JP2003238763A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2003238763A JP2002038599A JP2002038599A JP2003238763A JP 2003238763 A JP2003238763 A JP 2003238763A JP 2002038599 A JP2002038599 A JP 2002038599A JP 2002038599 A JP2002038599 A JP 2002038599A JP 2003238763 A JP2003238763 A JP 2003238763A
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真理 関田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐候性を示し、かつ柔軟性、耐ブリー
ドアウト性、透明性にも優れた熱可塑性樹脂組成物を提
供すること。 【解決手段】 架橋弾性重合体(a)1質量部を越え7
0質量部未満の存在下に、炭素数1〜4のアルキル基を
有するアルキルメタクリレートを含有する単量体(b)
30質量部を越え99質量部未満[但し(a)と(b)
の合計量100質量部]を重合することにより得られる
弾性体含有多層重合体(I)1〜99質量%と、架橋弾
性重合体(a’)70〜99質量部の存在下に、炭素数
1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレートを
含有する単量体(b’)を1〜30質量部[但し
(a’)と(b’)の合計量100質量%]を重合する
ことにより得られる弾性体含有多層重合体(II)99〜
1質量%と、他の熱可塑性樹脂0〜98質量%(III)
[但し(I)〜(III)の合計量100質量%]とを含
有する熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性樹脂組成物
に関し、特にカレンダー成形や押出成形により軟質フィ
ルムまたはシートを製造する為の材料として有用な熱可
塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アクリル系樹脂は、透明性や耐候性に優
れており、そのフィルムは、Tダイ法、インフレーショ
ン法、キャスティング法等によって製造され、例えばポ
リカーボネート、ポリ塩化ビニル等の成形品の表面保護
などに使用されている。また、軟質塩化ビニル樹脂フィ
ルムは耐候性が劣るので、これに代えて、耐候性に優れ
た軟質アクリル系樹脂フィルムを使用するのが有効なこ
とも知られている。そのような軟質塩化ビニル樹脂の代
替材料としての軟質アクリル系樹脂フィルムは、例えば
特開平9−100385号公報などに記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】特開平9−10038
5号公報記載のカレンダー成形用アクリル系樹脂組成物
を用いれば優れた特性を有するフィルムが得られ、その
フィルムは多方面の用途において使用が可能である。し
かしながら、このフィルムにおいては、成形品に柔軟性
を付与するために可塑剤等を添加する必要があり、ブリ
ードアウトおよびそれに伴う透明性の低下が発生する傾
向にある。即ち、本発明は、優れた耐候性を示し、かつ
柔軟性、耐ブリードアウト性、透明性にも優れた熱可塑
性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明の要旨
は、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリ
レートと架橋性単量体とを含有する単量体を重合して得
られる架橋弾性重合体(a)1質量部を越え70質量部
未満の存在下に、炭素数1〜4のアルキル基を有するア
ルキルメタクリレートを含有する単量体(b)30質量
部を越え99質量部未満[但し(a)と(b)の合計量
100質量部]を重合することにより得られる弾性体含
有多層重合体(I)1〜99質量%と、炭素数1〜8の
アルキル基を有するアルキルアクリレートと架橋性単量
体とを含有する単量体を重合して得られる架橋弾性重合
体(a’)70〜99質量部の存在下に、炭素数1〜4
のアルキル基を有するアルキルメタクリレートを含有す
る単量体(b’)を1〜30質量部[但し(a’)と
(b’)の合計量100質量%]を重合することにより
得られる弾性体含有多層重合体(II)99〜1質量%
と、他の熱可塑性樹脂0〜98質量%(III)[但し
(I)〜(III)の合計量100質量%]とを含有する
熱可塑性樹脂組成物にある。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明に用いる弾性体含有多層重
合体を含むアクリル系熱可塑性樹脂としては、従来より
知られる各種の弾性体含有多層重合体およびアクリル系
熱可塑性樹脂を使用することができる。また、弾性体含
有多層重合体を含むアクリル系熱可塑性樹脂は、2種類
の弾性体含有多層重合体とアクリル系熱可塑性樹脂の混
合物であってもよいし、2種類のアクリル系の弾性体含
有多層重合体のみから成る樹脂であってもよい。特に、
フィルム、シート等の機械特性や成形性を考慮すると、
以下に説明する弾性体含有多層重合体(I)(II)と、
熱可塑性樹脂(III)とを含んで成る樹脂を用いること
が好ましい。
【0006】弾性体含有多層重合体(I)は、炭素数1
〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレートと架橋
性単量体とを少なくとも含む単量体を重合して得られる
1層または2層以上の構造を有する架橋弾性重合体
(a)1質量部を越え70質量部未満の存在下に、炭素
数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート
(b)を少なくとも含む単量体30質量部を越え99質
量部未満[但し(a)と(b)の合計量100質量部]を
重合することにより得られる弾性体含有多層重合体であ
る。弾性体含有重合体(I)は、アルキルアクリレート
を弾性体の主成分として含む多層構造を有するグラフト
共重合体であり、成形性を良好にする成分である。
【0007】弾性体含有多層重合体(I)に用いる架橋
弾性重合体(a)においては、炭素数1〜8のアルキル
基を有するアルキルアクリレートと共に、他の共重合可
能なビニル系単量体を併用してもよい。ここで、炭素数
1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレートとそ
の他の共重合可能なビニル単量体の合計量を100質量
部とした場合、炭素数1〜8のアルキル基を有するアル
キルアクリレートの使用量は35〜100質量部、その
他の共重合可能なビニル単量体の使用量は0〜65質量
部であることが好ましい。
【0008】また、架橋性単量体は、上記アルキルアク
リレートと他のビニル系単量体の合計量100質量部に
対して、0.1〜10質量部添加することが好ましい。
添加量が0.1質量部以上であれば、弾性体にグラフト
される単量体の量が多くなり、フィルム状等に成形する
際の成形性が良好になる。また、添加量が10質量部を
超えると、添加量の増加に見合う効果が発現しない傾向
にあるので、10質量部以下とするのがコスト的に有利
である。この添加量のさらに好ましい範囲は、0.3〜
7質量部である。
【0009】架橋弾性共重合体(a)は1層または2層
以上の構造とすることができるが、2層以上の構造とす
る場合は、架橋弾性共重合体(a)中アクリル酸アルキ
ルエステルを35質量%以上含有することが好ましい。
【0010】架橋弾性重合体(a)に用いる炭素数1〜
8のアルキル基を有するアルキルアクリレートとして
は、従来より知られる各種のアルキルアクリレートを使
用できる。特に、ブチルアクリレート、2−エチルヘキ
シルアクリレート等を用いることが好ましい。
【0011】架橋弾性重合体(a)に用いるその他の共
重合可能なビニル単量体としては、特に制限はないが、
メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、シクロ
ヘキシルメタクリレート等のアルキルメタクリレート、
スチレン、アクリルニトリル等を用いることが好まし
い。これらは単独であるいは2種以上を組み合わせて用
いることができる。
【0012】架橋弾性重合体(a)に用いる架橋性単量
体としては、特に限定されないが、ジメタクリル酸エチ
レングリコール、ジメタクリル酸ブタンジオール、アク
リル酸アリル、メタクリル酸アリル、フタル酸ジアリ
ル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレ
ート、ジビニルベンゼン、マレイン酸ジアリル、トリメ
チロールトリアクリレート、アリルシンナメート等を用
いることが好ましい。これらは単独であるいは2種以上
を組み合わせて用いることができる。
【0013】架橋弾性共重合体(a)は、上述した各種
の単量体を一括して重合することにより得ることもでき
るが、必要に応じて2段階以上に分けて重合を行い多層
構造としたものを用いることもできる。
【0014】弾性体含有多層重合体(I)を得る為に
は、架橋弾性重合体(a)の存在下に炭素数1〜4のア
ルキル基を有するアルキルメタクリレートを少なくとも
含む単量体をグラフト重合させる。この時、架橋弾性重
合体(a)の量は、1質量部を越え70質量部未満であ
り、アルキルメタクリレートを含有する単量体(b)の
量は、30質量部を越え99質量部未満[但し(a)と
(b)の合計量100質量部]である。用いる架橋弾性
共重合体(a)の量は、好ましくは65%重量部以下で
ある。65重量部を越えるとロール離型性が低下する傾
向にある。なお、グラフト重合は1段で行なっても良い
し、2段以上で行なっても良い。
【0015】単量体(b)に含有される炭素数1〜4の
アルキル基を有するアルキルメタクリレートとしては、
具体的には、メチルメタクリレート、エチルメタクリレ
ート、ブチルメタクリレート等である。炭素数1〜4の
アルキル基を有するアルキルメタクリレートは、単量体
(b)100質量部中50質量%以上であることが好ま
しい。単量体(b)には、炭素数1〜4のアルキル基を
有するアルキルメタクリレート以外に、これと共重合可
能な他のビニル系単量体を併用することができる。この
様なビニル単量体としては、特に限定されないが、例え
ば、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロ
ヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート、スチ
レン、アクリロニトリル等を用いることが好ましい。こ
れらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いるこ
とができる。
【0016】弾性体含有多層重合体(I)の製造方法、
すなわち架橋弾性共重合体(a)を得る為の重合および
架橋弾性共重合体(a)の存在下で行なうグラフト重合
は、乳化重合法により行なうことが好ましい。その重合
時には、連鎖移動剤や、その他の重合助剤等を使用して
もよい。連鎖移動剤としては公知のものが使用できる
が、特にメルカプタン類が好ましい。
【0017】以上説明した弾性体含有多層重合体(I)
としては、具体的には、例えば、炭素数1〜8のアルキ
ル基を有するアルキルアクリレートとその他の共重合可
能なビニル単量体と架橋性単量体とを含む単量体混合物
を乳化重合して得た架橋弾性重合体(a)から構成され
る軟質最内層と、その架橋弾性重合体(a)の存在下
に、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタク
リレートとその他の共重合可能なビニル単量体とを含む
単量体混合物(b)を乳化重合して形成した硬質最外層
とから成る2層構造の弾性体含有多層重合体が好まし
い。
【0018】また、弾性体含有多層重合体(I)とし
て、例えば、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキ
ルアクリレートとその他の共重合可能なビニル単量体と
架橋性単量体とを含む単量体混合物を乳化重合して最内
層重合体を形成し、この最内層重合体の存在下に、炭素
数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレートと
その他の共重合可能なビニル単量体と架橋性単量体とを
含む単量体混合物を乳化重合して架橋弾性重合体を形成
することによって、その最内層重合体と架橋重合体とか
ら成る2層構造の架橋弾性重合体(a)を得、この架橋
弾性重合体(a)の存在下に、炭素数1〜4のアルキル
基を有するアルキルメタクリレートとその他の共重合可
能なビニル単量体とを含む単量体混合物を乳化重合して
最外層重合体を形成して得た3層構造の弾性体含有多層
重合体も好ましい。更に、この架橋弾性重合体(a)と
最外層重合体との間に、両者の中間的な組成を有する中
間層を更に設けた4層構造の弾性体含有多層重合体も好
ましい。
【0019】弾性体含有多層重合体(II)は、炭素数1
〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレートと架橋
性単量体とを少なくとも含む単量体を重合して得られる
1層または2層以上の構造を有する架橋弾性重合体
(a’)70〜99質量部の存在下に、炭素数1〜4の
アルキル基を有するアルキルメタクリレートを含有する
単量体(b’)を1〜30質量部[但し(a’)と
(b’)の合計量100質量%]を重合することにより
得られる弾性体含有多層重合体である。弾性体含有重合
体(II)は、上述の通り、アルキルアクリレートを弾性
体の主成分として含む多層構造を有するグラフト共重合
体であり、成形品に柔軟性を付与する成分である。
【0020】弾性体含有多層重合体(II)の架橋弾性重
合体(a’)において、炭素数1〜8のアルキル基を有
するアルキルアクリレートと共に、他の共重合可能なビ
ニル系単量体を併用してもよい。ここで、炭素数1〜8
のアルキル基を有するアルキルアクリレートとその他の
共重合可能なビニル単量体の合計量を100質量部とし
た場合、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルア
クリレートの使用量は35〜100質量部、その他の共
重合可能なビニル単量体の使用量は0〜65質量部であ
ることが好ましい。
【0021】架橋弾性共重合体(a’)は1層または2
層以上の構造とすることができるが、2層以上の構造と
する場合は、架橋弾性共重合体(a’)の全体としての
アクリル酸アルキルエステルの量が35質量部以上であ
ればよい。
【0022】弾性体含有多層重合体(II)の架橋弾性重
合体(a’)に用いる炭素数1〜8のアルキル基を有す
るアルキルアクリレートとしては、従来より知られる各
種のアルキルアクリレートを使用できる。特に、ブチル
アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等を用
いることが好ましい。
【0023】架橋弾性重合体(a’)に所望により用い
るその他の共重合可能なビニル単量体としては、特に制
限されないが、メチルメタクリレート、ブチルメタクリ
レート、シクロヘキシルメタクリレート等のアルキルメ
タクリレート、スチレン、アクリルニトリル等を用いる
ことが好ましい。これらは単独であるいは2種以上を組
み合わせて用いることができる。
【0024】架橋弾性重合体(a’)に用いる架橋性単
量体としては、特に限定されないが、例えば、ジメタク
リル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ブタンジオ
ール、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、フタル
酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソ
シアヌレート、ジビニルベンゼン、マレイン酸ジアリ
ル、トリメチロールトリアクリレート、アリルシンナメ
ート等を用いることが好ましい。これらは単独であるい
は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】架橋弾性共重合体(a’)は、上述した各
種の単量体を一括して重合することにより得ることがで
きるが、必要に応じて2段階以上に分けて重合して多層
構造とすることもできる。
【0026】弾性体含有多層重合体(II)を得る為に
は、架橋弾性重合体(a’)の存在下に炭素数1〜4の
アルキル基を有するアルキルメタクリレートを含有する
単量体(b’)をグラフト重合させる。架橋弾性重合体
(a’)の量は、70質量部以上99質量部以下であ
り、単量体(b’)の量は、1質量部以上30質量部以
下[但し(a’)と(b’)の合計量100質量部]で
ある。架橋弾性共重合体(a’)の量は、好ましくは7
5質量部以上である。75質量%以下になると、成形品
の硬度が高くなり、柔軟性が低下する傾向にある。この
グラフト重合は1段で行なっても良いし、2段以上で行
なっても良い。
【0027】単量体(b’)に含有される炭素数1〜4
のアルキル基を有するアルキルメタクリレートとして
は、具体的には、メチルメタクリレート、エチルメタク
リレート、ブチルメタクリレート等である。その使用量
は、単量体(b’)100質量部中、50質量部以上で
あることが好ましい。また、単量体(b’)中には、炭
素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレー
トの他に、これと共重合可能な他のビニル単量体を含有
することができる。共重合可能な他のビニル単量体は、
特に限定されないが、例えば、メチルアクリレート、ブ
チルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等のア
ルキルアクリレート、スチレン、アクリロニトリル等を
用いることが好ましい。これらは単独でまたは2種類以
上を組み合わせて用いることができる。
【0028】弾性体含有多層重合体(II)の製造方法、
すなわち架橋弾性共重合体(a’)を得る為の重合およ
び架橋弾性共重合体(a’)の存在下で行なうグラフト
重合は、乳化重合法により行なうことが好ましい。その
重合時には、連鎖移動剤や、その他の重合助剤等を使用
してもよい。連鎖移動剤としては公知のものが使用でき
るが、特にメルカプタン類が好ましい。
【0029】以上説明した弾性体含有多層重合体(II)
としては、具体的には、例えば、炭素数1〜8のアルキ
ル基を有するアルキルアクリレートとその他の共重合可
能なビニル単量体と架橋性単量体とを含む単量体混合物
を乳化重合して得た架橋弾性重合体(a’)から構成さ
れる軟質最内層と、その架橋弾性重合体(a')の存在
下に、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタ
クリレートとその他の共重合可能なビニル単量体とを含
む単量体混合物(b’)を乳化重合して形成した硬質最
外層とから成る2層構造の弾性体含有多層重合体が好ま
しい。
【0030】また、弾性体含有多層重合体(II)とし
て、例えば、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキ
ルアクリレートとその他の共重合可能なビニル単量体と
架橋性単量体とを含む単量体混合物を乳化重合して最内
層重合体を形成し、この最内層重合体の存在下に、炭素
数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレートと
その他の共重合可能なビニル単量体と架橋性単量体とを
含む単量体混合物を乳化重合して架橋弾性重合体を形成
することによって、その最内層重合体と架橋重合体とか
ら成る2層構造の架橋弾性重合体(a’)を得、この架
橋弾性重合体(a’)の存在下に、炭素数1〜4のアル
キル基を有するアルキルメタクリレートを含有する単量
体(b’)を乳化重合して最外層重合体を形成して得た
3層構造の弾性体含有多層重合体も好ましい。さらに、
この架橋弾性重合体(a’)と最外層重合体との間に、
両者の中間的な組成を有する中間層を設けた4層構造の
弾性体含有多層重合体も好ましい。
【0031】本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、
他の熱可塑性樹脂(III)を98〜0質量部[但し成分
(I)〜(III)の合計量100質量%]含有させるこ
とができる。用いる熱可塑性樹脂としては特に制限され
ないが、好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基を有す
るアルキルメタクリレートを少なくとも含む単量体を重
合して得られる、還元粘度(重合体0.1gをクロロホ
ルム100mlに溶解し、25℃で測定)が0.1l/
g以下であるメタクリル系樹脂であることが好ましい。
炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレ
ートとしては、特に制限されないが、メチルメタクリレ
ートが最も好ましい。また、炭素数1〜4のアルキル基
を有するアルキルメタクリレートと共に、これと共重合
可能な他のビニル系単量体を併用してもよい。ここで炭
素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレー
トとその他の共重合可能なビニル単量体の合計量を10
0質量部とした場合、炭素数1〜4のアルキル基を有す
るアルキルメタクリレートの使用量は50〜100質量
部であることが好ましく、その他の共重合可能なビニル
単量体の使用量は0〜50質量部であることが好まし
い。炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタク
リレートの使用量が50質量部以上であれば、フィルム
やシート成形時の成形性が良好で、また、得られたフィ
ルムの透明性も良好になる。また、還元粘度は0.1l
/g以下のものを用いることで、得られる熱可塑性樹脂
組成物の流動性が良好となる。熱可塑性重合体(III)
を製造する為の重合法は特に限定されず、従来より知ら
れる懸濁重合、乳化重合法など各種方法を用いることが
できる。
【0032】本発明に用いるアクリル系高分子共重合体
(A)は、アルキル基の炭素数が1〜18のメタクリル
酸アルキル単位及び/又はアクリル酸アルキル単量体単
位と、それらと共重合可能なビニル系単量体単位とから
なり、還元粘度(ηsp/C)が3以下、より好ましく
は1以下の重合体である。ここでいう還元粘度(ηsp
/C)とは、100mlのクロロホルム中に0.1gの重
合体を溶解した溶液について、25℃で測定した還元粘
度である。この還元粘度(ηsp/C)が3よりも大き
いと、滑性的効果が低下する傾向にある。また、アルキ
ル基の炭素数が19以上であると、共重合反応し難くな
る傾向にある。
【0033】このようなメタクリル酸アルキル、アクリ
ル酸アルキルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル
酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシ
ル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピ
ル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル
酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、
アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル等が挙げられ
る。また、これらと共重合可能なビニル系単量体として
は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロ
ニトリル、酢酸ビニル等が挙げられる。
【0034】メタクリル酸アルキル単量体単位及び/又
はアクリル酸アルキル単量体単位と、それと共重合可能
なビニル系単量体単位の好ましい質量比は、メタクリル
酸アルキル単量体単位40〜95質量%、アクリル酸ア
ルキル単量体単位5〜60質量%、他のビニル系単量体
単位0〜30質量%である。
【0035】アクリル系高分子量共重合体の重合方法は
乳化重合法が最適で、1段または多段で重合することが
できる。滑性および分散性を両立させるためには、2段
または3段での重合が好ましい。乳化重合法で製造され
る場合、ラテックスの状態で得られる。その為、固体に
する為に、種々の手段が用いられる。一般的には、酸ま
たは塩を用いた急速凝固法により粉体として得ることが
できる。この粉体の状態でも十分効果を発揮するもので
あるが、マトリクス樹脂である熱可塑性樹脂は、通常、
ビーズ状粒子、もしくはペレット状の場合が多く、粉体
をそのまま使用すると、分級する可能性があるので、顆
粒状粉体としておくことが好ましい。顆粒状粉体にする
手段としては、酸もしくは塩による凝固中に溶剤を添加
し、酸析して顆粒状にする溶剤法による手段、酸または
塩を用いて緩速条件で凝固させて酸析して顆粒状にする
緩速凝固法による手段、高温の気流中に、ラテックスを
噴霧し、乾燥させて顆粒状粉体とするスプレードライ法
による手段等を用いることができる。
【0036】本発明に用いるアクリル系高分子共重合体
(B)は、アルキル基の炭素数が1〜18のメタクリル
酸アルキル単量体単位及び/又はアクリル酸アルキル単
量体単位と、それらと共重合可能なビニル系単量体単位
からなり、その還元粘度(ηsp/C)が3以上、より
好ましくは5以上のアクリル系高分子量共重合体であ
る。なお、ここでいう還元粘度(ηsp/C)とは、1
00mlのクロロホルム中に0.1gの重合体を溶解し
た溶液について、25℃で測定した還元粘度をいう。還
元粘度(ηsp/C)が3未満であると、粘弾性付与効
果が低下する傾向にある。また、アルキル基の炭素数が
19以上であると、共重合反応し難くなる傾向にある。
【0037】このようなメタクリル酸アルキル単量体単
位、アクリル酸アルキル単量体単位を構成する単量体と
しては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エ
チル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−エチル
ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸
ベンジル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブ
チル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘ
キシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジ
ル、アクリル酸フェニル等が挙げられる。また、これら
と共重合可能なビニル系単量体としては、例えば、スチ
レン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、酢酸ビ
ニル等が挙げられる。
【0038】メタクリル酸アルキル単量体単位、アクリ
ル酸アルキル単量体単位と、それと共重合可能なビニル
系単量体単位の好ましい質量比は、メタクリル酸アルキ
ル単量体単位40〜95質量%、アクリル酸アルキル単
量体単位5〜60質量%、他のビニル系単量体0〜30
質量%である。
【0039】重合方法は乳化重合法が最適で、1段また
は多段で重合することができる。滑性および分散性を両
立させるためには、2段または3段での重合が好まし
い。乳化重合法で製造される場合、ラテックスの状態で
得られる。その為、固体にする為に、種々の手段が用い
られる。一般的には、酸または塩を用いた急速凝固法に
より粉体として得ることができる。この粉体の状態でも
十分効果を発揮するものであるが、マトリクス樹脂であ
る熱可塑性樹脂は、通常、ビーズ状粒子、もしくはペレ
ット状の場合が多く、粉体をそのまま使用すると、分級
する可能性があるので、顆粒状粉体としておくことが好
ましい。顆粒状粉体にする手段としては、酸もしくは塩
による凝固中に溶剤を添加し、酸析して顆粒状にする溶
剤法による手段、酸または塩を用いて緩速条件で凝固さ
せて酸析して顆粒状にする緩速凝固法による手段、高温
の気流中に、ラテックスを噴霧し、乾燥させて顆粒状粉
体とするスプレードライ法による手段等を用いることが
できる。
【0040】以上、本発明に用いる弾性体含有多層重合
体を含むアクリル系熱可塑性樹脂の好適な例として、弾
性体含有多層重合体(I)、(II)と熱可塑性樹脂(II
I)とを含んで成る樹脂について説明したが、本発明は
これに限定されるものではない。また、弾性体含有多層
重合体を含むアクリル系熱可塑性樹脂において、弾性体
含有多層重合体(I)(II)の含有量は、弾性体含有多
層重合体を含むアクリル系熱可塑性樹脂100質量部を
基準として、それぞれ2〜98質量部が好ましい。
【0041】弾性体含有多層重合体(I)のみの系で
は、充分な柔軟性を付与することが出来ず、また、カレ
ンダー成型時のバンク回りも悪い。逆に、弾性体含有多
層重合体(II)のみの系では成型時のロール離型性が悪
くなる。弾性体含有多層重合体(I)(II)を併用する
ことにより、可塑剤、添加剤等を添加することなく、透
明性、柔軟性、ロール離型性、バンク回りの良好な熱可
塑性樹脂組成物を得ることができる。
【0042】本発明のアクリル系樹脂組成物は、必要に
応じて一般の配合剤、例えば安定剤、加工助剤、滑剤、
耐衝撃助剤、発泡剤、充填剤、着色剤、抗菌剤、紫外線
吸収剤、酸化防止剤、艶消し剤などを含むことができ
る。
【0043】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、Tダイ
法、溶液キャスト法、インフレーション法、カレンダー
法など従来より知られる各種のフィルム成形法にて成形
することができるが、これらのうち、フィルム成形性や
フィルム成型時の熱安定性を考慮すると、カレンダーに
より行うことが好ましい。
【0044】カレンダー法には、例えば、従来より塩化
ビニルフィルムの成形に用いられているような押出機、
バンバリーミキサー等の混練機、複数本の金属ロールよ
りなる製膜装置、および、得られたフィルムを巻き取る
巻取機より構成される設備を用いることができる。この
場合、混練機での混練状態、ロール製膜装置でのバンク
状態、および、ロール面からの剥離性が、成形性の良悪
を判断する上で重要である。
【0045】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形
する場合は、上述の各種成形法のうち、押出成形法に該
当する方法を用いることも好ましく、これによれば、フ
ィルムやシートのみならず所望の断面形状を有する異型
品を良好に成形することができる。
【0046】本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形して得
た軟質フィルムまたはシートを、基材の表層に配設した
り、あるいは基材の表層が三層以上の場合は中間層とし
て配設することで、所望の積層物を製造することができ
る。軟質フィルムまたはシートを積層する基材として
は、従来より知られる各種の熱可塑性樹脂基材を用いる
ことができる。具体的には、アクリル樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂等が好まし
い。また、熱融着しない樹脂や木材、鋼板等の基材等で
あっても、接着剤を使用して貼り合わせることは可能で
ある。
【0047】軟質フィルムを用いた積層物の製造法とし
ては、特に制限なく各種の積層方法が採用できる。特
に、加熱ロールを用いる熱ラミネーション法が好まし
い。
【0048】この軟質フィルムまたはシートは、容易に
印刷を施すことが可能であり、その意匠効果を著しく高
めることができる。また、エンボス加工、粘着加工、表
面硬化を施すことも可能である。
【0049】この軟質フィルムまたはシートの工業用途
の具体例としては、農業用ビニルハウス、マーキングフ
ィルム、ポスター、壁紙、発泡シート、屋外用塩ビレザ
ー、塩ビ鋼板の屋根材および外壁材、自動車内外装、家
具等の塗装代替、エレベーター内装、雨樋、床材、波
板、化粧柱、バインダー、照明の表皮材、断熱フィルム
等が挙げられる。
【0050】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。ただし、本発明は実施例により何ら限定される
ものではない。なお、実施例における部数の記載はすべ
て質量基準である。また、実施例に用いる略号は以下の
とおりである。 SFS :ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート EDTA:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム MMA :メチルメタクリレート MA :メチルアクリレート BA :n−ブチルアクリレート BD :1,3−ブチレンジメタクリレート AMA :アリルメタクリレート St :スチレン n−OM:n−オクチルメルカプタン t−BH:t−ブチルハイドロパーオキサイド CHP :クメンハイドロパーオキサイド 乳化剤(1):モノ(ポリオキシエチレンノニルフェニ
ルエーテル)リン酸40%とジ(ポリオキシエチレンノ
ニルフェニルエーテル)リン酸60%混合物の水酸化ナ
トリウム部分中和物[商品名フォスファノールLO52
9、東邦化学(株)製]。
【0051】<製造例1:弾性体含有多層重合体(X
1)>還流冷却器付き反応容器にイオン交換水300
部、炭酸ナトリウム0.05部および乳化剤(1)0.4
8部を加え、70℃に昇温し、イオン交換水5部に対し
てSFS0.48部、硫酸第一鉄0.4ppm、EDTA
1.2ppmを加えた混合物を一括投入した。次に、B
A51.75部、St9.85部、AMA0.9部、t−
BH0.3部および乳化剤(1)1.0部からなる混合物
を185分間で滴下し、120分間保持することによ
り、軟質最内層の重合を行った。
【0052】続いて、イオン交換水5部に対してSFS
0.12部を加えた混合物を一括投入し、15分後にM
MA35部、MA2.5部、n−OM0.25部、t−
BH0.09部および乳化剤(1)0.4部からなる混合
物を90分間かけて滴下し、その後60分間保持して硬
質最外層の重合を完結させて、弾性体含有多層重合体
(X2)のラテックスを得た。このラテックスを硫酸マ
グネシウム水溶液で凝固し、ポリマーに対し20倍量の
純水で洗浄し、脱水、乾燥を行い、弾性体含有多層重合
体(X1)の粉末を得た。
【0053】<製造例2:弾性体含有多層重合体(X
2)>冷却器付き重合容器内にイオン交換水250部を
投入し、70℃に昇温し、イオン交換水5部に対してS
FS0.48部、硫酸第一鉄0.4ppm、EDTA1.
2ppmを加えた混合物を一括投入した。これを窒素下
で撹拌後、MMA1.9部、BA7.6部、BD0.4
部、AMA0.1部、CHP0.04部および乳化剤
(1)1.3部からなる混合物を仕込み、60分間反応
を継続させ最内層重合体の重合を完結した。
【0054】続いて、MMA1.9部、BA21.85
部、BD1.0部およびAMA0.25部からなる架橋弾
性重合体を形成する為の単量体混合物を60分間で添加
し重合して二層架橋ゴム弾性体を得た。この重合体の形
成に対して用いたCHPの量は当該単量体混合物に対し
て0.05質量%である。
【0055】続いて、中間層を形成する為のMMA4.
95部、BA4.95部、AMA0.1部およびCHP
0.02部からなる混合物を反応させて中間層を形成
し、最後に最外層重合体を形成する為のMMA55部、
n−OM0.19部およびt−BH0.08部からなる単
量体混合物を反応させて最外層重合体を形成し、弾性体
含有多層重合体(X2)のラテックスを得た。このラテ
ックスを硫酸マグネシウム水溶液で凝固し、ポリマーに
対し20倍量の純水で洗浄し、脱水、乾燥を行い、弾性
体含有多層重合体(X2)の粉末を得た。
【0056】<製造例3:弾性体含有多層重合体(Y
1)>還流冷却器付き反応容器にイオン交換水300
部、炭酸ナトリウム0.05部および乳化剤(1)0.4
8部を加え、70℃に昇温し、イオン交換水5部に対し
てSFS0.48部、硫酸第一鉄0.4ppm、EDTA
1.2ppmを加えた混合物を一括投入した。次に、B
A51.675部、St11.925部、MMA15.9
部、AMA0.5部、t−BH0.3部および乳化剤
(1)1.0部からなる混合物を185分間で滴下し、
120分間保持することにより、軟質最内層の重合を行
った。
【0057】続いて、イオン交換水5部に対してSFS
0.12部を加えた混合物を一括投入し、15分後にM
MA19.0部、BA0.8部、St0.2部、n−O
M0.25部、t−BH0.09部および乳化剤(1)
0.4部からなる混合物を90分間かけて滴下し、その
後60分間保持して硬質最外層の重合を完結させて、弾
性体含有重合体(Y1)のラテックスを得た。このラテ
ックスを硫酸マグネシウム水溶液で凝固し、ポリマーに
対し20倍量の純水で洗浄、脱水、乾燥を行い、弾性体
含有多層重合体(Y1)の粉末を得た。
【0058】<製造例4:弾性体含有多層重合体(Y
2)>冷却器付き重合容器内にイオン交換水250部を
投入し、70℃に昇温し、イオン交換水5部に対してS
FS0.48部、硫酸第一鉄0.4ppm、EDTA1.
2ppmを加えた混合物を一括投入した。これを窒素下
で撹拌後、MMA8.24部、BA7.76部、BD
0.4部、AMA0.1部、CHP0.04部および乳化
剤(1)1.3部からなる混合物を仕込み、60分間反
応を継続させ最内層重合体の重合を完結した。
【0059】続いて、MMA8.18部、BA23.32
部、BD1.0部およびAMA0.25部からなる架橋弾
性重合体を形成する為の単量体混合物を60分間で添加
し重合して二層架橋ゴム弾性体を得た。この重合体の形
成に対して用いたCHPの量は当該単量体混合物に対し
て0.05質量%である。
【0060】続いて、中間層を形成する為のMMA2
2.68部、BA10.47部、AMA0.1部およびC
HP0.02部からなる混合物を反応させて中間層を形
成し、最後に最外層重合体を形成する為のMMA17.
5部、n−OM0.19部およびt−BH0.08部から
なる単量体混合物を反応させて最外層重合体を形成し、
弾性体含有多層重合体(Y2)のラテックスを得た。こ
のラテックスを硫酸マグネシウム水溶液で凝固し、ポリ
マーに対し20倍量の純水で洗浄し、脱水、乾燥を行
い、弾性体含有多層重合体(Y2)の粉末を得た。
【0061】[製造例5:アクリル系高分子共重合体
(A)の製造]攪拌機および還流冷却器付き反応器に、
イオン交換水を280質量部、アルケニルコハク酸カリ
ウムを1.5質量部、過硫酸アンモニウムを2質量部、
メチルメタクリレートを25質量部、n−オクチルメル
カプタンを0.05質量部を仕込み、容器内を窒素で置
換した後、攪拌下、65℃に昇温し、2時間加熱攪拌し
た。続いて、n−ブチルメタクリレートが25質量部、
n−ブチルアクリレートが25質量部、n−オクチルメ
ルカプタンが0.5質量部の混合物を1時間かけて滴下
し、添加終了後、さらに2時間攪拌した。その後、この
反応系に、メチルメタクリレートが25質量部、n−オ
クチルメルカプタンが0.03質量部の混合物を30分
かけて添加し、さらに2時間攪拌し、重合を終了し、ラ
テックス状のアクリル系高分子共重合体(LA)を得
た。このアクリル系高分子共重合体の還元粘度(ηsp
/C)は0.8であった。攪拌機の付いた反応器に、イ
オン交換水を600質量部、硫酸を3質量部仕込み、5
0℃に加温し、攪拌しながら5分かけて上記調製したラ
テックス(LA)を投入し、投入後、95℃に昇温し、
5分間保持した後、濾過、洗浄、乾燥し、酸析品である
アクリル系高分子共重合体(A)を得た。
【0062】[製造例6:アクリル系高分子共重合体
(B)の製造]攪拌機および還流冷却器付き反応器に、
イオン交換水を280質量部、アルケニルコハク酸カリ
ウムを1.5質量部、過硫酸アンモニウムを2質量部、
メチルメタクリレートを92質量部、 n−ブチルアク
リレートが8質量部、n−オクチルメルカプタンを0.
03質量部を仕込み、容器内を窒素で置換した後、攪拌
下、65℃に昇温し、4時間加熱攪拌し、重合を終了
し、ラテックス状のアクリル系高分子共重合体(LB)
を得た。このアクリル系高分子共重合体の還元粘度(η
sp/C)は8.1であった攪拌機の付いた反応器に、
イオン交換水を600質量部、硫酸を3質量部仕込み、
50℃に加温し、攪拌しながら5分かけて上記調製した
(LB)を投入し、投入後、95℃に昇温し、5分間保
持した後、濾過、洗浄、乾燥し、アクリル系高分子量重
合体(B)を得た。
【0063】<実施例1〜24および比較例1〜14>
弾性体含有重合体(X1)、(X2)、(Y1)、(Y
2)および、表1、2に示すその他の原料を用い、ブレ
ンダーにて表1、2に示す配合量で混合し、バンバリー
ミキサーにて混練して各種の樹脂組成物を得た。表1、
2に示すその他の原料は、以下のものを用いた。 熱可塑性樹脂(III):MMA樹脂(三菱レイヨン
(株)製アクリペットMF) DOP:フタル酸ジ−n−オクチル(三菱化学(株)製
DOP) ポリエチレンワックス:ハイワックス220MP(三井
化学(株)製)
【0064】これら樹脂組成物を用いて、逆L型のカレ
ンダーロールにより、成形温度180℃の条件で、厚さ
0.5mmのシートを製造した。そのカレンダー加工に
おける樹脂組成物のロール離型性、バンク状態、また製
造されたシートの表面状態および成型品の物性を以下の
方法に従って調べた。結果を表2に示す。なお、各評価
は以下の方法により行った。 [バンク状態]バンクが均一な状態で回転しているとき
を良好(○)とし、そうでないときを不良(×)とし、
やや不均一な状態で回転しているときを(△)とした。 [ロール離型性]樹脂がロール面から剥がれなくなるま
での時間を測定した [ブリードアウト]ギアオーブン100℃×120分、
荷重10kg/100cm2の条件で、シート2枚をガ
ラス板に挟み、荷重をかけた状態で加熱し、目視にてシ
ートの表面状態、透明性を観察し、全くブリードしてい
ない時を(○)とし、ややブリードしている時を(△)
とし、ブリードしている時を(×)とした。 [透明性]ロールから取り出したシートの表面を目視に
て観察し、透明である時を良好(○)とし、そうでない
時を不良(×)とし、半透明を(△)とした。 [柔軟性]JIS K7215 に準拠し、デュロメータ
硬さ試験を行った(サンプル厚み:6mm)
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、優
れた耐候性を示し、かつ柔軟性、耐ブリードアウト性、
透明性にも優れた熱可塑性樹脂組成物を提供できる。ま
た、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、カレンダー成形性
や押出成形性などの成形性に優れ、上述の良好な特性を
有する軟質フィルム、シートあるいは異型品などを良好
に成形でき、それら成形品は多方面での使用が可能であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 101/00 C08L 101/00 Fターム(参考) 4F071 AA02 AA33 AA77 AA81 AA88 AF30 AF57 BB04 BC01 BC17 4J002 AA01Y BG044 BG054 BN12W BN12X 4J011 AA05 PA69 PC02 PC06 4J026 AA45 AC09 AC31 AC33 AC36 BA27 BB03 DA04 DA07 DA15 DB04 DB08 DB15 DB23 DB24 DB26 FA07 GA08 GA09

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数1〜8のアルキル基を有するアル
    キルアクリレートと架橋性単量体とを含有する単量体を
    重合して得られる架橋弾性重合体(a)1質量部を越え
    70質量部未満の存在下に、炭素数1〜4のアルキル基
    を有するアルキルメタクリレートを含有する単量体
    (b)30質量部を越え99質量部未満[但し(a)と
    (b)の合計量100質量部]を重合することにより得
    られる弾性体含有多層重合体(I)1〜99質量%と、 炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレー
    トと架橋性単量体とを含有する単量体を重合して得られ
    る架橋弾性重合体(a’)70〜99質量部の存在下
    に、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタク
    リレートを含有する単量体(b’)を1〜30質量部
    [但し(a’)と(b’)の合計量100質量%]を重合
    することにより得られる弾性体含有多層重合体(II)9
    9〜1質量%と、 他の熱可塑性樹脂0〜98質量%(III)[但し(I)
    〜(III)の合計量100質量%]とを含有する熱可塑
    性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂(III)を50〜90質量
    %含有することを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂(III)が、炭素数1〜4
    のアルキル基を有するアルキルメタクリレートを含有す
    る単量体を重合して得られる、還元粘度が0.1l/g
    以下であるメタクリル系樹脂であることを特徴とする請
    求項1又は2記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 アルキル基の炭素数が1〜18のメタク
    リル酸アルキル単量体単位及び/又はアクリル酸アルキ
    ル単量体単位と、それと共重合可能なビニル系単量体単
    位とからなり、25℃での還元粘度(ηsp/C)が3
    未満であるアクリル系高分子量共重合体(A)を、
    (I)〜(III)の合計量100質量部に対して0.1
    〜5質量部配合してなる請求項1〜3の何れか1項記載
    の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 アルキル基の炭素数が1〜18のメタク
    リル酸アルキル単量体単位及び/又はアクリル酸アルキ
    ル単量体単位と、それと共重合可能なビニル系単量体単
    位とからなり、25℃での還元粘度(ηsp/C)が3
    以上であるアクリル系高分子量共重合体(B)を、
    (I)〜(III)の合計量100質量部に対して0.5
    〜10質量部配合してなる請求項1〜4の何れか1項記
    載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れか1項記載の熱可塑
    性樹脂組成物から成るカレンダー成形用熱可塑性樹脂組
    成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5の何れか1項記載の樹脂組
    成物から成る押出成形用熱可塑性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5の何れか1項記載の熱可塑
    性樹脂組成物を成形して得られるフィルムまたはシー
    ト。
  9. 【請求項9】 請求項1〜5の何れか1項記載の熱可塑
    性樹脂組成物をカレンダー成形することにより得られた
    フィルムまたはシート。
  10. 【請求項10】 請求項1〜5の何れか1項記載の熱可
    塑性樹脂組成物を押出成形することにより得られたフィ
    ルム、シートまたは異型成形品。
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