JP3966736B2 - アルミニウム合金製広幅材の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、アルミニウム合金製広幅材の製造方法及び製造装置に係り、特に、一般的な押出加工や圧延加工等の塑性加工だけでは得られない広幅のアルミニウム合金製の板材や角筒材、角柱材を有利に製造する方法と装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
よく知られているように、アルミニウム合金製の板材や角筒材、或いは角柱材等を製造する方法の一種として、押出機や圧延機等を用いて、アルミニウム合金材料に対する押出加工や圧延加工等の塑性加工を行なうことにより、目的とするアルミニウム合金材を得る方法がある。この種のアルミニウム合金材の製造方法では、目的とするアルミニウム合金材を、例えば、鋳造等により製造する場合に比して、生産性の向上が図られ得るのであるが、その反面、大型のアルミニウム合金材を得ようとすると、大型の押出機や圧延機が必要となり、それによって、著しいコストの高騰が惹起されるといった問題が内在していたのである。
【0003】
このため、従来では、広幅のアルミニウム合金材を得るに際して、先ず、一般的な大きさの押出機や圧延機を用いて、所定幅のアルミニウム合金製母材を複数成形し、次いで、成形された複数の母材を幅方向に並べて互いに接触せしめた後、それら複数の母材の接触部をアーク溶接等により接合することによって、一体化する手法が、一般に採用されてきているのである。
【0004】
ところが、このような従来のアルミニウム合金製広幅材の製造手法では、幅方向において互いに接触せしめられる母材の接合が、それらの接触部を溶融せしめることからなる溶融溶接となるところから、溶接時の多大な入熱によって、母材に、熱歪みによる変形が生じたり、或いは溶接部にブローホールや凝固割れ等の接合不良が発生したりして、目的とするアルミニウム合金製広幅材の品質が、母材に比べて大きく低下する恐れがあったのである。
【0005】
また、かかる従来手法においては、一般に、押出機や圧延機にて複数の母材を、それぞれ一つずつ成形した後、成形された複数の母材のそれぞれを、取扱性等を考慮して、一旦、常温程度にまで冷却し、そしてその後、それら複数の母材がアーク溶接されるようになっているため、複数の母材が全て成形されるまでと、その成形から、目的とするアルミニウム合金製広幅材の完成までに、多大な時間が費やされており、それが、アルミニウム合金製広幅材の生産性の向上を妨げていたのである。
【0006】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、優れた品質を有するアルミニウム合金製広幅材を、高度な生産性をもって製造することが出来る方法と装置とを提供することにある。
【0007】
そして、本発明者等は、かかる課題を解決するために、種々検討を繰り返すうちに、接合されるべき部分を加熱溶融させずに、その融点の約0.8倍の温度にまで上昇せしめた固相の塑性流動状態下で接合する固相接合の一種であって、入熱が少ないために、熱歪みが小さく、しかも接合されるべき部分の組織が塑性流動せしめられるだけであることから、ブローホールや凝固割れ等の接合不良の発生が少ない接合手法として知られる摩擦撹拌接合手法を採用して、複数の母材の接触部を接合することを着想したのであり、また、そのような着想に基づいて、更に鋭意研究を重ねた結果、押出加工や圧延加工にて得られるアルミニウム合金製母材の複数を、加工時に生ずる摩擦熱や変形熱等により高められた表面温度や内部温度が常温にまで冷却される前に接触させ、そして、それらの接触部を、その表面温度が特定の範囲内とされている間に摩擦撹拌接合することによって、より効率的な接合操作が実現され得ることを、見出したのである。
【0008】
すなわち、本発明は、かくの如き知見に基づいて完成されたものであって、その要旨とするところは、所定の幅を有する長手の板状、角筒状、若しくは角柱状のアルミニウム合金製母材の複数を、幅方向に並べて互いに接触せしめた状態下で、その接触部において長手方向に連続的に接合して、一体化することにより、アルミニウム合金製広幅材を製造するに際して、(a)アルミニウム合金材料に対する押出加工や圧延加工を実施して、前記アルミニウム合金製母材の複数を、成形直後の表面温度と内部温度が該アルミニウム合金材料の融点の0.1倍以上となるように、同時に成形する工程と、(b)それら成形された前記複数の母材のそれぞれの表面温度が前記融点の0.1倍未満の温度にまで低下する前に、該複数の母材を、幅方向に並べて互いに接触せしめる工程と、(c)それら互いに接触せしめられた複数の母材のそれぞれの表面温度が、前記融点の0.1〜0.5倍の範囲内とされている間に、該複数の母材の接触部に対する摩擦撹拌接合操作を行なうことにより、該複数の母材を、該接触部において長手方向に連続的に接合して、一体化する工程とを含むことを特徴とするアルミニウム合金製広幅材の製造方法に、あるのである。
【0009】
つまり、この本発明に従うアルミニウム合金製広幅材の製造方法においては、アルミニウム合金材料に対する押出加工や圧延加工を実施することにより成形された母材の複数を、幅方向に並べて接触させた状態下で、それらの接触部を摩擦撹拌接合するようにしたものであるところから、接合時における入熱によって、母材に、熱歪みによる変形が生じたり、或いは接合部にブローホールや凝固割れ等の接合不良が発生したりすることが、効果的に解消乃至は抑制され得るのである。
【0010】
また、本発明に係るアルミニウム合金製広幅材の製造方法にあっては、特に、複数の母材が、アルミニウム合金材料に対する押出加工時や圧延加工時にアルミニウム合金材料の内部で生ずる変形熱や摩擦熱、或いはアルミニウム合金材料が加工前から有する熱の残熱等により、少なくとも、アルミニウム合金材料の融点の0.1倍の表面温度と内部温度を有する状態で、互いに接触せしめられ、そして、それら複数の母材の表面温度がアルミニウム合金材料の融点の0.1〜0.5倍の間の範囲内とされている間に、複数の母材の接触部が摩擦撹拌接合されるようになっているため、それら複数の母材の接触部の内部温度が、表面温度と同等以上とされた状態で、摩擦撹拌接合操作が実施され得ることとなり、それによって、各母材の内部温度が、摩擦撹拌接合時に、その操作の実施により生ずる摩擦熱が加えられて、摩擦撹拌接合に必要なアルミニウム合金材料の融点の約0.8倍程度にまで、速やかに且つ確実に上昇せしめられ得るのであり、その結果として、例えば、常温にまで冷却された複数の母材の接触部を摩擦撹拌接合する場合に比して、接合速度が飛躍的に増大せしめられ得ることとなるのである。
【0011】
しかも、本発明手法では、複数の母材が、アルミニウム合金材料に対する押出加工や圧延加工により、アルミニウム合金材料の融点の0.1倍以上の表面温度と内部温度を有するように成形されるようになっているところから、上述せる如き接合速度の増大のために、各母材を外部から加熱する必要が全くなく、従って、接合速度の増大が、効率的に実現せしめられ得るのである。
【0012】
さらに、かかる本発明に従うアルミニウム合金製広幅材の製造方法においては、アルミニウム合金材料に対する押出加工や圧延加工により、複数の母材が同時に成形され、また、それらの母材が、常温よりも十分に高い、アルミニウム合金材料の融点の0.1倍未満の温度にまで低下する前に、互いに接触せしめられて、その接触部において摩擦撹拌接合により一体化されるようになっているところから、複数の母材を一つずつ成形した後、それら各母材を常温にまで冷却してから接合するようにした従来手法を採用する場合に比して、複数の母材が迅速に成形され得ると共に、成形された複数の母材を冷却するための時間が有利に短縮化され得るのである。
【0013】
従って、このような本発明に従うアルミニウム合金製広幅材の製造方法によれば、母材同士の接合部における接合不良等のない、優れた品質を有するアルミニウム合金製広幅材を、迅速且つ効率的な操作により、高度な生産性をもって製造することが出来るのである。
【0014】
なお、かくの如き本発明に従うアルミニウム合金製広幅材の製造方法の好ましい態様の一つによれば、前記複数の母材を、幅方向に並べて、幅方向の側面同士において互いに突き合わせた状態下で、その突合せ部に対して、ロッド状の回転治具の先端に同心的に設けたピンを、該回転治具と共に一体に回転させつつ差し込み、相対的に移動させることにより、かかる突合せ部を摩擦撹拌接合することで、前記摩擦撹拌接合操作が、実施されることとなる。
【0015】
このような構成を採用すれば、例えば、複数の母材を、幅方向の側部の一部分において互いに重ね合わせて接触せしめる場合とは異なって、各母材の幅の合計寸法が、製造されるべきアルミニウム合金製広幅材の幅寸法と為され得るのであり、それによって、幅寸法のより大きなアルミニウム合金製広幅材が、効率的に製造され得ることとなるのである。
【0016】
また、本発明に従うアルミニウム合金製広幅材の製造方法の有利な別の態様の一つによれば、前記複数の母材を幅方向の側面同士において互いに突き合わせた状態下で、該複数の母材のそれぞれにおける、幅方向と長手方向に対して直角な方向の一方の側に位置する端面側から、それら各母材を加熱する一方、前記ピンを、前記回転治具と共に一体に回転させつつ、該複数の母材の加熱される端面側とは反対側から、該複数の母材の突合せ部に対して差し込み、相対的に移動させることにより、かかる突合せ部が摩擦撹拌接合されることとなる。
【0017】
かかる構成を有するアルミニウム合金製広幅材の製造方法にあっては、複数の母材の接触部に対する摩擦撹拌接合時に、回転治具のピンが設けられる先端面と各母材の接触部表面との間で生ずる摩擦熱により、各母材の接触部が、回転治具のピンが差し込まれる端面側から加熱される一方、各母材の接触部のピンの差込み側とは反対の端面側からも外部から加熱されることとなるため、接触部全体の内部温度が効率的且つ確実に高められ得、それによって、接触部全体の組織が、ピンの回転による撹拌作用にて、より十分に入り交わらされて、接合部に、所謂キッシングボンドと称される不完全接合部分が発生するようなことが有利に防止され得るのであり、その結果として、より一層優れた品質を有するアルミニウム合金製広幅材が、極めて有利に製造され得ることとなるのである。
【0018】
さらに、本発明に従うアルミニウム合金製広幅材の製造方法の他の望ましい態様の一つによれば、前記圧延加工が、溶融状態のアルミニウム合金材料を複数の圧延ローラの間に供給して、それら複数の圧延ローラの間で冷却固化せしめると共に、該冷却固化されたアルミニウム合金材料を圧延する溶湯圧延加工とされる。これによって、一般的な溶湯圧延加工では到底得られないアルミニウム合金製広幅材が、容易に且つ確実に、しかも高度な生産性をもって製造され得ることとなるのである。
【0019】
また、本発明に従うアルミニウム合金製広幅材の製造方法において、アルミニウム合金材料に対する押出加工を実施して、複数の母材を得る際には、有利には、複数の押出機を用いて、複数のアルミニウム合金製の母材が同時に押出成形されるか、若しくは複数のダイス穴を有するダイスを備えた押出機を用いて、それら複数のダイス穴を通じて、前記複数のアルミニウム合金製の母材が同時に押出成形されることとなる。
【0020】
ところで、本発明にあっては、前述せる如き技術的課題を解決するために、所定の幅を有する長手の板状、角筒状、若しくは角柱状のアルミニウム合金製母材の複数を、幅方向に並べて互いに接触せしめた状態下で、その接触部において長手方向に連続的に接合して、一体化することにより、アルミニウム合金製広幅材を製造する装置において、(a)前記アルミニウム合金製母材の複数を、成形直後の表面温度と内部温度が、該複数の母材をそれぞれ与えるアルミニウム合金材料の融点の0.1倍以上となるように、同時に押出成形若しくは圧延成形して連続的に送り出す押出機若しくは圧延機と、(b)該押出機若しくは圧延機から送り出される前記複数の母材を、それぞれの表面温度が前記アルミニウム合金材料の融点の0.1倍未満の温度にまで低下する前に、幅方向に並べて互いに接触せしめるように案内する案内機構と、(c)該案内機構よりも、前記複数の母材の送出し方向の下流側において、該複数の母材のそれぞれの表面温度が前記融点の0.1〜0.5倍の範囲内に維持される位置に配置された、先端にピンが同心的に設けられてなるロッド状の回転治具を有し、該案内機構にて互いに接触せしめられた複数の母材のそれぞれの表面温度が該融点の0.1〜0.5倍の範囲内とされている間に、該ピンを、該回転治具と共に一体に回転させつつ、それら複数の母材の接触部に差し込み、相対的に移動させて、該接触部を摩擦撹拌接合することにより、該複数の母材を、該接触部において長手方向に連続的に接合して、一体化する接合機構とを有することを特徴とするアルミニウム合金製広幅材の製造装置をも、また、その要旨とするものである。
【0021】
すなわち、この本発明に従うアルミニウム合金製広幅材の製造装置にあっては、押出機若しくは圧延機にて、複数のアルミニウム合金製母材が、それを与えるアルミニウム合金材料の融点の0.1倍以上の表面温度と内部温度とを成形直後に有するように成形されると共に、それら複数の母材が、案内機構にて案内されつつ、アルミニウム合金材料の融点の0.1倍未満の温度にまで低下する前に、幅方向に並べられて、互いに接触せしめられ、更に、それら互いに接触せしめられた複数の母材の表面温度が、前記融点の0.1〜0.5倍の範囲内とされている間に、接合機構に設けられた回転治具の先端のピンが、回転治具と共に一体回転せしめられつつ、複数の母材の接触部に対して差し込まれて、相対的に移動させられることにより、複数の母材が、接触部において摩擦撹拌接合せしめられて、一体化され、以て目的とするアルミニウム合金製広幅材が製造されるようになっているのである。
【0022】
それ故、本発明に従うアルミニウム合金製広幅材の製造装置においては、前述せる如き優れた特徴を有するアルミニウム合金製広幅材の製造に係る本発明手法を確実に且つ容易に実現することが出来るのである。
【0023】
従って、かくの如き本発明に従うアルミニウム合金製広幅材の製造装置を用いれば、母材同士の接合部における接合不良等のない優れた品質を有するアルミニウム合金製広幅材が、高度な生産性をもって、より迅速に且つ効率的に製造され得ることとなるのである。
【0024】
なお、このような本発明に従うアルミニウム合金製広幅材の製造装置の好ましい態様の一つによれば、前記ピンを有する前記回転治具の配設位置における、前記互いに接触せしめられた複数の母材を間に挟んだ該回転治具側とは反対側に、それら複数の母材を支持するように配設されて、該複数の母材の接触部への該ピンの差込みに伴って該複数の母材に作用せしめられる押圧力による該複数の母材の変形を阻止する裏当てローラを更に有して、前記接合機構が構成される。
【0025】
かかる構成を有するアルミニウム合金製広幅材の製造装置においては、例えば、目的とするアルミニウム合金製広幅材を与える複数の母材が比較的に薄肉の板材であっても、そのような複数の母材の接触部に対する摩擦撹拌接合によって得られるアルミニウム合金製広幅材の接合部やその周囲に変形部分が生ずることが有利に防止され得るのであり、それによって、所望の形状を有するアルミニウム合金製広幅材が、高い形状精度をもって、有利に製造され得ることとなるのである。
【0026】
また、本発明に従うアルミニウム合金製広幅材の製造装置の別の有利な態様の一つによれば、前記裏当てローラが、該裏当てローラにて支持される前記複数の母材の被支持面を加熱する加熱手段を有して、構成される。
【0027】
このような構成を有するアルミニウム合金製広幅材の製造装置においては、複数の母材の接触部に対する摩擦撹拌接合時に、回転治具のピンが設けられる先端面と各母材の接触部表面との間で生ずる大きな摩擦熱が伝わり難い、各母材の接触部のピンの差込み側とは反対の端面側部分を効果的に加熱することが出来るため、接触部全体の内部温度が効率的且つ確実に高められ得、それによって、接触部全体の組織が、ピンの回転による撹拌作用にて、より十分に入り交わらされて、接合部に、所謂キッシングボンドと称される不完全接合部分が発生するようなことが有利に防止され得るのであり、その結果として、より一層優れた品質を有するアルミニウム合金製広幅材が、極めて有利に製造され得ることとなるのである。
【0028】
なお、本発明に従うアルミニウム合金製広幅材の製造装置において、接合機構に加熱手段を備えた裏当てローラが設けられる場合には、有利には、かかる接合機構が、裏当てローラに設けられた加熱手段の加熱温度を制御する制御部を有して、構成される。これによって、各母材の接触部のピンの差込み側とは反対の端面側部分を所望の温度となるように、より効果的に加熱することが可能となり、以て、接触部全体の内部温度が効率的且つ確実に高められ得て、かかる接触部が、より完全に摩擦撹拌接合され得ることとなるのであり、その結果として、目的とするアルミニウム合金製広幅材が、一層優れた品質をもって製造され得るのである。
【0029】
また、本発明に従うアルミニウム合金製広幅材の製造装置の好ましい別の態様の一つによれば、前記裏当てローラの幅方向の両サイドに、該裏当てローラにて支持される前記互いに接触せしめられた複数の母材の幅方向の最も外側に位置する二つの側面にそれぞれ接触して、該複数の母材を、それらの接触部が離間しないように、幅方向内側に押さえ付ける押えローラが配設されることとなる。
【0030】
このような構成を有するアルミニウム合金製広幅材の製造装置にあっては、複数の母材の接触部へのピンの差込み状態下においても、それらの接触部の離間が有利に阻止され得るのであり、それによって、かかる接触部を、よりスムーズに且つ確実に摩擦撹拌接合せしめることが出来るのである。
【0031】
さらに、かかる本発明に従うアルミニウム合金製広幅材の製造装置の更に他の有利な態様の一つによれば、前記押出機が、前記複数の母材のそれぞれを、前記ピンの差込み側とは反対側の面に、長手方向に連続して延びるリブの複数が幅方向に所定の距離を隔てて立設されるように成形するダイスを有して構成されると共に、前記裏当てローラが、そのローラ面に、該複数の母材にそれぞれ設けられた複数のリブが嵌入可能な凹部が幅方向に所定の距離を隔てて形成されて、構成される。
【0032】
このような構成を有するアルミニウム合金製広幅材の製造装置を用いれば、例えば、一方の面に複数のリブが等間隔をおいて立設されてなる形態を有し、半導体等の素子や、それを実装した装置等に取り付けられるヒートシンク等を、優れた品質と高度な生産性とをもって、極めて有利に製造することが可能となるのである。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係るアルミニウム合金製広幅材の製造方法と製造装置の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0034】
先ず、図1には、本発明に従う構造を有する、アルミニウム合金製広幅材の製造装置の一実施形態が、本発明手法に従って、アルミニウム合金製広幅材を製造している状態において、概略的に示されている。かかる図1からも明らかなように、アルミニウム合金製広幅材の製造装置10は、目的とするアルミニウム合金製広幅材12を与える狭幅のアルミニウム合金製母材14をそれぞれ成形する二つの押出機16a,16bと、それら二つの押出機16a,16bにて成形される二つの母材14a,14bをそれぞれ搬送するローラコンベヤ18と、ローラコンベヤ18にて搬送される二つの母材14a,14bを接合する接合機構20とを有して、構成されている。
【0035】
より具体的には、広幅材製造装置10を構成する二つの押出機16a,16bは、アルミニウム合金材料からなるビレット(図示せず)が収容されるコンテナ22a,22bのそれぞれの先端部に、目的とする広幅材12の幅の略半分の幅を有する、互いに同一大きさの矩形状のダイス穴24a,24bを備えたダイス26a,26bが取り付けられた、公知の構造を有している。また、図示されてはいないものの、それら各押出機16a,16bのコンテナ22a,22bの内部には、従来機と同様に、ビレットを加熱するためのヒータが設けられており、このヒータにて、ビレットを、例えば再結晶温度以上にまで加熱した状態下で、かかるビレットに対する押出操作が実施されるようになっている。
【0036】
そして、そのような各押出機16a,16bが、それぞれのダイス26a,26bのダイス穴24a,24bを同一方向に開口せしめるように、左右に並列した状態で、上下に離間して位置せしめられ、且つ上側に位置する押出機16aが、下側に傾けられて配されている一方、下側に位置する押出機16bは、上側に傾けられて配されている。
【0037】
これによって、ここでは、各押出機16a,16bにそれぞれ設けられた、図示しないステムの前進移動に伴って、上側押出機16aから、それに取り付けられたダイス26aのダイス穴24aを通じて、該ダイス穴24aの形状に対応した矩形状の断面形状を呈する平板状の長手のアルミニウム合金製母材14aが押し出されて、斜め下方に向かって連続的に送り出される一方、それと同時に、下側押出機16bからも、それに取り付けられたダイス26bのダイス穴24bを通じて、上側押出機16aにて押出成形される母材14aと同一大きさの断面矩形形状を呈する平板状のアルミニウム合金製母材14bが押し出されて、斜め上方に向かって連続的に送り出されるようになっている。
【0038】
また、そのようにして各上側及び下側押出機16a,16bにて押し出されて、送り出される各母材14a,14bは、前記コンテナ22aに内蔵されたヒータによる外部加熱と、押出成形時の摩擦熱や変形熱とによって、成形直後の表面温度と内部温度とが、それぞれ、ビレットを構成するアルミニウム合金材料の融点の0.1倍以上の高温状態とされるようになっている。なお、成形直後の表面温度と内部温度が、それぞれ、ビレットを構成するアルミニウム合金材料の融点の0.1倍未満の低い温度とされているような母材14a,14bは、極めて低い表面温度と内部温度とを有するビレットに対する押出加工を行なうことによって得られることとなるが、このような押出加工を実施する場合、ビレットの押出し時に大きな変形抵抗が生じるため、押出加工のスムーズな進行が困難となり、また場合によっては、押出加工の進行や成形された母材14a,14bに何等かの不具合が生ずる恐れがある。それ故、ここでは、品質の安定した母材14a,14bを安定的に得る上において、押出機16a,16bが、成形直後に、ビレットを構成するアルミニウム合金材料の融点の0.1倍以上の表面温度と内部温度とを有する母材14a,14bが成形され得るように構成されている必要があるのである。
【0039】
一方、各押出機16a,16bにて押出成形される各母材14a,14bを搬送するローラコンベヤ18は、上側押出機16aの前方において、母材14aの送出し方向に真っ直ぐに延出し、且つその延出方向に沿って、漸次、高さが低くされた第一コンベヤ28と、下側押出機16bの前方において、第一のコンベヤ28に対して、該第一コンベヤ28にて搬送される母材14aの幅方向に並んで、該第一コンベヤ28と平行して真っ直ぐに延出し、且つその延出方向に沿って、漸次、高さが高くされた第二コンベヤ30とを有している。
【0040】
そして、このローラコンベヤ18における第一及び第二コンベヤ28,30にあっては、それぞれの延出長さが同一の長さとされていると共に、それらの延出方向の先端部、換言すれば、各母材14a,14bの搬送方向(送出し方向)の下流側端部の高さが、互いに同一の高さとされている。そして、そのような各コンベヤ28,30の同一高さとされた先端部には、一対のガイドローラ32a,32bが、搬送される各母材14a,14bの上面と下面とにそれぞれ接触可能な距離を隔てて上下方向に対向しつつ、第一コンベヤ28と第二コンベヤ30とを跨いだ状態で、水平方向に延びるように設けられている。
【0041】
かくして、ここでは、上側押出機16aにて押出成形されて、斜め下方に向かって送り出される母材14aと、下側押出機16bにて押出成形されて、斜め上方に向かって送り出される母材14bとが、ローラコンベヤ18の第一コンベヤ28と第二コンベヤ30とによって、幅方向に並んで、その送出し方向に沿って、同時に且つスムーズに搬送せしめられ、そして、それら各コンベヤ28,30における各母材14a,14bの搬送方向の下流側端部で、幅方向の側面同士において、互いに突き合わされて、接触せしめられると共に、かかる端部部分に設けられた一対のガイドローラ32a,32bの間に挟まれることにより、互いに接触せしめられた状態下で、それぞれの搬送方向が上傾乃は下傾方向から水平方向に変更せしめられるようになっているのである。このことから明らかなように、本実施形態においては、ローラコンベヤ18の第一及び第二コンベヤ28,30と、それらに設けられた一対のガイドローラ32a,32bとにて、案内機構が構成されているのである。
【0042】
なお、上述のようにして互いに突き合わされる二つの母材14a,14bは、前述せる如く、成形直後に、ビレットを構成するアルミニウム合金材料の融点の0.1倍以上の高温状態とされているものの、第一コンベヤ28と第二コンベヤ30にて搬送される間に外気に晒されて、冷却されることとなるが、ここでは、第一及び第二コンベヤ28,30の延出長さが調節されることにより、互いに突き合わされた時点での各母材14a,14bの表面温度が、ビレットを構成するアルミニウム合金材料の融点の0.1〜0.5倍程度の高温状態が維持されるようになっている。これは、後述する、各母材14a,14bの突合せ部(38)に対する摩擦撹拌接合時に、それら各母材14a,14bの表面温度が、かかる融点の0.1〜0.5倍の範囲内の温度となるように為す必要があるからである。
【0043】
そして、このようなローラコンベヤ18の第一及び第二コンベヤ28,30にて搬送されて、互いに突き合わされた二つの母材14a,14bが、前述せるように、前記接合機構20にて接合されるようになっているのであるが、ここでは、かかる接合機構20が、二つの母材14a,14bを摩擦撹拌接合するための構造を有して、構成されている。
【0044】
すなわち、接合機構20は、図示しない駆動装置により中心軸回りに高速回転せしめられると共に、上下方向に移動可能とされた回転治具34を有している。この回転治具34は、一般的な摩擦撹拌接合操作に用いられる従来品と同様に、、全体として、ロッド形状を呈し、その先端面(下端面)の中心部にピン36が突設されて構成され、少なくとも、かかるピン36とそれが設けられる先端部とが、摩擦撹拌接合されるべきアルミニウム合金製の母材14a,14bよりも硬質の材料を用いて、形成されている。
【0045】
そして、そのような回転治具34が、ローラコンベヤ18にて搬送される各母材14a,14bの上方において、第一及び第二コンベヤ28,30の母材14a,14bの搬送方向下流側端部に設けられた一対のガイドローラ32a,32bよりも更に下流側で、それら一対のガイドローラ32a,32bにて、互いに突き合わされて接触せしめられた各母材14a,14bの突合せ部(接触部)38に対応位置するように、配設されているのである。なお、ここでは、かかる回転治具34が、一対のガイドローラ32a,32bに対して、各母材14a,14bの搬送方向の下流側の極めて近い場所に位置せしめられており、それによって、回転治具34の配設位置に達した時点での各母材14a,14bの表面温度が、一対のガイドローラ32a,32bを通過した時点での表面温度と略同じである、各母材14a,14bを与えるアルミニウム合金材料の融点の0.1〜0.5倍の温度となるようにされている。
【0046】
また、かくの如き回転治具34を有する接合機構20は、裏当てローラ40を、更に有している。この裏当てローラ40は、幅方向の側面同士において互いに突き合わされた二つの母材14a,14bの合計の幅寸法よりも僅かに大きな長さを有する小径の支持ローラ42と、かかる支持ローラ42の長さ方向の両側端面に対して、それぞれ同軸的に且つ一体回転可能に設けられた大径の押えローラ44,44とにて、構成されている。また、ここでは、この裏当てローラ40における支持ローラ42が、ローラ表面を加熱するヒータ(図示せず)を内蔵した公知のヒータローラにて構成されており、更に、このヒータローラからなる支持ローラ42のローラ表面の加熱温度が、広幅材製造装置10全体の運転を制御する制御装置45に組み込まれたローラ温度制御部47にて制御されるようになっている。
【0047】
そして、このような裏当てローラ40が、前記した回転治具34の配設位置における、ローラコンベヤ18にて搬送される二つの母材14a,14bを間に挟んだ回転治具34側とは反対側において、ローラコンベヤ18に軸支されており、またその状態下で、幅方向の側面同士において互いに突き合わされた二つの母材14a,14bを、支持ローラ42にて支持すると共に、かかる二つの母材14a,14bの互いに突き合わされる側とは反対側の側面のそれぞれに対して、換言すれば、幅方向において互いに突き合わされた二つの母材14a,14bの幅方向外側の側面のそれぞれに対して、各押えローラ44,44のそれぞれの内側端面において接触するように位置せしめられている。
【0048】
これによって、ローラコンベヤ18における一対のガイドローラ32a,32bの間を通過して、互いに幅方向において突き合わされた状態で搬送される二つの母材14a,14bが、裏当てローラ40の支持ローラ42にて支持されると共に、二つの押えローラ44,44にて、二つの母材14a,14bの突合せ部38が離間しないように、それら各母材14a,14bが幅方向の内側に押さえ付けられつつ、該支持ローラ42と前記回転治具34との間を通過して、下流側に更に搬送されるようになっており、また、それら支持ローラ42と回転治具34との間を通過する際に、前記ローラ温度制御部47により所定の温度に加熱された支持ローラ42のローラ表面にて、各母材14a,14bの下面の表面温度が、所望の温度に加熱されるようになっているのである。なお、ここでは、各母材14a,14bの下面の表面温度が、例えば、各母材14a,14bを与えるアルミニウム合金材料の融点の0.1〜0.5倍程度の温度となるように、支持ローラ42により加熱されることとなる。
【0049】
かくして、本実施形態においては、回転治具34と裏当てローラ40との間を、互いに突き合わされた二つの母材14a,14bが、それらをそれぞれ与えるアルミニウム合金材料の融点の0.1〜0.5倍の表面温度を有する状態で通過する際に、回転治具34を高速回転せしめつつ、下方に移動させることにより、その先端のピン36が、二つの母材14a,14bの突合せ部38に差し込まれ、それら各母材14a,14bの搬送に伴って、突合せ部38に沿って相対的に移動せしめられるようになっている。そして、それによって、互いに突き合わされた二つの母材14a,14bのそれぞれの表面温度が、各母材14a,14bを与えるアルミニウム合金材料の融点の0.1〜0.5倍の範囲内とされている間に、それら各母材14a,14bの突合せ部38が摩擦撹拌接合されて、突合せ部38に沿った接合部46が形成され、以て、二つの母材14a,14bが一体的に接合されて、目的とするアルミニウム合金製広幅材12が製造されるようになっているのである。
【0050】
このように、ここでは、摩擦撹拌接合時の各母材14a,14bの表面温度が、それらを与えるアルミニウム合金材料の融点の0.1〜0.5倍の温度となる高温状態とされているため、各母材14a,14bの突合せ部38の内部温度が、それら各母材14a,14bの表面温度と同等以上とされた適度な高温状態で、突合せ部38に対して回転治具34のピン36が差し込まれるようになっており、これによって、摩擦撹拌接合時における突合せ部38の内部温度が、回転治具34やピン36との間に生ずる摩擦熱と相俟って、摩擦撹拌接合に必要な、アルミニウム合金材料の融点の約0.8倍程度にまで、極めて速やかに且つ確実に上昇せしめられ、以て突合せ部38の接合速度が飛躍的に増大せしめられ得るようになっていると共に、かかる摩擦撹拌接合操作が安定的に実施され得るようになっているのである。
【0051】
すなわち、換言すれば、各母材14a,14bが、ローラコンベヤ18による搬送により回転治具34の配設位置に到達して、各母材14a,14bの突合せ部38に対する摩擦撹拌接合操作が実施される時点で、それら各母材14a,14bの表面温度が各母材14a,14bを与えるアルミニウム合金材料の融点の0.1倍未満とされている場合には、摩擦撹拌接合時における突合せ部38の内部温度を、摩擦撹拌接合に必要な、アルミニウム合金材料の融点の約0.8倍程度にまで迅速に高めることが出来ず、それ故に、突合せ部38の接合速度を高めることが困難となるのである。また、かかる摩擦撹拌接合操作の実施時点で、各母材14a,14bの表面温度が前記融点の0.5倍を越える温度とされている場合には、各母材14a,14bの強度が不足し、摩擦撹拌接合時の加圧により変形するといった不具合が生じることとなる。
【0052】
従って、かかる広幅材製造装置10においては、各母材14a,14bが回転治具34の配設位置に到達した時点で、それら各母材14a,14bの表面温度が、各母材14a,14bを与えるアルミニウム合金材料の融点の0.1〜0.5倍の範囲内となるように構成されている必要があるのである。
【0053】
なお、ここでは、回転治具34のピン36が、二つの母材14a,14bの突合せ部38に差し込まれた際に、突合せ部38の下面側部分が、裏当てローラ40の支持ローラ42にて支持されるところから、かかるピン36の突合せ部38への差込み時に、突合せ部38の上面側が、回転治具34やピン36との間で発生する摩擦熱にて加熱される一方、その下面側が、支持ローラ42のローラ表面から加熱されて、突合せ部38全体の内部温度が効率的且つ確実に高められ得るようになっていると共に、そのようなピン36の突合せ部38への差込みに伴って各母材14a,14bに作用される押圧力によって、各母材14a,14bが変形するようなことが阻止されるようになっている。また、それと同時に、各母材14a,14bが、裏当てローラ40における二つの押えローラ44,44により幅方向の内側に押さえ付けられて、それら二つの母材14a,14bの突合せ部38が離間しないようになっているため、高速回転せしめられた回転治具34のピン36が、二つの母材14a,14bの突合せ部38に対して、確実に差し込まれ得るようになっているのである。
【0054】
そして、このような広幅材製造装置10にあっては、ローラコンベヤ18における回転治具34と裏当てローラ40の配設位置の下流側に、突合せ部38において一体的に接合されて形成されたアルミニウム合金製広幅材12の上面と下面とに接触して、それら両面の平面形状を整えるための一対の成形ローラ48a,48bが、かかる広幅材12を間に挟んで、それの幅方向に水平に延びる状態で、軸支されており、また、図示されてはいないものの、それら一対の成形ローラ48a,48bの更に下流側には、形状が整えられたアルミニウム合金製広幅材12を所定の場所にまで搬送する第三コンベヤが設置されている。
【0055】
ところで、かくの如き構造とされた広幅材製造装置10を用いて、目的とするアルミニウム合金製広幅材12を製造する際には、例えば、以下の如き手順に従って、その操作が進められることとなる。
【0056】
すなわち、先ず、アルミニウム合金材料からなるビレットを二つの押出機16a,16bのコンテナ22a,22b内にそれぞれセットする。なお、それら二つの押出機16a,16bのコンテナ22a,22b内にそれぞれセットされるビレットを構成するアルミニウム合金材料は、特に限定されるものではなく、目的とするアルミニウム合金製広幅材12に要求される材質や特性等に応じて、同一種類のものや互いに異なる種類のものが適宜に選択されることとなる。
【0057】
次ぎに、各コンテナ22a,22b内にセットされた各ビレットを、例えば、再結晶温度以上に加熱した後、各押出機16a,16bの図示しないステムを同時に作動せしめることにより、図1に示されるように、各押出機16a,16bに取り付けられたダイス26a,26bのダイス穴24a,24bを通じて、各ビレットをそれぞれ連続的に押し出す。これにより、各ビレットに対する熱間押出操作を実施して、目的とする広幅材12の半分の幅を有する二つのアルミニウム合金製母材14a,14bを、それらの表面温度と内部温度が、何れも、ビレットを構成するアルミニウム合金材料の融点の0.1倍以上となるように、同時に且つ連続的に成形するのである。このとき、前述せる如く、各母材14a,14bが、該融点の0.1倍未満の表面温度と内部温度とを有するように成形する場合には、スムーズ且つ安定的な押出加工の実施が困難となる。
【0058】
なお、かくして成形された二つの母材14a,14bのそれぞれの幅は、必ずしも、目的とする広幅材12の幅の半分に相当する同一幅とされている必要はなく、それら各母材14a,14bの接合によって、目的とする広幅材12の幅が確保され得るのであれば、互いに異なる幅とされていても、何等差し支えないのである。勿論、その場合には、各押出機16a,16bに取り付けられる各ダイス26a,26bのダイス穴24a,24bの開口幅が互いに異なる大きさとされる。また、各母材14a,14bの厚さをそれぞれ異なる厚さとすることも、可能である。
【0059】
次いで、各押出機16a,16bから連続的に押し出されて成形される二つの母材14a,14bを、ローラコンベヤ18の第一及び第二コンベヤ28,30にて、連続的に搬送し、それら第一及び第二コンベヤ28,30に設けられた一対のガイドローラ32a,32bの間を通過させることにより、それら二つの母材14a,14bを、幅方向の側面同士において互いに突き合わせて、接触せしめる。このとき、前述せるように、互いに突き合わされた二つの母材14a,14bの表面温度が、それらを与えるアルミニウム合金材料の融点の0.1〜0.5倍の温度に維持されているのであるが、そうするために調節される第一及び第二コンベヤ28,30の長さは、各母材14a,14bの成形直後の表面温度によって、適宜に決定されるところである。
【0060】
その後、一対のガイドローラ32a,32bを通過した二つの母材14a,14bを、ローラコンベヤ18における一対のガイドローラ32a,32bの下流側に配設された回転治具34と裏当てローラ40との間に搬送し、各母材14a,14bの表面温度が、それらを与えるアルミニウム合金材料の融点の0.1〜05倍の範囲内とされている間に、高速回転せしめた回転治具34の先端のピン36を、それら二つの母材14a,14bの突合せ部38に差し込み、二つの母材14a,14bの搬送に伴って、突合せ部38に沿って相対移動せしめることにより、それら回転せしめられるピン36や回転治具34の先端部と各母材14a,14bとの間に、摩擦熱を発生せしめ、そしてその摩擦熱にて、突合せ部38の周辺部位を、アルミニウム合金材料の融点の0.8倍程度の温度にまで加熱して、塑性加工可能な状態と為し、更にピン36の高速回転による撹拌作用にて、突合せ部38の組織を入り交わらせて接合部46を連続形成し、以て溶融せしめることなく、二つの母材14a,14bを摩擦撹拌接合せしめて、一体化し、目的とするアルミニウム合金製広幅材12を得るのである。
【0061】
なお、このような摩擦撹拌接合操作は、各母材14a,14bの表面温度が、それらを与えるアルミニウム合金材料の融点の0.1〜0.5倍の範囲内とされている間に実施する必要がある。何故なら、前述せるように、摩擦撹拌接合時において、各母材14a,14bの表面温度が前記融点の0.1倍未満とされている場合には、その接合操作の増大が望まれ得ないからであり、また、かかる表面温度が該融点の0.5倍を越える温度である場合には、各母材14a,14bの強度が不足して、突合せ部38の周辺部分が摩擦撹拌接合時に曲がってしまうといった問題が、惹起せしめられることとなるからである。
【0062】
また、二つの母材14a,14bの突合せ部38に対する摩擦撹拌接合操作を実施する際には、前述せる如く、ここで用いられる広幅材製造装置10が、突合せ部38が離間しないように、各母材14a,14bが裏当てローラ40の二つの押えローラ44,44にて幅方向内側に押さえ付けられることにより、回転治具34のピン36が突合せ部38に対して確実に差し込まれると共に、かかる突合せ部38と高速回転せしめられる回転治具34やピン32との間で生ずる摩擦熱と、裏当てローラ40における支持ローラ42のローラ表面からの、制御部47にて正確に温度制御された外部加熱とによって、突合せ部38全体の内部温度が効率的且つ確実に高められ得る構造を有して構成されているため、突合せ部38全体の組織が、ピン38の回転による撹拌作用にて、より十分に入り交わらされて、接合部46に、所謂キッシングボンドと称される如き不完全接合部分が発生するようなことが有利に防止されつつ、摩擦撹拌接合操作が、よりスムーズに且つ確実に進行せしめられ得るのである。
【0063】
さらに、前述せる如く、各母材14a,14bの突合せ部38に対する摩擦撹拌接合時に、各母材14a,14bが裏当てローラ40の支持ローラ42にて支持された状態下で、各母材14a,14bの突合せ部38にピン36が差し込まれることにより、ピン36の突合せ部38への差込みに伴って各母材14a,14bに作用される押圧力にて、各母材14a,14bが変形するようなことも阻止されるようになっているところから、このような突合せ部38に対する摩擦撹拌接合によって得られる広幅材12の接合部46やその周囲に変形部分が生ずることが有利に防止され得るのである。
【0064】
そして、かくして二つの母材14a,14bが一体的に接合されてなる広幅材12を得た後、かかる広幅材12を、裏当てローラ40の配設位置よりも母材14a,14bの搬送方向の更に下流側に配設された一対の成形ローラ48a,48bの間に通過させて、広幅材12の上下面の平面形状を整えた後、図示しない第三コンベヤにより、所定の場所にまで搬送するのである。
【0065】
このように、本実施形態においては、二つの母材14a,14bの突合せ部38を摩擦撹拌接合して、それら二つの母材14a,14bを一体的に接合するようにしたものであるところから、接合時における入熱によって、各母材14a,14bに、熱歪みによる変形が生じたり、或いは接合部46に溶融溶接特有のブローホールや凝固割れ等の接合不良が発生したりすることが、効果的に解消乃至は抑制され得るのであり、しかも、二つの母材14a,14bが、それらを与えるアルミニウム合金材料の融点の0.1〜0.5倍の表面温度を有する状態で、各母材14a,14bに対する摩擦撹拌接合操作が行なわれるようになっていることにより、その接合操作が飛躍的に増大せしめられ得ているのである。
【0066】
従って、このような本実施形態によれば、二つの母材14a,14bの接合部46に接合不良等のない優れた品質を有するアルミニウム合金製広幅材12を、迅速且つ効率的な操作により、高度な生産性をもって製造することが出来るのである。
【0067】
また、本実施形態においては、裏当てローラ40における支持ローラ42のローラ表面からの、制御部にて制御された外部加熱により、突合せ部38全体の内部温度が効率的且つ確実に高められ得ることに加えて、互いに突き合わされた各母材14a,14bが、互いに離間しないように、裏当てローラ40における二つの押えローラ44,44にて幅方向内側に押さえ付けられて、回転治具34のピン36が突合せ部38に対して確実に差し込まれ得ることにより、摩擦撹拌接合操作が、よりスムーズに且つ確実に実施され得るようになっているところから、更に一層優れた品質を有するアルミニウム合金製広幅材12が、極めて有利に製造され得ることとなるのである。
【0068】
さらに、本実施形態では、二つの母材14a,14bが、裏当てローラ40の支持ローラ42にて支持された状態下で、二つの母材14a,14bの突合せ部38に対する摩擦撹拌接合操作が実施されることにより、それら各母材14a,14bが接合されてなる広幅材12の接合部46やその周囲に変形部分が生ずることが有利に防止され得るようになっているため、所望の形状を有するアルミニウム合金製広幅材12が、高い形状精度をもって、より有利に製造され得ることとなるのである。
【0069】
ところで、前記実施形態では、二つの押出機16a,16bにより、二つの母材14a,14bを同時に成形して、それら二つの母材14a,14bの突合せ部38を摩擦撹拌接合していたが、例えば、並列的に配置した三つ以上の押出機により、三つ以上の母材14を同時に成形して、それら三つ以上の母材14を互いに幅方向の側面同士において突き合わせ、そして各突合せ部をそれぞれ同時に摩擦撹拌接合することにより、目的とする広幅材12を製造することも、可能である。
【0070】
また、複数のダイス穴を備えたダイスが取り付けられてなる一つの押出機を用い、この一つの押出機にて、複数の母材を同時に成形することも、勿論可能である。
【0071】
さらに、二つ母材14a,14bの幅方向の端部同士を互いに重ね合わせて、接触させ、その重合せ部に対して、高速回転せしめられた回転治具34のピン36を、上側に位置する母材14aを貫通して、下側に位置する母材14bにまで達するように差し込んだ状態で、摩擦撹拌接合することにより、二つの母材14a,14bを重合せ接合したり、或いは幅方向の端部同士において互いに重ね合わされた二つの母材14a,14bの重合せ部の隅肉部に対して、高速回転せしめられた回転治具34のピン36を斜めに差し込んだ状態で、摩擦撹拌接合することにより、二つの母材14a,14bを重合せ隅肉接合したりして、目的とする広幅材12を得るようにすることも、可能である。
【0072】
なお、二つの母材14a,14bを幅方向の側面同士において突き合わせて、接触せしめる場合には、例えば、二つの押出機16a,16bを、各母材14a,14bの幅方向に所定距離を隔てた同一の高さ位置において、成形される各母材14a,14bが、幅方向に内側に向かってそれぞれ送り出され得るように配置し、二つの母材14a,14bが、各押出機16a,16bの前方の所定距離を隔てた位置で、互いに突き合わされるように構成しても良い。
【0073】
また、前記実施形態では、各母材14a,14bが、押出機16a,16bを用いた押出成形(押出加工)により成形されていたが、母材の必要数と同一数の公知の圧延機を用いて、かかる必要数の母材を、同時に、圧延成形(圧延加工)により成形することも可能である。なお、かかる圧延機を用いて、母材を成形する場合には、母材を与えるアルミニウム合金材料を所定の温度に加熱した状態で圧延加工を行なう、所謂熱間圧延加工と、母材を与えるアルミニウム合金材料を常温で圧延加工する、所謂冷間圧延加工の何れも、採用され得るのである。
【0074】
さらに、各母材14a,14bを圧延成形する際には、例えば、溶融状態のアルミニウム合金材料を複数の圧延ローラの間に供給して、それら複数の圧延ローラの間で冷却固化せしめると共に、この冷却固化されたアルミニウム合金材料を圧延する溶湯圧延加工を行なう圧延機の複数を用いて、各母材14a,14bを同時に得ることも、可能である。これによって、各母材14a,14bが、より効率的に得られることとなるのである。
【0075】
更にまた、前記実施形態では、各母材14a,14bが、長手の平板形状をもって成形されていたが、それら各母材14a,14bを、長手の角筒形状や角柱形状において成形するようにしても、何等差し支えないのである。
【0076】
また、各母材14a,14bを長手の板形状において成形する場合にあっても、例えば、図2に示されるように、各母材14a,14bの一方の面に、長手方向に連続して延びるリブ50の複数が幅方向に一定の距離を隔てて立設せしめた形態において、各母材14a,14bを成形しても良い。勿論、この場合には、各母材14a,14bを成形する押出機のダイスのダイス穴が、それら各母材14a,14bに対応した形状とされる。更に、有利には、図3に示される如く、裏当てローラ40における支持ローラ42のローラ表面に対して、各母材14a,14bの一方の面に立設された複数のリブ50が嵌入可能な凹部52の複数が、幅方向に一定の距離を隔てて形成されることとなる。これらの構成を採用すれば、一方の面に複数のリブが等間隔をおいて立設されてなる形態を有し、半導体等の素子や、それを実装した装置等に取り付けられるヒートシンク等を、優れた品質と高度な生産性とをもって、極めて有利に製造することが可能となるのである。
【0077】
さらに、前記実施形態では、各母材14a,14bの搬送位置において、それらが互いに突き合わされる(接触せしめられる)位置と、各母材14a,14bの突合せ部(接触部)38に対する摩擦撹拌接合位置とが、極めて近くされているため、各母材14a,14bが互い突き合わされる位置において、各母材14a,14bの表面温度が、それらを与えるアルミニウム合金材料の融点の0.1〜0.5倍の温度となるように構成されていたが、各母材14a,14bの突合せ部38に対する摩擦撹拌接合位置で、それら各母材14a,14bの表面温度が該融点の0.1〜0.5倍の温度となるのであれば、各母材14a,14bが互い突き合わされる位置における、それら各母材14a,14bの表面温度は、少なくとも、該融点の0.1倍とされておれば良いのである。
【0078】
また、前記実施形態では、広幅材製造装置10を用いて、目的とするアルミニウム合金製広幅材12を製造する例が示されていたが、本発明手法において特定される三つ工程を含んで実施されるのであれば、そのような広幅材製造装置10を何等使用することなく、目的とする広幅材12を製造することも、勿論可能である。
【0079】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した発明の実施の形態以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0080】
<実施例1>
先ず、図1に示される如き構造を有する広幅材製造装置を用い、かかる広幅材製造装置の二つ押出機における各コンテナ内に、融点が550℃であるJIS7075アルミニウム合金材料からなるビレットをそれぞれセットして、それらのビレットをそれぞれ従来の熱間押出成形の実施時と同様な温度に加熱した後、公知の方法により、各押出機のダイスのダイス穴を通じて押し出して、厚さ:3mm、幅:100mmの矩形平板状を呈する長手の母材の二つを、それぞれ連続的に押出成形した。
【0081】
そして、この押出成形された二つの母材をローラコンベヤで搬送すると共に、かかるローラコンベヤ上において、各母材の表面温度が100℃(アルミニウム合金材料の融点の約0.18倍)となった、押出機のダイスから8m離隔した位置で、そこに設けられた一対のガイドローラの間を通過させつつ、各母材を、幅方向の側面同士において互いに突合わせて、接触せしめた。
【0082】
その後、互いに突き合わされた二つの母材を更に搬送して、裏当てローラの、ローラ表面温度が80℃に調整された支持ローラにて支持せしめることにより、各母材における支持ローラの被支持面を加熱した状態で、先端のピン直径:3mm、ピン高さ:3mm、回転治具先端面半径:6mmである回転治具を用い、回転数:2000rpm、接合速度:5m/分(一般的な摩擦撹拌接合操作における接合速度よりも8倍程度早い速度)の条件下で、二つの母材の突合せ部に対する摩擦撹拌接合を実施して、二つの母材を突合せ部において一体的に接合せしめた。かくして、目的とするアルミニウム合金製広幅板材を得た。
【0083】
そして、かくして得られたアルミニウム合金製広幅板材の接合部における接合不良の発生の有無を視認により調べたところ、接合不良個所は、何等認められなかった。このことから、本発明に従う構造を有する装置を用いて、本発明手法に従うアルミニウム合金製広幅材の製造方法を実施することによって、優れた品質を有するアルミニウム合金製広幅板材が、効率的且つ迅速に得られることが明確に理解され得るのである。
【0084】
<実施例2>
先ず、図2に示されるような母材の外形形状に対応したダイス穴が横に二つ並んで設けられたダイスが、先端部に取り付けられてなる押出機の一つだけを有し、また、裏当てローラが図3に示される如き構造とされている以外、前記実施例1において使用された広幅材製造装置と同様な構造を有する装置を準備した。そして、かかる広幅材製造装置の押出機におけるコンテナ内に、融点が630℃であるJIS6063アルミニウム合金材料からなるビレットをセットして、このビレットを従来の熱間押出成形の実施時と同様な温度に加熱した後、公知の方法により、押出機のダイスの二つダイス穴を通じてそれぞれ押し出して、厚さ:3mm、幅:100mmの矩形板状を呈し、一方の面に、長手方向に連続して延びるリブの複数が幅方向に一定の距離を隔てて立設された、長手の母材の二つを、それぞれ連続的に押出成形した。
【0085】
そして、この押出成形された二つの母材をローラコンベヤで搬送すると共に、かかるローラコンベヤ上において、各母材の表面温度が100℃(アルミニウム合金材料の融点の約0.16倍)となった、押出機のダイスから10m離隔した位置で、そこに設けられた一対のガイドローラの間を通過させつつ、各母材を、幅方向の側面同士において互いに突合わせて、接触せしめた。
【0086】
その後、互いに突き合わされた二つの母材を更に搬送して、裏当てローラの、ローラ表面温度が80℃に調整された支持ローラにて、各母材のリブを支持ローラの凹部内に嵌入させつつ支持せしめることにより、各母材における支持ローラの被支持面を加熱した状態で、先端のピン直径:3mm、ピン高さ:3mm、回転治具先端面半径:6mmである回転治具を用い、回転数:2000rpm、接合速度:6m/分(一般的な摩擦撹拌接合操作における接合速度よりも10倍程度早い速度)の条件下で、二つの母材の突合せ部に対する摩擦撹拌接合を実施して、二つの母材を突合せ部において一体的に接合せしめた。また、その後、この得られた接合体を500mm間隔で複数に切断した後、それら複数の接合体のそれぞれに対して、180℃、2時間の条件で、T5時効処理を公知の方法により実施した。これによって、目的とするアルミニウム合金製広幅板材を複数得た。
【0087】
そして、かくして得られた複数のアルミニウム合金製広幅材の接合部における接合不良の発生の有無を視認により、それぞれ調べたところ、接合不良個所は、何れも認められなかった。このことから、本発明に従う構造を有する装置を用いて、本発明手法に従うアルミニウム合金製広幅材の製造方法を実施することによって、ヒートシンク等に適用可能なアルミニウム合金製広幅板材を、優れた品質をもって、効率的且つ迅速に製造し得ることが、明確に認識され得るのである。
【0088】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明に従うアルミニウム合金製広幅材の製造方法によれば、母材同士の接合部における接合不良等のない、優れた品質を有するアルミニウム合金製広幅材を、迅速且つ効率的な操作により、高度な生産性をもって製造することが出来るのである。
【0089】
また、本発明に従うアルミニウム合金製広幅材の製造装置を用いれば、アルミニウム合金製広幅材が、母材同士の接合部における接合不良等のない、優れた品質と高度な生産性とをもって、極めて有利に製造され得ることとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う構造を有するアルミニウム合金製広幅材の製造装置の一例を示す斜視説明図であって、アルミニウム合金製広幅材を製造している状態を示している。
【図2】本発明手法に従って製造されるアルミニウム合金製広幅材の、図1に示されるものとは異なる例を示す斜視説明図である。
【図3】図2に示されたアルミニウム合金製広幅材を製造する際に、図1に示される製造装置に組み込まれて使用される裏当てローラの、図1に示されるものとは別の例を示す縦断面説明図である。
【符号の説明】
10 広幅材製造装置 12 広幅材
14 母材 16 押出機
18 ローラコンベヤ 20 接合機構
26 ダイス 34 回転治具
36 ピン 38 突合せ部
40 裏当てローラ 42 支持ローラ
44 押えローラ 46 接合部
Claims (8)
- 所定の幅を有する長手の板状、角筒状、若しくは角柱状のアルミニウム合金製母材の複数を、幅方向に並べて、幅方向の側面同士において互いに突き合わせた状態下で、その突合せ部に対して、ロッド状の回転治具の先端に同心的に設けたピンを、該回転治具と共に一体に回転させつつ差し込み、相対的に移動させることにより、かかる突合せ部を摩擦撹拌接合することで、その突合せ部において長手方向に連続的に接合して、一体化することにより、アルミニウム合金製広幅材を製造するに際して、
アルミニウム合金材料に対する押出加工や圧延加工を実施して、前記アルミニウム合金製母材の複数を、成形直後の表面温度と内部温度が該アルミニウム合金材料の融点の0.1倍以上となるように、同時に成形する工程と、
それら成形された前記複数の母材のそれぞれの表面温度が前記融点の0.1倍未満の温度にまで低下する前に、該複数の母材を、幅方向に並べて互いに接触せしめる工程と、
それら互いに接触せしめられた複数の母材のそれぞれの表面温度が、前記融点の0.1〜0.5倍の範囲内とされている間に、該複数の母材の接触部に対する摩擦撹拌接合操作を行なうことにより、該複数の母材を、該接触部において長手方向に連続的に接合して、一体化する工程とを、
含み、且つ前記複数の母材を幅方向の側面同士において互いに突き合わせた状態下で、該複数の母材のそれぞれにおける、幅方向と長手方向に対して直角な方向の一方の側に位置する端面側から、それら各母材を加熱する一方、前記ピンを、前記回転治具と共に一体に回転させつつ、該複数の母材の加熱される端面側とは反対側から、該複数の母材の突合せ部に対して差し込み、相対的に移動させることにより、かかる突合せ部を摩擦撹拌接合するようにしたことを特徴とするアルミニウム合金製広幅材の製造方法。 - 前記圧延加工が、溶融状態のアルミニウム合金材料を複数の圧延ローラの間に供給して、それら複数の圧延ローラの間で冷却固化せしめると共に、該冷却固化されたアルミニウム合金材料を圧延する溶湯圧延加工である請求項1に記載のアルミニウム合金製広幅材の製造方法。
- 複数の押出機を用いて、前記複数のアルミニウム合金製の母材を同時に押出成形するようにした請求項1に記載のアルミニウム合金製広幅材の製造方法。
- 複数のダイス穴を有するダイスを備えた押出機を用い、それら複数のダイス穴を通じて、前記複数のアルミニウム合金製の母材を同時に押出成形するようにした請求項1に記載のアルミニウム合金製広幅材の製造方法。
- 所定の幅を有する長手の板状、角筒状、若しくは角柱状のアルミニウム合金製母材の複数を、幅方向に並べて互いに接触せしめた状態下で、その接触部において長手方向に連続的に接合して、一体化することにより、アルミニウム合金製広幅材を製造する装置にして、
前記アルミニウム合金製母材の複数を、成形直後の表面温度と内部温度が、該複数の母材をそれぞれ与えるアルミニウム合金材料の融点の0.1倍以上となるように、同時に押出成形若しくは圧延成形して連続的に送り出す押出機若しくは圧延機と、
該押出機若しくは圧延機から送り出される前記複数の母材を、それぞれの表面温度が前記アルミニウム合金材料の融点の0.1倍未満の温度にまで低下する前に、幅方向に並べて互いに接触せしめるように案内する案内機構と、
該案内機構よりも、前記複数の母材の送出し方向の下流側において、該複数の母材のそれぞれの表面温度が前記融点の0.1〜0.5倍の範囲内に維持される位置に配置された、先端にピンが同心的に設けられてなるロッド状の回転治具を有し、該案内機構にて互いに接触せしめられた複数の母材のそれぞれの表面温度が該融点の0.1〜0.5倍の範囲内とされている間に、該ピンを、該回転治具と共に一体に回転させつつ、それら複数の母材の接触部に差し込み、相対的に移動させて、該接触部を摩擦撹拌接合することにより、該複数の母材を、該接触部において長手方向に連続的に接合して、一体化する接合機構とを、
有すると共に、前記ピンを有する前記回転治具の配設位置における、前記互いに接触せし められた複数の母材を間に挟んだ該回転治具側とは反対側に、それら複数の母材を支持するように配設されて、該複数の母材の接触部への該ピンの差込みに伴って該複数の母材に作用せしめられる押圧力による該複数の母材の変形を阻止する裏当てローラを更に有して、前記接合機構が構成されており、且つ該裏当てローラが、該裏当てローラにて支持される前記複数の母材の被支持面を加熱する加熱手段を有していることを特徴とするアルミニウム合金製広幅材の製造装置。 - 前記接合機構が、前記裏当てローラに設けられた前記加熱手段の加熱温度を制御する制御部を有している請求項5に記載のアルミニウム合金製広幅材の製造装置。
- 前記裏当てローラの幅方向の両サイドに、該裏当てローラにて支持される前記互いに接触せしめられた複数の母材の幅方向の最も外側に位置する二つの側面にそれぞれ接触して、該複数の母材を、それらの接触部が離間しないように、幅方向内側に押さえ付ける押えローラが配設されている請求項5又は請求項6に記載のアルミニウム合金製広幅材の製造装置。
- 前記押出機が、前記複数の母材のそれぞれを、前記ピンの差込み側とは反対側の面に、長手方向に連続して延びるリブの複数が幅方向に所定の距離を隔てて立設されるように成形するダイスを有して構成されると共に、前記裏当てローラが、そのローラ面に、該複数の母材にそれぞれ設けられた複数のリブが嵌入可能な凹部が幅方向に所定の距離を隔てて形成されて、構成されている請求項5乃至請求項7の何れかに記載のアルミニウム合金製広幅材の製造装置。
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