JP2003229242A - 加熱装置、定着装置および画像形成装置 - Google Patents

加熱装置、定着装置および画像形成装置

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JP2003229242A
JP2003229242A JP2002027840A JP2002027840A JP2003229242A JP 2003229242 A JP2003229242 A JP 2003229242A JP 2002027840 A JP2002027840 A JP 2002027840A JP 2002027840 A JP2002027840 A JP 2002027840A JP 2003229242 A JP2003229242 A JP 2003229242A
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heating
temperature
infrared
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Yuji Toyomura
祐士 豊村
Keisuke Fujimoto
圭祐 藤本
Masaaki Nakano
雅明 中野
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インダクションヒータを用いた定着装置にお
いて、温度検出遅れを改善し、高精度な温度制御を行う
ことである。 【解決手段】 被加熱体を加熱する加熱部材と、電磁誘
導により前記加熱部材を加熱する電磁誘導加熱手段と、
前記加熱部材から放射される赤外線を検出し、前記加熱
部材の温度を検出する赤外線検出手段と、前記赤外線検
出手段の検出値に基づいて、前記電磁誘導加熱手段への
供給電力を制御して前記加熱部材の温度を制御する温度
制御手段とを有することを特徴とする加熱装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁誘導加熱手段
であるインダクションヒータを用いた加熱装置、特に記
録媒体上に形成されたトナー像を加熱して記録媒体に定
着する定着装置および前記定着装置を有する画像形成装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図12は従来の加熱装置としての定着装
置の構造を示す断面図、図13は加熱ローラの詳細な断
面図である。図12および図13において、1は加熱ロ
ーラであり、記録媒体12上に転写された未定着トナー
像13を加熱することで、未定着トナーを記録媒体に定
着し、定着トナー像14を得る。加熱ローラ1は表面か
ら近い順に、発熱ベルト2、ゴムローラ3、芯材4から
構成されている。
【0003】発熱ベルト2は3層構造を有するベルトで
あり、表面に近いほうから離型層5、シリコンゴム層
6、基材層7から構成される。離型層5は厚み約20〜
30μmのフッ素樹脂からなり、加熱ローラ1に離型性
を付与する。シリコンゴム層6は約170μmのシリコ
ンゴムで構成され、加圧ローラに適度な弾性を与える。
基材層7は鉄・ニッケル・クロム等の合金である磁性材
料によって構成されている。
【0004】ゴムローラ3は、所定の弾性と共に断熱性
を高めるため発砲シリコンゴムなどで構成される。芯材
4にSUSなどの磁性材料を用いた場合、加熱ローラ1
の外部から供給される磁力線によって芯材4が発熱し、
結果的に発熱効率が低下する場合があるため、芯材4に
は例えば樹脂などの非磁性材料を用いることが望まし
い。
【0005】8は加圧手段としての加圧ローラである。
加圧ローラ8はシリコンゴムによって構成され、所定の
押圧力で加熱ローラ1に圧接してニップ部を形成してい
る。加熱ローラ1は図示しない駆動源に連結され、加熱
ローラ1の回転に伴って加圧ローラ8も回転する。
【0006】9は励磁コイルである。励磁コイル9は表
面が絶縁された銅製の線材を所定本数束ねた線束を、加
熱ローラ1の回転軸方向に延伸し、かつ加熱ローラ1の
両端部において、加熱ローラ1の周方向に沿って周回し
て形成されている。10は背面コアである。この励磁コ
イル9に半共振型インバータである励磁回路(図示せ
ず)から約30kHzの交流電流を印加すると、背面コ
ア10と加熱ローラ1の基材層7によって構成される磁
路に磁束が生じる。この磁束によって加熱ローラ1の発
熱ベルト2の基材層7に渦電流が形成され、基材層7が
発熱する。基材層7で生じた熱はシリコンゴム層6を経
て離型層5まで伝達され、加熱ローラ1の表面が発熱す
る。
【0007】11は加熱ローラ1の温度検出手段として
設けられているサーミスタ(Thermally Se
nsitive Resistor)である。サーミス
タは金属酸化物を主原料とし、高温で焼結して得られる
セラミック半導体であり、温度に応じて負荷抵抗が変化
することを応用して、接触した対象物の温度を計測する
ことができる。サーミスタ11の出力は図示しない制御
装置に入力され、制御装置はサーミスタ11の出力に基
づいて励磁コイル9に出力する電力を制御し、加熱ロー
ラ1の表面温度が約170゜Cとなるよう制御する。
【0008】この温度制御がなされた加熱ローラ1と加
圧ローラ8によって形成されるニップ部に、未定着トナ
ー像12が形成された記録媒体としての記録紙12を通
紙すると、記録紙12上の未定着トナー像12は、加熱
ローラ1と加圧ローラ8によって加熱/加圧され、定着
トナー像14を得ることができる。
【0009】次に、インダクションヒータを、加熱装置
たる定着装置に採用した場合のメリットについて説明す
る。インダクションヒータは励磁コイル9が巻かれた背
面コア10に対向する、発熱ベルト2の基材層7(すな
わち磁性材料)が発熱し、これが発熱ベルト2の表面ま
で伝播するが、一般的に、例えばハロゲンランプ等の熱
源を内部に有する定着装置と比較して発熱ベルト2の熱
容量は非常に小さいため、発熱ベルト2そのものは非常
に高速に昇温する。より具体的にはハロゲンランプ等の
熱源を内部に有する定着装置が、室温から定着可能な温
度(約170゜C)に到達するのに数分オーダの時間を
要するのに対し、インダクションヒータを応用した定着
装置では、励磁コイル9に交流電流を連続通電すること
で、発熱ベルト2を10秒オーダの時間で定着可能温度
に到達させることができる。
【0010】さて、サーミスタ11の周囲温度を変化さ
せたとき、サーミスタの温度が初期温度から最終温度の
温度差の63.2%に到達するまでの時間は熱時定数τ
と定義される。一般的に高感度型と言われるサーミスタ
であっても、τ=3秒程度である。サーミスタの温度が
最終温度の95.0%に到達するのは3×τであり、こ
の例では約9秒の時間を要することになる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上述べてきたよう
に、従来のインダクションヒータを応用した定着装置は
熱容量の小さな(即ちインダクションヒータに電力を供
給すると急速に昇温するが、逆に電力を停止すると急速
に冷却する)被加熱体の温度を、サーミスタのような熱
時定数τの大きな温度検出手段によって検出しているた
め、サーミスタの出力に基づく温度検出値と実際の温度
との間に誤差が大きいという課題があった。
【0012】このため、励磁コイル9や背面コア10、
および発熱ベルト2が改良され、より高速な温度上昇速
度が実現されたとしても、検出誤差が大きいが故に、イ
ンダクションヒータへの投入電力を意図的に減少させ、
温度上昇速度を遅くすることで検出誤差を小さくするし
かなかった。これはインダクションヒータを応用した加
熱手段としての定着手段の本来性能を十分に活かしてい
ないことに他ならない。
【0013】また、最近の画像形成装置は待機時の電力
をより小さくする方向にあり、熱定着手段を有する画像
形成装置においても、待機中は定着手段に電力は供給さ
れていない。このとき画像形成装置は、例えばネットワ
ークを介して画像データが外部のコンピュータ等から転
送されたのを検出すると、印字可能な状態への復帰を開
始するが、定着手段の昇温がボトルネックとなって、昨
今のユーザニーズである高速プリント、特に最初の1枚
目の印字の高速化、いわゆるファーストプリント時間を
短縮することは困難である。
【0014】以降、具体的な例に基づき説明を続ける。
【0015】本発明者らの知見によれば、インダクショ
ンヒータは発熱ベルト2の誘電率の最適化、ゴムローラ
3の断熱特性の改善等によって、加熱ローラ1の表面温
度を室温から定着可能な温度(約170゜C)まで約1
0秒以下でヒートアップすることができる(室温を25
゜Cとすると温度上昇速度は約15゜C/s)。このよ
うに急激な温度上昇にはサーミスタは追随できず、サー
ミスタが仮に熱時定数τ(ここでは3秒と仮定する)だ
け遅れて正確な温度を検出するとしても、この間に50
゜C近いオーバシュートが発生する。このとき、定着可
能温度である170゜Cに調温されているはずの加熱ロ
ーラの表面温度は約220゜Cとなっており、安全性の
上で問題がある。更に実際は熱時定数τの時点で検出さ
れるのは、最終温度の63.2%である。サーミスタに
よる検出遅れは実質的には10秒以上となるため、事態
はより深刻となる。
【0016】またサーミスタは接触式のセンサであるた
め、加熱ローラ1とサーミスタ11の接触状況によって
は、温度を実際より低く検出してしまうという危険性も
ある。
【0017】さて、一般的に定着装置における温度制御
は、温度検出手段の出力によって加熱ローラ1の表面温
度を検出し、この検出結果に基づきヒータへの供給電力
を制御する。従来例のようにサーミスタ11を使用する
場合では、温度検出に大きな時間的遅延が生ずるので、
加熱ローラ1の表面温度が安定しない、所謂温度リップ
ルのような現象もしばしば発生する。この温度リップル
によって定着温度が変動し、画像光沢が変わるという課
題もあった。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み、本発明
は、電磁誘導加熱手段であるインダクションヒータによ
って加熱される加熱ローラの温度を検出する赤外線検出
手段(サーモパイル)と、サーモパイルの出力に基づい
て、インダクションヒータへの投入電力を制御して、加
熱体を所定の温度に制御する温度制御手段とを有する構
成とした。
【0019】サーモパイルの反応時間は一般に10〜3
0msと非常に高速である。サーモパイルの反応時間を
30msと遅く見積り、インダクションヒータを用いた
加熱ローラの温度上昇速度を30゜C/秒と仮定した場
合でも、30ms間の温度上昇は0.9゜Cにすぎな
い。これによって目標温度到達直後の大きなオーバシュ
ートを改善できると共に、加熱ローラを定温に制御する
にあたって、温度リップルを極めて小さくすることがで
きる。
【0020】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の発明は、被加熱
体を加熱する加熱部材と、電磁誘導により前記加熱部材
を加熱する電磁誘導加熱手段と、前記加熱部材から放射
される赤外線を検出する赤外線検出手段と、前記赤外線
検出手段の検出値に基づいて、前記電磁誘導加熱手段へ
の供給電力を制御して前記加熱部材の温度を制御する温
度制御手段とを有することを特徴とする加熱装置であ
る。これによって急激に変化する加熱部材の温度を高速
に検出できるため、温度制御におけるオーバシュートや
温度リップルの発生を低減することができる。
【0021】請求項2に記載の発明は、前記加熱部材か
ら放射される赤外線を前記赤外線検出手段に導くための
光学系を有することを特徴とする請求項1に記載の加熱
装置である。一般的に赤外線検出手段は、温度検出対象
の温度に近づくにつれ、検出精度が低下するが、これに
よって、加熱部材と赤外線検出手段の距離を十分離間し
て配置可能となり、常に高精度な検出が可能となる。
【0022】請求項3に記載の発明は、前記光学系が、
ミラーを有する構成とした加熱装置である。これによっ
て、赤外線検出手段と被加熱体のレイアウトの自由度を
向上させることができる。
【0023】請求項4に記載の発明は、前記光学系が、
内面が略鏡面よりなる導波管を有する構成とした加熱装
置である。これによって、赤外線検出手段と被加熱体の
レイアウトの自由度を向上させることができる。
【0024】請求項5に記載の発明は、前記加熱部材の
所定部分から放射される赤外線のみが前記赤外線検出手
段に達するように、前記加熱部材の所定部分から放射さ
れる赤外線以外の赤外線が前記赤外線検出手段に達する
のを遮断するための遮断手段を有する構成とした加熱装
置である。これによって、温度制御に寄与しない部分か
ら入射する赤外線を遮断することができる。
【0025】請求項6に記載の発明は、被加熱体を加熱
する加熱部材と、電磁誘導により前記加熱部材を加熱す
る電磁誘導加熱手段と、前記加熱部材の複数の異なる部
分から放射される赤外線を別々に検出する複数の赤外線
検出手段と、前記複数の赤外線検出手段の検出値に基づ
いて、前記電磁誘導加熱手段への供給電力を制御して前
記加熱部材の温度を制御する温度制御手段とを有するこ
とを特徴とする加熱装置である。これによって、加熱部
材の表面汚染などに起因する温度検出誤差を小さくでき
る。
【0026】請求項7に記載の発明は、記録媒体上に形
成されたトナー像を加熱して前記記録媒体に定着する定
着装置であって、請求項1〜5のいずれかに記載の加熱
装置を有することを特徴とする定着装置である。これに
よって急激に変化する加熱部材の温度を高速に検出でき
るため、温度制御におけるオーバシュートや温度リップ
ルの発生を低減することができる。
【0027】請求項8に記載の発明は、記録媒体上に形
成されたトナー像を加熱して前記記録媒体に定着する定
着装置であって、請求項6に記載の加熱装置を有するこ
とを特徴とする定着装置である。これによって、加熱部
材の表面汚染などに起因する温度検出誤差を小さくでき
る。
【0028】請求項9に記載の発明は、前記加熱部材を
加熱ローラまたは加熱ベルトとして配設した定着装置で
ある。これによって、簡易な構成で、記録媒体上に転写
されたトナー像を定着することができる。
【0029】請求項10に記載の発明は、前記複数の赤
外線検出手段のうち少なくとも1つは、使用する最小の
記録媒体の通過範囲における前記加熱ローラまたは加熱
ベルトから放射される赤外線を検出し、前記複数の赤外
線検出手段のうち少なくとも1つは、使用する最大の記
録媒体の通過範囲であって、前記最大の記録媒体の次に
大きい記録媒体の通過範囲外における前記加熱ローラま
たは加熱ベルトから放射される赤外線を検出することを
特徴とする請求項8に記載の定着装置である。これによ
って、使用する記録媒体の幅が最大でない場合に、記録
媒体の通過範囲外における加熱部材の温度検出結果に基
づいて、少なくとも定着動作を休止することで、定着装
置が異常高温となる事態を防止することができる。
【0030】請求項11に記載の発明は、記録媒体上に
トナー像を形成するトナー像形成手段と、請求項7に記
載の定着装置とを有することを特徴とする画像形成装置
である。これによって急激に変化する加熱部材の温度を
高速に検出できるため、温度制御におけるオーバシュー
トや温度リップルの発生を低減することができる。
【0031】請求項12に記載の発明は、記録媒体上に
トナー像を形成するトナー像形成手段と、請求項8〜1
0のいずれかに記載の定着装置とを有することを特徴と
する画像形成装置である。これによって、加熱部材の表
面汚染などに起因する温度検出誤差を小さくできる。
【0032】請求項13に記載の発明は、前記複数の赤
外線検出手段の検出値の差が所定の値より大きい場合
は、画像形成動作を中断することを特徴とする請求項1
2に記載の画像形成装置である。これによって、定着手
段の異常高温を防止することができる。
【0033】請求項14に記載の発明は、前記複数の赤
外線検出手段の検出値の差が所定の値より小さくなった
ことを検出して、画像形成動作を再開させることを特徴
とする請求項13に記載の画像形成装置である。これに
よって、印字スピードを極端に低下させることなく画像
形成を継続することができる。
【0034】請求項15に記載の発明は、使用する前記
記録媒体のサイズを検出するサイズ検出手段を有し、前
記温度制御手段が、前記サイズ検出手段の検出結果に基
づいて、前記複数の赤外線検出手段の検出値のうちから
少なくとも1つを選択し、選択された前記赤外線検出手
段の検出値に基づいて、前記電磁誘導加熱手段への供給
電力を制御して前記加熱部材の温度を制御することを特
徴とする請求項12に記載の画像形成装置である。これ
によって、記録紙サイズに応じてより最適な定着手段の
温度制御が可能となる。
【0035】請求項16に記載の発明は、前記サイズ検
出手段の検出結果に基づいて、前記記録媒体の通過範囲
幅が所定の値より大きいと判断された場合は、前記温度
制御手段は、前記複数の赤外線検出手段の検出値を平均
化し、この平均化された値に基づき前記加熱部材を所定
の温度に制御することを特徴とする請求項15に記載の
画像形成装置である。これによって、記録紙幅が十分に
大きい場合は、加熱部材の広範囲から温度情報を収集で
きるため、温度制御性能が向上する。
【0036】請求項17に記載の発明は、前記サイズ検
出手段の検出結果に基づいて、前記記録媒体の通過範囲
幅が所定の幅より小さいと判断された場合は、前記温度
制御手段は、前記複数の赤外線検出手段の検出値のうち
から少なくとも1つを選択し、選択された赤外線検出手
段の検出値に基づき前記加熱部材を所定の温度に制御す
ることを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置で
ある。これによって、記録紙幅が小さく、記録紙の通紙
部分と非通紙部分で加熱部材に温度差が生じた場合で
も、精度良く加熱部材の温度を制御できる。
【0037】請求項18に記載の発明は、前記複数の赤
外線検出手段の検出値のうちから少なくとも1つを選択
する際に、前記記録媒体の通過範囲における前記加熱部
材から放射される赤外線を検出する赤外線検出手段の検
出値を選択することを特徴とする請求項17に記載の画
像形成装置である。これによって、記録紙幅が小さい場
合でも、精度良く加熱部材の温度を制御できる。
【0038】(実施の形態1)以下、本発明の実施の形
態1について、図面を用いて説明する。
【0039】図1は実施の形態1における、加熱装置と
しての定着装置の構造を示す断面図、図2は実施の形態
1における、加熱装置としての定着装置の構造を示す上
面図である。
【0040】図1および図2において、1は加熱部材と
しての加熱ローラであり、記録媒体12上に転写された
未定着トナー像13を加熱することで、未定着トナーを
記録媒体に定着し、定着トナー像14を得る。なお、加
熱ローラの構造は従来例と同等であるため説明を省略す
る。
【0041】8は加圧手段としての加圧ローラである。
加圧ローラ8はシリコンゴムによって構成され、所定の
押圧力で加熱ローラ1に圧接してニップ部を形成してい
る。加熱ローラ1は図示しない駆動源に連結され、加熱
ローラ1の回転に伴って加圧ローラ8も回転する。
【0042】9は励磁コイルである。励磁コイル9は表
面が絶縁された銅製の線材を所定本数束ねた線束を、加
熱ローラ1の回転軸方向に延伸し、かつ加熱ローラ両端
部において加熱ローラ1の周方向に沿って周回して形成
されている。10は背面コアである。この励磁コイル9
に半共振型インバータである励磁回路(図示せず)から
約30kHzの交流電流を印加すると、背面コア10と
加熱ローラ1の基材層7によって構成される磁路に磁束
が生じる。この磁束によって加熱ローラ1の発熱ベルト
2の基材層7に渦電流が形成され、基材層7が発熱す
る。基材層7で生じた熱はシリコンゴム層6を経て離型
層5まで伝達され、加熱ローラ1の表面が発熱する。
【0043】17は赤外線検出手段として設けられてい
る赤外線センサ(サーモパイル)である。サーモパイル
17は例えば、シリコン基板上にポリシリコン、アルミ
ニウムからなる複数の薄膜熱電対を直列に接続したもの
である(図示せず)。シリコン基板の直下に空洞部(図
示せず)を構成することで、熱電対の接点部(温接点
部)の熱容量を非常に小さくし、10〜30msの応答
性を実現する。サーモパイル17に赤外線が入射する
と、直列接続された個々の熱電対(図示せず)が起電力
を生じ、サーモパイル17からは出力電圧Eが得られ
る。
【0044】ここで、測定対象物の絶対温度(ここでは
発熱ベルト2の表面温度)をTx(K)、サーモパイル
自身の温度をTa(K)とすると、出力電圧Eは、
【0045】
【数1】
【0046】となる。これより感度定数C1、サーモパ
イル17の出力電圧E、およびサーモパイル17自身の
温度Taが分かれば、測定対象物の温度Txが計算でき
る。一般にサーモパイル17自身の温度は、サーモパイ
ル17の金属シャーシ(図示せず)に取り付けられたサ
ーミスタ等の別の温度検出センサ(図示せず)によって
測定される。既に説明したように、サーミスタの熱時定
数τは大きいが、サーモパイル17自体の温度が急激に
変化するのを防ぐことで、サーミスタのように高速応答
が難しい温度検出センサを用いることができる。
【0047】18はサーモパイル17の赤外線入射面に
配設された集光レンズである。集光レンズ18は発熱ベ
ルト2の特定領域21から照射される赤外線16をサー
モパイル17内部の温接点(図示せず)に導く。発熱ベ
ルト2における特定領域21は、図示のごとく比較的大
きな面積を有している。従来例で温度検出手段として用
いてしたサーミスタと比較すると、より大面積の範囲の
温度を検出できるため、結果的に検出される温度は、特
定領域21の温度の平均値となり、例えば発熱ベルト2
が汚れた場合や微小な傷が付いた場合などでも、より正
確な温度検出が可能となっている。
【0048】19は遮断手段であるアパーチャである。
アパーチャ19は発熱ベルト2の特定領域21以外から
照射された赤外線が、サーモパイル17に入射するのを
防止するためのものである。
【0049】励磁コイル9への通電によって、発熱ベル
ト2が効率的に昇温するとしても、例えば励磁コイル9
や背面コア10は雰囲気温度にさらされており、温度上
昇は避けられない。更に、一般に集光レンズ18の集光
範囲は特定の広がりを有しているため、アパーチャ19
を配設しない場合、サーモパイル17にこれら不要な熱
源からの赤外線が入射されることがあり、温度計測精度
を劣化させる要因となる。集光レンズ18とアパーチャ
19を設け、集光範囲を最適に調整することで、このよ
うな計測精度に影響を及ぼすノイズ成分を有効にカット
することができる。
【0050】20はミラーである。発熱ベルト2から照
射された赤外線16は、ミラー20によって折り返さ
れ、サーモパイル17の方向に進行する。少なくともミ
ラー20を有する光学系によって、サーモパイル17に
赤外線16を導くことで、発熱ベルト2に対するサーモ
パイル17の配置上のレイアウトの自由度が向上すると
共に、熱源である発熱ベルト2とサーモパイル17を熱
的に隔離することが容易になる。
【0051】さて、発熱ベルト2の近傍に置かれたミラ
ー20も雰囲気温度に晒され、温度上昇は避けられな
い。しかしミラー20の温度が上昇したとしても、鏡面
は輻射率が非常に小さいので、サーモパイル17による
測定精度には殆ど影響を与えない。
【0052】さて、従来例で詳細に説明したように、現
在の発熱ベルト2の表面は、厚み約20〜30μmのフ
ッ素樹脂から成る離型層であって鏡面ではない(フッ素
樹脂から構成される離型層は固有の輻射率を有し、既に
説明した感度定数Kを調整することで、絶対温度を検出
できる)ため、サーモパイル17によって温度検出が可
能である。しかし、今後インダクションヒータの効率が
追求され、発熱ベルト2の表面を磁性材料とするような
構成が採用された場合であっても、赤外線を用いて温度
検出を行う以上、その表面は非鏡面状態とせねばならな
い。
【0053】サーモパイル17の出力は図示しない制御
装置に入力され、制御装置はサーモパイル17の出力に
基づいて(数1)で示した式から発熱ベルト2の表面温
度Txを計算する。更に制御装置は検出された発熱ベル
ト2の表面温度に基づいて、公知のPI演算等によって
フィードバック制御を行って、励磁コイル9に投入する
電力を加減し、発熱ベルト2の表面が約170゜Cの一
定温度となるよう制御する。
【0054】この温度制御がなされた加熱ローラ1と加
圧ローラ8によって形成されるニップ部に、未定着トナ
ー像12が形成された記録紙12を通紙すると、記録紙
12上の未定着トナー像12は、加熱ローラ1と加圧ロ
ーラ8によって加熱/加圧され、定着トナー像14を得
ることができる。
【0055】さて、サーモパイル17の反応時間は10
〜30msであり、サーミスタの熱時定数τ=3(秒)
と比較すると100倍以上の高速応答が可能である。サ
ーモパイルの反応時間を30msと遅く見積り、インダ
クションヒータを用いた加熱ローラの温度上昇速度を3
0゜C/秒とした場合でも、30ms間の温度上昇はた
かだか0.9゜Cにすぎない。これによって、制御上の
遅れ時間は大幅に短縮され、発熱ベルト2の表面温度を
より高精度に制御でき、加熱ローラ1の異常な高温状態
を有効に回避することが可能となる。更に、加熱ローラ
1を所定の温度に維持する際の温度リップルも極めて小
さく制御できる。
【0056】(実施の形態2)以下、本発明の実施の形
態2について、図面を用いて説明する。
【0057】図3は実施の形態2における、加熱装置と
しての定着装置の構造を示す断面図、図4は実施の形態
2における、加熱装置としての定着装置の構造を示す上
面図である。尚、上記実施の形態1と同一の機能、態様
を有する部材には同一の符号を付し、説明は省略する。
【0058】実施の形態2では、赤外線16をサーモパ
イル17に導く部材として導波管を用いた点で、上記実
施の形態1と相違している。
【0059】図3および図4において、22は発熱ベル
ト2から照射される赤外線16をサーモパイル17に導
くための導波管である。導波管22は、その内部が鏡面
加工された耐熱性樹脂で構成されており、発熱ベルト2
の特定領域21の全域を覆う開口部23を有している。
【0060】開口部23から導波管22に入射された赤
外線16は、導波管22に沿って伝播し、実施の形態1
で示した集光レンズを経由せずサーモパイル17に直接
入射する。発熱ベルト2において、開口部23で覆われ
た領域以外から発せられる赤外線は、導波管22に入射
しないため、導波管22を設けることで、一般に高価な
集光レンズ(プラスティックレンズ)が不要になるため
コスト低減に寄与できる。また、導波管22は赤外線1
6の伝播経路を完全に規制するため、温度計測上の様々
なノイズをカットできるというメリットもある。
【0061】なお、導波管22は加熱ローラ1のごく近
傍に配置されるため、周囲の雰囲気温度の影響を受け、
その温度が上昇する。しかしながら、内部が鏡面加工さ
れているため輻射率は非常に小さく、導波管22自体の
温度が、特定領域21の温度計測に影響を及ぼすことは
殆どない。
【0062】(実施の形態3)以下、本発明の実施の形
態3について、図面を用いて説明する。
【0063】図5は実施の形態3における、加熱装置と
しての定着装置の構造を示す上面図である。なお、上記
実施の形態1と同一の機能、態様を有する部材には同一
の符号を付し、説明は省略する。
【0064】実施の形態3では、複眼型のサーモパイル
24を用い、発熱ベルト2のそれぞれ異なる特定位置2
1a,21bから照射される赤外線16a、16bを複
眼型のサーモパイル24に導く点で、実施の形態1と相
違している。
【0065】図5において、24は複眼型サーモパイル
である。複眼型サーモパイル24は内部に2つのサーモ
パイルチップを有し、異なる方向から入射される2つの
赤外線16a、16bを独立して検出可能に構成されて
いる。
【0066】18は複眼型サーモパイル24の赤外線入
射面に配設された集光レンズである。集光レンズ18は
発熱ベルト2の特定領域21aおよび21bから照射さ
れる赤外線16aおよび16bを、複眼型サーモパイル
24内部の互いに異なる温接点(図示せず)に導く。加
熱ローラ1における特定領域21aと21bは、図示の
ごとく所定の面積を有している。従来例で温度検出手段
として用いてしたサーミスタと比較すると、より大面積
の温度を検出できるため、結果的に検出される温度は、
特定領域21aと特定領域21bの温度をそれぞれ独立
に平均したものとなり、例えば発熱ベルト2が汚れた場
合や微小な傷が付いた場合などでも、より正確な温度検
出が可能となっている。
【0067】また、実施の形態3では、複眼型サーモパ
イル24によって、その表面温度を検出する特定領域2
1aは加熱ローラ1のほぼ中央部に相当し、特定領域2
1bは加熱ローラ1の少なくとも一方の周辺部に相当し
ている。
【0068】19はアパーチャである。アパーチャ19
は発熱ベルト2の特定部位以外から照射された赤外線
が、複眼型サーモパイル24に入射するのを防止するた
めのものである。
【0069】励磁コイル9への通電によって、発熱ベル
ト2が効率的に昇温するとしても、例えば励磁コイル9
や背面コア10は確実に影響を受け、温度上昇は避けら
れない。更に、一般に集光レンズ18の集光範囲は特定
の広がりを有しているため、アパーチャ19を配設しな
い場合、複眼型サーモパイル24にこれら不要な熱源か
らの赤外線が入射されることがあり、温度計測精度を劣
化させる要因となる。集光レンズ18とアパーチャ19
を設け、集光範囲を調整することで、このような計測精
度に影響を及ぼすノイズ成分を有効にカットすることが
できる。またアパーチャ24は、その中心にパーティシ
ョン26を有し、赤外線16aと16bのクロストーク
を抑制する。
【0070】20はミラーである。発熱ベルト2から照
射された赤外線16aおよび16bは、ミラー20によ
って折り返され、複眼型サーモパイル24の方向に進行
する。少なくともミラー20を有する光学系によって、
複眼型サーモパイル24に赤外線16aと16bを導く
ことで、発熱ベルト2に対する複眼型サーモパイル24
の配置上のレイアウトの自由度が向上すると共に、熱源
である発熱ベルト2と複眼型サーモパイル24を熱的に
隔離することが容易になる。
【0071】図6は実施の形態3において、定着装置で
幅が異なる記録紙に定着を行った場合の状態を示す図で
ある。以降図6を用いて、実施の形態3の定着装置にお
ける温度検出過程を説明する。なお、図6(a)、
(b)共に、図中の矢印は記録紙の搬送方向を示してい
る。
【0072】図6(a)は加熱ローラ1と加圧ローラ8
間に、各ローラ幅とほぼ等しい幅の記録紙12を通紙し
た状態を示している。加熱ローラ1が供給する熱は、未
定着トナー像13を記録紙12に定着するために使用さ
れるが、(a)のように記録紙12の幅が加熱ローラ1
および加圧ローラ8とほぼ等しい場合は、加熱ローラ1
によって供給された熱の多くは記録紙12に奪われる。
このため加熱ローラ1の表面温度は、加熱ローラ1の幅
方向全体にわたって低下する。
【0073】一方、図6(b)は加熱ローラ1と加圧ロ
ーラ8間に、各ローラ幅よりも幅の短い記録紙12を通
紙した状態を示している。加熱ローラ1が供給する熱
は、未定着トナー像13を記録紙12に定着するために
使用されるが、(b)のように記録紙12の幅が加熱ロ
ーラ1および加圧ローラ8よりも短い場合は、供給され
た熱のうち通紙部分は記録紙12に奪われるが、非通紙
部分25aと25bに関しては加熱ローラ1に蓄熱され
る。
【0074】もともとインダクションヒータを応用した
定着装置の加圧ローラ8は、熱容量の小さい加熱ローラ
1の熱を奪わないように断熱性を高めてある。このため
加熱ローラ1の表面温度は、記録紙12が通紙された部
分は低下するが、記録紙を介さず加圧ローラ8に接触し
ている非通紙部25aおよび25bでは殆ど低下しな
い。この結果、非通紙部25a、25bに対応する加熱
ローラ1の部位は、230゜C以上に加熱され安全性の
上で問題が出てくる。
【0075】以降図5に戻って説明を続ける。
【0076】実施の形態3では、記録紙の通紙部(ここ
では特定領域21aが相当する)と、少なくとも1つの
非通紙部(同様に特定領域21bが相当する)の温度を
検出できるので、より精度の高い温度制御を実現でき
る。
【0077】実施の形態3における加熱ローラ1の温度
制御では、例えば、通紙する記録紙のサイズを予め検出
しておき、記録紙のサイズが所定サイズ以上であれば、
特定領域21aと特定領域21bで検出した温度を平均
化し、これに基づき加熱ローラ1の温度制御を行ってい
る。また、記録紙のサイズが所定サイズ未満であれば、
基本的に加熱ローラ1の中央部に対応する特定領域21
aの温度検出結果に基づき、加熱ローラ1の表面温度を
制御する。その一方で特定領域21aと特定領域21b
の温度差をモニターしておき、温度差が所定の範囲を越
えた場合は定着装置の駆動を一時的に中断する。その
後、記録紙が通紙されない部位に相当する特定領域21
bの温度が低下し、所定の温度以下なったことを検出し
て、再度定着装置の駆動を開始している。
【0078】以上説明してきたように、複眼型サーモパ
イル24を用いることで、加熱ローラ1における複数の
特定領域21aと21bの温度を独立かつ同時に検出で
きる。これにより記録紙サイズに基づき温度制御の際に
参照する特定領域を選択することで、最適な温度制御が
可能となる。
【0079】さて、実施の形態3ではミラー20を含む
光学系に基づいて説明したが、実施の形態2で示した導
波管を用いた光学系を採用することも可能である。この
場合は、特定領域21aと21bから照射される赤外線
16がクロストークしないように、導波管の中央部にパ
ーティション(図示せず)を設けることで、より高精度
な温度検出が可能となる。
【0080】また、実施の形態3では、あらゆる幅の記
録紙でも、加熱ローラ1の中央部を通過する構成に基づ
いて説明したが、これは単に装置構成上の通紙経路がセ
ンター基準であるからにすぎない。装置構成上、あらゆ
る幅の記録紙が必ず加熱ローラ1の一方向に寄って搬送
される構成も考えられるが、この場合は、参照する特定
領域を変更することで簡単に対応できる。また特定領域
21bを特定領域21aに対して対称の位置に移しかえ
ることも容易に可能である。
【0081】即ち実施の形態3における加熱ローラ1の
温度管理では、記録紙サイズが小さい場合は、その通過
範囲に相当する部位の温度を検出すべく、複眼型サーモ
パイル24から得られる温度計測値を選択することが本
質であり、装置構成に基づく、記録紙搬送経路の相違に
は依存しない。
【0082】(実施の形態4)以下、実施の形態4につ
いて、図面を用いて説明する。
【0083】画像形成装置の構成 図7は実施の形態3で説明した定着装置を搭載した画像
形成装置の構成図である。
【0084】図7において、画像形成装置40は、装置
内にイエロー現像ステーション41Y、マゼンタ現像ス
テーション41M、シアン現像ステーション41C、ブ
ラック現像ステーション41Kの4色の現像ステーショ
ンを縦方向に配列し、その下方には記録紙42が収容さ
れる給紙カセット43を配設すると共に、各現像ステー
ション(41Y〜41K) に対応した箇所には給紙カ
セット43からの記録紙の搬送路となる記録紙搬送路4
4を垂直方向に配置したものである。
【0085】光学ユニット45は各色用半導体レーザを
一体的に保持する筐体と、その各色レーザ光に各々異な
る角度を与えて一定速度で高速回転する単一のポリゴン
ミラー46に入射させる光学素子とから構成される入射
用光学手段(図示せず)と、ポリゴンミラー46で反射
された各色毎のレーザ光が通過する単一のFθ特性を有
する結像レンズ47と、結像レンズ47を通過後、入射
方向と反対方向に反射させる第1反射ミラー48と、さ
らに第1反射ミラー48で反射された各々のレーザ光を
各色毎の作像ポジションに結像させるための複数の第2
反射ミラー(49Y〜49K )から構成されている。
【0086】現像ステーション(41Y〜41K)は、
記録紙搬送路44の上流側から順に、イエロー、マゼン
タ、シアン、ブラックのトナー像を形成するものであ
り、感光体(50Y〜50K)、現像スリーブ(51Y
〜51K) 、帯電器(図示せず)等、一連の電子写真
方式における現像プロセスを実現する部材の集合体であ
る。
【0087】各現像ステーション(41Y〜41K)の
感光体(50Y〜50K)に対して記録紙搬送路44を
挟んで対向する位置には、各現像ステーションに対応し
た転写ローラ(52Y〜52K)が配置されている。
【0088】43は記録紙42を格納する給紙カセット
である。
【0089】給紙カセット43の近傍には記録紙42を
所定のタイミングで送出する給紙ローラ53が設けられ
ており、給紙ローラ53を回転させることで、記録紙4
2は方向d0に搬送される。また給紙カセット43には
記録紙サイズ検出センサ(図示せず)が設けられてお
り、記録紙カセット43に装填された記録紙42のサイ
ズを判定できるようになっている。
【0090】給紙ローラ53と最上流現像ステーション
(イエロー:41Y)の転写部位との間に位置する記録
紙搬送路には、入口側のニップ搬送手段としてレジスト
ローラ55、ピンチローラ56対が設けられている。レ
ジストローラ55、ピンチローラ56対は、給紙ローラ
53により搬送された記録紙42を一時的に停止させ、
所定のタイミングで現像ステーションの方向に搬送させ
る。
【0091】60は記録紙通過センサである。記録紙通
過センサ60は、記録紙搬送路を挟んで互いに対向する
位置に超音波送信および受信トランスデューサを配置し
たものであり、記録紙の先端を検出してレジストローラ
55の回転開始タイミングを決定する機能と、搬送され
てきた記録紙42がレジストローラ55位置において瞬
間的に停止する時点に記録紙42の厚みを検出する機
能、および記録紙の重送の有無を検出する機能を合わせ
持っている。記録紙の厚みや重送の有無の情報に基づい
て、実施の形態4の画像形成装置では転写ローラ(52
Y〜52K)に印加する転写バイアスの設定値を制御し
ている。
【0092】さて、レジストローラ55の回転開始によ
って記録紙42は記録紙搬送路44に沿って現像ステー
ション41Yの方向に搬送されるが、レジストローラ5
5の回転開始タイミングを起点として、各現像ステーシ
ョン(41Y〜41K)に対する光学ユニット45の静
電潜像の書き込みタイミングが独立して制御される。
【0093】最下流現像ステーション(ブラック:41
K)の更に下流側に位置する記録紙搬送路44には出口
側のニップ搬送手段として定着器62が設けられてい
る。定着器62は既に実施の形態1〜3で説明したよう
に、インダクションヒータによって加熱ローラ1を加熱
するタイプのものである。
【0094】実施の形態4における画像形成装置の定着
器63は、励磁コイルによって加熱される加熱ローラ
1、加圧ローラ8を有すると共に、定着器周辺構成とし
て、表面温度検出手段として加熱ローラ1から照射され
る赤外線16を検出する複眼型サーモパイル24、赤外
線16を複眼型サーモパイル24に導く光学系としての
ミラー20などを有する。
【0095】更に定着器62の下流側には排紙ローラ6
5が配置されている。排紙ローラ65は定着後の記録紙
を画像形成装置40外に排出するためのものである。
【0096】70はコントローラであり、外部のネット
ワークを介して図示しないコンピュータ等からの画像デ
ータを受信し、プリント可能な画像データを生成する。
【0097】71はエンジン制御部である。エンジン制
御部71は画像形成装置40のハードウェアやメカニズ
ムを制御し、コントローラ70から転送された画像デー
タに基づいて記録紙42にカラー画像を形成すると共
に、定着器62の温度制御を含む画像形成装置の制御全
般を行っている。
【0098】これまで説明してきたように、実施の形態
4の画像形成装置は、複数の現像ステーションを略線状
に配置し、1パスによって1枚の画像が形成される、い
わゆるタンデム型の画像形成装置である。
【0099】コントローラの構成 図8は実施の形態4の画像形成装置における、コントロ
ーラ70の構成を示す図である。
【0100】以降図8を用いてコントローラ70の構成
と動作について説明する。
【0101】図8において、73はコンピュータであ
る。コンピュータ73はネットワーク74経由でコント
ローラ70に画像データやプリントジョブ情報を転送す
る。このプリントジョブ情報には、片面印字/両面印字
の指定等が含まれている。
【0102】75はインタフェースである。コントロー
ラ70はインタフェース75を介して、コンピュータ7
3から転送されてきた画像データやプリントジョブ情報
を受信したり、逆に画像形成装置のエラー状況などのい
わゆるステータス情報をコンピュータ73に送信するこ
とができる。
【0103】76はCPUであり、ROM77に格納さ
れたプログラムに基づきコントローラ70の動作を制御
している。またROM77にはレジストパターンデータ
も記憶されている。
【0104】78はRAMであり、CPU76のワーク
エリアとして使用されると共に、インタフェース75で
受信された画像データやプリントジョブ情報、およびペ
ージ単位に展開されたプリント可能な画像データ等が、
一時的に記憶される。
【0105】79は操作ボタンである。操作ボタン79
を用いることで、ユーザは所定のキーシーケンスに従っ
て画像形成装置の設定を行うことができる。
【0106】80は表示パネルである。ユーザは表示パ
ネルの表示内容に基づき、プリントモード情報を始めと
する各種設定内容の確認や、エラー発生状況などを知る
ことができる。
【0107】81は画像処理部である。画像処理部81
ではコンピュータ73から転送された画像データとプリ
ントジョブ情報(共に一時的にRAM78に格納されて
いる)に基づき、ページ単位に画像処理(色補正、エッ
ジ補正、スクリーン生成等)を行ってプリンタで印字可
能な画像データを生成し、これを再度RAM78に格納
する。
【0108】82はプリンタインタフェースであり、R
AM78に格納されたページ単位の画像データは、プリ
ンタインタフェース82を介してプリンタエンジン制御
部71に転送される。
【0109】プリンタエンジン制御部の構成図9は実施
の形態4の画像形成装置における、プリンタエンジン制
御部71の構成を示す図である。
【0110】以降図9に図7を併用して、プリンタエン
ジン制御部71の構成と動作について説明する。
【0111】図9において90はコントローラインタフ
ェースである。コントローラインタフェース90は、コ
ントローラ70から転送されるラスタ単位の画像デー
タ、およびプリントモード情報を受信する。プリントモ
ード情報とは画像データの転送に先立ちコントローラ7
0から転送される一種のコマンドであり、片面印字/両
面印字の指定等の情報が含まれている。
【0112】91はCPUであり、ROM92に格納さ
れたプログラムに基づきプリンタエンジンの動作を制御
している。コントローラインタフェース90で受信され
たプリントモード情報もCPU91によって認識され
る。
【0113】93はRAMであり、CPU91のワーク
エリアとして使用される。
【0114】94はセンサ群およびセンサ出力の処理回
路群であり、例えば図7における記録紙通過センサ60
や、記録紙カセット43に設けられた記録紙サイズ検出
センサ(図示せず)等や、これらセンサ群が出力する信
号に対する処理回路が含まれる。図9に戻ってCPU9
1はセンサ出力の処理回路群の出力を入手し、画像形成
装置の状態を把握することができる。
【0115】95はアクチュエータ群であり、図7に示
す給紙ローラ53、感光体(50Y〜50K)、定着器
の加熱ローラ1、排紙ローラ65等を駆動するモータ類
や、レジストローラ55に対する駆動力伝達を制御する
電磁クラッチ(図示せず)等、およびこれらのドライバ
が含まれる。図9に戻ってCPU91はセンサ群94か
ら得られる情報等に基づいてアクチュエータ群を制御
し、画像形成装置全体の動作をコントロールする。
【0116】96は高圧電源制御部である。高圧電源制
御部96はCPU91から設定されたパラメータに応じ
て、電子写真プロセスの実行に必要な各高圧電位を制御
する。図7に示す記録紙通過センサ60に超音波トラン
スデューサを用いることは既に述べたとおりだが、例え
ば、CPU91は記録紙通過センサ60の出力に基づき
記録紙42の厚みを推定し、推定結果に基づき高圧電源
制御部96を制御して、各現像ステーションにおける転
写バイアス(転写ローラ52Y〜52Kに印加される電
圧または電流値)を制御する。また記録紙通過センサ6
0の出力値が極端に低下した場合は、記録紙42が重送
して搬送されたものと判断し、転写バイアスを最も厚手
の記録紙に対する設定と同等に制御する。
【0117】99Y,99M,99C,99Kは各印字
色に対応した画像データに対する画像データ処理部であ
る。各画像データ処理部(99Y〜99K)は、それぞ
れ独立した複数ライン分のラインメモリを有し(図示せ
ず)、予め設定された各色毎の画像形成タイミング情報
(これには各色のレジストレーション、即ち色ずれ補正
情報等も含まれる)に基づいて、ラインメモリ上で画像
データを操作すると共に、操作後の画像データの出力タ
イミングを調整する。
【0118】100Y,100M,100C,100K
はレーザドライバであり、画像データ処理部(99Y〜
99K)の出力に基づいてレーザダイオード(101
Y,101M,101C,101K)のON/OFFを
制御するものである。
【0119】24は複眼型サーモパイルであり、実施の
形態3で詳細に説明したように、加熱ローラ1の複数の
領域の表面温度を独立に検出できる。CPU91はこの
検出結果を入手すると共に、検出結果に基づき加熱ロー
ラ1に投入すべき電力量を計算する。102は励磁回
路、9は励磁コイルである。励磁回路102は半共振型
のインバータであって、励磁コイル9に約30kHzの
交流電流を印加する。
【0120】以降、図5を併用して説明を続ける。
【0121】さて、実施の形態4の画像形成装置におい
ては、励磁コイル9が電磁誘導によって加熱ローラ1を
発熱させる。励磁回路102から供給される交流電流に
よって励磁コイル9が発生する磁束は、加熱ローラ1の
有する磁性のために、加熱ローラ1内を円周方向に貫通
し、生成消滅を繰り返す。この磁束の変化によって加熱
ローラ1に発生する誘導電流は、表皮効果によって、そ
の殆どが加熱ローラ1の表面にのみ流れジュール熱を発
生させる。
【0122】CPU91は、複眼型サーモパイル24で
得られた加熱ローラ1の表面温度情報に基づいて、励磁
コイル9に投入すべき電力量を計算し、励磁回路102
に対する制御信号を出力する。この制御信号は具体的に
は約30kHzの周波数を有するパルス信号であって、
CPU91はこの制御信号におけるONデューティ幅を
変化させることで、励磁コイル9に投入する電力量を制
御している。
【0123】画像形成装置の動作 次に図7、図9を用いて実施の形態4の画像形成装置の
動作について説明する。
【0124】画像形成装置の電源が投入されると、プリ
ンタエンジン制御部71のCPU91は、現像ステーシ
ョン等作像に必要な構成要素の装着状態や、筐体のドア
状態等をチェックし、これらに異常がなければ初期化動
作を開始する。
【0125】初期化動作では、CPU91は画像形成装
置の制御可能な構成要素の動作をチェックする。初期化
動作でエラーが検出されなければ、CPU91はコント
ローラインタフェース90を介してコントローラ70に
画像形成が可能な状態になったこと(Ready状態)
を通知する。
【0126】次に、図8を併用してコントローラ70の
初期化および印字開始時の動作について説明する。
【0127】画像形成装置の電源が投入されると、コン
トローラ70のCPU76は、実装されているメモリの
チェックなどを行い、異常がない場合は、プリンタエン
ジン制御部71からプリンタインタフェース82を介し
てReady状態が通知されるまでウェイトする。
【0128】プリントエンジンのReady状態を確認
すると、CPU76はインタフェース75の状態を監視
し、画像データ転送の有無を判定する。CPU76はイ
ンタフェース75を介して画像データが転送されてくる
と、入力される画像データをRAM78に順次格納する
と共に、画像処理部81によって画像データの展開処理
(プリンタエンジンで印字可能なラスタデータへの変換
処理)を開始する。展開された画像データは再度RAM
78に格納され、少なくとも1ページ分の画像データが
揃うか、CPU76によって画像データの展開終了タイ
ミングが判明した場合に、プリンタインタフェース82
を介してプリンタエンジン制御部71にプリンタエンジ
ンの起動を要求する。
【0129】画像データの展開が完了すると、CPU7
6はプリンタインタフェース82を介して、プリンタエ
ンジン制御部71にプリントモード情報を出力する。プ
リントモード情報には、画像データをプリントする際に
必要となる情報、例えば、片面/両面プリントの指定な
どが含まれる。
【0130】CPU76は上述したプリントモード情報
をプリンタエンジン制御部71に転送した後、RAM7
8に展開された画像データを、DMA回路(図示せず)
を用いてRAM78からプリンタインタフェース82へ
転送する。プリンタエンジン制御部71はプリンタイン
タフェース82に対して、同期クロックを出力してお
り、同期クロックに同期して1ページ分の画像データが
コントローラ70からプリントエンジン制御部73に渡
される。
【0131】以降図7と図9を併用して説明を続ける。
【0132】プリンタエンジン制御部71は、コントロ
ーラ70からプリントモード情報を受信すると、CPU
91は直ちにアクチュエータ群95を制御して、各現像
ステーション(41Y〜41K)の感光体(50Y〜5
0K)およびポリゴンミラー46の回転を開始すると共
に定着器62への通電/温度管理等を開始する。
【0133】既に実施の形態1〜3で説明したように、
インダクションヒータを応用した定着器62の加熱ロー
ラ1の昇温は非常に高速に行われる。CPU91は加熱
ローラ1の表面温度を定期的に監視し、その温度上昇カ
ーブから、少なくとも定着器62に記録紙42の先頭が
突入する際に、加熱ローラ1の表面温度が170゜Cと
なるタイミングを予測して、加熱ローラ1の表面温度が
定着可能温度となる前に、給紙ローラ53を回転させて
記録紙42を記録紙搬送路44へ送出する。
【0134】CPU91は記録紙通過センサ60の出力
を監視し、搬送された記録紙42の先端を検出すると、
所定時間経過後にコントローラインタフェース90を介
して同期クロック(図示せず)を出力する。
【0135】同期クロックに同期してコントローラ70
から展開済みの画像データが転送されてくると、これら
のデータは各色単位にレーザドライバ(100Y〜10
0K)に送られ、レーザダイオード(101Y〜101
K)が駆動される。照射されたレーザ光線によって感光
体(50Y〜50K)に潜像が形成され、各色の潜像は
順次、対応する現像ステーション(41Y〜41K)に
よって現像され、記録紙42上には未定着トナー像が形
成される。未定着トナー像が形成された記録紙42は、
記録紙搬送路44に沿って定着器62に導かれ、記録紙
42上に形成された未定着トナー像は記録紙に定着され
る。
【0136】定着器の温度管理 さて、定着器62において、加熱ローラ1が所定の温
度、例えば170゜Cに到達した後は、CPU91は複
眼型サーモパイル24の出力に基づき、加熱ローラ1の
表面温度が一定となるようにフィードバック制御を行
う。
【0137】図10は実施の形態4における、定着器温
度管理に関する制御信号の生成過程を示すフローチャー
トである。以降実施の形態4の画像形成装置で採用して
いるフィードバック制御について図10に図5を併用し
て説明する。
【0138】実施の形態4の画像形成装置では、加熱ロ
ーラ1の温度制御にPI制御を採用している。PI制御
とはP(Proportional:比例)項とI(I
ntegral:積分)項を用いた手法であり、比例積
分制御とも呼ばれる制御手法である。
【0139】まずステップS0001で、加熱ローラ1
の中央部に設定された特定領域21aの温度を計測す
る。次にステップS0002で、加熱ローラ1の周辺部
に設定された特定領域21bの温度を計測する。
【0140】次にステップS0003で、得られた2つ
の温度計測値を加工する。この加工処理には、特定領域
21aから得られた温度計測値と、特定領域21bから
得られた温度計測値を平均化する処理などが含まれる
(後に詳しく説明する)。
【0141】次に最終的に得られた(制御に利用する)
温度情報に基づき、STEP0004で温度偏差Δeを
(数2)の式に従って計算する。
【0142】
【数2】
【0143】ただし、目標温度および加熱ローラ温度は
絶対温度である。
【0144】次にステップS0005で、(数3)の式
に従ってステップS0004で得られた温度偏差Δeを
累積(積分)する。
【0145】
【数3】
【0146】次にステップS0006で、ステップS0
004で得た温度偏差Δeと、ステップS0005で得
た偏差累積値を用いて、制御指令値を(数4)の式に従
って計算する。
【0147】
【数4】
【0148】比例積分制御にはC2とC3の2つの係数が
あり、C2を比例係数、C3を積分係数と呼称する。これ
らの係数は、制御系を構成するハードウェア(励磁回
路、励磁コイル等)に依存するもので、例えばSPIC
E等によるアナログシミュレーションによって決定する
ことができる。
【0149】以降図9を併用して説明を続ける。
【0150】CPU91によって上記計算が実行され、
ステップS0006で得られた制御指令値は、励磁回路
102に出力される。励磁回路102はCPU91が出
力した制御指令値に基づき、励磁コイル9に供給する3
0kHzのパルス信号のONデューティ幅を制御する。
これによって励磁コイル9に出力される交流電流のピー
ク値が変わるため、結果的に励磁コイル9に投入される
電力を制御することができる。
【0151】なお、実施の形態4では、励磁コイル9に
投入する電力を制御して、加熱ローラ1の表面温度を制
御しているが、例えば同一の電力を供給しつつ、これを
所定の時間単位でON/OFF制御することも、もちろ
ん可能である。この場合は励磁コイル9への投入電力は
一定だが、投入時間を制御しており、結果的に励磁コイ
ル9に投入するエネルギーを制御することになる。
【0152】図11は実施の形態4において、定着装置
の温度管理における温度情報の加工シーケンスを示すフ
ローチャートである。以降図11に図5と図7を併用し
て、実施の形態4における温度情報の加工、特に温度検
出手段として複眼型サーモパイル24を用いた場合につ
いて詳細に説明する。なお、このシーケンスは図10の
ステップS0003を詳細に説明するものである。
【0153】図11において、まず、ステップS001
1で記録紙カセット43(図7参照)に装填されている
記録紙42のサイズをチェックする。以降の説明を簡単
にするため、実施の形態4の画像形成装置が印字可能な
最大幅の記録紙は、レターサイズであると仮定する。
【0154】もし、記録紙幅がレターサイズまたはA4
サイズである場合は、ステップS0012へと処理が移
る。ステップ0012では、図10のステップS000
1およびステップS0002で入手済みの、加熱ローラ
1の特定領域21aおよび特定領域21bの温度計測値
に基づき、これらの平均温度を計算し、これを加熱ロー
ラ1の温度情報として選択し処理を終了する。
【0155】記録紙の幅が加熱ローラ1と比較してほぼ
同等の幅を有する場合、以上述べたように、温度情報は
より広範囲から収集する方が望ましい。これは、加熱ロ
ーラ1上に付着するゴミや微小な傷による温度計測誤差
をなるべく小さくするための措置である。
【0156】さて、一方ステップS0011で、記録紙
幅がレター/A4サイズよりも小さい(具体的にはB5
サイズやハガキサイズ)と判定された場合、処理はステ
ップS0013に移る。ステップS0013では、図1
0のステップS0001およびステップS0002で入
手済みの、加熱ローラ1の特定領域21aおよび特定領
域21bの温度計測値のうち、特定領域21a、即ち加
熱ローラの中央部の温度計測値を温度情報として選択す
る。
【0157】記録紙の幅が加熱ローラ1と比較して小さ
い場合、加熱ローラ1の中央部(特定領域21a)は給
紙された記録紙の通紙経路に当たるため、記録紙に熱が
奪われる分の温度低下が発生する。一方、加熱ローラ1
の周辺部(特定領域21b)は、記録紙が通紙されてお
らず、加熱ローラ1の該当部位の表面温度はそれほど低
下しない。従って、この2つの領域の温度を平均化して
温度情報とすることはできない。このように実際に記録
紙が通紙されている領域である加熱ローラ1の中央部
(特定領域21a)の温度計測値を温度情報として選択
することで、温度制御を正常に行うことができる。
【0158】しかしながら、記録紙の幅が加熱ローラ1
と比較して小さい場合は、画像形成装置で連続して印字
を行ううちに、加熱ローラ1の中央部(特定領域21
a)と周辺部(特定領域21b)で温度差が拡大してい
く。
【0159】次にステップS00014で加熱ローラ1
の中央部(特定領域21a)と周辺部(特定領域21
b)の温度差を計算する。実施の形態4では、この温度
差が70゜Cを越えた場合は、加熱ローラ1の周辺部
(特定領域21b)の温度が異常高温状態と判断し、ス
テップS0016に処理が移る。ステップS0016で
はプリント待機フラグをONにして、処理を終了する。
【0160】一方、ステップS0014で加熱ローラ1
の中央部(特定領域21a)と周辺部(特定領域21
b)の温度差が70゜C未満と判断された場合は、ステ
ップS0015に処理が移り、プリント待機フラグをO
FFにして処理を終了する。
【0161】次に図9を併用して説明を進める。
【0162】さて、ステップS0015でプリント待機
フラグがONに操作された場合は、実施の形態4の画像
形成装置は、現在印字中のプリントジョブ(1ページ単
位)が完了すると加熱ローラ1のクールダウンを行う。
具体的にはCPU91は、加熱ローラ1の回転を維持し
たままで、励磁回路102を制御して励磁コイル9への
電力供給を中止する。その後、加熱ローラ1の中央部
(特定領域21a)および周辺部(特定領域2b)の温
度計測値を監視しつづけ、これら2つの温度差が20゜
C未満になった時点で、プリント待機フラグをOFFに
書き換え、印字動作を再開する。
【0163】以上述べてきたように、実施の形態4で
は、加熱ローラ1の中央部(特定領域21a)と周辺部
(特定領域21b)の温度差に基づき、以降の処理に用
いるフラグを操作しているが、実際の安全性の上で問題
となるのは、異常に温度上昇している部分であるため、
加熱ローラ1の周辺部(特定領域21b)の温度計測値
のみに基づいて、プリント待機フラグの操作を行うこと
ももちろん可能である。
【0164】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明によっ
て、急激に変化する加熱部材の温度を高速で高精度に検
出できるため、温度制御におけるオーバシュートや温度
リップルの発生を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1における、加熱装置としての定着
装置の構造を示す断面図
【図2】実施の形態1における、加熱装置としての定着
装置の構造を示す上面図
【図3】実施の形態2における、加熱装置としての定着
装置の構造を示す断面図
【図4】実施の形態2における、加熱装置としての定着
装置の構造を示す上面図
【図5】実施の形態3における、加熱装置としての定着
装置の構造を示す上面図
【図6】(a)実施の形態3において、定着装置で幅が
大きい記録紙に定着を行った場合の状態を示す図 (b)実施の形態3において、定着装置で幅が大きい記
録紙に定着を行った場合の状態を示す図
【図7】実施の形態3で説明した定着装置を搭載した画
像形成装置の構成図
【図8】実施の形態4の画像形成装置における、コント
ローラ70の構成を示す図
【図9】実施の形態4の画像形成装置における、プリン
タエンジン制御部71の構成を示す図
【図10】実施の形態4における、定着器温度管理に関
する制御信号の生成過程を示すフローチャート
【図11】実施の形態4において、定着装置の温度管理
における温度情報の加工シーケンスを示すフローチャー
【図12】 従来の加熱装置としての定着装置の構造を示す断面図
【図13】 加熱ローラの詳細な断面図
【符号の説明】
1 加熱ローラ 2 発熱ベルト 5 離型層 6 シリコンゴム層 7 基材層 8 加圧ローラ 9 励磁コイル 10 背面コア 12 記録紙 13 未定着トナー像 16 赤外線 17 サーモパイル 18 集光レンズ 19 アパーチャ 20 ミラー 21 特定領域 22 導波管 23 開口部 24 複眼型サーモパイル 40 画像形成装置 42 記録紙 62 定着器 70 コントローラ 71 プリンタエンジン制御部 91 CPU 102 励磁回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 15/20 109 G03G 15/20 109 21/00 500 21/00 500 (72)発明者 中野 雅明 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2G066 AC16 BA08 BA25 BA60 BB01 BC30 CB10 2H027 DA12 DC19 DE02 DE07 EA12 EC20 EH08 EH10 EK03 ZA03 2H033 AA03 AA18 AA24 BA11 BA25 BA32 BB18 BB28 BE06 CA07 CA27 CA38 CA44 3K059 AA08 AB19 AC33 AC42 AD02 AD04 CD06 CD18

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加熱体を加熱する加熱部材と、電磁誘
    導により前記加熱部材を加熱する電磁誘導加熱手段と、
    前記加熱部材から放射される赤外線を検出する赤外線検
    出手段と、前記赤外線検出手段の検出値に基づいて、前
    記電磁誘導加熱手段への供給電力を制御して前記加熱部
    材の温度を制御する温度制御手段とを有することを特徴
    とする加熱装置。
  2. 【請求項2】 前記加熱部材から放射される赤外線を前
    記赤外線検出手段に導くための光学系を有することを特
    徴とする請求項1に記載の加熱装置。
  3. 【請求項3】 前記光学系が、ミラーを有することを特
    徴とする請求項2に記載の加熱装置。
  4. 【請求項4】 前記光学系が、内面が略鏡面よりなる導
    波管を有することを特徴とする請求項2に記載の加熱装
    置。
  5. 【請求項5】 前記加熱部材の所定部分から放射される
    赤外線のみが前記赤外線検出手段に達するように、前記
    加熱部材の所定部分から放射される赤外線以外の赤外線
    が前記赤外線検出手段に達するのを遮断するための遮断
    手段を有することを特徴とする請求項1に記載の加熱装
    置。
  6. 【請求項6】 被加熱体を加熱する加熱部材と、電磁誘
    導により前記加熱部材を加熱する電磁誘導加熱手段と、
    前記加熱部材の複数の異なる部分から放射される赤外線
    を別々に検出する複数の赤外線検出手段と、前記複数の
    赤外線検出手段の検出値に基づいて、前記電磁誘導加熱
    手段への供給電力を制御して前記加熱部材の温度を制御
    する温度制御手段とを有することを特徴とする加熱装
    置。
  7. 【請求項7】 記録媒体上に形成されたトナー像を加熱
    して前記記録媒体に定着する定着装置であって、請求項
    1〜5のいずれかに記載の加熱装置を有することを特徴
    とする定着装置。
  8. 【請求項8】 記録媒体上に形成されたトナー像を加熱
    して前記記録媒体に定着する定着装置であって、請求項
    6に記載の加熱装置を有することを特徴とする定着装
    置。
  9. 【請求項9】 前記加熱部材が加熱ローラまたは加熱ベ
    ルトであることを特徴とする請求項8に記載の定着装
    置。
  10. 【請求項10】 前記複数の赤外線検出手段のうち少な
    くとも1つは、使用する最小の記録媒体の通過範囲にお
    ける前記加熱ローラまたは加熱ベルトから放射される赤
    外線を検出し、前記複数の赤外線検出手段のうち少なく
    とも1つは、使用する最大の記録媒体の通過範囲であっ
    て、前記最大の記録媒体の次に大きい記録媒体の通過範
    囲外における前記加熱ローラまたは加熱ベルトから放射
    される赤外線を検出することを特徴とする請求項8に記
    載の定着装置。
  11. 【請求項11】 記録媒体上にトナー像を形成するトナ
    ー像形成手段と、請求項7に記載の定着装置とを有する
    ことを特徴とする画像形成装置。
  12. 【請求項12】 記録媒体上にトナー像を形成するトナ
    ー像形成手段と、請求項8〜10のいずれかに記載の定
    着装置とを有することを特徴とする画像形成装置。
  13. 【請求項13】 前記複数の赤外線検出手段の検出値の
    差が所定の値より大きい場合は、画像形成動作を中断す
    ることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
  14. 【請求項14】 前記複数の赤外線検出手段の検出値の
    差が所定の値より小さくなったことを検出して、画像形
    成動作を再開させることを特徴とする請求項13に記載
    の画像形成装置。
  15. 【請求項15】 使用する前記記録媒体のサイズを検出
    するサイズ検出手段を有し、前記温度制御手段が、前記
    サイズ検出手段の検出結果に基づいて、前記複数の赤外
    線検出手段の検出値のうちから少なくとも1つを選択
    し、選択された前記赤外線検出手段の検出値に基づい
    て、前記電磁誘導加熱手段への供給電力を制御して前記
    加熱部材の温度を制御することを特徴とする請求項12
    に記載の画像形成装置。
  16. 【請求項16】 前記サイズ検出手段の検出結果に基づ
    いて、前記記録媒体の通過範囲幅が所定の値より大きい
    と判断された場合は、前記温度制御手段は、前記複数の
    赤外線検出手段の検出値を平均化し、この平均化された
    値に基づき前記加熱部材を所定の温度に制御することを
    特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
  17. 【請求項17】 前記サイズ検出手段の検出結果に基づ
    いて、前記記録媒体の通過範囲幅が所定の幅より小さい
    と判断された場合は、前記温度制御手段は、前記複数の
    赤外線検出手段の検出値のうちから少なくとも1つを選
    択し、選択された赤外線検出手段の検出値に基づき前記
    加熱部材を所定の温度に制御することを特徴とする請求
    項15に記載の画像形成装置。
  18. 【請求項18】 前記複数の赤外線検出手段の検出値の
    うちから少なくとも1つを選択する際に、前記記録媒体
    の通過範囲における前記加熱部材から放射される赤外線
    を検出する赤外線検出手段の検出値を選択することを特
    徴とする請求項17に記載の画像形成装置。
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