JP2003231914A - レーザ焼入れ方法 - Google Patents

レーザ焼入れ方法

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JP2003231914A
JP2003231914A JP2002035557A JP2002035557A JP2003231914A JP 2003231914 A JP2003231914 A JP 2003231914A JP 2002035557 A JP2002035557 A JP 2002035557A JP 2002035557 A JP2002035557 A JP 2002035557A JP 2003231914 A JP2003231914 A JP 2003231914A
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quenching
laser
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laser beam
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Yusuke Nohara
祐介 野原
Masahiro Nishio
匡弘 西尾
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼入れ深さを深くし得ると共にフェライト組
織の残留がなく、かつトルースタイト組織が残らない良
好な焼入れ組織が得られるレーザ焼入れ方法を提供す
る。 【解決手段】 ワークにレーザ光を照射してそのワーク
の表面を焼入れするレーザ焼入れ方法において、焼入れ
加熱期間A−A’に追従して保温加熱期間A’−Cを付
加する。焼入れに必要な充分な加熱期間の確保とワーク
の急峻な冷却とを両立させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、円柱状部
材の外周面に環状に、あるいは平板状部材の表面に直線
状に焼入れをする場合に好適なレーザ焼入れ方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】各種回転軸のような円柱状部材の軸方向
の所望位置に、疲労強度や耐摩耗性の向上を目的とし
て、その外周面に環状に焼入れしたい場合がある。この
ような場合に用いられる焼入れ方法には、従来から、高
周波誘導加熱を用いた方法がある。この方法では、被焼
入れ部材(ワーク)を加熱用コイルの内側に置く必要が
あるため、ワークの大きさや形状によって加熱用コイル
を取り替えたり、調整し直さなければならない等、面倒
な点が多かった。また、平板状部材の表面に直線状に焼
入れをすることは著しく困難であった。
【0003】そこで最近では、ワークの大きさや形状に
柔軟に対応し得るレーザを用いた焼入れ方法が用いられ
てきている(特公昭63−50404号公報等、参
照)。図8は従来のこの種のレーザ焼入れ方法の概略説
明図である。この図において、1は回転軸等の円柱状の
ワークで、回転可能なチャック(図示せず)に、軸周り
方向に回転自在に保持されている。レーザ光2は、上記
チャックに保持され回転状態にあるワーク1の真横(図
中、上方)から照射される。この照射は、ワーク1が矢
印イに示すように1ないし複数回、回転している間、行
われる。
【0004】図9中の曲線ロは、図8においてレーザ光
2が照射されているワーク1の外周面A−B−Cにおけ
るレーザ光2の吸収率を示すレーザ光吸収率曲線であ
る。この曲線ロから分かるように、ワーク1の外周面A
−B−Cにおけるレーザ光2の吸収率は、レーザ光2の
照射中央位置(ワーク1の図8中の真上位置)B点で最
大となる。そして、そのB点から離れるに従って、すな
わち、照射開始位置であるA点側や照射終了位置である
C点側に向かうに従って小さくなる。
【0005】レーザ光2の吸収率は、図10中、曲線ハ
に示すように、ワーク1外周面に対するレーザ光2の照
射角度が90°で最大となり、それより小さい角度にな
る程、小さくなるからである。
【0006】したがって、レーザ光2の照射時、図8に
示すワーク1の外周面上のある一点Nの温度は、図11
中の曲線ニに表すような変化パターンを呈する。すなわ
ち、図8において時計方向(矢印イ方向)に回転移動す
るN点の温度は、A点からレーザ照射が開始されて上昇
して最大値に至り、レーザ照射を終え、加熱が解かれる
と、N点における熱が周囲に拡散される自己冷却作用に
よって急冷され、曲線ニを描く。
【0007】このような温度変化曲線ニは、その立ち上
がり後に、焼入れのための組織変態に必要な一定温度、
ここではA3変態点以上の期間(焼入れ温度期間)T1
を有し、その後、急冷されるパターンとなっており、そ
の結果、焼入れが施される。このような温度変化がワー
ク1の回転中、そのワーク1の外周面上の全点(全周)
で行われ、ワーク1外周面に環状の焼入れが施される。
【0008】ところで、焼入れ深さ(硬化層)の深浅
は、レーザ光照射時のワーク外周面上のある一点N(レ
ーザ光照射部位)の温度変化曲線における焼入れ温度期
間T1の長短に係わり、この期間T1が長い程、焼入れ
深さを深くし得る。また、トルースタイト組織等が残存
しない良好な焼入れ組織が得られるか否かは、ワーク1
の冷却が急峻に行われるか否かに係わり、前記温度変化
曲線の立下がりが急峻である程、良好な焼入れ組織が得
られる。
【0009】従来のレーザ焼入れ方法では、エネルギ吸
収率を高くするために、図8に示すようにワーク1に対
して垂直又はそれに近い角度でレーザ光2を照射し、図
11中の曲線ニに表すような温度変化パターンにて焼入
れを行っていた。すなわち、昇温後の冷却が急峻に行わ
れる焼入れが実現され、ワーク1の焼入れ部にトルース
タイト組織が残ることのない焼入れ組織が得られた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述従来
のレーザ焼入れ方法では、図11中の曲線二からも分か
るように、焼入れ温度期間T1が極めて短い。このた
め、ワーク1の内方への加熱が不足して焼入れ深さが浅
くなり、また、ワーク1中の炭素の拡散時間が不足して
フェライト組織が残る等の問題があった。
【0011】そこで、図8に示す方法おいて、レーザ光
2の幅を広げたり、あるいはワーク1の回転速度を若干
下げるという方法が考えられた。これによると、ワーク
1のレーザ光2の照射部位における温度変化パターン
は、図12中の曲線ニ’に示すように、加熱時間が全体
的に引き延ばされ、焼入れ温度期間T1は図11中の曲
線二における期間T1よりも広がり、したがって、焼入
れ深さが若干深められ、また、フェライト組織の残留も
少なくなった。
【0012】しかしその一方で、焼入れに必要な一定温
度(A3変態点)を下回ってからのワーク1の冷却の急
峻性は失われ、すなわち、曲線ニ’の立下がりは緩やか
になり、ワーク1の焼入れ部にトルースタイト組織が残
る等、焼入れが不完全なものとなった。
【0013】上掲曲線ニ’の立下がりを急峻にするに
は、加熱時間を変えることなく、レーザ光の出力を上げ
る等によってレーザ光照射部位の最大温度を上昇させる
方法が考えられるが、これによるとワーク1の表面がオ
ーバヒートして溶融する虞もあり、実際に採用されるに
は至らなかった。
【0014】そこで従来から、焼入れに必要な期間を充
分長くとれる上にワーク1の冷却も急峻に行え、したが
って、焼入れ深さを深くし得、またフェライト組織の残
留がなく、しかもトルースタイト組織の残留もない良好
な焼入れ組織が得られるレーザ焼入れ方法の出現が望ま
れていた。
【0015】本発明は、上記のような要望に鑑みなされ
たもので、焼入れに必要な充分な加熱期間の確保とワー
クの急峻な冷却とを両立でき、焼入れ深さを深くし得る
と共にフェライト組織の残留がなく、更にトルースタイ
ト組織が残らず良好な焼入れ組織が得られるレーザ焼入
れ方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明は、ワークにレーザ光を照射
して該ワークの表面を焼入れするレーザ焼入れ方法にお
いて、焼入れ加熱期間に追従して保温加熱期間を付加す
ることを特徴とする。
【0017】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、ワークの外周面に環状又は円弧状に焼
入れする場合に、該ワークを、その外周面の中心軸を回
転中心として一方向に回転させつつ、前記円周面上の任
意の照射開始位置から、回転角でほぼ90°、ワーク回
転方向に進んだ位置までの範囲内における所望の範囲を
照射領域とする所定幅のレーザ光を、前記照射開始位置
と回転中心とを結ぶ線に平行な方向から前記ワークの外
周面に照射して焼入れすることを特徴とする。
【0018】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、ワークの平面部に直線状に焼入れする
場合に、該平面部にほぼ垂直方向から照射されるレーザ
光に対して、該平面部のいずれか一端側を、他端側を支
点として該レーザ光の出射源に対して近付き又は遠ざか
る方向に傾動させて焼入れすることを特徴とする。
【0019】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、ワークの平面部に直線状に焼入れする
場合に、該平面部にほぼ垂直方向から照射されるメイン
レーザ光に連続して同平面部に傾斜した方向からサブレ
ーザ光が照射されるように、前記平面部及び/又は前記
両レーザ光を直線移動させて焼入れすることを特徴とす
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき説明する。図1は本発明によるレーザ焼入れ方
法の一実施形態の説明図、図2は図1中のワークをレー
ザ光出射側(レーザ集光用レンズ側)から見た図であ
る。なお、本実施形態においても、回転軸等の円柱状の
ワークの外周面に環状に焼入れをする場合を例に採って
説明する。
【0021】図において、1は、例えば材質がS45
C、直径が10mmの円柱状のワークで、回転可能なチ
ャック(図示せず)に、軸周り方向に回転自在に保持さ
れている。レーザ光2は、例えば出力750WのLD励
起YAGレーザ発振器11にて発振され、光ファイバ1
2を通って焦点距離が200mmに設定された集光用レ
ンズ13から出射され、上記チャックに保持されて回転
状態にあるワーク1に側方(図1中、上方)から連続的
に照射される。
【0022】この場合、レーザ光2の幅は、ワーク1の
半径寸法に相当する幅5mm程度、より詳しくは5mm
をやや下回る寸法に設定されている。また、このレーザ
光2は、幅方向(図1中、左右方向)の中心位置をワー
ク1の中央位置から回転方向側にずれた位置に照射され
るように設定されている。
【0023】ここでは、ワーク1の図1中の真上位置
(加熱開始位置)を回転角0°とし、ワーク1を時計方
向(矢印イ方向)に回転させることとして、レーザ光2
は、上記回転角0°から時計方向にほぼ90°進んだ回
転角90°の位置までの範囲(集光用レンズ13側から
見てワーク1の左半分側、ほぼ1/4周する範囲)を照
射領域とする幅W1をもつ。またこのレーザ光2は、上
記回転角0°の位置とワーク1の回転中心Oとを結ぶ線
に平行な方向からワーク1の外周面(円周面)に照射さ
れるように設定されている。すなわち、焼入れ加熱期間
に追従して保温加熱期間、つまり焼入れ加熱期間終了の
際の温度を保持させる期間が付加されるように、レーザ
光2のワーク1に対する照射位置、照射幅及び照射方向
が設定されている。
【0024】レーザ光2の厚み寸法D1は、所望の焼入
れ幅寸法に応じた寸法、通常は焼入れ幅寸法と同寸法
に、また、レーザ光2を照射するワーク1の軸方向位置
は、焼入れを望む位置に、各々設定される。ここでは、
図2に示すように、ワーク1の軸方向ほぼ中央位置に、
3mmの厚み寸法D1にてレーザ光2が照射されるよう
に設定されている。なお、上記レーザ光幅W1、厚み寸
法D1は、例えば集光用レンズ13の焦点距離の操作等
によって変更可能であるが、レーザ光2の出力は一定で
ある。
【0025】上記レーザ光2の照射は、ワーク1が1な
いし複数回、回転している間、行われる。ここでは、ワ
ーク1の回転数が180rpm、照射時間が3secに
設定され、したがって合計9回のレーザ光照射が行われ
る。
【0026】図3中の曲線ホは、図1においてレーザ光
2が照射されているワーク1外周面A−A’−Cにおけ
るレーザ光2の吸収率を示すレーザ光吸収率曲線であ
る。この曲線ホから分かるように、ワーク1の外周面A
−A’−Cにおけるレーザ光2の吸収率は、ワーク1の
図1中の真上位置、つまり、照射開始位置であるA点が
最大であり、そのA点から照射終了位置であるC点側に
向かうに従って小さくなる。レーザ光2の吸収率は、前
掲図10中、曲線ハに示すように、ワーク1外周面に対
するレーザ光2の照射角度、すなわちワーク1外周面の
各位置における接線とでなすレーザ光2の入射角が90
°で最大となり、それより小さい角度(鋭角)になる
程、小さくなる(レーザ光2の反射率が大きくなる)か
らである。
【0027】したがって、レーザ光2の照射時、図1に
示すワーク1の外周面上のある一点Nの温度は、図4中
の曲線ヘに表すような変化パターンを呈する。すなわ
ち、図1において時計方向に回転移動するN点の温度
は、図4において、まず、A点からレーザ照射が開始さ
れて上昇し、A’点で最大値に達する、焼入れ加熱パタ
ーンを示す(この焼入れ加熱パターンを示す期間を焼入
れ加熱期間という)。これに追従するA’点からC点ま
では、レーザ光2の照射が継続されるがワーク1外周面
に対するレーザ光2の照射角度が徐々に小さくなるので
ワーク1のオーバヒートが避けられつつ温度降下も生じ
ない、つまりA’点の温度を保持する保温加熱パターン
を示す(この保温加熱パターンを示す期間を保温加熱期
間という)。そしてC点でレーザ光2の照射が終了し、
加熱が解かれると、ワーク1の自己冷却作用によって急
峻な立ち下がりパターンを示す。
【0028】このような温度変化曲線ヘは、その立ち上
がり後に、焼入れのための組織変態に必要な一定温度、
ここではA3変態点以上の期間(焼入れ温度期間)T1
を有し、その後、急冷されるパターンとなっており、そ
の結果、焼入れが施される。このような温度変化がワー
ク1の回転中、そのワーク1の外周面上の全点(全周)
で行われ、ワーク1外周面に環状の焼入れが施される。
【0029】前述したように、焼入れ深さ(硬化層)の
深浅は、レーザ光照射時のワーク外周面上のある一点N
(レーザ光照射部位)の温度変化曲線における焼入れ温
度期間T1の長短に係わり、この期間T1が長い程、焼
入れ深さを深くし得る。また、トルースタイト組織等が
残存しない良好な焼入れ組織が得られるか否かは、ワー
ク1の冷却が急峻に行われるか否かに係わり、前記温度
変化曲線の立下がり、具体的には同上温度変化曲線のA
3変態点を下回ってからの立ち下がり部分が急峻である
程、良好な焼入れ組織が得られる。
【0030】上述した本発明のレーザ焼入れ方法では、
円柱状のワーク1外周面180°の領域中の回転方向側
のほぼ90°の回転角領域にレーザ光2を照射するよう
にしたので、レーザ光吸収率が最大値から徐々に低下す
るパターンにてワーク1への加熱が行われる。したがっ
て、図4中の曲線ヘに示すような温度変化パターン、つ
まり焼入れ加熱期間に追従して保温加熱期間が付加され
るパターンにて焼入れが行われる。
【0031】これによれば、焼入れのための組織変態に
必要な一定温度以上の時間が長くとれ、焼入れ深さを深
くできる。しかも、この一定温度以上の時間を、焼入れ
加熱温度の保持(保温加熱期間の付加)によって長くと
るようにしたので、レーザ光2の照射位置を図8に示す
位置のままで、レーザ光2の幅を広げたり、ワーク1の
回転速度を下げる方法とは異なり、冷却の急峻性が失わ
れることがない。したがって、ワーク1の焼入れ部への
不完全焼入れ組織(トルースタイト組織)の残留を抑え
ることができる。これによれば、ワーク1の表面をオー
バヒートして溶融させることなく焼入れ温度期間T1を
長くし得、また、急冷が可能であってフェライト組織の
残留がなく、更に、トルースタイト組織が残らず、焼入
れ組織の良好な焼入れを実現できる。
【0032】上述実施形態では、円柱状のワークの外周
面に環状に、すなわち360°の範囲に焼入れする場合
を例に採って説明したが、円周又は円弧面をもつワーク
の一部又は全部に、すなわち360°未満の範囲(円弧
状)に焼入れするようにしてもよい。
【0033】また、ワークの平面部に直線状に焼入れす
る場合に本発明を用いてもよい。図5は、材質がS45
Cの平板状のワーク51の図中、上面の左右方向に直線
状に焼入れする場合の一例を示す。ここでは、ワーク5
1の上面に所定幅W2をもつレーザ光2を、ワーク51
の上面に垂直方向から照射した状態で、ワーク51を隅
部52を支点としてレーザ光2の出射源(図示せず)に
近付く方向に所望の角度まで徐々に傾動(矢印ト参照)
させることで、焼入れを行う。図6は、図5に示す方法
において、ワーク51を隅部62を支点としてレーザ光
2の出射源(図示せず)から遠ざかる方向に所望の角度
まで徐々に傾動(矢印チ参照)させることで、焼入れを
行う。
【0034】図7は、2つのレーザ光、すなわちメイン
レーザ光2a及びサブレーザ光2bを用いてワーク51
の平面部に直線状に焼入れする例を示す。この場合は、
メインレーザ光2aをワーク51の平面部(図中、上
面)にほぼ垂直方向から照射し、サブレーザ光2bを同
上平面部に傾斜した方向から照射する。両レーザ光2
a,2bの照射部位は焼入れ方向に連続し、メインレー
ザ光2aの照射に追随してサブレーザ光2bが照射され
る方向に両レーザ光2a,2bとワーク51の少なくと
もいずれか一方を直線移動、ここでは両レーザ光2a,
2bを矢印リ方向に直線移動させることで焼入れを行
う。
【0035】図5〜図7のいずれの方法においても、ワ
ーク51の上面のレーザ光照射部位におけるレーザ光2
の吸収率は図3中の曲線ホと同様になり、また同レーザ
光照射部位の温度は図4中の曲線ヘと同様の変化パター
ン、つまり焼入れ加熱期間に追従して保温加熱期間が付
加されるパターンにて焼入れが行われる。したがって、
図1に例示の方法と同様に、ワーク1の表面をオーバヒ
ートして溶融させることなく焼入れ温度期間T1を長く
し得、また、急冷が可能であってフェライト組織の残留
がなく、更に、トルースタイト組織が残らず、焼入れ組
織の良好な焼入れを実現できる。図7に示す例におい
て、保温加熱の程度は、サブレーザ光2bのワーク51
の平面部に対する傾斜角度の調整や、同サブレーザ光2
bの出力の選定等によって調整し得る。
【0036】なお、レーザ光による焼入れ加熱期間に追
従する保温加熱期間は、必ずしもレーザ光による場合の
みに限定されるものではないが、焼入れ加熱をレーザ光
により行うので、同様にレーザ光を用いるほうが本発明
を実現するに当たり有利である。また、上述実施形態に
おいては、出力一定の連続光を発振するレーザ発振器を
用いたが、出力可変あるいはパルス状のレーザ光の発振
器を用い、ワークに応じて出力やパルス周期を適宜選定
可能にしてもよい。
【0037】
【発明の効果】以上述べたように請求項1に記載の発明
によれば、焼入れに必要な充分な加熱期間の確保とワー
クの急峻な冷却とを両立でき、焼入れ深さを深くし得る
と共にフェライト組織の残留がなく、更にトルースタイ
ト組織が残らず良好な焼入れ組織が得られるレーザ焼入
れ方法を提供することができる。レーザ焼入れは局部的
にかつ低歪に焼入れできる利点があり、したがって、特
に小物部品の焼入れに有効であり、また軸受けやクラン
ク軸の部分焼入れ等においても有効であり、本発明によ
れば、このようなレーザ焼入れにおいて焼入れ深さを深
くし得、また、良好な焼入れ組織を得ることができる。
【0038】請求項2に記載の発明によれば、円柱体等
のワークの外周面への環状又は円弧状の焼入れにつき、
ワーク及びレーザ光の位置を固定したまま(ワークを回
転させるだけ)で、また、レーザ光の出力を一定にした
ままで、請求項1の焼入れ方法を実現できる。
【0039】また、請求項3に記載の発明によれば、平
板体等のワークの平面部への直線状の焼入れにつき、ワ
ークを傾動させるだけで、また、レーザ光の出力を一定
にしたままで、請求項1の焼入れ方法を実現できる。
【0040】更に、請求項4に記載の発明によれば、同
じく平面部への直線状の焼入れにつき、ワーク又はレー
ザ光のいずれか一方を直線移動させるだけで、また、各
レーザ光の出力を一定にしたままで、請求項1の焼入れ
方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるのレーザ焼入れ方法の一実施形態
の説明図である。
【図2】図1中のワークをレーザ光照射側から見た図で
ある。
【図3】図1中のワーク外周面におけるレーザ光吸収率
を示すグラフである。
【図4】図1中のワーク外周面の温度変化を示すグラフ
である。
【図5】本発明によるレーザ焼入れ方法の他の実施形態
(その1)の説明図である。
【図6】本発明によるレーザ焼入れ方法の他の実施形態
(その2)の説明図である。
【図7】本発明によるレーザ焼入れ方法の他の実施形態
(その3)の説明図である。
【図8】従来方法の説明図である。
【図9】図8中のワーク外周面におけるレーザ光吸収率
を示すグラフである。
【図10】レーザ光照射角度に対するレーザ光吸収率を
示すグラフである。
【図11】図1中のワーク外周面の温度変化を示すグラ
フである。
【図12】焼入れ温度期間が広げられた従来方法におけ
るワーク外周面の温度変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ワーク 2 レーザ光 A−A’ 焼入れ加熱期間 A’−C 保温加熱期間

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワークにレーザ光を照射して該ワークの
    表面を焼入れするレーザ焼入れ方法において、焼入れ加
    熱期間に追従して保温加熱期間を付加することを特徴と
    するレーザ焼入れ方法。
  2. 【請求項2】 ワークの外周面に環状又は円弧状に焼入
    れする場合に、該ワークを、その外周面の中心軸を回転
    中心として一方向に回転させつつ、前記円周面上の任意
    の照射開始位置から、回転角でほぼ90°、ワーク回転
    方向に進んだ位置までの範囲内における所望の範囲を照
    射領域とする所定幅のレーザ光を、前記照射開始位置と
    回転中心とを結ぶ線に平行な方向から前記ワークの外周
    面に照射して焼入れすることを特徴とする請求項1に記
    載のレーザ焼入れ方法。
  3. 【請求項3】 ワークの平面部に直線状に焼入れする場
    合に、該平面部にほぼ垂直方向から照射されるレーザ光
    に対して、該平面部のいずれか一端側を、他端側を支点
    として該レーザ光の出射源に対して近付き又は遠ざかる
    方向に傾動させて焼入れすることを特徴とする請求項1
    に記載のレーザ焼入れ方法。
  4. 【請求項4】 ワークの平面部に直線状に焼入れする場
    合に、該平面部にほぼ垂直方向から照射されるメインレ
    ーザ光に連続して同平面部に傾斜した方向からサブレー
    ザ光が照射されるように、前記平面部及び/又は前記両
    レーザ光を直線移動させて焼入れすることを特徴とする
    請求項1に記載のレーザ焼入れ方法。
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