JP2003226821A - 生分解性複合材料及び生分解性プラスチックの成形品 - Google Patents
生分解性複合材料及び生分解性プラスチックの成形品Info
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Abstract
料を提供する。 【解決手段】 セルロースのOH基と反応する表面処理
剤で処理した植物性天然繊維と、エステル構造を有する
生分解性プラスチックとを均一に配合した。これによ
り、表面処理剤による化学反応で活性化したセルロース
のOH基と生分解性プラスチックのエステル基との相互
作用で繊維表面の濡れ性が向上し、界面の接着性が高く
なって両者が十分に一体化するので、成形品の機械的強
度が大で実用性の高い生分解性複合材料を得ることがで
きる。
Description
解性プラスチックの複合材料、特に強度の高い生分解性
複合材料と、これを成形した成形品に関する。
プラスチックが注目されている。しかし現在市販されて
いる生分解性プラスチックは、いわゆるエンジニアリン
グ・プラスチックと称されているものと比較して機械的
強度がかなり低いため用途が限られている。このため強
化材を入れて強度不足を補うことが試みられているが、
この場合は強化材自体も生分解性でないと意味がないの
で、例えば竹、ジュート、ケナフ等の植物性天然繊維の
ほか、動物性の天然繊維などが使用されている。しか
し、これらの天然繊維を混合しても期待されるような補
強効果が得られていないのが現状である。
い、天然繊維を単に混合しただけの複合材料の成形品で
は、応力が加わると母材のプラスチックと補強材の天然
繊維とが分離してしまい、補強効果が発揮されないこと
を見出した。これは生分解性プラスチックと天然繊維の
界面の接着性が不十分なことが一因であり、両者が十分
に一体化された成形品になっていないためであると考え
られる。
結果に基づき、生分解性プラスチックと天然繊維との接
着性を高めることにより、高い機械的強度を発揮できる
生分解性複合材料を提供できるようにすることを課題と
してなされたものである。
めに、この発明の生分解性複合材料は、セルロースのO
H基と反応する表面処理剤で処理した植物性天然繊維
と、エステル構造を有する生分解性プラスチックとを配
合している。
る植物性天然繊維の配合率は0.5〜51wt%の範囲に
選定される。
ケナフ、ミツマタ等の植物性繊維が使用できるが、竹は
成長が早くて生産性が高く、また国内でも十分な生産量
があるので、特に適している材料である。
紙工程で使用されているグリオキサールあるいはトリメ
トキシメチルメラミンが使用される。
チックは、脂肪族ポリエステルや無水マレイン酸変性し
たポリエチレン、ポリプロピレンなど、エステル構造を
有するものであればよく、例えばポリブチレンサクシメ
ート等の市販されている公知の生分解性プラスチックを
適宜使用できる。
さが200〜800μmの範囲にある竹繊維が使用され
る。また、竹繊維は特有の色と臭いを持っているので、
そのまま使用するほか、脱色あるいは着色したものや、
脱臭あるいは着香したものを使用することができる。
出成形法による成形を行うことができ、これにより所望
の形状の成形品を得ることができる。
処理した植物性天然繊維とエステル構造を有する生分解
性プラスチックとを混合しており、表面処理剤による化
学反応で活性化したセルロースのOH基と生分解性プラ
スチックのエステル基との相互作用で繊維表面の濡れ性
が向上し、界面の接着性が高くなって両者が十分に一体
化する。従って、成形後の機械的強度の高い生分解性複
合材料を得ることができるのである。
つの実施例により説明する。
クとしてポリブチレンサクシメート(昭和高分子(株)製
ビオノーレ#1020)を、補強材として粉砕処理で得
られた平均直径約70μm、平均長さ約500μmの竹
繊維(末広産業(株)製)を、表面処理剤としてグリオキ
サールをそれぞれ使用した。
光純薬工業(株)製)を1wt%に希釈した処理液と、2wt%
に希釈した処理液とを用意し、これらにそれぞれ竹繊維
を室温で浸漬した後、室温で風乾した。この浸漬は、竹
繊維に処理液が十分に浸透して濡れればよいので時間は
適当でよく、浸漬以外の方法で処理してもよい。
それぞれ10wt%の割合でポリブチレンサクシメートに
配合し、2軸押出成形機を用いて温度135℃で均一に
混練した後、インラインスクリュー型射出成形機により
スクリュー温度140℃でダンベル型に成形し、1wt%
の処理液で処理した竹繊維を使用したサンプルA1と、
2wt%の処理液で処理した竹繊維を使用したサンプルA
2を得た。なお、上記の混練や射出時の温度はポリブチ
レンサクシメートの融点に対応して設定されたものであ
り、母材が異なる場合にはその母材に応じて設定される
ことになる。
比較のため処理液で処理してない竹繊維を用いて同条件
で成形したサンプルA0の引張試験の結果を示したもの
である。引張試験は、インストロン万能試験機を用い、
クロスヘッドスピード5mm/分、スパン間距離115mm
で実施した。
びA2は、サンプルA0と比較して機械的強度を示す伸
びと荷重のいずれもが向上しており、しかもサンプルA
2はサンプルA1よりも高い数値を示している。これら
はこの発明による竹繊維の表面処理が有効であり、所期
の目的が達成されていることを裏付けている。
第1の実施例と同様であるが、表面処理剤としてトリメ
トキシメチルメラミンを使用した。
%水溶液(住友化学工業(株)製Sumitex Resin M-3)を1
wt%に希釈した処理液と、2wt%に希釈した処理液とを用
意し、これらにそれぞれ竹繊維を室温で浸漬した後、室
温で風乾した。
それぞれ10wt%の割合でポリブチレンサクシメートに
配合し、第1の実施例と同条件で均一に混練してダンベ
ル型に成形し、1wt%の処理液で処理したサンプルB1
と、2wt%の処理液で処理したサンプルB2を得た。
前述のサンプルA0とを第1の実施例と同じ条件で引張
試験を行った結果を示したものである。図2から明らか
なように、サンプルB1及びB2はサンプルA0に対し
て伸びはほぼ変わらないものの、荷重は向上しており、
サンプルB2はサンプルB1よりも高い数値を示してい
る。この第2の実施例もこの発明による竹繊維の処理が
有効であり、所期の目的が達成されていることを裏付け
ている。
したところ、サンプルA0では母材プラスチックと竹繊
維の間に多くの隙間が生じているのに対して、サンプル
A1及びA2並びにサンプルB1及びB2では隙間はほ
とんど生じておらず、母材と竹繊維とが一体化されてい
ることが観察された。
均長さ約500μmの竹繊維を用いているが、これは必
要な強度が得られ、しかも射出成形に支障のない十分な
流動性が保たれるように選定された数値である。実際の
直径が30〜100μm、長さが200〜800μmの
範囲の竹繊維であれば、平均値が上記と異なっても特に
問題なく所望の形状の射出成形品を得ることができる。
なお、成型性及び成形品強度等を考慮すると、竹繊維の
直径が40〜80μm、長さが400〜600μmの範
囲であることが望ましいが、成形方法や繊維の種類によ
っては繊維の直径や長さは上記の範囲以外のものであっ
ても使用可能である。
の方が伸びと荷重が向上し、図2では表面処理剤の濃度
が高い方が伸びが向上しており、表面処理剤の濃度が高
いほど結果が良いことを示しているが、効果の得られる
濃度の上限についてはまだ十分な確認はなされていな
い。
でポリブチレンサクシメートに配合しているが、植物性
天然繊維の配合率は複合材料の用途や繊維の種類、生分
解性プラスチックの種類などに応じて適宜選定すればよ
い。得られた成形品の機械的強度は天然繊維の配合率に
よって当然変化するが、配合率が0.5〜51wt%の範
囲であれば強度向上の効果があり、特に配合率が5〜3
0wt%であれば大きな強度向上が期待できる。なお、上
記の51wt%は規格上プラスチックとして認められる上
限値であり、技術的には更に高い配合率も可能である。
施例のものに限定されるものではなく、性状が同等であ
れば他の材料を使うことができ、更に生分解性を損なわ
ない範囲であれば、帯電防止剤、難燃剤、着色剤などの
各種材料を適宜添加することができる。また、竹繊維は
特有の色と臭いを持っているので、脱色あるいは着色処
理したものや、脱臭あるいは着香処理したものを使用す
ることができる。これらの処理は、例えば着色剤や芳香
剤の溶液に竹繊維を含浸するなど、適宜の手段によって
実施することができる。
明の生分解性複合材料は、セルロースのOH基と反応す
る表面処理剤で処理した植物性天然繊維と、エステル構
造を有する生分解性プラスチックとを均一に配合したも
のである。従って、表面処理剤による化学反応で活性化
したセルロースのOH基と生分解性プラスチックのエス
テル基との相互作用で繊維表面の濡れ性が向上し、界面
の接着性が高くなって両者が十分に一体化するので、エ
ンジニアリング・プラスチックとほぼ同等の機械的強度
を有し、広い範囲の用途に使用可能で実用性の高い生分
解性複合材料を得ることができる。
では、竹は成長が早くて生産性が高く、また国内でも十
分な生産量があるので比較的入手が容易であり、機械的
強度の高い生分解性複合材料を低コストで製造すること
が可能となる。
使用されているグリオキサールあるいはトリメトキシメ
チルメラミンを使用するので、入手は容易である。
ているポリブチレンサクシメートを使用するものでは、
入手は容易である。
0〜800μmの竹繊維を使用することにより、必要な
強度を確保しながら、射出成形法を適用して所望の形状
の成形品を得ることができる。
験の結果を示す図である。
を示す図である。
Claims (10)
- 【請求項1】 セルロースのOH基と反応する表面処理
剤で処理した植物性天然繊維と、エステル構造を有する
生分解性プラスチックとを配合したことを特徴とする生
分解性複合材料。 - 【請求項2】 生分解性プラスチックに対する植物性天
然繊維の配合率が0.5〜51wt%である請求項1記載
の生分解性複合材料。 - 【請求項3】 植物性天然繊維が竹繊維である請求項1
又は2に記載の生分解性複合材料。 - 【請求項4】 表面処理剤がグリオキサールである請求
項1乃至3のいずれかに記載の生分解性複合材料。 - 【請求項5】 表面処理剤がトリメトキシメチルメラミ
ンである請求項1乃至3のいずれかに記載の生分解性複
合材料。 - 【請求項6】 生分解性プラスチックがポリブチレンサ
クシメートである請求項1乃至5のいずれかに記載の生
分解性複合材料。 - 【請求項7】 竹繊維の直径が30〜100μm、その
長さが200〜800μmである請求項3乃至6のいず
れかに記載の生分解性複合材料。 - 【請求項8】 竹繊維が脱色あるいは着色処理されてい
る請求項7記載の生分解性複合材料。 - 【請求項9】 竹繊維が脱臭あるいは着香処理されてい
る請求項7記載の生分解性複合材料。 - 【請求項10】 請求項7乃至9のいずれかに記載の生
分解性複合材料を使用し、射出成形法によって所望の形
状に成形されたことを特徴とする生分解性プラスチック
の成形品。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011524923A (ja) * | 2008-06-18 | 2011-09-08 | ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア | ポリマーブレンドの添加剤としてのグリオキサル及びメチルグリオキサル |
-
2002
- 2002-02-07 JP JP2002030279A patent/JP3886817B2/ja not_active Expired - Fee Related
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