JP4379595B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

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本発明は、内燃機関の排気通路に配設された触媒の下流に設けられた酸素濃度センサの出力に基づいて同触媒に流入するガスの空燃比を制御する内燃機関の空燃比制御装置に関する。
従来より、内燃機関の排気通路に配設された触媒(三元触媒)の下流に酸素濃度センサを設け、この酸素濃度センサの出力が理論空燃比に相当する値となるように同内燃機関に供給する混合気の空燃比(従って、触媒に流入するガスの空燃比)をフィードバック制御する空燃比制御装置が広く知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開平9−60544号公報(第5頁、図3)
このような空燃比制御装置に使用される酸素濃度センサは、一般に、検出電極と基準電極の間の酸素濃度(酸素分圧)の差に基づいて出力が変化するセンサであり、その基準電極は大気に曝されている。従って、図14の実線に示したように、酸素濃度センサの検出電極に到達したガス(以下、単に「酸素濃度センサ到達ガス」とも称呼する。)の空燃比が理論空燃比より僅かでもリッチであると、検出電極と基準電極の間の酸素濃度の差が大きくなるので、その出力Voxsは最大出力値maxとなる。
これに対し、酸素濃度センサ到達ガスの空燃比が理論空燃比より僅かでもリーンであると、検出電極と基準電極の間の酸素濃度の差が小さくなるので、その出力Voxsは最小出力値minとなる。従って、酸素濃度センサの出力が最大出力値と最小出力値の略中間の値(以下、「中央値a」と称呼する。)であるとき、酸素濃度センサ到達ガスの空燃比は理論空燃比であると考えられている。このため、上記従来の空燃比制御装置は、触媒下流側の酸素濃度センサの出力Voxsが中央値aとなるように、内燃機関に供給する混合気の空燃比をフィードバック制御している。
一方、触媒は、触媒に流入するガス(以下、単に「触媒流入ガス」とも称呼する。)中に酸素が過剰に含まれているとき(即ち、触媒流入ガスの空燃比がリーンであるとき)、そのガス中の酸素を内部に吸蔵するとともに、触媒流入ガス中にCO,H等の未燃ガス(未燃成分)が多量に含まれていて同未燃ガスを酸化するための酸素が不足しているとき(即ち、触媒流入ガスの空燃比がリッチであるとき)、内部に吸蔵しておいた酸素により同未燃ガスを酸化する機能を備えている。この触媒の機能は、「酸素吸蔵機能」或いは「Oストレージ効果」などと称呼される。
この酸素吸蔵機能により、酸素が吸蔵されている状態の触媒に空燃比がリッチであるガスが流入しても、触媒に吸蔵されている酸素が総て消費されるまでの期間、触媒下流のガスの空燃比はリッチとはならず(略)理論空燃比となる。これに対し、酸素を吸蔵し得る余力が残されている状態の触媒に空燃比がリーンであるガスが流入しても、触媒が酸素を吸蔵しきれなくなるまでの期間、触媒下流のガスの空燃比はリーンとはならず(略)理論空燃比となる。
以上のことから、上記従来の空燃比制御装置により機関に供給される混合気の空燃比をフィードバック制御し、その結果、触媒流入ガスの空燃比がリーンとリッチとの間で変化すると、触媒下流側の酸素濃度センサの出力Voxsは、図15の破線に示したように変化するものと考えられる。
即ち、触媒流入ガスの空燃比がリーンであり且つ触媒に酸素が吸蔵しきれない状態であると、図15の時刻t1以前のように、触媒下流側の酸素濃度センサの出力Voxsは最小出力値min近傍の値となる。その後、上述したフィードバック制御により触媒に流入するガスの空燃比がリッチになると、時刻t1〜t2に示したように、触媒内に吸蔵されている酸素が総て消費されるまで、触媒下流側の酸素濃度センサの出力Voxsは中央値a近傍の値となる。
次いで、触媒に吸蔵されている総ての酸素が消費されると、時刻t2〜t3に示したように、触媒下流側の酸素濃度センサの出力Voxsは最大出力値max近傍の値となる。その後、上述した空燃比フィードバック制御により触媒に流入するガスの空燃比がリーンになると、時刻t3〜t4に示したように、触媒内に酸素が吸蔵しきれなくなるまで触媒下流側の酸素濃度センサの出力Voxsは中央値a近傍の値となる。そして、触媒内に酸素が吸蔵しきれなくなると、時刻t4以降に示したように、触媒下流側の酸素濃度センサの出力Voxsは再び最小出力値min近傍の値となる。
しかしながら、実際の酸素濃度センサの出力Voxsは、図15の実線に示したように変化する。即ち、触媒に流入するガスの空燃比がリーンからリッチへと変化した後であって、触媒内に吸蔵されている酸素が総て消費されるまでの時刻t1〜t2の期間、触媒下流側の酸素濃度センサの出力Voxsは最小出力値minと中央値aの間の値Vleanとなる。この現象は、触媒内に吸蔵されている酸素が消費されるまでの期間においては、酸素濃度センサの検出電極周辺にそれ以前の期間(時刻t1以前)において到達した多量の酸素分子が残留しているので、検出電極と基準電極の間の酸素濃度差が小さくなっているために発生すると考えられる。
また、触媒に流入するガスの空燃比がリッチからリーンへと変化した後であって、触媒内に酸素が吸蔵しきれなくなるまでの時刻t3〜t4の期間、触媒下流側の酸素濃度センサの出力Voxsは最大出力値maxと中央値aとの間の値Vrichとなる。この現象は、触媒内に酸素が吸蔵しきれなくなるまでの期間においては、酸素濃度センサの検出電極周辺にそれ以前の期間(時刻t2〜t3)において到達した多量の未燃ガスによって酸素分子がほぼ完全に消滅しているので(従って、酸素濃度センサの検出電極周辺に多量の未燃ガスが残留しているので)、検出電極と基準電極の間の酸素濃度差が大きくなっているために発生すると考えられる。
換言すれば、図14の二点鎖線に示したように、触媒に流入するガスの空燃比がリーンとリッチとの間で変化すると、同触媒流入ガスの空燃比に対する触媒下流側の酸素濃度センサの実際の出力Voxsの特性には、検出電極周辺に残留しているガスの影響によるヒステリシスが発生する。
以上のことから理解されるように、触媒下流側の酸素濃度センサに到達しているガスの空燃比が略理論空燃比であっても、同酸素濃度センサの出力は、検出電極周辺に残留しているガスの影響(従って、上記ヒステリシス)によって異なる値となり得る。
しかしながら、従来の空燃比制御装置においては、触媒下流側の酸素濃度センサの出力が常に一定の中央値a(一定の理論空燃比相当の目標値)となるように機関に供給される混合気の空燃比がフィードバック制御されている。従って、実際には触媒内で窒素酸化物や未燃ガスが十分に浄化され、触媒から流出するガスの空燃比が略理論空燃比となっている場合(即ち、触媒に流入するガスの空燃比が適切な値となっている場合)であっても、機関に供給される混合気の空燃比(従って、触媒に流入するガスの空燃比)がリッチ又はリーンに過補正されてしまう場合がある。
この結果、大気中に排出される窒素酸化物や未燃ガスの量をより低減できる可能性があるにもかかわらず、同可能性を逸しているという問題が発生する。係る問題は、上記検出電極周辺に残留しているガスを除去することができれば解決され得る。
本発明は上記問題に対処するためになされたものであって、その目的は、触媒下流に設けられた酸素濃度センサの出力に基づいて同触媒に流入するガスの空燃比を制御する内燃機関の空燃比制御装置において、同酸素濃度センサの検出電極周辺に残留しているガスを除去することができるものを提供することにある。
本発明による空燃比制御装置は、内燃機関の排気通路に配設された触媒と、固体電解質を挟んだ両側に基準電極と検出電極とをそれぞれ備えるとともに、同基準電極が大気に曝され同検出電極が前記触媒から流出するガスに曝されるように前記排気通路の同触媒の下流に配設されて同触媒から流出するガス中の酸素濃度に応じた値を出力する酸素濃度センサと、前記酸素濃度センサの出力を理論空燃比に相当する所定の目標値と一致させるための空燃比制御量を演算する空燃比制御量演算手段と、前記演算された空燃比制御量に基づいて前記触媒に流入するガスの空燃比を制御する空燃比制御手段とを備えた内燃機関の空燃比制御装置が、所定の条件が成立したとき、前記酸素濃度センサの検出電極の周辺に残留しているガスを除去する残留ガス除去制御を実行する残留ガス除去手段を備えたことにある。
これによれば、所定の条件が成立したとき、酸素濃度センサの検出電極の周辺に残留しているガスを除去する残留ガス除去制御が実行され、この結果、酸素濃度センサの出力は、検出電極周辺に残留しているガスの影響を受けなくなる。従って、係る残留ガス除去制御が実行された後(直後)においては、酸素濃度センサの検出電極に理論空燃比のガスが到達している場合に同酸素濃度センサが出力する値は一定値となり得る。
よって、酸素濃度センサの出力が常に一定の理論空燃比相当の目標値となるように触媒に流入するガスの空燃比がフィードバック制御される場合であっても、窒素酸化物や未燃ガスを触媒内で浄化する状態をできるだけ維持することが可能となる。
更には、残留ガス除去制御が実行された後(直後)においては、上記残留ガスの影響を受けることなく酸素濃度センサの検出電極に新たに到達したガスの空燃比を直ちに、且つ直接的に検出することができ、この結果、同酸素濃度センサの応答性が向上する。
具体的には、前記残留ガス除去手段は、前記内燃機関が前記触媒から流出するガスの空燃比が略理論空燃比となる特定の状態にある場合において、前記酸素濃度センサの出力が前記理論空燃比に相当する目標値よりもリーン側に偏移した値となっているときに前記残留ガスとしての酸素を除去する残留酸素除去制御を実行するとともに、同酸素濃度センサの出力が同理論空燃比に相当する目標値よりもリッチ側に偏移した値となっているときに同残留ガスとしての還元ガスを除去する残留還元ガス除去制御を実行するように構成される
触媒から流出するガスの空燃比が略理論空燃比となっている場合(即ち、酸素濃度センサの検出電極に理論空燃比のガスが到達している場合)において、酸素濃度センサ出力が理論空燃比相当の目標値よりもリーン側に偏移した値となっていること、又はリッチ側に偏移した値となっていることは、検出電極周辺に酸素が残留していること、又は未燃ガス(即ち、還元ガス)が残留していることをそれぞれ意味する。
従って、上記構成によれば、除去されるべき検出電極周辺に残留しているガスを適切に選択・特定でき、この結果、同残留しているガスに応じた適切な残留ガス除去制御を実行することができる。
この場合、「内燃機関が触媒から流出するガスの空燃比が略理論空燃比となる特定の状態にある場合」としては、例えば、触媒の酸素吸蔵量が所定量以上(例えば、最大酸素吸蔵量近傍)となったときに機関に供給される混合気の空燃比(従って、触媒に流入するガスの空燃比)が所定のリッチ空燃比に制御される場合がある。
この場合の典型的な例としては、燃費向上等を目的としたフューエルカット処理の実行により最大酸素吸蔵量近傍まで到達している可能性が高い触媒の酸素吸蔵量を適切な値(例えば、最大酸素吸蔵量の半分近傍の値)にまで減少させるため、同フューエルカット処理後に機関に供給される混合気の空燃比を所定の期間だけ所定のリッチ空燃比に維持するリッチ制御が実行される場合が挙げられる。なお、触媒を、空燃比がリッチ及びリーンの何れのガスが流入しても上述した酸素吸蔵機能を十分に発揮し得る状態とするためには、一般に、同触媒の酸素吸蔵量が最大酸素吸蔵量の半分程度に調整されることが好ましい。
また、「内燃機関が触媒から流出するガスの空燃比が略理論空燃比となる特定の状態にある場合」としては、例えば、触媒の酸素吸蔵量が所定量以下(例えば、「0」近傍)となったときに機関に供給される混合気の空燃比が所定のリーン空燃比に制御される場合もある。
この場合の典型的な例としては、加速増量処理、OT増量処理等の燃料の増量処理の実行により「0」近傍まで到達している可能性が高い触媒の酸素吸蔵量を適切な値(例えば、最大酸素吸蔵量の半分近傍の値)にまで増加させるため、同増量処理後に機関に供給される混合気の空燃比を所定の期間だけ所定のリーン空燃比に維持するリーン制御が実行される場合が挙げられる。
ここで、「加速増量処理」とは、運転者によるアクセル操作量が所定量以上となっていて同運転者の加速要求が大きいときに機関の出力トルクをより高めるため燃料噴射量を理論空燃比に対応する量よりも増大させて機関に供給される混合気の空燃比を所定のリッチ空燃比とする処理である。また、「OT増量処理」とは、触媒の温度が高くなって同温度が適正な温度範囲を超えたときに未燃成分の気化熱を利用して同触媒の温度を下げるため燃料噴射量を理論空燃比に対応する量よりも増大させて機関に供給される混合気の空燃比を所定のリッチ空燃比とする処理である。
また、前記残留ガス除去手段は、前記酸素濃度センサにおける前記基準電極と前記検出電極との間に所定の電圧を印加することにより、前記残留酸素除去制御、及び前記残留還元ガス除去制御を実行するように構成され得る。
即ち、酸素濃度センサにおける基準電極と検出電極との間に強制的に電圧を印加すると、両電極に挟まれた固体電解質内において酸素イオンの電気泳動が発生し得、係る酸素イオンの電気泳動が原動力となって検出電極周辺に残留している酸素、或いは還元ガスを除去することができる。
より具体的に述べると、前記残留ガス除去手段は、前記残留酸素除去制御を実行する場合、前記基準電極に対する前記検出電極の電圧が負の電圧になるように同基準電極と同検出電極との間に前記所定の電圧を印加し、前記残留還元ガス除去制御を実行する場合、前記基準電極に対する前記検出電極の電圧が正の電圧になるように同基準電極と同検出電極との間に前記所定の電圧を印加するように構成される。ここにおいて、上記印加される電圧(の絶対値)は、残留酸素除去制御を実行する場合と残留還元ガス除去制御を実行する場合とで同一であっても異なっていてもよい。
これによると、残留酸素除去制御を実行する場合、固体電解質内において検出電極側から基準電極側への酸素イオンの電気泳動が発生し、検出電極表面に吸着している酸素(具体的には、酸素原子)と同検出電極内の電子とが結合する反応が促進される。これにより、検出電極周辺に残留している酸素が固体電解質内に酸素イオンとして順次取り込まれていき、この結果、同残留している酸素が除去され得る。
一方、残留還元ガス除去制御を実行する場合、固体電解質内において基準電極側から検出電極側への酸素イオンの電気泳動が発生し、検出電極表面に吸着している還元ガス(具体的には、CO,H等)と固体電解質内の酸素イオンとの反応が促進される。これにより、検出電極周辺に残留している還元ガスが順次中性ガスとなって同検出電極周辺から離れていき、この結果、同残留している還元ガスが除去され得る。
また、残留酸素除去制御実行中、又は残留還元ガス除去制御実行中にて酸素濃度センサにおける基準電極と検出電極との間に電圧を強制的に印加する場合、同印加された電圧の影響を受けて酸素濃度センサの出力は検出電極に到達しているガスの空燃比を表さなくなる。従って、この場合、前記残留ガス除去手段は、前記空燃比制御手段による前記空燃比制御の実行を禁止させるように構成されることが好適である。
また、前記残留ガス除去手段は、前記残留酸素除去制御実行中、又は前記残留還元ガス除去制御実行中において、前記酸素濃度センサにおける前記基準電極と前記検出電極との間を流れる前記所定の電圧に基づく電流値が所定の基準値まで減少したとき、同実行中の制御を終了するように構成されることが好ましい。
酸素濃度センサにおける基準電極と検出電極との間に電圧を強制的に印加した際に両電極間を流れる電流値は、上述した検出電極表面にて発生する反応の速度の減少に応じて減少する。一方、係る反応速度は、検出電極周辺に残留しているガスの濃度の減少に応じて減少していく。
即ち、上記電流値は、検出電極周辺に残留しているガスが徐々に除去されていくにつれて減少していく。従って、上記電流値を監視することにより検出電極周辺に残留していたガスが総て除去された時点が推定され得る。従って、上記構成のように、上記電流値が所定の基準値まで減少したとき実行中の制御を終了すれば、検出電極周辺に残留していたガスが総て除去された時点で同実行中の制御を終了することができる。
この結果、早めに制御を終了することで検出電極周辺に残留していたガスが依然として残留し続ける事態、並びに、不必要に長く制御を継続して電圧印加に要する電力を不必要に消費する事態の発生を防止することができる。なお、ここにおいて、「所定の基準値」は、残留酸素除去制御を実行する場合と残留還元ガス除去制御を実行する場合とで同一であっても異なっていてもよい。
ところで、上述したように、残留酸素除去制御、及び残留還元ガス除去制御は、機関が上記特定の状態にある場合(即ち、触媒から流出するガスの空燃比が略理論空燃比となっている場合)に実行される。しかしながら、機関が上記特定の状態にあっても、例えば、触媒が劣化していて上述した酸素吸蔵機能が十分に発揮され得ないような場合等においては、空燃比が理論空燃比から乖離したガスが触媒から流出する事態が発生する場合もあり得る。
このような場合、触媒から流出するガス中に過剰に含まれている酸素、又は還元ガスが酸素濃度センサの検出電極周辺に継続的に供給されることになるから、上記残留酸素除去制御、又は上記残留還元ガス除去制御を長時間継続しても検出電極に残留しているガスが除去され得ない場合も考えられる。
以上のことから、前記残留ガス除去手段は、前記残留酸素除去制御実行中、又は前記残留還元ガス除去制御実行中において、前記電流値が同実行中の制御の開始時点から所定時間が経過しても前記所定の基準値まで減少しなかったとき、同実行中の制御を中止するように構成されると好ましい。
加えて、機関の負荷(例えば、アクセル開度、エンジン回転速度等)が大きくなると触媒に流入するガス流量が大きくなる。この場合、機関が上記特定の状態にあって且つ触媒が劣化していなくても、上述した酸素吸蔵機能が十分に発揮される前に触媒に流入したガスが同触媒を通過し、この結果、空燃比が理論空燃比から乖離したガスが触媒から流出する事態が発生する場合もあり得る。このような場合、上記残留酸素除去制御、及び上記残留還元ガス除去制御を開始すべきでない。
以上のことから、上記本発明による空燃比制御装置においては、前記内燃機関の負荷の程度が所定の程度を超えている場合、前記残留ガス除去手段による前記残留酸素除去制御、及び前記残留還元ガス除去制御の実行を禁止させる残留ガス除去制御禁止手段を更に備えるとよい。
また、上記本発明による空燃比制御装置においては、前記残留ガス除去手段による前記残留酸素除去制御、又は前記残留還元ガス除去制御が終了した後、前記理論空燃比に相当する目標値を、前記酸素濃度センサの実際の出力値に更新する更新手段を更に備えると好ましい。
上述したように、残留酸素除去制御、及び残留還元ガス除去制御は、機関が上記特定の状態にある場合(即ち、触媒から流出するガスの空燃比が略理論空燃比となっている場合)に実行される。従って、係る制御が終了した後(直後)においては、酸素濃度センサの検出電極には理論空燃比のガスのみが到達していて、同酸素濃度センサの実際の出力値は理論空燃比のガスに対応する値に正確に一致しているものと考えられる。
従って、上記構成によれば、残留酸素除去制御、又は残留還元ガス除去制御が終了する毎に、酸素濃度センサについての理論空燃比に相当する目標値をより正確な値へと更新していくことができる。従って、触媒に流入するガスの空燃比を正確に理論空燃比とし、或いは、触媒から流出するガスの空燃比を正確に理論空燃比とすることができるから、触媒内において窒素酸化物や未燃成分を極めて効果的に浄化することができる。
以下、本発明による内燃機関の空燃比制御装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。この空燃比制御装置は、機関の燃料噴射量を制御する燃料噴射量制御装置でもある。
図1は、本発明の実施形態に係る空燃比制御装置を4サイクル火花点火式多気筒内燃機関10に適用したシステムの概略構成を示している。なお、図1は、特定気筒の断面のみを示しているが、他の気筒も同様な構成を備えている。
この内燃機関10は、シリンダブロック、シリンダブロックロワーケース及びオイルパン等を含むシリンダブロック部20と、シリンダブロック部20の上に固定されるシリンダヘッド部30と、シリンダブロック部20にガソリン混合気を供給するための吸気系統40と、シリンダブロック部20からの排ガスを外部に放出するための排気系統50とを含んでいる。
シリンダブロック部20は、シリンダ21、ピストン22、コンロッド23及びクランク軸24を含んでいる。ピストン22はシリンダ21内を往復動し、ピストン22の往復動がコンロッド23を介してクランク軸24に伝達され、これにより同クランク軸24が回転するようになっている。シリンダ21とピストン22のヘッドは、シリンダヘッド部30とともに燃焼室25を形成している。
シリンダヘッド部30は、燃焼室25に連通した吸気ポート31、吸気ポート31を開閉する吸気弁32、吸気弁32を駆動するインテークカムシャフトを含むとともに同インテークカムシャフトの位相角及びリフト量を連続的に変更する可変吸気タイミング装置33、可変吸気タイミング装置33のアクチュエータ33a、燃焼室25に連通した排気ポート34、排気ポート34を開閉する排気弁35、排気弁35を駆動するエキゾーストカムシャフト36、点火プラグ37、点火プラグ37に与える高電圧を発生するイグニッションコイルを含むイグナイタ38及び燃料を吸気ポート31内に噴射するインジェクタ(燃料噴射手段)39を備えている。
吸気系統40は、吸気ポート31に連通し同吸気ポート31とともに吸気通路を形成するインテークマニホールドを含む吸気管41、吸気管41の端部に設けられたエアフィルタ42、吸気管41内にあって吸気通路の開口断面積を可変とするスロットルバルブ43及びスワールコントロールバルブ(以下、「SCV」と称呼する。)44を備えている。
スロットルバルブ43は、DCモータからなるスロットルバルブアクチュエータ43aにより吸気管41内で回転駆動されるようになっている。SCV44は、DCモータからなるSCVアクチュエータ44aにより回転駆動されるようになっている。
排気系統50は、排気ポート34に連通したエキゾーストマニホールド51、エキゾーストマニホールド51に接続されたエキゾーストパイプ52、エキゾーストパイプ52に配設された上流側触媒53、上流側触媒53よりも下流のエキゾーストパイプ52に配設された下流側触媒54を備えている。排気ポート34、エキゾーストマニホールド51及びエキゾーストパイプ52は、排気通路を構成している。
上流側触媒53及び下流側触媒54のそれぞれは、所謂、白金等の貴金属からなる活性成分を担持する三元触媒装置である。各触媒は、触媒流入ガスがほぼ理論空燃比であるとき、HC,COなどの未燃ガスを酸化するとともに、窒素酸化物(NOx)を還元する機能を有する。更に、各触媒は、酸素を吸蔵(貯蔵)する酸素吸蔵機能を有し、この酸素吸蔵機能により空燃比が理論空燃比から偏移したとしても未燃ガス及び窒素酸化物を浄化することができる。この酸素吸蔵機能は、触媒に担持されているセリア(CeO2)によってもたらされる。
一方、このシステムは、熱線式エアフローメータ61、吸気温センサ62、スロットルポジションセンサ63、カムポジションセンサ64、クランクポジションセンサ65、水温センサ66、空燃比センサ67、酸素濃度センサ68、触媒温度センサ69及びアクセル開度センサ70を備えている。
エアフローメータ61は、吸気管41内を流れる吸入空気の質量流量Gaに応じた信号を出力するようになっている。吸気温センサ62は、吸入空気の温度を検出し、吸気温度THAを表す信号を出力するようになっている。スロットルポジションセンサ63は、スロットルバルブ43の開度(スロットルバルブ開度)を検出し、スロットルバルブ開度TAを表す信号を出力するようになっている。
カムポジションセンサ64は、インテークカムシャフトが90°回転する毎に(即ち、クランク軸24が180°回転する毎に)一つのパルスを有する信号(G2信号)を発生するようになっている。クランクポジションセンサ65は、クランク軸24が10°回転する毎に幅狭のパルスを有するとともに同クランク軸24が360°回転する毎に幅広のパルスを有する信号を出力するようになっている。この信号は、エンジン回転速度NEを表す。水温センサ66は、内燃機関10の冷却水の温度を検出し、冷却水温THWを表す信号を出力するようになっている。
空燃比センサ67は、排気通路であって上流側触媒53よりも上流側に配設されている。空燃比センサ67は、所謂「限界電流式酸素濃度センサ」であって、上流側触媒53に流入する排ガス中の空燃比を検出し、図2に示したように、検出した空燃比に応じた信号vabyfsを出力するようになっている。
酸素濃度センサ68は、排気通路であって上流側触媒53よりも下流側であり下流側触媒54よりも上流側に配設されている。酸素濃度センサ68は、固体電解質型センサ(安定化ジルコニアを用いた周知の濃淡電池型の酸素センサ)であり、概略構成を模式的に示した図3に示したように、ジルコニアからなる固体電解質68aの両側に白金からなる基準電極68bと白金からなる検出電極68cとを備えている。検出電極68cは多孔質のセラミック68dによりコーティングされている。基準電極68bは大気に曝され、多孔質セラミック68dにより覆われた検出電極68cは上流側触媒53から流出したガス(上流側触媒53と下流側触媒54との間の排気通路内のガス)に曝されている。
この酸素濃度センサ68の出力Voxsの静的な特性は、基準電極68bと検出電極68cの間の酸素濃度(酸素分圧)の差に基づいて変化する特性となる。具体的に述べると、図4に示したように、酸素濃度センサ68は、一般に、検出対象のガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ及びリーンのとき最大出力値max及び最小出力値minをそれぞれ出力し、検出対象のガスの空燃比が理論空燃比であるとき最大出力値maxと最小出力値minの略中間の値(中央値)aを出力するようになっている。
アクセル開度センサ70は、運転者によって操作されるアクセルペダル71の操作量Accpを表す信号を出力するようになっている。
電気制御装置80は、互いにバスで接続されたCPU81、CPU81が実行するプログラム、テーブル(マップ、関数)及び定数等を予め記憶したROM82、CPU81が必要に応じてデータを一時的に格納するRAM83、電源が投入された状態でデータを格納するとともに同格納したデータを電源が遮断されている間も保持するバックアップRAM84並びにADコンバータを含むインターフェース85等からなるマイクロコンピュータである。
インターフェース85は、前記センサ61〜70と接続され、CPU81にセンサ61〜70からの信号を供給するとともに、CPU81の指示に応じて可変吸気タイミング装置33のアクチュエータ33a、イグナイタ38、インジェクタ39、スロットルバルブアクチュエータ43a及びSCVアクチュエータ44aに駆動信号を送出するようになっている。
また、電気制御装置80は、酸素濃度センサ68における基準電極68bと検出電極68cとの間に所定の電圧を強制的に印加するための電圧印加装置86(後述する図5、図6を参照)を内蔵している。電圧印加装置86は、CPU81の指示に応じてインターフェース85を介して基準電極68bと検出電極68cとの間に所定の電圧を印加するとともに、同電圧印加装置86の電気回路内を流れる電流(従って、基準電極68bと検出電極68cとの間を流れる電流i)を示す信号をCPU81に供給するようになっている。
(空燃比フィードバック制御の概要)
次に、上記のように構成された空燃比制御装置(以下、「本装置」と称呼することもある。)による空燃比フィードバック制御の概要について説明する。本装置は、上流側触媒53から流出しているガスの空燃比が理論空燃比となるように機関に供給する混合気の空燃比(以下、「機関の空燃比」とも称呼する。)を制御する。
具体的には、上流側触媒53の下流に配設された酸素濃度センサ68の出力Voxsが理論空燃比に相当する目標値Voxsrefとなるように、同出力Voxsに基づいて(実際には、空燃比センサ67の出力vabyfsにも基づいて)機関の空燃比をフィードバック制御する。
なお、上記理論空燃比に相当する目標値Voxsrefは、図4に示した中央値aに近い値であって、後述する残留酸素除去制御、又は残留還元ガス除去制御が終了する毎に更新されていく値である。
また、本装置は、対応する所定の条件の成立を条件に、上述したフューエルカット処理、及び「フューエルカット処理終了後におけるリッチ制御」、並びに、加速増量等の増量処理、及び「増量処理終了後におけるリーン制御」をそれぞれ実行する。以下、これらの処理・制御を「特定処理」と呼ぶこともある。本装置は、特定処理の何れかを実行する場合、上記空燃比フィードバック制御を中断して空燃比フィードフォワード制御を行う。以上が、空燃比フィードバック制御の概要である。
(残留ガス除去制御の概要)
次に、本装置による残留ガス除去制御の概要について説明する。多量の酸素(窒素酸化物NOx中の酸素を含む。)を含んだリーン空燃比のガスが継続的に酸素濃度センサ68の検出電極68cに到達すると、検出電極68cの表面、及び検出電極68cをコーティングしている多孔質のセラミック68dの内部(以下、「検出電極68cの周辺」と称呼する。)に多量の酸素が残留するようになる。
この残留している酸素は、その後において多量の還元ガス(即ち、CO,H,HC等)を含んだリッチ空燃比のガスが継続的に検出電極68cに到達しない限り消滅し得ない。換言すれば、微小量の(濃度の小さい)還元ガスしか含んでいない略理論空燃比のガスが検出電極68cに到達しても残留している酸素は除去され得ない。この結果、略理論空燃比のガスが検出電極68cに到達しても基準電極68bと検出電極68cとの間の酸素濃度差が小さいままとなって、酸素濃度センサ出力Voxsはリーンを示す値(例えば、図14、図15にて示した値Vlean)となる。
一方、多量のCO,H等の還元ガスを含んだリッチ空燃比のガスが継続的に酸素濃度センサ68の検出電極68cに到達すると、検出電極68cの周辺に多量の還元ガスが残留するようになる。
この残留している還元ガスは、その後において多量の酸素を含んだリーン空燃比のガスが継続的に検出電極68cに到達しない限り消滅し得ない。換言すれば、微小量の(濃度の小さい)酸素しか含んでいない略理論空燃比のガスが検出電極68cに到達しても残留している還元ガスは除去され得ない。この結果、略理論空燃比のガスが検出電極68cに到達しても基準電極68bと検出電極68cとの間の酸素濃度差が大きいままとなって、酸素濃度センサ出力Voxsはリッチを示す値(例えば、図14、図15にて示した値Vrich)となる。
以上のように、酸素濃度センサ68の検出電極68cの周辺に酸素、又は還元ガスが残留していると、検出電極68cに略理論空燃比のガスが到達しても、酸素濃度センサ出力Voxsは検出電極68cの周辺に残留しているガスの影響によって上記理論空燃比相当の目標値Voxsrefと異なる値となる。この結果、上記空燃比フィードバック制御の正確な実行が阻害される。
従って、酸素濃度センサ68の検出電極68cの周辺に酸素、又は還元ガスが残留している場合、同残留しているガスを除去する必要がある。このため、本装置は、酸素が残留している場合に残留ガス除去制御としての残留酸素除去制御を実行し、還元ガスが残留している場合に残留ガス除去制御としての残留還元ガス除去制御を実行する。
<残留酸素除去制御の原理>
以下、先ず、残留酸素除去制御の原理について図5を参照しながら説明する。図5は、検出電極68cの周辺に酸素(O)が残留している場合を示している。この場合、本装置は、前述した電圧印加装置86を利用して、酸素濃度センサ68における基準電極68bに対する検出電極68cの電圧が負の電圧Vcとなるように両電極間に電圧を印加する。なお、この電圧Vcは、酸素濃度センサ出力Voxsの最大出力値maxよりも大きい値である。
そうすると、図5に示すように、固体電解質68a内において検出電極68c側から基準電極68b側への酸素イオン(O2−)の電気泳動が発生する。係る電気泳動が発生すると、固体電解質68a内の検出電極68c近傍における酸素イオン濃度が減少することに起因して、検出電極68c側では、検出電極68c表面に吸着している酸素(具体的には、乖離吸着している酸素原子(O))と、電圧印加装置86から供給された検出電極68c内の電子(e)とが結合する下記(1)式に示した反応が促進される。
O+2・e → O2−・・・(1)
この結果、検出電極68c表面に吸着している酸素原子が固体電解質68a内に酸素イオンとして取り込まれるとともに、同酸素原子が吸着していた部位(吸着サイト)に、多孔質のセラミック68dの内部に残留している酸素が酸素原子となって新たに乖離吸着する。
一方、上記電気泳動が発生すると、固体電解質68a内の基準電極68b近傍における酸素イオン濃度が増加することに起因して、基準電極68b側では、固体電解質68a内の酸素イオンから電子が離脱する下記(2)式に示した反応が促進される。この結果、固体電解質68a内の酸素イオンが酸素となって基準電極68b表面を介して大気中に開放される。酸素イオンから離脱した基準電極68b内の電子は、電圧印加装置86に取り込まれる。
2− → O+2・e・・・(2)
即ち、両電極間に上記負の電圧Vcを印加し続けると、多孔質のセラミック68dの内部に残留している酸素が順次、検出電極68c側から固体電解質68a内に酸素イオンとして取り込まれていく。そして、固体電解質68a内に取り込まれた酸素イオンは同固体電解質68a内を電気泳動により基準電極68b側へ順次移動し、酸素となって大気中に順次開放されていく。この結果、係る酸素イオンの電気泳動に伴って、図5に示したように、電圧印加装置86内にて電子の流れ(即ち、電流値i)が発生する。
このようにして、両電極間に上記負の電圧Vcを印加し続けると、多孔質のセラミック68dの内部に残留している酸素量が徐々に減少していき、この結果、検出電極68cの周辺に残留している酸素が完全に除去され得る。以上が、残留酸素除去制御の原理である。
<残留還元ガス除去制御の原理>
次に、残留還元ガス除去制御の原理について図6を参照しながら説明する。図6は、検出電極68cの周辺に還元ガスとしての一酸化炭素(CO),水素(H)が残留している場合を示している。この場合、本装置は、前述した電圧印加装置86を利用して、基準電極68bに対する検出電極68cの電圧が正の電圧Vcとなるように両電極間に電圧を印加する。なお、上述したように、この電圧Vcは酸素濃度センサ出力Voxsの最大出力値maxよりも大きい値である。
そうすると、図6に示すように、固体電解質68a内において基準電極68b側から検出電極68c側への酸素イオンの電気泳動が発生する。係る電気泳動が発生すると、固体電解質68a内の基準電極68b近傍における酸素イオン濃度が減少することに起因して、基準電極68b側では、基準電極68b表面に乖離吸着している酸素原子と、電圧印加装置86から供給された基準電極68b内の電子とが結合する上記(1)式に示した反応が促進される。
この結果、基準電極68b表面に吸着している酸素原子が固体電解質68a内に酸素イオンとして取り込まれるとともに、同酸素原子が吸着していた部位(吸着サイト)に、大気中の酸素が酸素原子となって新たに乖離吸着する。
一方、上記電気泳動が発生すると、固体電解質68a内の検出電極68c近傍における酸素イオン濃度が増加することに起因して、検出電極68c側では、固体電解質68a内の酸素イオンと、検出電極68c表面に吸着している一酸化炭素及び水素とがそれぞれ反応し、下記(3)式、及び(4)式に示した各反応が促進される。
CO+O2− → CO+2・e・・・(3)
+O2− → HO+2・e・・・(4)
この結果、各反応によりそれぞれ生成された中性ガスである二酸化炭素(CO)、及び水(HO)は、検出電極68c表面から離れていくとともに、上記一酸化炭素及び水素が吸着していた部位(吸着サイト)に、多孔質のセラミック68dの内部に残留している一酸化炭素及び水素が新たに吸着する。上記各反応により酸素イオンから離脱された検出電極68c内の電子は、電圧印加装置86に取り込まれる。
即ち、両電極間に上記正の電圧Vcを印加し続けると、大気中の酸素が順次、基準電極68b側から固体電解質68a内に酸素イオンとして取り込まれていく。そして、固体電解質68a内に取り込まれた酸素イオンは同固体電解質68a内を電気泳動により検出電極68c側へ順次移動し、多孔質のセラミック68dの内部に残留している一酸化炭素、及び水素と順次反応する。これにより、残留している一酸化炭素、及び水素は中性ガスとなって検出電極68cから順次離れていく。この結果、係る酸素イオンの電気泳動に伴って、図6に示したように、電圧印加装置86内にて電子の流れ(即ち、電流値i)が発生する。
このようにして、両電極間に上記正の電圧Vcを印加し続けると、多孔質のセラミック68dの内部に残留している一酸化炭素量、及び水素量が徐々に減少していき、この結果、検出電極68cの周辺に残留している還元ガスが完全に除去され得る。以上が、残留還元ガス除去制御の原理である。
<残留ガス除去制御の開始条件>
次に、上記残留酸素除去制御、及び上記残留還元ガス除去制御の開始条件について説明する。残留酸素除去制御中において多量の酸素を含んだリーン空燃比のガスが上流側触媒53から継続的に流出してくると、検出電極68cの周辺に残留している酸素が除去され得ない。同様に、残留還元ガス除去制御中において多量の還元ガスを含んだリッチ空燃比のガスが上流側触媒53から継続的に流出してくると、検出電極68cの周辺に残留している還元ガスが除去され得ない。
即ち、残留酸素除去制御中、及び残留還元ガス除去制御中は、上流側触媒53から流出するガスの空燃比は略理論空燃比に維持されていることが好ましい。他方、本装置が実行する「フューエルカット処理終了後におけるリッチ制御」、又は「増量処理終了後におけるリーン制御」が実行されている間は、上述したように、上流側触媒53から略理論空燃比のガスが流出していることが保証され得る。即ち、「フューエルカット処理終了後におけるリッチ制御」、又は「増量処理終了後におけるリーン制御」が実行されている場合は、内燃機関10が前記特定の状態にある場合に対応している。
また、上述したように、略理論空燃比のガスが上流側触媒53から流出している場合において、酸素濃度センサ出力Voxsがリーンを示す値、又はリッチを示す値となっていることは、検出電極68cの周辺に酸素、又は還元ガスが残留していることをそれぞれ意味する。
以上のことから、本装置は、「フューエルカット処理終了後におけるリッチ制御」、又は「増量処理終了後におけるリーン制御」が開始された直後において、酸素濃度センサ出力Voxsがリーンを示す値となっているときは残留酸素除去制御を開始し、酸素濃度センサ出力Voxsがリッチを示す値となっているときは残留還元ガス除去制御を開始する。
なお、残留酸素除去制御中、又は残留還元ガス除去制御中においては、上記負の電圧Vc、或いは上記正の電圧Vcの印加により酸素濃度センサ出力Voxsが同印加電圧の値に強制的に一致せしめられ、酸素濃度センサ出力Voxsが検出電極68cに到達しているガスの空燃比を表さなくなる。従って、本装置は、残留酸素除去制御中、又は残留還元ガス除去制御中においては上記空燃比フィードバック制御を中断する。
実際には、残留酸素除去制御中、又は残留還元ガス除去制御中は、「フューエルカット処理終了後におけるリッチ制御」、又は「増量処理終了後におけるリーン制御」が実行されていることにより、上述したように上記空燃比フィードバック制御が中断される。以上が、残留ガス除去制御の開始条件の概要である。
<残留ガス除去制御の終了条件>
次に、上記残留酸素除去制御、及び上記残留還元ガス除去制御の終了条件について説明する。図5、及び図6を参照しながら説明したように、残留酸素除去制御中、又は上記残留還元ガス除去制御中において発生する電流は、固体電解質68a内における酸素イオンの電気泳動に伴って発生する。この酸素イオンの電気泳動は、検出電極68c表面にて発生する上記各反応に伴って発生する。
即ち、上記電流は、検出電極68c表面にて発生する上記各反応に伴って発生する。従って、電流値iは、検出電極68c表面にて発生する反応の速度に依存し、同反応速度の減少に応じて減少する。一方、係る反応速度は、検出電極68cの周辺に残留しているガスの濃度の減少に応じて減少していく。従って、電流値iは、検出電極68c周辺に残留しているガス量が減少するにつれて減少していく。
そして、残留酸素除去制御中においては、検出電極68c周辺に残留している酸素が完全に除去されると、検出電極68cを介して固体電解質68a内に酸素イオンとして取り込まれる対象となる酸素がなくなる。この結果、上記酸素イオンの電気泳動が全く発生しなくなるから、電流値iは「0」になる。以上のことから、本装置は、残留酸素除去制御中において、電流値iを逐次監視するとともに、電流値iが「0」になった時点で同残留酸素除去制御を終了する。
一方、残留還元ガス除去制御中においても、検出電極68c周辺に残留している還元ガスが完全に除去されると、検出電極68cを介して固体電解質68a内の酸素イオンと反応する還元ガスがなくなる。しかしながら、この場合、係る還元ガスがなくなっても、基準電極68b側にて大気中の酸素を固体電解質68a内に取り込む上記(1)式の反応が継続し得、且つ、検出電極68c側にて上記(2)式の反応が発生し得る。
この結果、上記酸素イオンの電気泳動が継続的に僅かに残存し得るから、電流値iは「0」にはならず、或る微小値に維持される。以上のことから、本装置は、残留還元ガス除去制御中においては、電流値iを逐次監視するとともに、電流値iが所定の微小値ithにまで減少した時点で同残留還元ガス除去制御を終了する。以上が、残留ガス除去制御の終了条件の概要である。
<酸素濃度センサ出力目標値の更新>
上述したように、残留酸素除去制御、及び残留還元ガス除去制御は、「フューエルカット処理終了後におけるリッチ制御」、又は「増量処理終了後におけるリーン制御」が実行されている間(即ち、上流側触媒53から略理論空燃比のガスが流出している間)に実行される。
従って、残留酸素除去制御、又は残留還元ガス除去制御が終了した直後においては、酸素濃度センサ68の検出電極68cには理論空燃比のガスのみが到達しているから、この時点での同酸素濃度センサ68の出力Voxsは、理論空燃比のガスに対応する値に正確に一致しているものと考えられる。
以上のことから、本装置は、残留酸素除去制御、又は残留還元ガス除去制御の終了時点が到来する毎に、同終了時点の直後において、酸素濃度センサ68の出力Voxsについての上記理論空燃比相当の目標値Voxsrefを、現時点(同終了時点の直後の時点)での酸素濃度センサ出力Voxsに更新していく。以上、残留ガス除去制御の概要について説明した。
(実際の作動)
次に、上記のように構成された空燃比制御装置の実際の作動について、電気制御装置80のCPU81が実行するルーチン(プログラム)をフローチャートにより示した図7〜図13を参照しながら説明する。なお、図7に示したフローチャートは、演算された空燃比制御量に基づいて上流側触媒53に流入するガスの空燃比を制御する空燃比制御手段に対応し、図8、及び図9に示したフローチャートは、酸素濃度センサ68の出力Voxsを理論空燃比に相当する所定の目標値Voxsrefと一致させるための前記空燃比制御量を演算する空燃比制御量演算手段に対応している。
また、図10、及び図12に示したフローチャートは、酸素濃度センサ68の検出電極68cの周辺に残留しているガスを除去する残留ガス除去制御を実行する残留ガス除去手段に対応し、図11、及び図13に示したフローチャートは、理論空燃比に相当する目標値Voxsrefを、酸素濃度センサ68の実際の出力値Voxsに更新する更新手段に対応している。
CPU81は、図7に示した最終燃料噴射量Fiの計算及び燃料噴射の指示を行うルーチンを、所定の気筒のクランク角が吸気上死点前の所定クランク角度(例えば、BTDC90°CA)となる毎に、繰り返し実行するようになっている。従って、所定の気筒のクランク角度が前記所定クランク角度になると、CPU81はステップ700から処理を開始してステップ705に進み、エアフローメータ61により計測された吸入空気量Gaとエンジン回転速度NEとに基づいて、機関の空燃比を理論空燃比とするための基本燃料噴射量Fbaseをマップfから求める。このマップfは、ROM82に予め記憶されている。
次いで、CPU81はステップ710に進み、前記「特定処理」が実行中であるか否かを判定する。いま、特定処理が実行されていないものとして説明を続けると、CPU81はステップ710にて「No」と判定してステップ715に進み、上記求めた基本燃料噴射量Fbaseに後述する空燃比フィードバック補正量DFiを加えた値を最終燃料噴射量Fiとして設定する。
そして、CPU81はステップ720に進んで最終燃料噴射量Fiの燃料を噴射するための指示を前記所定の気筒に対応するインジェクタ39に対して行い、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。これにより、フィードバック補正された最終燃料噴射量Fiの燃料が吸気行程を迎える気筒に対して噴射される。
次に、上記「特定処理」が実行中である場合について説明する。この場合、CPU81はステップ710に進んだとき「Yes」と判定してステップ725に進むようになり、同ステップ725にて係数Kを設定する。係数Kは、実行中の特定処理に応じて機関の空燃比を理論空燃比から所定量だけ偏移させるために次のステップ730にて基本燃料噴射量Fbaseに乗算される係数である。
具体的には、係数Kは、フューエルカット処理が実行中である場合には「0」、増量処理が実行中である場合には「1」より大きい所定の値、「フューエルカット処理後におけるリッチ制御」が実行中である場合には「1」よりも大きい所定の値、「増量処理後におけるリーン制御」が実行中である場合には、「0」よりも大きく「1」よりも小さい所定の値に設定される。
ここで、フューエルカット処理は、例えば、アクセルペダル71の操作量Accpが「0」であって、且つエンジン回転速度NEが所定値以上である場合に実行される。増量処理は、加速増量処理については、例えば、アクセルペダル操作量Accpが所定値以上である場合に実行され、OT増量処理については、例えば、触媒温度センサ69により検出された触媒温度が所定温度以上である場合に実行される。また、「フューエルカット処理後におけるリッチ制御」は、フューエルカット処理終了後、所定の短期間に亘って実行され、「増量処理後におけるリーン制御」は、増量処理終了後、所定の短期間に亘って実行される。
次いで、CPU81はステップ730に進み、上記ステップ705にて求めた基本燃料噴射量Fbaseに上記係数Kを乗じた値を最終燃料噴射量Fiとして設定する。この場合、最終燃料噴射量Fiの設定に際し、上記空燃比フィードバック補正量DFiが反映されない。そして、CPU81はステップ720に進んで上述した燃料噴射処理を行う。
これにより、特定処理の何れかが実行中である場合、空燃比フィードバック制御が中断される。加えて、機関の空燃比を実行中の特定処理に応じた理論空燃比から所定量だけ偏移した値とするために必要な量の燃料が吸気行程を迎える気筒に対して噴射される。この結果、実行中の特定処理が達成される。なお、このルーチンは、他の気筒に対しても上記と同様に実行される。
次に、上記空燃比フィードバック補正量DFiの算出について説明する。CPU81は図8に示したルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行している。従って、所定のタイミングになると、CPU81はステップ800から処理を開始し、ステップ805に進んでフィードバック制御条件が成立しているか否かを判定する。空燃比フィードバック制御条件は、例えば、上記特定処理が実行されておらず、水温センサ66により検出される機関の冷却水温THWが第1所定温度以上であり、機関の一回転当りの吸入空気量(負荷)が所定値以下であり、且つ、空燃比センサ67が正常であるとき成立する。
いま、空燃比フィードバック制御条件が成立しているものとして説明を続けると、CPU81はステップ805にて「Yes」と判定してステップ810に進み、現時点の空燃比センサ67の出力vabyfsと後述するサブフィードバック制御量vafsfbとの和(vabyfs+vafsfb)及び図2に示したマップに基づいて現時点における上流側触媒53の上流の空燃比を求める。この空燃比は、上流側触媒53の上流におけるガスの「みかけの空燃比」であり、以下、「上流側制御用空燃比abyfs」と称呼される。
次に、CPU81はステップ815に進み、現時点からNストローク(N回の吸気行程)前に吸気行程を迎えた気筒の吸入空気量である筒内吸入空気量Mc(k−N)を前記求めた上流側制御用空燃比abyfsで除することにより、現時点からNストローク前の筒内燃料供給量Fc(k−N)を求める。値Nは、内燃機関の排気量及び燃焼室25から空燃比センサ67までの距離等により異なる値である。
このように、現時点からNストローク前の筒内燃料供給量Fc(k−N)を求めるために、現時点からNストローク前の筒内吸入空気量Mc(k−N)を上流側制御用空燃比abyfsで除するのは、燃焼室25内で燃焼された混合気が空燃比センサ67に到達するまでには、Nストロークに相当する時間を要しているからである。なお、筒内吸入空気量Mcは、各気筒の吸気行程毎に、その時点のエアフローメータ61の出力Gaとエンジン回転速度NEとに基づいて求められ(例えば、エアフローメータ61の出力Gaに一次遅れ処理を施した値をエンジン回転速度NEで除することにより求められ)、各吸気行程に対応してRAM83内に記憶されている。
次いで、CPU81はステップ820に進み、現時点からNストローク前の筒内吸入空気量Mc(k−N)を現時点からNストローク前の時点における目標空燃比abyfr(k−N)(この例では、理論空燃比)で除することにより、現時点からNストローク前の目標筒内燃料供給量Fcr(k−N)を求める。
そして、CPU81はステップ825に進んで目標筒内燃料供給量Fcr(k−N)から筒内燃料供給量Fc(k−N)を減じた値を筒内燃料供給量偏差DFcとして設定する。つまり、筒内燃料供給量偏差DFcは、Nストローク前の時点で筒内に供給された燃料の過不足分を表す量となる。次に、CPU81はステップ830に進み、(1)式に基づいて空燃比フィードバック補正量DFiを求める。
DFi=(Gp・DFc+Gi・SDFc)・KFB … (1)
上記(1)式において、Gpは予め設定された比例ゲイン、Giは予め設定された積分ゲインである。なお、(1)式の係数KFBはエンジン回転速度NE及び筒内吸入空気量Mc等により可変とすることが好適であるが、ここでは「1」としている。また、値SDFcは筒内燃料供給量偏差DFcの積分値であり、次のステップ835にて更新される。
即ち、CPU81は、ステップ835にてその時点における筒内燃料供給量偏差DFcの積分値SDFcに上記ステップ825にて求めた筒内燃料供給量偏差DFcを加えて、新たな筒内燃料供給量偏差の積分値SDFcを求め、ステップ895にて本ルーチンを一旦終了する。
以上により、空燃比フィードバック補正量DFiが比例積分制御により求められ、この空燃比フィードバック補正量DFiが前述した図7のステップ715及びステップ720により最終燃料噴射量Fiに反映される。この結果、現時点からNストローク前の燃料供給量の過不足が補償されるので、機関の空燃比(従って、上流側触媒53に流入するガスの空燃比)の平均値が目標空燃比abyfrと略一致せしめられる。
一方、ステップ805の判定時において、空燃比フィードバック制御条件が不成立であると、CPU81は同ステップ805にて「No」と判定してステップ840に進み、空燃比フィードバック補正量DFiの値を「0」に設定し、続くステップ845にて、その後に空燃比フィードバック制御を再開するための準備として筒内燃料供給量偏差の積分値SDFcを「0」に初期化した後、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。このように、空燃比フィードバック制御条件が不成立であるときは、空燃比フィードバック補正量DFiを「0」として空燃比(基本燃料噴射量Fbase)の補正を行わない。
次に、酸素濃度センサ68の出力Voxsに基づく空燃比フィードバック制御について説明する。なお、かかる制御はサブフィードバック制御とも呼ばれる。このサブフィードバック制御により、上述したサブフィードバック制御量vafsfbが算出される。
CPU81は、サブフィードバック制御量vafsfbを求めるために、図9に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行している。従って、所定のタイミングになると、CPU81はステップ900から処理を開始し、ステップ905に進んでサブフィードバック制御条件が成立しているか否かを判定する。サブフィードバック制御条件は、例えば、上記特定処理が実行されておらず、前述したステップ805での空燃比フィードバック制御条件が成立し、機関の冷却水温THWが前記第1所定温度よりも高い第2所定温度以上であり、且つ、酸素濃度センサ68が正常であるときに成立する。
いま、サブフィードバック制御条件が成立しているものとして説明を続けると、CPU81はステップ905にて「Yes」と判定してステップ910に進み、現時点での前記理論空燃比相当目標値Voxsrefから現時点の酸素濃度センサ68の出力Voxsを減じることにより、出力偏差量DVoxsを求める。次に、CPU81はステップ915に進み、下記(2)式に基づいてサブフィードバック制御量vafsfbを求める。
vafsfb=Kp・DVoxs+Ki・SDVoxs …(2)
上記(2)式において、Kpは予め設定された比例ゲイン、Kiは予め設定された積分ゲインである。また、SDVoxsは、出力偏差量DVoxsの積分値であって、次のステップ920にて更新される値である。即ち、CPU81は、ステップ920に進むと、その時点における出力偏差量の積分値SDVoxsに上記ステップ910にて求めた出力偏差量DVoxsを加えて、新たな出力偏差量の積分値SDVoxsを求め、その後、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このようにして、サブフィードバック制御量vafsfbが求められ、この値は前述した図8のステップ810にて空燃比センサ67の実際の出力に加えられ、その和(vabyfs
+ vafsfb)が図2に示したマップに基づいて前記上流側制御用空燃比abyfsに変換される。換言すると、上流側制御用空燃比abyfsは、空燃比センサ67が実際に検出している空燃比に対して、酸素濃度センサ68の出力Voxsに基づいて求められるサブフィードバック制御量vafsfbに相当する分だけ異なる空燃比として求められる。
この結果、前述した図8のステップ815にて計算される筒内燃料供給量Fc(k−N)が酸素濃度センサ68の出力Voxsに応じて変化するので、ステップ825,830によって空燃比フィードバック補正量DFiが同酸素濃度センサ68の出力Voxsに応じて変更せしめられる。これにより、上流側触媒53の下流側の空燃比が理論空燃比に一致するように、機関の空燃比が制御せしめられる。
例えば、酸素濃度センサ68の出力Voxsが理論空燃比相当値Voxsrefよりも小さい値(即ち、リーン側に偏移した値)となっていると、ステップ910にて求められる出力偏差量DVoxsが正の値となるので、ステップ915にて求められるサブフィードバック制御量vafsfbは正の値となる。従って、ステップ810にて求められるabyfsは空燃比センサ67が実際に検出している空燃比よりもリーンな値(より大きな値)として求められる。
このため、ステップ815にて求められる筒内燃料供給量Fc(k−N)は小さい値となり、ステップ825にて求められる筒内燃料供給量偏差DFcは大きい値となる。従って、空燃比フィードバック補正量DFiが大きい正の値となる。この結果、図7のステップ715にて求められる最終燃料噴射量Fiは、基本燃料噴射量Fbaseよりも大きくなって、機関の空燃比がリッチ側の値となるように制御される。
反対に、機関の平均的な空燃比がリッチであるために酸素濃度センサ68の出力Voxsが理論空燃比相当値Voxsrefよりも大きい値(即ち、リッチ側に偏移した値)となっていると、出力偏差量DVoxsが負の値となるので、サブフィードバック制御量vafsfbは負の値となる。従って、ステップ810にて求められるabyfsは空燃比センサ67が実際に検出している空燃比よりもリッチな値(より小さな値)として求められる。
従って、筒内燃料供給量Fc(k−N)は大きい値となるので、筒内燃料供給量偏差DFcは負の値として求められる。その結果、空燃比フィードバック補正量DFiが負の値となる。これにより、最終燃料噴射量Fiは、基本燃料噴射量Fbaseよりも小さくなって、機関の空燃比がリーン側の値となるように制御される。
一方、ステップ905の判定時において、サブフィードバック制御条件が不成立であると、CPU81は同ステップ905にて「No」と判定してステップ925に進み、サブフィードバック制御量vafsfbの値を「0」に設定し、続くステップ935にて、その後にサブフィードバック制御を再開するための準備として出力偏差量の積分値SDVoxsを「0」に初期化した後、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。このように、サブフィードバック制御条件が不成立であるときは、サブフィードバック制御量vafsfbを「0」として、酸素濃度センサ68の出力Voxsに応じた空燃比センサ67の出力vabyfsの補正(従って、空燃比フィードバック補正量DFiの補正)を行わない。
次に、残留酸素除去制御の実行について説明する。CPU81は、図10にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に実行している。従って、所定のタイミングになると、CPU81はステップ1000から処理を開始し、ステップ1005に進んで、「フューエルカット処理後におけるリッチ制御」及び「増量処理後におけるリーン制御」の何れかが実行中であるか否か(即ち、機関10が前記特定の状態にあるか否か)を判定する。
いま、「フューエルカット処理後におけるリッチ制御」、及び「増量処理後におけるリーン制御」が共に実行されていないものとすると、CPU81はステップ1005にて「No」と判定してステップ1050に進んで、前記電圧印加装置86に対して電圧印加の終了指示を行い、続くステップ1055にて酸素除去制御実行中フラグOXIの値を「0」に設定した後、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ここで、酸素除去制御実行中フラグOXIは、その値が「1」のとき残留酸素除去制御が実行中であることを示し、その値が「0」のとき同残留酸素除去制御が実行中でないことを示す。以降、「フューエルカット処理後におけるリッチ制御」及び「増量処理後におけるリーン制御」の何れかが開始されない限りにおいて、CPU81はステップ1005、1050、1055の処理を繰り返し実行する。即ち、酸素除去制御実行中フラグOXIの値は「0」に維持される。
次に、「フューエルカット処理後におけるリッチ制御」及び「増量処理後におけるリーン制御」の何れかが開始された場合について説明する。以下、実行が開始された制御を「実行中特定処理」と称呼する。これにより、CPU81は、先の図8のステップ805、図9のステップ905に進んだとき「No」と判定するようになり、この結果、上述したように、空燃比フィードバック制御が中断される。
この場合、CPU81はステップ1005に進んだとき「Yes」と判定してステップ1010に進むようになり、同ステップ1010にて残留酸素除去制御開始条件が成立しているか否かを判定する。
残留酸素除去制御開始条件は、例えば、実行中特定処理が開始された直後であり、酸素濃度センサ68の出力Voxsがリーンを示す値(例えば、図14、図15にて示した値Vlean以下の値)であり、機関の負荷が所定の小さい状態となっていて、機関の冷却水温THWが前記第2所定温度以上であり、且つ、酸素濃度センサ68が正常であるときに成立する。
ここで、「機関の負荷が所定の小さい状態」とは、例えば、アクセルペダル操作量Accpが所定値以下であって、且つエンジン回転速度NEが所定値以下である状態である。このように、機関の負荷が所定の小さい状態となっていなければ、残留酸素除去制御が開始されない。このように、残留酸素除去制御開始条件に「機関の負荷が所定の小さい状態となっていること」が含まれていることは、残留ガス除去制御禁止手段に対応している。
残留酸素除去制御開始条件が成立していない場合、CPU81はステップ1010にて「No」と判定してステップ1025に進み、酸素除去制御実行中フラグOXIの値が「1」となっているか否かを判定し、ここでも「No」と判定してステップ1095に直ちに進んで本ルーチンを一旦終了する。
そして、実行中特定処理が継続する限りにおいてCPU81はステップ1005、1010、1025の処理を繰り返し実行し、その後において同実行中特定処理が終了した時点以降は、ステップ1005、1050、1055の処理を繰り返し実行する。これにより、残留酸素除去制御が実行されない。
一方、いま、残留酸素除去制御開始条件が成立しているものとして説明を続けると、CPU81はステップ1010にて「Yes」と判定してステップ1015以降に進んで残留酸素除去制御を実行するための処理を開始する。即ち、CPU81はステップ1015にて酸素除去制御実行中フラグOXIの値を「0」から「1」に変更し、続くステップ1020にて経過時間T1をリセットする。ここで、経過時間T1は、電気制御装置80に内蔵されている図示しないタイマにより計時される時間であって、残留酸素除去制御開始時点からの経過時間を表す。
続いて、CPU81はステップ1025に進んで、酸素除去制御実行中フラグOXIの値が「1」となっているか否かを判定する。現時点では酸素除去制御実行中フラグOXIの値が「1」となっているから、CPU81はステップ1025にて「Yes」と判定してステップ1030に進み、基準電極68bに対する検出電極68cの電圧が前記負の電圧Vcとなるように、電圧印加装置86に電圧印加指示を行う。これにより、酸素濃度センサ68の両電極間に上記負の電圧Vcが印加される。
次に、CPU81はステップ1035に進んで、経過時間T1が異常判定基準時間Toxiよりも短いか否かを判定する。現時点は残留酸素除去制御が開始された直後であって経過時間T1が「0」であるから、CPU81はステップ1035にて「Yes」と判定してステップ1040に進み、電圧印加装置86内を流れる電流値iが「0」以外(「0」よりも大きい)か否かを判定する。
現時点は残留酸素除去制御が開始された直後であるから、酸素濃度センサ68の検出電極68cの周辺に多量の酸素が残留していることから電流値iは大きい値となっている。従って、CPU81は、ステップ1040にて「Yes」と判定してステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
以降、実行中特定処理が継続中において、経過時間T1が異常判定基準時間Toxiに到達しない状態において、減少していく電流値iが「0」にならない限りにおいて、CPU81はステップ1005、1010、1025〜1040の処理を繰り返し実行する。これにより、上記負の電圧Vcが酸素濃度センサ68の両電極間に印加され続け、この結果、検出電極68cの周辺に残留している酸素量が徐々に減少していく。
そして、検出電極68cの周辺に残留している酸素が完全に除去されると、電流値iは「0」になる。従って、CPU81はステップ1040に進んだとき「No」と判定してステップ1045に進んで、更新フラグUPDATEoxiの値を「1」に設定し(「0」から「1」に変更し)、続くステップ1050にて電圧印加装置86に対して電圧印加の終了指示を行い、続くステップ1055にて酸素除去制御実行中フラグOXIの値を「1」から「0」に変更した後、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これにより、実行中特定処理が継続中において、上記負の電圧Vcの酸素濃度センサ68の両電極間への印加が終了せしめられ、残留酸素除去制御が正常に終了する。ここで、更新フラグUPDATEoxiは、その値が「1」のとき、残留酸素除去制御終了後における酸素濃度センサ68についての理論空燃比相当の目標値Voxsrefの更新が許可状態にあることを示し、その値が「0」のとき、同理論空燃比相当の目標値Voxsrefの更新が許可状態にないことを示す。更新フラグUPDATEoxiは、「フューエルカット処理後におけるリッチ制御」及び「増量処理後におけるリーン制御」がともに実行されていないとき、後述するルーチンによりその値が「0」に維持されるようになっている。
これにより、酸素除去制御実行中フラグOXIの値が「0」になるから、CPU81は、実行中特定処理が継続中において、ステップ1005、1010、1025の処理を繰り返し実行するとともに、その後において同実行中特定処理が終了した時点以降は、ステップ1005、1050、1055の処理を繰り返し実行する。
次に、残留酸素除去制御実行中において、経過時間T1が異常判定基準時間Toxiに到達した時点で電流値iが「0」になっていない場合について説明する。これは、上流側触媒53から理論空燃比から乖離した空燃比のガスが流出している場合に対応する。
この場合、ステップ1005、1010、1025〜1040の処理を繰り返し実行しているCPU81は、ステップ1035に進んだとき「No」と判定してステップ1050、1055の処理を直ちに実行する。これにより、上記負の電圧Vcの酸素濃度センサ68の両電極間への印加が終了して残留酸素除去制御が中止せしめられる。更新フラグUPDATEoxiの値は「0」に維持される。
次に、残留酸素除去制御実行中において、経過時間T1が異常判定基準時間Toxiに到達しておらず、且つ電流値iが「0」になっていない状態で、実行中特定処理が終了する場合について説明する。この場合、ステップ1005、1010、1025〜1040の処理を繰り返し実行しているCPU81は、ステップ1005に進んだとき「No」と判定してステップ1050、1055の処理を直ちに実行する。
これにより、この場合も、上記負の電圧Vcの酸素濃度センサ68の両電極間への印加が終了して残留酸素除去制御が中止せしめられる。更新フラグUPDATEoxiの値は「0」に維持される。以上のように、更新フラグUPDATEoxiの値は、実行中特定処理が継続中において残留酸素除去制御が正常に終了した場合(即ち、経過時間T1が異常判定基準時間Toxiに到達しない状態で電流値iが「0」になった場合)のみ「0」から「1」に変更される。
次に、残留酸素除去制御終了後における酸素濃度センサ68の出力Voxsの理論空燃比相当の目標値Voxsrefの更新について説明する。CPU81は、図11にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に実行している。従って、所定のタイミングになると、CPU81はステップ1100から処理を開始し、ステップ1105に進んで、更新フラグUPDATEoxiの値が「1」になっているか否かを判定し、「No」と判定する場合、ステップ1195に直ちに進んだ本ルーチンを一旦終了する。
いま、実行中特定処理が継続中において残留酸素除去制御が正常に終了した直後、即ち、先のステップ1045の処理が実行された直後であるものとすると、CPU81はステップ1105にて「Yes」と判定してステップ1110に進み、図10のステップ1005と同じ判定(即ち、実行中特定処理が継続中であるか否か)を行う。
現時点では、実行中特定処理が継続中であるから、CPU81はステップ1110にて「Yes」と判定してステップ1115に進み、更新フラグUPDATEoxiの値が「0」から「1」に変化したか否かを判定する。
現時点は、先のステップ1045の処理が実行された直後であるから、CPU81はステップ1115でも「Yes」と判定してステップ1120に進んで、経過時間T2をリセットする。ここで、経過時間T2は、電気制御装置80に内蔵されている図示しないタイマにより計時される時間であって、残留酸素除去制御終了時点(即ち、電圧印加の終了時点)からの経過時間を表す。
次いで、CPU81は、ステップ1125に進み、経過時間T2が所定の短時間(更新待ち時間Twaitox)に達していないか否かを判定する。現時点では、経過時間T2は「0」であるから、CPU81はステップ1125にて「Yes」と判定してステップ1195に直ちに進んで本ルーチンを一旦終了する。
以降、実行中特定処理が継続中において経過時間T2が上記更新待ち時間Twaitoxに達しない限りにおいて、CPU81はステップ1105〜1115、1125の処理を繰り返し実行する。
そして、この状態にて経過時間T2が上記更新待ち時間Twaitoxに達すると、CPU81はステップ1125にて「No」と判定してステップ1130に進み、現時点での酸素濃度センサ68の出力Voxsの値を上記理論空燃比相当の目標値Voxsrefとして格納し、続くステップ1135にて更新フラグUPDATEoxiの値を「1」から「0」に変更した後、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これにより、実行中特定処理が継続中において、残留酸素除去制御が正常に終了した後に上記更新待ち時間Twaitoxが経過した時点で、上記理論空燃比相当の目標値Voxsrefが更新される。このように、上記更新待ち時間Twaitoxが設けられているのは、残留酸素除去制御が終了した直後は電圧の印加が終了した直後であるから、酸素濃度センサ68の出力Voxsの値が過渡状態にあって理論空燃比のガスに対応する値に正確に一致していない可能性があるからである。
また、これにより、更新フラグUPDATEoxiの値は「0」になっている。従って、先のステップ1045の処理が再び実行されない限りにおいて、CPU81はステップ1105に進んだとき「No」と判定してステップ1195に直ちに進んで本ルーチンを一旦終了するようになる。
一方、実行中特定処理が継続中において経過時間T2が上記更新待ち時間Twaitoxに達する前に同実行中特定処理が終了した場合、ステップ1105〜1115、1125の処理を繰り返し実行しているCPU71は、ステップ1110に進んだとき「No」と判定してステップ1135に進み、更新フラグUPDATEoxiの値を「1」から「0」に変更する。
これにより、以降、CPU81はステップ1105に進んだとき「No」と判定してステップ1195に直ちに進むようになる。この結果、この場合、上記理論空燃比相当の目標値Voxsrefが更新されない。以上、残留酸素除去制御の実行、及び残留酸素除去制御終了後における理論空燃比相当目標値Voxsrefの更新について説明した。
次に、残留還元ガス除去制御の実行、及び残留還元ガス除去制御終了後における理論空燃比相当目標値Voxsrefの更新について説明する。このため、CPU81は、図12にフローチャートにより示した残留還元ガス除去制御の実行のためのルーチンを所定時間の経過毎に実行しているとともに、図13にフローチャートにより示した残留酸素除去制御終了後における理論空燃比相当目標値Voxsrefの更新のためのルーチンを所定時間の経過毎に実行している。
ここで、図12、図13に示したルーチンは、先の図10、図11に示したルーチンにそれぞれ酷似しているから、これらについての詳細な説明を省略するとともに、図12、図13に示した各ルーチン内における注目すべき点についてのみ、以下説明する。
図12のステップ1210における残留還元ガス除去制御開始条件は、例えば、実行中特定処理が開始された直後であり、酸素濃度センサ68の出力Voxsがリッチを示す値(例えば、図14、図15にて示した値Vrich以下の値)であり、機関の負荷が所定の小さい状態となっていて、機関の冷却水温THWが前記第2所定温度以上であり、且つ、酸素濃度センサ68が正常であるときに成立する。このように、残留還元ガス除去制御開始条件に「機関の負荷が所定の小さい状態となっていること」が含まれていることは、残留ガス除去制御禁止手段に対応している。
図12における還元ガス除去制御実行中フラグXREDUCは、その値が「1」のとき残留還元ガス除去制御が実行中であることを示し、その値が「0」のとき同残留還元ガス除去制御が実行中でないことを示す。図12における経過時間T3は、電気制御装置80に内蔵されている図示しないタイマにより計時される時間であって、残留還元ガス除去制御開始時点からの経過時間を表す。
図12、図13における更新フラグUPDATEredは、その値が「1」のとき、残留還元ガス除去制御終了後における上記理論空燃比相当の目標値Voxsrefの更新が許可状態にあることを示し、その値が「0」のとき、同理論空燃比相当の目標値Voxsrefの更新が許可状態にないことを示す。
図13における経過時間T4は、電気制御装置80に内蔵されている図示しないタイマにより計時される時間であって、残留還元ガス除去制御終了時点(即ち、電圧印加の終了時点)からの経過時間を表す。
図13のステップ1325におけるTwaitreは、待ち時間であって、図11のステップ1125における待ち時間Twaitoxと同一の時間であっても異なる時間であってもよい。以上、残留還元ガス除去制御の実行、及び残留還元ガス除去制御終了後における理論空燃比相当目標値Voxsrefの更新について説明した。
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る空燃比制御装置によれば、上流側触媒53から略理論空燃比のガスが流出していることが保証され得る状態にある場合(例えば、「フューエルカット処理終了後におけるリッチ制御」、又は「増量処理終了後におけるリーン制御」が実行されている場合)において、上流側触媒53の下流の酸素濃度センサ68の出力Voxsがリーン空燃比を示す値となっているとき、同酸素濃度センサ68の検出電極68cの周辺(検出電極68cの表面、及び検出電極68cをコーティングする多孔質のセラミック68dの内部)に酸素が残留していると判定して、同残留酸素を除去するための上記残留酸素除去制御を行う。
また、上流側触媒53から略理論空燃比のガスが流出していることが保証され得る状態にある場合において、酸素濃度センサ出力Voxsがリッチ空燃比を示す値となっているとき、同酸素濃度センサ68の検出電極68cの周辺に還元ガス(CO,H等)が残留していると判定して、同残留還元ガスを除去するための上記残留還元ガス除去制御を行う。
これにより、検出電極68cの周辺から残留ガスが除去され、略理論空燃比のガスが検出電極68cに到達した場合における酸素濃度センサ68の出力Voxsは理論空燃比に相当する値に一致し得るようになる。従って、酸素濃度センサ出力Voxsが理論空燃比相当目標値Voxsrefに一致するように機関の空燃比をフィードバック制御する場合において、窒素酸化物や未燃ガスを上流側触媒53内で浄化できる状態をできるだけ維持することが可能となる。
また、検出電極68cの周辺から残留ガスが除去されるから、同残留ガスの影響を受けることなく酸素濃度センサ68の検出電極68cに新たに到達したガスの空燃比を直ちに、且つ直接的に検出することができ、この結果、同酸素濃度センサ68の応答性が向上する。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、「フューエルカット処理終了後におけるリッチ制御」、及び「増量処理終了後におけるリーン制御」の何れかが実行中の場合にのみ、残留酸素除去制御、或いは残留還元ガス除去制御を実行するように構成しているが、上記空燃比フィードバック制御中において、上記空燃比フィードバック補正量DFi(図8のステップ830を参照)が正から負、或いは負から正に変化する毎に、残留酸素除去制御、或いは残留還元ガス除去制御を実行するように構成してもよい。
空燃比フィードバック補正量DFiの符号が変化した時点では、上流側触媒53の酸素吸蔵機能により同触媒53から略理論空燃比のガスが流出している可能性が高いからである。
また、上記実施形態においては、燃料噴射量を変更して上流側触媒53に流入するガスの空燃比を制御していたが、燃料噴射量の制御に加え、又は、燃料噴射量の制御に代え、上流側触媒53に二次空気や燃料などを直接加えることにより、上流側触媒53に流入するガスの空燃比を制御してもよい。また、上流側触媒53の温度は、機関の運転状態を表すパラメータ(例えば、吸入空気量Ga及びエンジン回転速度NE)に基づいて推定されてもよい。
また、空燃比センサ67は、酸素濃度センサ68と同様な酸素濃度センサであってもよい。この場合、上流側の酸素濃度センサの出力がリーンであることを示したときに次第に増大し、リッチであることを示したときに次第に減少するとともに、上流側の酸素濃度センサの出力がリーンからリッチへと変化したことを示したときに所定量SKlだけスキップ的に減少し、リッチからリーンへと変化したことを示したときに所定量SKrだけスキップ状に増大するフィードバック補正量を求め、これを基本燃料噴射量Fbaseに加えるか乗じることで最終燃料噴射量Fiを求めてもよい。
そして、このようなフィードバック制御において、酸素濃度センサ68の出力Voxsが目標値Voxsrefより小さいとき所定量SKrを次第に増大させるとともに所定量SKlを次第に減少せしめ、酸素濃度センサ68の出力Voxsが目標値Voxsrefより大きいとき所定量SKrを次第に減少させるとともに所定量SKlを次第に増大せしめてもよい。
内燃機関に適用した本発明の実施形態に係る空燃比制御装置(燃料噴射量制御装置)の概略を示した図である。 図1に示した空燃比センサの出力と空燃比の関係を示したグラフである。 図1に示した酸素濃度センサの概略構成を示した図である。 図3に示した酸素濃度センサの出力と空燃比の関係を示したグラフである。 図1に示した空燃比制御装置による残留酸素除去制御の原理を説明するための図である。 図1に示した空燃比制御装置による残留還元ガス除去制御の原理を説明するための図である。 図1に示したCPUが実行する燃料噴射制御ルーチンを示したフローチャートである。 図1に示したCPUが空燃比フィードバック補正量を算出するために実行するルーチンを示したフローチャートである。 図1に示したCPUがサブフィードバック量を算出するために実行するルーチンを示したフローチャートである。 図1に示したCPUが残留酸素除去制御を行うために実行するルーチンを示したフローチャートである。 図1に示したCPUが残留酸素除去制御後において酸素濃度センサ出力目標値の更新を行うために実行するルーチンを示したフローチャートである。 図1に示したCPUが残留還元ガス除去制御を行うために実行するルーチンを示したフローチャートである。 図1に示したCPUが残留還元ガス除去制御後において酸素濃度センサ出力目標値の更新を行うために実行するルーチンを示したフローチャートである。 空燃比と酸素濃度センサの出力値の関係を示したグラフである。 触媒の下流に配設された酸素濃度センサの出力値の変化を示すタイムチャートである。
符号の説明
25…燃焼室、32…吸気弁、35…排気弁、39…インジェクタ、53…上流側触媒、67…空燃比センサ、68…酸素濃度センサ、68a…固体電解質、68b…基準電極、68c…検出電極、68d…多孔質セラミック、80…電気制御装置、81…CPU

Claims (8)

  1. 内燃機関の排気通路に配設された触媒と、
    固体電解質を挟んだ両側に基準電極と検出電極とをそれぞれ備えるとともに、同基準電極が大気に曝され同検出電極が前記触媒から流出するガスに曝されるように前記排気通路の同触媒の下流に配設されて同触媒から流出するガス中の酸素濃度に応じた値を出力する酸素濃度センサと、
    前記酸素濃度センサの出力を理論空燃比に相当する所定の目標値と一致させるための空燃比制御量を演算する空燃比制御量演算手段と、
    前記演算された空燃比制御量に基づいて前記触媒に流入するガスの空燃比を制御する空燃比制御手段と
    定の条件が成立したとき、前記酸素濃度センサの検出電極の周辺に残留しているガスを除去する残留ガス除去制御を実行する残留ガス除去手段と、
    を備えた内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記残留ガス除去手段は、
    前記内燃機関が前記触媒から流出するガスの空燃比が略理論空燃比となる特定の状態にある場合において、前記酸素濃度センサの出力が前記理論空燃比に相当する目標値よりもリーン側に偏移した値となっているときに前記残留ガスとしての酸素を除去する残留酸素除去制御を実行するとともに、同酸素濃度センサの出力が同理論空燃比に相当する目標値よりもリッチ側に偏移した値となっているときに同残留ガスとしての還元ガスを除去する残留還元ガス除去制御を実行するように構成された内燃機関の空燃比制御装置
  2. 請求項に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記残留ガス除去手段は、
    前記酸素濃度センサにおける前記基準電極と前記検出電極との間に所定の電圧を印加することにより、前記残留酸素除去制御、及び前記残留還元ガス除去制御を実行するように構成された内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 請求項に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記残留ガス除去手段は、
    前記残留酸素除去制御を実行する場合、前記基準電極に対する前記検出電極の電圧が負の電圧になるように同基準電極と同検出電極との間に前記所定の電圧を印加し、
    前記残留還元ガス除去制御を実行する場合、前記基準電極に対する前記検出電極の電圧が正の電圧になるように同基準電極と同検出電極との間に前記所定の電圧を印加するように構成された内燃機関の空燃比制御装置。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記残留ガス除去手段は、
    前記残留酸素除去制御実行中、又は前記残留還元ガス除去制御実行中は、前記空燃比制御手段による前記空燃比制御の実行を禁止させるように構成された内燃機関の空燃比制御装置。
  5. 請求項2乃至請求項4の何れか一項に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記残留ガス除去手段は、
    前記残留酸素除去制御実行中、又は前記残留還元ガス除去制御実行中において、前記酸素濃度センサにおける前記基準電極と前記検出電極との間を流れる前記所定の電圧に基づく電流値が所定の基準値まで減少したとき、同実行中の制御を終了するように構成された内燃機関の空燃比制御装置。
  6. 請求項に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記残留ガス除去手段は、
    前記残留酸素除去制御実行中、又は前記残留還元ガス除去制御実行中において、前記電流値が同実行中の制御の開始時点から所定時間が経過しても前記所定の基準値まで減少しなかったとき、同実行中の制御を中止するように構成された内燃機関の空燃比制御装置。
  7. 請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、
    前記内燃機関の負荷の程度が所定の程度を超えている場合、前記残留ガス除去手段による前記残留酸素除去制御、及び前記残留還元ガス除去制御の実行を禁止させる残留ガス除去制御禁止手段を更に備えた内燃機関の空燃比制御装置。
  8. 請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、
    前記残留ガス除去手段による前記残留酸素除去制御、又は前記残留還元ガス除去制御が終了した後、前記理論空燃比に相当する目標値を、前記酸素濃度センサの実際の出力値に更新する更新手段を更に備えた内燃機関の空燃比制御装置。
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