JP2003234082A - イオントラップ型質量分析装置 - Google Patents

イオントラップ型質量分析装置

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    • H01J49/42Stability-of-path spectrometers, e.g. monopole, quadrupole, multipole, farvitrons
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    • H01J49/4255Device types with particular constructional features

Abstract

(57)【要約】 【課題】分析対象イオンの構造の安定性に依らず、安定
に、高感度・高精度質量分析可能なイオントラップ型質
量分析法ならびにその装置を提供する事にある。 【解決手段】イオントラップ内部に、リング電極の中心
点を通り、リング電極の中心軸に垂直な基準面に対し
て、非対称となる捕捉電界を生成し、イオンを急激に共
鳴増幅させて、イオントラップから短時間に出射させる
手段により、上記目的を達成する。 【効果】本発明の上記手段により、リング電極の中心点
を通り、リング電極の中心軸に垂直な基準面に対して、
イオントラップ電極間空間に生成されるイオン捕捉電界
を非対称化することにより、イオンを急激に共鳴出射す
ることができ、イオンの構造の安定性に因るマスずれを
回避し、高精度で高感度な質量分析結果を安定に得るこ
とが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内部に生成した高
周波電界により、試料内の全イオン種を一旦安定に捕捉
後、質量分離対象のターゲットイオンを共鳴し、電極間
空間から出射させることにより、質量分離するイオント
ラップ型質量分析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のイオントラップ型質量分析装置で
は、イオンのz方向での振動の均等性を保つ為、イオン
の入射側,出射側で対称の電界を生成させる。
【0003】たとえば、米国特許第5,693,941 号では、
リング電極の中心点に対して、非対称になるように2つ
のエンドキャップ電極を配置しているが、2つのエンド
キャップ電極間に印加する電圧を調整して、電極内部に
は、イオンの入射側,出射側で対称な電界を生成してい
る。2つのエンドキャップ電極位置が非対称であるが、
それに合わせて各々に印加する電圧自身も非対称化して
いるため、内部電界は対称となり、従来の対称なイオン
トラップの場合とイオン挙動を変えることなく、検出器
が設置されている側のエンドキャップ電極の穴を通過す
るイオン数の増加により、感度向上を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のイオントラップ
型質量分析装置では、マスピークの位置が、イオンの正
しい質量数位置からずれるマスずれ現象が発生する可能
性があるという課題がある。
【0005】本発明の一つの目的は、安定に、高感度・
高精度質量分析可能なイオントラップ型質量分析装置を
提供する事にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の一つの特徴は、
イオントラップ内部に、リング電極中心に対して非対称
となる捕捉電界を生成し、イオンを急激に共鳴増幅させ
て、イオントラップから短時間に出射させる手段を有す
ることである。
【0007】本発明の上記特徴及び他の特徴は、以下の
記述により、さらに説明される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照し、本発明の実
施例について説明する。
【0009】イオントラップ型質量分析装置の質量分析
部であるイオントラップは、理論的には、図2に示すよ
うに、双曲面から成るリング電極10とそれを挟むよう
に各々逆向きに配置された、リング電極10とは異なる
双曲面を持つ二つのエンドキャップ電極11,12によ
り構成される。各電極間に直流電圧Uと高周波電圧VRF
cosΩt が印加されて電極間空間に四重極電界がつくら
れる。以下、リング電極10と二つのエンドキャップ電
極11,12の総称として、イオントラップ電極と称す
る。このとき、イオントラップ電極間空間に生成される
電位分布は、次式で表される。
【0010】 四重極電位分布:Φ4=φ0(r2−2z2)/r0 2 …(1) 但し、φ0=U+VRFcosΩt ここで、r0 はリング電極内径、z0 はリング電極中心
点16から各エンドキャップまでの距離、r,zはリン
グ電極中心点16を原点とした際の座標を表す。このと
き、z0=r0/√2の関係を持つ。(1)式の電位分布
から生成される電界中に捕捉されたイオンの軌道の安定
性は、装置の大きさ(リング電極内径r0 )と電極に印
加される、直流電圧U、高周波電圧の振幅VRFとその角
周波数Ω、更に、イオンの質量対電荷比m/zによって
与えられるa,q値によって定まる((2)式)。
【0011】 a=8eU/(mr0 2Ω2) , q=4eV/(mr0 2Ω2) …(2) ここで、Zはイオンの価数、mは質量、eは素電荷を表
す。イオントラップ電極間空間内で安定軌道を与える
a,qの範囲を表した安定領域図を図3に示す。通常、
高周波電圧VcosΩt(RFドライブ電圧)のみがリング
電極に印加されるため、安定領域内のa=0の直線上に
相当する全てのイオンが、電極間空間内を安定に振動し
電極間に捕捉される。このとき、イオンは質量対電荷比
m/zに応じて安定領域(図3)上の(0,q)点が異
なり、(2)式より質量対電荷比の値が大きいものから
小さいものの順にa軸上のq=0からq=0.908 の
間に配置される。従って、イオントラップ型質量分析計
では、或る範囲内の質量対電荷比(m/z)値を持つ全
てのイオン種が、一旦安定に捕捉されるが、このときイ
オンは質量対電荷比(m/z)値に応じて異なる周波数
で振動する。この点を利用して、ある特定周波数の補助
交流電界をイオントラップ電極間空間に重畳することに
より、補助交流電界に共鳴するイオンを、イオントラッ
プ電極間空間より出射させ、質量分離する。
【0012】現実的なイオントラップは、図4に示され
るように、試料イオンをイオントラップ電極間空間に入
射させる開口であるイオン入射口13、或いは、イオン
をイオントラップ電極間空間から出射させる開口である
イオン出射口14をエンドキャップ電極11,12上に
設けていたり、また、エンドキャップ電極間距離を理論
的な大きさ(2z0=√2r0)より大きく設定し、配置
するなど、理想的な電極形状・配置からのずれがある。
従って、実際のイオントラップ電極間空間内には、四重
極電界以外に、微小に多重極電界が生成される。代表的
な2n重極電位分布(n=3〜6)Φ2nは、具体的に次
式で表される。
【0013】 n=3 六重極電位分布:Φ6=C3(z3−3zr2/2) …(3) n=4 八重極電位分布:Φ8=C4(z4−3z22+3r4/8) …(4) n=5 十重極電位分布:Φ10=C5(z5−5z32+15zr4/8) …(5) n=6 十二重極電位分布:Φ12=C6(z6−15z42/2 +45z24/8−5r6/16) …(6) ここで、r,z座標の原点は、図4に示すように、リン
グ電極中心点16とし、Cn は各項の係数を表す。式
(3)〜(6)を各々、r方向,z方向に微分すれば、
r方向,z方向の多重極電界が求められる。通常、図4
に示すように、片方のエンドキャップ電極11にイオン
入射口13があり、もう一方のエンドキャップ電極12
にイオン出射口14がある。リング電極中心点16を通
り、リング電極10の回転対称軸と垂直な基準面18に
対して、イオンの入射側と出射側で、内部電界分布が対
称である場合、n=4,6,…,2m,…(偶数項)の
8重極,12重極電界、…,2m重極電界,…、が微小
に生成され、n=3,5,…,2m+1,…(奇数項)
の6重極,10重極電界、…,2m+1重極電界,…、
はほとんど生成されない。図4に示すように、基準面1
8に対して、対称電極形状を持つ場合に、内部に生成さ
れる電位分布及び電界を数値解析で求めた。但し、図5
に示すように、イオン入射口13,イオン出射口14が
共に直径Φ=2.8mm の開口で、リング電極中心点16
から各エンドキャップ電極11,12までの距離が共に
0′=6.75mmである場合に、リング電極10の電位
を単位電位φ0=1、エンドキャップ電極の電位をφ0
0とした場合の、電位分布及び電界を求めた。得られた
r−z系の等電位線図を図5に、r=0のときのz方向
電界を図6,図7に示す。図6に示すように、トータル
の電界が零となる点とリング電極中心点16(z=0)
はほぼ一致し、リング電極中心点16に対して対称的分
布となっている。また、トータル電界値に対する四重極
電界の割合が大きいが、トータルの電界と四重極電界と
の差分、つまり、四重極電界以外の多重極電界をみると
(図7)、8重極,12重極電界が大きく、n=3,5
(奇数項)の6重極,10重極電界はほとんど生成され
ていないのがわかる。
【0014】一方、リング電極中心点16を通り、リン
グ電極の中心軸17と垂直な基準面18に対して、内部
電界分布が対称でない場合、n=3,5(奇数項)の6
重極,10重極電界の大きさは、図5,図6,図7に示
したような対称電界時に比べ増加する。図10,図1
1,図12に、基準面18に対して内部電界分布が対称
でない電極形状を持つ際の、内部生成電位分布及び電界
を数値解析により求めた結果を示す。但し、図10に示
すように、イオン入射口13,イオン出射口14の直径
が、各々、Φin=1.8mm,Φout=1.3mmで あり、リ
ング電極中心点16から各エンドキャップ電極11,1
2までの距離が、各々、共にz0in =6.75mm,
0out=5.75mmである場合に、リング電極の電位
を単位電位φ0=1、エンドキャップ電極の電位をφ0
0 とした場合の、電位分布及び電界を求めた。得られ
たr−z系の等電位線図を図10に、r=0のときのz
方向電界を図11,図12に示す。図11に示すよう
に、トータルの電界が零となる点とリング電極中心点1
6(z=0)は一致せず、リング電極中心点16に対し
て非対称的分布となっている。また、図12より、四重
極電界以外の多重極電界をみると、8重極,12重極電
界と同等に、n=3,5(奇数項)の6重極,10重極
電界も生成されているのがわかる。通常のイオントラッ
プ型質量分析装置では、イオンのz方向での振動の均等
性を保つ為、イオンの入射側,出射側で対称の電界を生
成させる。
【0015】一般に、イオントラップ電極間空間にはヘ
リウムガスのような中性ガスが内在するため、内部にト
ラップされたイオンは中性ガスと衝突を繰り返す。不安
定な構造をもつイオンは中性ガスとの衝突により、幾つ
か種類の低質量数イオンに解離される。このようなヘリ
ウムガスとの衝突による解離は、イオンがイオントラッ
プ電極間空間に重畳印加された補助交流電界と共鳴し始
め、イオン振動が増幅される場合、つまり、イオンが共
鳴出射する直前に発生する確率が高くなる。このとき、
親イオンより質量数が小さくなった解離イオンの(a,
q)点が、図3に示した安定領域外の点に相当すると、
解離の瞬時にイオントラップ電極間空間から出射し、そ
のタイミングで出射すべき質量のイオンとしてカウント
される。イオンはほぼ同様に共鳴振動している為、解離
し易いイオンの場合、中性ガスとの衝突から得られるエ
ネルギーがイオンの結合エネルギーを超える、つまり、
解離するタイミングがほぼ一致する可能性がある。その
とき、マスピークの位置が、イオンの正しい質量数位置
より、低質量数側にずれる、マスずれ現象が発生する可
能性がある。このようなマスずれがあると、分析結果の
誤認を招く恐れがある為、回避しなければならない。
【0016】まず、第一の実施例について説明する。図
1は、本発明の第一の実施例であるイオントラップ型質
量分析装置全体の概略図である。質量分析対象の混合物
試料は、ガスクロマトグラフや液体クロマトグラフ等の
前処理系1を経て成分分離され、イオン化部2でイオン
化される。イオントラップ型質量分析部4は、リング電
極10と、それを挟むように向かい合わせて配置された
二つのエンドキャップ電極11,12から構成され、電
極間空間には、RFドライブ電圧電源7からリング電極
10に供給されるRFドライブ電圧VRFcosΩt によっ
て、イオンを捕捉する為の高周波電界が生成されてい
る。イオン化部2で生成されたイオンは、イオン輸送部
3を経て、エンドキャップ電極11のイオン入射口13
を通り、リング電極10とエンドキャップ電極11,1
2の間(電極間空間)に入射され、高周波電界によって
一旦安定にトラップされ、その後、異なる質量対電荷比
を持つイオンが順次質量分離(質量スキャン分析)され
る。このとき、補助交流電圧電源8からエンドキャップ
電極11,12間に単一周波数の補助交流電圧を印加し
て生成される補助交流電界によって、特定イオン種を共
鳴励起させ、イオントラップ電極間空間より出射させて
質量分離する。通常、一定の周波数の補助交流電圧が印
加される為、(2)式の関係に基づき、RFドライブ電
圧VRFcosΩtの振幅VRFをスキャンすることにより、
質量分離対象イオンの質量対電荷比は、順次掃引され
る。このように、電極空間から出射したイオンのうち、
エンドキャップ電極12のイオン出射口14を通過して
きたイオンに関しては検出系5によって検出され、デー
タ処理部6で処理される。この一連の質量分析過程:
〔試料のイオン化,試料イオンビームのイオントラップ
型質量分析部への輸送及び入射,試料イオン入射時のR
Fドライブ電圧振幅の調整、不要イオンのイオントラッ
プ電極間空間からの排出,親イオンの解離(タンデム分
析する場合),RFドライブ電圧振幅の掃引(質量分析
されるイオンの質量対電荷比の掃引)、及び補助交流電
圧の振幅,補助交流電圧の種類及びタイミング等の調
整,検出,データ処理〕の全体を制御部9で制御してい
る。
【0017】通常、イオンを捕捉する為にイオントラッ
プ電極間空間に生成する高周波電界は、図5,図6,図
7に示すように、リング電極10の中心点16を通り、
リング電極の中心軸17に垂直な基準面18に対し、イ
オンの入射側と出射側で対称な分布を持つ。図5乃至図
7に示すようにイオンの捕捉電界が対称分布であると
き、図4に示すエンドキャップ電極11に+vdcosω
t,エンドキャップ電極12に−vdcosωtを印加し、
更に補助交流電界を重畳生成させた際、内部に捕捉され
たイオンが共鳴出射される際のイオン軌道を数値解析し
た。結果を図8に示す。経過時間tに対し、徐々に、イ
オンの振動振幅Aが増加し、遂にイオンの振動振幅がエ
ンドキャップ電極位置まで到達し、イオントラップ電極
間空間から出射することがわかる。イオンの振動振幅A
が大きいと、イオンの振動エネルギーも増加し、イオン
トラップ電極間空間に内在するHe等の中性ガスとの衝
突により解離する確率も高まる。このとき、イオンが解
離し易くなる振動エネルギーとなる振動振幅Aの閾値を
t とすると、それを超えて振動を繰り返している期間
d 、イオンは解離する可能性が高く、本来出射する時
間より早く出射することによるマスずれを起こしてしま
う可能性が高くなる。
【0018】本実施例では、図9に示すように、リング
電極10の中心点であるリング電極中心点16を通り、
イオントラップ電極の中心軸17に垂直な基準面18に
対し、イオン入射側と出射側で内部に生成される電界が
非対称となるように、非対称な電極形状とする。例え
ば、図9に示すように、エンドキャップ電極11上のイ
オン入射口13の直径Φinが、エンドキャップ電極12
上のイオン出射口14の直径Φoutより大きくなるよう
に(Φin>Φout)、また、リング電極中心点16から
各エンドキャップ電極11,12までの距離z0in
0out に対し、イオン入射側の距離z0in の方が
イオン出射側の距離z0outより長くなるようにエンド
キャップ電極形状及び配置を設定している。本実施例の
一例として、図10に示すように、イオン入射口13,
イオン出射口14の直径が、各々、Φin=1.8mm,Φ
out=1.3mm であり、リング電極の中心点16から各
エンドキャップ11,12までの距離が、各々、共にz
0in=6.75mm,z0out=5.75mmである場合に、リ
ング電極の電位を単位電位φ0=1 、エンドキャップ電
極の電位をφ0=0 とした場合の、電位分布及び電界を
数値解析により求めた。得られたr−z系の等電位線図
を図10に、r=0のときのz方向電界を図11,図1
2に示す。図11に示すように、トータルの電界が零と
なる点とリング電極中心点16(z=0)は一致せず、
リング電極中心点16に対して非対称的分布となってい
る。また、図12より、四重極電界以外の多重極電界を
みると、8重極,12重極電界と同等に、n=3,5
(奇数項)の6重極,10重極電界も生成されているのが
わかる。このような捕捉電界が生成されているとき、図
9に示すエンドキャップ電極11に+vdcosωt,エン
ドキャップ電極12に−vdcosωtを印加し、更に補助
交流電界を重畳生成させた際、内部に捕捉されたイオン
が共鳴出射される際のイオン軌道を数値解析した。結果
を図13に示す。経過時間tに対し、イオンの振動振幅
Aが急激に増加し、イオントラップ電極間空間から共鳴
増幅し始めてから短時間で出射することがわかる。この
とき、イオンが解離し易くなる振動エネルギーとなる振
動振幅Aの閾値をAt とすると、それを超えて振動を繰
り返している期間Td も非常に短い。このように、非対
称電界は、イオンを急激に不安定化する効果がある。従
って、この場合、イオンは解離する確率が低くなり、本
来出射する時間より早く出射することによるマスずれが
発生する可能性が低くなる。つまり、本実施例による
と、構造が不安定で解離し易いイオンも解離しにくくな
る為、イオンの構造安定性に依らずマスずれを回避で
き、安定に高精度な分析が可能となることが期待でき
る。また、本実施例では、イオン入射口径がイオン出射
口径より大きく設定している為、イオントラップ電極間
空間に流入するイオン量を増やすことができ、感度を向
上させることも期待できる。
【0019】次に、本発明の第二の実施例について図1
4を用いて説明する。ここでは、イオントラップ電極間
空間の非対称電界を、エンドキャップ電極11上のイオ
ン入射口13の穴径Φinを、エンドキャップ電極12上
のイオン出射口14の穴径Φout に対し、Φin>Φout
と設定することにより生成する。このとき、様々に電極
形状を変更させることなく、単にエンドキャップ電極の
穴径を変更するだけで、非対称電界を生成することが可
能となる。さらに、本実施例では、Φin>Φoutである
為、イオントラップ電極間空間に流入するイオン量を増
やすことができ、感度を向上させることも期待できる。
【0020】次に、本発明の第三の実施例について図1
5を用いて説明する。ここでは、イオントラップ電極間
空間の非対称電界を、リング電極中心点16からエンド
キャップ電極11までの距離z0in とリング電極中心
点16からエンドキャップ電極12までの距離z0out
を異ならせること(z0in≠z0out)により生成す
る。このとき、様々に電極形状を変更させることなく、
単にリング電極中心点16から各エンドキャップ電極1
1,12までの距離を変更するだけで、非対称電界を生
成することが可能となる。また、リング電極中心点16
から各エンドキャップ電極11,12までの距離を
0in≠z0out のように設定することは、非対称電
界を生成するのに非常に効率がよい為、リング電極中心
点16から各エンドキャップ電極11,12までの距離
が微小に違っていても、イオンが急激に不安定化する可
能性が高くなる。
【0021】次に、本発明の第四の実施例について図1
6を用いて説明する。ここでは、イオン捕捉電界の対称
性の基準面18に対して、リング電極内側の凸面の、3
つ以上の頂点から成る面を基準面18とし、その面とリ
ング電極凸面が交わる点から構成される円の中心をリン
グ電極の中心点16と設定しても良い。つまり、図16
に示すように、リング電極が、設置上の制約などによ
り、回転対称形状で無い場合でも、本実施例によると、
実質的なリング電極の中心点16,基準面18を設定可
能となる。つまり、本実施例によれば、リング電極が回
転対称形状で無い場合でも、適切な中心点16,基準面
18に基づき、内部に非対称電界を生成させることが可
能となる。
【0022】次に、本発明の第五の実施例について図1
7,図18,図19を用いて説明する。ここでは、リン
グ電極10,エンドキャップ電極11,12が、イオン
トラップ電極の中心軸17に垂直な基準面18に対し、
対称形状を持っていても良い。つまり、エンドキャップ
電極11上のイオン入射口13の穴径Φinを、エンドキ
ャップ電極12上のイオン出射口14の穴径Φoutに対
し、Φin= Φout 、リング電極中心点16から各エン
ドキャップ電極11,12までの距離z0in,z0
outに対し、z0in=z′outの関係を持っていても良
い。但し、本実施例では、図17に示すようにリング電
極に高周波電圧VRFcosΩt の他、2つのエンドキャッ
プ電極11と12間に直流電圧電源19より、微小の直
流電圧ΔVを印加することにより、基準面18に対し
て、非対称な捕捉電界を生成する。本実施例による場合
の、微小直流電圧ΔV>0,ΔV<0の各ケースにおけ
るr=0軸上の電位分布の概念図を図18,図19に各
々示す。2つのエンドキャップ電極11と12間に微小
の直流電圧ΔVを印加することにより、リング電極中心
点16の位置とz方向の電界が零となる点がずれている
ことがわかる。つまり、本実施例によっても、基準面1
8に対して、非対称な電界を生成することが可能とな
る。また、本実施例によれば、電極形状を故意に非対称
とすることなしに、電圧調整のみで容易に非対称電界を
生成可能となる。
【0023】次に、本発明の第六の実施例について図2
0を用いて説明する。ここでは、内部に捕捉したイオン
を共鳴出射させるために二つのエンドキャップ電極1
1,12間に印加する補助交流電圧Vdcosωtの周波数
ω/2nに対して、リング電極に印加する高周波電圧V
RFcosΩt のΩ/2πの1/3、或いはそれに近い周波
数(ω/2π〜Ω/6π )に設定する。このとき、共
鳴ポイントは、図3の安定領域上のβz=2/3 に相当
する。つまり、共鳴し始めたイオンは、安定領域(図
3)上のβz=2/3 のポイントに近づくことになる。
βz=2/3 のポイントでは、イオントラップ電極間空
間に捕捉されているイオンは、6重極電界により急激に
増幅し、不安定化する。これを、一般に、6重極電界に
よる非線形共鳴現象という。本発明では、イオントラッ
プ電極間空間に生成される捕捉電界が非対称な為、通常
よりも6重極電界成分が大きくなっている。従って、本
発明では、6重極電界による非線形共鳴現象の効果が通
常のイオントラップよりも大きくなると考えられる。そ
こで、本発明の第一の実施例と同じ非対称な電極形状
(図9)により、基準面18に対して非対称な捕捉電界
(図10,図11,図12)が生成された際に、エンド
キャップ電極11に+vdcos(Ωt/3),エンドキャ
ップ電極12に−vdcos(Ωt/3)を印加した場合の
イオン軌道を数値解析した。結果を図20に示す。この
場合もイオンが急激に増幅し、イオントラップ電極間空
間から出射しているのがわかる。従って、本実施例によ
れば、更にイオンを急激共鳴出射することが可能な為、
解離し易いイオンによるマスずれを回避することができ
る。
【0024】次に、本発明の第七の実施例について図2
1,図22を用いて説明する。図21は、本実施例であ
るイオントラップ型質量分析装置全体の概略図である。
本実施例では、第五の実施例同様、図17に示したよう
に、イオントラップ電極形状を対称にし、直流電圧電源
19により、二つのエンドキャップ電極11,12間に
微小直流電圧ΔVを印加して非対称なイオン捕捉電界を
生成させる。さらに、本実施例では、イオントラップ電
極間空間に対称な捕捉電界を生成する機能も持たせる。
つまり、生成する捕捉電界が、基準面18に対して対称
にするか、非対称にするかを、微小直流電圧ΔVを印加
する(ΔV≠0)か、否か(ΔV=0)で制御する。
【0025】図4,図5,図6,図7に示すような、基
準面18に対して対称なイオン捕捉電界を生成するよう
なイオントラップでは、イオンは図8に示されるよう
に、徐々に共鳴増幅する。このような現象は、ターゲッ
トとするイオンを中性ガスとの衝突により解離させ、そ
の解離イオンを質量分析するようなタンデム質量分析
(MS/MS分析)する場合には、中性ガスとの衝突確
率が高くなる為、非常に有効である。しかし、タンデム
質量分析しない場合は、内部に非対称電界を生成して、
図13に示すようにイオンを急激に共鳴出射させること
により、解離し易い構造を持つイオンが解離してマスず
れが発生するのを回避する必要がある。そこで、本実施
例では、ユーザー入力部15から入力された質量分析モ
ードに基づいて、微小直流電圧ΔVの値を設定し、イオ
ントラップ電極間空間に生成するイオン捕捉電界の対称
性を制御する。つまり、図22の制御フロー図に示すよ
うに、ユーザー入力部15から入力された質量分析モー
ドに基づいて、通常のMS分析の場合はΔV≠0、タン
デム質量分析の場合はΔV=0となるように、制御部9
により制御される。従って、本実施例によると、タンデ
ム質量分析時は、基準面18に対して対称な捕捉電界が
発生され、イオンが徐々に増幅する為、高効率にイオン
が解離され、高感度分析可能となる。また、通常のMS
分析時も、基準面18に対して非対称な捕捉電界が発生
され、イオンが急激に共鳴増幅し、出射するため、マス
ずれが回避され、質量分析精度が向上する。
【0026】次に、本発明の第八の実施例について図2
3,図24,図25を用いて説明する。本実施例でも、
第七の実施例と同じく、内部に生成するイオン捕捉電界
が基準面18に対して、対称とするか、非対称とするか
を、二つのエンドキャップ電極11,12間に印加する
微小直流電圧ΔVの値を制御する事による切り替え機能
がある構成を持つ。但し、その切り替えを、構造異性体
を分析するか否かにより、判断する。構造異性体とは、
質量数が同じで構造が異なるイオンである。構造異性体
同士で、構造の安定性も異なる場合が多く、解離のしや
すさが異なってくる。このようなイオンを、通常のMS
分析のターゲットとする場合は、同じ質量として観測さ
れ為には、ほぼ同じタイミングで共鳴出射する必要があ
る。図8に示したようにイオンが徐々に共鳴増幅する
と、解離し易い方の異性体が、中性ガスとの衝突により
解離され、解離し易いイオンが、もう一方の異性体イオ
ンより早く出射してしまい、本来同じ質量数ポイントで
ピークを持つはずのイオンが、異なる位置でマスピーク
を持ってしまうことになる(図24)。このとき、同じ
質量数を持つイオンは、異なる質量数を持つと誤った判
断をされる危険性がある。従って、構造異性体を通常の
MS分析する場合は、微小直流電圧ΔV≠0に設定し
て、内部に生成する捕捉電界を非対称化することによ
り、図13に示すようにイオンを急激共鳴出射させ、マ
スずれを回避させる(図25)。
【0027】一方、構造異性体イオンのみをイオントラ
ップ電極間空間に捕捉した(アイソレーションした)
後、解離し易い構造のイオンと解離し難い安定構造を持
つイオンとを分類する等、構造異性体イオン間の分離・
分析を行う場合などは、微小直流電圧ΔV=0に設定し
て、内部に生成する捕捉電界を対称化し、構造異性体イ
オンを、図8に示すように徐々に増幅させて、中性ガス
との衝突確率を高める。このとき、解離のしやすさで、
異性体イオンを分析・分類することも可能となる(図2
4)。つまり、図23の制御フロー図に示すように、ユ
ーザー入力部15から、入力された異性体の質量分析モ
ードに基づいて、通常のMS分析の場合はΔV≠0、異
性体間分離分析の場合はΔV=0となるように、制御部
9により制御される。従って、本実施例によると、通
常、質量分析装置では、タブーとされている異性体間分
離分析を回避することもでき、また、それを利用して分
離・分析することも可能となり、質量分析装置における
構造解析の可能性を広げると考える。
【0028】次に、本発明の第九の実施例について図2
6を用いて説明する。図26は、本実施例であるイオン
トラップ型質量分析装置全体の概略図である。本実施例
では、基準面18に対して非対称な捕捉電界分布を持つ
イオントラップ型質量分析部4の後流に、飛行時間型質
量分析(TOF−MS)部20を結合させている。ここ
では、イオントラップ型質量分析部4は、イオン源から
の試料イオンを溜め込むことに主に用いられ、イオント
ラップ型質量分析部4により溜め込まれたイオンは、輸
送光学系21を通過し、TOF−MS部20内のイオン
加速領域23に入射される。イオン加速領域23では、
イオン加速用電圧電源22から加速電圧が印加され、イ
オン加速電界が生成されている。加速されたイオンは、
各々の質量数に応じて異なる速度で無電界の飛行領域を
飛行した後、反射用電圧電源24により反射電界が生成
されているイオン反射領域25において、進行方向と逆
向きの電界を受けて、再度無電界の飛行領域を逆向きに
飛行し、検出器5に検出される。この時、イオンの質量
数に応じて、飛行時間が異なる為、その飛行時間により
質量分離した結果として、データ処理部6により処理さ
れる。特に、イオントラップ型質量分析部4により溜め
込まれたイオンを排出する際に、イオントラップ電極間
空間の捕捉電界を非対称化して、イオンを急激に出射さ
せることにより、イオンの排出タイミングの差による飛
行時間の誤差を低減させることができる。また、本実施
例によれば、イオントラップ型質量分析部4単独では分
析困難とされている高質量数イオンの高感度質量分析を
可能とすると考える。また、TOF−MS部20は、反
射型だけではなく、直線型を採用しても良い。
【0029】以上説明したように、リング電極の中心点
を通り、リング電極の中心軸に垂直な基準面に対して、
イオントラップ電極間空間に生成されるイオン捕捉電界
を非対称化することにより、イオンを急激に共鳴出射す
ることができ、イオンの構造の安定性に因るマスずれを
回避し、高精度で高感度な質量分析結果を安定に得るこ
とが可能となる。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、安定に、高感度・高精
度質量分析可能なイオントラップ型質量分析装置を提供
する事にある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例によるイオントラップ型質
量分析装置全体の概略図である。
【図2】イオントラップの各電極の断面図である。
【図3】イオントラップ内でのイオン軌道の安定性を決
定するa,q値の安定領域図である。
【図4】現実的なイオントラップの一例を説明する図。
【図5】イオントラップ内において、リング電極の電位
を単位電位φ0 =1、エンドキャップ電極の電位をφ0
=0とした場合の、r−z系の等電位線図の一例を示
す。
【図6】イオントラップ内において、リング電極の電位
を単位電位φ0 =1、エンドキャップ電極の電位をφ0
=0とした場合の、r=0のときのz方向電界の一例を
説明する図。
【図7】イオントラップ内において、リング電極の電位
を単位電位φ0 =1、エンドキャップ電極の電位をφ0
=0とした場合の、r=0のときのz方向電界の一例を
説明する図。
【図8】イオンを捕捉する為にイオントラップ電極間空
間内部に捕捉されたイオンが共鳴出射される際のイオン
軌道を数値解析した一例を説明する図。
【図9】本発明の実施例におけるイオントラップ電極の
電極形状の一例を説明する図。
【図10】イオントラップ電極間空間において、基準面
に対して内部電界分布が対称でない電極形状を持つ際
の、内部生成電位分布の数値解析結果の一例を説明する
図。
【図11】イオントラップ電極間空間において、基準面
に対して内部電界分布が対称でない電極形状を持つ際
の、内部生成電界の数値解析結果の一例を説明する図。
【図12】イオントラップ電極間空間において、基準面
に対して内部電界分布が対称でない電極形状を持つ際
の、内部生成電界の数値解析結果の一例を説明する図。
【図13】イオントラップ電極間空間において、内部に
捕捉されたイオンが共鳴出射される際のイオン軌道を数
値解析結果の一例を説明した図。
【図14】本発明の第二の実施例を説明する図。
【図15】本発明の第三の実施例を説明する図。
【図16】本発明の第四の実施例を説明する図。
【図17】本発明の第五の実施例を説明する図。
【図18】本発明の第五の実施例を説明する図。
【図19】本発明の第五の実施例を説明する図。
【図20】本発明の第六の実施例を説明する図。
【図21】本発明の第七の実施例を説明する図。
【図22】本発明の第七の実施例を説明する図。
【図23】本発明の第八の実施例を説明する図。
【図24】本発明の第八の実施例を説明する図。
【図25】本発明の第八の実施例を説明する図。
【図26】本発明の第九の実施例を説明する図。
【符号の説明】
1…前処理系、2…イオン化部、3…イオン輸送部、4
…イオントラップ型質量分析部、5…検出器、6…デー
タ処理部、7…RFドライブ電圧電源、8…補助交流電
圧電源、9…制御部、10…リング電極、11…イオン
入射側のエンドキャップ電極、12…検出器側のエンド
キャップ電極、13…イオン入射口、14…イオン出射
口、15…ユーザ入力・分析データ出力部、16…リン
グ電極中心点、17…中心軸、18…基準面、19…直
流電圧電源、20…飛行時間型質量分析部、21…イオ
ン輸送光学系、22…イオン加速用電圧電源、23…イ
オン加速領域、24…イオン反射用電圧電源、25…イ
オン反射領域。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三村 忠男 茨城県ひたちなか市大字市毛882番地 株 式会社日立ハイテクノロジーズ設計・製造 統括本部那珂事業所内 (72)発明者 冨岡 勝 茨城県ひたちなか市大字市毛882番地 株 式会社日立ハイテクノロジーズ設計・製造 統括本部那珂事業所内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】環状のリング電極と、該リング電極が間に
    配置されるように対向して配置された二つのエンドキャ
    ップ電極と、前記リング電極とエンドキャップ電極間に
    形成される電極間空間に高周波電界を生成するように前
    記リング電極とエンドキャップ電極間に与える高周波電
    圧を発生する高周波電源と、イオンを生成するイオン源
    と、その生成されたイオンを前記高周波電界が生成され
    る前記電極間空間に捕捉する手段と、前記電極間空間に
    捕捉されるイオンのうち、ある特定の質量対電荷比を持
    つイオンを前記電極間空間内で共鳴励起させるため、前
    記特定の質量対電荷比を持つイオンが、その質量対電荷
    比に応じて順次に質量分離し、電極間空間から出射さ
    せ、それを検出する手段を持つイオントラップ型質量分
    析装置において、電極間空間にイオンを捕捉するために
    生成する高周波電界分布が、前記リング電極の中心点を
    通り、前記リング電極の回転対称軸に垂直な面を基準面
    とした場合、前記基準面に対して、非対称となることを
    特徴とするイオントラップ型質量分析装置。
  2. 【請求項2】環状のリング電極と、該リング電極が間に
    配置されるように対向して配置された二つのエンドキャ
    ップ電極と、前記リング電極とエンドキャップ電極間に
    形成される電極間空間に高周波電界を生成するように前
    記リング電極とエンドキャップ電極間に与える高周波電
    圧を発生する高周波電源と、イオンを生成するイオン源
    と、その生成されたイオンを前記高周波電界が生成され
    る前記電極間空間に捕捉する手段と、前記電極間空間に
    捕捉されるイオンのうち、ある特定の質量対電荷比を持
    つイオンを前記電極間空間内で共鳴励起させるため、前
    記特定の質量対電荷比を持つイオンが、その質量対電荷
    比に応じて順次に質量分離し、電極間空間から出射さ
    せ、それを検出する手段を持つイオントラップ型質量分
    析装置において、電極間空間にイオンと捕捉するために
    生成する高周波電界分布が、前記リング電極の内側凸面
    の頂点を含む面を基準面とした場合、前記基準面に対し
    て、非対称となることを特徴とするイオントラップ型質
    量分析装置。
  3. 【請求項3】請求項1又は請求項2において、前記電極
    間空間に生成する、非対称なイオン捕捉電界に対して、
    前記イオンを捕捉するために生成される電界が常に零と
    なる点が前記基準面の中心点と一致しないことを特徴と
    するイオントラップ型質量分析装置。
  4. 【請求項4】請求項1又は請求項2において、前記電極
    間空間に生成するイオン捕捉電界分布を非対称化する手
    段において、前記二つのエンドキャップ電極が前記基準
    面に対して、対称な形状を持ち、対称な位置に設置され
    ている場合、前記二つのエンドキャップ電極とリング電
    極間に印加する電圧を、前記基準面に対して、非対称な
    大きさの電圧とすることを特徴とするイオントラップ型
    質量分析装置。
  5. 【請求項5】請求項1又は請求項2において、前記電極
    間空間に生成するイオン捕捉電界分布を非対称化する手
    段において、前記二つのエンドキャップ電極の形状を、
    前記基準面に対して、非対称化することを特徴とするイ
    オントラップ型質量分析装置。
  6. 【請求項6】請求項5において、前記二つのエンドキャ
    ップ電極の形状を、前記基準面に対して、非対称化する
    手段において、前記二つのエンドキャップ電極が向かい
    合う凸面の頂点付近に、各エンドキャップ電極が中心口
    を持つ場合に、片側のエンドキャップ電極に開口する前
    記中心口が、もう一方のエンドキャップ電極の中心口と
    異なる大きさとなることを特徴とするイオントラップ型
    質量分析装置。
  7. 【請求項7】請求項6において、前記二つのエンドキャ
    ップ電極が各々持つ前記中心口に対して異なる大きさと
    する手段において、イオンを入射する側の中心口が、イ
    オンを出射する側の中心口より大きく設定することを特
    徴とするイオントラップ型質量分析装置。
  8. 【請求項8】請求項5において、前記二つのエンドキャ
    ップ電極の形状を、前記基準面に対して、非対称化する
    手段において、前記基準面からの、一方の前記エンドキ
    ャップ電極までの距離が、もう一方のエンドキャップ電
    極までの距離と異なることを特徴とするイオントラップ
    型質量分析装置。
  9. 【請求項9】請求項8において、前記基準面からの、一
    方の前記エンドキャップ電極までの距離が、もう一方の
    エンドキャップ電極までの距離と異ならせる手段におい
    て、前記基準面からの、イオン入射する側のエンドキャ
    ップ電極までの距離が、前記基準面からの、イオン出射
    する側のエンドキャップ電極までの距離より長く設置す
    ることを特徴とするイオントラップ型質量分析装置。
  10. 【請求項10】請求項1又は請求項2において、前記電
    極間空間に生成する、非対称なイオン捕捉電界に重畳し
    て、ある特定の質量対電荷比を持つイオンを前記電極間
    空間内で共鳴励起させるために印加する、ある特定の周
    波数を持つ補助交流電界を前記電極間空間に発生する手
    段において、前記補助交流電界の周波数が、イオンを捕
    捉するために前記イオントラップ電極間に印加する電圧
    周波数の約1/3となることを特徴とするイオントラッ
    プ型質量分析装置。
  11. 【請求項11】請求項4において、前記二つのエンドキ
    ャップ電極とリング電極間に印加する電圧を、前記基準
    面に対して、非対称な大きさの電圧配分とするイオント
    ラップ型質量分析装置において、前記基準面に対して、
    対称な大きさの電圧を前記二つのエンドキャップ電極と
    リング電極間に印加することにより、前記電極間空間
    に、前記基準面に対して対称なイオン捕捉電界を生成す
    るような切り替える機能を持つことを特徴とするイオン
    トラップ型質量分析装置。
  12. 【請求項12】請求項1又は請求項2において、前記電
    極間空間に、前記基準面に対して、非対称となるイオン
    捕捉電界を生成させるイオントラップに、飛行時間型質
    量分析部を結合させたことを特徴とするイオントラップ
    型質量分析装置。
  13. 【請求項13】イオントラップ型質量分析装置であっ
    て、電極間空間に生成する高周波電界分布が、所定基準
    面に対して、非対称となることを特徴とするイオントラ
    ップ型質量分析装置。
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