が生じる。
【0005】
【本発明の概要】本発明は、上記課題に対処するために
なされたものであって、その特徴の一つは、内燃機関の
排気通路に備えられた三元触媒と、前記三元触媒の上流
の前記排気通路内に備えられた空燃比センサと、前記三
元触媒の酸素吸蔵量を算出する酸素吸蔵量算出手段と、
前記算出された酸素吸蔵量が所定の酸素吸蔵量となるよ
うに前記機関の空燃比を制御する空燃比制御手段とを具
備する内燃機関の空燃比制御装置であって、前記空燃比
制御手段は、前記空燃比センサが所定のリッチ空燃比よ
りリッチな空燃比を検出したとき、前記酸素吸蔵量算出
手段により算出される酸素吸蔵量を前記所定の酸素吸蔵
量とするために前記機関の空燃比をリーン空燃比とする
前に、同機関の空燃比を所定時間だけ理論空燃比に保持
するように構成されたことにある。なお、前記所定の酸
素吸蔵量は、三元触媒の最大酸素吸蔵量の略半分の量で
あってもよく、同半分の量を含む所定の幅を有する酸素
吸蔵量であってもよい。
【0006】これによれば、酸素吸蔵量算出手段により
三元触媒の酸素吸蔵量が算出され、算出された酸素吸蔵
量が所定の酸素吸蔵量となるように機関の空燃比が制御
される。前記所定の酸素吸蔵量は、三元触媒の最大酸素
吸蔵量の略半分程度の量であることが好適である。この
結果、例えば、機関の空燃比が理論空燃比よりリッチに
なることにより三元触媒の酸素吸蔵量が所定の酸素吸蔵
量より少なくなると、機関の空燃比はリーンに制御され
る。一方、機関の空燃比が理論空燃比よりリーンとなる
ことにより酸素吸蔵量が増大して所定の酸素吸蔵量より
多くなると、機関の空燃比はリッチに制御される。
【0007】また、機関の空燃比が所定のリッチ空燃比
よりもリッチとなったとき、機関の燃焼室内でアンモニ
アが多量に生成され、このアンモニアは三元触媒内に貯
留される。この場合においても、機関の空燃比はリッチ
であって三元触媒の酸素吸蔵量は減少するから、上記空
燃比制御手段は酸素吸蔵量を所定の酸素吸蔵量とするた
めに同機関の空燃比をリーンに制御しようとする場合が
ある。ところが、上記空燃比制御手段は、このような場
合、所定時間だけ前記機関の空燃比を理論空燃比に保持
する。この結果、三元触媒内に酸素を大量に含むリーン
空燃比のガスが流入しないので、過剰な酸素により前記
貯留されているアンモニアが窒素酸化物に転換されるこ
とが回避され、従って、窒素酸化物が大量に排出される
ことが防止され得る。
【0008】この場合、前記空燃比制御手段は、前記内
燃機関の燃焼室内で生成されたアンモニアが前記三元触
媒内で酸化されることにより生成される窒素酸化物の量
が所定量以上となるか否かを判定する判定手段を含み、
前記判定手段により前記生成される窒素酸化物の量が所
定量以上とならないと判定されるときは、前記空燃比セ
ンサが前記所定のリッチ空燃比よりリッチな空燃比を検
出したときであっても、前記機関の空燃比を前記所定時
間だけ理論空燃比に保持することなくリーン空燃比とす
るように構成されることが好適である。
【0009】これによれば、生成されたアンモニアが三
元触媒内で酸化されることにより生成される窒素酸化物
の量が僅かである場合には、同三元触媒の酸素吸蔵量を
所定の量とするために必要に応じて直ちに機関の空燃比
が(理論空燃比に保持されることなく)リーンとされる
から、酸素吸蔵量が所定の酸素吸蔵量へと速やかに近づ
く。従って、その後、更に機関の空燃比がリッチとなっ
た場合にも、同三元触媒内で未燃HC,COを確実に浄
化することができる。
【0010】また、本発明の他の特徴は、排気通路に三
元触媒を備えるとともに、前記三元触媒の上流の前記排
気通路内に空燃比センサを備えた内燃機関の空燃比制御
装置において、前記三元触媒の酸素吸蔵量を算出する酸
素吸蔵量算出手段と、前記算出された酸素吸蔵量が所定
の酸素吸蔵量となるように前記機関の空燃比を制御する
空燃比制御手段と、前記空燃比センサにより検出される
空燃比が所定のリッチ空燃比よりもリッチとなったと
き、所定時間だけ前記空燃比制御手段による前記機関の
空燃比の制御を実質的に中止するとともに、同機関の空
燃比を理論空燃比に保持する理論空燃比保持手段とを備
えたことにある。
【0011】これによれば、酸素吸蔵量算出手段により
三元触媒の酸素吸蔵量が算出され、算出された酸素吸蔵
量が前記所定の酸素吸蔵量となるように機関の空燃比が
制御される。この結果、例えば、機関の空燃比が理論空
燃比よりリッチになることにより三元触媒の酸素吸蔵量
が所定の酸素吸蔵量より少なくなると、機関の空燃比は
リーンに制御される。一方、機関の空燃比が理論空燃比
よりリーンとなることにより酸素吸蔵量が増大して所定
の酸素吸蔵量より多くなると、機関の空燃比はリッチに
制御される。
【0012】また、機関の空燃比が所定のリッチ空燃比
よりもリッチとなったとき、機関の燃焼室内でアンモニ
アが多量に生成され、このアンモニアは三元触媒内に貯
留される。この場合においても、機関の空燃比はリッチ
であって三元触媒の酸素吸蔵量は減少するから、上記空
燃比制御手段は酸素吸蔵量を所定の酸素吸蔵量とするた
めに同機関の空燃比をリーンに制御しようと機能する。
ところが、上記理論空燃比保持手段は、所定時間だけ、
酸素吸蔵量を所定の酸素吸蔵量に一致させるための前記
空燃比制御を実質的に中止するとともに、同機関の空燃
比を理論空燃比に保持する。この結果、三元触媒内に酸
素を大量に含むリーン空燃比のガスが流入しないので、
過剰な酸素により前記貯留されているアンモニアが窒素
酸化物に転換されることが回避される。従って、窒素酸
化物が大量に排出されることが防止され得る。
【0013】この場合において、前記理論空燃比保持手
段は、前記内燃機関の燃焼室内で生成されたアンモニア
が前記三元触媒内で酸化されることにより生成される窒
素酸化物の量が所定量以上となるか否かを判定する判定
手段を含み、前記空燃比センサにより検出される空燃比
が前記所定のリッチ空燃比よりもリッチとなったときで
あっても、前記判定手段により前記生成される窒素酸化
物の量が所定量以上とならないと判定されるときは前記
空燃比制御手段による前記機関の空燃比制御を継続する
ように構成されることが好適である。
【0014】これによれば、生成されたアンモニアが三
元触媒内で酸化されることにより生成される窒素酸化物
の量が僅かである場合には、同三元触媒の酸素吸蔵量を
所定の量とするための空燃比制御が継続されるから、必
要に応じて機関の空燃比が直ちにリーンとされて酸素吸
蔵量が所定の酸素吸蔵量へと速やかに近づく。従って、
その後、更に機関の空燃比がリッチとなった場合にも、
同三元触媒内で未燃HC,COを確実に浄化することが
できる。
【0015】また、上述した判定手段は、前記三元触媒
内に貯留するアンモニア量を推定するとともに、同推定
されたアンモニア量が所定量以上か否かを判定すること
により前記生成される窒素酸化物の量が前記所定量以上
となるか否かを判定するように構成されることが好適で
ある。この場合、三元触媒に貯留されるアンモニア量
は、機関の運転状態(空燃比、単位時間当りの吸入空気
量等)に基いて求められるアンモニア生成量を積分する
ことで推定してもよく、三元触媒上流の排気通路に備え
たアンモニア濃度センサの検出値に基いて推定してもよ
い。
【0016】これによれば、窒素酸化物が多量に排出さ
れる状況にあるか否かが、三元触媒に貯留されるアンモ
ニア量に基いて精度良く判定されるので、酸素吸蔵量を
所定の酸素吸蔵量とするために機関の空燃比をリーンと
する前に理論空燃比に保持する必要があるか否かが適切
に判断される。
【0017】また、前記判定手段は、前記三元触媒の温
度が所定温度より高い温度であるか否かを判定し、同三
元触媒の温度が同所定温度より高い温度であるときは、
前記生成される窒素酸化物の量が前記所定量以上となら
ないと判定するように構成されることが好適である。
【0018】三元触媒にアンモニアが貯留された場合で
あっても、三元触媒の温度が高い場合にはアンモニアが
酸化されて窒素酸化物が生成される反応よりも、未燃H
C,CO等が酸化される反応が支配的となる。即ち、三
元触媒の温度が高い場合には、理論空燃比を所定時間だ
け保持する制御を行う必要はない。そこで、上記構成の
ように、三元触媒の温度が所定温度より高い温度である
ときは、前記生成される窒素酸化物の量が所定量以上と
ならないと判定するように構成すれば、前記空燃比セン
サにより検出される空燃比が前記所定のリッチ空燃比よ
りもリッチとなったときであっても、酸素吸蔵量を速や
かに所定の酸素吸蔵量に近づけることが可能となる。
【0019】また、上記の空燃比制御装置においては、
前記三元触媒内に貯留するアンモニア量を推定するとと
もに、同推定されたアンモニア量が多いほど前記機関の
空燃比を理論空燃比に保持する前記所定時間を長くする
ように構成されることが好適である。
【0020】リッチ空燃比により生成されて三元触媒内
に貯留することになったアンモニアは、その後の理論空
燃比での運転で窒素酸化物に転換されることなく、その
まま同三元触媒から外部へと流出し、次第に減少する。
従って、上記のように、例えば、(前記空燃比センサに
より検出される空燃比が前記所定のリッチ空燃比よりも
リッチとなったとき、或いは理論空燃比の保持を開始す
るときの)三元触媒内に貯留するアンモニア量を推定す
るとともに、推定されたアンモニア量が多いほど前記機
関の空燃比を理論空燃比に保持する前記所定時間を長く
するように構成すれば、同所定時間を適切な時間とする
ことができるので、アンモニアの酸化に基く窒素酸化物
の排出を抑制しながら、三元触媒の酸素吸蔵量を速やか
に理想的な量とすることができる。
【0021】本発明の他の特徴は、排気通路に三元触媒
を備えた内燃機関の空燃比制御方法であって、前記三元
触媒の酸素吸蔵量を算出し、前記算出された酸素吸蔵量
が所定の酸素吸蔵量となるように前記機関の空燃比を制
御し、前記三元触媒内にアンモニアが貯留される状態に
なったか否かを判定し、前記三元触媒内にアンモニアが
貯留される状態になったと判定されたときは、前記算出
された酸素吸蔵量を前記所定の酸素吸蔵量とするために
前記機関の空燃比をリーン空燃比とする前に、同機関の
空燃比を理論空燃比に所定時間だけ保持することにあ
る。
【0022】これによれば、上述と同様な理由により、
機関の空燃比が理論空燃比よりリッチとなることにより
三元触媒の酸素吸蔵量が減少して所定の酸素吸蔵量より
少なくなると、機関の空燃比はリーンに制御される。一
方、機関の空燃比が理論空燃比よりリーンとなることに
より酸素吸蔵量が増大して所定の酸素吸蔵量より多くな
ると、機関の空燃比はリッチに制御される。
【0023】また、機関の空燃比が通常の空燃比制御で
はあり得ない所定のリッチ空燃比になる等の理由によ
り、前記三元触媒内にアンモニアが貯留される状態にな
ったと判定されたときは、前記算出された酸素吸蔵量を
前記所定の酸素吸蔵量とするために前記機関の空燃比を
リーン空燃比とする前に、同機関の空燃比が理論空燃比
に所定時間だけ保持される。この結果、三元触媒内に酸
素を大量に含むリーン空燃比のガスが流入しないので、
過剰な酸素により前記貯留されるアンモニアが窒素酸化
物に転換されることが回避され、従って、窒素酸化物が
大量に排出されることが防止され得る。
【0024】この場合、前記三元触媒内にアンモニアが
貯留される状態になったか否かの判定は、前記機関の空
燃比が所定のリッチ空燃比よりもリッチとなったか否か
を判定することによりなされることが好適である。
【0025】これによれば、簡単な構成で三元触媒内に
アンモニアが貯留される状態になったか否かの判定を行
うことができる。
【0026】更に、この場合において、前記三元触媒の
温度が所定温度以上か否かを判定し、前記三元触媒の温
度が所定温度以上のときは、前記三元触媒内にアンモニ
アが貯留される状態になったと判定されたときであって
も、前記機関の空燃比を理論空燃比に所定時間だけ保持
することなく前記算出された酸素吸蔵量を前記所定の酸
素吸蔵量とするために同機関の空燃比をリーン空燃比と
することが好適である。
【0027】上述したように、三元触媒の温度が高い場
合には、アンモニアが酸化されて窒素酸化物が生成され
る反応よりも、未燃HC,CO等が酸化される反応が支
配的となるから、上記のように構成することで、酸素吸
蔵量を速やかに所定の酸素吸蔵量とすることができる。
【0028】また、本発明は、排気通路に三元触媒を備
えるとともに、前記三元触媒の上流の前記排気通路に空
燃比センサを備えた内燃機関の空燃比制御方法であっ
て、前記空燃比センサにより検出される空燃比が所定の
リッチ空燃比よりもリッチとなったときは、前記機関の
空燃比を所定時間だけ理論空燃比に保持した後、リーン
空燃比に移行するように制御する内燃機関の空燃比制御
方法をも提供する。
【0029】これによれば、上述したように、アンモニ
アが三元触媒内で転換されて生成される窒素酸化物の量
を低減することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明による内燃機関の空
燃比制御装置(空燃比制御方法)の実施形態について図
面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態に
係る内燃機関の空燃比制御装置を火花点火式多気筒(4
気筒)内燃機関10に適用したシステムの概略構成を示
している。
【0031】この内燃機関10は、シリンダブロック、
シリンダブロックロワーケース、及びオイルパン等を含
むシリンダブロック部20と、シリンダブロック部20
の上に固定されるシリンダヘッド部30と、シリンダブ
ロック部20にガソリン混合気を供給するための吸気系
統40と、シリンダブロック部20からの排気ガスを外
部に放出するための排気系統50とを含んでいる。
【0032】シリンダブロック部20は、シリンダ2
1、ピストン22、コンロッド23、及びクランク軸2
4を含んでいる。ピストン22はシリンダ21内を往復
動し、ピストン22の往復動がコンロッド23を介して
クランク軸24に伝達され、これにより同クランク軸2
4が回転するようになっている。シリンダ21とピスト
ン22のヘッドは、シリンダヘッド部30とともに燃焼
室25を形成している。
【0033】シリンダヘッド部30は、燃焼室25に連
通した吸気ポート31、吸気ポート31を開閉する吸気
弁32、吸気弁32を駆動するインテークカムシャフト
を含むとともに同インテークカムシャフトの位相角を連
続的に変更する可変吸気タイミング装置33、可変吸気
タイミング装置33のアクチュエータ33a、燃焼室2
5に連通した排気ポート34、排気ポート34を開閉す
る排気弁35、排気弁35を駆動するエキゾーストカム
シャフト36、点火プラグ37、点火プラグ37に与え
る高電圧を発生するイグニッションコイルを含むイグナ
イタ38、及び燃料を吸気ポート31内に噴射するイン
ジェクタ(燃料噴射手段)39を備えている。
【0034】吸気系統40は、吸気ポート31に連通し
同吸気ポート31とともに吸気通路を形成するインテー
クマニホールドを含む吸気管41、吸気管41の端部に
設けられたエアフィルタ42、吸気管41内にあって吸
気通路の開口断面積を可変とするスロットル弁43、ス
ロットル弁駆動手段を構成するDCモータからなるスロ
ットル弁アクチュエータ43a、スワールコントロール
バルブ(以下、「SCV」と称呼する。)44、及びD
CモータからなるSCVアクチュエータ44aを備えて
いる。
【0035】排気系統50は、排気ポート34に連通し
たエキゾーストマニホールド51、エキゾーストマニホ
ールド51に接続されたエキゾーストパイプ(排気管)
52、及びエキゾーストパイプ52に介装された三元触
媒(触媒コンバータ)53を備えている。排気ポート3
4、エキゾーストマニホールド51、及びエキゾースト
パイプ52は、排気通路を構成している。
【0036】一方、このシステムは、熱線式エアフロー
メータ61、スロットルポジションセンサ62、カムポ
ジションセンサ63、クランクポジションセンサ64、
水温センサ65、三元触媒53の上流の排気通路内に配
設された空燃比センサ66(以下、「上流側空燃比セン
サ66」と称呼する。)、三元触媒53の下流の排気通
路内に配設された空燃比センサ67(以下、「下流側空
燃比センサ67」と称呼する。)、排気温度センサ6
8、及びアクセル開度センサ69を備えている。
【0037】熱線式エアフローメータ61は、吸気管4
1内を流れる吸入空気の質量流量に応じた電圧Vgを出力
するようになっている。かかるエアフローメータ61の
出力Vgと、計測された吸入空気量(流量)AFMとの関
係は、図2に示したとおりである。スロットルポジショ
ンセンサ62は、スロットル弁43の開度を検出し、ス
ロットル弁開度TAを表す信号を出力するようになってい
る。カムポジションセンサ63は、インテークカムシャ
フトが90°回転する毎に(即ち、クランク軸24が1
80°回転する毎に)一つのパルスを有する信号(G2
信号)を発生するようになっている。クランクポジショ
ンセンサ64は、クランク軸24が10°回転する毎に
幅狭のパルスを有するとともに同クランク軸24が36
0°回転する毎に幅広のパルスを有する信号を出力する
ようになっている。この信号は、エンジン回転速度NE
を表す。水温センサ65は、内燃機関10の冷却水の温
度を検出し、冷却水温THWを表す信号を出力するように
なっている。
【0038】上流側空燃比センサ66は、図3に示した
ように、空燃比A/Fに応じた電流を出力し、この電流
に応じた電圧vabyfsを出力するようになっている。図3
から明らかなように、上流側空燃比センサ66によれ
ば、広範囲にわたる空燃比A/Fを精度良く検出するこ
とができる。下流側空燃比センサ67は、図4に示した
ように、理論空燃比において急変する電圧vabyfsbを出
力するようになっている。より具体的に述べると、下流
側センサ67は、空燃比が理論空燃比よりもリーンのと
きは略0.1(V)、空燃比が理論空燃比よりもリッチ
のときは略0.9(V)、及び空燃比が理論空燃比のと
きは略0.5(V)の電圧を出力する。排気温度センサ
68は、三元触媒53の温度を検出し、触媒温度TempCC
ROを表す信号を出力するようになっている。アクセル開
度センサ69は、運転者によって操作されるアクセルペ
ダル81の操作量を検出し、同アクセルペダル81の操
作量Accpを表す信号を出力するようになっている。
【0039】電気制御装置70は、互いにバスで接続さ
れたCPU71、CPU71が実行するプログラム、テ
ーブル(ルックアップテーブル、マップ)、定数等を予
め記憶したROM72、CPU71が必要に応じてデー
タを一時的に格納するRAM73、電源が投入された状
態でデータを格納するとともに同格納したデータを電源
が遮断されている間も保持するバックアップRAM7
4、及びADコンバータを含むインターフェース75等
からなるマイクロコンピュータである。インターフェー
ス75は、前記センサ61〜69と接続され、CPU7
1にセンサ61〜69からの信号を供給するとともに、
同CPU71の指示に応じて可変吸気タイミング装置3
3のアクチュエータ33a、イグナイタ38、インジェ
クタ39、スロットル弁アクチュエータ43a、及びS
CVアクチュエータ44aに駆動信号を送出するように
なっている。
【0040】(酸素吸蔵量制御の概要)ところで、三元
触媒53は、空燃比がほぼ理論空燃比のときに未燃成分
(HC,CO)を酸化するとともに、窒素酸化物(NO
x)を還元する機能を有する。更に、三元触媒53は、
酸素を貯蔵する機能(酸素吸蔵機能、O2ストレージ機
能)を有し、この酸素貯蔵機能により、空燃比が理論空
燃比から偏移したとしても、HC,CO、及びNOxを
浄化することができる。このような機能は、三元触媒5
3が有するセリウムCeによって達成される。
【0041】より具体的に述べると、セリウムCeは金
属単体の状態であると不安定であり、酸素が結合すると
セリアCeO2となって安定する。従って、空燃比が理
論空燃比よりもリーンであって、三元触媒53内に酸素
分子(窒素酸化物の酸素を含む。)が流入すると、セリ
ウムCeは酸素を奪ってセリアCeO2となる。一方、
空燃比が理論空燃比よりもリッチであって、三元触媒5
3内に未燃HC,COが流入すると、これら未燃HC,C
OはセリアCeO2から酸素を奪う。この結果、セリア
CeO2は、再び不安定なセリウムCeとなる。
【0042】このように、空燃比がリーンになると排気
ガスに含まれる酸素分子が奪われるので、同排気ガス中
に含まれるNOxが還元される。また、空燃比がリッチ
になると排気ガスに含まれるHC,COがセリアCeO2
から酸素を奪うので、同HC,COが酸化される。以上
により、三元触媒53は、空燃比が理論空燃比より偏移
しても、HC,CO、及びNOxを浄化することができ
る。
【0043】以上のことから明らかなように、三元触媒
53がHC,COを効率的に浄化するためには、同三元
触媒53が酸素を貯蔵していなければならず、NOxを
効率的に浄化するためには、同三元触媒53が酸素を貯
蔵し得る状態(即ち、実際の酸素吸蔵量が三元触媒53
の吸蔵し得る最大の酸素量(最大酸素吸蔵量)以下であ
る状態)になければならないことになる。一方、機関の
空燃比は同機関の運転状態等に応じてリッチ、又はリー
ンとなり、同空燃比がリッチ又はリーンの何れとなるか
を予測することは困難である。従って、HC,CO,及
びNOxを排出しないようにするためには、三元触媒5
3の酸素吸蔵量が同三元触媒の最大酸素吸蔵量の半分程
度に維持されていることが好ましい。そこで、本実施形
態においては、三元触媒53の酸素吸蔵量を算出(推
定)し、この算出された酸素吸蔵量が三元触媒53の最
大酸素吸蔵量の略半分程度の酸素吸蔵量である目標酸素
吸蔵量と一致するように機関の空燃比を制御する。
【0044】(酸素吸蔵量算出方法)このように、三元
触媒53の酸素吸蔵量が適量となるように機関の空燃比
を制御するためには、同三元触媒53の酸素吸蔵量を求
めなければならない。しかしながら、酸素吸蔵量を直接
計測することはできない。そのため、本実施形態におい
ては、この酸素吸蔵量を計算により求める。この場合、
下流側空燃比センサ67の出力vabyfsbが0.7(V)
を以上を示したとき、即ち、三元触媒53の下流側空燃
比が明白なリッチとなったときは、同三元触媒53内に
酸素が全く存在せず未燃HC,COが浄化されない状態
となったことを意味することから、酸素吸蔵量OSAを
「0」に設定する。それ以降においては、下記数1、及
び下記数2に基いて酸素吸蔵量OSAを算出する。
【0045】
【数1】 ΔOSA=0.23・mfr・(abyfsave − stoich)
【0046】
【数2】OSA=ΣΔOSA
【0047】上記数1において、値「0.23」は大気
中に含まれる酸素の重量割合である。mfrは所定の単
位時間内の燃料噴射量Fiの合計である。abyfsaveは、
前記所定の単位時間内の上流側空燃比センサ66により
検出された空燃比A/Fの平均値である。stoichは、理
論空燃比(例えば、14.7)である。この数1に示し
たように、単位時間内の噴射量の合計値mfrに、同単
位時間における平均空燃比の理論空燃比からの偏移(ab
yfsave − stoich)を乗じることで、同単位時間におけ
る空気の過不足量が求められ、この空気の過不足量に酸
素の重量割合を乗じることで同単位時間における酸素吸
蔵量変化量ΔOSAが求められる。そして、数2に示し
たように、ΔOSAを積算することで三元触媒53の酸
素吸蔵量OSAが計算される。
【0048】なお、目標酸素吸蔵量は、前述したように
三元触媒53の最大酸素吸蔵量の略半分程度とする。そ
の際、目標酸素吸蔵量は一定値であってもよいが、三元
触媒68の実際の最大酸素吸蔵量を求め、その半分程度
の値としてもよい。この場合、機関の空燃比を所定のリ
ッチ空燃比とし、下流側空燃比センサ67がリッチを示
した時点の酸素吸蔵量を「0」に設定し、その後、機関
の空燃比をリーンとし続けて下流側空燃比センサ67が
リーンを示すまでの酸素吸蔵量OSAを求め、その酸素
吸蔵量OSAを最大酸素吸蔵量とすればよい。また、機
関の空燃比を所定のリーン空燃比とし、下流側空燃比セ
ンサ67がリーンを示した後に機関の空燃比をリッチと
し、下流側空燃比センサ67がリッチを示すまでの酸素
吸蔵量OSAを求め、その酸素吸蔵量OSAの絶対値を
最大酸素吸蔵量とすればよい。
【0049】(理論空燃比保持制御の概要)図5は、本
実施形態の空燃比制御装置、及び従来の空燃比制御装置
による空燃比制御の概要を、それぞれ実線と破線により
示したタイムチャートである。先ず、時刻t0〜t1の
期間においては、(A)に示したように、上述の空燃比
制御によって同酸素吸蔵量OSAは目標酸素吸蔵量OS
Arefに維持されている。この状態で、時刻t1〜t2
において、例えば内燃機関が加速運転されることにより
機関の空燃比がリッチとなると、(B)に示したよう
に、三元触媒53の上流空燃比もリッチとなる。その結
果、(A)に示したように、三元触媒53内の酸素吸蔵
量OSAが減少する。また、(D)に示したように、時
刻t1〜t2においては、燃焼室内でリッチ空燃比の混
合気が燃焼されることにより生成されたアンモニアが三
元触媒53内に貯留して行く。
【0050】このとき、従来の技術によれば、酸素吸蔵
量OSAを目標酸素吸蔵量OSArefに一致させるた
め、(B)の破線にて示したように、時刻t2〜t4に
おいて空燃比がリーン側に制御され、三元触媒53内に
多量の酸素が導入される。その結果、(C)の破線にて
示したように、三元触媒53内のアンモニアが酸化され
NOxが生成され、排出されてしまう。
【0051】これに対し、本空燃比制御装置によれば、
上流空燃比が所定のリッチ空燃比AFRよりもリッチと
なった場合、(B)の時刻t2〜t5に示したように、
その後の所定時間は空燃比が理論空燃比(ストイキ)に
制御される。この結果、三元触媒53内には酸素が流入
しないので、(C)の実線にて示したように時刻t2〜
t3において同三元触媒53内のアンモニアが酸化され
ず、従って、NOxが生成されない。そして、(D)の
実線にて示したように、時刻t2〜t5において三元触
媒53内のアンモニアは同三元触媒53の外部に自然に
排出される。
【0052】そして、所定時間が経過して時刻t5にな
ると、本空燃比制御装置は酸素吸蔵量OSAを目標酸素
吸蔵量OSArefに一致するための空燃比制御を再開す
るので、(B)の実線にて示したように、時刻t5〜t
6において機関の空燃比がリーン側に制御され、その結
果、(A)の実線にて示したように、酸素吸蔵量OSA
が目標酸素吸蔵量OSArefに一致するように増大して
行く。以上のように、本空燃比制御装置は、リッチ空燃
比の混合気の燃焼により生成されたアンモニアが三元触
媒53内に存在する間は、機関の空燃比を理論空燃比に
維持(保持)し、それにより、アンモニアがNOxに転
換されることを回避し、NOxの排出を抑制する。
【0053】(実際の作動)次に、上記のように構成さ
れた空燃比制御装置の実際の作動について、電気制御装
置70のCPU71が実行するプログラムをフローチャ
ートにより示した図6〜図13を参照しながら説明す
る。
【0054】CPU71は、図6に示した最終燃料噴射
量Fiの計算、及び燃料噴射の指示を行うルーチン(プ
ログラム)を、各気筒のクランク角が各吸気上死点前の
所定クランク角度(例えば、BTDC90°CA)とな
る毎に、繰り返し実行するようになっている。従って、
任意の気筒のクランク角度が前記所定クランク角度にな
ると、CPU71はステップ600から処理を開始して
ステップ605に進み、エアフローメータ61により計
測された吸入空気量AFMと、エンジン回転速度NEと
に基いて、機関の空燃比を理論空燃比とするための基本
燃料噴射量Fbaseをマップから求める。
【0055】次いで、CPU71はステップ610に進
み、基本燃料噴射量Fbaseに後述するフィードバック補
正量DFiを加えた値を最終燃料噴射量Fiに設定し、
続くステップ615にて同最終燃料噴射量Fiの燃料を
噴射するための指示をインジェクタ39に対して行う。
その後、CPU71はステップ620に進み、その時点
の燃料噴射量積算値mfrに最終燃料噴射量Fiを加え
た値を、新たな燃料噴射量積算値mfrに設定する。こ
の燃料噴射量積算値mfrは、酸素吸蔵量OSAを計算
する際に用いられる。その後、CPU71はステップ6
95に進み、本ルーチンを一旦終了する。以上により、
フィードバック補正された最終燃料噴射量Fiの燃料が
吸気行程を迎える気筒に対して噴射される。
【0056】次に、上記フィードバック補正量DFiの
算出について説明すると、CPU71は図7に示したル
ーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行している。従
って、所定のタイミングになると、CPU71はステッ
プ700から処理を開始し、ステップ705に進んで理
論空燃比制御許可フラグFの値が「0」であるか否かを
判定する。この理論空燃比制御許可フラグFの操作につ
いては後に詳述するが、同フラグFの値が「1」のとき
は酸素吸蔵量OSAの値に拘らず機関の空燃比を理論空
燃比に維持する制御が許可され、同フラグFの値が
「0」のときは酸素吸蔵量OSAを目標酸素吸蔵量OS
Arefに維持するための空燃比制御が許可される。
【0057】いま、理論空燃比制御許可フラグFの値が
「0」であり、酸素吸蔵量OSAを目標酸素吸蔵量OS
Arefに維持するための空燃比制御が許可されているも
のとして説明を続けると、CPU71はステップ705
にて「Yes」と判定してステップ710に進み、現時
点の上流側空燃比センサ66の出力vabyfsと後述する酸
素吸蔵量補正量vafsfbとの和(vabyfs+vafsfb)を図3
に示したマップに基いて変換することにより、現時点に
おける三元触媒53の上流側制御用空燃比abyfsを求め
る。
【0058】次に、CPU71はステップ715に進
み、現時点からNストローク前(Nは、内燃機関の排気
量、燃焼室25から上流側空燃比センサ66までの距離
により異なる)の筒内吸入空気量Mc(k−N)を前記
求めた上流側制御用空燃比abyfsで除することにより、
現時点からNストローク前の筒内燃料供給量Fc(k−
N)を求める。このように、現時点からNストローク前
の筒内燃料供給量Fc(k−N)を求めるために、現時
点からNストローク前の筒内吸入空気量Mc(k−N)
を上流側制御用空燃比abyfsで除するのは、燃焼室25
内で燃焼された混合気が上流側空燃比センサ66に到達
するまでには、Nストロークに相当する時間を要してい
るからである。なお、筒内吸入空気量Mcは、各気筒の
吸気行程毎に、その時点のエアフローメータ61の出力
AFMと、エンジン回転速度NEとに基いて求められ
(例えば、エアフローメータ61の出力AFMに一次遅
れ処理を施した値をエンジン回転速度NEで除すること
により求められ)、各吸気行程に対応してRAM73内
に記憶されている。
【0059】次いで、CPU71はステップ720に進
み、現時点からNストローク前の筒内吸入空気量Mc
(k−N)を現時点からNストローク前の時点における
目標空燃比abyfr(k−N)(この例では、理論空燃
比)で除することにより、現時点からNストローク前の
目標筒内燃料供給量Fcr(k−N)を求める。そし
て、CPU71はステップ725に進んで目標筒内燃料
供給量Fcr(k−N)から筒内燃料供給量Fc(k−
N)を減じた値を筒内燃料供給量偏差DFcとして設定
する。つまり、筒内燃料供給量偏差DFcは、Nストロ
ーク前の時点で筒内に供給された燃料の過不足分を表す
量となる。次に、CPU71はステップ730に進み、
下記数3に基いてフィードバック補正量DFiを求め
る。
【0060】
【数3】DFi=(Gp・DFc+Gi・SDFc)
【0061】上記数3において、Gpは予め設定された
比例ゲイン、Giは予め設定された積分ゲインである。
また、SDFcは筒内燃料供給量偏差DFcの積分値で
あり、次のステップ735にて更新される。即ち、CP
U71は、ステップ735にてその時点における筒内燃
料供給量偏差DFcの積分値SDFcに上記ステップ7
25にて求めた筒内燃料供給量偏差DFcを加えて、新
たな筒内燃料供給量偏差の積分値SDFcを求め、ステ
ップ795にて本ルーチンを一旦終了する。以上によ
り、フィードバック補正量DFiが求められ、このフィ
ードバック補正量DFiが前述した図6のステップ61
0,615により燃料噴射量に反映されるので、Nスト
ローク前の燃料供給量の過不足が補償され、空燃比の平
均値が目標空燃比と略一致せしめられる。
【0062】一方、ステップ705の判定時において、
理論空燃比制御許可フラグFの値が「1」であると、C
PU71は同ステップ705にて「No」と判定してス
テップ740に進み、フィードバック補正量DFiの値
を「0」に設定し、ステップ795に進んで本ルーチン
を一旦終了する。このように、理論空燃比制御許可フラ
グの値が「1」であるときは、上流側空燃比センサ66
の出力vabyfs、及び上流側制御用空燃比vafsfbに拘ら
ず、フィードバック補正量DFiを「0」として空燃比
(燃料噴射量)の補正を行わない。従って、酸素吸蔵量
吸蔵量OSAによる空燃比のフィードバック制御も実質
的に中止される。この結果、最終燃料噴射量Fiは、機
関の空燃比を理論空燃比に維持するための基本燃料噴射
量Fbaseと等しくなるので、同機関の空燃比が理論空燃
比に保持される。
【0063】次に、酸素吸蔵量OSAを目標酸素吸蔵量
OSArefに一致させるための制御量vafsfbを求めるO
SA補正について説明すると、CPU71は図8に示し
たルーチンを所定時間の経過毎に実行している。従っ
て、所定のタイミングになると、CPU71はステップ
800から処理を開始し、ステップ805に進んで、現
時点の酸素吸蔵量OSAから目標酸素吸蔵量OSAref
を減じることにより、酸素吸蔵量偏差量DOSAを求め
る。なお、酸素吸蔵量OSAの求め方については後述す
る。次に、CPU71はステップ810に進み、下記数
4に基いて酸素吸蔵量補正量vafsfbを求める。
【0064】
【数4】vafsfb=Kp・DOSA+Ki・SDOSA
【0065】上記数4において、Kpは予め設定された
比例ゲイン、Kiは予め設定された積分ゲインである。
また、SDOSAは酸素吸蔵量偏差量DOSAの積分値
であって、次のステップ815にて更新される値であ
る。即ち、CPU71は、ステップ815に進んで、そ
の時点における酸素吸蔵量偏差量の積分値SDOSAに
上記ステップ810にて求めた酸素吸蔵量偏差量DOS
Aを加えて、新たな酸素吸蔵量偏差量の積分値SDOS
Aを求め、その後、ステップ895に進んで本ルーチン
を一旦終了する。
【0066】このようにして、酸素吸蔵量補正量vafsfb
が求められ、この値は前述した図7のステップ710に
て上流側空燃比センサ66の実際の出力に加えられ、そ
の和(vabyfs + vafsfb)が図3に示したマップに基い
て前記上流側制御用空燃比abyfsに変換される。換言す
ると、酸素吸蔵量を目標酸素吸蔵量に維持するための空
燃比制御を実行する上で使用される上流側制御用空燃比
abyfsは、上流側空燃比センサ66が実際に検出してい
る空燃比に対して、酸素吸蔵量補正量vafsfbに相当する
分だけ異なる空燃比として求められる。この結果、前述
した図7のステップ715にて計算される筒内燃料供給
量Fc(k−N)が酸素吸蔵量OSAに応じて変化し、
ステップ725,730にてフィードバック補正量DF
iが同酸素吸蔵量OSAに応じて変更せしめられる。即
ち、以上により、算出された酸素吸蔵量OSAが所定の
酸素吸蔵量OSArefとなるように前記機関の空燃比が
制御される。
【0067】例えば、機関の空燃比がリーンであるため
に酸素吸蔵量OSAが増大すると、ステップ805にて
求められる酸素吸蔵量偏差DOSAが正の値となるの
で、ステップ810にて求められる酸素吸蔵量補正量va
fsfbは正の値となる。従って、ステップ710にて求め
られるabyfsは上流側空燃比センサ66が実際に検出し
ている空燃比よりもリーンな値(より大きな値)として
求められる。このため、ステップ715にて求められる
筒内燃料供給量Fc(k−N)は小さい値となり、筒内
燃料供給量偏差DFcは大きい値として求められるの
で、フィードバック補正量DFiが大きい正の値とな
る。これにより、図6のステップ610にて求められる
最終燃料噴射量Fiは、基本燃料噴射量Fbaseよりも大
きくなって、機関の空燃比がリッチとなり、酸素吸蔵量
OSAが減少せしめられる。
【0068】反対に、機関の空燃比がリッチであるため
に酸素吸蔵量OSAが減少すると、ステップ805にて
求められる酸素吸蔵量偏差量DOSAが負の値となる。
従って、ステップ810にて求められる酸素吸蔵量補正
量vafsfbは負の値となるから、ステップ710にて求め
られるabyfsは上流側空燃比センサ66が実際に検出し
ている空燃比よりもリッチな値(より小さな値)として
求められる。従って、ステップ715にて求められる筒
内燃料供給量Fc(k−N)は相対的に大きな値とな
り、筒内燃料供給量偏差DFcは負の値として求められ
るので、フィードバック補正量DFiも負の値なる。こ
の結果、図6のステップ610にて求められる最終燃料
噴射量Fiは、基本燃料噴射量Fbaseよりも小さくなっ
て、機関の空燃比がリーンとなる。これにより、酸素吸
蔵量OSAが増大せしめられる。
【0069】次に、酸素吸蔵量OSAの推定方法につい
て説明すると、CPU71は図9に示したルーチンを所
定時間の経過毎に実行するようになている。従って、所
定のタイミングになると、CPU71はステップ900
から処理を開始し、ステップ905に進んでその時点の
上流側空燃比センサ66の出力vabyfsと図3に示したマ
ップから上流側空燃比abyfsを求め、続くステップ91
0にてその時点の上流側空燃比積算値Sabyfsに前記ス
テップ905にて求めた現時点の上流側空燃比abyfsを
加えた値を新たな上流側空燃比積算値Sabyfsとして設
定する。その後、CPU71は、ステップ915にてカ
ウント値nの値を「1」だけ増大し、ステップ995に
進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0070】また、CPU71は酸素吸蔵量OSAを推
定するために、図10に示したルーチンを所定時間毎に
実行するようになっている。従って、所定のタイミング
になると、CPU71はステップ1000から処理を開
始し、ステップ1005にて上流側空燃比積算値Sabyf
sをカウント値nで除することにより、上流側空燃比の
平均値abyfsaveを求める。次に、CPU71はステップ
1010にて上述した数1に基いて本ルーチンの実行時
間間隔内における酸素吸蔵量変化量ΔOSAを計算し、
続くステップ1015にてその時点の酸素吸蔵量OSA
に酸素吸蔵量変化量ΔOSAを加えることにより、新た
な酸素吸蔵量OSAを求める。
【0071】次いで、CPU71はステップ1020に
て所定の単位時間内の燃料噴射量Fiの上記合計値mf
rを「0」にリセットし、ステップ1025にて上流側
空燃比積算値Sabyfsを「0」にリセットするととも
に、ステップ1030にてカウント値nを「0」にリセ
ットする。次に、CPU71はステップ1035に進ん
で下流側空燃比センサ67の出力vafsfbの値が0.7
(V)より大きいか否かを判定する。このとき、下流側
空燃比センサ67の出力vafsfbの値が0.7(V)より
大きければ、即ち、三元触媒53の下流空燃比がリッチ
であれば、三元触媒53内に吸蔵されている酸素量が
「0」であることを意味するので、CPU71はステッ
プ1035からステップ1040に進み、同ステップ1
040にて酸素吸蔵量OSAの値を「0」にリセット
し、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了す
る。一方、ステップ1035の判定時において、下流側
空燃比センサ67の出力vafsfbの値が0.7(V)以下
であれば、CPU71は同ステップ1035にて「N
o」と判定してそのままステップ1095に進み、本ル
ーチンを一旦終了する。以上により、三元触媒53内の
酸素吸蔵量OSAが算出される。換言すると、図9、及
び図10の各ステップは酸素吸蔵量算出手段を構成して
いる。
【0072】次に、上述した空燃比を理論空燃比に維持
する制御の開始条件が成立したか否かを判定し、それに
応じて理論空燃比制御許可フラグFを「1」に設定する
際の作動について、図11を参照して説明する。図11
は、かかる理論空燃比制御開始判定ルーチンを示したも
ので、CPU71は同ルーチンを所定時間の経過毎に繰
り返し実行している。なお、理論空燃比制御許可フラグ
Fの値は、図示しないイグニッションスイッチが「オ
フ」から「オン」状態へと変更されたときに、図示しな
いイニシャルルーチンにより「0」に設定されるように
なっている。
【0073】所定のタイミングになると、CPU71は
ステップ1100から処理を開始してステップ1105
に進み、その時点の上流側空燃比センサ66の出力vaby
fsと図3に示したマップとから上流側空燃比abyfsを求
め、続くステップ1110にて上流側空燃比abyfsが所
定のリッチ空燃比を示す値AFRより小さいか否かを判
定する。このとき、上流側空燃比abyfsが所定のリッチ
空燃比を示す値AFR以上であれば(即ち、上流側空燃
比abyfsが値AFRで示される空燃比よりもリーンであ
れば)、燃焼室25内でアンモニアが生成されている可
能性は小さく、従って、理論空燃比を維持する制御を行
う必要がないので、CPU71はステップ1110にて
「No」と判定して直ちにステップ1195に進み、本
ルーチンを一旦終了する。なお、値AFRは、酸素吸蔵
量OSAを目標酸素吸蔵量OSArefに一致させるため
の空燃比制御では到達し得ない程度のリッチ空燃比を表
す値に設定しておく。
【0074】一方、上記ステップ1110の判定時に、
上流側空燃比abyfsが所定のリッチ空燃比を示す値AF
Rより小さければ(即ち、上流側空燃比abyfsが値AF
Rで示される空燃比よりもリッチであれば)、燃焼室2
5内でアンモニアが生成されている可能性が大きいの
で、CPU71はステップ1110にて「Yes」と判
定してステップ1115に進み、同ステップ1115に
て三元触媒53内に貯留されているアンモニア貯留量S
UMNH3が所定値B1より大きいか否かを判定する。
このとき、アンモニア貯留量SUMNH3が所定値B1
以下であれば、直ちにリーン空燃比のガスが三元触媒5
3内に流入しても、生成されるNOx量が少ないと考え
られるから、理論空燃比を保持(維持)する制御を行う
必要がない。このため、CPU71はステップ1115
にて「No」と判定して直ちにステップ1195に進
み、本ルーチンを一旦終了する。このように、ステップ
1115は、前記内燃機関の燃焼室25内で生成された
アンモニアが三元触媒53内で酸化されることにより生
成される窒素酸化物の量が所定量以上となるか否かを判
定する判定手段の一部を構成している。
【0075】一方、上記ステップ1115の判定時に、
アンモニア貯留量SUMNH3が所定値B1より大きけ
れば、CPU71はステップ1115にて「Yes」と
判定してステップ1120に進み、同ステップ1120
にて排気温度センサ68により検出された三元触媒53
の温度TempCCROが所定温度B2より低いか否かを判定す
る。このとき、三元触媒53の温度TempCCROが所定温度
B2以上であれば、たとえ三元触媒53内にアンモニア
が多量に存在し、且つ同三元触媒53内に酸素が流入し
ても、同アンモニアが酸化されてNOxに転換される可
能性は小さいと考えられるから、理論空燃比を維持する
制御を行う必要がない。このため、CPU71はステッ
プ1120にて「No」と判定して直ちにステップ11
95に進み、本ルーチンを一旦終了する。このように、
ステップ1120は、三元触媒53の温度TempCCROが所
定温度B2より高い温度であるか否かを判定し、同三元
触媒53の温度TempCCROが同所定温度B2より高い温度
であるときは、前記生成される窒素酸化物の量が所定量
以上とならないと判定する判定手段を構成している。
【0076】そして、上記ステップ1120の判定時
に、三元触媒53の温度TempCCROが所定温度B2より低
ければ、アンモニアが酸化されてNOxに転換される可
能性が高いから、CPU71はステップ1120にて
「Yes」と判定してステップ1125に進み、理論空
燃比制御許可フラグFの値を「1」に設定し、続くステ
ップ1195にて本ルーチンを一旦終了する。このよう
にして、理論空燃比制御許可フラグFの値が「1」に設
定されると、前述した図7のステップ705及びステッ
プ740により、フィードバック補正量DFiの値が
「0」に設定されて理論空燃比を保持する(所定時間、
理論空燃比を保持する)運転が行われる。
【0077】次に、理論空燃比に維持する制御を終了す
る条件が成立したか否かを判定し、同条件が成立したと
きに理論空燃比制御許可フラグFの値を「0」に設定す
る際の作動について、図12を参照して説明する。図1
2は、かかる理論空燃比制御終了判定ルーチンを示した
もので、CPU71は同ルーチンを所定時間の経過毎に
繰り返し実行している。
【0078】従って、所定のタイミングになると、CP
U71はステップ1200から処理を開始し、ステップ
1205にて理論空燃比制御許可フラグFの値が「0」
から「1」に変化したか否かを判定する。いま、理論空
燃比制御開始条件が成立して、図11のステップ112
5にて理論空燃比制御許可フラグFの値が「0」から
「1」に変更された直後であるとすると、CPU71は
ステップ1205にて「Yes」と判定してステップ1
210に進み、同ステップ1210にてタイマTCの値
を「0」にリセットし、続くステップ1215にて三元
触媒53内のアンモニア貯留量(アンモニア量)SUM
NH3に応じて理論空燃比制御を継続すべき所定時間に
対応する基準値TC0の値を設定する。このとき、基準
値TC0の値は、アンモニア貯留量SUMNH3が多い
ほど大きくなるように設定される。つまり、基準値TC
0の値(従って、機関の空燃比が理論空燃比に保持され
る前記所定時間)は、空燃比が所定のリッチ空燃比AF
Rよりリッチとなってから、三元触媒内のアンモニア貯
留量SUMNH3が十分に減少するまでの時間(リーン
空燃比が三元触媒内に流入してもアンモニアが多量のN
Oxに転換されない量となるまでの時間)に相当するよ
うに設定される。なお、アンモニア貯留量SUMNH3
の算出については後述する。そして、CPU71はステ
ップ1295に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0079】その後、所定時間が経過して、CPU71
が再び本ルーチンの処理を開始すると、この場合、理論
空燃比制御許可フラグFの値は「1」のまま変化してい
ないから、ステップ1205にて「No」と判定してス
テップ1220に進み、同ステップ1220にて理論空
燃比制御許可フラグFの値が「1」であるか否かを判定
する。前述したように、このフラグFの値は「1」のま
まである。従って、CPU71はステップ1220にて
「Yes」と判定し、ステップ1225に進んでタイマ
TCの値を「1」だけ増大する。
【0080】次いで、CPU71はステップ1230に
進み、タイマTCの値が前記設定した基準値TC0より
大きくなったか否かを判定する。現時点は、タイマTC
の値の増大が開始された直後であるから、同タイマTC
の値は基準値TC0より小さいので、CPU71はステ
ップ1230にて「No」と判定し、ステップ1295
に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0081】その後、所定時間の経過毎にステップ12
05、及びステップ1220に続き、ステップ1225
が実行されることになるから、タイマTCの値は次第に
増大する。その結果、タイマTCの値が基準値TC0よ
り大きくなったとき、CPU71はステップ1230に
て「Yes」と判定してステップ1235に進み、同ス
テップ1235にて理論空燃比制御許可フラグFの値を
「0」に設定する。これにより、図7に示したプログラ
ムが実行されるとき、ステップ705にて「Yes」と
判定されてステップ710〜ステップ735が実行さ
れ、これによって酸素吸蔵量OSAが目標酸素吸蔵量O
SArefに一致するように空燃比が制御される。
【0082】次に、三元触媒53内に貯留されるアンモ
ニア貯留量(アンモニア量)SUMNH3の算出方法に
ついて、図13に示したルーチンを参照しながら説明す
る。CPU71は、このプログラムを所定時間の経過毎
に繰り返し実行するようになっている。従って、CPU
71は、所定のタイミングになると、ステップ1300
から処理を開始してステップ1305に進み、同ステッ
プ1305にて瞬時アンモニア生成量ΔNH3を算出す
る。
【0083】具体的に述べると、CPU71は、単位時
間当たりの吸入空気量Gaと、上流側空燃比abyfs(=
Map(vabyfs))と、単位時間内に燃焼室25にて生成
されるアンモニアの量ΔNH3との関係を予め規定する
マップ(テーブル)、実際の単位時間当たりの吸入空気
量Ga、及び実際の上流側空燃比センサ66の出力vaby
fsに基く上流側空燃比abyfsとから、単位時間内に燃焼
室25にて生成されるアンモニアの量ΔNH3を求め
る。なお、例えば上流側空燃比abyfsがリーンであった
り、吸入空気量Gaが小さい領域では、アンモニアは殆
ど生成されず、三元触媒53内に貯留されているアンモ
ニアは同三元触媒53から同吸入空気量Gaに応じた量
だけ流出して行く。従って、そのような上流側空燃比ab
yfsと吸入空気量Gaとの組み合わせに対するステップ
1305中に示したマップ点のアンモニア量ΔNH
3は、吸入空気量Gaに応じた負の値となるように設定
されている。
【0084】次いで、CPU71はステップ1310に
進み、その時点でのアンモニア貯留量SUMNH3に上
記求めたアンモニア量ΔNH3を加えて、新たなアンモ
ニア貯留量SUMNH3を求め、その後、ステップ13
95に進んで本ルーチンを一旦終了する。以上により、
アンモニア貯留量SUMNH3が推定される。なお、機
関の運転状態(吸入空気量Gaと上流側空燃比abyfs)
に基いて単位時間のアンモニア量ΔNH3を求めるステ
ップ1305に代えて、三元触媒53上流の排気通路内
にアンモニア濃度センサを配設しておき、同アンモニア
濃度センサの検出値から単位時間のアンモニア量ΔNH
3を求めるように構成してもよい。
【0085】以上、説明したように、本発明による空燃
比制御装置の実施形態は、三元触媒53の上流側空燃比
が通常の酸素吸蔵量制御における空燃比制御ではなり得
ない程度のリッチとなり、三元触媒53内に貯留される
アンモニアが所定量より多くなって同アンモニアから生
成される窒素酸化物量が多くなると予想されるときに
は、三元触媒53内に貯留されているアンモニア量が少
なくなるまでの所定時間だけ酸素吸蔵量を所定の酸素吸
蔵量とするための空燃比制御を中止するとともに、機関
の空燃比を理論空燃比に保持する。この結果、三元触媒
53内のアンモニアが窒素酸化物に転換されないので、
同窒素酸化物の排出量を低減することができる。また、
三元触媒53内に貯留しているアンモニア量が多い場合
であっても、同三元触媒53の温度が高いときには、ア
ンモニアが窒素酸化物に転換され難いので、酸素吸蔵量
を所定の酸素吸蔵量とするための空燃比制御を継続す
る。この結果、酸素吸蔵量が適量に維持されるので、そ
の後において機関の空燃比がリッチとなった場合におい
ても、未燃HC,COを確実に浄化することが可能とな
る。
【0086】なお、本発明は上記実施形態に限定される
ことはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採
用することができる。例えば、図11のステップ111
0、1115は何れか一方のみを採用してもよい。ま
た、図11のステップ1120を省略してもよい。
【0087】更に、図11に示した理論空燃比制御開始
判定ルーチンにおいて、ステップ1105とステップ1
110の間に、酸素吸蔵量OSAが目標酸素吸蔵量OS
Arefよりも小さい場合にステップ1110へ進み、酸
素吸蔵量OSAが目標酸素吸蔵量OSAref以上の場合
にステップ1195へ直接進むステップを設けてもよ
い。これにより、酸素吸蔵量OSAを目標酸素吸蔵量O
SArefに近づけるために、機関の空燃比をリーンに設
定する必要があることが確実となったときにのみ、理論
空燃比保持制御が行われることとなる。
【0088】或いは、図11に示した理論空燃比制御開
始判定ルーチンにおいて、ステップ1110,111
5,1120が総べて成立したとき(これらのステップ
の内幾つかが省略されている実施形態においては、省略
されていないステップの総べてが成立したとき)に値が
「1」に設定され、その後、所定時間後に値が「0」に
設定されるフラグGを設け、このフラグGの値が「1」
である間に、酸素吸蔵量OSAが目標酸素吸蔵量OSA
refよりも小さくなった場合にのみ、上記理論空燃比制
御許可フラグFを「1」に設定するように構成してもよ
い。
【0089】このようにすれば、酸素吸蔵量OSAが目
標酸素吸蔵量OSAref以上であって、機関の空燃比を
リッチとしておけばよい状態において、同機関の空燃比
が理論空燃比とされないことが補償される。なお、フラ
グGの値を「1」に設定しておく所定時間は、上記フラ
グFの値を「1」に設定しておく所定時間のようにアン
モニア貯留量SUMNH3が多いほど長くなるように設
定されることが好適であるつまり、フラグGの値を
「1」に設定しておく所定時間は、空燃比が所定のリッ
チ空燃比AFRよりリッチとなってから、三元触媒内の
アンモニア貯留量SUMNH3が十分に減少するまでの
時間(リーン空燃比が三元触媒内に流入してもアンモニ
アが多量のNOxに転換されない量となるまでの時間)
に相当するように設定されることが望ましい。
【0090】更に、このようにフラグGを設けた場合に
は、フラグGの値が「1」へと設定されてから、フラグ
Fの値が「1」へと設定されて理論空燃比保持制御が開
始されるまでの時間に応じて、この理論空燃比保持制御
の継続時間(即ち、フラグFの値を「1」に維持する時
間)を変更するか、フラグFの値が「1」へと設定され
たときのアンモニア貯留量SUMNH3に応じて理論空
燃比保持制御の継続時間(同フラグFの値を「1」に維
持する時間)を変更することが望ましい。これによれ
ば、アンモニアが多量の窒素酸化物に転換される可能性
がある場合だけ機関の空燃比が理論空燃比に維持される
から、三元触媒の酸素吸蔵量を速やかに目標酸素吸蔵量
近傍の量とすることが可能となる。
【0091】また、上記実施形態における酸素吸蔵量の
制御では、同酸素吸蔵量OSAを目標酸素吸蔵量OSA
refに一致するように空燃比を制御していたが、酸素吸
蔵量OSAを所定の範囲(例えば、目標酸素吸蔵量OS
Arefに対して所定の幅を持たせた範囲)とするように
空燃比を制御してもよい。更に、上記実施形態において
は、理論空燃比に保持する制御を、同制御の開始から所
定時間が経過したときに終了していたが、上記アンモニ
ア貯留量SUMNH3の量が所定量以下となったか否か
を判定し、所定量以下となったときに終了するように構
成してもよい。
【0092】更に、三元触媒53の温度TempCCROは、機
関の負荷(例えば、吸入空気量をエンジン回転速度で除
した値)とエンジン回転速度NEとから排気温度を求め、
同排気温度を実質的に積分することで推定してもよい。
【0093】なお、上記実施形態においては、上流側空
燃比センサ66により検出される空燃比が所定のリッチ
空燃比よりもリッチとなったとき、所定時間だけ酸素吸
蔵量を目標酸素吸蔵量とする機関の空燃比のフィードバ
ック制御を中止しているが、この中止は、通常時におけ
るフィードバックゲインに対してフィードバックゲイン
を極めて小さい値とすることにより、実質的にフィード
バック制御を中止するようにしてもよい。
【0094】また、上記実施形態の空燃比制御装置は、
内燃機関の排気通路に備えられた三元触媒53と、前記
三元触媒の上流の前記排気通路内に備えられた空燃比セ
ンサ66と、前記三元触媒の酸素吸蔵量を算出する酸素
吸蔵量算出手段と、前記算出された酸素吸蔵量が所定の
酸素吸蔵量となるように前記機関の空燃比を制御する空
燃比制御手段とを具備する内燃機関の空燃比制御装置で
あって、前記空燃比制御手段は、前記空燃比センサが所
定のリッチ空燃比AFRよりリッチな空燃比を検出した
とき、前記酸素吸蔵量を前記所定の酸素吸蔵量とするた
めに前記機関の空燃比をリーン空燃比とする前に、同機
関の空燃比を所定時間だけ理論空燃比に保持するように
構成されたものであるとも言える。
【0095】更に、観点を変えれば、上記実施形態の空
燃比制御装置により、上流側空燃比センサ66により検
出される空燃比が所定のリッチ空燃比AFRよりもリッ
チとなったときは、機関の空燃比を所定時間だけ理論空
燃比に保持した後、リーン空燃比に移行するように制御
する内燃機関の空燃比制御方法が実施されるものと言う
事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による空燃比制御装置を搭載した内燃
機関の概略図である。
【図2】 図1に示したエアフローメータの出力電圧と
計測された吸入空気量との関係を示したマップである。
【図3】 図1に示した上流側空燃比センサの出力電圧
と空燃比との関係を示したマップである。
【図4】 図1に示した下流側空燃比センサの出力電圧
と空燃比との関係を示したマップである。
【図5】 図1に示した空燃比制御装置、及び従来の空
燃比制御装置による空燃比制御の概要を、それぞれ実線
と破線により示したタイムチャートである。
【図6】 図1に示したCPUが実行する燃料噴射量計
算のためのプログラムを示したフローチャートである。
【図7】 図1に示したCPUが実行する空燃比フィー
ドバック補正量の計算のためのプログラムを示したフロ
ーチャートである。
【図8】 図1に示したCPUが実行する酸素吸蔵量補
正量のためのプログラムを示したフローチャートであ
る。
【図9】 図1に示したCPUが実行する酸素吸蔵量の
計算のためのプログラムを示したフローチャートであ
る。
【図10】 図1に示したCPUが実行する酸素吸蔵量
の計算のためのプログラムを示したフローチャートであ
る。
【図11】 図1に示したCPUが実行する理論空燃比
制御の開始判定を行うためのプログラムを示したフロー
チャートである。
【図12】 図1に示したCPUが実行する理論空燃比
制御の終了判定を行うためのプログラムを示したフロー
チャートである。
【図13】 図1に示したCPUが実行するアンモニア
量を推定(計算)するためのプログラムを示したフロー
チャートである。
【符号の説明】
10…内燃機関、25…燃焼室、39…インジェクタ、
52…エキゾーストパイプ(排気管)、53…三元触
媒、66…上流側空燃比センサ、67…下流側空燃比セ
ンサ、68…排気温度センサ、70…電気制御装置、7
1…CPU。
フロントページの続き (72)発明者 小林 大介 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 加藤 直人 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 岡崎 俊太郎 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3G084 BA09 BA13 DA10 EA07 EA11 EB08 EB13 FA07 FA10 FA20 FA30 FA38 3G091 AA02 AA17 AA23 AA28 AB03 BA14 BA15 BA19 CB02 CB08 DA01 DA02 DB06 DB08 DB10 DB13 DC01 EA01 EA03 EA05 EA07 EA16 EA17 EA18 EA30 EA31 EA34 FB10 FB11 FB12 GB04W GB10W HA36 HA37 HA39 HA42 3G301 JA25 JA26 MA01 NA08 NC02 ND05 NE14 NE15 NE16 NE23 PA01Z PA11Z PD01 PD09A PD09Z PD12Z PE03Z PE08Z PF03Z

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の排気通路に備えられた三元触媒
    と、 前記三元触媒の上流の前記排気通路内に備えられた空燃
    比センサと、 前記三元触媒の酸素吸蔵量を算出する酸素吸蔵量算出手
    段と、 前記算出された酸素吸蔵量が所定の酸素吸蔵量となるよ
    うに前記機関の空燃比を制御する空燃比制御手段とを具
    備する内燃機関の空燃比制御装置であって、 前記空燃比制御手段は、前記空燃比センサが所定のリッ
    チ空燃比よりリッチな空燃比を検出したとき、前記酸素
    吸蔵量算出手段により算出される酸素吸蔵量を前記所定
    の酸素吸蔵量とするために前記機関の空燃比をリーン空
    燃比とする前に、同機関の空燃比を所定時間だけ理論空
    燃比に保持するように構成された内燃機関の空燃比制御
    装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装
    置において、 前記空燃比制御手段は、 前記内燃機関の燃焼室内で生成されたアンモニアが前記
    三元触媒内で酸化されることにより生成される窒素酸化
    物の量が所定量以上となるか否かを判定する判定手段を
    含み、前記判定手段により前記生成される窒素酸化物の
    量が所定量以上とならないと判定されるときは、前記空
    燃比センサが前記所定のリッチ空燃比よりリッチな空燃
    比を検出したときであっても、前記機関の空燃比を前記
    所定時間だけ理論空燃比に保持することなくリーン空燃
    比とするように構成された内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 【請求項3】排気通路に三元触媒を備えるとともに、前
    記三元触媒の上流の前記排気通路内に空燃比センサを備
    えた内燃機関の空燃比制御装置において、 前記三元触媒の酸素吸蔵量を算出する酸素吸蔵量算出手
    段と、 前記算出された酸素吸蔵量が所定の酸素吸蔵量となるよ
    うに前記機関の空燃比を制御する空燃比制御手段と、 前記空燃比センサにより検出される空燃比が所定のリッ
    チ空燃比よりもリッチとなったとき、所定時間だけ前記
    空燃比制御手段による前記機関の空燃比の制御を実質的
    に中止するとともに、同機関の空燃比を理論空燃比に保
    持する理論空燃比保持手段とを備えた内燃機関の空燃比
    制御装置。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の内燃機関の空燃比制御装
    置において、 前記理論空燃比保持手段は、 前記内燃機関の燃焼室内で生成されたアンモニアが前記
    三元触媒内で酸化されることにより生成される窒素酸化
    物の量が所定量以上となるか否かを判定する判定手段を
    含み、前記空燃比センサにより検出される空燃比が前記
    所定のリッチ空燃比よりもリッチとなったときであって
    も、前記判定手段により前記生成される窒素酸化物の量
    が所定量以上とならないと判定されるときは前記空燃比
    制御手段による前記機関の空燃比制御を継続するように
    構成された内燃機関の空燃比制御装置。
  5. 【請求項5】請求項2又は請求項4に記載の内燃機関の
    空燃比制御装置において、 前記判定手段は、前記三元触媒内に貯留するアンモニア
    量を推定するとともに、同推定されたアンモニア量が所
    定量以上か否かを判定することにより前記生成される窒
    素酸化物の量が前記所定量以上となるか否かを判定する
    ように構成された内燃機関の空燃比制御装置。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の内燃機関の空燃比制御装
    置において、 前記判定手段は、前記三元触媒の温度が所定温度より高
    い温度であるか否かを判定し、同三元触媒の温度が同所
    定温度より高い温度であるときは、前記生成される窒素
    酸化物の量が前記所定量以上とならないと判定するよう
    に構成された内燃機関の空燃比制御装置。
  7. 【請求項7】請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の
    空燃比制御装置において、 前記空燃比制御手段は、前記三元触媒内に貯留するアン
    モニア量を推定するとともに同推定されたアンモニア量
    が多いほど前記機関の空燃比を理論空燃比に保持する前
    記所定時間を長くするように構成された内燃機関の空燃
    比制御装置。
  8. 【請求項8】請求項3又は請求項4に記載の内燃機関の
    空燃比制御装置において、 前記理論空燃比保持手段は、前記三元触媒内に貯留する
    アンモニア量を推定するとともに同推定されたアンモニ
    ア量が多いほど前記機関の空燃比を理論空燃比に保持す
    る前記所定時間を長くするように構成された内燃機関の
    空燃比制御装置。
  9. 【請求項9】排気通路に三元触媒を備えた内燃機関の空
    燃比制御方法であって、 前記三元触媒の酸素吸蔵量を算出し、 前記算出された酸素吸蔵量が所定の酸素吸蔵量となるよ
    うに前記機関の空燃比を制御し、 前記三元触媒内にアンモニアが貯留される状態になった
    か否かを判定し、 前記三元触媒内にアンモニアが貯留される状態になった
    と判定されたときは、前記算出された酸素吸蔵量を前記
    所定の酸素吸蔵量とするために前記機関の空燃比をリー
    ン空燃比とする前に、同機関の空燃比を理論空燃比に所
    定時間だけ保持する内燃機関の空燃比制御方法。
  10. 【請求項10】請求項9に記載の内燃機関の空燃比制御
    方法において、 前記三元触媒内にアンモニアが貯留される状態になった
    か否かの判定は、前記機関の空燃比が所定のリッチ空燃
    比よりもリッチとなったか否かを判定することによりな
    される内燃機関の空燃比制御方法。
  11. 【請求項11】請求項9又は請求項10に記載の内燃機
    関の空燃比制御方法であって、 前記三元触媒の温度が所定温度以上か否かを判定し、 前記三元触媒の温度が所定温度以上のときは、前記三元
    触媒内にアンモニアが貯留される状態になったと判定さ
    れたときであっても、前記機関の空燃比を理論空燃比に
    所定時間だけ保持することなく前記算出された酸素吸蔵
    量を前記所定の酸素吸蔵量とするために同機関の空燃比
    をリーン空燃比とする内燃機関の空燃比制御方法。
  12. 【請求項12】排気通路に三元触媒を備えるとともに、
    前記三元触媒の上流の前記排気通路に空燃比センサを備
    えた内燃機関の空燃比制御方法であって、 前記空燃比センサにより検出される空燃比が所定のリッ
    チ空燃比よりもリッチとなったときは、前記機関の空燃
    比を所定時間だけ理論空燃比に保持した後、リーン空燃
    比に移行するように制御する内燃機関の空燃比制御方
    法。
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