JP2003238197A - プレス成形レンズ用光学ガラス - Google Patents
プレス成形レンズ用光学ガラスInfo
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- C03—GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
- C03C—CHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
- C03C3/00—Glass compositions
- C03C3/12—Silica-free oxide glass compositions
- C03C3/16—Silica-free oxide glass compositions containing phosphorus
- C03C3/21—Silica-free oxide glass compositions containing phosphorus containing titanium, zirconium, vanadium, tungsten or molybdenum
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ＰｂＯやＴｅＯ２といった人体に有害な成分
やＧｅＯ２といった高価な成分を含まず、しかも低融点
で量産性に優れた高屈折率高分散のプレス成形レンズ用
ガラスを提供する。 【解決手段】 重量％で、Ｐ２Ｏ５：２１〜４７％、Ｂ
２Ｏ３：０〜１０％、Ａｌ２Ｏ３：０〜７％、Ｌｉ
２Ｏ：０〜７％、Ｎａ２Ｏ：３〜２３％、Ｋ２Ｏ：０〜
１５％、ＢａＯ：０〜２０％、ＺｎＯ：０〜１５％、Ｂ
ｉ２Ｏ３：５〜４０％、ＴｉＯ２：０〜２０％、Ｎｂ２
Ｏ５：０〜４２％、ＷＯ３：０〜２５％、Ｓｂ ２Ｏ３：
０〜１％、かつＴｉＯ２＋Ｎｂ２Ｏ５＋ＷＯ３：３〜５
０％の組成を有し、屈折率（ｎｄ）を１．５７以上１．
８３未満、アッベ数（νｄ）を２３〜４２、ガラス転移
温度（Ｔｇ）を４６０℃以下とする。
やＧｅＯ２といった高価な成分を含まず、しかも低融点
で量産性に優れた高屈折率高分散のプレス成形レンズ用
ガラスを提供する。 【解決手段】 重量％で、Ｐ２Ｏ５：２１〜４７％、Ｂ
２Ｏ３：０〜１０％、Ａｌ２Ｏ３：０〜７％、Ｌｉ
２Ｏ：０〜７％、Ｎａ２Ｏ：３〜２３％、Ｋ２Ｏ：０〜
１５％、ＢａＯ：０〜２０％、ＺｎＯ：０〜１５％、Ｂ
ｉ２Ｏ３：５〜４０％、ＴｉＯ２：０〜２０％、Ｎｂ２
Ｏ５：０〜４２％、ＷＯ３：０〜２５％、Ｓｂ ２Ｏ３：
０〜１％、かつＴｉＯ２＋Ｎｂ２Ｏ５＋ＷＯ３：３〜５
０％の組成を有し、屈折率（ｎｄ）を１．５７以上１．
８３未満、アッベ数（νｄ）を２３〜４２、ガラス転移
温度（Ｔｇ）を４６０℃以下とする。
Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、比較的低温で精密
プレス加工が可能なプレス成形レンズ用光学ガラスに関
する。 【０００２】 【従来の技術】近年、高度情報通信システムとして光フ
ァイバを用いた光通信が広く利用されている。光通信の
キーパーツの一つとして、発光素子（ＬＤ）とファイバ
を結合するＬＤモジュールがあり、このＬＤモジュール
では、発光素子が出射する光を集光して効率良くファイ
バ内に入射させるために球面レンズや非球面レンズが使
用されている。それらのレンズは、焦点距離を短くする
必要があるため、高屈折率の光学ガラスが使用されるの
が通例である。また、デジタルカメラ用としても非球面
レンズやプリズムが多用されており、高屈折高分散領域
の精密プレス成形用光学ガラスが要望されている。さら
に、上記のようなレンズは、例えば光学ガラスを球状に
研磨し、これを加熱、軟化して精密プレス加工で所定の
形状に形成するため、プレス金型の寿命を考慮すると、
より低融点の光学ガラスが要望されている。 【０００３】高屈折高分散で低融点の光学ガラスとして
は、従来よりＳＦタイプと呼ばれているものがある。し
かしながら、この光学ガラスは、人体に有害なＰｂＯを
含有するばかりでなく、精密プレス成形時に金属鉛が製
品の表面に析出して金型を損傷するため好ましくない。
そのため、ＰｂＯを含まずしかも低融点のＳＦタイプ光
学ガラスが要望され、それに応えるものとして特開平
５−５１２３３号公報や特開平１０−３１６４４８号
公報に記載されたような光学ガラスが提案されている。 【０００４】ところが、上記公報に記載の光学ガラス
は、ＳｉＯ２−ＧｅＯ２−ＴｉＯ２−Ｎｂ２Ｏ５アルカ
リ金属酸化物系であるため、極めて高価なＧｅＯ２を含
有している。また、上記公報に記載の光学ガラスは、
Ｐ２Ｏ５−ＴｅＯ２−Ｎｂ２Ｏ５−アルカリ金属酸化物
系であり、人体に有害なＴｅＯ２を含有している。した
がって、両者とも近年の要望に応えるものではなかっ
た。 【０００５】また、このような問題点を解決するための
光学ガラスとしては、特開平８−１５７２３１号公報
において、高価なＧｅＯ２や有害なＰ２Ｏ５およびＴｅ
Ｏ２を含まないＰ２Ｏ５−Ｂ２Ｏ３−Ｎｂ２Ｏ５−アル
カリ金属酸化物系の光学ガラスが提案されている。 【０００６】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に記載の光学ガラスは、所期の目的はかなり達成さ
れてはいるものの、ガラス転移温度が４７３℃以上のも
のしか例示されておらず、成形温度が比較的高くなるた
め、型材の酸化や劣化等の問題が生じ易く、さらなる改
善が望まれている。 【０００７】したがって、本発明は、ＰｂＯやＴｅＯ２
といった人体に有害な成分やＧｅＯ ２といった高価な成
分を含まず、しかも４６０℃以下のガラス転移温度を有
する量産性に優れた高屈折率高分散性のプレス成形レン
ズ用光学ガラスを提供することを目的としている。 【０００８】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の量
産性に関する問題を解決するため、高屈折率高分散性の
プレス成形レンズ用光学ガラスのさらなる低融点化につ
いて鋭意研究を重ねた結果、プレス成形レンズ用光学ガ
ラスの組成において、低融点化に寄与するＬｉ、Ｎａ、
Ｋ等のアルカリ成分とＢｉ２Ｏ３成分の比率を高くする
と共に、Ｐ、Ｂ、Ａｌ等のガラス形成酸化物の比率も高
くし、これとは逆に、Ｎｂ、Ｔｉ、Ｗ等の高原子価成分
の比率を低くすることによって、高い屈折率と分散性を
維持しつつも低いガラス転移温度を有するプレス成形レ
ンズ用ガラスが得られることを見出した。 【０００９】よって、本発明のプレス成形レンズ用ガラ
スは、重量％で、Ｐ２Ｏ５：２１〜４７％、Ｂ２Ｏ３：
０〜１０％、Ａｌ２Ｏ３：０〜７％、Ｌｉ２Ｏ：０〜７
％、Ｎａ２Ｏ：３〜２３％、Ｋ２Ｏ：０〜１５％、Ｂａ
Ｏ：０〜２０％、ＺｎＯ：０〜１５％、Ｂｉ２Ｏ３：５
〜４０％、ＴｉＯ２：０〜２０％、Ｎｂ２Ｏ５：０〜４
２％、ＷＯ３：０〜２５％、Ｓｂ２Ｏ３：０〜１％、か
つＴｉＯ２＋Ｎｂ２Ｏ ５＋ＷＯ３：３〜５０％の組成を
有し、屈折率（ｎｄ）が１．５７以上１．８３未満、ア
ッベ数（νｄ）が２３〜４２、ガラス転移温度（Ｔｇ）
が４６０℃以下であることを特徴としている。 【００１０】以下、上記数値限定の根拠を本発明の作用
とともに説明する。なお、以下の説明において「％」は
重量％を意味する。 Ｐ２Ｏ５：２１〜４７％ Ｐ２Ｏ５は光学ガラスの骨格となる網目構造を形成する
ために必須の成分である。Ｐ２Ｏ５は、ＳｉＯ２やＧｅ
Ｏ２よりも光学ガラスを低融点化するのに有効な成分で
あるが、その含有量が２１重量％未満では屈折率が高く
なり過ぎる。一方、Ｐ２Ｏ５の含有量が４７％を超える
と、屈折率が低くなり過ぎる。よって、Ｐ２Ｏ５の含有
量は２１〜４７％とした。 【００１１】Ｂ２Ｏ３：０〜１０％ Ｂ２Ｏ３は任意成分であり、少量の添加で耐失透性を改
善する効果があるが、その含有量が１０％を超えると、
逆に耐失透性が悪化する。よって、Ｂ２Ｏ３の含有量は
０〜１０％とした。なお、失透とは、光学ガラスを高温
で保持したときに結晶化による非均質が生じ、透明性が
劣化することを言う。 【００１２】Ａｌ２Ｏ３：０〜７％ Ａｌ２Ｏ３は任意成分であるが、少量の添加で耐失透性
を改善する効果があるため、適宜添加することが好まし
い。しかしながら、その含有量が７％を超えると、逆に
耐失透性が悪化する。よって、Ａｌ２Ｏ３の含有量は０
〜７％とした。 【００１３】Ｎａ２Ｏ：３〜２３％ アルカリ金属成分はＰ２Ｏ５におけるＰおよびＯの結合
を分断して光学ガラスの低融点化を促進するため、光学
ガラスの低融点化に有効な成分であるばかりでなく、溶
融性や耐失透性を向上させる成分でもある。Ｎａ２Ｏの
含有量が３％未満であると、そのような効果が不充分と
なる。一方、Ｎａ２Ｏの含有量が２３％を超えると、失
透し易くなるばかりでなく、耐水性、耐酸性等の化学的
耐久性が劣化する。よって、Ｎａ２Ｏの含有量は３〜２
３％とした。 【００１４】Ｌｉ２Ｏ：０〜７％ Ｌｉ２Ｏは任意成分であり、これを適宜添加することに
よりＮａ２Ｏの作用を助長する。しかしながら、Ｌｉ２
Ｏの含有量が７％を超えると、失透し易くなるばかりで
なく、耐水性、耐酸性等の化学的耐久性が劣化する。よ
って、Ｌｉ２Ｏの含有量は０〜７％とした。 【００１５】Ｋ２Ｏ：０〜１５％ Ｋ２Ｏも任意成分であり、これを適宜添加することによ
りＮａ２Ｏの作用を助長する。しかしながら、Ｋ２Ｏの
含有量が１５％を超えると、失透し易くなるばかりでな
く、耐水性、耐酸性等の化学的耐久性が劣化する。よっ
て、Ｋ２Ｏの含有量は０〜１５％とした。 【００１６】ＢａＯ：０〜２０％ ＢａＯも任意成分であり、屈折率の調整や耐失透性改善
のために適宜添加される。しかしながら、ＢａＯの含有
量が２０％を超えると、所望の高分散特性が得られなく
なる。よって、ＢａＯの含有量は０〜２０％とした。 【００１７】ＺｎＯ：０〜１５％ ＺｎＯは任意成分であるが、屈折率の調整や耐失透性改
善のため、適宜添加することが好ましい。しかしなが
ら、ＺｎＯの含有量が１５％を超えると、耐失透性が劣
化する。よって、ＺｎＯの含有量は０〜１５％とした。 【００１８】Ｂｉ２Ｏ３：５〜４０％ Ｂｉ２Ｏ３は本発明の最も重要な成分であり、アルカリ
金属成分に起因する耐水性、耐酸性等の化学的耐久性の
低下を補償するとともに、それ自体にも光学ガラスの融
点を下げる効果があるばかりでなく、高屈折率高分散性
を得るために有効な成分である。Ｂｉ２Ｏ３の含有量が
５％未満であると、そのような効果が不充分となる。一
方、Ｂｉ２Ｏ３の含有量が４０％を超えると、耐失透性
が劣化する。よって、Ｂｉ２Ｏ３の含有量は５〜４０％
とした。 【００１９】ＴｉＯ２：０〜２０％ ＴｉＯ２は、高屈折率高分散性を得るばかりでなく、化
学的耐久性を良好にするために有効であるとともに、Ｂ
ｉ２Ｏ３と共存することで耐失透性を向上させる。Ｔｉ
Ｏ２の含有量が２０％を超えると耐失透性を劣化させ
る。よって、ＴｉＯ２の含有量は０〜２０％とした。 【００２０】Ｎｂ２Ｏ５：０〜４２％ Ｎｂ２Ｏ５は、高屈折率高分散性を得るばかりでなく、
化学的耐久性を良好にするために有効であるとともに、
Ｂｉ２Ｏ３と共存することで耐失透性を向上させる。Ｎ
ｂ２Ｏ５の含有量が４２％を超えると耐失透性を劣化さ
せる。よって、Ｎｂ２Ｏ５の含有量は０〜４２％とし
た。 【００２１】ＷＯ３：０〜２５％ ＷＯ５は、高屈折率高分散性を得るばかりでなく、化学
的耐久性を良好にするために有効であるとともに、Ｂｉ
２Ｏ３と共存することで耐失透性を向上させる。ＷＯ５
の含有量が２５％を超えると耐失透性を劣化させる。よ
って、ＷＯ５の含有量は０〜２５％とした。 【００２２】ＴｉＯ２＋Ｎｂ２Ｏ５＋ＷＯ３：３〜５０
％ 本発明においては、高屈折率高分散性、化学的耐久性お
よび耐失透性を良好にするために、上記のＴｉＯ２、Ｎ
ｂ２Ｏ５およびＷＯ３の含有量が合量で３％以上必要で
ある。一方、これらの含有量が合量で５０％を越えると
耐失透性を劣化させる。よって、ＴｉＯ２、Ｎｂ２Ｏ５
およびＷＯ３の含有量は合量で３〜５０％とした。 【００２３】Ｓｂ２Ｏ３：０〜１％ 一般に、Ｐ２Ｏ５ベースの光学ガラスの場合、Ｔｉイオ
ンやＮｂイオンがしばしば光学ガラス中で還元され易い
状態となり、光学ガラスが茶色〜紫色に着色される現象
が見られる。このような現象は、アルカリ金属成分の含
有率を比較的多くしたり、光学ガラス製造時の溶解雰囲
気を酸化性にすることで抑制することができる。しかし
ながら、前者の方法では耐水性、耐酸性等の化学的耐久
性が低下し、後者の方法では溶解が困難となる。 【００２４】本発明では、Ｓｂ２Ｏ３を含有することに
より、ＴｉイオンやＮｂイオンの還元に起因して生じた
着色を消色することができるとともに、脱泡剤としての
効果も得ることができる。Ｓｂ２Ｏ３の含有量は１％あ
れば十分であり、よって、０〜１％とした。 【００２５】本発明のプレス成形レンズ用光学ガラス
は、上記のような成分を含有することにより、屈折率
（ｎｄ）を１．５７以上１．８３未満以上、アッベ数
（νｄ）を２３〜４２、ガラス転移温度（Ｔｇ）を４６
０℃以下としたものであり、高屈折率高分散性の光学ガ
ラスを低温でプレス成形することができる。そして、人
体や環境に有害な成分や高価な成分を用いることなく、
そのような効果を得ることができるので、光通信やデジ
タルカメラ等に使用されるレンズやプリズムの材料とし
て極めて有望である。 【００２６】なお、本発明は、上記のような成分を含有
することにより、屈折率や分散性等の光学恒数を調整す
るとともに、耐溶融性を改善したものであるが、例えば
Ｃｓ ２Ｏ、ＳｒＯ、ＣａＯ、ＭｇＯ、Ｉｎ２Ｏ３、Ｇｄ
２Ｏ３、Ｔａ２Ｏ５、ＳｉＯ ２等を含有することができ
る。 【００２７】本発明のプレス成形レンズ用光学ガラス
は、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、メタ燐酸塩等
を使用し、それらを所定の組成になるように秤量し混合
した後、白金製のルツボを用いて電気炉で１０００〜１
２００℃の温度で溶解した後、それを予熱した金型に鋳
込み、徐冷することで製造することができる。 【００２８】 【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。表
１および２に示す成分組成の酸化物を配合し、白金製の
ルツボを用いて電気炉で１２００℃の温度で溶解した
後、それを予熱した金型に鋳込んでＮｏ．１〜１８の光
学ガラスを作製した。また、特開平８−１５７２３１の
実施例の中で最もＴｓ（屈伏温度）が低いＮｏ．２の組
成により光学ガラスを作製し、比較例とした。なお、表
１および２の成分組成は重量％で示したものである。 【００２９】このように作製した各実施例および比較例
の光学ガラスについて、屈折率（ｎｄ）、アッベ数（ν
ｄ）およびガラス転移温度（Ｔｇ）を測定し、それらの
値を表１および２に併記した。なお、ガラス転移温度
（Ｔｇ）は熱膨張計を用い５℃／ｍｉｎで昇温した場合
の測定値である。 【００３０】 【表１】 【００３１】 【表２】 【００３２】表１および２から判るように、本発明のプ
レス成形レンズ用光学ガラスでは、１．５９３０〜１．
８２５７の高い屈折率が得られるとともに、アッベ数を
２４．５〜４１．１の範囲に制御することができた。ま
た、ガラス転移温度が３３６〜４５７℃と低く、低温で
のプレス成形が可能であることが示された。これに対
し、比較例の光学ガラスは、屈折率が１．７４０６、ア
ッベ数が２６．５と高い値を示したものの、ガラス転移
温度が４７３℃と高く、量産性の観点からは問題を有す
るものであった。 【００３３】次に、作製した光学ガラスからガラスブロ
ックを作製し、これに切断、研削および研磨を施して所
定重量の研磨球を作製した。次いで、それら研磨球を使
ってレンズをプレス成型したところ、４１０〜５５０℃
でプレス成形が可能であった。その後、Ｎｏ．１〜１８
の光学ガラスのレンズの評価を行ったところ、全てレン
ズとして満足するものであった。 【００３４】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、重
量％で、Ｐ２Ｏ５：２１〜４７％、Ｂ ２Ｏ３：０〜１０
％、Ａｌ２Ｏ３：０〜７％、Ｌｉ２Ｏ：０〜７％、Ｎａ
２Ｏ：３〜２３％、Ｋ２Ｏ：０〜１５％、ＢａＯ：０〜
２０％、ＺｎＯ：０〜１５％、Ｂｉ２Ｏ３：５〜４０
％、ＴｉＯ２：０〜２０％、Ｎｂ２Ｏ５：０〜４２％、
ＷＯ３：０〜２５％、Ｓｂ２Ｏ３：０〜１％、かつＴｉ
Ｏ２＋Ｎｂ２Ｏ５＋ＷＯ３：３〜５０％の組成を有する
ことにより、ＰｂＯやＴｅＯ２といった人体に有害な成
分やＧｅＯ２といった高価な成分を含まず、しかも低融
点で量産性に優れた高屈折率高分散のプレス成形レンズ
用ガラスを提供することができる。
プレス加工が可能なプレス成形レンズ用光学ガラスに関
する。 【０００２】 【従来の技術】近年、高度情報通信システムとして光フ
ァイバを用いた光通信が広く利用されている。光通信の
キーパーツの一つとして、発光素子（ＬＤ）とファイバ
を結合するＬＤモジュールがあり、このＬＤモジュール
では、発光素子が出射する光を集光して効率良くファイ
バ内に入射させるために球面レンズや非球面レンズが使
用されている。それらのレンズは、焦点距離を短くする
必要があるため、高屈折率の光学ガラスが使用されるの
が通例である。また、デジタルカメラ用としても非球面
レンズやプリズムが多用されており、高屈折高分散領域
の精密プレス成形用光学ガラスが要望されている。さら
に、上記のようなレンズは、例えば光学ガラスを球状に
研磨し、これを加熱、軟化して精密プレス加工で所定の
形状に形成するため、プレス金型の寿命を考慮すると、
より低融点の光学ガラスが要望されている。 【０００３】高屈折高分散で低融点の光学ガラスとして
は、従来よりＳＦタイプと呼ばれているものがある。し
かしながら、この光学ガラスは、人体に有害なＰｂＯを
含有するばかりでなく、精密プレス成形時に金属鉛が製
品の表面に析出して金型を損傷するため好ましくない。
そのため、ＰｂＯを含まずしかも低融点のＳＦタイプ光
学ガラスが要望され、それに応えるものとして特開平
５−５１２３３号公報や特開平１０−３１６４４８号
公報に記載されたような光学ガラスが提案されている。 【０００４】ところが、上記公報に記載の光学ガラス
は、ＳｉＯ２−ＧｅＯ２−ＴｉＯ２−Ｎｂ２Ｏ５アルカ
リ金属酸化物系であるため、極めて高価なＧｅＯ２を含
有している。また、上記公報に記載の光学ガラスは、
Ｐ２Ｏ５−ＴｅＯ２−Ｎｂ２Ｏ５−アルカリ金属酸化物
系であり、人体に有害なＴｅＯ２を含有している。した
がって、両者とも近年の要望に応えるものではなかっ
た。 【０００５】また、このような問題点を解決するための
光学ガラスとしては、特開平８−１５７２３１号公報
において、高価なＧｅＯ２や有害なＰ２Ｏ５およびＴｅ
Ｏ２を含まないＰ２Ｏ５−Ｂ２Ｏ３−Ｎｂ２Ｏ５−アル
カリ金属酸化物系の光学ガラスが提案されている。 【０００６】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に記載の光学ガラスは、所期の目的はかなり達成さ
れてはいるものの、ガラス転移温度が４７３℃以上のも
のしか例示されておらず、成形温度が比較的高くなるた
め、型材の酸化や劣化等の問題が生じ易く、さらなる改
善が望まれている。 【０００７】したがって、本発明は、ＰｂＯやＴｅＯ２
といった人体に有害な成分やＧｅＯ ２といった高価な成
分を含まず、しかも４６０℃以下のガラス転移温度を有
する量産性に優れた高屈折率高分散性のプレス成形レン
ズ用光学ガラスを提供することを目的としている。 【０００８】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の量
産性に関する問題を解決するため、高屈折率高分散性の
プレス成形レンズ用光学ガラスのさらなる低融点化につ
いて鋭意研究を重ねた結果、プレス成形レンズ用光学ガ
ラスの組成において、低融点化に寄与するＬｉ、Ｎａ、
Ｋ等のアルカリ成分とＢｉ２Ｏ３成分の比率を高くする
と共に、Ｐ、Ｂ、Ａｌ等のガラス形成酸化物の比率も高
くし、これとは逆に、Ｎｂ、Ｔｉ、Ｗ等の高原子価成分
の比率を低くすることによって、高い屈折率と分散性を
維持しつつも低いガラス転移温度を有するプレス成形レ
ンズ用ガラスが得られることを見出した。 【０００９】よって、本発明のプレス成形レンズ用ガラ
スは、重量％で、Ｐ２Ｏ５：２１〜４７％、Ｂ２Ｏ３：
０〜１０％、Ａｌ２Ｏ３：０〜７％、Ｌｉ２Ｏ：０〜７
％、Ｎａ２Ｏ：３〜２３％、Ｋ２Ｏ：０〜１５％、Ｂａ
Ｏ：０〜２０％、ＺｎＯ：０〜１５％、Ｂｉ２Ｏ３：５
〜４０％、ＴｉＯ２：０〜２０％、Ｎｂ２Ｏ５：０〜４
２％、ＷＯ３：０〜２５％、Ｓｂ２Ｏ３：０〜１％、か
つＴｉＯ２＋Ｎｂ２Ｏ ５＋ＷＯ３：３〜５０％の組成を
有し、屈折率（ｎｄ）が１．５７以上１．８３未満、ア
ッベ数（νｄ）が２３〜４２、ガラス転移温度（Ｔｇ）
が４６０℃以下であることを特徴としている。 【００１０】以下、上記数値限定の根拠を本発明の作用
とともに説明する。なお、以下の説明において「％」は
重量％を意味する。 Ｐ２Ｏ５：２１〜４７％ Ｐ２Ｏ５は光学ガラスの骨格となる網目構造を形成する
ために必須の成分である。Ｐ２Ｏ５は、ＳｉＯ２やＧｅ
Ｏ２よりも光学ガラスを低融点化するのに有効な成分で
あるが、その含有量が２１重量％未満では屈折率が高く
なり過ぎる。一方、Ｐ２Ｏ５の含有量が４７％を超える
と、屈折率が低くなり過ぎる。よって、Ｐ２Ｏ５の含有
量は２１〜４７％とした。 【００１１】Ｂ２Ｏ３：０〜１０％ Ｂ２Ｏ３は任意成分であり、少量の添加で耐失透性を改
善する効果があるが、その含有量が１０％を超えると、
逆に耐失透性が悪化する。よって、Ｂ２Ｏ３の含有量は
０〜１０％とした。なお、失透とは、光学ガラスを高温
で保持したときに結晶化による非均質が生じ、透明性が
劣化することを言う。 【００１２】Ａｌ２Ｏ３：０〜７％ Ａｌ２Ｏ３は任意成分であるが、少量の添加で耐失透性
を改善する効果があるため、適宜添加することが好まし
い。しかしながら、その含有量が７％を超えると、逆に
耐失透性が悪化する。よって、Ａｌ２Ｏ３の含有量は０
〜７％とした。 【００１３】Ｎａ２Ｏ：３〜２３％ アルカリ金属成分はＰ２Ｏ５におけるＰおよびＯの結合
を分断して光学ガラスの低融点化を促進するため、光学
ガラスの低融点化に有効な成分であるばかりでなく、溶
融性や耐失透性を向上させる成分でもある。Ｎａ２Ｏの
含有量が３％未満であると、そのような効果が不充分と
なる。一方、Ｎａ２Ｏの含有量が２３％を超えると、失
透し易くなるばかりでなく、耐水性、耐酸性等の化学的
耐久性が劣化する。よって、Ｎａ２Ｏの含有量は３〜２
３％とした。 【００１４】Ｌｉ２Ｏ：０〜７％ Ｌｉ２Ｏは任意成分であり、これを適宜添加することに
よりＮａ２Ｏの作用を助長する。しかしながら、Ｌｉ２
Ｏの含有量が７％を超えると、失透し易くなるばかりで
なく、耐水性、耐酸性等の化学的耐久性が劣化する。よ
って、Ｌｉ２Ｏの含有量は０〜７％とした。 【００１５】Ｋ２Ｏ：０〜１５％ Ｋ２Ｏも任意成分であり、これを適宜添加することによ
りＮａ２Ｏの作用を助長する。しかしながら、Ｋ２Ｏの
含有量が１５％を超えると、失透し易くなるばかりでな
く、耐水性、耐酸性等の化学的耐久性が劣化する。よっ
て、Ｋ２Ｏの含有量は０〜１５％とした。 【００１６】ＢａＯ：０〜２０％ ＢａＯも任意成分であり、屈折率の調整や耐失透性改善
のために適宜添加される。しかしながら、ＢａＯの含有
量が２０％を超えると、所望の高分散特性が得られなく
なる。よって、ＢａＯの含有量は０〜２０％とした。 【００１７】ＺｎＯ：０〜１５％ ＺｎＯは任意成分であるが、屈折率の調整や耐失透性改
善のため、適宜添加することが好ましい。しかしなが
ら、ＺｎＯの含有量が１５％を超えると、耐失透性が劣
化する。よって、ＺｎＯの含有量は０〜１５％とした。 【００１８】Ｂｉ２Ｏ３：５〜４０％ Ｂｉ２Ｏ３は本発明の最も重要な成分であり、アルカリ
金属成分に起因する耐水性、耐酸性等の化学的耐久性の
低下を補償するとともに、それ自体にも光学ガラスの融
点を下げる効果があるばかりでなく、高屈折率高分散性
を得るために有効な成分である。Ｂｉ２Ｏ３の含有量が
５％未満であると、そのような効果が不充分となる。一
方、Ｂｉ２Ｏ３の含有量が４０％を超えると、耐失透性
が劣化する。よって、Ｂｉ２Ｏ３の含有量は５〜４０％
とした。 【００１９】ＴｉＯ２：０〜２０％ ＴｉＯ２は、高屈折率高分散性を得るばかりでなく、化
学的耐久性を良好にするために有効であるとともに、Ｂ
ｉ２Ｏ３と共存することで耐失透性を向上させる。Ｔｉ
Ｏ２の含有量が２０％を超えると耐失透性を劣化させ
る。よって、ＴｉＯ２の含有量は０〜２０％とした。 【００２０】Ｎｂ２Ｏ５：０〜４２％ Ｎｂ２Ｏ５は、高屈折率高分散性を得るばかりでなく、
化学的耐久性を良好にするために有効であるとともに、
Ｂｉ２Ｏ３と共存することで耐失透性を向上させる。Ｎ
ｂ２Ｏ５の含有量が４２％を超えると耐失透性を劣化さ
せる。よって、Ｎｂ２Ｏ５の含有量は０〜４２％とし
た。 【００２１】ＷＯ３：０〜２５％ ＷＯ５は、高屈折率高分散性を得るばかりでなく、化学
的耐久性を良好にするために有効であるとともに、Ｂｉ
２Ｏ３と共存することで耐失透性を向上させる。ＷＯ５
の含有量が２５％を超えると耐失透性を劣化させる。よ
って、ＷＯ５の含有量は０〜２５％とした。 【００２２】ＴｉＯ２＋Ｎｂ２Ｏ５＋ＷＯ３：３〜５０
％ 本発明においては、高屈折率高分散性、化学的耐久性お
よび耐失透性を良好にするために、上記のＴｉＯ２、Ｎ
ｂ２Ｏ５およびＷＯ３の含有量が合量で３％以上必要で
ある。一方、これらの含有量が合量で５０％を越えると
耐失透性を劣化させる。よって、ＴｉＯ２、Ｎｂ２Ｏ５
およびＷＯ３の含有量は合量で３〜５０％とした。 【００２３】Ｓｂ２Ｏ３：０〜１％ 一般に、Ｐ２Ｏ５ベースの光学ガラスの場合、Ｔｉイオ
ンやＮｂイオンがしばしば光学ガラス中で還元され易い
状態となり、光学ガラスが茶色〜紫色に着色される現象
が見られる。このような現象は、アルカリ金属成分の含
有率を比較的多くしたり、光学ガラス製造時の溶解雰囲
気を酸化性にすることで抑制することができる。しかし
ながら、前者の方法では耐水性、耐酸性等の化学的耐久
性が低下し、後者の方法では溶解が困難となる。 【００２４】本発明では、Ｓｂ２Ｏ３を含有することに
より、ＴｉイオンやＮｂイオンの還元に起因して生じた
着色を消色することができるとともに、脱泡剤としての
効果も得ることができる。Ｓｂ２Ｏ３の含有量は１％あ
れば十分であり、よって、０〜１％とした。 【００２５】本発明のプレス成形レンズ用光学ガラス
は、上記のような成分を含有することにより、屈折率
（ｎｄ）を１．５７以上１．８３未満以上、アッベ数
（νｄ）を２３〜４２、ガラス転移温度（Ｔｇ）を４６
０℃以下としたものであり、高屈折率高分散性の光学ガ
ラスを低温でプレス成形することができる。そして、人
体や環境に有害な成分や高価な成分を用いることなく、
そのような効果を得ることができるので、光通信やデジ
タルカメラ等に使用されるレンズやプリズムの材料とし
て極めて有望である。 【００２６】なお、本発明は、上記のような成分を含有
することにより、屈折率や分散性等の光学恒数を調整す
るとともに、耐溶融性を改善したものであるが、例えば
Ｃｓ ２Ｏ、ＳｒＯ、ＣａＯ、ＭｇＯ、Ｉｎ２Ｏ３、Ｇｄ
２Ｏ３、Ｔａ２Ｏ５、ＳｉＯ ２等を含有することができ
る。 【００２７】本発明のプレス成形レンズ用光学ガラス
は、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、メタ燐酸塩等
を使用し、それらを所定の組成になるように秤量し混合
した後、白金製のルツボを用いて電気炉で１０００〜１
２００℃の温度で溶解した後、それを予熱した金型に鋳
込み、徐冷することで製造することができる。 【００２８】 【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。表
１および２に示す成分組成の酸化物を配合し、白金製の
ルツボを用いて電気炉で１２００℃の温度で溶解した
後、それを予熱した金型に鋳込んでＮｏ．１〜１８の光
学ガラスを作製した。また、特開平８−１５７２３１の
実施例の中で最もＴｓ（屈伏温度）が低いＮｏ．２の組
成により光学ガラスを作製し、比較例とした。なお、表
１および２の成分組成は重量％で示したものである。 【００２９】このように作製した各実施例および比較例
の光学ガラスについて、屈折率（ｎｄ）、アッベ数（ν
ｄ）およびガラス転移温度（Ｔｇ）を測定し、それらの
値を表１および２に併記した。なお、ガラス転移温度
（Ｔｇ）は熱膨張計を用い５℃／ｍｉｎで昇温した場合
の測定値である。 【００３０】 【表１】 【００３１】 【表２】 【００３２】表１および２から判るように、本発明のプ
レス成形レンズ用光学ガラスでは、１．５９３０〜１．
８２５７の高い屈折率が得られるとともに、アッベ数を
２４．５〜４１．１の範囲に制御することができた。ま
た、ガラス転移温度が３３６〜４５７℃と低く、低温で
のプレス成形が可能であることが示された。これに対
し、比較例の光学ガラスは、屈折率が１．７４０６、ア
ッベ数が２６．５と高い値を示したものの、ガラス転移
温度が４７３℃と高く、量産性の観点からは問題を有す
るものであった。 【００３３】次に、作製した光学ガラスからガラスブロ
ックを作製し、これに切断、研削および研磨を施して所
定重量の研磨球を作製した。次いで、それら研磨球を使
ってレンズをプレス成型したところ、４１０〜５５０℃
でプレス成形が可能であった。その後、Ｎｏ．１〜１８
の光学ガラスのレンズの評価を行ったところ、全てレン
ズとして満足するものであった。 【００３４】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、重
量％で、Ｐ２Ｏ５：２１〜４７％、Ｂ ２Ｏ３：０〜１０
％、Ａｌ２Ｏ３：０〜７％、Ｌｉ２Ｏ：０〜７％、Ｎａ
２Ｏ：３〜２３％、Ｋ２Ｏ：０〜１５％、ＢａＯ：０〜
２０％、ＺｎＯ：０〜１５％、Ｂｉ２Ｏ３：５〜４０
％、ＴｉＯ２：０〜２０％、Ｎｂ２Ｏ５：０〜４２％、
ＷＯ３：０〜２５％、Ｓｂ２Ｏ３：０〜１％、かつＴｉ
Ｏ２＋Ｎｂ２Ｏ５＋ＷＯ３：３〜５０％の組成を有する
ことにより、ＰｂＯやＴｅＯ２といった人体に有害な成
分やＧｅＯ２といった高価な成分を含まず、しかも低融
点で量産性に優れた高屈折率高分散のプレス成形レンズ
用ガラスを提供することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 早川 将之
茨城県那珂郡大宮町東野字泉4112 水戸富
士光機株式会社内
Ｆターム(参考） 4G062 AA04 BB09 DA01 DB01 DB02
DB03 DC01 DC02 DC03 DD04
DD05 DE01 DE02 DE03 DE04
DF01 EA01 EA02 EA03 EB03
EB04 EC01 EC02 EC03 EC04
ED01 EE01 EF01 EG01 EG02
EG03 EG04 FA01 FA10 FB01
FB02 FB03 FB04 FC01 FD01
FE01 FF01 FG01 FG02 FG03
FG04 FG05 FH01 FJ01 FK01
FL01 GA03 GA04 GA05 GB01
GC01 GD01 GE01 HH01 HH03
HH05 HH07 HH08 HH09 HH11
HH13 HH15 HH17 HH20 JJ01
JJ03 JJ04 JJ05 JJ07 JJ10
KK01 KK03 KK05 KK07 KK10
MM02 NN01 NN32
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項１】 重量％で、Ｐ２Ｏ５：２１〜４７％、Ｂ
２Ｏ３：０〜１０％、Ａｌ２Ｏ３：０〜７％、Ｌｉ
２Ｏ：０〜７％、Ｎａ２Ｏ：３〜２３％、Ｋ２Ｏ：０〜
１５％、ＢａＯ：０〜２０％、ＺｎＯ：０〜１５％、Ｂ
ｉ２Ｏ３：５〜４０％、ＴｉＯ２：０〜２０％、Ｎｂ２
Ｏ５：０〜４２％、ＷＯ３：０〜２５％、Ｓｂ２Ｏ３：
０〜１％、かつＴｉＯ２＋Ｎｂ２Ｏ５＋ＷＯ３：３〜５
０％の組成を有し、屈折率（ｎｄ）が１．５７以上１．
８３未満、アッベ数（νｄ）が２３〜４２、ガラス転移
温度（Ｔｇ）が４６０℃以下であることを特徴とするプ
レス成形レンズ用光学ガラス。
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