JP2003236680A - アルミニウム合金製広幅材の製造方法及び製造装置 - Google Patents

アルミニウム合金製広幅材の製造方法及び製造装置

Info

Publication number
JP2003236680A
JP2003236680A JP2002037155A JP2002037155A JP2003236680A JP 2003236680 A JP2003236680 A JP 2003236680A JP 2002037155 A JP2002037155 A JP 2002037155A JP 2002037155 A JP2002037155 A JP 2002037155A JP 2003236680 A JP2003236680 A JP 2003236680A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
base materials
aluminum alloy
contact
width direction
wide material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002037155A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3966736B2 (ja
Inventor
Masaki Kumagai
正樹 熊谷
Sunao Tanaka
直 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Light Metal Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Light Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Light Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Light Metal Industries Ltd
Priority to JP2002037155A priority Critical patent/JP3966736B2/ja
Publication of JP2003236680A publication Critical patent/JP2003236680A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3966736B2 publication Critical patent/JP3966736B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)
  • Metal Rolling (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた品質を有するアルミニウム合金製広幅
材を、高度な生産性をもって製造することが出来る方法
と装置とを提供する。 【解決手段】 アルミニウム合金材料からなる複数の母
材14a,14bを、成形直後の表面温度と内部温度が
該アルミニウム合金材料の融点の0.1倍以上となるよ
うに、同時に押出成形乃至は圧延成形する一方、それら
複数の母材14a,14bを、それぞれの表面温度が前
記融点の0.1倍未満の温度にまで低下する前に幅方向
に並べて互いに接触せしめ、そして、それら互いに接触
せしめられた複数の母材14a,14bのそれぞれの表
面温度が、前記融点の0.1〜0.5倍の範囲内とされ
ている間に、複数の母材の接触部38に対する摩擦撹拌
接合操作を行なって、複数の母材14a,14bを、接
触部38において長手方向に連続的に接合して、一体化
するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、アルミニウム合金製広幅材の製
造方法及び製造装置に係り、特に、一般的な押出加工や
圧延加工等の塑性加工だけでは得られない広幅のアルミ
ニウム合金製の板材や角筒材、角柱材を有利に製造する
方法と装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】よく知られているように、アルミニウム合
金製の板材や角筒材、或いは角柱材等を製造する方法の
一種として、押出機や圧延機等を用いて、アルミニウム
合金材料に対する押出加工や圧延加工等の塑性加工を行
なうことにより、目的とするアルミニウム合金材を得る
方法がある。この種のアルミニウム合金材の製造方法で
は、目的とするアルミニウム合金材を、例えば、鋳造等
により製造する場合に比して、生産性の向上が図られ得
るのであるが、その反面、大型のアルミニウム合金材を
得ようとすると、大型の押出機や圧延機が必要となり、
それによって、著しいコストの高騰が惹起されるといっ
た問題が内在していたのである。
【0003】このため、従来では、広幅のアルミニウム
合金材を得るに際して、先ず、一般的な大きさの押出機
や圧延機を用いて、所定幅のアルミニウム合金製母材を
複数成形し、次いで、成形された複数の母材を幅方向に
並べて互いに接触せしめた後、それら複数の母材の接触
部をアーク溶接等により接合することによって、一体化
する手法が、一般に採用されてきているのである。
【0004】ところが、このような従来のアルミニウム
合金製広幅材の製造手法では、幅方向において互いに接
触せしめられる母材の接合が、それらの接触部を溶融せ
しめることからなる溶融溶接となるところから、溶接時
の多大な入熱によって、母材に、熱歪みによる変形が生
じたり、或いは溶接部にブローホールや凝固割れ等の接
合不良が発生したりして、目的とするアルミニウム合金
製広幅材の品質が、母材に比べて大きく低下する恐れが
あったのである。
【0005】また、かかる従来手法においては、一般
に、押出機や圧延機にて複数の母材を、それぞれ一つず
つ成形した後、成形された複数の母材のそれぞれを、取
扱性等を考慮して、一旦、常温程度にまで冷却し、そし
てその後、それら複数の母材がアーク溶接されるように
なっているため、複数の母材が全て成形されるまでと、
その成形から、目的とするアルミニウム合金製広幅材の
完成までに、多大な時間が費やされており、それが、ア
ルミニウム合金製広幅材の生産性の向上を妨げていたの
である。
【0006】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述せる如き事
情を背景にして為されたものであって、その解決課題と
するところは、優れた品質を有するアルミニウム合金製
広幅材を、高度な生産性をもって製造することが出来る
方法と装置とを提供することにある。
【0007】そして、本発明者等は、かかる課題を解決
するために、種々検討を繰り返すうちに、接合されるべ
き部分を加熱溶融させずに、その融点の約0.8倍の温
度にまで上昇せしめた固相の塑性流動状態下で接合する
固相接合の一種であって、入熱が少ないために、熱歪み
が小さく、しかも接合されるべき部分の組織が塑性流動
せしめられるだけであることから、ブローホールや凝固
割れ等の接合不良の発生が少ない接合手法として知られ
る摩擦撹拌接合手法を採用して、複数の母材の接触部を
接合することを着想したのであり、また、そのような着
想に基づいて、更に鋭意研究を重ねた結果、押出加工や
圧延加工にて得られるアルミニウム合金製母材の複数
を、加工時に生ずる摩擦熱や変形熱等により高められた
表面温度や内部温度が常温にまで冷却される前に接触さ
せ、そして、それらの接触部を、その表面温度が特定の
範囲内とされている間に摩擦撹拌接合することによっ
て、より効率的な接合操作が実現され得ることを、見出
したのである。
【0008】すなわち、本発明は、かくの如き知見に基
づいて完成されたものであって、その要旨とするところ
は、所定の幅を有する長手の板状、角筒状、若しくは角
柱状のアルミニウム合金製母材の複数を、幅方向に並べ
て互いに接触せしめた状態下で、その接触部において長
手方向に連続的に接合して、一体化することにより、ア
ルミニウム合金製広幅材を製造するに際して、(a)ア
ルミニウム合金材料に対する押出加工や圧延加工を実施
して、前記アルミニウム合金製母材の複数を、成形直後
の表面温度と内部温度が該アルミニウム合金材料の融点
の0.1倍以上となるように、同時に成形する工程と、
(b)それら成形された前記複数の母材のそれぞれの表
面温度が前記融点の0.1倍未満の温度にまで低下する
前に、該複数の母材を、幅方向に並べて互いに接触せし
める工程と、(c)それら互いに接触せしめられた複数
の母材のそれぞれの表面温度が、前記融点の0.1〜
0.5倍の範囲内とされている間に、該複数の母材の接
触部に対する摩擦撹拌接合操作を行なうことにより、該
複数の母材を、該接触部において長手方向に連続的に接
合して、一体化する工程とを含むことを特徴とするアル
ミニウム合金製広幅材の製造方法に、あるのである。
【0009】つまり、この本発明に従うアルミニウム合
金製広幅材の製造方法においては、アルミニウム合金材
料に対する押出加工や圧延加工を実施することにより成
形された母材の複数を、幅方向に並べて接触させた状態
下で、それらの接触部を摩擦撹拌接合するようにしたも
のであるところから、接合時における入熱によって、母
材に、熱歪みによる変形が生じたり、或いは接合部にブ
ローホールや凝固割れ等の接合不良が発生したりするこ
とが、効果的に解消乃至は抑制され得るのである。
【0010】また、本発明に係るアルミニウム合金製広
幅材の製造方法にあっては、特に、複数の母材が、アル
ミニウム合金材料に対する押出加工時や圧延加工時にア
ルミニウム合金材料の内部で生ずる変形熱や摩擦熱、或
いはアルミニウム合金材料が加工前から有する熱の残熱
等により、少なくとも、アルミニウム合金材料の融点の
0.1倍の表面温度と内部温度を有する状態で、互いに
接触せしめられ、そして、それら複数の母材の表面温度
がアルミニウム合金材料の融点の0.1〜0.5倍の間
の範囲内とされている間に、複数の母材の接触部が摩擦
撹拌接合されるようになっているため、それら複数の母
材の接触部の内部温度が、表面温度と同等以上とされた
状態で、摩擦撹拌接合操作が実施され得ることとなり、
それによって、各母材の内部温度が、摩擦撹拌接合時
に、その操作の実施により生ずる摩擦熱が加えられて、
摩擦撹拌接合に必要なアルミニウム合金材料の融点の約
0.8倍程度にまで、速やかに且つ確実に上昇せしめら
れ得るのであり、その結果として、例えば、常温にまで
冷却された複数の母材の接触部を摩擦撹拌接合する場合
に比して、接合速度が飛躍的に増大せしめられ得ること
となるのである。
【0011】しかも、本発明手法では、複数の母材が、
アルミニウム合金材料に対する押出加工や圧延加工によ
り、アルミニウム合金材料の融点の0.1倍以上の表面
温度と内部温度を有するように成形されるようになって
いるところから、上述せる如き接合速度の増大のため
に、各母材を外部から加熱する必要が全くなく、従っ
て、接合速度の増大が、効率的に実現せしめられ得るの
である。
【0012】さらに、かかる本発明に従うアルミニウム
合金製広幅材の製造方法においては、アルミニウム合金
材料に対する押出加工や圧延加工により、複数の母材が
同時に成形され、また、それらの母材が、常温よりも十
分に高い、アルミニウム合金材料の融点の0.1倍未満
の温度にまで低下する前に、互いに接触せしめられて、
その接触部において摩擦撹拌接合により一体化されるよ
うになっているところから、複数の母材を一つずつ成形
した後、それら各母材を常温にまで冷却してから接合す
るようにした従来手法を採用する場合に比して、複数の
母材が迅速に成形され得ると共に、成形された複数の母
材を冷却するための時間が有利に短縮化され得るのであ
る。
【0013】従って、このような本発明に従うアルミニ
ウム合金製広幅材の製造方法によれば、母材同士の接合
部における接合不良等のない、優れた品質を有するアル
ミニウム合金製広幅材を、迅速且つ効率的な操作によ
り、高度な生産性をもって製造することが出来るのであ
る。
【0014】なお、かくの如き本発明に従うアルミニウ
ム合金製広幅材の製造方法の好ましい態様の一つによれ
ば、前記複数の母材を、幅方向に並べて、幅方向の側面
同士において互いに突き合わせた状態下で、その突合せ
部に対して、ロッド状の回転治具の先端に同心的に設け
たピンを、該回転治具と共に一体に回転させつつ差し込
み、相対的に移動させることにより、かかる突合せ部を
摩擦撹拌接合することで、前記摩擦撹拌接合操作が、実
施されることとなる。
【0015】このような構成を採用すれば、例えば、複
数の母材を、幅方向の側部の一部分において互いに重ね
合わせて接触せしめる場合とは異なって、各母材の幅の
合計寸法が、製造されるべきアルミニウム合金製広幅材
の幅寸法と為され得るのであり、それによって、幅寸法
のより大きなアルミニウム合金製広幅材が、効率的に製
造され得ることとなるのである。
【0016】また、本発明に従うアルミニウム合金製広
幅材の製造方法の有利な別の態様の一つによれば、前記
複数の母材を幅方向の側面同士において互いに突き合わ
せた状態下で、該複数の母材のそれぞれにおける、幅方
向と長手方向に対して直角な方向の一方の側に位置する
端面側から、それら各母材を加熱する一方、前記ピン
を、前記回転治具と共に一体に回転させつつ、該複数の
母材の加熱される端面側とは反対側から、該複数の母材
の突合せ部に対して差し込み、相対的に移動させること
により、かかる突合せ部が摩擦撹拌接合されることとな
る。
【0017】かかる構成を有するアルミニウム合金製広
幅材の製造方法にあっては、複数の母材の接触部に対す
る摩擦撹拌接合時に、回転治具のピンが設けられる先端
面と各母材の接触部表面との間で生ずる摩擦熱により、
各母材の接触部が、回転治具のピンが差し込まれる端面
側から加熱される一方、各母材の接触部のピンの差込み
側とは反対の端面側からも外部から加熱されることとな
るため、接触部全体の内部温度が効率的且つ確実に高め
られ得、それによって、接触部全体の組織が、ピンの回
転による撹拌作用にて、より十分に入り交わらされて、
接合部に、所謂キッシングボンドと称される不完全接合
部分が発生するようなことが有利に防止され得るのであ
り、その結果として、より一層優れた品質を有するアル
ミニウム合金製広幅材が、極めて有利に製造され得るこ
ととなるのである。
【0018】さらに、本発明に従うアルミニウム合金製
広幅材の製造方法の他の望ましい態様の一つによれば、
前記圧延加工が、溶融状態のアルミニウム合金材料を複
数の圧延ローラの間に供給して、それら複数の圧延ロー
ラの間で冷却固化せしめると共に、該冷却固化されたア
ルミニウム合金材料を圧延する溶湯圧延加工とされる。
これによって、一般的な溶湯圧延加工では到底得られな
いアルミニウム合金製広幅材が、容易に且つ確実に、し
かも高度な生産性をもって製造され得ることとなるので
ある。
【0019】また、本発明に従うアルミニウム合金製広
幅材の製造方法において、アルミニウム合金材料に対す
る押出加工を実施して、複数の母材を得る際には、有利
には、複数の押出機を用いて、複数のアルミニウム合金
製の母材が同時に押出成形されるか、若しくは複数のダ
イス穴を有するダイスを備えた押出機を用いて、それら
複数のダイス穴を通じて、前記複数のアルミニウム合金
製の母材が同時に押出成形されることとなる。
【0020】ところで、本発明にあっては、前述せる如
き技術的課題を解決するために、所定の幅を有する長手
の板状、角筒状、若しくは角柱状のアルミニウム合金製
母材の複数を、幅方向に並べて互いに接触せしめた状態
下で、その接触部において長手方向に連続的に接合し
て、一体化することにより、アルミニウム合金製広幅材
を製造する装置において、(a)前記アルミニウム合金
製母材の複数を、成形直後の表面温度と内部温度が、該
複数の母材をそれぞれ与えるアルミニウム合金材料の融
点の0.1倍以上となるように、同時に押出成形若しく
は圧延成形して連続的に送り出す押出機若しくは圧延機
と、(b)該押出機若しくは圧延機から送り出される前
記複数の母材を、それぞれの表面温度が前記アルミニウ
ム合金材料の融点の0.1倍未満の温度にまで低下する
前に、幅方向に並べて互いに接触せしめるように案内す
る案内機構と、(c)該案内機構よりも、前記複数の母
材の送出し方向の下流側において、該複数の母材のそれ
ぞれの表面温度が前記融点の0.1〜0.5倍の範囲内
に維持される位置に配置された、先端にピンが同心的に
設けられてなるロッド状の回転治具を有し、該案内機構
にて互いに接触せしめられた複数の母材のそれぞれの表
面温度が該融点の0.1〜0.5倍の範囲内とされてい
る間に、該ピンを、該回転治具と共に一体に回転させつ
つ、それら複数の母材の接触部に差し込み、相対的に移
動させて、該接触部を摩擦撹拌接合することにより、該
複数の母材を、該接触部において長手方向に連続的に接
合して、一体化する接合機構とを有することを特徴とす
るアルミニウム合金製広幅材の製造装置をも、また、そ
の要旨とするものである。
【0021】すなわち、この本発明に従うアルミニウム
合金製広幅材の製造装置にあっては、押出機若しくは圧
延機にて、複数のアルミニウム合金製母材が、それを与
えるアルミニウム合金材料の融点の0.1倍以上の表面
温度と内部温度とを成形直後に有するように成形される
と共に、それら複数の母材が、案内機構にて案内されつ
つ、アルミニウム合金材料の融点の0.1倍未満の温度
にまで低下する前に、幅方向に並べられて、互いに接触
せしめられ、更に、それら互いに接触せしめられた複数
の母材の表面温度が、前記融点の0.1〜0.5倍の範
囲内とされている間に、接合機構に設けられた回転治具
の先端のピンが、回転治具と共に一体回転せしめられつ
つ、複数の母材の接触部に対して差し込まれて、相対的
に移動させられることにより、複数の母材が、接触部に
おいて摩擦撹拌接合せしめられて、一体化され、以て目
的とするアルミニウム合金製広幅材が製造されるように
なっているのである。
【0022】それ故、本発明に従うアルミニウム合金製
広幅材の製造装置においては、前述せる如き優れた特徴
を有するアルミニウム合金製広幅材の製造に係る本発明
手法を確実に且つ容易に実現することが出来るのであ
る。
【0023】従って、かくの如き本発明に従うアルミニ
ウム合金製広幅材の製造装置を用いれば、母材同士の接
合部における接合不良等のない優れた品質を有するアル
ミニウム合金製広幅材が、高度な生産性をもって、より
迅速に且つ効率的に製造され得ることとなるのである。
【0024】なお、このような本発明に従うアルミニウ
ム合金製広幅材の製造装置の好ましい態様の一つによれ
ば、前記ピンを有する前記回転治具の配設位置におけ
る、前記互いに接触せしめられた複数の母材を間に挟ん
だ該回転治具側とは反対側に、それら複数の母材を支持
するように配設されて、該複数の母材の接触部への該ピ
ンの差込みに伴って該複数の母材に作用せしめられる押
圧力による該複数の母材の変形を阻止する裏当てローラ
を更に有して、前記接合機構が構成される。
【0025】かかる構成を有するアルミニウム合金製広
幅材の製造装置においては、例えば、目的とするアルミ
ニウム合金製広幅材を与える複数の母材が比較的に薄肉
の板材であっても、そのような複数の母材の接触部に対
する摩擦撹拌接合によって得られるアルミニウム合金製
広幅材の接合部やその周囲に変形部分が生ずることが有
利に防止され得るのであり、それによって、所望の形状
を有するアルミニウム合金製広幅材が、高い形状精度を
もって、有利に製造され得ることとなるのである。
【0026】また、本発明に従うアルミニウム合金製広
幅材の製造装置の別の有利な態様の一つによれば、前記
裏当てローラが、該裏当てローラにて支持される前記複
数の母材の被支持面を加熱する加熱手段を有して、構成
される。
【0027】このような構成を有するアルミニウム合金
製広幅材の製造装置においては、複数の母材の接触部に
対する摩擦撹拌接合時に、回転治具のピンが設けられる
先端面と各母材の接触部表面との間で生ずる大きな摩擦
熱が伝わり難い、各母材の接触部のピンの差込み側とは
反対の端面側部分を効果的に加熱することが出来るた
め、接触部全体の内部温度が効率的且つ確実に高められ
得、それによって、接触部全体の組織が、ピンの回転に
よる撹拌作用にて、より十分に入り交わらされて、接合
部に、所謂キッシングボンドと称される不完全接合部分
が発生するようなことが有利に防止され得るのであり、
その結果として、より一層優れた品質を有するアルミニ
ウム合金製広幅材が、極めて有利に製造され得ることと
なるのである。
【0028】なお、本発明に従うアルミニウム合金製広
幅材の製造装置において、接合機構に加熱手段を備えた
裏当てローラが設けられる場合には、有利には、かかる
接合機構が、裏当てローラに設けられた加熱手段の加熱
温度を制御する制御部を有して、構成される。これによ
って、各母材の接触部のピンの差込み側とは反対の端面
側部分を所望の温度となるように、より効果的に加熱す
ることが可能となり、以て、接触部全体の内部温度が効
率的且つ確実に高められ得て、かかる接触部が、より完
全に摩擦撹拌接合され得ることとなるのであり、その結
果として、目的とするアルミニウム合金製広幅材が、一
層優れた品質をもって製造され得るのである。
【0029】また、本発明に従うアルミニウム合金製広
幅材の製造装置の好ましい別の態様の一つによれば、前
記裏当てローラの幅方向の両サイドに、該裏当てローラ
にて支持される前記互いに接触せしめられた複数の母材
の幅方向の最も外側に位置する二つの側面にそれぞれ接
触して、該複数の母材を、それらの接触部が離間しない
ように、幅方向内側に押さえ付ける押えローラが配設さ
れることとなる。
【0030】このような構成を有するアルミニウム合金
製広幅材の製造装置にあっては、複数の母材の接触部へ
のピンの差込み状態下においても、それらの接触部の離
間が有利に阻止され得るのであり、それによって、かか
る接触部を、よりスムーズに且つ確実に摩擦撹拌接合せ
しめることが出来るのである。
【0031】さらに、かかる本発明に従うアルミニウム
合金製広幅材の製造装置の更に他の有利な態様の一つに
よれば、前記押出機が、前記複数の母材のそれぞれを、
前記ピンの差込み側とは反対側の面に、長手方向に連続
して延びるリブの複数が幅方向に所定の距離を隔てて立
設されるように成形するダイスを有して構成されると共
に、前記裏当てローラが、そのローラ面に、該複数の母
材にそれぞれ設けられた複数のリブが嵌入可能な凹部が
幅方向に所定の距離を隔てて形成されて、構成される。
【0032】このような構成を有するアルミニウム合金
製広幅材の製造装置を用いれば、例えば、一方の面に複
数のリブが等間隔をおいて立設されてなる形態を有し、
半導体等の素子や、それを実装した装置等に取り付けら
れるヒートシンク等を、優れた品質と高度な生産性とを
もって、極めて有利に製造することが可能となるのであ
る。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明ら
かにするために、本発明に係るアルミニウム合金製広幅
材の製造方法と製造装置の構成について、図面を参照し
つつ、詳細に説明することとする。
【0034】先ず、図1には、本発明に従う構造を有す
る、アルミニウム合金製広幅材の製造装置の一実施形態
が、本発明手法に従って、アルミニウム合金製広幅材を
製造している状態において、概略的に示されている。か
かる図1からも明らかなように、アルミニウム合金製広
幅材の製造装置10は、目的とするアルミニウム合金製
広幅材12を与える狭幅のアルミニウム合金製母材14
をそれぞれ成形する二つの押出機16a,16bと、そ
れら二つの押出機16a,16bにて成形される二つの
母材14a,14bをそれぞれ搬送するローラコンベヤ
18と、ローラコンベヤ18にて搬送される二つの母材
14a,14bを接合する接合機構20とを有して、構
成されている。
【0035】より具体的には、広幅材製造装置10を構
成する二つの押出機16a,16bは、アルミニウム合
金材料からなるビレット(図示せず)が収容されるコン
テナ22a,22bのそれぞれの先端部に、目的とする
広幅材12の幅の略半分の幅を有する、互いに同一大き
さの矩形状のダイス穴24a,24bを備えたダイス2
6a,26bが取り付けられた、公知の構造を有してい
る。また、図示されてはいないものの、それら各押出機
16a,16bのコンテナ22a,22bの内部には、
従来機と同様に、ビレットを加熱するためのヒータが設
けられており、このヒータにて、ビレットを、例えば再
結晶温度以上にまで加熱した状態下で、かかるビレット
に対する押出操作が実施されるようになっている。
【0036】そして、そのような各押出機16a,16
bが、それぞれのダイス26a,26bのダイス穴24
a,24bを同一方向に開口せしめるように、左右に並
列した状態で、上下に離間して位置せしめられ、且つ上
側に位置する押出機16aが、下側に傾けられて配され
ている一方、下側に位置する押出機16bは、上側に傾
けられて配されている。
【0037】これによって、ここでは、各押出機16
a,16bにそれぞれ設けられた、図示しないステムの
前進移動に伴って、上側押出機16aから、それに取り
付けられたダイス26aのダイス穴24aを通じて、該
ダイス穴24aの形状に対応した矩形状の断面形状を呈
する平板状の長手のアルミニウム合金製母材14aが押
し出されて、斜め下方に向かって連続的に送り出される
一方、それと同時に、下側押出機16bからも、それに
取り付けられたダイス26bのダイス穴24bを通じ
て、上側押出機16aにて押出成形される母材14aと
同一大きさの断面矩形形状を呈する平板状のアルミニウ
ム合金製母材14bが押し出されて、斜め上方に向かっ
て連続的に送り出されるようになっている。
【0038】また、そのようにして各上側及び下側押出
機16a,16bにて押し出されて、送り出される各母
材14a,14bは、前記コンテナ22aに内蔵された
ヒータによる外部加熱と、押出成形時の摩擦熱や変形熱
とによって、成形直後の表面温度と内部温度とが、それ
ぞれ、ビレットを構成するアルミニウム合金材料の融点
の0.1倍以上の高温状態とされるようになっている。
なお、成形直後の表面温度と内部温度が、それぞれ、ビ
レットを構成するアルミニウム合金材料の融点の0.1
倍未満の低い温度とされているような母材14a,14
bは、極めて低い表面温度と内部温度とを有するビレッ
トに対する押出加工を行なうことによって得られること
となるが、このような押出加工を実施する場合、ビレッ
トの押出し時に大きな変形抵抗が生じるため、押出加工
のスムーズな進行が困難となり、また場合によっては、
押出加工の進行や成形された母材14a,14bに何等
かの不具合が生ずる恐れがある。それ故、ここでは、品
質の安定した母材14a,14bを安定的に得る上にお
いて、押出機16a,16bが、成形直後に、ビレット
を構成するアルミニウム合金材料の融点の0.1倍以上
の表面温度と内部温度とを有する母材14a,14bが
成形され得るように構成されている必要があるのであ
る。
【0039】一方、各押出機16a,16bにて押出成
形される各母材14a,14bを搬送するローラコンベ
ヤ18は、上側押出機16aの前方において、母材14
aの送出し方向に真っ直ぐに延出し、且つその延出方向
に沿って、漸次、高さが低くされた第一コンベヤ28
と、下側押出機16bの前方において、第一のコンベヤ
28に対して、該第一コンベヤ28にて搬送される母材
14aの幅方向に並んで、該第一コンベヤ28と平行し
て真っ直ぐに延出し、且つその延出方向に沿って、漸
次、高さが高くされた第二コンベヤ30とを有してい
る。
【0040】そして、このローラコンベヤ18における
第一及び第二コンベヤ28,30にあっては、それぞれ
の延出長さが同一の長さとされていると共に、それらの
延出方向の先端部、換言すれば、各母材14a,14b
の搬送方向(送出し方向)の下流側端部の高さが、互い
に同一の高さとされている。そして、そのような各コン
ベヤ28,30の同一高さとされた先端部には、一対の
ガイドローラ32a,32bが、搬送される各母材14
a,14bの上面と下面とにそれぞれ接触可能な距離を
隔てて上下方向に対向しつつ、第一コンベヤ28と第二
コンベヤ30とを跨いだ状態で、水平方向に延びるよう
に設けられている。
【0041】かくして、ここでは、上側押出機16aに
て押出成形されて、斜め下方に向かって送り出される母
材14aと、下側押出機16bにて押出成形されて、斜
め上方に向かって送り出される母材14bとが、ローラ
コンベヤ18の第一コンベヤ28と第二コンベヤ30と
によって、幅方向に並んで、その送出し方向に沿って、
同時に且つスムーズに搬送せしめられ、そして、それら
各コンベヤ28,30における各母材14a,14bの
搬送方向の下流側端部で、幅方向の側面同士において、
互いに突き合わされて、接触せしめられると共に、かか
る端部部分に設けられた一対のガイドローラ32a,3
2bの間に挟まれることにより、互いに接触せしめられ
た状態下で、それぞれの搬送方向が上傾乃は下傾方向か
ら水平方向に変更せしめられるようになっているのであ
る。このことから明らかなように、本実施形態において
は、ローラコンベヤ18の第一及び第二コンベヤ28,
30と、それらに設けられた一対のガイドローラ32
a,32bとにて、案内機構が構成されているのであ
る。
【0042】なお、上述のようにして互いに突き合わさ
れる二つの母材14a,14bは、前述せる如く、成形
直後に、ビレットを構成するアルミニウム合金材料の融
点の0.1倍以上の高温状態とされているものの、第一
コンベヤ28と第二コンベヤ30にて搬送される間に外
気に晒されて、冷却されることとなるが、ここでは、第
一及び第二コンベヤ28,30の延出長さが調節される
ことにより、互いに突き合わされた時点での各母材14
a,14bの表面温度が、ビレットを構成するアルミニ
ウム合金材料の融点の0.1〜0.5倍程度の高温状態
が維持されるようになっている。これは、後述する、各
母材14a,14bの突合せ部(38)に対する摩擦撹
拌接合時に、それら各母材14a,14bの表面温度
が、かかる融点の0.1〜0.5倍の範囲内の温度とな
るように為す必要があるからである。
【0043】そして、このようなローラコンベヤ18の
第一及び第二コンベヤ28,30にて搬送されて、互い
に突き合わされた二つの母材14a,14bが、前述せ
るように、前記接合機構20にて接合されるようになっ
ているのであるが、ここでは、かかる接合機構20が、
二つの母材14a,14bを摩擦撹拌接合するための構
造を有して、構成されている。
【0044】すなわち、接合機構20は、図示しない駆
動装置により中心軸回りに高速回転せしめられると共
に、上下方向に移動可能とされた回転治具34を有して
いる。この回転治具34は、一般的な摩擦撹拌接合操作
に用いられる従来品と同様に、、全体として、ロッド形
状を呈し、その先端面(下端面)の中心部にピン36が
突設されて構成され、少なくとも、かかるピン36とそ
れが設けられる先端部とが、摩擦撹拌接合されるべきア
ルミニウム合金製の母材14a,14bよりも硬質の材
料を用いて、形成されている。
【0045】そして、そのような回転治具34が、ロー
ラコンベヤ18にて搬送される各母材14a,14bの
上方において、第一及び第二コンベヤ28,30の母材
14a,14bの搬送方向下流側端部に設けられた一対
のガイドローラ32a,32bよりも更に下流側で、そ
れら一対のガイドローラ32a,32bにて、互いに突
き合わされて接触せしめられた各母材14a,14bの
突合せ部(接触部)38に対応位置するように、配設さ
れているのである。なお、ここでは、かかる回転治具3
4が、一対のガイドローラ32a,32bに対して、各
母材14a,14bの搬送方向の下流側の極めて近い場
所に位置せしめられており、それによって、回転治具3
4の配設位置に達した時点での各母材14a,14bの
表面温度が、一対のガイドローラ32a,32bを通過
した時点での表面温度と略同じである、各母材14a,
14bを与えるアルミニウム合金材料の融点の0.1〜
0.5倍の温度となるようにされている。
【0046】また、かくの如き回転治具34を有する接
合機構20は、裏当てローラ40を、更に有している。
この裏当てローラ40は、幅方向の側面同士において互
いに突き合わされた二つの母材14a,14bの合計の
幅寸法よりも僅かに大きな長さを有する小径の支持ロー
ラ42と、かかる支持ローラ42の長さ方向の両側端面
に対して、それぞれ同軸的に且つ一体回転可能に設けら
れた大径の押えローラ44,44とにて、構成されてい
る。また、ここでは、この裏当てローラ40における支
持ローラ42が、ローラ表面を加熱するヒータ(図示せ
ず)を内蔵した公知のヒータローラにて構成されてお
り、更に、このヒータローラからなる支持ローラ42の
ローラ表面の加熱温度が、広幅材製造装置10全体の運
転を制御する制御装置45に組み込まれたローラ温度制
御部47にて制御されるようになっている。
【0047】そして、このような裏当てローラ40が、
前記した回転治具34の配設位置における、ローラコン
ベヤ18にて搬送される二つの母材14a,14bを間
に挟んだ回転治具34側とは反対側において、ローラコ
ンベヤ18に軸支されており、またその状態下で、幅方
向の側面同士において互いに突き合わされた二つの母材
14a,14bを、支持ローラ42にて支持すると共
に、かかる二つの母材14a,14bの互いに突き合わ
される側とは反対側の側面のそれぞれに対して、換言す
れば、幅方向において互いに突き合わされた二つの母材
14a,14bの幅方向外側の側面のそれぞれに対し
て、各押えローラ44,44のそれぞれの内側端面にお
いて接触するように位置せしめられている。
【0048】これによって、ローラコンベヤ18におけ
る一対のガイドローラ32a,32bの間を通過して、
互いに幅方向において突き合わされた状態で搬送される
二つの母材14a,14bが、裏当てローラ40の支持
ローラ42にて支持されると共に、二つの押えローラ4
4,44にて、二つの母材14a,14bの突合せ部3
8が離間しないように、それら各母材14a,14bが
幅方向の内側に押さえ付けられつつ、該支持ローラ42
と前記回転治具34との間を通過して、下流側に更に搬
送されるようになっており、また、それら支持ローラ4
2と回転治具34との間を通過する際に、前記ローラ温
度制御部47により所定の温度に加熱された支持ローラ
42のローラ表面にて、各母材14a,14bの下面の
表面温度が、所望の温度に加熱されるようになっている
のである。なお、ここでは、各母材14a,14bの下
面の表面温度が、例えば、各母材14a,14bを与え
るアルミニウム合金材料の融点の0.1〜0.5倍程度
の温度となるように、支持ローラ42により加熱される
こととなる。
【0049】かくして、本実施形態においては、回転治
具34と裏当てローラ40との間を、互いに突き合わさ
れた二つの母材14a,14bが、それらをそれぞれ与
えるアルミニウム合金材料の融点の0.1〜0.5倍の
表面温度を有する状態で通過する際に、回転治具34を
高速回転せしめつつ、下方に移動させることにより、そ
の先端のピン36が、二つの母材14a,14bの突合
せ部38に差し込まれ、それら各母材14a,14bの
搬送に伴って、突合せ部38に沿って相対的に移動せし
められるようになっている。そして、それによって、互
いに突き合わされた二つの母材14a,14bのそれぞ
れの表面温度が、各母材14a,14bを与えるアルミ
ニウム合金材料の融点の0.1〜0.5倍の範囲内とさ
れている間に、それら各母材14a,14bの突合せ部
38が摩擦撹拌接合されて、突合せ部38に沿った接合
部46が形成され、以て、二つの母材14a,14bが
一体的に接合されて、目的とするアルミニウム合金製広
幅材12が製造されるようになっているのである。
【0050】このように、ここでは、摩擦撹拌接合時の
各母材14a,14bの表面温度が、それらを与えるア
ルミニウム合金材料の融点の0.1〜0.5倍の温度と
なる高温状態とされているため、各母材14a,14b
の突合せ部38の内部温度が、それら各母材14a,1
4bの表面温度と同等以上とされた適度な高温状態で、
突合せ部38に対して回転治具34のピン36が差し込
まれるようになっており、これによって、摩擦撹拌接合
時における突合せ部38の内部温度が、回転治具34や
ピン36との間に生ずる摩擦熱と相俟って、摩擦撹拌接
合に必要な、アルミニウム合金材料の融点の約0.8倍
程度にまで、極めて速やかに且つ確実に上昇せしめら
れ、以て突合せ部38の接合速度が飛躍的に増大せしめ
られ得るようになっていると共に、かかる摩擦撹拌接合
操作が安定的に実施され得るようになっているのであ
る。
【0051】すなわち、換言すれば、各母材14a,1
4bが、ローラコンベヤ18による搬送により回転治具
34の配設位置に到達して、各母材14a,14bの突
合せ部38に対する摩擦撹拌接合操作が実施される時点
で、それら各母材14a,14bの表面温度が各母材1
4a,14bを与えるアルミニウム合金材料の融点の
0.1倍未満とされている場合には、摩擦撹拌接合時に
おける突合せ部38の内部温度を、摩擦撹拌接合に必要
な、アルミニウム合金材料の融点の約0.8倍程度にま
で迅速に高めることが出来ず、それ故に、突合せ部38
の接合速度を高めることが困難となるのである。また、
かかる摩擦撹拌接合操作の実施時点で、各母材14a,
14bの表面温度が前記融点の0.5倍を越える温度と
されている場合には、各母材14a,14bの強度が不
足し、摩擦撹拌接合時の加圧により変形するといった不
具合が生じることとなる。
【0052】従って、かかる広幅材製造装置10におい
ては、各母材14a,14bが回転治具34の配設位置
に到達した時点で、それら各母材14a,14bの表面
温度が、各母材14a,14bを与えるアルミニウム合
金材料の融点の0.1〜0.5倍の範囲内となるように
構成されている必要があるのである。
【0053】なお、ここでは、回転治具34のピン36
が、二つの母材14a,14bの突合せ部38に差し込
まれた際に、突合せ部38の下面側部分が、裏当てロー
ラ40の支持ローラ42にて支持されるところから、か
かるピン36の突合せ部38への差込み時に、突合せ部
38の上面側が、回転治具34やピン36との間で発生
する摩擦熱にて加熱される一方、その下面側が、支持ロ
ーラ42のローラ表面から加熱されて、突合せ部38全
体の内部温度が効率的且つ確実に高められ得るようにな
っていると共に、そのようなピン36の突合せ部38へ
の差込みに伴って各母材14a,14bに作用される押
圧力によって、各母材14a,14bが変形するような
ことが阻止されるようになっている。また、それと同時
に、各母材14a,14bが、裏当てローラ40におけ
る二つの押えローラ44,44により幅方向の内側に押
さえ付けられて、それら二つの母材14a,14bの突
合せ部38が離間しないようになっているため、高速回
転せしめられた回転治具34のピン36が、二つの母材
14a,14bの突合せ部38に対して、確実に差し込
まれ得るようになっているのである。
【0054】そして、このような広幅材製造装置10に
あっては、ローラコンベヤ18における回転治具34と
裏当てローラ40の配設位置の下流側に、突合せ部38
において一体的に接合されて形成されたアルミニウム合
金製広幅材12の上面と下面とに接触して、それら両面
の平面形状を整えるための一対の成形ローラ48a,4
8bが、かかる広幅材12を間に挟んで、それの幅方向
に水平に延びる状態で、軸支されており、また、図示さ
れてはいないものの、それら一対の成形ローラ48a,
48bの更に下流側には、形状が整えられたアルミニウ
ム合金製広幅材12を所定の場所にまで搬送する第三コ
ンベヤが設置されている。
【0055】ところで、かくの如き構造とされた広幅材
製造装置10を用いて、目的とするアルミニウム合金製
広幅材12を製造する際には、例えば、以下の如き手順
に従って、その操作が進められることとなる。
【0056】すなわち、先ず、アルミニウム合金材料か
らなるビレットを二つの押出機16a,16bのコンテ
ナ22a,22b内にそれぞれセットする。なお、それ
ら二つの押出機16a,16bのコンテナ22a,22
b内にそれぞれセットされるビレットを構成するアルミ
ニウム合金材料は、特に限定されるものではなく、目的
とするアルミニウム合金製広幅材12に要求される材質
や特性等に応じて、同一種類のものや互いに異なる種類
のものが適宜に選択されることとなる。
【0057】次ぎに、各コンテナ22a,22b内にセ
ットされた各ビレットを、例えば、再結晶温度以上に加
熱した後、各押出機16a,16bの図示しないステム
を同時に作動せしめることにより、図1に示されるよう
に、各押出機16a,16bに取り付けられたダイス2
6a,26bのダイス穴24a,24bを通じて、各ビ
レットをそれぞれ連続的に押し出す。これにより、各ビ
レットに対する熱間押出操作を実施して、目的とする広
幅材12の半分の幅を有する二つのアルミニウム合金製
母材14a,14bを、それらの表面温度と内部温度
が、何れも、ビレットを構成するアルミニウム合金材料
の融点の0.1倍以上となるように、同時に且つ連続的
に成形するのである。このとき、前述せる如く、各母材
14a,14bが、該融点の0.1倍未満の表面温度と
内部温度とを有するように成形する場合には、スムーズ
且つ安定的な押出加工の実施が困難となる。
【0058】なお、かくして成形された二つの母材14
a,14bのそれぞれの幅は、必ずしも、目的とする広
幅材12の幅の半分に相当する同一幅とされている必要
はなく、それら各母材14a,14bの接合によって、
目的とする広幅材12の幅が確保され得るのであれば、
互いに異なる幅とされていても、何等差し支えないので
ある。勿論、その場合には、各押出機16a,16bに
取り付けられる各ダイス26a,26bのダイス穴24
a,24bの開口幅が互いに異なる大きさとされる。ま
た、各母材14a,14bの厚さをそれぞれ異なる厚さ
とすることも、可能である。
【0059】次いで、各押出機16a,16bから連続
的に押し出されて成形される二つの母材14a,14b
を、ローラコンベヤ18の第一及び第二コンベヤ28,
30にて、連続的に搬送し、それら第一及び第二コンベ
ヤ28,30に設けられた一対のガイドローラ32a,
32bの間を通過させることにより、それら二つの母材
14a,14bを、幅方向の側面同士において互いに突
き合わせて、接触せしめる。このとき、前述せるよう
に、互いに突き合わされた二つの母材14a,14bの
表面温度が、それらを与えるアルミニウム合金材料の融
点の0.1〜0.5倍の温度に維持されているのである
が、そうするために調節される第一及び第二コンベヤ2
8,30の長さは、各母材14a,14bの成形直後の
表面温度によって、適宜に決定されるところである。
【0060】その後、一対のガイドローラ32a,32
bを通過した二つの母材14a,14bを、ローラコン
ベヤ18における一対のガイドローラ32a,32bの
下流側に配設された回転治具34と裏当てローラ40と
の間に搬送し、各母材14a,14bの表面温度が、そ
れらを与えるアルミニウム合金材料の融点の0.1〜0
5倍の範囲内とされている間に、高速回転せしめた回転
治具34の先端のピン36を、それら二つの母材14
a,14bの突合せ部38に差し込み、二つの母材14
a,14bの搬送に伴って、突合せ部38に沿って相対
移動せしめることにより、それら回転せしめられるピン
36や回転治具34の先端部と各母材14a,14bと
の間に、摩擦熱を発生せしめ、そしてその摩擦熱にて、
突合せ部38の周辺部位を、アルミニウム合金材料の融
点の0.8倍程度の温度にまで加熱して、塑性加工可能
な状態と為し、更にピン36の高速回転による撹拌作用
にて、突合せ部38の組織を入り交わらせて接合部46
を連続形成し、以て溶融せしめることなく、二つの母材
14a,14bを摩擦撹拌接合せしめて、一体化し、目
的とするアルミニウム合金製広幅材12を得るのであ
る。
【0061】なお、このような摩擦撹拌接合操作は、各
母材14a,14bの表面温度が、それらを与えるアル
ミニウム合金材料の融点の0.1〜0.5倍の範囲内と
されている間に実施する必要がある。何故なら、前述せ
るように、摩擦撹拌接合時において、各母材14a,1
4bの表面温度が前記融点の0.1倍未満とされている
場合には、その接合操作の増大が望まれ得ないからであ
り、また、かかる表面温度が該融点の0.5倍を越える
温度である場合には、各母材14a,14bの強度が不
足して、突合せ部38の周辺部分が摩擦撹拌接合時に曲
がってしまうといった問題が、惹起せしめられることと
なるからである。
【0062】また、二つの母材14a,14bの突合せ
部38に対する摩擦撹拌接合操作を実施する際には、前
述せる如く、ここで用いられる広幅材製造装置10が、
突合せ部38が離間しないように、各母材14a,14
bが裏当てローラ40の二つの押えローラ44,44に
て幅方向内側に押さえ付けられることにより、回転治具
34のピン36が突合せ部38に対して確実に差し込ま
れると共に、かかる突合せ部38と高速回転せしめられ
る回転治具34やピン32との間で生ずる摩擦熱と、裏
当てローラ40における支持ローラ42のローラ表面か
らの、制御部47にて正確に温度制御された外部加熱と
によって、突合せ部38全体の内部温度が効率的且つ確
実に高められ得る構造を有して構成されているため、突
合せ部38全体の組織が、ピン38の回転による撹拌作
用にて、より十分に入り交わらされて、接合部46に、
所謂キッシングボンドと称される如き不完全接合部分が
発生するようなことが有利に防止されつつ、摩擦撹拌接
合操作が、よりスムーズに且つ確実に進行せしめられ得
るのである。
【0063】さらに、前述せる如く、各母材14a,1
4bの突合せ部38に対する摩擦撹拌接合時に、各母材
14a,14bが裏当てローラ40の支持ローラ42に
て支持された状態下で、各母材14a,14bの突合せ
部38にピン36が差し込まれることにより、ピン36
の突合せ部38への差込みに伴って各母材14a,14
bに作用される押圧力にて、各母材14a,14bが変
形するようなことも阻止されるようになっているところ
から、このような突合せ部38に対する摩擦撹拌接合に
よって得られる広幅材12の接合部46やその周囲に変
形部分が生ずることが有利に防止され得るのである。
【0064】そして、かくして二つの母材14a,14
bが一体的に接合されてなる広幅材12を得た後、かか
る広幅材12を、裏当てローラ40の配設位置よりも母
材14a,14bの搬送方向の更に下流側に配設された
一対の成形ローラ48a,48bの間に通過させて、広
幅材12の上下面の平面形状を整えた後、図示しない第
三コンベヤにより、所定の場所にまで搬送するのであ
る。
【0065】このように、本実施形態においては、二つ
の母材14a,14bの突合せ部38を摩擦撹拌接合し
て、それら二つの母材14a,14bを一体的に接合す
るようにしたものであるところから、接合時における入
熱によって、各母材14a,14bに、熱歪みによる変
形が生じたり、或いは接合部46に溶融溶接特有のブロ
ーホールや凝固割れ等の接合不良が発生したりすること
が、効果的に解消乃至は抑制され得るのであり、しか
も、二つの母材14a,14bが、それらを与えるアル
ミニウム合金材料の融点の0.1〜0.5倍の表面温度
を有する状態で、各母材14a,14bに対する摩擦撹
拌接合操作が行なわれるようになっていることにより、
その接合操作が飛躍的に増大せしめられ得ているのであ
る。
【0066】従って、このような本実施形態によれば、
二つの母材14a,14bの接合部46に接合不良等の
ない優れた品質を有するアルミニウム合金製広幅材12
を、迅速且つ効率的な操作により、高度な生産性をもっ
て製造することが出来るのである。
【0067】また、本実施形態においては、裏当てロー
ラ40における支持ローラ42のローラ表面からの、制
御部にて制御された外部加熱により、突合せ部38全体
の内部温度が効率的且つ確実に高められ得ることに加え
て、互いに突き合わされた各母材14a,14bが、互
いに離間しないように、裏当てローラ40における二つ
の押えローラ44,44にて幅方向内側に押さえ付けら
れて、回転治具34のピン36が突合せ部38に対して
確実に差し込まれ得ることにより、摩擦撹拌接合操作
が、よりスムーズに且つ確実に実施され得るようになっ
ているところから、更に一層優れた品質を有するアルミ
ニウム合金製広幅材12が、極めて有利に製造され得る
こととなるのである。
【0068】さらに、本実施形態では、二つの母材14
a,14bが、裏当てローラ40の支持ローラ42にて
支持された状態下で、二つの母材14a,14bの突合
せ部38に対する摩擦撹拌接合操作が実施されることに
より、それら各母材14a,14bが接合されてなる広
幅材12の接合部46やその周囲に変形部分が生ずるこ
とが有利に防止され得るようになっているため、所望の
形状を有するアルミニウム合金製広幅材12が、高い形
状精度をもって、より有利に製造され得ることとなるの
である。
【0069】ところで、前記実施形態では、二つの押出
機16a,16bにより、二つの母材14a,14bを
同時に成形して、それら二つの母材14a,14bの突
合せ部38を摩擦撹拌接合していたが、例えば、並列的
に配置した三つ以上の押出機により、三つ以上の母材1
4を同時に成形して、それら三つ以上の母材14を互い
に幅方向の側面同士において突き合わせ、そして各突合
せ部をそれぞれ同時に摩擦撹拌接合することにより、目
的とする広幅材12を製造することも、可能である。
【0070】また、複数のダイス穴を備えたダイスが取
り付けられてなる一つの押出機を用い、この一つの押出
機にて、複数の母材を同時に成形することも、勿論可能
である。
【0071】さらに、二つ母材14a,14bの幅方向
の端部同士を互いに重ね合わせて、接触させ、その重合
せ部に対して、高速回転せしめられた回転治具34のピ
ン36を、上側に位置する母材14aを貫通して、下側
に位置する母材14bにまで達するように差し込んだ状
態で、摩擦撹拌接合することにより、二つの母材14
a,14bを重合せ接合したり、或いは幅方向の端部同
士において互いに重ね合わされた二つの母材14a,1
4bの重合せ部の隅肉部に対して、高速回転せしめられ
た回転治具34のピン36を斜めに差し込んだ状態で、
摩擦撹拌接合することにより、二つの母材14a,14
bを重合せ隅肉接合したりして、目的とする広幅材12
を得るようにすることも、可能である。
【0072】なお、二つの母材14a,14bを幅方向
の側面同士において突き合わせて、接触せしめる場合に
は、例えば、二つの押出機16a,16bを、各母材1
4a,14bの幅方向に所定距離を隔てた同一の高さ位
置において、成形される各母材14a,14bが、幅方
向に内側に向かってそれぞれ送り出され得るように配置
し、二つの母材14a,14bが、各押出機16a,1
6bの前方の所定距離を隔てた位置で、互いに突き合わ
されるように構成しても良い。
【0073】また、前記実施形態では、各母材14a,
14bが、押出機16a,16bを用いた押出成形(押
出加工)により成形されていたが、母材の必要数と同一
数の公知の圧延機を用いて、かかる必要数の母材を、同
時に、圧延成形(圧延加工)により成形することも可能
である。なお、かかる圧延機を用いて、母材を成形する
場合には、母材を与えるアルミニウム合金材料を所定の
温度に加熱した状態で圧延加工を行なう、所謂熱間圧延
加工と、母材を与えるアルミニウム合金材料を常温で圧
延加工する、所謂冷間圧延加工の何れも、採用され得る
のである。
【0074】さらに、各母材14a,14bを圧延成形
する際には、例えば、溶融状態のアルミニウム合金材料
を複数の圧延ローラの間に供給して、それら複数の圧延
ローラの間で冷却固化せしめると共に、この冷却固化さ
れたアルミニウム合金材料を圧延する溶湯圧延加工を行
なう圧延機の複数を用いて、各母材14a,14bを同
時に得ることも、可能である。これによって、各母材1
4a,14bが、より効率的に得られることとなるので
ある。
【0075】更にまた、前記実施形態では、各母材14
a,14bが、長手の平板形状をもって成形されていた
が、それら各母材14a,14bを、長手の角筒形状や
角柱形状において成形するようにしても、何等差し支え
ないのである。
【0076】また、各母材14a,14bを長手の板形
状において成形する場合にあっても、例えば、図2に示
されるように、各母材14a,14bの一方の面に、長
手方向に連続して延びるリブ50の複数が幅方向に一定
の距離を隔てて立設せしめた形態において、各母材14
a,14bを成形しても良い。勿論、この場合には、各
母材14a,14bを成形する押出機のダイスのダイス
穴が、それら各母材14a,14bに対応した形状とさ
れる。更に、有利には、図3に示される如く、裏当てロ
ーラ40における支持ローラ42のローラ表面に対し
て、各母材14a,14bの一方の面に立設された複数
のリブ50が嵌入可能な凹部52の複数が、幅方向に一
定の距離を隔てて形成されることとなる。これらの構成
を採用すれば、一方の面に複数のリブが等間隔をおいて
立設されてなる形態を有し、半導体等の素子や、それを
実装した装置等に取り付けられるヒートシンク等を、優
れた品質と高度な生産性とをもって、極めて有利に製造
することが可能となるのである。
【0077】さらに、前記実施形態では、各母材14
a,14bの搬送位置において、それらが互いに突き合
わされる(接触せしめられる)位置と、各母材14a,
14bの突合せ部(接触部)38に対する摩擦撹拌接合
位置とが、極めて近くされているため、各母材14a,
14bが互い突き合わされる位置において、各母材14
a,14bの表面温度が、それらを与えるアルミニウム
合金材料の融点の0.1〜0.5倍の温度となるように
構成されていたが、各母材14a,14bの突合せ部3
8に対する摩擦撹拌接合位置で、それら各母材14a,
14bの表面温度が該融点の0.1〜0.5倍の温度と
なるのであれば、各母材14a,14bが互い突き合わ
される位置における、それら各母材14a,14bの表
面温度は、少なくとも、該融点の0.1倍とされておれ
ば良いのである。
【0078】また、前記実施形態では、広幅材製造装置
10を用いて、目的とするアルミニウム合金製広幅材1
2を製造する例が示されていたが、本発明手法において
特定される三つ工程を含んで実施されるのであれば、そ
のような広幅材製造装置10を何等使用することなく、
目的とする広幅材12を製造することも、勿論可能であ
る。
【0079】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更
に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、その
ような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるも
のでないことは、言うまでもないところである。また、
本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した発
明の実施の形態以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限
りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、
修正、改良等を加え得るものであることが、理解される
べきである。
【0080】<実施例1>先ず、図1に示される如き構
造を有する広幅材製造装置を用い、かかる広幅材製造装
置の二つ押出機における各コンテナ内に、融点が550
℃であるJIS7075アルミニウム合金材料からなる
ビレットをそれぞれセットして、それらのビレットをそ
れぞれ従来の熱間押出成形の実施時と同様な温度に加熱
した後、公知の方法により、各押出機のダイスのダイス
穴を通じて押し出して、厚さ:3mm、幅:100mm
の矩形平板状を呈する長手の母材の二つを、それぞれ連
続的に押出成形した。
【0081】そして、この押出成形された二つの母材を
ローラコンベヤで搬送すると共に、かかるローラコンベ
ヤ上において、各母材の表面温度が100℃(アルミニ
ウム合金材料の融点の約0.18倍)となった、押出機
のダイスから8m離隔した位置で、そこに設けられた一
対のガイドローラの間を通過させつつ、各母材を、幅方
向の側面同士において互いに突合わせて、接触せしめ
た。
【0082】その後、互いに突き合わされた二つの母材
を更に搬送して、裏当てローラの、ローラ表面温度が8
0℃に調整された支持ローラにて支持せしめることによ
り、各母材における支持ローラの被支持面を加熱した状
態で、先端のピン直径:3mm、ピン高さ:3mm、回
転治具先端面半径:6mmである回転治具を用い、回転
数:2000rpm、接合速度:5m/分(一般的な摩
擦撹拌接合操作における接合速度よりも8倍程度早い速
度)の条件下で、二つの母材の突合せ部に対する摩擦撹
拌接合を実施して、二つの母材を突合せ部において一体
的に接合せしめた。かくして、目的とするアルミニウム
合金製広幅板材を得た。
【0083】そして、かくして得られたアルミニウム合
金製広幅板材の接合部における接合不良の発生の有無を
視認により調べたところ、接合不良個所は、何等認めら
れなかった。このことから、本発明に従う構造を有する
装置を用いて、本発明手法に従うアルミニウム合金製広
幅材の製造方法を実施することによって、優れた品質を
有するアルミニウム合金製広幅板材が、効率的且つ迅速
に得られることが明確に理解され得るのである。
【0084】<実施例2>先ず、図2に示されるような
母材の外形形状に対応したダイス穴が横に二つ並んで設
けられたダイスが、先端部に取り付けられてなる押出機
の一つだけを有し、また、裏当てローラが図3に示され
る如き構造とされている以外、前記実施例1において使
用された広幅材製造装置と同様な構造を有する装置を準
備した。そして、かかる広幅材製造装置の押出機におけ
るコンテナ内に、融点が630℃であるJIS6063
アルミニウム合金材料からなるビレットをセットして、
このビレットを従来の熱間押出成形の実施時と同様な温
度に加熱した後、公知の方法により、押出機のダイスの
二つダイス穴を通じてそれぞれ押し出して、厚さ:3m
m、幅:100mmの矩形板状を呈し、一方の面に、長
手方向に連続して延びるリブの複数が幅方向に一定の距
離を隔てて立設された、長手の母材の二つを、それぞれ
連続的に押出成形した。
【0085】そして、この押出成形された二つの母材を
ローラコンベヤで搬送すると共に、かかるローラコンベ
ヤ上において、各母材の表面温度が100℃(アルミニ
ウム合金材料の融点の約0.16倍)となった、押出機
のダイスから10m離隔した位置で、そこに設けられた
一対のガイドローラの間を通過させつつ、各母材を、幅
方向の側面同士において互いに突合わせて、接触せしめ
た。
【0086】その後、互いに突き合わされた二つの母材
を更に搬送して、裏当てローラの、ローラ表面温度が8
0℃に調整された支持ローラにて、各母材のリブを支持
ローラの凹部内に嵌入させつつ支持せしめることによ
り、各母材における支持ローラの被支持面を加熱した状
態で、先端のピン直径:3mm、ピン高さ:3mm、回
転治具先端面半径:6mmである回転治具を用い、回転
数:2000rpm、接合速度:6m/分(一般的な摩
擦撹拌接合操作における接合速度よりも10倍程度早い
速度)の条件下で、二つの母材の突合せ部に対する摩擦
撹拌接合を実施して、二つの母材を突合せ部において一
体的に接合せしめた。また、その後、この得られた接合
体を500mm間隔で複数に切断した後、それら複数の
接合体のそれぞれに対して、180℃、2時間の条件
で、T5時効処理を公知の方法により実施した。これに
よって、目的とするアルミニウム合金製広幅板材を複数
得た。
【0087】そして、かくして得られた複数のアルミニ
ウム合金製広幅材の接合部における接合不良の発生の有
無を視認により、それぞれ調べたところ、接合不良個所
は、何れも認められなかった。このことから、本発明に
従う構造を有する装置を用いて、本発明手法に従うアル
ミニウム合金製広幅材の製造方法を実施することによっ
て、ヒートシンク等に適用可能なアルミニウム合金製広
幅板材を、優れた品質をもって、効率的且つ迅速に製造
し得ることが、明確に認識され得るのである。
【0088】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明に従うアルミニウム合金製広幅材の製造方法によれ
ば、母材同士の接合部における接合不良等のない、優れ
た品質を有するアルミニウム合金製広幅材を、迅速且つ
効率的な操作により、高度な生産性をもって製造するこ
とが出来るのである。
【0089】また、本発明に従うアルミニウム合金製広
幅材の製造装置を用いれば、アルミニウム合金製広幅材
が、母材同士の接合部における接合不良等のない、優れ
た品質と高度な生産性とをもって、極めて有利に製造さ
れ得ることとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う構造を有するアルミニウム合金製
広幅材の製造装置の一例を示す斜視説明図であって、ア
ルミニウム合金製広幅材を製造している状態を示してい
る。
【図2】本発明手法に従って製造されるアルミニウム合
金製広幅材の、図1に示されるものとは異なる例を示す
斜視説明図である。
【図3】図2に示されたアルミニウム合金製広幅材を製
造する際に、図1に示される製造装置に組み込まれて使
用される裏当てローラの、図1に示されるものとは別の
例を示す縦断面説明図である。
【符号の説明】
10 広幅材製造装置 12 広幅材 14 母材 16 押出機 18 ローラコンベヤ 20 接合機構 26 ダイス 34 回転治具 36 ピン 38 突合せ部 40 裏当てローラ 42 支持ロー
ラ 44 押えローラ 46 接合部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B23K 103:10 B23K 103:10

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の幅を有する長手の板状、角筒状、
    若しくは角柱状のアルミニウム合金製母材の複数を、幅
    方向に並べて互いに接触せしめた状態下で、その接触部
    において長手方向に連続的に接合して、一体化すること
    により、アルミニウム合金製広幅材を製造するに際し
    て、 アルミニウム合金材料に対する押出加工や圧延加工を実
    施して、前記アルミニウム合金製母材の複数を、成形直
    後の表面温度と内部温度が該アルミニウム合金材料の融
    点の0.1倍以上となるように、同時に成形する工程
    と、 それら成形された前記複数の母材のそれぞれの表面温度
    が前記融点の0.1倍未満の温度にまで低下する前に、
    該複数の母材を、幅方向に並べて互いに接触せしめる工
    程と、 それら互いに接触せしめられた複数の母材のそれぞれの
    表面温度が、前記融点の0.1〜0.5倍の範囲内とさ
    れている間に、該複数の母材の接触部に対する摩擦撹拌
    接合操作を行なうことにより、該複数の母材を、該接触
    部において長手方向に連続的に接合して、一体化する工
    程とを、含むことを特徴とするアルミニウム合金製広幅
    材の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記複数の母材を、幅方向に並べて、幅
    方向の側面同士において互いに突き合わせた状態下で、
    その突合せ部に対して、ロッド状の回転治具の先端に同
    心的に設けたピンを、該回転治具と共に一体に回転させ
    つつ差し込み、相対的に移動させることにより、かかる
    突合せ部を摩擦撹拌接合することで、前記摩擦撹拌接合
    操作を実施するようにした請求項1に記載のアルミニウ
    ム合金製広幅材の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記複数の母材を幅方向の側面同士にお
    いて互いに突き合わせた状態下で、該複数の母材のそれ
    ぞれにおける、幅方向と長手方向に対して直角な方向の
    一方の側に位置する端面側から、それら各母材を加熱す
    る一方、前記ピンを、前記回転治具と共に一体に回転さ
    せつつ、該複数の母材の加熱される端面側とは反対側か
    ら、該複数の母材の突合せ部に対して差し込み、相対的
    に移動させることにより、かかる突合せ部を摩擦撹拌接
    合するようにした請求項2に記載のアルミニウム合金製
    広幅材の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記圧延加工が、溶融状態のアルミニウ
    ム合金材料を複数の圧延ローラの間に供給して、それら
    複数の圧延ローラの間で冷却固化せしめると共に、該冷
    却固化されたアルミニウム合金材料を圧延する溶湯圧延
    加工である請求項1乃至請求項3の何れかに記載のアル
    ミニウム合金製広幅材の製造方法。
  5. 【請求項5】 複数の押出機を用いて、前記複数のアル
    ミニウム合金製の母材を同時に押出成形するようにした
    請求項1乃至請求項3の何れかに記載のアルミニウム合
    金製広幅材の製造方法。
  6. 【請求項6】 複数のダイス穴を有するダイスを備えた
    押出機を用い、それら複数のダイス穴を通じて、前記複
    数のアルミニウム合金製の母材を同時に押出成形するよ
    うにした請求項1乃至請求項3の何れかに記載のアルミ
    ニウム合金製広幅材の製造方法。
  7. 【請求項7】 所定の幅を有する長手の板状、角筒状、
    若しくは角柱状のアルミニウム合金製母材の複数を、幅
    方向に並べて互いに接触せしめた状態下で、その接触部
    において長手方向に連続的に接合して、一体化すること
    により、アルミニウム合金製広幅材を製造する装置にし
    て、 前記アルミニウム合金製母材の複数を、成形直後の表面
    温度と内部温度が、該複数の母材をそれぞれ与えるアル
    ミニウム合金材料の融点の0.1倍以上となるように、
    同時に押出成形若しくは圧延成形して連続的に送り出す
    押出機若しくは圧延機と、 該押出機若しくは圧延機から送り出される前記複数の母
    材を、それぞれの表面温度が前記アルミニウム合金材料
    の融点の0.1倍未満の温度にまで低下する前に、幅方
    向に並べて互いに接触せしめるように案内する案内機構
    と、 該案内機構よりも、前記複数の母材の送出し方向の下流
    側において、該複数の母材のそれぞれの表面温度が前記
    融点の0.1〜0.5倍の範囲内に維持される位置に配
    置された、先端にピンが同心的に設けられてなるロッド
    状の回転治具を有し、該案内機構にて互いに接触せしめ
    られた複数の母材のそれぞれの表面温度が該融点の0.
    1〜0.5倍の範囲内とされている間に、該ピンを、該
    回転治具と共に一体に回転させつつ、それら複数の母材
    の接触部に差し込み、相対的に移動させて、該接触部を
    摩擦撹拌接合することにより、該複数の母材を、該接触
    部において長手方向に連続的に接合して、一体化する接
    合機構とを、有することを特徴とするアルミニウム合金
    製広幅材の製造装置。
  8. 【請求項8】 前記ピンを有する前記回転治具の配設位
    置における、前記互いに接触せしめられた複数の母材を
    間に挟んだ該回転治具側とは反対側に、それら複数の母
    材を支持するように配設されて、該複数の母材の接触部
    への該ピンの差込みに伴って該複数の母材に作用せしめ
    られる押圧力による該複数の母材の変形を阻止する裏当
    てローラを更に有して、前記接合機構が構成されている
    請求項7に記載のアルミニウム合金製広幅材の製造装
    置。
  9. 【請求項9】 前記裏当てローラが、該裏当てローラに
    て支持される前記複数の母材の被支持面を加熱する加熱
    手段を有している請求項8に記載のアルミニウム合金製
    広幅材の製造装置。
  10. 【請求項10】 前記接合機構が、前記裏当てローラに
    設けられた前記加熱手段の加熱温度を制御する制御部を
    有している請求項9に記載のアルミニウム合金製広幅材
    の製造装置。
  11. 【請求項11】 前記裏当てローラの幅方向の両サイド
    に、該裏当てローラにて支持される前記互いに接触せし
    められた複数の母材の幅方向の最も外側に位置する二つ
    の側面にそれぞれ接触して、該複数の母材を、それらの
    接触部が離間しないように、幅方向内側に押さえ付ける
    押えローラが配設されている請求項8乃至請求項10の
    何れかに記載のアルミニウム合金製広幅材の製造装置。
  12. 【請求項12】 前記押出機が、前記複数の母材のそれ
    ぞれを、前記ピンの差込み側とは反対側の面に、長手方
    向に連続して延びるリブの複数が幅方向に所定の距離を
    隔てて立設されるように成形するダイスを有して構成さ
    れると共に、前記裏当てローラが、そのローラ面に、該
    複数の母材にそれぞれ設けられた複数のリブが嵌入可能
    な凹部が幅方向に所定の距離を隔てて形成されて、構成
    されている請求項8乃至請求項11の何れかに記載のア
    ルミニウム合金製広幅材の製造装置。
JP2002037155A 2002-02-14 2002-02-14 アルミニウム合金製広幅材の製造方法及び製造装置 Expired - Fee Related JP3966736B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002037155A JP3966736B2 (ja) 2002-02-14 2002-02-14 アルミニウム合金製広幅材の製造方法及び製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002037155A JP3966736B2 (ja) 2002-02-14 2002-02-14 アルミニウム合金製広幅材の製造方法及び製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003236680A true JP2003236680A (ja) 2003-08-26
JP3966736B2 JP3966736B2 (ja) 2007-08-29

Family

ID=27778846

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002037155A Expired - Fee Related JP3966736B2 (ja) 2002-02-14 2002-02-14 アルミニウム合金製広幅材の製造方法及び製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3966736B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1793961A2 (en) * 2004-09-28 2007-06-13 Alcoa Inc. Multi-shouldered fixed bobbin tools for simultaneous friction stir welding of multiple parallel walls between parts
US7793816B2 (en) 2007-09-07 2010-09-14 Alcoa Inc. Friction stir welding apparatus
US7854362B2 (en) 2008-03-14 2010-12-21 Alcoa Inc. Advanced multi-shouldered fixed bobbin tools for simultaneous friction stir welding of multiple parallel walls between parts
CN114749549A (zh) * 2022-04-29 2022-07-15 安徽理工大学 一种铝合金冲压模具

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1793961A2 (en) * 2004-09-28 2007-06-13 Alcoa Inc. Multi-shouldered fixed bobbin tools for simultaneous friction stir welding of multiple parallel walls between parts
EP1793961A4 (en) * 2004-09-28 2008-05-21 Alcoa Inc MULTILACTULATED SOLENOID TOOLS FOR SIMULTANEOUSLY REINFORCED WELDING OF SEVERAL PARALLEL WALLS BETWEEN PARTS
US7793816B2 (en) 2007-09-07 2010-09-14 Alcoa Inc. Friction stir welding apparatus
US7854362B2 (en) 2008-03-14 2010-12-21 Alcoa Inc. Advanced multi-shouldered fixed bobbin tools for simultaneous friction stir welding of multiple parallel walls between parts
US8256657B2 (en) 2008-03-14 2012-09-04 Alcoa Inc. Advanced multi-shouldered fixed bobbin tools for simultaneous friction stir welding of multiple parallel walls between parts
US8413875B2 (en) 2008-03-14 2013-04-09 Alcoa Inc. Advanced multi-shouldered fixed bobbin tools for simultaneous friction stir welding of multiple parallel walls between parts
CN114749549A (zh) * 2022-04-29 2022-07-15 安徽理工大学 一种铝合金冲压模具
CN114749549B (zh) * 2022-04-29 2023-12-22 安徽理工大学 一种铝合金冲压模具

Also Published As

Publication number Publication date
JP3966736B2 (ja) 2007-08-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4838385B2 (ja) 両面摩擦攪拌接合方法、接合装置、冷間圧延設備の金属板接合方法及び冷間圧延設備
US7455212B2 (en) Deposition friction stir welding process and assembly
TWI308088B (ja)
KR101256970B1 (ko) 심레스 파이프 제조장치 및 제조방법
JP2011104632A (ja) リングろう及びその製造方法
JP2003236680A (ja) アルミニウム合金製広幅材の製造方法及び製造装置
CN104159696A (zh) 通过摩擦挤压焊接使用填充材料连结两个基本金属片状工件的方法
US20210094126A1 (en) Process for the continuous production of thin-walled hollow profiles which are composed of nonferrous metals and have small diameters and are corrugated in sections
JP4191292B2 (ja) 中空材の製造方法
CN101918156B (zh) 在铝挤压工艺中焊接被加热的原材分段的方法
JP3451211B2 (ja) 中空材の製造方法
JP2000210714A (ja) 鋼管製造の設備列
JP3539612B2 (ja) 鋼管シーム部の平滑化装置および方法
JP2002263705A (ja) 金属材の連続圧延方法およびその設備
KR100192139B1 (ko) 봉함기능을 갖는 비닐포장대의 제조장치
WO2020255264A1 (ja) 電縫金属管の製造設備及び方法
JPH08300008A (ja) 全連続熱間圧延のシートバーの溶接装置
JPH115102A (ja) 鋼片の接合方法
CN116761683A (zh) 用于制造锭模的方法和锭模用的焊接机
CN116685431A (zh) 摩擦搅拌焊接工具、焊接方法和片材焊接机
JP2022039778A (ja) ロウ部材およびロウ付け方法
TW452508B (en) Method for hot-rolling strip metal
JP2000158155A (ja) 摩擦攪拌接合方法と摩擦攪拌接合用キャリヤ
JP3824515B2 (ja) 金属材の連続圧延接合装置用電極
JPH11156431A (ja) 鋼管シーム部の冷却方法および装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040407

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20070206

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070409

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Effective date: 20070529

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20070529

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees