JP2003238721A - 変成シリコーン樹脂組成物および該樹脂組成物を有効成分とする接着剤 - Google Patents

変成シリコーン樹脂組成物および該樹脂組成物を有効成分とする接着剤

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JP2003238721A
JP2003238721A JP2002036392A JP2002036392A JP2003238721A JP 2003238721 A JP2003238721 A JP 2003238721A JP 2002036392 A JP2002036392 A JP 2002036392A JP 2002036392 A JP2002036392 A JP 2002036392A JP 2003238721 A JP2003238721 A JP 2003238721A
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JP2002036392A
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Yumiko Hashimoto
由美子 橋本
Masato Fujita
真人 藤田
Shigeki Naito
茂樹 内藤
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間保存されても基材に容易に
塗布することができ、塗布された後は加熱するまでは高
い接着性を有し、加熱後には、接着剤に接着する基材を
容易に剥離し、しかも基材に接着剤層がほとんど付着し
ない、あるいは接着剤層が付着していても基材から容易
に剥離し得るという易剥離性を有する接着剤を与える樹
脂組成物を提供する。 【解決手段】 発泡剤および変成シリコーン樹脂
を含有する樹脂組成物であって、該組成物中の水分含有
量が、該組成物100重量部に対し、0.2重量部以下
であることを特徴とする変成シリコーン樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発泡剤および変成
シリコーン樹脂を含有する変成シリコーン樹脂組成物お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】基材に接着剤を塗布したのち、該基材の
表面に該基材とは別の基材を接着して得られる積層体
は、自動車用品、事務用品、家電製品、建材、エレクト
ニクス製品などに数多く使用されている。最近、基材を
リサイクル(再利用)することのできる積層体が求めら
れており、例えば、特開2001−212900号公報
には、[基材]に[発泡剤を含有する架橋性ポリマー]
および[架橋性ポリマー]を順次塗布したのち、該[基
材]とは別の基材を接着して得られる積層体について、
該積層体の2つの基材は2層の接着剤層を介して強く接
着されており、該積層体を加熱すると[発泡剤を含有す
る架橋性ポリマー]に接する基材が該積層体から容易に
剥離、回収され、しかも、回収された基材には架橋性ポ
リマーの硬化物がほとんど付着しないことが報告されて
いる。さらに、本発明者らは、基材に発泡剤と変成シリ
コーン樹脂とを含有する樹脂組成物を有効成分とする接
着剤を塗布したのち、該基材とは別の基材を接着して得
られる積層体を提案しており(特願2001−3124
17号)、得られた積層体の2つの基材は該接着剤層を
介して強く接着し、該積層体を加熱すると、該積層体か
ら基材が容易に剥離、回収され、しかも、回収された基
材には接着剤がほとんど付着しないことを報告してい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らが、発泡剤
および変成シリコーン樹脂を含有する樹脂組成物につい
て、さらに検討したところ、該樹脂組成物を著しく長時
間貯蔵すると、該樹脂組成物の粘度が上昇したり、ゲル
化したりして、基材に該樹脂組成物を容易に塗布するこ
とができないことが明らかになった。本発明の目的は、
長期間保存されても基材に容易に塗布することができ、
塗布された後は加熱するまでは高い接着性を有し、加熱
後には、接着剤に接着する基材を容易に剥離し、しかも
基材に接着剤層がほとんど付着しない、あるいは接着剤
層が付着していても基材から容易に剥離し得るという易
剥離性に優れる接着剤を与える樹脂組成物を提供するこ
とである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、発泡剤および
変成シリコーン樹脂を含有する樹脂組成物における水分
含有量が、該組成物100重量部に対し、0.2重量部
以下であることを特徴とする変成シリコーン樹脂組成
物、該樹脂組成物を有効成分とする接着剤、該樹脂組成
物を有効成分とするコーティング材、該接着剤により少
なくとも2つの基材が接着されて得られる積層体、該積
層体を加熱して、積層体から基材を剥離することを特徴
とする基材の回収方法、発泡剤および変成シリコーン樹
脂を含有する樹脂組成物を水と共沸し得る有機溶媒存在
下に、共沸脱水することを特徴とする樹脂組成物の製造
方法、ならびに発泡剤を水と共沸し得る有機溶媒存在下
に共沸脱水したのち、変成シリコーン樹脂と混合するこ
とを特徴とする樹脂組成物の製造方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、詳細に説
明する。本発明における変成シリコーン樹脂としては、
例えば、シリル基末端ポリエーテルなどと、錫系化合物
や脂肪族ポリアミン等の硬化触媒を含有する樹脂などが
挙げられる。この樹脂は、発泡剤と混合する際には硬化
していないか、一部硬化していても基材に塗布し得る程
度の粘度を有しており、接着後には水分を吸収して、通
常、シロキサン結合を形成して、接着する。
【0006】変成シリコーン樹脂の製造方法について、
シリル基末端ポリエーテルを具体例として説明すると、
ポリプロピレングリコールなどの末端ヒドロキシル基を
メトキシ基などのアルコキシド基に転換させた後、塩化
メチレンなどの多価ハロゲン化合物を反応させることに
よって分子量を増大させ、分子量延長反応により高分子
量化した後、CH2=CHRX(ここでRはメチル基、エチル基
などの炭素数1〜6程度の低級アルキル基を表わし、X
はハロゲン原子を表す。)で表わされる有機ハロゲン化
合物を反応させることによって末端にオレフィン基を導
入し、次に、脱塩精製工程を経てヒドロシリル化反応に
よって末端に反応性シリル基を導入した分子量5000
〜500000程度のシリル基末端ポリエーテルを得る
方法などが挙げられる。ここでポリプロピレングリコー
ルを構成する単量体として、プロピレンオキサイドに加
え、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル
などを共重合せしめてもよい。
【0007】変成シリコーン樹脂には、通常、オルガノ
シラン化合物、オルトギ酸エステルなどの脱水剤、N−
(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキ
シシランやγ−アミノプロピルトリメトキシシランなど
のシランカップリング剤を含有する。さらに、変成シリ
コーン樹脂として、「ボンドサイレックスクリヤー」
((株)コニシ製)、「スーパーX」(セメダイン
(株)製)などの市販品を使用してもよい。
【0008】変成シリコーン樹脂におけるシリル基末端
ポリエーテル等と硬化触媒との混合方法としては、例え
ば、発泡剤との混合の前にシリル基末端ポリエーテル、
脱水剤、接着付与剤、硬化触媒などを混合する方法、シ
リル基末端ポリエーテル、脱水剤、接着付与剤および発
泡剤等を混合し、接着前に硬化触媒等を混合する方法、
硬化触媒と発泡剤等を混合し、接着前にシリル基末端ポ
リエーテル、脱水剤、接着付与剤等を混合する方法、変
成シリコーン樹脂を構成するすべての成分を混合する方
法などが挙げられる。
【0009】本発明における変成シリコーン樹脂には、
接着性および易剥離性を損なわない範囲で他の樹脂、炭
酸カルシウムなどの無機充填剤、有機充填剤、だれ防止
剤、染料、顔料、増粘剤、消泡剤、分散剤、難燃剤、光
沢剤、チキソ性付与剤、密着付与剤、界面活性剤などの
表面調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤および帯電防止
剤などの配合剤などが含有していてもよい。ここで、含
有していてもよい樹脂としては、不飽和ポリエステルな
どの重合性二重結合含有モノマー類およびそのプレポリ
マー類;ポリブタジエン、マレイン化ブタジエン、エポ
キシ化ブタジエン、マレイン化ブタジエン、ブタジエン
−アクリロニトリル共重合体およびそのカルボキシル基
含有樹脂、ポリクロロプレン、マレイン化ブタジエン、
ブタジエン−アクリロニトリル共重合体およびそのカル
ボキシル基含有樹脂、ポリクロロプレン、ブタジエン−
スチレン共重合体、ポリイソプレン、ブチルゴム、フッ
素ゴム、天然ゴムなどの低分子量液状〜高分子量エラス
トマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、
ポリ−4−メチルペンテン、ポリスチレン、AS樹脂、
MBS樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン−プロピレン共
重合体、テトラフッ化エチレン−ヘキサフッ化プロピレ
ン共重合体類;ポリカーボネート、ポリフェニレンエー
テル、ポリスルホン、ポリエステル、ポリイミド、ポリ
フェニレンサルファイドなどの高分子量ポリマーおよび
それらの低分子量プレポリマーもしくはオリゴマー;ポ
リウレタン、多官能性マレイミド類などが例示される。
【0010】本発明の樹脂組成物に含有される発泡剤と
しては、例えば、加熱することにより体積膨張するもの
などが挙げられ、具体的には、無機発泡剤および有機発
泡剤などの化学発泡剤、ならびに、熱膨張性中空球体等
が例示される。化学発泡剤の1種類である無機発泡剤と
しては、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸
アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の炭酸塩化合物;
ポリリン酸アミド、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メ
ラミン等のリン酸塩化合物;でんぷん、セルロース、糖
類、ジペンタエリスリトール等の炭化性材料;マグネシ
ウム末、アルミニウム末等の軽金属;水素化ホウ素ナト
リウム、水素化ナトリウムなどの水素化物;アジ化ナト
リウムなどのアジ化物等が挙げられる。また、化学発泡
剤の1種類である有機発泡剤としては、アゾジカルボン
アミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、
ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジニ
トロソ−N,N’−ジメチルテレフタルアミド等のニト
ロソ化合物、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,
p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、
ヒドラゾルカルボンアミド等のヒドラジド化合物、p−
トルエンスルホニルアジド、アセトン−p−スルホニル
ヒドラゾン、メラミン、尿素、ジシアンアミド等などが
挙げられる。
【0011】また、熱膨張性中空球体としては、例え
ば、松本油脂製薬(株)製「マイクロスフィア」のよう
にポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデンとアクリロニト
リルの共重合体、ポリアクリロニトリル、アクリロニト
リルとアクリル酸メチルの共重合体などからなる殻部分
の内部にエタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタンなどの低沸点炭化水素を含有する粒径1〜
50μm程度を有する球体などが挙げられる。発泡剤と
して、2種類以上の発泡剤を使用してもよい。また、発
泡剤の中でも熱膨張性中空球体が好適である。
【0012】本発明の樹脂組成物は、発泡剤および変成
シリコーン樹脂を含有する変成シリコーン樹脂組成物中
の水分含有量が、該樹脂組成物100重量部に対して
0.2重量部以下、好ましくは0.15重量部以下、と
りわけ好ましくは0.1重量部以下の樹脂組成物であ
る。ここで、変成シリコーン樹脂に水分が存在すると、
前述のようにシロキサン結合に消費されてしまうことか
ら、樹脂組成物に含有される水分は、ほとんど、変成シ
リコーン樹脂以外の樹脂組成物の成分が含有しているこ
とになる。そこで、変成シリコーン樹脂以外の樹脂組成
物の成分、特に発泡剤の水分が発泡剤100重量部に対
して0.2重量部以下、好ましくは0.15重量部以
下、とりわけ好ましくは0.1重量部以下であることが
好ましい。
【0013】本発明の樹脂組成物の製造方法としては、
例えば、発泡剤などの変成シリコーン樹脂以外の成分に
含まれる水分を共沸脱水、通風乾燥、真空乾燥などの方
法により低減したのち、変成シリコーン樹脂と混合する
方法;変成シリコーン樹脂以外の成分に含まれる水分を
部分的に低減したのち、該成分に変成シリコーン樹脂を
混合し、さらに水分を低減する方法などが挙げられる。
水分を低減する際の加熱温度としては、発泡剤の分解温
度以下である。
【0014】本発明の製造方法の中でも、共沸脱水を用
いる方法についてさらに詳しく説明すると、例えば、四
塩化炭素、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;エ
タノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、1−オ
クタノール、2−オクタノール等のアルコール類;ベン
ゼン、クロルベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、フ
ェノール、アニソール等の芳香族化合物類などの水と共
沸混合し得る溶媒に発泡剤などの変成シリコーン樹脂以
外の成分を混合し、発泡剤の分解温度以下で水と共沸さ
せたのち、変成シリコーン樹脂と混合する方法などが例
示される。発泡剤として、熱膨張性中空球体を用いる場
合には、トルエンを溶媒として用いる方法が好適であ
る。常圧における共沸点が発泡剤の分解温度以上の場合
には、適宜、減圧して、共沸点が分解温度以下の温度と
なるように調整して共沸脱水を実施する。共沸によって
留去された溶液は、そのまま留去してもよいし、水と分
液して溶媒を共沸脱水する反応器に戻してもよい。
【0015】本発明の樹脂組成物における発泡剤の含有
量としては、基材に対して十分接着力を有するととも
に、積層体を加熱して基材を回収する時には、接着剤層
が基材から容易に剥離し得る程度に接着力が低下するの
に必要な量である。具体的には、発泡剤の種類によって
も異なるが、例えば、発泡剤が熱膨張性中空球体の場
合、本発明の樹脂組成物における発泡剤の含有量は、変
成シリコーン樹脂100重量部に対し、通常、10〜1
00重量部程度であり、好ましくは、20〜70重量部
程度である。熱膨張性中空球体が100重量部以下であ
ると、樹脂組成物を接着剤として塗工する際の塗工作業
性に優れる傾向にあることから好ましく、10重量部以
上であると、加熱した際の接着力が低下して基材が剥離
しやすくなる傾向にあることから好ましい。
【0016】また、発泡剤が化学発泡剤の場合、本発明
の樹脂組成物における発泡剤の含有量は、変成シリコー
ン樹脂の合計100重量部に対して、通常、10〜12
5重量部程度であり、好ましくは、20〜100重量部
程度である。化学発泡剤が125重量部以下であると、
樹脂組成物を接着剤として塗工する際の塗工作業性に優
れる傾向にあることから好ましく、10重量部以上であ
ると、加熱した際の接着力が低下して基材が剥離しやす
くなる傾向にあることから好ましい。
【0017】さらに、本発明の樹脂組成物には、例え
ば、トルエンやメタノール等の溶剤、可塑剤を添加して
もよい。樹脂組成物に添加される可塑剤の添加量として
は、エポキシ樹脂及び変成シリコーン樹脂合計100重
量部に対して、通常、40重量部以下である。可塑剤が
40重量部以下であると、加熱前の接着力が向上する傾
向にあることから好ましい。尚、樹脂組成物として市販
の変成シリコーン樹脂を用いる場合、変成シリコーン樹
脂100重量部に対して10〜20重量部程度の可塑剤
が、通常、添加されている。
【0018】かくして得られた樹脂組成物は、例えば、
接着剤、塗料、クリアコートなどに使用することができ
る。そして、基材に本発明の樹脂組成物を接着剤として
塗布し、該接着剤層に該基材とは別の基材を接着し、必
要に応じて加圧したり加熱することにより、本発明の積
層体を得ることができる。ここで、基材に用いられる材
料としては、無機材料および有機材料が挙げられる。無
機材料としては、例えば、鉄、鋼鉄、金、銀、銅、アル
ミニウム等の金属材料;ガラス、石膏、陶磁器などのセ
ラミックス等が挙げられ、有機材料としては、例えば、
ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポ
リエステル、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミド、
エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ABS樹
脂、ゴム等のプラスチック材料、綿、麻、絹、木材、
紙、皮革などの天然材料、ビスコースレーヨン、酢酸セ
ルロースなどの半合成材料などが挙げられる。中でも、
ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ
アミド、アクリル樹脂、ABS樹脂などのプラスチック
材料が好ましい。
【0019】基材に用いられる材料としては、繊維強化
複合材料、無機充填剤を含有するプラスチックなどの複
合材料を使用してもよい。また、基材には、必要に応じ
て、離型剤、メッキなどの被膜、塗装などのプレコー
ト、プラズマやレーザーなどによる表面改質、表面酸
化、エッチングなどの表面処理を実施してもよい。基材
の形状としては、本発明の樹脂組成物が塗布可能な形状
であればよく、具体的には、フィルム状、シート状、板
状、繊維状などの形状が挙げられる。接着剤層を介して
接着される少なくとも2つの基材は、同じ種類の材料で
あっても異なった種類の材料であってもよい。
【0020】基材への樹脂組成物の塗工方法としては、
例えば、ロールコーター塗工、スプレー塗工、ブレード
コータ塗工、スクリーン塗工、アプリケーターを用いる
方法、スピンコートを用いる方法等が挙げられる。これ
らの方法によって得られる接着剤層の厚みとしては、通
常、5〜400μm程度である。
【0021】かくして得られた積層体は、例えば、基材
の再利用が求めている、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、電
子レンジ、掃除機、テレビ等の家電製品、パソコン、プ
リンター、複写機、電話、家具等の事務用品、バンパー
などの自動車部品、住宅構造材、シーリング材などの建
材、液晶パネル、プラズマディスプレイ、半導体、プリ
ント配線板、集積回路等のエレクトロニクス製品、二次
電池などの電池材料におけるベアセルのパッケージなど
に使用し得る。
【0022】本発明における積層体からの基材の回収方
法としては、例えば、オーブン、温水槽などに積層体を
入れ、加熱により接着剤層を発泡させて基材を回収する
方法;火炎、赤外線、スチーム、超音波、電磁波などを
積層体に照射して接着剤層を発泡させて基材を回収する
方法;焼きコテなどの加熱体を直接、基材に接触させる
ことにより、接着剤層を発泡させて基材を回収する方法
などが挙げられる。かくして得られた基材には、接着剤
層がほとんど付着していないか、接着剤層が付着してい
ても、基材から容易に剥離し得る程度であり、回収され
た基材は、再利用することができる、すなわち、易剥離
性に優れるのである。また、回収された基材が、金属、
熱可塑性プラスチックなどの場合には、溶融成形して再
利用することもできる。
【0023】
【実施例】以下に実施例を示して本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらによって限定されるもので
はない。例中の部および%は、特に断らないかぎり重量
基準を意味する。
【0024】水分は、カールフィッシャー式電量滴定法
(ISO/DIS 10337:1993)に準じて測定し
た。窒素は、乾燥剤「ドライアライト」(商品名;W.A.Ha
mmond Drierite Co. 製、硫酸カルシウム)を通気さ
せることにより乾燥処理を行ったものを使用した。
【0025】(実施例1) <発泡剤の乾燥例>容器に、50部の熱膨張性中空球体
「マイクロスフィアF−1400D」(商品名;松本油脂
製薬(株)製、以下「F−1400D」という、水分0.
4部を含有する)とトルエン100部とを混合し、該容
器をエバポレーターに設置後、エバポレーター全体を窒
素に置換した。容器を40℃に加熱しながら、内圧を5
066Pa(38mmHg)まで減圧して溶媒を留去し
た。窒素によりエバポレーター内を常圧とし、0.15
部の水分を含有する「F−1400D」50部を得た。
尚、得られた「F−1400D」に水分を吸着させないた
め、窒素雰囲気下でポリエチレン製試薬瓶に移し替え、
必要によりシリカゲルとともにアルミニウム製袋に入
れ、再び窒素を封入した後、ヒートシーラーにて密閉す
ることにより、保存した。
【0026】<樹脂組成物の製造例1>窒素雰囲気下に
て、前項で得られた水分が低減された「F−1400D」
50部と変成シリコーン樹脂(商品名「サイレックスホ
ワイト」、コニシ製)100部とを均一に混合し、本発
明の樹脂組成物を得た。樹脂組成物中の水分は、発泡剤
に含有された分のみであるから、該樹脂組成物100部
における水分含有量は、計算上、0.1部である。
【0027】<保存例1>プラスチック製シリンジ容器
(20ml)に、得られた樹脂組成物を入れ、遠心法に
よる脱泡(ハイブリッドミキサー HM-500;キーエンス
(株)社製)を実施した後、該シリンジ容器を密封し
た。続いて、該シリンジ容器を窒素で置換されたアルミ
ニウム製袋に入れ、ヒートシーラーで該袋を密閉した。
上記の状態で6ケ月保存したのち、該袋および該シリン
ジ容器を順次開けたのち、ポリカーボネート板(25mm×
100mm、厚み2mm;帝人(株)製 タキロン1600、基材
(A−1))の片面に、保存された樹脂組成物(B−
1)を、25mm×25mmの面積で200μmの厚みになるよう
にバーコーターにて塗工し、直ちに別のポリカーボネー
ト板(基材(A−2))と張り合わせ、圧着した状態で
室温にて7日間養生硬化させ、基材/接着剤/基材、す
なわち、(A−1)/(B−1)/(A−2)の順序で
積層して積層体を得た。該積層体は、JIS K 6850に準
じた引っ張り試験により、加熱処理前の基材同士の接着
力を測定した。接着力は1N/mm2以上であった。同様に
して作成された積層体を130℃のオーブン中にて5分
間加熱した。この積層体を取り出したところ、(B−
1)が発泡するとともに、(A−1)および(A−2)
が剥離しており、回収された(A−1)および(A−
2)には接着剤がほとんど付着しておらず、再利用でき
る状態であった。
【0028】(実施例2) <樹脂組成物の製造例2>実施例1で用いた発泡剤「F
−1400D」50部(水分0.4部を含有する)とト
ルエン250部とを容器に混合し、該容器をエバポレー
ターに設置後、エバポレーター全体を乾燥窒素に置換し
た。該容器を40℃にて加熱しながら、内圧を7333
Pa(55mmHg)まで減圧して、共沸脱水したのち、
常圧に戻した。別な容器に実施例1で用いた変成シリコ
ーン樹脂「サイレックスホワイト」100部をトルエン9
1部で溶解した溶液を調製したのち、共沸脱水された発
泡剤含有溶液に混合し、再び、内圧を7333Pa(55
mmHg)まで減圧して、トルエンを留去した。窒素に
よりエバポレーター内を常圧とし、150部の本発明の
樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の水分は検出限
界(試料100部に対して0.1部)以下であった。
【0029】<保存例2>製造例2で得られた樹脂組成
物を実施例1と同様な条件で6ケ月保存した。保存後、
実施例1と同様の基材にバーコーターにて実施例1と同
様に塗布することができた。そして、実施例1と同様に
積層体を得、接着性試験を実施したところ、接着力は1
N/mm2以上であった。同様にして得られた積層体を、1
30℃のオーブン中にて5分間加熱した。この積層体を
取り出したところ、(B−1)が発泡するとともに(A
−1)および(A−2)が剥離しており、回収された
(A−1)および(A−2)には接着剤がほとんど付着
しておらず、再利用できる状態であった。
【0030】(比較例1)実施例1に記載した<発泡剤
の乾燥例>を実施することのない発泡剤「F−1400
D」50部を用いること以外、実施例1と同様に混合し
て、樹脂組成物を得た。発泡剤には、水分0.4部を含
有することから、樹脂組成物100部に対し、水分0.
8部を含有することになる。実施例1と同様に樹脂組成
物を1週間保存した。保存後、実施例1と同様の基材
に、同様の方法で塗布することを試みたが、塗布ムラが
生じ、均一に塗布された積層体を得ることができなかっ
た。
【0031】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物を有効成分とする接
着剤は、長期間保存しても基材に塗布することができ、
塗布した後には加熱するまでは高い接着性を有し、加熱
後には、接着剤に接着する基材が容易に剥離し、しかも
基材に接着剤層がほとんど付着しない、あるいは接着剤
層が付着していても基材から容易に剥離し得るという易
剥離性を有する。そして、該接着剤と基材とからなる積
層体は、自動車用品、家電製品、事務用品、建材あるい
はエレクトロニクス製品などの基材の再利用が求められ
る分野に使用し得る。さらに、回収された基材はリサイ
クル(再利用)することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 183/04 C09D 183/04 C09J 171/00 ZAB C09J 171/00 ZAB 183/04 183/04 183/12 183/12 // C08L 83:12 C08L 83:12 (72)発明者 内藤 茂樹 大阪府大阪市此花区春日出中3丁目1番98 号 住友化学工業株式会社内 Fターム(参考) 4D076 AA07 AA24 BB08 EA04Y EA12Y HA20 4F074 AA76H AA90 BA91 BB22 CE02 DA20 DA54 DA59 4F100 AA00B AA00C AK01B AK01C AK52A AL06A BA03 BA10B BA10C CA01A DE04A JL11A JL14 JL16 4J038 DF021 DF051 DL031 GA15 4J040 EE021 EE051 EK031 GA31

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発泡剤および変成シリコーン樹脂を含有す
    る樹脂組成物であって、該組成物中の水分含有量が、該
    組成物100重量部に対し、0.2重量部以下であるこ
    とを特徴とする変成シリコーン樹脂組成物。
  2. 【請求項2】発泡剤における水分含有量が、発泡剤10
    0重量部に対し、0.2重量部以下であることを特徴と
    する請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】発泡剤が熱膨張性中空球体であることを特
    徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】変成シリコーン樹脂100重量部に対し、
    熱膨張性中空球体を10〜100重量部含有することを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成
    物を有効成分とする接着剤。
  6. 【請求項6】請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成
    物を有効成分とするコーティング材。
  7. 【請求項7】請求項5に記載の接着剤により少なくとも
    2つの基材が接着されて得られる積層体。
  8. 【請求項8】基材として用いられる材料が、無機材料お
    よび/または有機材料であることを特徴とする請求項7
    に記載の積層体。
  9. 【請求項9】請求項7または8に記載の積層体を加熱し
    て、積層体から基材を剥離することを特徴とする基材の
    回収方法。
  10. 【請求項10】請求項9に記載の回収方法により得られ
    た基材を再利用することを特徴とする基材のリサイクル
    方法。
  11. 【請求項11】発泡剤および変成シリコーン樹脂を含有
    する樹脂組成物を水と共沸し得る有機溶媒存在下に、共
    沸脱水することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載の樹脂組成物を製造する方法。
  12. 【請求項12】発泡剤を水と共沸し得る有機溶媒存在下
    に共沸脱水したのち、変成シリコーン樹脂と混合するこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組
    成物を製造する方法。
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