JP2014125660A - レーザ焼入れ方法及びレーザ焼入れ装置 - Google Patents

レーザ焼入れ方法及びレーザ焼入れ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2014125660A
JP2014125660A JP2012284114A JP2012284114A JP2014125660A JP 2014125660 A JP2014125660 A JP 2014125660A JP 2012284114 A JP2012284114 A JP 2012284114A JP 2012284114 A JP2012284114 A JP 2012284114A JP 2014125660 A JP2014125660 A JP 2014125660A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
laser
quenching
temperature
circulation
circulation part
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2012284114A
Other languages
English (en)
Inventor
Kohei Yanaka
耕平 谷中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2012284114A priority Critical patent/JP2014125660A/ja
Publication of JP2014125660A publication Critical patent/JP2014125660A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Articles (AREA)
  • Laser Beam Processing (AREA)

Abstract

【課題】被加工物の環状の焼入れ面に焼入れを行う場合に、特別な形状のレーザ光を形成することなく、レーザ照射の始端と終端との重複により発生する焼き戻しを防止する。
【解決手段】本発明に係るレーザ焼入れ方法は、被加工物の環状の焼入れ面に対し、周回するごとに中心から遠ざかる又は中心に近づくように渦巻き状にレーザを照射して前記レーザが照射された領域の温度をA3変態点以上に加熱し、第1周回部の温度がマルテンサイト変態開始温度以下になる前に、前記第1周回部に続く第2周回部の一部が前記第1周回部に重なるように前記レーザを照射する。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ焼入れ方法及びレーザ焼入れ装置に関する。
特許文献1には、ワークに円形状又は環状の焼き入れ領域を形成する焼入れ方法が開示されている。特許文献1では、レーザビームのビームスポットが、焼入れ領域の外周側よりも内周側の幅が小さい台形状になっている。レーザ照射装置からのレーザビームをワークに向けて照射しながら、レーザ照射装置とワークとを相対的に回転させることにより、環状の焼入れ領域が形成される。
特許文献2には、被加工物に形成された環状の溝の底面全周に焼入れを行う、円周面への熱処理方法が記載されている。環状のレーザ光を照射することにより、被加工物の円周面に焼入れが行われる。
特許文献3には、管状又は円柱形状のワークの側周面をレーザ焼入れする方法が開示されている。特許文献3では、レーザビームのワークの回転方向における径が長手方向の径より大きくなっている。ワークを回転させ、レーザビームをワークに照射しながら、レーザビームを長手方向に送ることで、ワークに螺旋状に焼入れを行っている。
特許文献4には、軸物又は長尺状のワークを回転させ、レーザ加工ヘッドを軸方向に所定の速度で送りながらレーザ光を照射することにより、熱加工を行う技術が開示されている。特許文献3、4に記載の技術は、円柱形状のワークの側面を焼入れするものである。
特開2005−213553号公報 特開平05−287362号公報 特開平07−252521号公報 特開2010−17735号公報
特許文献1に記載の焼入れ方法では、レーザ照射の始端と終端が重なるため、焼き戻しによる組織の軟化が発生するという問題がある。
特許文献2では、ワークのサイズが異なる場合、各ワークサイズに合わせた異なるサイズの環状のレーザ光を形成する必要がある。このため、異なるサイズの環状のレーザ光を形成するための光学系を設けなければならない。
また、レーザ光を一度に照射する面積が大きい場合、ワークの温度を十分にあげるために大きなレーザ出力を必要とする。小さな出力のレーザを用いて徐々に温度を上げようとすると、入熱がワーク内部に拡散して内部温度が上昇し、焼き入れに必要な自己冷却による急冷ができないという問題がある。
本発明は、このような事情を背景としてなされたものであり、ワークの環状の焼入れ面に焼入れを行う場合に、特別な形状のレーザ光を形成することなく、レーザ照射の始端と終端との重複により発生する焼き戻しを防止することが可能な焼入れ方法及び焼入れ装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に係るレーザ焼入れ方法は、被加工物の環状の焼入れ面に対し、周回するごとに中心から遠ざかる又は中心に近づくように渦巻き状にレーザを照射して前記レーザが照射された領域の温度をA3変態点以上に加熱し、第1周回部の温度がマルテンサイト変態開始温度以下になる前に、前記第1周回部に続く第2周回部の一部が前記第1周回部に重なるように前記レーザを照射する。
本発明の第2の態様に係るレーザ焼入れ方法は、上記の方法において、周回方向に対して垂直な方向の前記レーザの強度分布は、トップハット形状であることを特徴とする。
本発明の第3の態様にかかるレーザ焼入れ方法は、上記の方法において、前記焼入れ面におけるレーザスポットの周回方向に平行な方向の長さが、周回方向に垂直は方向の幅よりも長いことを特徴とする。
本発明の第4の態様に係るレーザ焼入れ装置は、レーザを出射するレーザ発振器と、前記レーザを、被加工物の環状の焼入れ面に対し、周回するごとに中心から遠ざかる又は中心に近づくように渦巻き状にレーザを照射して前記レーザが照射された領域の温度をA3変態点以上に加熱し、第1周回部の温度がマルテンサイト変態開始温度以下になる前に、前記第1周回部に続く第2周回部の一部が前記第1周回部に重なるように前記レーザを照射する、レーザ処理装置とを備える。
本発明の第5の態様に係るレーザ焼入れ装置は、上記の装置において、周回方向に対して垂直な方向の前記レーザの強度分布を、トップハット形状に変換する整形光学系をさらに備える。
本発明の第6の態様に係るレーザ焼入れ装置は、上記の装置において、前記整形光学系は、フライアイレンズを含むことを特徴とする。
本発明の第7の態様に係るレーザ焼入れ装置は、上記の装置において、前記整形光学系は、前記焼入れ面におけるレーザスポットの周回方向に平行な方向の長さが、周回方向に垂直は方向の幅よりも長くなるように、前記レーザを整形することを特徴とする。
本発明によれば、ワークの環状の焼入れ面に焼入れを行う場合に、特別な形状のレーザ光を形成することなく、レーザ照射の始端と終端との重複により発生する焼き戻しを防止することが可能なレーザ焼入れ方法及びレーザ焼入れ装置を提供することができる。
実施の形態に係るレーザ焼入れ方法を説明する図である。 実施の形態に係るレーザ焼入れ方法で焼入れを行った後の図1に示すワークの一部を拡大した図である。 図2のIII−III断面図である。 図3に示す焼入れ領域(1)の温度変化を示すグラフである。 実施の形態に係るレーザ焼入れ方法に用いられるレーザの強度分布の一例を示すグラフである。 レーザの強度分布の比較例を示すグラフである。 レーザの強度分布の違いによる効果を説明する図である。 レーザの強度分布の違いによる効果を説明する図である。 レーザの強度分布の違いによる効果を説明する図である。 レーザの強度分布の違いによる効果を説明する図である。 レーザスポットの形状による効果を説明する図である。 レーザスポットの形状による効果を説明する図である。 実施の形態に係るレーザ焼入れ方法を実現するレーザ焼入れ装置の構成例を示す図である。 ワークの一例を示す図である。 ガウシアン形状の強度分布を有するレーザを用いて焼入れを行った場合の焼入れ領域の断面図である。 ガウシアン形状の強度分布を有するレーザを用いて焼入れを行った場合の焼入れ領域の断面図である。 トップハット形状の強度分布を有するレーザを用いて焼入れを行った場合の焼入れ領域の断面図である。 トップハット形状の強度分布を有するレーザを用いて焼入れを行った場合の焼入れ領域の断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明は、本発明の実施の形態を説明するものであり、本発明が以下の実施形態に限定されるものではない。説明の明確化のため、以下の記載は、適宜、省略及び簡略化がなされている。又、当業者であれば、以下の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。
図1は、実施の形態に係るレーザ焼入れ方法を説明する図である。ここでは、図1に示すように、円筒状のワーク20にレーザ照射による焼入れ処理を施す例を挙げて説明する。ワーク20は、環状の焼入れ面21を有する。この環状の焼入れ面21に対して、フォーカスレンズ11で集光されたレーザ光L1が照射される。レーザ光L1は、焼入れ面21にレーザスポット10を形成する。
焼入れ面21に対しレーザスポット10を相対的に移動させることにより、焼入れ処理を行う。レーザを照射することにより、レーザが照射された領域の温度をA3変態点以上に加熱する。実施の形態では、図1に示すように、環状の焼入れ面21に沿ってレーザスポット10を周回するように移動させる。また、レーザスポット10が周回するごとに中心に近づくように渦巻き状にレーザを照射する。これにより、レーザ照射の始端と終端とが重複せず、環状の焼入れ面21の全面に焼入れ領域を形成することができる。なお、周回するごとに中心から遠ざかるように渦巻き状にレーザを照射してもよい。
ワーク20とレーザスポット10との相対位置は、ワーク20を図示しない移動機構により回転させながら移動させることにより変化させてもよく、レーザスポット10を図示しない移動機構により移動させることにより変化させてもよい。また、ワーク20とレーザスポット10の両方を移動させるようにしてもよい。
図2は、図1に破線で示す、実施の形態に係るレーザ焼入れ方法で焼入れを行った後のワーク20の一部を拡大した図である。図2において、焼入れ領域(1)が第1周回部、焼入れ領域(2)は第1周回部に続く第2周回部、焼入れ領域(3)が第2周回部に続く第3周回部である。焼入れ領域(1)〜(3)内に示される矢印が周回方向を示している。図3は、図2のIII−III断面図である。図3における矢印は、1周するごとにレーザスポット10が焼入れ領域(1)上から焼入れ領域(3)上まで移動したことを示す。
図2に示すように、実施の形態では、第1周回部である焼入れ領域(1)の温度がマルテンサイト変態開始温度(Ms温度)以下になる前に、第2周回部である焼入れ領域(2)の一部が焼入れ領域(1)に重なるようにレーザスポット10を高速に移動させて、レーザを照射する。
そして、第2周回部である焼入れ領域(2)の温度がマルテンサイト変態開始温度(Ms温度)以下になる前に、第3周回部である焼入れ領域(3)の一部が焼入れ領域(2)に重なるようにレーザスポット10を高速に移動させて、レーザを照射する。
図4のグラフは、図3に示す焼入れ領域(1)の温度変化を示す。図4において、横軸は時間であり、縦軸は温度である。時間T1は焼入れ領域(1)にレーザが照射されている時間であり、時間T2は焼入れ領域(2)にレーザが照射されている時間であり、時間T3は焼入れ領域(3)にレーザが照射されている時間である。
図4に示すように、時間T1において、焼入れ領域(1)は、A3変態点以上に加熱される。その後、時間T2において、焼入れ領域(1)の温度がMs温度以下になる前に、焼入れ領域(2)にレーザが照射される。そして、時間T3において、焼入れ領域(1)の温度がMs温度以下に下がる前に、焼入れ領域(3)にレーザが照射される。その後、自己冷却により焼入れ領域(1)の温度は、Ms温度以下に冷却される。
このように、焼入れ領域(1)がマルテンサイトに変態する前に、隣接する焼入れ領域(2)にレーザを照射することによって、焼入れ領域(1)においてすでに焼入れされた組織の焼き戻しを防ぐことができ、組織の軟化を防止することが可能となる。
また、実施の形態では、レーザスポット10を複数回周回させることにより、環状の焼入れ面21の全面に対して焼入れ処理を施している。これにより、特許文献2のようにワークサイズに合わせた環状のレーザ光を形成することなく、レーザスポット10を用いて環状の焼入れ面21に対して均一に焼入れ処理を行うことができる。
ここで、焼入れ面21上に集光されるレーザの強度分布についてみる。図5は、実施の形態に係るレーザ焼入れ方法に用いられるレーザの強度分布の一例を示すグラフである。図6は、レーザの強度分布の比較例を示すグラフである。図5、6において、横軸は、周回方向に対して垂直な方向のレーザの幅(mm)を示しており、縦軸はレーザの相対的な強度を示している。
実施の形態では、図5に示すように、周回方向に垂直な方向のレーザの強度分布がトップハット形状であるものを用いることが好ましい。すなわち、レーザの強度分布は、周回方向に垂直な方向に対して略均一になっている。これに対して、図6に示す比較例では、レーザの強度分布はガウシアン形状である。つまり、レーザの中心の強度が最も高く、中心から裾野にかけてなだらかに強度が下がっている。
これら2つの形状の強度分布を有するレーザを用いた場合の効果について図7A、7B、8A、8を参照して説明する。図7A、7Bは、ガウシアン形状のレーザを用いた場合の焼入れ領域の温度について説明した図である。図8A、8Bは、トップハット形状のレーザを用いた場合の焼入れ領域の温度について説明した図である。図7A、8Aは1つの焼入れ領域における温度分布を示しており、図7B、8Bは、上述のように、焼入れ領域(1)から(3)に移動した時の温度分布を示している。
図7Aに示すように、ガウシアン形状の強度分布を有するレーザを用いた場合、一点鎖線で示す焼入れ領域の中心の温度が高く、裾野にかけて温度が低くなる。このようなレーザを用いて、周回するごとに中心から遠ざかる又は近づくようにレーザ焼入れ処理を行った場合、次の周回部に重なる裾野部分の温度がMs温度以下に低下し、図7Bの破線で示す部分において焼き戻しが発生する可能性が高くなる。
一方、図8Aに示すように、トップハット形状の強度分布を有するレーザを用いた場合、周回方向に垂直な方向のレーザの強度分布が略均一であるため、ガウシアン形状の場合と比較すると裾野部分の温度が高くなる。このようなレーザを用いて、周回するごとに中心から遠ざかる又は近づくようにレーザ焼入れ処理を行った場合、次の周回部に重なる裾野部分の温度がMs温度以下に低下することを抑制することができ、図8Bの破線で示す部分における焼き戻しの発生を防止することが可能となる。このように、レーザの強度分布がトップハット形状である場合、レーザ照射部の周囲の意図しない部分への加熱がされないようにすることができる。
焼入れ面21に集光されるレーザスポット10の形状について、図9A、9Bを参照して説明する。図9A、9Bはレーザスポット10の形状による効果を説明する図である。図9A、9Bにおいて、矢印はレーザスポット10の進行方向(周回方向)を示している。図9Aに示すように、レーザスポット10の進行方向の長さが、進行方向に垂直な幅よりも短い場合、入熱量が少なくなる。このため、図9Bに示すように、レーザスポット10の進行方向の長さが進行方向に垂直な幅よりも長いことが好ましい。これにより、レーザの照射時間を長くして入熱量を増大させることが可能となる。
ここで、図10を参照して、実施の形態に係るレーザ焼入れ方法を実現するレーザ焼入れ装置の具体的な構成例について説明する。図10に示すように、レーザ焼入れ装置1は、フォーカスレンズ11、フライアイレンズ12、コリメートレンズ13、レーザ発振器14を有している。レーザ発振器14としては、例えば、YAGレーザ、ファイバレーザ、半導体レーザ等を用いることができる。ここでは、波長:940/980nm、出力:2000〜4000Wで制御した半導体レーザを用いた。レーザ発振器14により発振されたレーザ光L1は、コリメートレンズ13に入射し、平行光に変換される。コリメートレンズの一例として、焦点距離がF80mmのものを用いた。
図10に示すように、コリメートレンズ13を通過したレーザ光L2のビームスポットの形状は円形状である。レーザ光L2は、整形光学系に含まれるフライアイレンズ12入射する。図10に示す例では、フライアイレンズ12は、レーザ光L2が入射する面に複数の微小な凸面レンズが二次元配置された構成を有している。
図10に示すように、入射したレーザ光L2はフライアイレンズ12の各々のレンズによって所定の角度で広げられ、レーザ光L3のビームスポットの形状は矩形状となる。なお、フライアイレンズ12は、レーザ光L2が出射する面に複数の凸面レンズを有する構成のものを用いることもできる。また、フライアイレンズ12として、複数の凹面レンズが二次元配置されたものを用いることも可能である。
そして、レーザ光L3は、フォーカスレンズ11に入射し、フォーカスレンズ11の焦点面に集光される。フォーカスレンズ後例として焦点距離がF154mmのものを用いた。このように、フライアイレンズ12により広げられた各光をフォーカスレンズ11の焦点面で重ね合わせることにより、入射したレーザ光L2の周回方向に対して垂直な方向の強度分布を平坦化し、トップハット形状に変換することができる。なお、整形光学系としては、上記の例に限定されるものではない。例えば、回折光学素子(Diffractive Optical Element)や位相光学素子等を用いることも可能である。
図10に示す例では、レーザスポット10は、長さ17mm、幅4mmの矩形状とした。すなわち、レーザスポット10の周回方向に平行な方向の長さが、周回方向に垂直な方向の幅よりも長い。レーザ焼入れ装置1は、このような長さが幅よりも長いビームスポットを形成するレーザ光を用いて、上述したように周回するごとに中心から遠ざかる又は中心に近づくように渦巻状に焼入れ処理を行うレーザ処理装置(不図示)を備えている。
図11に、ワーク20の一例を示す。図11に示すように、ここでは、ワーク20としてギヤ部品30を適用した。ギヤ部品30は、円柱状又は円筒状である。ギヤ部品30の上面には、環状の焼入れ面31が形成されている。焼入れ面の形状として、実施例1:内径φ40、外径φ60、実施例2:内径φ40、外径φ56、実施例3:内径φ31、外径φ50である3つのギヤ部品30に対して焼入れ処理を行った。なお、ワーク20の種類、サイズはこれに限定されるものではない。
このようなギヤ部品30を回転させながら、レーザスポット10の照射位置を外周から内周にずらして照射した。これにより、ギヤ部品30の焼入れ面31に渦巻き状にレーザを照射した。照射位置をずらす量は、レーザの幅(4mm)よりも小さく、2mmとした。すなわち、前回の周回部に、今回の周回部が半分かぶるようにレーザが照射される。
そして、周回して焼重ねる際に、ギヤ部品30の回転数を60rpm以上として、前回の周の焼入れ部の温度がMs温度以下となる前に次のレーザ照射を実行した。このように、焼入れ領域の裾野部分の強度分布がガウシアン形状よりも高いトップハット形状のレーザを用い、周回速度を早くすることにより、Ms温度以下になる前に次のレーザを照射することが可能となる。
図12A、12B、13A、13Bに上記の条件にてレーザ焼入れを行った時の焼入れ領域の断面構造を示す。図12A、12Bは、幅5.1mmのガウシアン形状の強度分布を有するレーザを用いて焼入れを行った場合の焼入れ領域の断面図である。図13A、13Bは、幅4.0mmのトップハット形状の強度分布を有するレーザを用いて焼入れを行った場合の焼入れ領域の断面図である。なお、いずれの場合においても、長さ方向(周回方向)のレーザの強度分布は、略等しいトップハット形状であるものとする。
図12Aは、ガウシアン形状の強度分布のレーザを用いて焼入れを1周行った場合の焼入れ領域の断面図を示している。図12Aに示すように、レーザの裾野部分では入熱量が小さく、レーザの中央部分と裾野部分では組織が異なるのがわかる。図12Bは、焼入れ領域(1)〜(3)まで3周渦巻き状に焼入れ処理を行った場合の断面図を示している。図12Bに示すように、焼入れ領域(1)と(2)が重なる部分及び焼入れ領域(2)と(3)が重なる部分において焼き戻しが発生しているのがわかる。
図13Aは、トップハット形状の強度分布のレーザを用いて焼入れを1周行った場合の焼入れ領域の断面図を示している。図13Aに示すように、ガウシアン形状と比較すると、レーザの裾野部分においても均一に焼入れ処理がなされているのがわかる。図13Bは、焼入れ領域(1)〜(3)まで3周渦巻き状に焼入れ処理を行った場合の断面図を示している。図13Bに示すように、焼入れ領域(1)と(2)が重なる部分及び焼入れ領域(2)と(3)が重なる部分においても焼き戻しは発生せず、均一に焼入れ処理がなされている。
以上説明したように、実施の形態では、周回するごとに中心から遠ざかる又は中心に近づくように渦巻き状にレーザを照射することにより、始端と終端との重複により発生する焼き戻しを抑制することができる。また、第1周回部の温度がマルテンサイト変態開始温度以下になる前に、第1周回部に続く第2周回部の一部が第1周回部に重なるようにレーザを照射することで、第1周回部と第2周回部との重なり部分の焼き戻しを防止することができる。また、周回方向に垂直な方向の強度分布がトップハット形状であることにより、焼入れ領域全体に均一に焼入れ処理を行うことができる。
尚、本発明は上記実施の形態に限られるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。本発明は、ワークとして、円形状又は環状の焼入れ領域を有する部材に広く適用することが可能である。
1 レーザ焼入れ装置
10 レーザスポット
11 フォーカスレンズ
12 フライアイレンズ
13 コリメートレンズ
14 レーザ発振器
20 ワーク
21 焼入れ面
30 ギヤ部品
31 焼入れ面
L1、L2、L3 レーザ光

Claims (7)

  1. 被加工物の環状の焼入れ面に対し、周回するごとに中心から遠ざかる又は中心に近づくように渦巻き状にレーザを照射して前記レーザが照射された領域の温度をA3変態点以上に加熱し、
    第1周回部の温度がマルテンサイト変態開始温度以下になる前に、前記第1周回部に続く第2周回部の一部が前記第1周回部に重なるように前記レーザを照射する、
    レーザ焼入れ方法。
  2. 周回方向に対して垂直な方向の前記レーザの強度分布は、トップハット形状であることを特徴とする請求項1に記載のレーザ焼入れ方法。
  3. 前記焼入れ面におけるレーザスポットの周回方向に平行な方向の長さが、周回方向に垂直な方向の幅よりも長いことを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ焼入れ方法。
  4. レーザを出射するレーザ発振器と、
    前記レーザを、被加工物の環状の焼入れ面に対し、周回するごとに中心から遠ざかる又は中心に近づくように渦巻き状にレーザを照射して前記レーザが照射された領域の温度をA3変態点以上に加熱し、第1周回部の温度がマルテンサイト変態開始温度以下になる前に、前記第1周回部に続く第2周回部の一部が前記第1周回部に重なるように前記レーザを照射するレーザ処理装置と、
    を備えるレーザ焼入れ装置。
  5. 周回方向に対して垂直な方向の前記レーザの強度分布を、トップハット形状に変換する整形光学系をさらに備える請求項4に記載のレーザ焼入れ装置。
  6. 前記整形光学系は、フライアイレンズを含むことを特徴とする請求項5に記載のレーザ焼入れ装置。
  7. 前記整形光学系は、前記焼入れ面におけるレーザスポットの周回方向に平行な方向の長さが、周回方向に垂直は方向の幅よりも長くなるように、前記レーザを整形することを特徴とする請求項5又は6に記載のレーザ焼入れ方法。
JP2012284114A 2012-12-27 2012-12-27 レーザ焼入れ方法及びレーザ焼入れ装置 Withdrawn JP2014125660A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012284114A JP2014125660A (ja) 2012-12-27 2012-12-27 レーザ焼入れ方法及びレーザ焼入れ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012284114A JP2014125660A (ja) 2012-12-27 2012-12-27 レーザ焼入れ方法及びレーザ焼入れ装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014125660A true JP2014125660A (ja) 2014-07-07

Family

ID=51405409

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012284114A Withdrawn JP2014125660A (ja) 2012-12-27 2012-12-27 レーザ焼入れ方法及びレーザ焼入れ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014125660A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022100323A (ja) * 2020-07-15 2022-07-05 住友重機械工業株式会社 減速装置用部品

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022100323A (ja) * 2020-07-15 2022-07-05 住友重機械工業株式会社 減速装置用部品
JP7352681B2 (ja) 2020-07-15 2023-09-28 住友重機械工業株式会社 減速装置用部品

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10106864B2 (en) Method and apparatus for laser quenching
KR102211009B1 (ko) 공작물 표면 레이저 경화 방법 및 시스템
JP2015217427A (ja) レーザクリーニング方法
CN104816087B (zh) 一种基于单光束时空特性调节的激光加工头
JP5832412B2 (ja) 光学系及びレーザ加工装置
JPH0390237A (ja) アイレス縫合針の加工方法
US20170312856A1 (en) Laser cladding method and device for implementing same
CN105127424A (zh) 制造三维物体的装置及方法
JP2009178725A (ja) レーザ加工装置及びレーザ加工方法
JP2009259860A (ja) レーザ加工装置、及び、レーザ加工方法
JP2006229075A (ja) レーザ加熱装置
JP6393555B2 (ja) レーザ加工機及びレーザ切断加工方法
JP2017080796A (ja) 加工樹脂基板の製造方法およびレーザー加工装置
CN105143122A (zh) 玻璃物体的锐缘的钝化方法
JP2014125660A (ja) レーザ焼入れ方法及びレーザ焼入れ装置
JP6109638B2 (ja) 肉盛溶接装置及び肉盛溶接システム
JP2015199114A (ja) レーザ加工装置及びレーザ加工方法
JP2013078780A (ja) レーザ加工装置
CN104294011A (zh) 内孔激光淬火头及淬火方法
JP5368814B2 (ja) 樹脂溶着方法
JP2009056481A (ja) レーザ加工装置
JP2015174103A (ja) レーザ加工方法
JP2012066265A (ja) レーザ加工方法
JP5944963B2 (ja) レーザ加工ヘッド及びレーザ加工機
JP2010012570A (ja) 油溝形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150309

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20151102