JP2003236600A - 有機性汚泥の脱水方法および有機性汚泥の脱水用凝集剤 - Google Patents

有機性汚泥の脱水方法および有機性汚泥の脱水用凝集剤

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JP2003236600A JP2002034135A JP2002034135A JP2003236600A JP 2003236600 A JP2003236600 A JP 2003236600A JP 2002034135 A JP2002034135 A JP 2002034135A JP 2002034135 A JP2002034135 A JP 2002034135A JP 2003236600 A JP2003236600 A JP 2003236600A
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利行 今井
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英則 佐々木
Toshiki Furubayashi
俊樹 古林
Kenji Takayama
賢二 高山
Masayuki Yorifuji
昌行 依藤
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Asahi Kagaku Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単位時間あたりの汚泥処理能力を高め、ケー
キ含水率を引下げて焼却時の燃料消費を削減するととも
に発生CO2量を低減することのできる有機性汚泥の脱
水方法を提供する。 【解決手段】 有機性汚泥に対して、カチオン基として
たとえば以下の一般式(I)によって示される化学構造
単位を備え、1000〜500000の平均分子量を有
するカチオン性高分子であるビニルアミン重合体もしく
はその塩と、カチオン基よりもアニオン基を多く含む両
性高分子凝集剤とを添加して脱水する。 【化19】 (前記一般式(I)において、R1,R2は、それぞれ水
素原子、メチル基またはシクロヘキシル基を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機性汚泥の脱水
方法および有機性汚泥の脱水用凝集剤に関する。
【0002】
【従来の技術】下水、し尿または有機性産業廃水などの
処理によって発生する有機性汚泥は、凝集処理によって
フロックを形成し、形成されたフロックをたとえばスク
リュープレス型脱水機、ベルトプレス型脱水機、フィル
タープレス型脱水機またはスクリューデカンターなどの
脱水装置を用いて脱水し、いわゆる脱水ケーキと呼ばれ
る脱水汚泥とされる。このように生成された脱水ケーキ
は、主に焼却処分されている。
【0003】有機性汚泥の脱水において、凝集処理は、
有機性汚泥の回収率および脱水ケーキに含まれる水分量
(以後、ケーキ含水率と呼ぶ)に関る技術であり、近年
の生活環境の変遷に伴う有機性汚泥の増加に対応して回
収率を向上するとともに焼却負荷の軽減のためのケーキ
含水率低減等を目的として、従来以下に示すようないく
つかの方法が行われている。
【0004】(1)ポリジメチルアミノエチル(メタ)
アクリレートもしくはその4級化合物、またはジメチル
アミノエチル(メタ)アクリレートもしくはその4級化
合物と(メタ)アクリルアマイドの共重合物などのカチ
オン性高分子凝集剤を使用する方法。 (2)たとえば特開昭60−12922公報に開示され
る無機凝集剤添加後、カチオン性有機高分子凝集剤とア
ニオン性有機高分子凝集剤とを使用する方法、またはた
とえば特開昭63−158200公報に開示される無機
凝集剤添加後、カチオン基とアニオン基とを併せ持つ両
性有機高分子凝集剤を使用する方法。 (3)特殊なカチオンポリマー、たとえばポリビニルア
ミジンなどを単独または無機凝集剤と併せて使用する方
法などである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来技術に
は、以下のような問題がある。前述した(1)に示すカ
チオン性高分子凝集剤の単独添加による方法は、遠心脱
水機の出現とともに実用化され、改良が加えられてベル
トプレス型脱水機にも利用される最も一般的な方法であ
る。この方法は、有機性汚泥の回収率が97〜98%と
高いけれども、ケーキ含水率が81〜84%と水分量が
高いので、焼却に多量の燃料を必要とし焼却時間も長く
かかるという問題がある。また、消化槽の採用など、近
時汚泥処理技術の変化によって、この方法では充分な性
能が発揮できないという状況に至っている。すなわち消
化槽内に長時間滞留させて消化分解された消化汚泥は、
繊維分が極端に減少し高濃度で沈降性が非常に悪く水洗
を行っても脱水が困難である。またpHも上昇し高濃度
で高分子凝集剤との混和性が悪く、しかもマイナス電荷
の高分子物質が蓄積されているためカチオン性高分子凝
集剤の使用が従来に比べ多く必要である。
【0006】前述した(2)に示す無機凝集剤と両性高
分子凝集剤とを併用する方法は、高圧ベルトプレス型脱
水機の出現により注目されるとともに、消化槽の普及に
伴い遠心脱水機にも採用されるに至っている。この方法
は、フロックの粘度をコントロールし易く、初期濾水性
能が高く、有機性汚泥の回収率が99%以上であり、ケ
ーキ含水率も比較的低い水準の79〜82%であり、優
れた処理方法である。しかしながら、無機凝集剤として
無機塩を多量に使用するので、スラッジの発生量が多
く、脱水ケーキ中にスラッジが多量に含まれるので、脱
水ケーキを焼却処分した際に灰分が多量に発生し、灰分
を埋立て処分するべき埋立地の不足する我国では適用に
問題がある。そのため、更に溶融炉によって骨材に加工
する方法などが試みられている。
【0007】前述した(3)に示す特殊なカチオン性高
分子凝集剤を単独使用する方法では、ケーキ含水率が7
8〜81%であり、無機凝集剤と併用する方法では、ケ
ーキ含水率が77〜79%であり、また前述した(2)
の方法に比べて無機凝集剤の添加量を2分の1から3分
の1に減らすことができるという利点がある。しかしな
がら、特殊なカチオン性高分子凝集剤は、その価格が高
いので、処理費用が増大するという問題があり、また消
化汚泥に対しては、前述のようなケーキ脱水率を得るこ
とができないという問題がある。
【0008】発生汚泥の減容化、汚泥中の病原菌低減お
よび消化ガスの有効利用などの観点から、今後嫌気性消
化処理が下水の処理方法として一層重要視されると考え
られるけれども、最近の下水の質的変化に伴い嫌気性消
化汚泥の脱水処理が非常に困難になりつつあり、カチオ
ン性高分子凝集剤の単独添加では、充分な脱水性能を発
揮するに至らず、そのケーキ含水率は、83〜85%が
限界である。したがって、輸送に難点があり焼却に多量
の燃料を必要とし焼却時間も長くかかるという問題があ
る。
【0009】本発明者らは、長年にわたる低分子ポリマ
ーに関する検討を通じて得られた低分子領域の高カチオ
ンポリマーの実用レベルでの有効制御に係る知見に基づ
いて本発明に至ったものである。
【0010】本発明の目的は、無機塩を使用しないまた
は使用量を限界まで低減することによってスラッジの発
生量を低減し、単位時間あたりの汚泥処理能力を高め、
回収率を高めて乾燥処理負荷を低減し、ケーキ含水率を
引下げて焼却時の燃料消費を削減するとともに発生CO
2量を低減することのできる有機性汚泥の脱水方法およ
び有機性汚泥の脱水用凝集剤を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、有機性汚泥に
対して、1000〜500000の平均分子量を有し、
カチオン基として以下の一般式(I)によって示される
化学構造単位を備えるビニルアミン重合体もしくはその
塩、カチオン基として以下の一般式(II)によって示
される化学構造単位を備えるアリルアミン重合体もしく
はその塩、カチオン基として以下の一般式(III)ま
たは(IV)によって示される化学構造単位を備えるジ
アリルアミン重合体もしくはその塩、およびカチオン基
として以下の一般式(V)または(VI)によって示さ
れる化学構造単位を備えるジアリルアミン4級アンモニ
ウム塩の重合体とからなる群から選択される少なくとも
1種のカチオン性高分子と、カチオン基よりもアニオン
基を多く含む両性高分子凝集剤とを添加して脱水するこ
とを特徴とする有機性汚泥の脱水方法である。
【0012】
【化7】
【0013】(前記一般式(I)において、R1,R
2は、それぞれ水素原子、メチル基またはシクロヘキシ
ル基を表す。)
【0014】
【化8】
【0015】(前記一般式(II)において、R3,R4
は、それぞれ水素原子、メチル基またはシクロヘキシル
基を表す。)
【0016】
【化9】
【0017】
【化10】
【0018】(前記一般式(III),(IV)におい
て、R5は、水素原子、メチル基またはベンジル基を表
す。)
【0019】
【化11】
【0020】
【化12】
【0021】(前記一般式(V),(VI)において、
6,R7は、それぞれメチル基またはベンジル基を表
し、Xは、Cl,Br,F,I,HSO4を表す。)
【0022】また本発明は、有機性汚泥に対して、10
00〜500000の平均分子量を有し、カチオン基と
して前記一般式(II)および前記一般式(III)ま
たは(IV)によって示される化学構造単位を備えるカ
チオン性高分子であるアリルアミンおよびジアリルアミ
ンの共重合体もしくはその塩と、カチオン基よりもアニ
オン基を多く含む両性高分子凝集剤とを添加して脱水す
ることを特徴とする有機性汚泥の脱水方法である。
【0023】本発明に従えば、低分子量のカチオン性高
分子化合物とカチオン基よりもアニオン基を多く含む両
性高分子凝集剤とを有機性汚泥に添加して脱水処理を行
う。低分子量のカチオン性高分子化合物は、有機性汚泥
の内部まで容易に作用して微細で均一な凝集物を形成
し、有機性汚泥に包含されている水分を外部に放出され
易くする。またカチオン基よりもアニオン基を多く含む
両性高分子凝集剤の添加によって、凝集物を大きく成長
させることができる。したがって、有機性汚泥の効率的
な回収を可能にするとともに、凝集物の脱水によって得
られる脱水ケーキのケーキ含水率を減少させることを可
能にする。
【0024】また有機性汚泥が、生、余剰または消化の
種類に関らず無機塩を用いないか、またはごく少量の使
用で効率的に脱水することができるので、スラッジの発
生量が少なく、脱水ケーキの焼却処理後の灰分残量低減
を実現することができる。このように無機塩を用いない
かまたは少量使用なので、スラッジは少量しか発生しな
いけれども、発生するスラッジをメタン発酵させてメタ
ンガスを回収することによって、燃料電池と組合せて新
しいエネルギ源としての活用も可能であり、環境に優し
い処理方法として環境浄化に寄与することができる。
【0025】また本発明は、前記カチオン性高分子の平
均分子量が、3000〜200000であることを特徴
とする。
【0026】本発明に従えば、カチオン性高分子の平均
分子量がより好ましい範囲に選択されることによって、
充分微細かつ均一で強固な凝集物が形成されるので、有
機性汚泥に包含されている水分の放出作用が強化されて
一層優れたケーキ含水率低減効果を得ることができる。
【0027】また本発明は、前記両性高分子凝集剤は、
1分子内におけるカチオン基として示される化学構造単
位の含有量に対するアニオン基として示される化学構造
単位の含有量のモル比が、1.01以上、3.00以下
であることを特徴とする。
【0028】本発明に従えば、両性高分子凝集剤は、1
分子内におけるカチオン基として示される化学構造単位
の含有量に対するアニオン基として示される化学構造単
位の含有量のモル比が、適正範囲に選択されるので、凝
集物の大きさを成長し易くし、凝集物の表面の粘性を適
度に保つので、良好な脱水性を有する凝集物を得ること
を可能にする。
【0029】また本発明は、前記カチオン基として示さ
れる化学構造単位は、アミノ基である第1〜第3級アミ
ンもしくはその塩であり、前記アニオン基として示され
る化学構造単位は、カルボキシル基もしくはその塩であ
ることを特徴とする。
【0030】また本発明は、前記カチオン基として示さ
れる化学構造単位は、アミノ基である第4級アンモニウ
ム塩であり、前記アニオン基として示される化学構造単
位は、カルボキシル基もしくはその塩であることを特徴
とする。
【0031】本発明に従えば、その作用機構は明らかで
はないが、使用される低分子量の高カチオンポリマーの
作用が著しく激しいため、一般のアニオン性高分子凝集
剤やカチオン型両性高分子凝集剤では凝集剤自体が捕捉
されて不溶化する貼り付き現象が現れ十分に作用しな
い。本発明に記した両性高分子凝集剤はこの問題をクリ
アして有機性汚泥の脱水に必要な凝集物を形成するもの
である。
【0032】また本発明は、前記両性高分子凝集剤は、
さらに非イオンである(メタ)アクリルアミドを50モ
ル%未満含有することを特徴とする。
【0033】本発明に従えば、両性高分子凝集剤は、適
正量の非イオン性成分を導入する(メタ)アクリルアミ
ドにより貼り付き現象の起こらない最適なものを選択
し、凝集脱水処理を容易にすることができる。
【0034】また本発明は、1000〜500000の
平均分子量を有し、カチオン基として前記一般式(I)
によって示される化学構造単位を備えるビニルアミン重
合体もしくはその塩、前記一般式(II)によって示さ
れる化学構造単位を備えるアリルアミン重合体もしくは
その塩、前記一般式(III)または(IV)によって
示される化学構造単位を備えるジアリルアミン重合体も
しくはその塩、および前記一般式(V)または(VI)
によって示される化学構造単位を備えるジアリルアミン
4級アンモニウム塩の重合体からなる群から選択される
少なくとも1種のカチオン性高分子と、カチオン基より
もアニオン基を多く含む両性高分子凝集剤とを含む混合
組成物からなることを特徴とする有機性汚泥の脱水用凝
集剤である。
【0035】また本発明は、1000〜500000の
平均分子量を有し、カチオン基として前記一般式(I)
によって示される化学構造単位を備えるビニルアミン重
合体もしくはその塩、前記一般式(II)によって示さ
れる化学構造単位を備えるアリルアミン重合体もしくは
その塩、前記一般式(III)または(IV)によって
示される化学構造単位を備えるジアリルアミン重合体も
しくはその塩、および前記一般式(V)または(VI)
によって示される化学構造単位を備えるジアリルアミン
4級アンモニウム塩の重合体からなる群から選択される
少なくとも1種のカチオン性高分子と、カチオン基より
もアニオン基を多く含む両性高分子凝集剤とを公知の方
法で乳化混合し、または低分子ポリマーと両性高分子の
性質を利用して塩溶液中に懸濁物とした1液混合組成物
からなることを特徴とする有機性汚泥の脱水用凝集剤で
ある。
【0036】本発明に従えば、有機性汚泥の脱水用凝集
剤は、1000〜500000の平均分子量を有するカ
チオン性高分子とカチオン基よりもアニオン基を多く含
む両性高分子凝集剤とを含む混合組成物、または前記カ
チオン性高分子と前記両性高分子凝集剤とを乳化混合ま
たは懸濁物とした1液混合組成物からなる。この脱水用
凝集剤は、有機性汚泥に添加する作業を極めて容易に
し、添加によって有機性汚泥を効率的に回収し、ケーキ
含水率の低い脱水ケーキを得ることができる。
【0037】
【発明の実施の形態】本発明の有機性汚泥の脱水方法
は、有機性汚泥に対して1000〜500000、好ま
しくは3000〜200000の平均分子量を有するカ
チオン性高分子と、カチオン基よりもアニオン基を多く
含む(以後、便宜上アニオンリッチと表す)両性高分子
凝集剤とを添加して脱水するものである。本発明におけ
る前記カチオン性高分子は、種々の形態をとることがで
きる。
【0038】前記カチオン性高分子の第1の形態は、カ
チオン基として以下の一般式(I)によって示される化
学構造単位(以後、カチオン基として示される化学構造
単位のことを便宜上カチオン単位と呼ぶ)を備えるビニ
ルアミン重合体またはその塩である。
【0039】
【化13】
【0040】(前記一般式(I)において、R1,R
2は、それぞれ水素原子、メチル基またはシクロヘキシ
ル基を表す。)
【0041】前記カチオン性高分子の第2の形態は、以
下の一般式(II)によって示されるカチオン単位を備
えるアリルアミン重合体もしくはその塩である。
【0042】
【化14】
【0043】(前記一般式(II)において、R3,R4
は、それぞれ水素原子、メチル基またはシクロヘキシル
基を表す。)
【0044】前記カチオン性高分子の第3の形態は、以
下の一般式(III)または(IV)によって示される
カチオン単位を備えるジアリルアミン重合体もしくはそ
の塩である。
【0045】
【化15】
【0046】
【化16】
【0047】(前記一般式(III),(IV)におい
て、R5は、水素原子、メチル基またはベンジル基を表
す。)
【0048】前記カチオン性高分子の第4の形態は、以
下の一般式(V)または(VI)によって示されるカチ
オン単位を備えるジアリルアミン4級アンモニウム塩の
重合体である。
【0049】
【化17】
【0050】
【化18】
【0051】(前記一般式(V),(VI)において、
6,R7は、それぞれメチル基またはベンジル基を表
し、Xは、Cl,Br,F,I,HSO4を表す。)
【0052】前記カチオン性高分子の第5の形態は、前
記一般式(II)および前記一般式(III)または
(IV)によって示されるカチオン単位を備えるアリル
アミンおよびジアリルアミンの共重合体またはその塩で
ある。
【0053】カチオン性高分子が、前記第1〜第5の形
態の重合体であることの好ましい理由は、カチオンコロ
イド当量値(Cv値)が、6.0以上の高カチオン重合
体であること、また比較的低分子量のものが安定的に得
られやすいことなどを挙げることができる。
【0054】以下にカチオン性高分子の分子量の範囲限
定理由について説明する。平均分子量が1000未満で
あると、凝集作用が弱いので、微細な凝集体の形成が不
充分であり、アニオンリッチな両性高分子凝集剤を添加
しても凝集体の成長が起こりがたい。平均分子量が50
0000を超えると、混和性が悪化し、初期凝集体のよ
り大きい抱水性が最終的にケーキ含水率を大きくする。
したがって、平均分子量を1000〜500000とし
た。
【0055】アニオンリッチな両性高分子凝集剤は、ア
ニオン性モノマーおよびカチオン性モノマーの共重合体
であり、1分子内におけるカチオン単位の含有量に対す
るアニオン基として示される化学構造単位(以後、アニ
オン基として示される化学構造単位のことを便宜上アニ
オン単位と呼ぶ)の含有量のモル比(アニオン単位のモ
ル濃度/カチオン単位のモル濃度)が、1.01以上、
3.00以下である。カチオン単位は、アミノ基である
第1〜第3級アミンもしくはその塩、またはアミノ基で
ある第4級アンモニウム塩であることが望ましく、アニ
オン単位は、カルボキシル基もしくはその塩であること
が望ましい。アミン塩としては、通常塩酸が多用される
けれども、その他の酸も使用することができる。またア
ニオンリッチな両性高分子凝集剤は、非イオンである
(メタ)アクリルアミドを50モル%未満含有してもよ
い。
【0056】以下に前記モル比(アニオン単位のモル濃
度/カチオン単位のモル濃度)の範囲限定理由について
説明する。前記モル比が、1.01未満であると、凝集
体の成長が阻害され、3.00を超えると、凝集体表面
の粘度が増大して脱水性を阻害する。したがって、1.
01以上、3.00以下とした。
【0057】前述したような両性高分子凝集剤には、ジ
メチルアミノエチル(メタ)アクリレート/アクリレー
ト/(メタ)アクリルアマイドの共重合物、アリルアミ
ン/マレイン酸の共重合物またはジアリルアミン/マレ
イン酸の共重合物である凝集剤などを挙げることができ
る。
【0058】有機性汚泥に対してカチオン性高分子とア
ニオンリッチな両性高分子凝集剤を添加して脱水するこ
とによって、汚泥を効率的に回収し、脱水ケーキのケー
キ含水率を減少させることのできる理由については、未
だ明確ではないけれども、以下のように考えられる。
【0059】低分子量のカチオン性高分子は、有機性汚
泥の内部まで容易に浸透して微細で均一なより疎水性の
凝集体を形成するとともに、汚泥に包含されている水分
を外部に放出され易くし、後の処理での脱水効果を高め
るように作用し、アニオンリッチな両性高分子凝集剤
は、カチオン性高分子によって微細均一に形成される凝
集体を大きく成長させる作用を有する。すなわち、カチ
オン性高分子は、低分子量による効果と相乗的に作用
し、有機性汚泥の表面の電荷を瞬間的に中和するか、ま
たはフリーアミンの場合には有機性汚泥の表面に何らか
の物理化学的結合をすることにより、均一で微細な初期
凝集体(フロック)を形成する。このフロックは、他に
方法によって形成される大きいフロックに比べて抱水性
が少なく、無機凝集剤によって生成される沈澱物に類似
するけれども、金属類のように水和性を持たないので、
より脱水に適している。
【0060】カチオン性高分子とアニオンリッチな両性
高分子凝集剤とは、有機性汚泥に対して、まずカチオン
性高分子が添加され次いでアニオンリッチな両性高分子
凝集剤が添加される順序であってもよく、同時に添加さ
れてもよく、またはまずアニオンリッチな両性高分子凝
集剤が添加され次いでカチオン性高分子が添加される順
序であってもよい。
【0061】まずカチオン性高分子が添加され次いでア
ニオンリッチな両性高分子凝集剤が添加される順序であ
るとき、カチオン性高分子によって均一で微細な初期凝
集体が形成され、その初期凝集体がアニオンリッチな両
性高分子凝集剤によって大きく成長される。
【0062】カチオン性高分子とアニオンリッチな両性
高分子凝集剤とが同時に添加されるとき、極端に多い極
性基を有する低分子量のカチオン性高分子は、わずかの
タイムラグで有機性汚泥に対して有効に先行作用して初
期凝集体を形成し、形成された初期凝集体はアニオンリ
ッチな両性高分子凝集剤によって大きく成長される。
【0063】まずアニオンリッチな両性高分子凝集剤が
添加され次いでカチオン性高分子が添加されるとき、未
反応のまま有機性汚泥と近接するアニオンリッチな両性
高分子凝集剤の層を低分子量のカチオン性高分子が容易
に通過して汚泥に達し、均一微細な凝集体の形成と、凝
集体の成長とが同時進行の形で生じると考えられる。
【0064】また本発明の他の実施の形態は、1000
〜500000の平均分子量を有し、前記一般式(I)
によって示されるカチオン単位を備えるビニルアミン重
合体もしくはその塩、前記一般式(II)によって示さ
れるカチオン単位を備えるアリルアミン重合体もしくは
その塩、前記一般式(III)または(IV)によって
示されるカチオン単位を備えるジアリルアミン重合体も
しくはその塩、および前記一般式(V)または(VI)
によって示されるカチオン単位を備えるジアリルアミン
4級アンモニウム塩の重合体からなる群から選択される
少なくとも1種のカチオン性高分子と、アニオンリッチ
な両性高分子凝集剤とを含む混合組成物からなる有機性
汚泥の脱水用凝集剤または、前記カチオン性高分子とア
ニオンリッチな両性高分子凝集剤とを、公知の方法で乳
化混合し、または低分子ポリマーと両性高分子の性質を
利用して塩溶液中に懸濁物とした1液混合組成物からな
る有機性汚泥の脱水用凝集剤である。
【0065】本実施の形態の有機性汚泥の脱水用凝集剤
は、低分子量のカチオン性高分子とアニオンリッチな両
性高分子凝集剤との混合組成物として生成され、または
低分子量のカチオン性高分子とアニオンリッチな両性高
分子凝集剤とが、乳化混合または懸濁物とされた1液混
合組成物として生成される。この脱水用凝集剤は、単体
として取扱うことができるので、有機性汚泥に対する添
加作業が極めて容易に行われる。このように、取扱いが
容易であり、添加によって有機性汚泥の効率的回収およ
び脱水ケーキのケーキ含水率低減を実現することのでき
る脱水用凝集剤が提供される。
【0066】(実施例)以下に本発明の実施例を説明す
るけれども、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。実施例の説明では、部は重量部の意味に用い
られ、%は重量%に意味に用いられる。また本実施例に
おいて、有機性汚泥の処理能力は、フロックの濾過速度
を評価の指標とし、脱水性は、ケーキ含水率を評価の指
標とした。また凝集体であるフロック粒径とフロック形
成後の処理水SS(SuspendedSolid:浮遊物質)につい
ても測定した。各評価指標とフロック粒径および処理水
SSの測定方法について以下に説明する。
【0067】(1)濾過速度;有機性汚泥200ミリリ
ットル(mL)を容量300mLのビーカーに採り、有
機性汚泥に対して所定量の高カチオン性高分子および/
または両性高分子凝集剤を添加し、回転速度:200r
pm、回転時間:20秒で攪拌してフロックを形成させ
た。フロックをヌッチェ(ろ布:シキシマカンパス
(株)製ポリエステルT1179L、通気度8000c
c/min/cm2)で常圧濾過し、濾過時間が、10
秒、20秒、30秒および60秒経過した時点における
ろ液量をそれぞれ測定した。 (2)ケーキ含水率;(1)において述べた濾過処理に
よってヌッチェのろ布上に形成されるケーキを採取し、
0.5kg/cm2の加圧力を負荷しながら60秒間脱
水して脱水ケーキを形成した。その脱水ケーキを温度1
20℃で90分間乾燥した後、脱水ケーキ中の水分量を
測定してケーキ含水率とした。 (3)フロック粒径;(1)において述べた濾過速度測
定のフロックが形成された時点におけるフロックの粒径
を、目視によりフロック粒径表にて比定した。 (4)処理水SS;(1)において述べた濾過速度測定
のフロックが形成後の上澄み液を採取し、積分球式濁度
計によって測定した。
【0068】また本発明の実施例および実施例との比較
を目的として比較例において使用したカチオン性高分
子、アニオンリッチ両性高分子凝集剤およびアニオン性
高分子凝集剤を合わせて表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】本実施例では、以後、カチオン性高分子、
両性高分子凝集剤およびアニオン性高分子凝集剤を表1
中に示す「品名又は仮称」によって表記する。
【0071】(実施例1)有機性汚泥として、下水処理
場A(大阪府下)の100%消化汚泥200mL(2%
ポリ塩化鉄入り)を、容量300mLのビーカーに採
り、まず前記有機性汚泥に対して、カチオン性重合体の
塩であるPAA−D11−HClを30ppm添加し、
回転速度:200rpm、回転時間:60秒で攪拌して
微細なフロックを形成させた。以後、この初めに添加す
る化合物(薬液)を第1段薬液と呼ぶ。次いでフロック
の形成された有機性汚泥に対して、ポリアクリル酸エス
テル系両性高分子凝集剤両性Sを100ppm添加し、
回転速度:200rpm、回転時間:20秒で攪拌して
フロックを成長させた。この2番目に添加する化合物
(薬液)を、以後、第2段薬液と呼ぶ。
【0072】(実施例2〜10)第1段薬液に、実施例
2にはPAA−D11(中和)を用い、実施例3にはP
AS−120−Lを用い、実施例4にはPAS−H10
Lを用い、実施例5にはPAA−01を用い、実施例6
にはPAA−05を用い、実施例7にはPAA−03−
HClを用い、実施例8にはPAA−05−HClを用
い、実施例9にはPVAmを用い、実施例10にはPD
A−HClを用いたことが異なる以外は、実施例1と同
様にして有機性汚泥を処理した。
【0073】(比較例1〜4)比較例1〜3では、第1
段薬液に分子量が500000を超える高分子量のカチ
オン性重合体であるPVAを150ppm,カチオンA
を100ないし150ppm用い、第2段薬液を用いな
いこと以外は、実施例1と同様にして有機性汚泥を処理
した。比較例4では、第2段薬液にアニオン性高分子凝
集剤AF−41を用いる以外は、実施例1と同様にして
有機性汚泥を処理した。
【0074】実施例1〜10および比較例1〜4につい
て、濾過速度、ケーキ含水率、フロック粒径および処理
SSを測定した結果を合わせて表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】(実施例11)有機性汚泥として、下水処
理場B(大阪府下)の生汚泥:消化汚泥=3:1の汚泥
200mL(3%ポリ塩化鉄入り)を、容量300mL
のビーカーに採り、前記有機性汚泥に対して、第1段薬
液としてカチオン性重合体の塩であるPAA−D11−
HClを25ppm添加し、回転速度:200rpm、
回転時間:60秒で攪拌して微細なフロックを形成させ
た。次いで第2段薬液としてポリアクリル酸エステル系
両性高分子凝集剤両性Sを100ppm添加し、回転速
度:200rpm、回転時間:20秒で攪拌してフロッ
クを成長させた。
【0077】(実施例12〜18)第1段薬液に、実施
例12にはPAS−120−Lを用い、実施例13には
PAS−H10Lを用い、実施例14にはPAA−01
を用い、実施例15にはPAA−03を用い、実施例1
6にはPAA−03−HClを用い、実施例17にはP
AA−05−HClを用い、実施例18にはPVAmを
用いたことが異なる以外は、実施例11と同様にして有
機性汚泥を処理した。
【0078】(比較例5〜9)比較例5〜7では、第1
段薬液に分子量が500000を超える高分子量のカチ
オン性重合体であるPVAを100ppm,カチオンB
を100ないし150ppm用い、第2段薬液を用いな
いこと以外は、実施例1と同様にして有機性汚泥を処理
した。比較例8では、第1段薬液にPVAmを用い、第
2段薬液にアニオン性高分子凝集剤AF−41を用いる
以外は、実施例11と同様にして有機性汚泥を処理し、
比較例9では、第1段薬液にPVAを用い、第2段薬液
にアニオン性高分子凝集剤AF−41を用いる以外は、
実施例11と同様にして有機性汚泥を処理した。
【0079】実施例11〜18および比較例5〜9につ
いて、濾過速度、ケーキ含水率、フロック粒径および処
理SSを測定した結果を合わせて表3に示す。
【0080】
【表3】
【0081】(実施例19)有機性汚泥として、下水処
理場C(兵庫県下)の生汚泥:消化汚泥=6:4の無機
塩完全無添加の汚泥200mLを、容量300mLのビ
ーカーに採り、前記有機性汚泥に対して、第1段薬液と
してカチオン性重合体の塩であるPAA−D11−HC
lを75ppm添加し、回転速度:200rpm、回転
時間:60秒で攪拌して微細なフロックを形成させた。
次いで第2段薬液としてポリアクリル酸エステル系両性
高分子凝集剤両性Sを75ppm添加し、回転速度:2
00rpm、回転時間:20秒で攪拌してフロックを成
長させた。
【0082】(実施例20〜24)実施例20では、第
2段薬液にポリアクリル酸エステル系両性高分子凝集剤
両性Tを用いる以外は実施例19と同様に、実施例21
〜23では、第1段薬液にPAA−05、PAA−05
−HClおよびPVAmをそれぞれ用いる以外は実施例
19と同様に、実施例24では、第1段薬液にPVAm
を用い、第2段薬液に両性Tを用いる以外は実施例19
と同様にして、有機性汚泥を処理した。
【0083】(比較例10〜13)比較例10〜13で
は、第1段薬液に分子量が500000を超える高分子
量のカチオン性重合体であるカチオンB、PVAをそれ
ぞれ150ないし200ppm用い、第2段薬液を用い
ないこと以外は、実施例19と同様にして有機性汚泥を
処理した。
【0084】実施例19〜24および比較例10〜13
について、濾過速度、ケーキ含水率、フロック粒径およ
び処理SSを測定した結果を合わせて表4に示す。
【0085】
【表4】
【0086】前記表1〜表4には、カチオン性高分子を
第1段薬液として添加し、アニオンリッチな両性高分子
凝集剤を第2段薬液として添加する場合についての結果
を示す。本発明の実施例では、濾過速度が速く単位時間
あたりの汚泥処理能力が向上しており、またケーキ含水
率は、ほとんどが70%台であり、優れた脱水性が実現
された。さらに処理SSも比較例に比べて全般に低い値
であり、回収率の向上が認められた。
【0087】一方、第1薬液として高分子量のカチオン
性重合体を用い第2薬液を用いない比較例、または第1
薬液として適正分子量のカチオン性重合体を用いるけれ
ども第2薬液としてアニオン性高分子凝集剤を用いるよ
うな比較例では、濾過速度が遅いかケーキ含水率が高い
かのいずれかまたはその両方であった。
【0088】(実施例25)有機性汚泥として、下水処
理場D(大阪府下)の生汚泥:消化汚泥=1:1の無機
塩完全無添加の汚泥200mLを、容量300mLのビ
ーカーに採り、前記有機性汚泥に対して、第1段薬液と
してポリアクリル酸エステル系両性高分子凝集剤両性S
を100ppm添加し、回転速度:200rpm、回転
時間:20秒で攪拌し、次いで第2段薬液としてカチオ
ン性重合体の塩であるPAA−D11−HClを50p
pm添加し、回転速度:200rpm、回転時間:60
秒で攪拌してフロックを形成するとともにそのフロック
を成長させた。
【0089】(比較例14〜18)比較例14〜18で
は、第1段薬液に分子量が500000を超える高分子
量のカチオン性重合体であるカチオンBを100ないし
200ppm、PVAを150ないし200ppm用
い、第2段薬液を用いないこと以外は、実施例25と同
様にして有機性汚泥を処理した。
【0090】実施例25および比較例14〜18につい
て、濾過速度、ケーキ含水率、フロック粒径および処理
SSを測定した結果を合わせて表5に示す。
【0091】
【表5】
【0092】前記表5には、アニオンリッチな両性高分
子凝集剤を第1段薬液として添加し、カチオン性高分子
を第2段薬液として添加する場合についての結果を示
す。本発明の実施例では、濾過速度が速く単位時間あた
りの汚泥処理能力が向上しており、ケーキ含水率は7
6.2%という低い値であり優れた脱水性が実現され、
処理SSも低減されており回収率の向上が認められた。
【0093】一方、第1段薬液として高分子量のカチオ
ン性重合体を用い第2段薬液を用いない比較例では、濾
過速度が遅いかケーキ含水率が高いかのいずれかまたは
その両方であった。
【0094】(実施例26)有機性汚泥として、下水処
理場E(奈良県下)の余剰汚泥:消化汚泥=1:1の無
機塩完全無添加の汚泥200mLを、容量300mLの
ビーカーに採り、前記有機性汚泥に対して、カチオン性
重合体の塩であるPAA−D11−HClを100pp
m、ポリアクリル酸エステル系両性高分子凝集剤両性S
を50ppm含む混合組成物からなる脱水用凝集剤を添
加し、回転速度:200rpm、回転時間:60秒で攪
拌してフロックを形成させた。
【0095】(実施例27)実施例27では、脱水用凝
集剤が、カチオン性重合体の塩であるPAA−D11−
HClを100ppm、ポリアクリル酸エステル系両性
高分子凝集剤両性Tを50ppm含む混合組成物からな
ること以外は、実施例26と同様にして有機性汚泥を処
理した。
【0096】(実施例28)実施例28では、脱水用凝
集剤が、カチオン性重合体の塩であるPAA−D11−
HCl(0.2%水溶液に調整したもの)を120pp
mと、ポリアクリル酸エステル系両性高分子凝集剤両性
S(0.2%水溶液に調整したもの)を70ppmと
を、混合した1液混合組成物からなること以外は、実施
例26と同様にして有機性汚泥を処理した。
【0097】(実施例29)実施例29では、脱水用凝
集剤が、カチオン性重合体の塩であるPAA−D11−
HClを120ppmと、ポリアクリル酸エステル系両
性高分子凝集剤両性Tを70ppmとを混合した1液混
合組成物からなること以外は、実施例26と同様にして
有機性汚泥を処理した。
【0098】(比較例19〜22)比較例19では、5
00000を超える高分子量のカチオン性重合体である
カチオンCのみが添加され、比較例22では、5000
00を超える高分子量のカチオン性重合体であるPVA
のみが添加され、比較例20,21では、500000
を超える高分子量のカチオン性重合体であるカチオンC
と、ポリアクリル酸エステル系両性高分子凝集剤両性T
または両性Sとが同時に添加されること以外は、実施例
26と同様にして有機性汚泥を処理した。
【0099】実施例26〜29および比較例19〜22
について、濾過速度、ケーキ含水率、フロック粒径およ
び処理SSを測定した結果を合わせて表6に示す。
【0100】
【表6】
【0101】前記表6には、カチオン性高分子とアニオ
ンリッチな両性高分子凝集剤とを同時に添加する場合に
ついての結果を示す。本発明の実施例では、濾過速度が
速く単位時間あたりの汚泥処理能力が向上しており、ま
たケーキ含水率は70%台であり、優れた脱水性が実現
された。さらに処理SSも比較例に比べて全般に低い値
であり、回収率の向上が認められた。
【0102】一方、高分子量のカチオン性重合体のみし
か添加しない、あるいは高分子量のカチオン性重合体と
アニオンリッチな両性高分子凝集剤とを同時添加するよ
うな比較例では、濾過速度が遅く、またケーキ含水率が
高かった。
【0103】
【発明の効果】本発明によれば、低分子量のカチオン性
高分子化合物とカチオン基よりもアニオン基を多く含む
両性高分子凝集剤とを有機性汚泥に添加して脱水処理を
行う。低分子量のカチオン性高分子化合物は、有機性汚
泥の内部まで容易に作用して微細で均一な凝集物を形成
し、有機性汚泥に包含されている水分を外部に放出され
易くする。またカチオン基よりもアニオン基を多く含む
両性高分子凝集剤の添加によって、凝集物を大きく成長
させることができる。したがって、有機性汚泥の効率的
な回収を可能にするとともに、凝集物の脱水によって得
られる脱水ケーキのケーキ含水率を減少させることを可
能にする。
【0104】また有機性汚泥が、生、余剰または消化の
種類に関らず無機塩を用いないか、またはごく少量の使
用で効率的に脱水することができるので、スラッジの発
生量が少なく、脱水ケーキの焼却処理後の灰分残量低減
を実現することができる。このように無機塩を用いない
かまたは少量使用なので、スラッジは少量しか発生しな
いけれども、発生するスラッジをメタン発酵させてメタ
ンガスを回収することによって、燃料電池と組合せて新
しいエネルギ源としての活用も可能であり、環境に優し
い処理方法として環境浄化に寄与することができる。
【0105】また本発明によれば、カチオン性高分子の
平均分子量がより好ましい範囲に選択されることによっ
て、充分微細かつ均一で強固な凝集物が形成されるの
で、有機性汚泥に包含されている水分の放出作用が強化
されて一層優れたケーキ含水率低減効果を得ることがで
きる。
【0106】また本発明によれば、両性高分子凝集剤
は、1分子内におけるカチオン基として示される化学構
造単位の含有量に対するアニオン基として示される化学
構造単位の含有量のモル比が、適正範囲に選択されるの
で、凝集物の大きさを成長し易くし、凝集物の表面の粘
性を適度に保つので、良好な脱水性を有する凝集物を得
ることを可能にする。
【0107】また本発明によれば、その作用機構は明ら
かではないが、使用される低分子量の高カチオンポリマ
ーの作用が著しく激しいため、一般のアニオン性高分子
凝集剤やカチオン型両性高分子凝集剤では凝集剤自体が
捕捉されて不溶化する貼り付き現象が現れ十分に作用し
ない。本発明に記した両性高分子凝集剤はこの問題をク
リアして有機性汚泥の脱水に必要な凝集物を形成するも
のである。
【0108】また本発明によれば、両性高分子凝集剤
は、適正量の非イオン成分を導入する(メタ)アクリル
アミドにより貼り付き現象の起こらない最適なものを選
択し、凝集脱水処理を容易にすることができる。
【0109】また本発明によれば、有機性汚泥の脱水用
凝集剤は、1000〜500000の平均分子量を有す
るカチオン性高分子とカチオン基よりもアニオン基を多
く含む両性高分子凝集剤とを含む混合組成物、または前
記カチオン性高分子と前記両性高分子凝集剤とを乳化混
合または懸濁物とした1液混合組成物からなる。この脱
水用凝集剤は、有機性汚泥に添加する作業を極めて容易
にし、添加によって有機性汚泥を効率的に回収し、ケー
キ含水率の低い脱水ケーキを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 英則 京都府長岡京市友岡西山10番地 友岡化研 株式会社内 (72)発明者 古林 俊樹 大阪府大阪市城東区鴫野西4丁目1番24号 朝日化学工業株式会社内 (72)発明者 高山 賢二 大阪府枚方市高野道1丁目23番16号 朝日 化学工業株式会社内 (72)発明者 依藤 昌行 大阪府大阪市城東区鴫野西4丁目1番24号 朝日化学工業株式会社内 Fターム(参考) 4D015 BA05 BA09 BA12 BB09 BB17 CA12 DB02 DB14 DB19 DC02 EA35 4D059 AA03 AA23 BE01 BE56 BE57 BE58 BE61 BJ00 DB22 DB24 DB26

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機性汚泥に対して、1000〜500
    000の平均分子量を有し、カチオン基として以下の一
    般式(I)によって示される化学構造単位を備えるビニ
    ルアミン重合体もしくはその塩、カチオン基として以下
    の一般式(II)によって示される化学構造単位を備え
    るアリルアミン重合体もしくはその塩、カチオン基とし
    て以下の一般式(III)または(IV)によって示さ
    れる化学構造単位を備えるジアリルアミン重合体もしく
    はその塩、およびカチオン基として以下の一般式(V)
    または(VI)によって示される化学構造単位を備える
    ジアリルアミン4級アンモニウム塩の重合体とからなる
    群から選択される少なくとも1種のカチオン性高分子
    と、カチオン基よりもアニオン基を多く含む両性高分子
    凝集剤とを添加して脱水することを特徴とする有機性汚
    泥の脱水方法。 【化1】 (前記一般式(I)において、R1,R2は、それぞれ水
    素原子、メチル基またはシクロヘキシル基を表す。) 【化2】 (前記一般式(II)において、R3,R4は、それぞれ
    水素原子、メチル基またはシクロヘキシル基を表す。) 【化3】 【化4】 (前記一般式(III),(IV)において、R5は、
    水素原子、メチル基またはベンジル基を表す。) 【化5】 【化6】 (前記一般式(V),(VI)において、R6,R7は、
    それぞれメチル基またはベンジル基を表し、Xは、C
    l,Br,F,I,HSO4を表す。)
  2. 【請求項2】 有機性汚泥に対して、1000〜500
    000の平均分子量を有し、カチオン基として前記一般
    式(II)および前記一般式(III)または(IV)
    によって示される化学構造単位を備えるカチオン性高分
    子であるアリルアミンおよびジアリルアミンの共重合体
    もしくはその塩と、カチオン基よりもアニオン基を多く
    含む両性高分子凝集剤とを添加して脱水することを特徴
    とする有機性汚泥の脱水方法。
  3. 【請求項3】 前記カチオン性高分子の平均分子量が、 3000〜200000であることを特徴とする請求項
    1または2記載の有機性汚泥の脱水方法。
  4. 【請求項4】 前記両性高分子凝集剤は、 1分子内におけるカチオン基として示される化学構造単
    位の含有量に対するアニオン基として示される化学構造
    単位の含有量のモル比が、1.01以上、3.00以下
    であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の有機性汚泥の脱水方法。
  5. 【請求項5】 前記カチオン基として示される化学構造
    単位は、アミノ基である第1〜第3級アミンもしくはそ
    の塩であり、 前記アニオン基として示される化学構造単位は、カルボ
    キシル基もしくはその塩であることを特徴とする請求項
    4記載の有機性汚泥の脱水方法。
  6. 【請求項6】 前記カチオン基として示される化学構造
    単位は、アミノ基である第4級アンモニウム塩であり、 前記アニオン基として示される化学構造単位は、カルボ
    キシル基もしくはその塩であることを特徴とする請求項
    4記載の有機性汚泥の脱水方法。
  7. 【請求項7】 前記両性高分子凝集剤は、 さらに非イオンである(メタ)アクリルアミドを50モ
    ル%未満含有することを特徴とする請求項1〜6のいず
    れかに記載の有機性汚泥の脱水方法。
  8. 【請求項8】 1000〜500000の平均分子量を
    有し、カチオン基として前記一般式(I)によって示さ
    れる化学構造単位を備えるビニルアミン重合体もしくは
    その塩、前記一般式(II)によって示される化学構造
    単位を備えるアリルアミン重合体もしくはその塩、前記
    一般式(III)または(IV)によって示される化学
    構造単位を備えるジアリルアミン重合体もしくはその
    塩、および前記一般式(V)または(VI)によって示
    される化学構造単位を備えるジアリルアミン4級アンモ
    ニウム塩の重合体からなる群から選択される少なくとも
    1種のカチオン性高分子と、 カチオン基よりもアニオン基を多く含む両性高分子凝集
    剤とを含む混合組成物からなることを特徴とする有機性
    汚泥の脱水用凝集剤。
  9. 【請求項9】 1000〜500000の平均分子量を
    有し、カチオン基として前記一般式(I)によって示さ
    れる化学構造単位を備えるビニルアミン重合体もしくは
    その塩、前記一般式(II)によって示される化学構造
    単位を備えるアリルアミン重合体もしくはその塩、前記
    一般式(III)または(IV)によって示される化学
    構造単位を備えるジアリルアミン重合体もしくはその
    塩、および前記一般式(V)または(VI)によって示
    される化学構造単位を備えるジアリルアミン4級アンモ
    ニウム塩の重合体からなる群から選択される少なくとも
    1種のカチオン性高分子と、 カチオン基よりもアニオン基を多く含む両性高分子凝集
    剤とを、乳化混合しまたは懸濁物とした1液混合組成物
    からなることを特徴とする有機性汚泥の脱水用凝集剤。
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