JP2003238139A - シリコンの精製方法およびその精製装置 - Google Patents

シリコンの精製方法およびその精製装置

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JP2003238139A
JP2003238139A JP2002043574A JP2002043574A JP2003238139A JP 2003238139 A JP2003238139 A JP 2003238139A JP 2002043574 A JP2002043574 A JP 2002043574A JP 2002043574 A JP2002043574 A JP 2002043574A JP 2003238139 A JP2003238139 A JP 2003238139A
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molten silicon
molten
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Kenji Wada
健司 和田
Toshiaki Fukuyama
稔章 福山
Hisashi Hayakawa
尚志 早川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボロンや炭素などの不純物を含有するシリコ
ンを効率よく、安価に精製し、太陽電池用の純度6−n
ine程度のシリコンを得る方法および装置を提供す
る。 【解決手段】 本発明のシリコンの精製方法は、溶融シ
リコンから不純物を除去するシリコンの精製方法であっ
て、溶融シリコンを保持する複数の容器を精製装置の処
理室内に配置する工程と、溶融シリコンの表面に酸化性
ガスを導入する工程と、を含むことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコンの精製方
法およびその精製装置に関する。特に、太陽電池用シリ
コンの効率的で安価な精製方法およびそのための精製装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄、アルミニウム、銅、シリコンなどの
金属元素は、一般的には単体で自然界に存在することは
非常に稀であり、大部分が酸化物などの化合物として存
在する。そのため、構造材料、導電性材料または半導体
材料として使用する場合には、通常、酸化物などを還元
して金属元素単体とする必要がある。
【0003】また、酸化物などを還元するのみでは、所
望する金属元素以外の不純物量が適切でないことが多
く、通常は不純物を低減して使用する。このような不純
物の低減を精製という。精製は、母体である金属元素ま
たは不純物の物理化学的特性に応じて、適切な手法を施
すことにより行なう。
【0004】構造用材料として最も一般的に用いる鉄鋼
材料の場合、じん性を著しく損なう不純物であるリン、
硫黄などの低減は、高炉内で銑鉄にスラグと呼ばれる溶
融酸化物を接触させて、スラグ中にそれらの不純物を取
り込むことにより行なう。また、鉄鋼材料の機械強度を
基本的に決定する不純物である炭素は、溶鋼中に酸素ガ
スを吹き込み、溶鋼中の炭素を酸化し、二酸化炭素ガス
として排出することにより低減する。
【0005】導電材料として一般的である銅の場合、平
衡状態における固体金属中での不純物濃度と溶融金属中
での不純物濃度との比、すなわち、不純物の偏析係数が
一般的に小さいことを利用し、平衡状態に近くなるよう
な遅い速度で凝固させることにより、固体銅中の不純物
濃度を低減する、いわゆる一方向凝固法により高純度化
を行ない、低い電気抵抗値を有する電線材料とする。
【0006】半導体材料として最も一般的に用いるシリ
コンは、珪石を還元して得られる純度98%以上の金属
シリコンを、シラン(SiH4)あるいはトリクロルシ
ラン(SiHCl3)といったガスに変換し、さらにそ
れらのガスをベルジャー炉内で水素還元することによ
り、純度11−nineの多結晶シリコンを得る。得ら
れた多結晶シリコンを単結晶成長させると、LSIなど
の電子デバイス向けに使用するシリコンウェハを得るこ
とができる。したがって、電子デバイス向けに使用する
シリコンウェハは非常に複雑で厳密な製造工程の管理を
必要とするため、製造コストは必然的に高くならざるを
得ない。
【0007】一方、化石燃料資源の枯渇や地球温暖化と
いったエネルギーや環境問題に関する意識の高まりか
ら、太陽電池は近年急速に需要が伸びているが、太陽電
池用原料としてのシリコンの場合、要求される純度は6
−nine程度であり、これまでは電子デバイス用シリ
コンの規格外品が、太陽電池用原料として使用されてき
たが、純度の観点からすれば太陽電池用原料としては過
剰な品質である。また、これまでは電子デバイス用規格
外品の発生量が、太陽電池用原料の需要に勝っていた
が、近い将来、太陽電池用原料の需要が電子デバイス用
規格外品の発生量を上回るのは確実視されており、太陽
電池用原料としてのシリコンの安価な製造技術の確立が
強く求められている。その手段として、先述した純度9
8%程度の金属シリコンを酸化還元反応や凝固偏析を利
用した冶金学的手法により精製する手法が、近年注目さ
れている。
【0008】太陽電池用原料としてのシリコン中の不純
物のうち、その含有量を最も厳格に制御する必要がある
のは、シリコンの導電型を決定する元素であり、代表的
なものとしてはリンおよびボロンである。ところが、こ
れらの元素の偏析係数はそれぞれ0.35、0.8と非
常に大きいため、一方向凝固法に代表される凝固偏析を
利用した精製方法ではほとんど効果がない。
【0009】リンに関しては、特許第2905353号
公報に、リンの蒸気圧が高いという特性を利用して、溶
融シリコンを減圧下で保持することにより、リンを気相
中に放出する方法が紹介されている。
【0010】ボロンに関しては、特許第3205352
号公報に、アルゴンまたはアルゴンに水素を添加したガ
スに水蒸気ガス、さらにはシリカ粉末を混合し、そのガ
スのプラズマを溶融シリコン表面に照射する方法が紹介
されている。また、米国特許5972107号明細書に
は、水素と酸素を燃焼させ、シリカ粉末を投入するトー
チを溶融シリコンに浸漬する方法が紹介されている。こ
れらはいずれも原理としては、酸化反応によりボロンを
酸化物の形態とし、溶融シリコンから除去するものであ
るが、反応部位が局所的なものとなってしまうために、
得られるスループットに制限があり、また、精製装置も
高額となる。
【0011】特開2001−58811公報には、撹拌
機やローレンツ力により溶融シリコンを撹拌し、水蒸気
を含有するアルゴンなどの酸性ガスを導入することによ
り、ボロンを酸化物に変えて、溶融シリコンから除去す
る方法が紹介されている。この方法によると、装置が簡
便であるため装置コストの低減を図ることができるが、
反応速度が飛躍的に向上した方法ではなく、未だ商業化
への見通しは立っていない。
【0012】特許第2851257号公報には、溶融シ
リコン中にCaOおよびSiO2を主成分とするスラグ
を連続的に投入することにより、ボロンを酸化し、溶融
シリコンから除去する方法が紹介されている。しかし、
溶融シリコン中のボロン量に対するスラグ中に取り込ま
れるボロン量の比、すなわち、ボロンの分配係数が2〜
3程度であるため、ボロンを10ppm〜50ppm程
度含有している金属シリコンを原料とする場合、ボロン
濃度を太陽電池用シリコンに要求される0.3ppm程
度とするには、シリコン量の数倍ものスラグを必要と
し、商業化は困難である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ボロンや炭
素などの不純物を含有するシリコンを効率よく、安価に
精製し、太陽電池用の純度6−nine程度のシリコン
を得る方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明のシリコンの精製
方法は、溶融シリコンから不純物を除去するシリコンの
精製方法であって、溶融シリコンを保持する複数の容器
を精製装置の処理室内に配置する工程と、溶融シリコン
の表面に酸化性ガスを導入する工程と、を含むことを特
徴とする。
【0015】精製に際しては、溶融シリコンを保持する
複数の容器を、処理室内で移動することが好ましい。
【0016】本発明のシリコンのもう1つの精製方法
は、溶融シリコンから不純物を除去するシリコンの精製
方法であって、溶融シリコンを精製装置の処理室内の通
路に流動する工程と、溶融シリコンの表面に酸化性ガス
を導入する工程と、を含むことを特徴とする。
【0017】精製に使用する酸化性ガスは、水蒸気を含
むものが好ましい。また、溶融シリコンの表面に酸化性
ガスを導入する工程においては、溶融シリコンを撹拌す
ることが好ましく、撹拌は、溶融シリコン中にガスを導
入することにより行なう態様や、回転軸と、回転軸の下
方に固定状に付設され、撹拌用突起を有する回転体と、
からなる撹拌機により行なう態様が好ましい。この撹拌
機は、回転軸が、内部に軸方向に伸びるガス通路を有
し、回転体は、ガス通路に連結するガス噴出口を有する
ものが好ましい。
【0018】溶融シリコンにはスラグを添加することが
好ましく、不純物としては、ボロンおよび炭素の少なく
とも一つを含むものが好ましい。
【0019】本発明のシリコンの精製装置は、上述のい
ずれかの精製方法を実施することを特徴とする。この精
製装置は、ガスの導入部のうち少なくとも一つが、昇降
機構を有するものが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明のシリコンの精製方法は、
溶融シリコンを保持する複数の容器を処理室内に配置
し、溶融シリコンの表面に酸化性ガスを導入することを
特徴とする。
【0021】溶融シリコン中のボロン濃度を低減する方
法として、ガス導入部を溶融シリコン中に浸漬して、水
蒸気を含有する酸化性ガスを溶融シリコン中に導入する
方法と、ガス導入部を溶融シリコンの表面の直上に設置
し、水蒸気を含有する酸化性ガスを溶融シリコンの表面
に導入する方法とを比較検討した。その結果、溶融シリ
コン量を少なくするにつれて、ガス導入部を溶融シリコ
ンの表面の直上に設置し、酸化性ガスを溶融シリコンの
表面に導入する方法が、シリコンの精製方法としてより
有効であることを見出した。
【0022】文献(H.C.Theurer, Journal of Metal,
p.1316, 1956)によれば、水蒸気を含有する酸化性ガス
との反応による溶融シリコン中のボロン濃度の時間的変
化は、つぎの式で表される。
【0023】ln(B/Bo)=−Kt=−k(A/
V)p1/2t t:時間 B:時間tにおけるボロン濃度 Bo:処理開始前のボロン濃度 K:総括反応速度係数 k:溶融シリコン中のボロンの物質移動係数 A:反応面積 V:溶融シリコン体積 p:水蒸気圧力 したがって、溶融シリコン量Vを少なくすることによ
り、ボロン濃度低減効果の指標となる総括反応速度係数
Kを大きくすることができるが、発明者らが見出した効
果は、溶融シリコン量Vの変化による寄与分を上回るも
のであった。発明者らは効果が発現する原理について詳
細な検討を行ない、以下に示す結論に至った。酸化性ガ
スの導入方法として、溶融シリコンの中に酸化性ガスを
導入する方法では、酸化性ガスが溶融シリコンの中に導
入されてから溶融シリコンの表面から離脱するまでの間
に、酸化性ガスがシリコンやボロンとの反応により消費
され、酸化剤としての機能が弱まるため、反応速度が低
下し、シリコンの精製能力が低い。一方、溶融シリコン
の表面に酸化性ガスを導入する方法では、酸化性ガスが
シリコンやボロンとの反応により消費されても、所定の
比率となっている酸化性ガスが速やかに溶融シリコンの
表面に供給されるので、酸化剤としての機能を定常的に
高く維持でき、反応速度が低下せず、シリコンを精製す
る能力が高い。溶融シリコン量を少なくすることによる
スループットの低下は、溶融シリコンを保持する容器を
複数個とし、これら複数の容器を精製装置の処理室内に
配置して反応させる方法により解消できる。または、精
製に際して、溶融シリコンを精製装置の処理室内の通路
を流動させ、溶融シリコンの深さを調整する方法により
解消できる。
【0024】溶融シリコンの表面に酸化性ガスを導入す
る精製方法の優位性は、酸化反応の促進に基づくもので
あるから、除去される不純物元素はボロンに限定される
ものではなく、たとえば、炭素も有意に除去することが
できる。
【0025】本発明のシリコンの精製方法を実施する精
製装置の一つの実施態様を図1に示す。この精製装置
は、処理室11、溶融シリコンを保持する容器12、容
器台13、第1ガス導入部14、第2ガス導入部15、
昇降機構16、ガス排気部17、装入口18とからな
る。
【0026】処理室11は、加熱機構(図示していな
い。)を有し、内部が所望の処理温度となるように制御
される。処理温度は、たとえば、1450〜1600℃
である。溶融炉(図示していない。)で溶融したシリコ
ンは、容器台13上に配置した複数の容器12に適宜、
小分けされる。容器12の材質としては、黒鉛、石英、
アルミナまたはシリコンの炭化物もしくは窒化物があ
り、石英、アルミナまたはシリコンの炭化物もしくは窒
化物からなるものが溶融シリコンや水蒸気と反応しにく
く、不純物除去の効率が低下しない点で好ましい。容器
12は、操業上問題が生じない範囲で、形状を横方向に
広くする方が好ましい。そうすることで、溶融シリコン
の体積に対する溶融シリコン表面の面積の比率が大きく
なり、脱ボロン処理効率が向上する。容器12は容器台
13に乗せて、処理室11内で移動可能であり、処理室
11の内外を移動することもできる。
【0027】シリコンの精製をするときは、処理室11
に設けられる装入口18を開放し、容器台13を移動さ
せて、容器台13上の複数の容器12を処理室11の内
部へ装入した後、装入口18を閉鎖する。一旦、ガス排
気部17から処理室11内部を真空排気した後、ガス排
気部17を閉鎖し、第2ガス導入部15から、処理室1
1内部に雰囲気ガスを導入する。雰囲気ガスは、アルゴ
ンなどの不活性ガスまたは窒素が好ましい。処理室11
内部の圧力が1気圧に達すると、ガス排気部17を開放
する。精製処理中は処理室11内部の圧力はおよそ1気
圧に保たれ、ガス導入量に対応した量の排ガスがガス排
気部17を通じて、処理室11外へ排出される。
【0028】第1ガス導入部14は、各々の容器12に
対応するように配置されるが、第1ガス導入部14の数
は、容器12の全数より多く設計することもできる。第
1ガス導入部14の少なくとも一つは、昇降機構16を
有するものが好ましい。第1ガス導入部14が昇降機構
16を有すると、精製に際して、第1ガス導入部14を
溶融シリコンに浸漬するように設定し、または、溶融シ
リコンの表面の直上に設定するなど、任意の位置に第1
ガス導入部14を設定することができる。さらに、容器
12の移動に支障がないようにすることができる。昇降
機構16の駆動方法は、公知のものを使用できる。第1
ガス導入部14の材質としては、黒鉛、石英、アルミナ
またはシリコンの炭化物もしくは窒化物などがあるが、
石英、アルミナまたはシリコンの炭化物もしくは窒化物
からなるものが、溶融シリコンや水蒸気と反応しにく
く、不純物除去の効率が低下しない点で好ましい。
【0029】第1ガス導入部14から、酸化性ガスを導
入する。酸化性ガスは、加湿装置(図示していない。)
により所望の比率の水蒸気を含めたアルゴンガスが好ま
しい。酸化性ガスは、このような水蒸気含有ガスに限ら
れるものではなく、酸素あるいは一酸化炭素などを含む
ガス、さらには広義の酸化まで考えると、ハロゲンガス
を使用することもできる。しかしながら、ガスのコスト
が低く、ガス自体および反応生成物の毒性や爆発などの
危険性が小さいなど、取扱いが簡便であることから、水
蒸気を含有するガスが好ましい。
【0030】溶融シリコンと酸化性ガスとが接触する
と、溶融シリコンの酸化反応とともに、溶融シリコン中
に溶融しているボロンなどの酸化反応も起こり、BOや
23といったボロン酸化物となる。また、酸化性ガス
として水蒸気を使用すると、HBOあるいはHBO2
いった化合物となる可能性もある。それらのボロン化合
物が溶融シリコンから離脱することで、溶融シリコン中
のボロン濃度を低減される。
【0031】第2ガス導入部15から酸化性ガスを導入
しても、溶融シリコン中のボロン濃度を低減できる点で
好ましい。この場合、第1ガス導入部14の下方を溶融
シリコン中に浸漬する態様が好ましい。第1ガス導入部
14の下方を溶融シリコン中に浸漬し、溶融シリコン中
にガスを導入することにより溶融シリコンを撹拌し、脱
ボロンの処理効率を向上することができる。第1ガス導
入部14の下方を溶融シリコン中に浸漬し、溶融シリコ
ン中にガスを導入することの意義は、溶融シリコンの撹
拌にあるため、第1ガス導入部14から導入するガス
は、必ずしも酸化性ガスとする必要はなく、たとえば、
アルゴンなどの不活性ガスのみとしてもよい。
【0032】酸化性ガスの導入を開始する時期は任意に
決定できるが、第1ガス導入部14の下方を溶融シリコ
ン中に浸漬する場合は、第1ガス導入部14の詰まり、
溶融シリコンの急激な吹き上がりなどを防止するため、
浸漬する前に酸化性ガスの導入を開始することが好まし
い。第2ガス導入部15の少なくとも一つは、昇降機構
(図示していない。)を有するものが好ましく、また、
その材質は、第1ガス導入部14と同様である。
【0033】所定の時間が経過すると、第1ガス導入部
14を、場合により第2ガス導入部15も、溶融シリコ
ンの表面から十分離れた位置まで上昇させて、酸化性ガ
スの導入を停止する。一旦、ガス排気部17から処理室
11内部を真空排気した後、ガス排気部17を閉鎖し、
第2ガス導入部15から、処理室11内部に雰囲気ガス
を導入し、装入口18を開放する。容器台13を移動さ
せて容器12を処理室11の外部へ取り出した後、装入
口18を閉鎖し、溶融シリコン中のボロン濃度を低減す
る処理が完了する。容器一つあたりの溶融シリコン量を
少なくすることで、ボロン濃度低減速度を大きくでき
る。また、精製装置の処理室内に、溶融シリコンの容器
を複数個配置することで、多量の溶融シリコンを精製で
きる。
【0034】第1ガス導入部は、鉄鋼などの金属の精錬
工程で通常、用いられる直管状のものを使用することが
できるが、撹拌用の突起を有する回転体と回転軸からな
る態様のものも撹拌機能が大きい点で好ましい。回転体
と回転軸とからなる場合、第1ガス導入部にはベルト駆
動など公知の方法による回転機構および摺動による損傷
を防止するためのシール機構が施される。
【0035】第1ガス導入部を溶融シリコンの表面の直
上に設置する場合に、第1ガス導入部として直管状のも
のを使用するときは、溶融シリコンの表面に酸化性ガス
を吹き付けることにより溶融シリコンを撹拌する態様が
好ましい。このような処理により常に新しい酸化性ガス
を供給するとともに、ボロン酸化物などの反応生成物を
排除するため、シリコンの精製を促進することができ
る。また、第1ガス導入部として撹拌用の突起を有する
回転体と回転軸からなる態様のものを使用すると、溶融
シリコンの表面上で酸化性ガスをより均一に分散するこ
とができ、酸化シリコンやボロン化合物などの反応生成
物を速やかに溶融シリコン表面から除去できる点で好ま
しい。回転体と回転軸とからなる第1ガス導入部の実施
態様を図4に示す。この例では、回転軸44の下方に回
転体45が付設され、回転体45は撹拌用の突起45a
を有する。ガス噴出し口45bは、溶融シリコン表面に
酸化性ガスを効率よく吹き付けることができる点で、回
転体の底部に設ける態様が好ましい。
【0036】溶融シリコンの表面に酸化性ガスを導入す
る際に、溶融シリコンを撹拌しておくと、不純物濃度の
高い溶融シリコンを、酸化性ガスを供給している溶融シ
リコンの表面に移動させて不純物の低減効果を高めるこ
とができる点で好ましい。
【0037】溶融シリコンを撹拌する態様としては、溶
融シリコン中にガスを導入し、バブリングにより撹拌す
る態様が、簡易に撹拌できる点で好ましい。また、撹拌
機による撹拌は、より均一な撹拌ができる点で好まし
い。撹拌機は、回転体と回転軸からなり、回転体は、回
転軸の下方に固定状に付設され、撹拌用の突起を有する
態様のものが、均一で効率的な撹拌ができる点で好まし
い。
【0038】第1ガス導入部の下方を溶融シリコンに浸
漬する場合に、第1ガス導入部として直管状のものを使
用すると、溶融シリコンの中にガスを吹き込み、バブリ
ングにより、溶融シリコンを撹拌し、シリコンの精製を
促進することができる点で好ましい。回転体と回転軸と
からなる撹拌機を、ガス導入部とは別個に設ける態様も
有効であるが、たとえば、第1ガス導入部の構造を工夫
し、第1ガス導入部にガス導入機能のほかに撹拌機能も
持たせることもまた有効である。この場合、回転軸の内
部に軸方向に伸びるガス通路を設け、そのガス通路に連
結するガス噴出口を回転体に設ける態様が、構造が簡単
であり、均一な撹拌効果を奏する点で好ましい。第1ガ
ス導入部が、ガス導入機能のほかに撹拌機能も有する実
施態様を図5に示す。この例では、回転軸54の下方に
回転体55が付設され、回転体55は撹拌用の突起55
aを有する。ガス噴出し口55bは、溶融シリコンの撹
拌効果を高める点で、回転体の側面に設けてある。
【0039】溶融シリコンにスラグを添加すると、ボロ
ンとの反応性が増大する点で好ましい。スラグとして
は、酸化シリコン(SiO2)を主たる成分とすること
が好ましい。たとえば、酸化ケイ素(SiO2)と酸化
カルシウム(CaO)との混合物を用いると、シリコン
の融点1414℃よりわずかに高い1436℃以上で溶
融状態となり、溶融シリコンとスラグとを効率よく撹拌
できる。
【0040】本発明のシリコンの精製方法を実施する精
製装置の別の実施態様を図2に示す。この精製装置は、
処理室21、溶融シリコンを保持する容器22、容器台
23、第1ガス導入部24、第2ガス導入部25、昇降
機構26、装入口28、取出口29とからなる。図1で
示した精製装置と異なる点は、取出口29を装入口28
とは別に設け、容器台23が装入口28から取出口29
に至るまで処理室21の内部を移動する点にある。実質
的に連続した精製を可能にするため、溶融シリコンを保
持する複数の容器を精製装置の処理室内で移動すること
が好ましい。
【0041】処理室21内にある容器22中の溶融シリ
コンの表面に所定の時間だけ酸化性ガスを接触させた
後、第1ガス導入部24を容器22の十分上方まで上昇
させる。つぎに、容器台23を取出口29方向へ移動さ
せ、別の第1ガス導入部24の下方に容器22を配置す
る。そして再度、第1ガス導入部24を所定の位置まで
下降させる。装入口28および取出口29は、第1ガス
導入部24の上昇が完了してから開放され、最も取出口
29に近い第1ガス導入部24の下方にある容器台22
が、取出口29が十分に開放されてから処理室21の外
部へ移動し、この容器内の溶融シリコンの精製は終了す
る。一方、続いて精製処理を行なう容器221を載せた
容器台231が装入口28の直前で待機しており、装入
口28が十分に開放されてから処理室21の内部へ移動
する。容器台231の移動が完了してから、装入口28
が閉鎖する。以下、上記工程を繰り返す。全ての容器台
23、231、232が同時に移動する必要はなく、互
いに独立に移動してもよい。
【0042】本発明のシリコンの精製方法を実施する精
製装置の別の実施態様を図3に示す。この精製装置は、
処理室31、通路32、通路台33、第1ガス導入部3
4、第2ガス導入部35、昇降機構36、装入口38、
スリット381、取出口39からなる。図1および図2
で示した装置と異なる点は、複数の容器の代わりに、装
入口38から取出口39に至るまで処理室31の内部を
貫通する通路32が設けられる点である。
【0043】溶融炉(図示していない。)で製造された
溶融シリコンが、処理室31の内部の通路32と連通す
る装入口38へ装入され、処理室31の内部へ流入す
る。処理室31の装入口38側には、高さが可変のスリ
ット381を有し、溶融シリコンの装入速度とスリット
381の高さにより、装入された溶融シリコンが取り出
されるまでに要する時間や処理量が決定される。装入さ
れる溶融シリコンが処理室31の内部の通路32中を通
る間に、その表面に酸化性ガスが接触することで精製を
行なう。精製後の溶融シリコンは、処理室31の内部の
通路32と連通する取出口39から流出する。かかる操
作により、溶融シリコンを実質的に連続して精製するこ
とができる。
【0044】操業上の問題が生じない範囲で、溶融シリ
コンの通路32の幅を広くする態様が好ましい。通路3
2の幅を広くすることにより、溶融シリコンの容積に対
する溶融シリコンの表面積の比率が大きくなり、脱ボロ
ン処理効率が向上する。
【0045】装入口38から取出口39まで連通してい
る通路32を溶融シリコンが流れるので、第1ガス導入
部34を昇降することなく、通路32に昇降機構を設け
る態様も可能である。また、第1ガス導入部34の高さ
を予め調整し、通路32に傾斜を設けておけば、昇降機
構を特に設けない態様も可能である。また、第2ガス導
入部35から酸化性ガスを導入する場合は、第1ガス導
入部34は必ずしも溶融シリコン表面の直上に設ける必
要はなく、たとえば、通路32の底部を貫通するように
設け、溶融シリコンを撹拌する態様も好ましい。
【0046】実施例1 純度11−nineの半導体向けシリコンと、ボロンを
65ppm含有したスクラップシリコンを、8:1(質
量比)で混合することにより、ボロンを7ppm含有す
るシリコンを得、これを原料シリコンとした。
【0047】図1に示す精製装置において、各々の第1
ガス導入部14は、内径2cmの直管1本で構成され、
合計9本の直管を3行×3列に均等に配置した。容器台
13上に、内径40cmの円筒形をした9個の黒鉛製容
器12を、第1ガス導入部14の配置に対応するように
3行×3列に配置した。
【0048】溶融炉で原料シリコン450kgを溶融し
ておき、うち405kgを容器12の一つ当たり45k
gづつ小分けして装入した。溶融シリコンの深さは15
cmであった。また、容器12に装入する前の溶融シリ
コン中のボロン濃度は7.4ppmであった。ボロン濃
度は、ICP発光分析法により測定した。
【0049】内部温度を1550℃に保持した処理室1
1の装入口18を開放し、溶融シリコンが装入された容
器12を載せた容器台13を処理室11の内部へ装入し
た。装入口18を閉鎖して、ガス排気部17から処理室
11の内部を真空排気した後、第2ガス導入口15から
800リットル/分のアルゴンガスを導入して、処理室
11内部の圧力をおよそ1気圧にした。
【0050】酸化性ガスとして水蒸気を30%含有する
アルゴンガスを、第1ガス導入部14の直管1本あたり
100リットル/分で導入した。そして、昇降機構16
により、第1ガス導入部14である直管の先端が溶融シ
リコン表面から1cm上に位置するようにした。溶融シ
リコン表面は激しく波立った。酸化性ガスは5時間導入
した。
【0051】その後、酸化性ガスの導入を停止し、容器
12の移動を妨げないように、昇降機構16により、第
1ガス導入部14を十分上方へ引き上げた。ガス排気部
17から処理室11の内部を真空排気した後、第2ガス
導入口15から800リットル/分のアルゴンガスを導
入し、処理室11の内部の圧力をおよそ1気圧にした。
装入口18を開放し、容器台13を処理室11の外部へ
取り出し、装入口18を閉鎖した。
【0052】処理室11から取り出した9個の容器12
中のボロン濃度をICP発光分析法により測定した結
果、平均0.4ppm、最大0.5ppm、最小0.3
ppmであった。
【0053】比較例1 昇降機構により、第1ガス導入部14である直管の先端
が溶融シリコン表面から13cm下に位置するようにし
た以外は、実施例1と同様の処理を行なった。容器12
に装入する前の溶融シリコン中のボロン濃度は7.8p
pmであったのに対して、処理室11から取り出された
9個の容器12中のボロン濃度は、平均1.3ppm、
最大1.4ppm、最小1.2ppmであった。
【0054】実施例2 容器12の一つ当たりの溶融シリコン量を20kgと
し、酸化性ガスとして水蒸気を30%含有するアルゴン
ガスを、第1ガス導入部1つあたり50リットル/分と
なるように導入する以外は、実施例1と同様の処理を行
なった。処理前の溶融シリコン深さは7cmであった。
容器12に装入する前の溶融シリコン中のボロン濃度は
7.6ppmであったのに対して、処理室11から取り
出された9個の容器12中のボロン濃度は、平均0.3
ppm、最大0.3ppm、最小0.2ppmであっ
た。
【0055】実施例3 図1に示す精製装置において、容器台13上に、内径4
0cmの円筒形をした9個の黒鉛製容器12を、3行×
3列に均等に配置した。溶融炉で、実施例1と同様の原
料シリコン450kgを溶融しておき、うち405kg
分を容器12の一つ当たり45kgづつ小分けし装入し
た。溶融シリコン深さは15cmであった。容器12に
装入する前の溶融シリコン中のボロン濃度は7.6pp
mであった。
【0056】内部温度を1550℃に保持した処理室1
1の装入口18を開放し、溶融シリコンが装入された容
器12を載せた容器台13を処理室11の内部へ装入し
た。装入口18を閉鎖して、ガス排気部17から処理室
11の内部を真空排気した後、酸化性ガスとして水蒸気
を30%含有したアルゴンガスを、第2ガス導入口15
から導入口1つあたり100リットル/分で導入し、処
理室11内部の圧力をおよそ1気圧に保った。
【0057】第1ガス導入部14は、内径2cmの直管
形状であり、9個の容器12の全数の位置に対応するよ
うに配置し、アルゴンガスを、導入口1つあたり50リ
ットル/分で導入した。つぎに、昇降機構16により第
1ガス導入部14の先端が溶融シリコン表面から13c
m下になるように配置した。溶融シリコンは激しく撹拌
された。
【0058】第2ガス導入部15より、酸化性ガスとし
て水蒸気を30%含有したアルゴンガスを5時間導入し
た後、実施例1と同様に、9個の容器12を取り出し、
溶融シリコン中のボロン濃度を測定したところ、平均
0.15ppm、最大0.2ppm、最小0.1ppm
であった。
【0059】実施例4 図2に示す精製装置において、9個の容器台23の各々
の上に容器22を1つずつ載せた。溶融炉で、実施例1
と同様の原料シリコンを450kg溶融しておき、まず
1つの容器22に45kgの溶融シリコンを装入した。
この時の溶融シリコン深さは15cmであった。また、
容器22に装入する前の溶融シリコン中のボロン濃度は
7.4ppmであった。
【0060】処理室21の内部には、第1ガス導入部2
4を4本配置した。装入口28を開放し、容器22を載
せた容器台23を装入口28に最も近い第1ガス導入部
24の下方まで移動した。そして、実施例3と同様の工
程により、第1ガス導入部24からはアルゴンガスを、
第2ガス導入部25からは酸化性ガスとして水蒸気を3
0%含有するアルゴンガスを、75分間導入した。
【0061】最初の容器22内の溶融シリコンが精製さ
れている間に、溶融炉から45kgの原料シリコンを、
つぎの容器221に装入し、容器台231を装入口28
前へ移動した。
【0062】最初の容器22内の溶融シリコンの精製を
始めてから75分間経過した時、第1ガス導入部24を
容器22の十分上方まで上昇し、装入口28を開放し
た。最初の容器22を、装入口28から2番目の第1ガ
ス導入部24の下方に位置させるため、容器台23を取
出口29の方向へ移動し、同時に、容器221を装入口
28に最も近い第1ガス導入部24の下方へ位置させる
ため、容器台231を移動した。
【0063】容器台231の移動が完了してから、装入
口28を閉鎖し、再び実施例3と同様の工程により、第
1ガス導入部24からはアルゴンガスを、第2ガス導入
部25からは酸化性ガスとして水蒸気を30%含有する
アルゴンガスを、各々のガス導入口1つあたり50リッ
トル/分で75分間導入した。
【0064】以上の工程を繰り返し、処理室21の中で
4個の容器22が精製されると、第1ガス導入部24を
容器22の十分上方まで上昇した後、装入口28および
取出口29を同時に開放した。取出口29に最も近い容
器22を処理室21から取り出すため、容器台23を移
動し、同時に、処理室21内にある他の3つの容器22
と装入口28の前に用意していた容器221が各々載る
容器台23,231を、取出口29の方向へ移動した。
取り出し口29に最も近い容器台23を処理室21から
完全に取り出し、後続する容器台23、231が所定の
位置に移動した時、装入口28および取出口29を同時
に閉鎖した。
【0065】取り出した容器22中の溶融シリコンは、
酸化性ガスを75分間づつ4回、合計5時間導入したこ
とになる。上記の工程を繰返して得た9個の容器内のボ
ロン濃度は、平均0.2ppm、最大0.2ppm、最
小0.15ppmであった。また、本実施例では、溶融
シリコンを実質的に連続して処理することができた。
【0066】実施例5 図3に示す精製装置において、処理室31の内部に設置
された通路32はその内面が黒鉛であり、幅10cmの
矩形断面を有し、長さ5mの直線路であり、同様のもの
が7本並び、隣接する直線路がそれぞれの両端部で接続
され、総延長は35mであった。
【0067】スリット381の最下部と、通路32の底
面との距離を5cmに調整した後、溶融炉で、実施例1
と同様の原料シリコンを450kg溶融しておき、溶融
炉から溶融シリコンを1.4kg/分の速度で装入口3
8へ装入し、420kgの溶融シリコンを5時間で流し
た。装入する前の溶融シリコン中のボロン濃度は7.4
ppmであった。
【0068】各通路32の上方には、120cm間隔
で、5本、内径1cmの直管からなる第1ガス導入部3
4を設置した。通路32は合計7本あるから、第1ガス
導入部34は合計35本設置した。溶融シリコンを装入
する前に、通路32の底面から6cmの高さ、すなわ
ち、流動する溶融シリコンの表面から1cm上に、第1
ガス導入部34である直管の先端が位置するように調整
した。
【0069】第1ガス導入部34から、酸化性ガスとし
て水蒸気を30%含有するアルゴンガスを、各直管あた
り20リットル/分づつ導入した。取出口39から流出
した溶融シリコン400kgを、1個あたり50kgず
つ8個の容器に逐次、回収した。8個の容器にある溶融
シリコン中のボロン濃度は、平均0.5ppm、最大
0.6ppm、最小0.4ppmであった。
【0070】実施例6 第1ガス導入部として、図4に示すように、回転軸44
の先端に回転体45が付設され、回転体45は撹拌用の
突起45aを有する構造のものを用意した。回転体の直
径は20cmで8枚の突起部を設けた。また、回転軸の
内部はガスが流通し、ガスを回転体の底部から下方に吹
き付けることができた。酸化性ガスを第1ガス導入部に
導入する際に、各々の第1ガス導入部を200rpmで
回転する以外は、実施例2と同様にして精製を行なっ
た。
【0071】容器に装入する前の溶融シリコン中のボロ
ン濃度は7.4ppmであったのに対して、処理室から
取り出された9個の容器中のボロン濃度は、平均0.1
ppm、最大0.15ppm、最小0.1ppmであっ
た。
【0072】実施例7 第1ガス導入部として、図5に示すように、回転軸54
の先端に回転体55が付設され、回転体55は撹拌用の
突起55aを有する構造のものを用意した。回転体の直
径は20cmで8枚の突起部を設け、突起部のうち4枚
の突起部の側面にガス吹出し口を設けた。また、回転軸
の内部はガスが流通し、回転体の内部で4個のガス吹出
し口に分岐され、4枚の突起部の側面よりガスを吹出す
ことができた。アルゴンガスを第1ガス導入部に導入す
る際に、各々の第1ガス導入部を600rpmで回転す
る以外は、実施例3と同様にして精製を行なった。
【0073】容器に装入する前の溶融シリコン中のボロ
ン濃度は7.6ppmであったのに対して、処理室から
取り出された9個の容器12中のボロン濃度は、平均
0.1ppm、最大0.12ppm、最小0.08pp
mであった。
【0074】実施例8 図1に示す精製装置において、溶融シリコンの入った容
器12を処理室11に装入する前に、酸化ケイ素(Si
2)と酸化カルシウム(CaO)を質量比で65:3
5に配合した粉体を、スラグ材料として各々の容器12
中に10kgづつ添加するとスラグは溶融した。さら
に、第1ガス導入部より、酸化性ガスとして水蒸気を3
0%含有したアルゴンガスを2時間導入する以外は、実
施例7と同様に処理した。容器12に装入する前の溶融
シリコン中のボロン濃度は7.8ppmであったのに対
して、処理室11から取り出された9個の容器12中の
ボロン濃度は、平均0.4ppm、最大0.6ppm、
最小0.3ppmであった。
【0075】今回開示された実施の形態は全ての点で例
示であって、制限的なものではないと考えられるべきで
ある。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求
の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味お
よび範囲内での全ての変更が含まれることが意図され
る。
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、ボロンや炭素などの不
純物を含有するシリコンを効率よく、安価に精製し、太
陽電池用の純度6−nine程度のシリコンを得る方法
および装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のシリコンの精製方法を実施する精製
装置の一実施態様を示す模式図である。
【図2】 本発明のシリコンの精製方法を実施する精製
装置の別の実施態様を示す模式図である。
【図3】 本発明のシリコンの精製方法を実施する精製
装置の別の実施態様を示す模式図である。
【図4】 (A)は回転体と回転軸とからなる第1ガス
導入部の正面図であり、(B)はその底面図である。
【図5】 (A)は回転体と回転軸とからなる第1ガス
導入部の正面図であり、(B)はその底面図である。
【符号の説明】
11 処理室、12 容器、13 容器台、14 第1
ガス導入部、15 第2ガス導入部、16 昇降機構、
17 ガス排気部、18 装入口、32 通路、44,
54 回転軸、45,55 回転体、45a,55a
突起。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 早川 尚志 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 4G072 AA01 GG01 GG03 GG04 GG05 HH01 MM08 UU02

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融シリコンから不純物を除去するシリ
    コンの精製方法であって、 前記溶融シリコンを保持する複数の容器を精製装置の処
    理室内に配置する工程と、 前記溶融シリコンの表面に酸化性ガスを導入する工程
    と、を含むことを特徴とするシリコンの精製方法。
  2. 【請求項2】 前記溶融シリコンを保持する複数の容器
    を精製装置の処理室内で移動することを特徴とする請求
    項1に記載のシリコンの精製方法。
  3. 【請求項3】 溶融シリコンから不純物を除去するシリ
    コンの精製方法であって、 前記溶融シリコンを精製装置の処理室内の通路に流動す
    る工程と、 前記溶融シリコンの表面に酸化性ガスを導入する工程
    と、を含むことを特徴とするシリコンの精製方法。
  4. 【請求項4】 前記酸化性ガスは、水蒸気を含む請求項
    1〜3のいずれかに記載のシリコンの精製方法。
  5. 【請求項5】 前記溶融シリコンの表面に酸化性ガスを
    導入する工程において、前記溶融シリコンを撹拌するこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシリコ
    ンの精製方法。
  6. 【請求項6】 前記溶融シリコン中にガスを導入するこ
    とにより、前記溶融シリコンを撹拌する請求項5記載の
    シリコンの精製方法。
  7. 【請求項7】 回転軸と、該回転軸の下方に固定状に付
    設され、撹拌用突起を有する回転体と、からなる撹拌機
    により、前記溶融シリコンを撹拌する請求項5記載のシ
    リコンの精製方法。
  8. 【請求項8】 前記回転軸は、内部に軸方向に伸びるガ
    ス通路を有し、前記回転体は、前記ガス通路に連結する
    ガス噴出口を有する請求項7記載のシリコンの精製方
    法。
  9. 【請求項9】 前記溶融シリコンにスラグを添加する請
    求項1〜8のいずれかに記載のシリコンの精製方法。
  10. 【請求項10】 前記不純物は、ボロンおよび炭素の少
    なくとも一つを含む請求項1〜9のいずれかに記載のシ
    リコンの精製方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかに記載の方
    法を実施するシリコンの精製装置。
  12. 【請求項12】 ガスの導入部のうち少なくとも一つ
    は、昇降機構を有する請求項11記載のシリコンの精製
    装置。
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