JP2003236920A - ブロー成形体へのインサート部品溶着成形方法 - Google Patents
ブロー成形体へのインサート部品溶着成形方法Info
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Abstract
や漏出を防げるインサート部品溶着成形方法を提供す
る。 【解決手段】 ブロー成形体の所定位置にインサート部
品を溶着するに際し、インサート部品の溶着部位に鍔状
に設けた溶着座の周縁端部を傾斜角度で面取りすること
により、その溶着座をブロー成形体の成形時に展開中の
パリソンに密着させて溶着する。また、結晶性熱可塑性
樹脂を用いたインサート部品を100±5℃の温度で予
熱してからブロー成形金型内のキャビティ壁面の所定位
置に位置決めして保持させ、その位置決め状態でパリソ
ンを押出し成形して各インサート部品に押しつけること
により溶着させる。さらに、インサート部品の溶着座に
設けたエア抜き孔から、ブロー成形体の成形時に展開中
のパリソンとの間の空気を逃がすことも行われる。
Description
の車両に装備される燃料タンクのごときブロー成形体に
各種インサート部品を溶着する成形方法に関する。
空(ブロー)成形された樹脂製のものが採用されてお
り、原料となる溶融樹脂を押出機で可塑化してパリソン
を押し出し、型締めを終えた後、ブロー成形機の金型内
キャビティ(成形空洞)においてパリソンにエアーを吹
き込んで所要の形状に成形する。その後、適当な冷却時
間を置いてから離型し、バリ取りなどトリミングを行っ
て製品とされる。
体フレームに固定して取り付けるためのブラケット、燃
料のガソリンを注入して充満させる筒形の給油口、また
エンジンにガソリンを強制的に吐出して送り込むための
吐出弁を取り付ける油出口の吐出弁取付座といった幾つ
かのパーツが設けられている。これら各パーツをタンク
本体に設ける一般的な製造手段として、各パーツとタン
ク本体とをブロー成形で一体に成形する成形方法が行わ
れている。
ツが一体に同時ブロー成形された燃料タンクにあって
は、パーツとの境界部におけるパリソンの展開具合で肉
厚に厚い部分と薄い部分が生じ易い。したがって、経時
使用により劣化などすると薄肉部が破断したり、クラッ
ク(割れ)などが発生し、そこから燃料が外部に滲み出
たり漏出するおそれがある。同じ燃料タンク類でも、一
般家庭で使用される灯油タンクなどであれば多少の燃料
漏出は大事に至らない場合がある。しかし、殊車両に関
しては絶対に許されないトラブルであり、この種の製品
精度として厳しく要求される。
したようにタンク本体に吐出弁取付座が備わるが、その
吐出弁取付座には吐出弁をボルトで結合するためのナッ
トを埋め込んで設けておく必要がある。そうした埋込ナ
ットは金属製であるため、タンク本体との一体による同
時ブロー成形を行えないという事情がある。
て、吐出弁取付座のごとき金属製埋込ナット付きのパー
ツはもとより、上記他の給油口やブラケットなどのパー
ツを予め射出成形によりインサート部品として準備して
おき、本工程でブロー成形金型内キャビティの所定位置
に位置決めした状態から、タンク本体のブロー成形時に
膨らませるパリソンにそれぞれ押し込んで溶着するイン
サート部品溶着成形方法が行われる。
ート部品溶着成形方法においても、解決すべき以下の問
題点がある。図5は、ブロー成形体例として自動二輪車
など車両搭載用の燃料タンクにおいて、インサート部品
の1つとして車体フレームに取り付けるためのブラケッ
ト2をタンク本体1に溶着した状態を示す断面図であ
る。ブラケット2は車体取付用のボルト孔3を有し、下
部にはブロー成形中のタンク本体1への溶着時に食いつ
き性や結合力を高めるべく鍔形状の溶着座4が数段で設
けられている。この溶着座4を埋め込むようにしてブロ
ー成形中のタンク本体1のパリソンに押し込み、溶着し
て一体化成形する。
ように、溶着座4の角部4aがほぼ垂直な角度となって
いるために、ブロー成形中に膨脹して展開してきたパリ
ソンがその垂直な角度の角部4bで破裂したり、その部
分4bのタンク本体1の肉厚は痩せて薄肉5となり、そ
の周辺の強度が低下する原因になる。強度の低下は溶着
座4の角部4bとの境界部分の界面に微細なクラック
(割れ)や破断を引き起こし易くなる。当座は使用でき
ても経時使用で劣化などすると、そのような微細なクラ
ックから毛細管現象でガソリンが外部に滲み出たりする
不具合がある。また、このような現象以外にも、エアー
が抜けきらず、密着ムラ6,7が発生する場合もある。
のタンク本体のごときブロー成形体と、これに付属する
取付ブラケット,給油口,燃料噴射用の排出供給口など
別体成形されるインサート部品との溶着界面からの燃料
滲みだしや漏出を防ぐインサート部品溶着成形方法を提
供することにある。
に、本発明にかかる請求項1に記載のブロー成形体への
インサート部品溶着成形方法は、ブロー成形体の所定位
置にインサート部品を溶着するに際し、インサート部品
の溶着部位に鍔状に設けた溶着座の周縁端部を傾斜角度
で面取りすることにより、その溶着座をブロー成形体の
成形時に展開中のパリソンに密着させて溶着することを
特徴とする。
を面取りすることにより、パリソンとの食いつき性が高
まって一層密着度が強固になり、またパリソンに肉薄部
が生じるのを防止して溶着部周辺の強度が低下するのを
防げる。
インサート部品溶着成形方法は、前記溶着座の周縁端部
の面取り角度が30±10゜であることを特徴とする。
端部に設ける面取り角度の具体例として30±10゜と
することにより、パリソンとの食いつきによる密着で溶
着性が高まる。
インサート部品溶着成形方法は、結晶性熱可塑性樹脂を
用いたインサート部品を100±5℃の温度で予熱して
からブロー成形金型内のキャビティ壁面の所定位置に位
置決めして保持させ、その位置決め状態でパリソンを押
出し成形して各インサート部品に押しつけることにより
溶着することを特徴とする。
インサート部品を溶着する際、インサート部品が予熱さ
れていないとインサート部品が冷えた状態でセットさ
れ、溶融しているパリソンがインサート部品に接触した
時点でパリソンが冷却、固化してしまい、インサート部
品が十分に密着(接着)しないが、それらインサート部品
を予め好適に設定された予熱温度で予熱することによ
り、ブロー成形金型のキャビティ内に押し出されて展開
中のパリソンとの密着性が高まり、溶着強度を高めて高
精度かつ高品質のものが得られる。
インサート部品溶着成形方法は、インサート部品の溶着
座に設けたエア抜き孔から、前記ブロー成形体の成形時
に展開中のパリソンとの間の空気を逃がすことを特徴と
する。
ら展開中のパリソンとの間に残存したり滞留する空気を
逃がすことにより、インサート部品とパリソンとの密着
性が高まり、溶着強度を高めて高精度かつ高品質のもの
が得られる。
インサート部品溶着成形方法は、ブロー成形体が車両搭
載用の燃料タンクであり、このタンク本体に溶着される
インサート部品が筒形状の給油口、車体フレームへの取
付用のブラケットまたはエンジンにガソリンを供給する
吐出弁を取り付けるための油出口となる吐出弁取付座で
あることを特徴とする。
動二輪車のごとき車両搭載用の燃料タンクのインサート
部品溶着成形に最適であり、その他の具体例として薬品
や洗剤などを充填して収納するタンクにも最適である。
インサート部品の具体例として筒状の給油口、車体フレ
ーム取付用ブラケット、吐出弁取付座などがあり、これ
ら各インサート部品をタンク本体に強度的にも品質的に
も満足する溶着が行えて、特に強度面や品質面で厳しく
要求される車両搭載用の燃料ガソリンのタンクに最適で
ある。
体へのインサート部品溶着成形方法の実施の形態につい
て、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本成形方
法が適用された自動二輪車用の燃料タンク10を示す斜
視図である。
ガソリンをタンク内に充満させて給油するための筒形の
給油口20が突設され、その本体21に設けたキャップ
ねじ22に図示しないキャップを着脱自在に螺着させて
蓋開閉できるようになっている。また、タンク本体11
を車体フレームに取り付けて固定するためのブラケット
31がこの場合2つ一対で突設されている。このブラケ
ット31はボルトで車体フレームに結合するためのボル
ト孔32を有している。さらに、ガソリンを吐出してエ
ンジンに送り込んで供給するための後述図4に示す吐出
弁を固定する吐出弁取付座40が設けられている。
て吐出弁取付座40はそれぞれ射出成形された単体部品
であり、ブロー成形金型においてタンク本体11のブロ
ー成形時にパリソンに押し込んで一体に溶着されるイン
サート部品として準備される。
20をタンク本体11に溶着した状態を示す断面図であ
る。全体筒形の給油口20はこの本体21外周にキャッ
プねじ22が形成され、筒下部には鍔形状の溶着座23
が設けられている。溶着座23は周縁端部がタンク本体
11に臨む側に鈍角に、例えば30±10゜、好ましく
は30±5゜の角度に傾斜させた面取り部23aとして
形成されている。これ以上の角度に設定すると食いつき
による密着性に劣るようになる。一方、これ以下の角度
では、周縁端部の肉厚が薄くなりすぎ、成形時に端部迄
樹脂が流れ込まなくなったり、周縁端部に反りや波打ち
が起こり、密着性に劣るようになる。給油口20はそう
した形状に射出成形機でフォーミングされ、次の本工程
であるタンク本体11との同時ブロー成形に備える。
ラケット30をタンク本体11に溶着した状態を示す断
面図である。ブラケット30は本体31の中央部にボル
ト孔32が設けられ、本体31下部に溶着座33が一回
り大きく鍔状に設けられている。溶着座33は周縁端部
がタンク本体11に臨む側に鈍角に、例えば30±10
゜、好ましくは30±5゜の角度で傾斜させた面取り部
33aとして形成されている。このような形状にブラケ
ット30は射出成形機でフォーミングして準備され、次
の本工程であるタンク本体11との同時ブロー成形に備
える。ところで、タンク本体となるパリソン内にエアを
吹き込む際、そのエアが溶着座33との間に残留してエ
ア溜まりとなるのを防ぐため、溶着座33には予め複数
個のエア抜き孔34が設けられている。
ソリン吐出弁を取り付けて固定するための吐出弁取付座
40をタンク本体11に溶着した状態を示す断面図であ
る。この吐出弁取付座40は、長円形などの形状の座本
体41を有し、座本体41の背面側に2つの膨出部4
2,42が山形状に並んで設けられている。そうした座
本体41の平滑な表側から背面側の2つの膨出部42,
42に2つの金属ナット43,43が埋込ナットとして
埋設された形で射出成形機でフォーミングされて準備さ
れ、次の本工程であるタンク本体11への同時ブロー成
形に備える。
である上記給油口20、ブラケット30および吐出弁取
付座40などの材質については特に限定されないが、一
般には結晶性熱可塑性樹脂である融点120〜140℃
の高密度ポリエチレン、融点115〜140℃のポリプ
ロピレンなど結晶性ポリオレフィン系樹脂や融点220
〜240℃のポリアミド樹脂等が用いられる。
あっては、準備されている給油口20、ブラケット30
および吐出弁取付座40の各インサート部品は、予め加
熱槽でそれらの融点よりも低い予熱温度で、例えば10
0±5℃で30分間以上予熱してからブロー成形金型内
のキャビティ壁面の所定位置に位置決めしてセットし、
パリソンの押出し成形に備える。各インサート部品を予
熱する理由は、押出し中のパリソンへの溶着を効果的に
行うためである。
ティに押し込まれると、型締めが行われ、エア吹き込み
などによってそのパリソンをキャビティ内でいっぱいに
膨らませて展開する。パリソンはキャビティ壁面にセッ
トされている給油口20と、ブラケット30と、吐出弁
取付座40のそれぞれに押しつけられる。その際、各イ
ンサート部品と展開中のパリソンとの間に貯まった空気
は、特にブラケット30の場合は溶着座33に設けてあ
るエア抜き孔34から逃がされる。パリソンのいっぱい
の膨れによる展開でタンク本体11としての定形になる
と、各インサート部品は密着状態で強固に溶着され、冷
却工程、離型工程を経由して図1に示すごとき燃料タン
ク10が成形される。
ク10としては、離型後、図2に示すように、給油口2
0が溶着された部位のタンク本体11に貫通孔12が機
械加工などして穿たれて開口される。また、図4に示す
ように、吐出弁取付座40にあっても溶着された部位の
タンク本体11に貫通孔13が機械加工などして穿たれ
て開口される。この貫通孔13は吐出弁45の弁本体か
ら垂下する吸引管48をタンク本体11の内部に挿入す
るのに備える。吸引管48の下端にはフィルタ48aが
取り付けられている。また、吐出弁45にはガソリンの
吐出量などを調整する切換レバー46も備わっている。
0、吐出弁取付座40のいずれにあっても、特に給油口
20やブラケット30はそれらの溶着座23,33に設
けた面取り部23a,33aおよびエア抜き孔24,3
4のためにタンク本体11との境界部において食いつき
性が高まり、界面が強固に密着した状態で溶着されてい
る。それにより、実機に装備して経時使用後でも所要の
品質を保持して、ガソリンの滲みだしや漏洩といったト
ラブルを解消でき、特に品質的にも高精度のものが要求
される自動二輪車のごとき車両搭載用の燃料タンクの成
形方法として最適効果を奏する。
ラケット30で固定した実機装備後、吐出弁取付座40
に吐出弁45がベース47をボルト49によって吐出弁
取付座40側の埋込ナット43に螺合させて固定され
る。固定後、タンク本体11内に貯納されている燃料ガ
ソリンは吐出弁45によって吸引管48から吸い上げら
れ、エンジンに供給される。
用としてガソリンを貯納する燃料タンクを前提に説明し
たが、中身漏出などに対して高精度のシール性が厳しく
要求される薬品や洗剤などを収納するタンクの成形方法
にも適用し得ることは勿論である。
求項1に記載のブロー成形体へのインサート部品溶着成
形方法は、インサート部品の溶着座の角部を面取りする
ことにより、パリソンとの食いつき性が高まって一層密
着度が強固になり、またパリソンに肉薄部が生じるのを
防止して溶着部周辺の強度が低下するのを防げる。
インサート部品溶着成形方法は、インサート部品の溶着
座の周縁端部に設ける面取り角度の具体例として30±
10゜とすることにより、パリソンとの食いつきによる
密着で溶着性が高まる。
インサート部品溶着成形方法は、ブロー成形される本体
にインサート部品を溶着する際、インサート部品を予め
好適に設定された予熱温度で予熱することにより、ブロ
ー成形金型のキャビティ内に押し出されて展開中のパリ
ソンとの密着性が高まり、溶着強度を高めて高精度かつ
高品質のものが得られる。
インサート部品溶着成形方法は、インサート部品のエア
抜き孔から展開中のパリソンとの間に残存したり滞留す
る空気を逃がすことにより、インサート部品とパリソン
との密着性が高まり、溶着強度を高めて高精度かつ高品
質のものが得られる。
インサート部品溶着成形方法は、ブロー成形体の具体例
として自動二輪車のごとき車両搭載用の燃料タンクのイ
ンサート部品溶着成形に最適であり、その他の具体例と
して薬品や洗剤などを充填して収納するタンクにも最適
である。インサート部品の具体例として筒状の給油口、
車体フレーム取付用ブラケット、吐出弁取付座などがあ
り、これら各インサート部品をタンク本体に強度的にも
品質的にも満足する溶着が行えて、特に強度面や品質面
で厳しく要求される車両搭載用の燃料ガソリンのタンク
に最適である。
成形された自動二輪車搭載の燃料タンクを示す斜視図で
ある。
けられたインサート部品である給油口の断面図である。
付けられたインサート部品であるブラケットの断面図で
ある。
付けられた吐出弁取付座とそれにボルト結合されるガソ
リン吐出弁との取り合いを示す一部断面による分解図で
ある。
れたインサート部品の従来例としてブラケットを示す断
面図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 ブロー成形体の所定位置にインサート部
品を溶着するに際し、インサート部品の溶着部位に鍔状
に設けた溶着座の周縁端部を傾斜角度で面取りすること
により、その溶着座をブロー成形体の成形時に展開中の
パリソンに密着させて溶着することを特徴とするブロー
成形体へのインサート部品溶着成形方法。 - 【請求項2】 溶着座の周縁端部の面取り角度が30±
10゜であることを特徴とする請求項1記載のブロー成
形体へのインサート部品溶着成形方法。 - 【請求項3】 結晶性熱可塑性樹脂を用いたインサート
部品を100±5℃の温度で予熱してからブロー成形金
型内のキャビティ壁面の所定位置に位置決めして保持さ
せ、その位置決め状態でパリソンを押出し成形して各イ
ンサート部品に押しつけることにより溶着させることを
特徴とする請求項1または2記載のブロー成形体へのイ
ンサート部品溶着成形方法。 - 【請求項4】 インサート部品の溶着座に設けたエア抜
き孔から、ブロー成形体の成形時に展開中のパリソンと
の間の空気を逃がすことを特徴とする請求項1,2また
は3記載のブロー成形体へのインサート部品溶着成形方
法。 - 【請求項5】 ブロー成形体が車両搭載用の燃料タンク
であり、このタンク本体に溶着されるインサート部品が
筒形状の給油口、車体フレームへの取付用のブラケット
またはエンジンにガソリンを供給する吐出弁を取り付け
るための油出口となる吐出弁取付座であることを特徴と
する請求項1,2,3または4記載のブロー成形体への
インサート部品溶着成形方法。
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