JP2003236992A - 酸素ガスバリアフィルムおよびそれを用いた包装材料 - Google Patents

酸素ガスバリアフィルムおよびそれを用いた包装材料

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JP2003236992A JP2002039915A JP2002039915A JP2003236992A JP 2003236992 A JP2003236992 A JP 2003236992A JP 2002039915 A JP2002039915 A JP 2002039915A JP 2002039915 A JP2002039915 A JP 2002039915A JP 2003236992 A JP2003236992 A JP 2003236992A
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Tetsuya Yamamoto
哲也 山本
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスバリア性に優れ、その上、包装内部に存
在する酸素ガスを吸収除去する酸素吸収性能にも優れる
酸素ガスバリアフィルムを提供する。 【解決手段】 基材フィルム(A)と、活性水素が結合
した窒素原子を分子内に有する有機化合物(b−i)、
前記活性水素と反応して前記窒素原子と化学結合を形成
しうる官能基を分子内に有する有機化合物(b−ii)、
および、R1 xSi(OR2yで表される有機ケイ素化合
物(b−iii)および/またはその加水分解縮合物(b
−iv)を反応して得られた組成物を用いて形成されて
なる被覆層(B)と、脱酸素剤含有酸素吸収層(C)
と、を有する酸素ガスバリアフィルムによって上記課題
は解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスバリアフィル
ムに関し、より詳しくは、酸素ガスを吸収する酸素吸収
層を設けることによって酸素ガスの透過が抑制されてな
る酸素ガスバリアフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】包装材料としては、金属缶、ガラスビ
ン、各種プラスチック容器、ガスバリアフィルムなどが
用いられている。このうち、ガスバリアフィルムは可撓
性、軽量性などの特性に関して優れており、特に食品に
幅広く適用されている。
【0003】しかしながら、ガスバリアフィルムを用い
て内容物を包装する場合、包装内部に多少の酸素は残留
する。真空包装などを適用して包装内部に残留する酸素
をなくすことも可能ではあるが、工程数や必要装置の増
大化を招き、結果として商品の競争力を低下させる原因
となる。また、僅かながらガスバリアフィルムを透過し
て侵入する酸素も存在する。これらの包装内部に存在す
る酸素は内容物の変質や保香性低下の原因となる。この
ため、外部からの酸素ガスの侵入を効果的に抑制し、か
つ、内部に残存する酸素を効果的に除去しうる酸素ガス
バリアフィルムの開発が所望されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、ガス
バリア性および包装内部に存在する酸素ガスの吸収性能
の双方に優れる酸素ガスバリアフィルムを提供すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、基材フィルム
(A)と、活性水素が結合した窒素原子を分子内に有す
る有機化合物(b−i)、前記活性水素と反応して前記
窒素原子と化学結合を形成しうる官能基を分子内に有す
る有機化合物(b−ii)、ならびに、下記式(1):
【0006】
【化2】
【0007】(式中、R1は水素原子または前記活性水
素と反応しない官能基を有していてもよいアルキル基で
あり、R2は水素原子またはアルキル基であり、xは0
以上の整数であり、yは1以上の整数であり、x+y=
4であり、xまたはyが2以上の場合にはR1またはR2
は異なっていてもよい)で表される有機ケイ素化合物
(b−iii)および/またはその加水分解縮合物(b−i
v)を反応して得られた組成物を用いて形成されてなる
被覆層(B)と、脱酸素剤含有酸素吸収層(C)と、を
有する酸素ガスバリアフィルムを提供する。また、前記
酸素ガスバリアフィルムを用いた包装材料を提供する。
【0008】有機ケイ素系の組成物を用いて形成される
前記被覆層(B)は、非常に優れたガスバリア性を有
し、外部から侵入する酸素を効果的に遮断することがで
きる。その上、透明性、可撓性に優れるため、包装材料
として好適である。脱酸素剤含有酸素吸収層(C)は、
包装材料内部の空間に存在する酸素を吸収する性能を有
するため、内容物周辺に存在し、内容物の変質や芳香性
低下の原因となる酸素を除去できる。また、被覆層
(B)を通過してきた酸素をトラップする機能も同時に
果たすことができるため、この意味では被覆層(B)を
補助する作用も有しているといえる。
【0009】かような機能を有する被覆層(B)および
脱酸素剤含有酸素吸収層(C)を有する本発明の酸素ガ
スバリアフィルムによって、外部からの酸素ガスの侵入
を効果的に抑制し、かつ、内部に残存する酸素を効果的
に除去することが可能である。例えば食品包装材料とし
て用いた場合には、内容物の品質維持およびシェルフラ
イフの延長に貢献し、品質劣化により生じる廃棄量を減
少させることができる。特に本発明の酸素ガスバリア性
フィルムは、耐湿性に優れ、梅雨時のような多湿環境下
においても充分なガスバリア性を発揮する。また、本発
明の酸素ガスバリアフィルムは、内容物形状に合わせて
大きく屈曲させても優れた酸素ガスバリア性を維持する
ため、取扱性にも優れる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の酸素ガスバリアフ
ィルムについて、構成要素である、基材フィルム
(A)、被覆層(B)および脱酸素剤含有酸素吸収層
(C)を中心に詳細に説明する。
【0011】基材フィルム(A)は、ポリオレフィン、
ポリエステル、ポリアミドなどの各種高分子フィルムを
用いることができる。加工性を考慮すると熱可塑性樹脂
が好ましく、材料コストを考慮すると汎用高分子フィル
ムを用いることが好ましい。基材フィルム(A)の具体
例としては、特に限定されるものではないが、次のよう
な樹脂が挙げられる:ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1などのポ
リオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエ
チレンナフタレート(PEN)などのポリエステル;ポ
リε−カプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジポアミ
ド、ポリメタキシリレンアジポアミドなどのポリアミ
ド。透明性や機械強度を考慮すると、ポリプロピレン、
ポリアミド、ポリエステルを用いることが好ましい。基
材フィルム(A)は無延伸のものであっても良いし、一
軸あるいは二軸に延伸あるいは圧延されているものであ
っても構わない。また、これらの基材フィルム(A)は
重合により合成してもよいし、市販されているフィルム
を用いてもよい。
【0012】基材フィルムの形状は、特に限定されるも
のではなく、使用用途や作業性などを考慮して決定すれ
ばよい。厚さに関しても特に限定されるものではない
が、一般的には10〜40μmの基材フィルムが用いら
れる。
【0013】被覆層(B)は、被覆層(B)を形成する
ために用いられる組成物(以下、「被覆層用組成物」と
も記載)を予め調製し、これを塗布することによって形
成される。被覆層用組成物の調製方法については、特開
平8−295848号公報などに記載されている手法を
適宜参照することができる。
【0014】被覆層用組成物は、活性水素が結合した窒
素原子を分子内に有する有機化合物(b−i)、前記活
性水素と反応して前記窒素原子と化学結合を形成しうる
官能基を分子内に有する有機化合物(b−ii)、およ
び、前記式(1)で表される有機ケイ素化合物(b−ii
i)および/またはその加水分解縮合物(b−iv)を反
応させることにより得られる。
【0015】有機化合物(b−i)は、活性水素が結合
した窒素原子を分子内に有するものであれば特に限定さ
れるものではない。本願において活性水素とは、反応性
が強く各種の試薬と反応する水素原子をいい、具体的に
は、−NH−(式中、Nには他に水素原子が結合してい
ない)または−NH2として分子中に存在する。有機化
合物(b−i)からなる成分が被覆層用組成物に含まれ
る場合、形成される被覆層(B)の可撓性を高める上で
特に効果がある。
【0016】有機化合物(b−i)の分子量は特に限定
されるものではないが、形成される被覆層(B)の製膜
性や可撓性を考慮すると、高分子化合物であることが好
ましい。有機化合物(b−i)としての高分子化合物
は、数平均分子量が小さすぎると形成された被覆層
(B)の可撓性が劣る恐れや、基材フィルム(A)や他
の被覆層(B)上にコーティングして積層する際の製膜
性が劣る恐れがある。このため、有機化合物(b−i)
としての高分子化合物の数平均分子量は250以上であ
ることが好ましく、300以上であることがより好まし
い。一方、数平均分子量が大きすぎると形成される被覆
層(B)の透明性が劣る恐れがあり、また、被覆層
(B)の可撓性が劣る恐れがある。このため、有機化合
物(b−i)としての高分子化合物の数平均分子量は2
00000以下であることが好ましく、100000以
下であることがより好ましく、10000以下であるこ
とが特に好ましい。ただし、数平均分子量では計測でき
ない複雑な構造を持つものも有機化合物(b−i)とし
て使用可能であり、本発明においてはこれらのものを排
除するものではない。
【0017】有機化合物(b−i)の具体例としては、
エタノールアミンなどの低分子化合物や、ポリアルキレ
ンイミン、ポリアリルアミンなどの高分子化合物が挙げ
られる。
【0018】ポリアルキレンイミンとしては、ポリメチ
レンイミン、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミ
ン、ポリイソプロピレンイミン、ポリブチレンイミン、
ポリイソブチレンイミンなどが挙げられる。ポリアルキ
レンイミンは各種公知の合成方法を用いて調製すること
ができ、また、市販品を用いてもよい。例えば、株式会
社日本触媒製のエポミンシリーズ;エポミンSP−00
3、エポミンSP−006、エポミンSP−012、エ
ポミンSP−018、エポミンSP−103、エポミン
SP−110、エポミンSP−200、エポミンSP−
300、エポミンSP−1000、エポミンSP−10
20(いずれも商品名)等のポリエチレンイミンを用い
ることができる。ポリアリルアミンとしては、各種公知
の方法で合成したものを用いることができるほか、日東
紡績株式会社製のPAA−L、PAA−H(いずれも商
品名)などを用いることができる。これらは1種単独で
用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。上
記列挙した有機化合物(b−i)のなかでは、被覆層
(B)の透明性、耐熱性、可撓性、密着性を考慮する
と、ポリアルキレンイミンが好ましく、ポリエチレンイ
ミンが特に好ましい。
【0019】有機化合物(b−ii)は、有機化合物(b
−i)に含まれる窒素原子に結合した活性水素と反応し
てこの窒素原子と化学結合を形成しうる官能基を分子内
に有するものであれば特に限定されるものではない。こ
のような官能基としては、特に制限されるものではない
が、エポキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、
チオイソシアネート基、オキサゾリニル基、(メタ)ア
クリル基、アルデヒド基、ケトン基、アルキルハライド
基などが挙げられる。窒素原子に結合した活性水素との
反応容易性、耐熱水性を考慮すると、エポキシ基を有す
るエポキシ化合物が好ましい。なお、有機化合物(b−
ii)からなる成分を被覆層用組成物に含ませた場合、被
覆層用組成物の製膜性を向上させる上で特に効果があ
る。
【0020】有機化合物(b−ii)は、特に制限される
べきものではないが、2−エチルヘキシルグリシジルエ
ーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジ
エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレ
ングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレング
リコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコー
ルジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリ
シジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジル
エーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエー
テル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテ
ル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グ
リセロールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロ
パンジグリシジルエーテル等の脂肪族モノ−,ジグリシ
ジルエーテル類;グリセロールトリグリシジルエーテ
ル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリ
シジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレー
ト、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、
ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等のポ
リグリシジルエーテル類;アジピン酸ジグリシジルエス
テル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、フェニルグ
リシジルエーテル等の脂肪族および芳香族モノ−,ジグ
リシジルエステル類;ビスフェノールAジグリシジルエ
ーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ヒドロ
キノンジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリ
シジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテ
ルなどの芳香環またはその水素添加環(核置換誘導体も
含む)を有するグリシジル類;グリシジル基を官能基と
して有するオリゴマー類;ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、トリレンジイソシアネート、1,4−ジフェニル
メタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシ
アネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ト
リジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等のイソ
シアネート類;酒石酸、アジピン酸等のジカルボン酸
類;ポリアクリル酸等のカルボキシル基含有重合体;オ
キサゾリニル基含有重合体などが挙げられる。
【0021】これらは1種単独で用いてもよいし、2種
以上を併用して用いてもよい。なお、上記例示した有機
化合物(b−ii)の中では、芳香環または脂肪族環を有
する有機化合物が好ましい。芳香環または脂肪族環を有
する有機化合物を使用することにより、被覆層(B)の
耐水性を向上させ得る。
【0022】有機化合物(b−ii)は、下記式(3):
【0023】
【化3】
【0024】で表される官能基(以下、「SiOR
3基」とも記載)を分子内に有していてもよい。式中、
3は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であ
る。炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状アルキル基、
分岐状アルキル基、環状(脂環式)アルキル基のいずれ
であってもよい。アルキル基の中では、被覆層(B)を
緻密にする観点からは、メチル基またはエチル基が好ま
しい。
【0025】有機化合物(b−ii)中にSiOR3基を
有している場合には、有機化合物(b−i)と反応前ま
たは反応後にSiOR3基において加水分解縮合が進行
する。また、後述の有機ケイ素化合物に含まれる加水分
解性縮合基との間で共加水分解縮合が進行する。これら
の縮重合の作用により、速やかにハードコート性に優れ
た緻密な被覆層(B)の形成が可能となる。また、被覆
層(B)の密着性を高める効果も有する。なお、有機化
合物(b−i)が低分子化合物である場合には、有機化
合物(b−ii)との反応前に加水分解縮合しておくとよ
い。
【0026】SiOR3基を有する有機化合物(b−i
i)の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキ
シシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシ
シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチ
ルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロ
ヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−
エポキシシクロヘキシル)エチルトリイソプロポキシシ
ラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル
メチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシク
ロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン等のエポキ
シ基とSiOR3基を有するシランカップリング剤(以
下、単にエポキシ基含有シランカップリング剤と省略す
ることがある);γ−イソシアノプロピルトリメトキシ
シラン、γ−イソシアノプロピルトリエトキシシラン、
γ−イソシアノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−
イソシアノプロピルメチルジエトキシシラン等のイソシ
アネート基およびSiOR3基含有シランカップリング
剤(以下、単にイソシアネート基含有シランカップリン
グ剤と省略することがある)などが挙げられる。これら
は、1種単独で用いてもよいし、または2種以上を併用
して用いてもよい。
【0027】有機ケイ素化合物(b−iii)は、前記式
(1)で表される。式(1)において、R1は水素原子
またはアルキル基である。アルキル基は、炭素数1〜4
のアルキル基であることが好ましく、具体的にはメチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基といった直鎖アル
キル基、イソプロピル基、イソブチル基といった分岐ア
ルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基といった
環状(脂環式)アルキル基が挙げられる。このなかで
は、緻密な被覆層(B)を形成する上での反応容易性の
観点から、メチル基またはエチル基が好ましい。また、
これらのアルキル基は、有機化合物(b−i)に含まれ
る前記活性水素と反応しない官能基を有していても良
い。有機化合物(b−i)に含まれる前記活性水素と反
応しない官能基としては、特に限定されるものではない
が、ビニル基が挙げられる。ビニル基を有する場合、耐
熱性が向上する効果がある。なお、R1は、xが2以上
の場合には、同一であってもよいし、異なっていてもよ
い。
【0028】前記式(1)において、R2は水素原子ま
たはアルキル基である。アルキル基は、炭素数1〜4の
アルキル基であることが好ましく、具体的にはメチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基といった直鎖アル
キル基、イソプロピル基、イソブチル基といった分岐ア
ルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基といった
環状(脂環式)アルキル基が挙げられる。このなかで
は、緻密な被覆層(B)を形成する上での反応容易性の
観点から、メチル基またはエチル基が好ましい。なお、
2は、yが2以上の場合には、同一であってもよい
し、異なっていてもよい。
【0029】前記式(1)において、xは0以上の整数
であり、yは1以上の整数であり、x+y=4である。
特に限定されるものではないが、形成される被覆層
(B)の耐熱性、耐煮沸性、耐水性を考慮すると、x=
0であり、y=4であることが好ましい。
【0030】有機ケイ素化合物(b−iii)の具体例と
しては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラ
ン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブ
トキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリ
エトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エ
チルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、
ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシ
シラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキ
シシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジイソ
プロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ビニル
トリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニ
ルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリ
ロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキ
シプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類
およびこれらの錯体化合物、メチルトリアセトキシシラ
ン、トリメチルシラノール、並びにこれらの化合物を含
む高分子有機ケイ素化合物類が挙げられる。この中で
は、被覆層(B)の耐湿性、耐水性などを考慮すると、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好まし
い。なお、これらは、1種単独で用いてもよいし、また
は2種以上を併用して用いてもよい。
【0031】有機ケイ素化合物の加水分解縮合物(b−
iv)は、上記式(1)で表される有機ケイ素化合物
(b−iii)の加水分解縮合によって得られる化合物で
ある。有機ケイ素化合物(b−iii)の代わりに、また
は有機ケイ素化合物(b−iii)に加えて、有機ケイ素
化合物の加水分解縮合物(b−iv)を含んでもよいと
したのは、被覆層(B)を形成する際における有機化合
物(b−ii)および有機ケイ素化合物(b−iii)の不
本意な乾燥を防止するためには、これらを予め加水分解
縮合させておくことが好ましいからである。つまり、本
発明の被覆層用組成物は、有機ケイ素化合物(b−ii
i)を含むものであってもよく、有機ケイ素化合物(b
−iii)の加水分解縮合物(b−iii)を含むものであっ
てもよい。両者を含むものであってもよいことは勿論で
ある。これらの加水分解縮合反応は、空気中に存在する
水分によっても進行するが、酸または塩基等の公知の触
媒を用いて反応効率を向上させてもよい。また、作業性
を考慮すると、加水分解反応は溶媒中で行うことが好ま
しい。
【0032】なお、この有機ケイ素化合物(b−iii)
およびその加水分解縮合物(b−iv)は、有機化合物
(b−i)が有する窒素原子に結合した活性水素と反応
し得る官能基を有さない点で、有機化合物(b−ii)と
は明確に異なるものである。
【0033】被覆層用組成物を調製する上で使用する化
合物は、得られる特性を考慮して前記(b−i)〜(b
−iv)から選択すればよい。好ましくは、(b−i)
としてポリエチレンイミン、(b−ii)としてエポキシ
基含有シランカップリング剤、(b−iii)としてテト
ラメトキシシランまたはテトラエトキシシランを用い
る、または、(b−i)としてアミノ基含有シランカッ
プリング剤、(b−ii)として芳香環もしくは脂肪族環
を有するエポキシ化合物、(b−iii)としてテトラメ
トキシシランまたはテトラエトキシシランを用いる。
【0034】被覆層用組成物を得るためには、まず、上
述の(b−i)〜(b−iv)を反応させて、これらが
反応した組成物を調製する。反応の媒体は、後述する溶
媒(b−v)と同一の化合物を用いることができる。上
述の(b−i)〜(b−iv)を反応させて組成物を得
る際の配合量は、他の添加剤の使用の有無などによって
決定されるべきものであり、一義的に規定することはで
きないが、通常の量を以下に規定する。
【0035】有機化合物(b−i)の配合量は、被覆層
用組成物の構成成分(ただし、溶媒(b−v)を除く)
の合計配合量に対して、通常5〜70質量%、好ましく
は10〜60質量%、より好ましくは15〜40質量%
の範囲である。
【0036】有機化合物(b−ii)の配合量は、被覆層
用組成物の構成成分(ただし、溶媒(b−v)を除く)
の合計配合量に対して、通常5〜50質量%、好ましく
は7〜35質量%、より好ましくは10〜20質量%の
範囲である。
【0037】有機ケイ素化合物(b−iii)および/ま
たはその加水分解縮合物(b−iv)の配合量は、被覆
層用組成物の構成成分(ただし、溶媒(b−v)を除
く)の合計配合量に対して、通常10〜80質量%、好
ましくは20〜70質量%、より好ましくは30〜60
質量%の範囲である。なお、「有機ケイ素化合物(b−
iii)および/またはその加水分解縮合物(b−iv)の
配合量」とは、両者の合計の配合量を意味するものであ
り、いずれか一方のみが被覆層用組成物中に含まれる場
合には、一方の配合量を意味するものである。
【0038】(b−i)〜(b−iv)が配合される溶
媒(b−v)は、有機化合物(b−i)、有機化合物
(b−ii)、有機ケイ素化合物(b−iii)および/ま
たは有機ケイ素化合物の加水分解縮合物(b−iv)、
ならびにこれらの反応反応物を溶解しうるものであれば
特に限定されるものではなく、具体的には、メタノー
ル、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、エチ
レングリコール等のアルコール類;アセトン、メチルエ
チルケトン等のケトン類;トルエン、ベンゼン、キシレ
ン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン等の炭化水素類;メチルアセテート、エチルアセテー
ト等のアセテート類;その他、エチルフェノールエーテ
ル、プロピルエーテル、テトラヒドロフラン、水などが
挙げられる。この中では、加水分解反応時の安定性や保
存安定性に優れている点で、メタノール、エタノールな
どのアルコール類が好ましい。溶媒は、使用する成分
(b−i)〜(b−iv)との相性を考慮して選択する
とよい。
【0039】溶媒(b−v)の配合量は、特に限定され
ないが、被覆層用組成物(ここでは、溶媒(b−v)を
含む)の全質量を100質量%としたときに、通常20
〜97質量%、好ましくは50〜95質量%、より好ま
しくは70〜95質量%、特に好ましくは75〜90質
量%の範囲である。溶媒(b−v)の配合量が20質量
%未満の場合には、被覆層用組成物の反応安定性に劣る
ことがあり、また塗工中に、被覆層用組成物の粘度が上
昇して均一塗工ができなくなる可能性がある。一方、9
7質量%を超える場合には、被覆層(B)を形成する際
の生産性が劣ることがあるほか、有効成分が低濃度とな
り過ぎるため、必要な被覆層(B)の厚さを確保できな
い場合がある。
【0040】また、硬化触媒、濡れ性改良剤、可塑剤、
消泡剤、増粘剤などの各種添加剤を、被覆層用組成物の
特性を損なわない範囲でさらに適量配合してもよい。
【0041】本発明に係る被覆層用組成物の調製方法
は、特に限定されるものではなく、例えば、以下の方法
を用いることができる。
【0042】(1) 有機化合物(b−i)と、有機化
合物(b−ii)と、有機ケイ素化合物(b−iii)およ
び/またはその加水分解縮合物(b−iv)と、溶媒
(b−v)とを含む配合成分(他の任意成分を含んでい
ても良い)を反応させる方法、(2) 予め溶媒(b−
v)中で、有機化合物(b−i)と有機化合物(b−i
i)とを反応させて、その後、有機ケイ素化合物(b−i
ii)および/またはその加水分解縮合物(b−iv)を
加える方法、(3) 溶媒有機化合物(b−i)を含む
溶媒(b−v)中で、有機化合物(b−ii)と有機ケイ
素化合物(b−iii)とを加水分解縮合する方法、など
が挙げられるが、これらに何ら制限されるべきものでは
ない。なお、溶媒(b−v)は、その調製段階や方法に
応じて適当なものを適時、補充ないし追加することが望
ましい。
【0043】反応条件は、組成物中に有機化合物(b−
i)の未反応物が実質的に残存しない条件とすることが
好ましい。未反応の有機化合物(b−i)が残存してい
ると、得られる被覆層(B)の安定性が低下する恐れが
あるからである。例えば、30〜80℃程度で、0.5
〜5時間程度反応させればよい。
【0044】このようにして調製した被覆層用組成物を
用いて、被覆層(B)を形成する。被覆層用組成物を塗
布するには、各種コーティング法や印刷法などを用いる
ことができる。例えば、ロールコーティング法、ディッ
プコーティング法、バーコーティング法、ノズルコーテ
ィング法、ダイコーティング法、スプレーコーティング
法、スピンコーティング法、カーテンコーティング法、
フローコーティング法、スクリーン印刷、グラビア印
刷、曲面印刷などの各種印刷法などが挙げられる。これ
らを組み合わせてもよい。通常は、被覆層用組成物は、
乾燥後の被覆層(B)の厚さが0.5〜3μmになるよ
うに供給される。被覆層(B)の乾燥後の厚さが0.5
μm未満の場合には、被覆層(B)の均一性を確保でき
ない恐れがある。また、ガスバリア性、基材フィルム
(A)との密着性、透明性、可撓性、印刷性、耐湿性、
耐屈曲性が充分に発現しない恐れがある。一方、被覆層
(B)の乾燥後の厚さが3μmを超える場合には、被覆
層(B)にクラックが生じる可能性が高まる。また、軽
量化、小型化の障害となる。
【0045】コーティング後は、被覆層用組成物の硬化
および乾燥を行う。加熱を行う場合には、基材フィルム
(A)の耐熱温度以下で加熱することが好ましい。ここ
で、基材フィルムの耐熱温度とは、実質上基材フィルム
の特性が保持できる上限の温度のことを意味し、ガラス
転移点、結晶化温度または分解点を意味する。硬化およ
び乾燥の条件は、特に限定されないが、迅速に被覆層
(B)を形成するためには60〜120℃で1〜180
秒間処理するとよい。水蒸気やミスト存在下で乾燥して
もよい。
【0046】高温多湿の環境下においても被覆層(B)
に高いガスバリア性を発現させるためには、硬化・乾燥
を行った後に、熟成処理を行うことが好ましい。熟成処
理は、加熱処理(例えば、40〜60℃で1〜7日間熱
処理)やコロナ処理を行う方法などある。
【0047】なお、被覆層用組成物をコーティングして
被覆層(B)を形成するにあたっては、同一組成の被覆
層用組成物を数回に渡ってコーティングしてもよいし、
異なる組成の被覆層用組成物を数回に渡ってコーティン
グして被覆層(B)を多層構造にしてもよい。
【0048】続いて、脱酸素剤含有酸素吸収層(C)
(以下、「酸素吸収層」とも略記)を積層させて、酸素
ガスバリアフィルムとする。酸素吸収層(C)は、酸素
吸収機能を有するものであれば、特に限定されるもので
はなく、特開平4−45144号公報や特開2001−
260285号公報などに記載されている樹脂組成物な
どを用いることができる。一般的には、酸素吸収機能を
有する脱酸素剤を樹脂中に分散させたものが用いられ
る。
【0049】分散させる脱酸素剤としては種々の有機系
および無機系のものが知られており、遷移金属または遷
移金属を含む化合物が好ましく、鉄、コバルト、ニッケ
ル、銅、バナジウム、マンガンなどが挙げられる。この
中では、熱安定性、経済性、衛生性などを考慮すると、
鉄粉および必要に応じて酸化促進剤を用いることが好ま
しい。遷移金属または遷移金属を含む化合物は、一般に
は粒状または粉末状のものが用いられ、粒径については
特に限定されるものではない。脱酸素剤の脱酸素特性を
向上させるためには、酸化促進剤などの添加剤を用いる
ことが有効である。酸化促進剤としては、塩化カルシウ
ムや塩化マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩化物、
塩化ナトリウムなどのアルカリ金属塩化物などが用いら
れ、2種以上を組み合わせて用いてもよい。酸化促進剤
の添加量は、特に限定されないが、使用する脱酸素剤の
質量に対して1〜30質量%程度とするとよい。また、
酸化促進剤に加えて、硫酸バリウム、硫酸カルシウムな
どの硫酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの
炭酸塩;シリカ、ケイ藻土、アルミナ、カーボンブラッ
ク、カオリン、タルク、マイカ、ベントナイトなどを適
宜加えてもよい。
【0050】酸素吸収層(C)の製造方法の一実施形態
について説明すると、まず、脱酸素剤を準備し、これを
樹脂中に混合する。使用する樹脂は、特に限定されない
が、加工性を考慮すると熱可塑性樹脂が好ましく、材料
コストを考慮すると汎用高分子フィルムを用いることが
好ましい。ここで用いられる樹脂の具体例としては、特
に限定されるものではないが、次のような樹脂が挙げら
れる:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル
ペンテン−1、ポリブテン−1などのポリオレフィン;
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレン
テレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート
(PEN)などのポリエステル;ポリε−カプロラクタ
ム、ポリヘキサメチレンアジポアミド、ポリメタキシリ
レンアジポアミドなどのポリアミド。透明性や機械強度
を考慮すると、ポリエステルを用いることが好ましい。
混合させる脱酸素剤の量は、使用する脱酸素剤の種類に
よって異なるため一義的に規定できないが、鉄または鉄
を含む化合物を脱酸素剤として用いる場合には、酸素吸
収層(C)の質量に対して5〜40質量%配合するとよ
い。続いて、脱酸素剤が混合された樹脂をフィルム化す
ることにより、酸素吸収層(C)を得る。なお、酸素吸
収層(C)の作製および酸素吸収層(C)の積層にあっ
ては、酸素吸収層が大気中の酸素と触れる時間を極力少
なくするよう留意する必要がある。
【0051】酸素吸収層の形状は、特に限定されるもの
ではなく、使用用途や作業性などを考慮して決定すれば
よい。厚さに関しても特に限定されるものではないが、
一般的には10〜100μm程度のフィルム状に共押し
出しラミネーション法などの方法を用いて成型される。
【0052】酸素吸収層の積層には、接着性樹脂を使用
することができる。接着性樹脂は各層間を接着できるも
のであれば特に限定されるものではないが、ポリウレタ
ン系、ポリエステル系一液型、二液型硬化性接着剤、不
飽和カルボン酸またはその無水物(無水マレイン酸な
ど)をオレフィン系重合体または共重合体に共重合また
はグラフト変性したもの(カルボン酸変性ポリオレフィ
ン樹脂)などを用いることができる。
【0053】なお、上記説明においては、酸素ガスバリ
アフィルムの構成が、基材フィルム(A)/被覆層
(B)/脱酸素剤含有酸素吸収層(C)である場合につ
いて説明したが、積層順序はこの順序に限定されるもの
ではない。例えば、基材フィルム(A)/脱酸素剤含有
酸素吸収層(C)/被覆層(B)の順に積層させてもよ
い。また、酸素ガスバリアフィルムの特性を向上させる
ために、他の材料をさらに配置してもよい。例えば、ヒ
ートシール性を付与するために、シーラント層を表層に
積層させてもよい。その場合には、前記説明した各種接
着性樹脂を用いることができる。また、ガスバリア性を
高めるためには、さらにケイ素酸化物および/または金
属酸化物で構成される層を形成してもよい。
【0054】
【実施例】続いて、実施例および比較例を用いて、本発
明の有用性について具体的に説明する。
【0055】<合成例1:被覆層形成用コーティング液
の調製>ポリエチレンイミン(120g:株式会社日本
触媒製エポミンSP−018)、γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン(50g)、およびメタノール
(100g)からなる混合液を、60℃で3時間反応さ
せ、室温まで冷却した。次に、この反応液に水(10
g)とメタノール(100g)との混合液を加え、さら
にテトラメトキシシラン(250g)とメタノール(5
00g)とからなる混合液を加えた。これを室温で24
時間熟成することにより、被覆層形成用コーティング液
を得た。
【0056】<合成例2:脱酸素剤含有酸素吸収層の作
製>鉄粉(100g;平均粒径10μm)、無水塩化カ
ルシウム(10g;平均粒径50μm)および硫酸バリ
ウム(1g;平均粒径0.3μm)を、窒素ガスで置換
したボールミルを用いて粉砕およびコーティングし、脱
酸素剤を調製した。次に、この脱酸素剤をポリプロピレ
ンに混合し、フィルム化させることにより、厚さ30μ
mの脱酸素剤含有ポリプロピレンフィルム(脱酸素剤含
有酸素吸収層)を得た。脱酸素剤含有量は、ポリプロピ
レンフィルムの全質量に対して20質量%とした。
【0057】<実施例1>基材フィルムとしてのポリエ
チレンテレフタレート(PET;厚さ12μm)表面
に、合成例1で得られた被覆層形成用コーティング液を
乾燥後の厚みが1μmになるように塗布し、100℃で
10秒間乾燥させた。これを、50℃で2日間熟成する
ことにより、基材フィルム上に被覆層が形成されたガス
バリアフィルムを得た。
【0058】このガスバリアフィルム上に、合成例2で
得られたポリプロピレンフィルム(脱酸素剤含有酸素吸
収層)を積層させた。さらに、ポリプロピレンフィルム
上に、無延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ50μm)
をシーラント層として積層させた。これにより、基材フ
ィルム(ポリエチレンテレフタレート)/被覆層(合成
例1のコーティング液を用いて作製されたガスバリア
層)/脱酸素剤含有酸素吸収層(合成例2のポリプロピ
レンフィルム)/シーラント層がこの順序で積層された
酸素ガスバリアフィルムを得た。なお、各ポリプロピレ
ンフィルムの積層にはウレタン接着剤を用いた。
【0059】この酸素ガスバリアフィルムを、製袋機で
シーラント層側が内側になるように袋状にし、水10g
と窒素ガスとを封入した。酸素ガスバリアフィルムの性
能を評価するため、封入した水を20分間ボイルした
後、30℃80%RHの雰囲気下で1ヶ月放置した。放
置後の袋内酸素濃度をガスクロマトグラフィーで測定し
たところ、ボイル前の初期濃度と比較して0.1倍に減
少していた。
【0060】<比較例1>脱酸素剤含有酸素吸収層を積
層させない以外は、実施例1と同様の手順により、基材
フィルム(ポリエチレンテレフタレート)/被覆層(合
成例1のコーティング液を用いて作製されたガスバリア
層)/シーラント層がこの順序で積層されたガスバリア
フィルムを得た。
【0061】このガスバリアフィルムを、製袋機でシー
ラント層側が内側になるように袋状にし、水10gと窒
素ガスとを封入した。封入した水を20分間ボイルした
後、30℃80%RHの雰囲気下で1ヶ月放置した。放
置後の袋内酸素濃度をガスクロマトグラフィーで測定し
たところ、ボイル前の初期濃度と比べて変化は見られな
かった。
【0062】<比較例2>被覆層を積層させない以外
は、実施例1と同様の手順により、基材フィルム(ポリ
エチレンテレフタレート)/脱酸素剤含有酸素吸収層
(合成例2のポリプロピレンフィルム)/シーラント層
がこの順序で積層されたフィルムを得た。
【0063】このフィルムを、製袋機でシーラント層側
が内側になるように袋状にし、水10gと窒素ガスとを
封入した。封入した水を20分間ボイルした後、30℃
80%RHの雰囲気下で1ヶ月放置した。放置後の袋内
酸素濃度をガスクロマトグラフィーで測定したところ、
ボイル前の初期濃度と比較して1.1倍に増加してい
た。
【0064】実施例および比較例の結果を表1にまとめ
て示す。
【0065】
【表1】
【0066】上記表1で示されるように、30℃80%
RHといった高温高湿環境下においても、実施例1の酸
素ガスバリアフィルムは、被覆層によって外部の酸素の
侵入を抑制し、脱酸素剤含有酸素吸収層によって包装内
部の酸素を除去し得ることが示唆された。
【0067】
【発明の効果】本発明の酸素ガスバリアフィルムは、外
部からの酸素ガスの侵入を効果的に抑制し、かつ、内部
に残存する酸素を効果的に除去することが可能である。
このため、例えば食品包装材料として用いた場合には、
内容物の品質維持およびシェルフライフの延長に貢献
し、品質劣化により生じる廃棄量を減少させることがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E086 AB01 AD01 BA04 BA15 BA24 BB05 CA01 4F100 AH03B AH06B AK07C AK42A AK52B AR00C AT00A BA03 BA07 BA10A BA10C CA09C GB16 GB23 JD03 JD14C

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材フィルム(A)と、 活性水素が結合した窒素原子を分子内に有する有機化合
    物(b−i)、前記活性水素と反応して前記窒素原子と
    化学結合を形成しうる官能基を分子内に有する有機化合
    物(b−ii)、ならびに、下記式(1): 【化1】 (式中、R1は水素原子または前記活性水素と反応しな
    い官能基を有していてもよいアルキル基であり、R2
    水素原子またはアルキル基であり、xは0以上の整数で
    あり、yは1以上の整数であり、x+y=4であり、x
    またはyが2以上の場合にはR1またはR2は異なってい
    てもよい)で表される有機ケイ素化合物(b−iii)お
    よび/またはその加水分解縮合物(b−iv)を反応し
    て得られた組成物を用いて形成されてなる被覆層(B)
    と、 脱酸素剤含有酸素吸収層(C)と、を有する酸素ガスバ
    リアフィルム。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の酸素ガスバリアフィル
    ムを用いた包装材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007508167A (ja) * 2003-10-16 2007-04-05 グラハム パッケージング ペット テクノロジーズ インコーポレイティッド 耐剥離性多層容器、プリフォーム、製品および製法

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