JP2003227055A - パイル布帛及びその製造方法 - Google Patents
パイル布帛及びその製造方法Info
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Abstract
生セルロース系繊維で構成されたパイル布帛を提供す
る。 【解決手段】 再生セルロース系繊維を含む糸条を用い
て構成されたパイル布帛であって、洗濯前後の圧縮剛さ
(LC)の変化率が80〜110%、圧縮回復率(R
C)の保持率が85%以上であることを特徴とするパイ
ル布帛。
Description
繊維を含む糸条を用いて構成されたパイル布帛及びその
製造方法に関する。
持ち、発色性に優れており、鮮明な色彩を呈するため、
幅広い用途に供されている。一方、タオル、ベルベッ
ト、ベロア、カットパイル、ループパイル、フリースな
どのパイル布帛としては、主に綿糸がパイル部に使用さ
れている。綿糸をパイル部に使用した場合、膨潤と乾燥
の繰り返しによるヘタリは見られないものの、色落ちや
風合の粗硬化などにより、品位の低いものが多い。
部に使用してパイル布帛を作製することもできるが、再
生セルロース系繊維は、水による膨潤状態ではヘタリや
すく、染色中あるいは製品を洗濯する際などの膨潤と乾
燥の繰り返しにより、パイル部がヘタリ、膨らみ感がな
く、扁平な製品となる。したがって、パイル布帛を作成
するにあたり、パイル部に再生セルロース繊維を使用す
る事は、これまで非常に困難であった。
くは形状記憶等について、高圧水蒸気処理に関する方法
及び装置が提案されている。例えば、特開平5−332
59号公報には、セルロースからなる繊維を高圧水蒸気
で処理する方法であって、デニット加工糸やギア加工糸
の形状を記憶処理する方法が記載されている。しかし、
該方法により得られたものは、ヤーン単位でのクリンプ
形状は保持されるが、高圧水蒸気による黄変などが見ら
れ、白および淡色を主とする分野には適切とはいえな
い。
によるパイル部のヘタリが少なく、軽量感のあるパイル
布帛は未だ得られていない。
るパイル部のヘタリが少なく、軽量感のあるパイル布帛
及びその製造方法を提供することを目的とする。
ロース系繊維を用いたパイル布帛において、高圧処理を
施して糸の形態を固定することにより、水による湿潤と
乾燥を繰り返してもパイル部の形態を保持できることを
見出し、本発明を完成するに至った。
いて構成されたパイル布帛であって、洗濯前後の圧縮剛
さ(LC)の変化率が80〜110%、圧縮回復率(R
C)の保持率が85%以上であることを特徴とするパイ
ル布帛。
ス系繊維を含む糸条で構成されていることを特徴とする
上記1記載のパイル布帛。
または2に記載のパイル布帛の製造方法。
条を用いることを特徴とする上記1または2に記載のパ
イル布帛。
しては、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、
ポリノジックなどの再生セルロース繊維、及び該繊維を
60wt%以上含むものが好ましい。再生セルロース系
繊維が60wt%以上であると、再生セルロース系繊維
特有の風合いが保持される。
条としては、原糸、仮撚加工糸、インターレース混繊し
た後に仮撚加工した糸など、いずれのものであってもよ
い。
イルタオル、ベルベット、ベロア、カットパイル、ルー
プパイル、フリースなどの織編物であり、再生セルロー
ス系繊維を含む糸条を、少なくともパイル部に用いるこ
とが好ましく、より好ましくは地組織及びパイル部に使
用することである。
回復率(RC)とは、試験機として、カトーテック社
製:KES−FB3 COMPRESSION TES
TERを用い、圧縮面積2cm2、圧縮速度0.02m
m/秒で圧力50g/cm2になるまで圧縮して測定し
た時の圧縮剛さ(LC)および圧縮回復率(RC)を示
す。圧縮剛さは染色および洗濯後の変化率、圧縮回復率
は染色および洗濯後の保持率で示される。
が、洗濯前に対し、80〜110%である。この範囲で
あるとパイルが起きている状態であり、また、パイル布
帛の風合いが柔軟である。圧縮剛さの変化率は、次式に
より求めることができる。
洗濯後の圧縮剛さ)/(染色または洗濯前の圧縮剛
さ)}×100 本発明において、圧縮回復率の保持率は、85%以上で
ある。圧縮回復率の保持率が85%以上であると、洗濯
後もパイルの形態が保持された状態となる。圧縮回復率
の保持率は、次式により求めることができる。
は洗濯後の圧縮回復率)/(染色または洗濯前の圧縮回
復率)}×100 次に、本発明の製造方法について説明する。
維の糸条が高圧処理されることに特徴がある。高圧処理
は、糸条の形態で行ってもよく、また、パイル布帛の形
態で行ってもよい。
つの処理が挙げられ、この処理により再生セルロース繊
維の結晶構造がCell−II構造からCell−IV構造
へと変化することによって、膨潤度が低下し、さらに形
態安定性が得られるようになる。
する。
する。
0.41〜1.23MPaが好ましい。この範囲である
と、形態安定効果が十分で、強度低下や色相変化が生じ
ない。温度は、圧力により一義的に決定されるが、通
常、温度は160〜210℃が好ましい。また、処理時
間は300〜1800秒が好ましい。処理温度、処理時
間が上記の範囲であると、形態安定効果が十分で、強度
低下や色相変化が生じない。
たは処理布帛に歪みが残り、安定な形態保持性が得られ
にくく、かつ黄変が発生する傾向がある。高圧熱水処理
を行うことにより、高圧水蒸気処理で得られた形態保持
性を更に高め、また高圧水蒸気処理で起こる黄変を取り
除くことが出来る。
装置を備えている装置で、糸条をチーズ状あるいはビー
ム状で処理できる装置であれば良く、例えば、特開平9
−31830号公報に記載されている高圧釜等が挙げら
れる。高圧水蒸気処理においては、空気酸化を防ぐた
め、予め、釜内を真空にした後、過熱水蒸気を、チーズ
あるいはビームの内側から外側に向かって循環させて、
所定の処理を行うことが好ましい。水蒸気の循環方向を
内側から外側にすることにより、処理糸および処理布帛
の処理時の安定化をはかることが出来る。
置を備えていて、チーズ染色あるいはビーム染色などが
できる装置であれば良い。高圧熱水処理においては、縦
型処理機が好ましく、予め、加工糸を装填し、その中に
水を投入した後、染色チーズあるいは染色ビームの内側
から外側に向かって液循環させながら、所定の処理を行
うのが好ましい。熱水の循環方向を内側から外側にする
ことにより、処理糸および処理布帛の処理時の安定化を
はかることが出来る。
ンは、チーズ染色およびビーム染色に用いる金属製のパ
ラレル型染色ボビンで良く、スペーサーは金属製あるい
はセラミック製のもので良い。
条の形態は、巻密度を0.30〜0.45g/cm3に
したチーズ形態で処理することが好ましい。また、高圧
水蒸気処理、高圧熱水処理する時の布帛の形態は、巻密
度を0.26〜0.32g/cm3にしたビーム形態で
処理することが好ましい本発明でいうパイル布帛とは、
起毛針を植え込んだベルトを多数本のロールに巻きつけ
て行う複式針金起毛機や、サンドペーパを巻いたロール
で起毛するエメリー起毛機などで作製したカット起毛布
帛、身体へのフィット性に優れ、スポーツ、カジュアル
用途での動き易さの観点から伸縮性のある編地であるニ
ットフリース、ニットスエード、また、前記の高圧処理
により得られる糸条を地組織及びパイル部に用いて製織
されるパイルタオル等が挙げられる。
セル編み機、丸編み機等、織機としては、エアージェッ
ト織機、ドビー織機、レピア織機等が使用できる。
らに説明する。
家庭用洗濯機法(G法)に基づいて実施した。また、物
性の測定、評価は下記の方法で行った。
剛さを測定し、その変化率で表した。
カトーテック社製:KES−FB3COMPRESSI
ON TESTERを用い、圧縮面積2cm2、圧縮速
度0.02mm/秒で圧力50g/cm2になるまで圧
縮して測定した。圧縮剛さは、染色および洗濯後の変化
率で示した。
洗濯後の圧縮剛さ)/(染色または洗濯前の圧縮剛
さ)}×100 (2)圧縮回復率の保持率 作製したパイル布帛につき、染色または洗濯前後の圧縮
回復率を測定し、その保持率で表した。
てカトーテック社製:KES−FB3 COMPRES
SION TESTERを用い、圧縮面積2cm2、圧
縮速度0.02mm/秒で圧力50g/cm2になるま
で圧縮して測定した。圧縮回復率は、染色および洗濯後
の保持率で示した。
は洗濯後の圧縮回復率)/(染色または洗濯前の圧縮回
復率)}×100 〔実施例1〕キュプラアンモニウムレーヨン糸84dt
ex/45f(旭化成社製:ベンベルグ)をパイル部に
用い、グランド部分にポリエステル・ウーリー糸84d
tex/36fを使用し、28ゲージ、30インチ(7
6.2cm)の7mmシンカーパイル丸編物を作製し
た。
3で5m巻き上げ、スペーサーで固定し、縦型高圧釜に
セットした。続いて、0.097〜0.1MPaの真空
にした後、圧力0.97MPa、160℃で5分間、高
圧水蒸気処理した。次に、水を投入し、加圧により脱泡
した後、内側から外側に向けて、液循環させながら、圧
力0.97MPa、温度160℃で10分間、高圧熱水
処理し、加圧脱水後、80℃で60分間乾燥した。
Polyester DarkBrown A−S2
00(日本化薬株式会社製:分散染料)1%omf、デ
ィスパーTL(明成化学株式会社製:分散剤)1g/リ
ットルを使用して、温度130℃で30分の染色を実施
し、乾燥させた後、起毛機にはカット針布を巻いた多数
本ロールの起毛機を用い、パイル糸を片面、1回起毛し
た後、フリースと呼ばれる起毛布帛を作成した。
理を行わなかったこと以外、実施例1と同様にして、分
散染料で染色されたフリースと呼ばれる起毛布帛を作製
した。
ン糸84dtex/45f(旭化成社製:ベンベルグ)
をパイル部に用い、グランド部分にポリエステル・ウー
リー糸84dtex/36fを使用した28ゲージ、3
0インチ(76.2cm)の7mmシンカーパイル丸編
物を作製した。
3で5m巻き上げ、スペーサーで固定し、縦型高圧釜に
セットした。続いて、圧力0.97MPa、温度160
℃の高圧熱水を投入し、内側から外側に向けて液循環さ
せながら、10分間の高圧熱水処理を行い、加圧脱水
後、80℃で60分間乾燥した。
Polyester Dark Brown A−S2
00(日本化薬株式会社製:分散染料)1%omf、デ
ィスパーTL(明成化学株式会社製:分散剤)1g/リ
ットルを使用して、温度130℃で30分の染色を実施
し、乾燥させた後、起毛機にはカット針布を巻いた多数
本ロールの起毛機を用い、パイル糸を片面、1回起毛し
た後、フリースと呼ばれる起毛布帛を作製した。
ン糸84dtex/45f(旭化成社製:ベンベルグ)
をパイル部に用い、グランド部分にポリエステル・ウー
リー糸84dtex/36fを使用した28ゲージ、3
0インチ(76.2cm)の7mmシンカーパイル丸編
物を作成した。
3で5m巻き上げ、スペーサーで固定し、縦型高圧釜に
セットした。続いて、圧力0.97MPa、温度160
℃の高圧熱水を投入し、内側から外側に向けて液循環さ
せながら、10分間の高圧熱水処理を行った。次いで、
0.097〜0.1MPaの真空にした後、圧力0.9
7MPa、160℃で5分間、高圧水蒸気処理し、加圧
脱水後、80℃で60分間乾燥した。
Polyester Dark Brown A−S2
00(日本化薬株式会社製:分散染料)1%omf、デ
ィスパーTL(明成化学株式会社製:分散剤) 1g/
リットルを使用して、温度130℃で30分の染色を実
施し、乾燥させた後、起毛機にはカット針布を巻いた多
数本ロールの起毛機を用い、パイル糸を片面、1回起毛
した後、フリースと呼ばれる起毛布帛を作製した。
ン糸84dtex/45f(旭化成社製:ベンベルグ)
を密度0.32g/cm3 で500g巻き上げ、スペー
サーで固定し、縦型高圧釜にセットした。続いて、0.
097〜0.1MPaの真空にした後、圧力0.97M
Pa、160℃で5分間、高圧蒸気処理した。次に水を
投入し、加圧により脱泡した後、内側から外側に向け
て、液循環させながら、圧力0.97MPa、温度16
0℃で10分間高圧熱水処理し、加圧脱水後、80℃で
60分間乾燥した。
ポリエステル・ウーリー糸84dtex/36fを使用
した28ゲージ、30インチ(76.2cm)の7mm
シンカーパイル丸編物を作製した。
Polyester Dark Brown A−S2
00(日本化薬株式会社製:分散染料)1%omf、デ
ィスパーTL(明成化学株式会社製:分散剤)1g/リ
ットルを使用して、温度130℃で30分の染色を実施
し、乾燥させた後、起毛機にはカット針布を巻いた多数
本ロールの起毛機を用い、パイル糸を片面、1回起毛し
た後、フリースと呼ばれる起毛布帛を作製した。
び評価結果を表1に示す。
洗濯を行っても硬くなりにくく、また圧縮回復性が低下
しないために、パイル部のヘタリが少なく、軽量感を有
するものであることが明らかである。
く、軽量感のあるパイル布帛が提供される。本発明のパ
イル布帛は、再生セルロース系繊維を含む糸条を用いて
構成されているため、ソフトな風合いを持ち、発色性に
優れており、鮮明な色彩を呈するため、婦人のアウター
衣料等として有用である。
Claims (4)
- 【請求項1】 再生セルロース系繊維を含む糸条を用い
て構成されたパイル布帛であって、洗濯前後の圧縮剛さ
(LC)の変化率が80〜110%、圧縮回復率(R
C)の保持率が85%以上であることを特徴とするパイ
ル布帛。 - 【請求項2】 少なくともパイル部が、再生セルロース
系繊維を含む糸条で構成されていることを特徴とする請
求項1記載のパイル布帛。 - 【請求項3】 高圧処理することを特徴とする請求項1
または2に記載のパイル布帛の製造方法。 - 【請求項4】 高圧処理した再生セルロース系繊維糸条
を用いることを特徴とする請求項1または2に記載のパ
イル布帛。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002026890A JP3961841B2 (ja) | 2002-02-04 | 2002-02-04 | パイル布帛及びその製造方法 |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP2003227055A true JP2003227055A (ja) | 2003-08-15 |
JP3961841B2 JP3961841B2 (ja) | 2007-08-22 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7401949B1 (ja) * | 2023-06-15 | 2023-12-20 | 澤田株式会社 | 製糸方法 |
-
2002
- 2002-02-04 JP JP2002026890A patent/JP3961841B2/ja not_active Expired - Fee Related
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