JP2003226629A - 体臭抑制剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 カルボキシル基の一部がエステル化され
た高分子量重合有機酸を含有する体臭抑制剤。 【効果】 本発明の体臭抑制剤は、人体及び衣類の腋
臭、汗臭、足臭等の体臭を顕著かつ持続的に抑制し、さ
らに使用感も良好である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は腋臭、汗臭、足臭等
の不快な体臭を安全かつ効率的に減少させることがで
き、さらに使用感にも優れている体臭抑制剤に関する。

【０００２】

【従来の技術】発汗は生理的機能のうえで重要な現象で
あるが、反面皮膚に対して好ましくない影響を与えるこ
とがある。あせもの発生、腋臭、汗臭、足臭等の不快な
体臭はその代表的なもので、これを防止又は抑制しよう
とする試みが永年なされてきている。体臭の原因は発汗
及びそれに続く微生物の関与であることから、体臭を抑
制するには、（１）収斂剤により発汗を抑制する、又は
粉末により汗を吸収する方法、（２）殺菌剤により細菌
の発育、活動を抑制する方法、（３）香水やオーデコロ
ンの使用によって臭気を目立たなくする方法、が知られ
ている。腋臭や足臭などの強い臭気に対しては、特に
（１）及び（２）の方法が有効であり、体臭抑制剤（以
下、制汗デオドラント剤とも言う）にはアルミニウム化
合物やｐ-フェノールスルホン酸亜鉛等の収斂剤、タル
ク、無水ケイ酸等の粉末、トリクロロヒドロキシジフェ
ニルエーテル（トリクロサン）、塩化ベンザルコニウ
ム、イソプロピルメチルフェノールなどの殺菌成分が配
合されている。しかしながら、収斂剤や殺菌剤が配合さ
れた市販の制汗デオドラント剤を、長期間にわたって連
続使用した場合や乳幼児や高齢者など皮膚の弱い人が使
用した場合に、しばしば肌荒れやかゆみ、腫れなどの皮
膚障害を招くことが知られている。

【０００３】これに対し、皮膚に対する刺激性の少ない
有効成分を用いて、体臭やあせもを抑制する方法とし
て、特開昭５７−８１４０７号には、高分子量重合有機
酸を利用して不快な体臭を伴う皮膚症状を治療及び防止
する方法が提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】特開昭５７−８１４０
７号に開示された高分子量有機酸はアルギン酸（遊離
酸）とカーボポール樹脂（アクリル酸を主として、これ
に少量のアリルショ糖などを配合した共重合体）であ
る。しかしながら、アルギン酸を含む体臭抑制剤を足裏
部など発汗量の多い部位に使用した場合には、皮膚に対
する付着力が弱いため満足できる体臭抑制効果が得られ
ず、また汗を吸わないために皮膚上での使用感触の点で
も不十分であった。一方、カーボポール樹脂はべたつく
等の皮膚上での使用感触に問題があり、実用的ではなか
った。従って本発明は、体臭を安全かつ効率的に減少さ
せることができ、さらに皮膚上での使用感触の良好な体
臭抑制剤を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】そこで本発明者は、汗
臭、腋臭等の体臭に対する抑制効果及び使用感について
検討したところ、カルボキシル基の一部がエステル化さ
れた高分子量重合有機酸を用いることにより、体臭抑制
効果が向上し、また皮膚上での使用感触が改善されるこ
とを見出した。

【０００６】すなわち、本発明は、カルボキシル基の一
部がエステル化された高分子量重合有機酸を含有する体
臭抑制剤を提供するものである。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明に用いられるカルボキシル
基の一部がエステル化された高分子量重合有機酸として
は、カルボキシ多糖類のカルボキシル基の一部がエステ
ル化されたものが挙げられる。ここで高分子量重合有機
酸としては、アルギン酸、ヒアルロン酸、ペクチン酸、
カルボキシメチルセルロース（遊離酸）等が挙げられる
が、アルギン酸が特に好ましい。またカルボキシル基の
エステル化に用いられるアルコール類としては、プロピ
レングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコ
ール、ヘキシレングリコール等の炭素数２〜６の２価ア
ルコール；メタノール、エタノール等の１価アルコール
等が挙げられるが、このうち、体臭抑制効果及び使用感
触の点で２価アルコール、特にプロピレングリコールが
好ましい。

【０００８】これらのカルボキシル基の一部がエステル
化された高分子量重合有機酸としては、体臭抑制効果及
び使用感触の点でアルギン酸プロピレングリコールエス
テルが好ましい。アルギン酸プロピレングリコール（ア
ルギン酸プロピレングリコールエステルとも言う）は、
極めて安全性が高く、食品用増粘剤、乳化安定剤等とし
て使用されているが、体臭抑制剤として用いられること
は無かった。

【０００９】本発明に用いられるカルボキシル基の一部
がエステル化された高分子量重合有機酸、例えばアルギ
ン酸プロピレングリコールは、褐藻類から抽出されたア
ルギン酸（Ｄ−マンヌロン酸とＬ−グルロン酸とで構成
されている直鎖型ポリマー）の誘導体であって、主とし
て１,２−プロピレングリコールのアルギン酸エステル
からなる。アルギン酸が中性又は酸性領域の水に不溶な
のに対して、アルギン酸プロピレングリコールは、水及
び有機酸溶液に溶け、１％水溶液はpH３．５〜４を有す
る。このようにカルボキシル基の一部がエステル化され
た高分子量重合有機酸は、高酸度（低pH値）であること
による静菌作用によって優れた体臭抑制効果を発揮す
る。また適度な皮膚付着性を有しており、皮膚表面を長
時間にわたって弱酸性に保つと共に、制汗塩や殺菌剤の
保留剤としても有用であり、これらの成分を長時間にわ
たって皮膚表面に付着させることができる。さらに皮膚
上での使用感に優れており、汗で湿った状態ではしっと
りした感触が得られ、乾いた状態ではさらさらとした感
触が得られる。

【００１０】カルボキシル基の一部がエステル化された
高分子量重合有機酸としては、分子量１万〜１０００
万、特に１万〜２００万のものが好ましい。また、エス
テル化率は、５０％以上１００％未満であるものが好ま
しく、特に７０％以上１００％未満のものが好ましく、
さらに粘度はさらに粘度は５〜５００ｍＰａ・ｓ、特に
５〜２５０ｍＰａ・ｓ（ともに１％水溶液、２０℃）で
あるものが、特に体臭抑制効果及び使用感触の点で好ま
しい。アルギン酸プロピレングリコールの市販品として
は、例えば、株式会社キミカ製「キミロイドＮＬＳ−
Ｋ」（４６ｍＰａ・ｓ、エステル化度８４％）等として
入手出来る。

【００１１】カルボキシル基の一部がエステル化された
高分子量重合有機酸は、本発明体臭抑制剤中に、体臭抑
制効果、その持続性及び使用感の点から、０．０１〜３
０重量％、特に０．１〜１０重量％含有するのが好まし
い。

【００１２】本発明体臭抑制剤は、前記カルボキシル基
の一部がエステル化された高分子量重合有機酸以外に炭
素数１〜１２の有機酸及び／又はその塩を含有しても良
い。当該炭素数１〜１２の有機酸としては、一塩基酸、
二塩基酸、三塩基酸、ヒドロキシカルボン酸等が挙げら
れる。このうち、炭素数２〜８の有機酸がより好まし
く、特にグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエ
ン酸、アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸及
びサリチル酸から選ばれる１種以上が体臭抑制効果の点
で好ましい。

【００１３】これら炭素数１〜１２の有機酸及び／又は
その塩は、本発明体臭抑制剤中に、体臭抑制効果の点か
ら０．０１〜１０重量％、特に０．１〜５重量％含有す
るのが好ましい。

【００１４】本発明の体臭抑制剤には、上記成分以外に
粉体、制汗剤、殺菌剤、香料、油剤、増粘剤、界面活性
剤、防腐剤、消炎剤、保湿剤、金属イオン封鎖剤、酸化
防止剤等を適宜含有させることができる。かかる粉体と
しては、タルク、無水ケイ酸、球状合成樹脂粉末、酸化
チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ゼオライト、メ
タケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。また
制汗剤としては塩化アルミニウム、クロルヒドロキシア
ルミニウム、酸化亜鉛、ｐ-フェノールスルホン酸亜鉛
等が挙げられる。さらに殺菌剤としてはトリクロロヒド
ロキシジフェニルエーテル（トリクロサン）、トリクロ
ロカルバニリド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼト
ニウム、イソプロピルメチルフェノール、抗菌性を有す
る生薬由来の精油や抽出物等が挙げられる。

【００１５】さらに本発明の体臭抑制剤のpHは優れた体
臭抑制効果を得る点、持続性及び使用感の点からpH３〜
６（このpHは、２０℃の値である）、さらに３．５〜
５．０であるのが好ましい。ここでpHは、体臭抑制剤が
水溶性液体の場合はそのまま測定した値であり、非水溶
性液体及び粉体等の場合は水で１０〜２０倍に希釈して
測定した値である。

【００１６】本発明体臭抑制剤を上記pH範囲に調整する
にあたっては、必要に応じてアルカリ剤、例えば水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭
酸水素ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールア
ミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノー
ルアミン等を添加することができる。

【００１７】本発明の体臭抑制剤は、ヒトの体臭、例え
ば腋臭、汗臭、足臭、頭皮頭髪臭等を抑制するものであ
ることから、人体又は衣類に適用されるものである。こ
こで衣類には、衣服の外、靴、帽子も含まれる。

【００１８】本発明体臭抑制剤の人体又は衣類への適用
方法は特に限定されず、例えば液体、粉体等を直接塗布
又は噴霧する方法が挙げられる。従って、本発明体臭抑
制剤の剤形としては、ロールオンパウダー等の粉剤、ス
プレー又はロールオンタイプの液剤、エアゾール剤、ス
ティック剤、軟膏剤、ジェル剤、不織布や紙等に含浸さ
せたシートタイプ等が挙げられる。これらの剤形に調製
するにあたっては、水、エタノール、イソプロパノー
ル、プロピレングリコール、１,３-ブチレングリコール
等の溶剤、流動パラフィン、ステアリルアルコール、ミ
リスチン酸イソプロピル、メチルポリシロキサン等の油
剤、プロパン、イソブタン、ジメチルエーテル等の噴射
剤等を使用することができる。

【００１９】

【実施例】実施例１及び比較例１、２ ３人の専門パネラーが、健常な男性（２０〜４０歳）２
０名から足臭の強い人５名を官能により選出した。イオ
ン交換水で足を３分間洗浄、タオルで清拭した後、片方
の足裏に本発明体臭抑制剤０．１ｇをスプレーし、足臭
抑制効果及び使用感触について下記基準で評価した。結
果を表１に示す。

【００２０】（１）足臭抑制効果 ３人の専門パネラーが、塗布しない側の足裏部を対照と
して、６時間後の足臭抑制効果を官能により判定した。

【００２１】評価基準 ○：足臭抑制効果が良好で、ほとんど臭わないか、かす
かに臭う程度まで減少 △：足臭抑制効果があり、弱く臭う程度まで減少 ×：足臭抑制効果がない（対照と差が認められない）

【００２２】（２）使用感触 被験者が塗布しない側の足裏部を対照として使用感触に
ついて判定した。

【００２３】評価基準 ○：べたつきがない、又はさらさらしている △：ややべたついている、又は湿った感じがある ×：全体的にべたついている

【００２４】

【表１】

【００２５】アルギン酸プロピレングリコールを配合し
たエアゾールスプレーは、優れた体臭抑制効果を有し、
かつ使用感触も良好であった。

【００２６】実施例２

【００２７】

【表２】

【００２８】アルギン酸プロピレングリコールと有機酸
を配合した表２の低刺激性デオドラントローションは優
れた体臭抑制効果を示し、かつ使用感触も良好であっ
た。

【００２９】実施例３

【００３０】

【表３】

【００３１】アルギン酸プロピレングリコールを配合し
た表３のプレストパウダーは、さらさらとした気持ち良
い感触であった。

【００３２】上記実施例から明らかなようにカルボキシ
ル基の一部がエステル化された高分子量重合有機酸、特
にアルギン酸プロピレングリコールは、アルギン酸やカ
ーボポール樹脂に比べて体臭抑制効果が高く、かつ皮膚
上での使用感が良好である。

【００３３】

【発明の効果】本発明の体臭抑制剤は、人体及び衣類の
腋臭、汗臭、足臭等の体臭を顕著かつ持続的に抑制し、
さらに使用感も良好である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 3B011 AC00 4C083 AB172 AB212 AB222 AB332 AB342 AB432 AC012 AC022 AC102 AC122 AC231 AC302 AC352 AD152 AD271 AD301 AD302 AD331 AD371 BB33 CC02 CC04 CC12 CC17 DD08 DD17 DD27 EE06 EE18 FF05

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 カルボキシル基の一部がエステル化され
   た高分子量重合有機酸を含有する体臭抑制剤
2. 【請求項２】 高分子量重合有機酸がアルギン酸、ヒア
   ルロン酸、ペクチン酸及びカルボキシメチルセルロース
   から選ばれる１種以上である請求項１記載の体臭抑制
   剤。
3. 【請求項３】 高分子量重合有機酸がアルギン酸である
   請求項１記載の体臭抑制剤。
4. 【請求項４】 カルボキシル基の一部が、炭素数２〜６
   の２価アルコールでエステル化されたものである請求項
   １〜３のいずれか１項記載の体臭抑制剤。
5. 【請求項５】 カルボキシル基の一部がエステル化され
   た高分子量重合有機酸が、アルギン酸プロピレングリコ
   ールである請求項１記載の体臭抑制剤。
6. 【請求項６】 さらに有機酸及び／又はその塩を含有す
   るものである請求項１〜５のいずれか１項記載の体臭抑
   制剤。
7. 【請求項７】 人体又は衣類に適用されるものである請
   求項１〜６のいずれか１項記載の体臭抑制剤。