JP2003230266A - 減速機付モータ - Google Patents

減速機付モータ

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JP2003230266A
JP2003230266A JP2002024899A JP2002024899A JP2003230266A JP 2003230266 A JP2003230266 A JP 2003230266A JP 2002024899 A JP2002024899 A JP 2002024899A JP 2002024899 A JP2002024899 A JP 2002024899A JP 2003230266 A JP2003230266 A JP 2003230266A
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flexspline
motor
magnet ring
magnet
magnetic field
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Mitsuo Uzuka
光男 宇塚
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SOFUTORONIKUSU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁力による波動歯車を用いた実用化可能なモ
ータを実現する。 【解決手段】 サーキュラ・スプライン7の内側に設け
たフレクスプライン4の内周に加撓性を持つマグネット
リング5を取り付ける。フレクスプライン4内側には、
マグネットリング5によりフレクスプライン4を楕円に
撓ませて、その撓みを回転させる回転磁界発生用のステ
ータコア8を設ける。サーキュラ・スプライン7をモー
タハウジングの円筒状部1aに固定し、フレクスプライ
ン4を出力軸3に固定して、出力軸3から回転出力を取
り出す。マグネットリング5はフレクスプライン4の開
口部側に取り付け、その歯は該マグネットリング5の取
り付け位置より撓み支点側に設けて、テコ比により噛み
合い力を大きくする。マグネットリング5は、短冊状の
マグネット小片を並行させ、全体を弾性のある樹脂で被
って構成し、フレクスプライン4のストッパ6で動きを
規制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、実用化を容易にし
た磁力による波動歯車を用いた減速機付モータに関す
る。
【0002】
【従来の技術】波動歯車は、小型で大きな減速比と高ト
ルクが得られることで知られている。図8に、市販され
ている波動歯車の構造例を示す。波動歯車は、歯数のわ
ずかに異なる2つの歯車であるサーキュラ・スプライン
101及びフレクスプライン102と、ウェーブ・ジェ
ネレータ103から構成される。サーキュラ・スプライ
ン101は剛性を有し、円形のリングの内側にフレクス
プライン102と同じピッチで、フレクスプライン10
2とわずかに異なる(例えば、2枚多い)の歯を有して
いる。フレクスプライン102は薄肉、カップ状の金属
弾性体の外周に歯を有し、ウェーブ・ジェネレータ10
3によって、内側から楕円に撓められて(弾性変形され
て)、長径方向の2点でサーキュラ・スプライン101
と噛み合う。ウェーブ・ジェネレータ103は、楕円状
のカムを内輪とし、弾性変形する外輪との間に多数のボ
ールベアリングが固定されていて、内輪の回転に従って
ボールを介して外輪を楕円に弾性変形させる。
【0003】ここで、例えば、サーキュラ・スプライン
101を固定してウェーブ・ジェネレータ103を時計
方向に1回転させると、フレクスプライン102は歯数
差(2枚)分反時計方向に移動する。よって、ウェーブ
・ジェネレータ103をモータで回転させれば、フレク
スプライン102の軸から大きく減速された回転が得ら
れる。このような波動歯車を用いた減速機付モータとし
ては、図8の波動歯車とモータとを継ぎ手を用いて接続
して構成するのが、一般的である。
【0004】しかし、ウェーブ・ジェネレータは高精度
の加工技術を必要とし、複雑、高価であるため、ウェー
ブ・ジェネレータに代えて磁力でフレクスプラインを撓
ませるようにした波動歯車を用いて減速機能を持たせた
ステッピングモータが、特開昭61−231863号公
報、特許第2683364号公報、及び特許第2760
816号公報に開示されている。
【0005】図9にそれらの波動歯車を用いたステッピ
ングモータの例を示す。このステッピングモータでは、
フレクスプライン102の弾性を維持するように、何ら
かの方法でマグネット104をフレクスプライン102
に接着や固着し、モータハウジング105の内周に設け
たステータコア106によりフレクスプライン102の
外側から回転する磁界を与えながら、この磁界により或
る径方向でマグネット104を吸引し、その直交方向で
反発させてフレクスプライン102を楕円に撓ませ、こ
の撓みを回転させて、内側の歯の一部を出力軸107に
固定したサーキュラ・スプライン108の外周の歯に噛
み合わせて、出力軸108から大きく減速された回転力
を取り出している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように磁力による波動歯車を用いて減速機能を持たせた
従来のモータでは、以下のような問題点があり、実用化
を困難にしていた。
【0007】1)磁界発生部をフレクスプラインの外側
に配置して、内側のフレクスプラインを撓ませる構造で
あるため、フレクスプラインの径rを小さくする必要が
あり、伝達トルクTが小さくなってしまい、十分なトル
クが得られないという問題がある。つまり、T=r×F
(Fは接線方向の力)なので、rが小さくなれば、Tも
小さくなる。このため、小型に構成できないという問題
もある。
【0008】2)フレクスプラインは原理的に撓むもの
であるため、接着や固着したマグネットが剥がれて脱落
するという信頼性を低める問題がある。剥がれにくくす
るために、仮に溶接等でマグネットをフレクスプライン
に固着すると、フレクスプラインの剛性が増して撓みが
不足したり、溶接部分でクラック等の応力割れが発生し
たりするといった信頼性を低下させる新たな問題が発生
する。
【0009】3)電源が停止するなどしてフレクスプラ
インを撓ませる磁界が無い状態の時に、波動歯車に大き
な負荷がかかると、フレクスプラインが弾性変形体であ
るため、サーキュラ・スプラインとフレクスプラインの
噛み合いが外れて回転してしまう危険性が存在する。
【0010】4)フレクスプラインを信頼性高く撓ませ
るために、一定の磁力を発生する必要があるため、負荷
とは関係なく一定の電流を流すオープンループのステッ
ピングモータにしか適用できず、負荷によりモータ電流
が変動する一般のモータには適用が困難であるという問
題がある。このため、ステッピングモータによる騒音発
生の問題もある。
【0011】本発明は、実用化を阻んでいる上記従来技
術の問題点を解決するためになされたものであり、磁力
による波動歯車を用いて減速機能を持たせたモータにお
いて、小型化しても高トルクを発生することができ、し
かも、信頼性が高く、フレクスプラインのマグネットの
取り付けが容易であり、電源停止時等にも安全に作動
し、一般のモータにも適用できるようにして、実用化を
容易にした減速機付モータを提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明による減速機付モータは、サーキュラ・スプ
ラインとは異なる歯数を持ち加撓性を有するフレクスプ
ラインの内周又は外周の一部に加撓性を有するマグネッ
トリングを取り付け、該フレクスプラインの内側に、該
マグネットリングを介して該フレクスプラインを楕円に
撓ませて歯の一部を該サーキュラ・スプラインに噛み合
わせながらこの撓みを回転させる回転磁界発生手段を設
け、該フレクスプラインの外周で噛み合う該サーキュラ
・スプラインを固定して該フレクスプラインから回転出
力を取り出すか、又は該フレクスプラインを固定して該
フレクスプラインの内周で噛み合う該サーキュラ・スプ
ラインから回転出力を取り出す、ことを特徴とする。
【0013】あるいは、前記マグネットリングはフレク
スプラインの開口部側に取り付け、該フレクスプライン
の歯は該マグネットリングの取り付け位置よりフレクス
プラインの撓みの支点側に設ける、ことを特徴とする。
【0014】あるいは、前記マグネットリングは、短冊
状または棒状のマグネット小片を周方向に並行させて配
置し、全体を弾性を有する樹脂で被ったものである、こ
とを特徴とする。
【0015】あるいは、前記マグネットリングは、粒子
状又は針状のマグネットを弾性を有する樹脂で形成した
ものである、ことを特徴とする。
【0016】あるいは、前記マグネットリングは、該樹
脂の内周と外周の一方又は両方に撓み変形を容易にする
ための溝を設けたものである、ことを特徴とする。
【0017】あるいは、前記マグネットリングは、前記
回転磁界発生手段に対向する周面を同一磁極とした単極
構成のものである、ことを特徴とする。
【0018】あるいは、前記回転磁界発生手段の電源が
切れた時又は磁界発生を停止した時に、フレクスプライ
ンを機械的に一定方向に撓ませて回転出力を拘束するブ
レーキ手段を有する、ことを特徴とする。
【0019】あるいは、前記フレクスプラインの撓みに
よる変位を検出するセンサを配置し、一定量の撓みによ
る変位を与えるように前記回転磁界発生手段の駆動電流
を制御する、ことを特徴とする。
【0020】本発明では、回転磁界発生手段をフレクス
プラインの内側に配置することで、フレクスプライン径
を大きくし、高トルクを得る。また、撓みを発生させる
マグネットリングよりも撓み支点寄りにフレクスプライ
ンの歯を設けることで、テコ比によりサーキュラ・スプ
ラインと噛み合う力を大きくして、信頼性を高める。ま
た、マグネットリングを、マグネット小片を弾性樹脂で
被ったり、さらに単極構成のものとしたりすることで、
マグネットリングの取り付けを容易にする。また、電源
停止時やモータ停止時に動作するブレーキ手段でフレク
スプラインを機械的に撓ませて出力軸を拘束すること
で、電源停止時やモータ停止時にも安全に作動させる。
さらに、撓み量を検出するセンサを設け、一定量の撓み
が得られるように駆動電流を制御することで、フレクス
プラインとサーキュラ・スプラインが噛み合うのに必要
十分な撓み量を得、一般のモータに適用可能にするとと
もに、騒音を低減する。以上により、本発明は、磁力に
よる波動歯車を用いて減速機能を持たせたモータの実用
化を容易にする。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図を用いて詳細に説明する。
【0022】図1は、本発明の一実施形態例を示す減速
機付モータの構成図である。モータハウジングは、円筒
状部1aと蓋部1bからなる。この円筒状部1aの端面
の軸受2aと、蓋部1bの軸受2bにより出力軸3が支
持される。
【0023】カップ状のフレクスプライン4は、その端
面(撓みの支点側)がモータハウジングの円筒状部1a
内においてモータ軸3に固定されている。フレクスプラ
イン4のカップ状の開口部内側には、後記する撓み発生
用のマグネットリング5が例えば複数の突起状のストッ
パ6により軸方向と周面方向に規制されて取り付けられ
ている。このマグネットリング5よりフレクスプライン
4の撓み支点側の中央部付近の外周には、所定幅のフレ
クスプラインの歯がきざまれており、これに対向するモ
ータハウジングの円筒状部1a内周にはサーキュラ・ス
プライン7が固定されている。
【0024】一方、マグネットリング5の内側にはフレ
クスプライン4を楕円に撓ませて、この撓みを回転させ
るための回転磁界発生手段を構成するステータコア8が
蓋部1bに固定されて配置されるとともに、この磁界の
磁路を形成するためにマグネットリング5の位置に対向
する円筒状部1aの内周にはマグネットヨーク9が設け
られている。また、適正なフレクスプライン4の撓みを
得るために、撓みによるギャップを検出するモータ電流
制御用のセンサ10がモータハウジング側に固定されて
いる。
【0025】このような構成の減速機付モータの動作に
ついて説明する。フレクスプライン4の内側に配置した
ステータコア8によって回転磁界が発生されると、ある
瞬間において、マグネットリング5は或る径方向を中心
に磁力による反発力を受けて外側に変形しようとし、フ
レクスプライン4を外側に押し広げるため、この方向の
直交方向では反作用で内側に狭められる。マグネットリ
ング5もこの直交方向では吸引力を受けるように駆動電
流が制御されて、内側に変形するため、上記の外側に変
形しようとする力を倍増させることとなり、フレクスプ
ライン4は楕円に撓められる。フレクスプライン4の楕
円に撓んだ長径方向の2点ではフレクスプライン4の歯
が固定されたサーキュラ・スプライン7の歯と噛み合
い、発生磁界が1回転すると歯数差分だけフレクスプラ
イン4が逆方向に移動し、出力軸3から減速した回転が
得られる。
【0026】図1の構成では、回転磁界発生手段を構成
するステータコア8が、フレクスプライン4の内側に配
置されているため、フレクスプライン4は円筒状部1a
の内側に可能な限り近づけることができるのでカップ状
の径を大きくすることができ、高トルクが得られる。フ
レクスプラインが同じ大きさならば、ステータコアが外
側にある場合よりもモータの外形を小型に構成すること
ができる。また、フレクスプライン4の撓み支点寄りに
歯を配置し、それより遠くの開口部にマグネットリング
5を配置しているため、テコ比によりサーキュラ・スプ
ラインと噛み合う力を大きくすることができる。
【0027】図2は、図1と同様な構成のフレクスプラ
インを回転させる減速機付モータの別の実施形態例を示
す構成図である。図1と異なる点は、フレクスプライン
4のマグネットリング5の取り付け位置の外周に歯をき
ざんでモータハウジングの円筒状部1a内側のサーキュ
ラ・スプライン7に噛み合うようにしていることであ
る。これにより、テコ比により大きな噛み合う力を得る
ことはできないが、出力軸3の方向のモータの寸法を小
さくできる利点が得られる。その他の構成は図1と略同
様である。ただし、センサ10の位置はフレクスプライ
ン4の撓み量を検出できる位置であればどの位置でもよ
い。
【0028】図3(a),(b)は、サーキュラ・スプ
ラインを回転させる方式の減速機付モータの実施形態例
を示す構成図である。図3(a),(b)のいずれの例
でも、フレクスプライン4の内側に歯をきざみ、これよ
り僅かに少ない歯数のサーキュラ・スプライン7をフレ
クスプライン4の内側に配置して、フレクスプライン4
が楕円に撓んだ時に短径方向の2点でサーキュラ・スプ
ライン7の外周の歯に噛み合う。フレクスプライン4は
モータハウジングの円筒状部1aにフレクスプラインホ
ルダ1cで固定し、サーキュラ・スプライン7は出力軸
3に固定する。この構成では、フレクスプライン4自体
は回転しないという利点がある。
【0029】図3(a)では、図1と同様の撓み発生機
構を用いる。すなわち、フレクスプライン4の開口部内
側に撓み発生用のマグネットリング5が取り付けられ、
マグネットリング5の内側にフレクスプライン4を楕円
に撓ませて、この撓みを回転させるための回転磁界発生
手段を構成するステータコア8が蓋部1bに固定されて
配置されるとともに、この磁界の磁路を形成するために
マグネットリング5の位置に対向する円筒状部1aの内
周にはマグネットヨーク9が設けられている。また、適
正なフレクスプライン4の撓みを得るために、撓みによ
るギャップを検出するモータ電流制御用のセンサ10が
モータハウジング側に固定されている。
【0030】この構成によれば、図1と同様に、ステー
タコア8が、フレクスプライン4の内側に配置されてい
るため、フレクスプライン4の径を大きくすることがで
き、高トルクが得られ、ステータコアが外側にある場合
よりもモータの外形を小型に構成することができるとと
もに、フレクスプライン4の撓み支点寄りに歯を配置
し、それよりも遠くの開口部に撓み発生するマグネット
リング5を配置しているため、テコ比によりフレクスプ
ライン4とサーキュラ・スプライン7と噛み合う力を大
きくすることができる。なお、マグネットリング5は本
実施形態例に限らず、非磁性体のフレクスプライン4の
外周側に取り付けてもよい。
【0031】一方、図3(b)が、図3(a)と異なる
点は、サーキュラ・スプライン7の位置がフレクスプラ
イン4の開口部付近にあり、撓み発生機構がそれよりも
フレクスプライン4の撓み支点寄りにあることである。
したがって、モータの外形を小型に構成したり、高トル
クが得られるようにしたりすることは可能であるが、テ
コ比によりフレクスプライン4とサーキュラ・スプライ
ン7の噛み合う力を大きくすることはできない。しか
し、厚みのあるマグネットリング5が先に組み込める利
点がある。
【0032】図4(a),(b)は、撓み波動発生用の
マグネットリングの構成例を示す断面図である。(a)
では、短冊状のマグネット小片5aを、間隔を開け、周
面の磁極を交互に変えてリング状に8個並行させて配置
し、シリコンゴムやナイロン等の柔らかで弾性のある樹
脂5bで被って構成している。これに対し、(b)で
は、短冊状のマグネット小片5aを、間隔を開け、周面
の磁極を同一にしてリング状に8個並行させて配置し、
シリコンゴムやナイロン等の柔らかで弾性のある樹脂5
bで被って単極構成とし、撓み易いように外周側に溝5
cを入れて構成している。
【0033】上記の溝5cは、マグネットリング5の内
周側に入れてもよいし、外周側と内周側の両方に入れて
もよい。マグネット5aの磁極の配置と溝5cの有無と
は関係はなく、組み合わせは任意である。マグネット5
aの磁極の数も、ステータコアによりフレクスプライン
に撓みを発生し得る構成であれば任意であるが、より加
撓性を持たせるにはマグネット小片5aを棒状に細くし
て多くするのが好ましい。この点、図4(b)のように
磁極を単極配置にすれば、磁極の数を任意に多くでき
る。図4(a)では、8極のステータコアに対応させて
8極の磁極を配置しているが、各磁極をさらに棒状のマ
グネット小片に分割してもよい。
【0034】外周側の溝5cを利用すると、ストッパ6
をこの溝5cに嵌まり込むような形状にすることができ
る。これにより、周方向に動くのを規制することができ
る。軸方向への動きを規制するには、その両端にリング
幅間隔の突起を立てればよい。図1のストッパ6でも、
図4(b)のストッパ6でも、マグネットリング5の取
り付けは、接着等の必要はなく、ストッパ6に係止させ
るだけでよいので、極めて容易になる。なお、図4
(b)のように、マグネットリング5を単極構成とした
場合には、たとえ周方向に動いても常に同じ磁極になる
ので、摩耗が小さければ周方向の動きを規制するのを省
略することができる。
【0035】上記以外のマグネットリングの構成例とし
ては、粒子状や針状の磁性体、又はこれらの磁性体を焼
結して高密度化したものを、ゴムやプラスチック等の弾
性を有する樹脂で成形したり、シート状に成形したマグ
ネットの端部を接着や溶着したりすることで、形成した
ものがあげられる。このマグネットリングにおいても、
着磁の仕方によって、周面に異なる磁極が交互に現れる
ようにしたり、同一極として単極構成にしたりすること
も可能である。また、その外周側と内周側の一方又は両
方に、撓み易くするための溝を設けることも可能であ
る。
【0036】図5は、ステータコアの構成例を示す図で
ある。ステータコア8は8極で構成され、u−u′,v
−v′,w−w′,x−x′の4相のコイルが巻かれて
構成されている。この極数及び相数は任意である。
【0037】図6(a),(b)は、ブレーキ手段を付
ける例を示す構成図である。(a)は、図1、図2のフ
レクスプライン4を回転させるモータにブレーキ手段を
取り付ける例を示し、(b)は、図3(a),(b)の
サーキュラ・スプライン7を回転させるモータにブレー
キ手段を取り付ける例を示している。
【0038】図6(a)では、バネ等の付勢手段11b
でテーパ状の先端部がフレクスプライン4の開口部の内
側に圧着するように付勢した可動ヨーク11aを、コイ
ル11cを巻いた固定ヨーク11dで不勢力に抗して吸
引する構成のブレーキ手段を用いる。ここで、コイル1
1cの電流をオフにすると、可動ヨーク11aのテーパ
状の先端部が付勢手段11bにより付勢されて移動し、
フレクスプライン4の開口部の内側に圧着して機械的に
外側に撓ませ、サーキュラ・スプライン7の一部に噛み
合わせる。これにより、出力軸3を拘束する。
【0039】一方、図6(b)では、バネ等の付勢手段
11bでテーパ状の先端部をフレクスプライン4の開口
部の外側に圧着するように付勢した可動ヨーク11a
を、コイル11cを巻いた固定ヨーク11dで不勢力に
抗して吸引する構成のブレーキ手段を用いる。ここで、
コイル11cの電流をオフにすると、可動ヨーク11a
のテーパ状の先端部が付勢手段11bにより付勢されて
移動し、フレクスプライン4の開口部の外側に圧着して
機械的に外側に撓ませ、サーキュラ・スプライン7の一
部に噛み合わせる。これにより、出力軸3を拘束する。
【0040】図7(a)は、上記構成のモータの回転磁
界発生手段の駆動電流を制御する回路例を示す図であ
り、図7(b)はその駆動電流の波形例を示す図であ
る。
【0041】図7(a)の回路は、図5に示したステー
タコア8の4相のコイルに回転磁界を発生させるため
に、図7(b)に示した波形の駆動電流を流すものであ
る。このため、例えば、u−u′の相のコイルに、図7
(b)に示した波形の駆動電流を流してN極を生成する
場合には、スイッチング素子Q1,Q4を導通させ、S極
を生成する場合にはスイッチング素子Q2,Q3を導通さ
せる。このような制御を、各相について図7(b)のタ
イミングで行うことにより、フレクスプラインの撓みを
回転させる磁界を発生させることができる。回転速度の
制御は、図7(b)の波形の周波数を制御して行う。例
えば、3000rpm程度であれば、その周波数は50
Hz程度である。
【0042】図1、図2、図3のセンサ10は、ステー
タコア8の各相に対応して配置する。ステータコア8が
図5のように4相構成であれば45度間隔で4個配置し
て各相の駆動電流を制御するが、少なくとも相間隔(図
5の例では90度)で2個配置すれば、他の相の駆動電
流は計算により求めることができる。センサ10として
は、静電容量式、磁気式、又はステータコイルに高周波
(例えば、50〜100kHz程度)励磁電流を駆動電
流に重畳して流して、インダクタンス変化によりギャッ
プ(撓み量)を検出し、駆動電流と比較して制御するこ
とにより、負荷トルクに応じたモータ電流とすることが
できる。
【0043】以上のようにクローズループにすれば、ス
テッピングモータのようなオープンループに比べ、消費
電流を低減することができるとともに、騒音も低減する
ことができる。駆動電流としては、矩形波電流とするの
が回路構成は簡単になるが、台形波や正弦波状の駆動電
流としてもよいことは言うまでもなく、この場合にはさ
らに騒音を低減することができる。
【0044】モータを停止した場合、出力軸にかかる負
荷トルクで逆回転しないようにするためには、モータ停
止時にもいずれか1相に駆動電流を流し続けるようにす
る方法が考えられる。あるいは、図7(a)のA−A′
に図6のコイル11cを直列接続したり、このA−A′
の電流を検出してコイル11cの電流をオン/オフした
りすれば、モータの停止時にはコイル11cの電流がオ
フになって図6に示したブレーキ手段が動作し、再びモ
ータを回転させる際にはコイル11cに電流が流れてブ
レーキ手段を解除することができ、モータ停止時の消費
電流を無くすことができる。この場合、電源断となれ
ば、当然コイル11cの電流は流れなくなるので、ブレ
ーキ手段が動作する。
【0045】
【発明の効果】以上で明らかなように、本発明によれ
ば、回転磁界発生手段をフレクスプラインの内側に配置
したので、フレクスプライン径を大きくし、高トルクを
得ることができる。
【0046】また、撓みを発生させるマグネットリング
よりもフレクスプラインの撓み支点寄りにフレクスプラ
インの歯を設けたので、テコ比によりサーキュラ・スプ
ラインと噛み合う力を大きくして、信頼性を高めること
ができる。
【0047】また、マグネットリングをマグネット小片
を加撓性樹脂で被った単極構成のものとしたので、マグ
ネットリングの取り付けを容易にすることができる。
【0048】また、電源停止時やモータ停止時に動作す
るブレーキ手段でフレクスプラインを機械的に撓ませて
出力軸を拘束するようにしたので、電源停止時やモータ
停止時にも安全に作動させることができる。
【0049】さらに、撓み量を検出するセンサを設け、
所定の撓み量が得られるように駆動電流を制御するよう
にしたので、フレクスプラインとサーキュラ・スプライ
ンが噛み合うのに必要十分な撓み量を得、一般のモータ
に適用できるとともに、騒音を低減することができる。
【0050】以上により、本発明によれば、磁力による
波動歯車を用いて減速機能を持たせたモータの実用化が
容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例を示す減速機付モータの
構成図である。
【図2】フレクスプラインを回転させる減速機付モータ
の別の実施形態例を示す構成図である。
【図3】(a),(b)は、サーキュラ・スプラインを
回転させる方式の減速機付モータの実施形態例を示す構
成図である。
【図4】(a),(b)は、撓み波動発生用のマグネッ
トリングの構成例を示す断面図である。
【図5】ステータコアの構成例を示す図である。
【図6】(a),(b)は、ブレーキ手段を付ける例を
示す構成図である。
【図7】(a)はモータの回転磁界発生手段の駆動電流
を制御する例を示す回路図、(b)は駆動電流波形の例
を示す図である。
【図8】従来例の波動歯車の構成図である。
【図9】波動歯車を用いた減速機能を有する従来例のス
テッピングモータの構成図である。
【符号の説明】
1a…円筒状部 1b…蓋部 2a,2b…軸受 3…出力軸 4…フレクスプライン 5…マグネットリング 5a…マグネット小片 5b…樹脂 5c…溝 6…ストッパ 7…サーキュラ・スプライン 8…ステータコア 9…マグネットヨーク 10…センサ 11a…可動ヨーク 11b…付勢手段 11c…コイル 11d…固定ヨーク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J027 FA36 FA41 FA45 FB40 GB03 GC06 HH11 HH16 HJ01 3J058 AB21 BA13 CC07 CC67 CC72 CC77 CD24 DD10 EA13 FA42 5H607 BB01 BB07 BB14 BB17 BB26 CC01 CC03 DD01 DD02 DD16 EE35 HH01 JJ09 5H641 BB06 BB13 BB16 BB17 BB19 GG02 GG04 GG12 GG14 GG20 HH02 HH05 HH06 HH09 HH14 JA19 JB10

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サーキュラ・スプラインとは異なる歯数
    を持ち加撓性を有するフレクスプラインの内周又は外周
    の一部に加撓性を有するマグネットリングを取り付け、 該フレクスプラインの内側に、該マグネットリングを介
    して該フレクスプラインを楕円に撓ませて歯の一部を該
    サーキュラ・スプラインに噛み合わせながらこの撓みを
    回転させる回転磁界発生手段を設け、 該フレクスプラインの外周で噛み合う該サーキュラ・ス
    プラインを固定して該フレクスプラインから回転出力を
    取り出すか、又は該フレクスプラインを固定して該フレ
    クスプラインの内周で噛み合う該サーキュラ・スプライ
    ンから回転出力を取り出す、 ことを特徴とする減速機付モータ。
  2. 【請求項2】 前記マグネットリングはフレクスプライ
    ンの開口部側に取り付け、該フレクスプラインの歯は該
    マグネットリングの取り付け位置よりフレクスプライン
    の撓みの支点側に設ける、 ことを特徴とする請求項1に記載の減速機付モータ。
  3. 【請求項3】 前記マグネットリングは、短冊状または
    棒状のマグネット小片を周方向に並行させて配置し、全
    体を弾性を有する樹脂で被ったものである、 ことを特徴とする請求項1又は2に記載の減速機付モー
    タ。
  4. 【請求項4】 前記マグネットリングは、粒子状又は針
    状のマグネットを弾性を有する樹脂で形成したものであ
    る、 ことを特徴とする請求項1又は2に記載の減速機付モー
    タ。
  5. 【請求項5】 前記マグネットリングは、該樹脂の内周
    と外周の一方又は両方に撓み変形を容易にするための溝
    を設けたものである、 ことを特徴とする請求項3又は4に記載の減速機付モー
    タ。
  6. 【請求項6】 前記マグネットリングは、前記回転磁界
    発生手段に対向する周面を同一磁極とした単極構成のも
    のである、 ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載
    の減速機付モータ。
  7. 【請求項7】 前記回転磁界発生手段の電源が切れた時
    又は磁界発生を停止した時に、フレクスプラインを機械
    的に一定方向に撓ませて回転出力を拘束するブレーキ手
    段を有する、 ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載
    の減速機付モータ。
  8. 【請求項8】 前記フレクスプラインの撓みによる変位
    を検出するセンサを配置し、 一定量の撓みによる変位を与えるように前記回転磁界発
    生手段の駆動電流を制御する、 ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載
    の減速機付モータ。
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