JP2003226522A - 四塩化チタンの製造方法 - Google Patents

四塩化チタンの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】反応器中でチタン含有鉱石と塩素ガスとを流動
状態で反応させて四塩化チタンを製造する方法におい
て、塩素化反応を停止した後、反応の再開が容易な四塩
化チタンの製造方法を提供すること。 【解決手段】塩素ガスの供給を止めて反応を停止する際
に、反応器内の内容物が流動状態を維持するよう不活性
ガスを供給して冷却する。 【効果】本発明の製造方法は、塩素化反応を一時的に停
止した後の円滑な反応の再開を可能とするものであり、
特に原料として夾雑物を多く含むチタン含有鉱石を用い
る場合に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チタン含有鉱石の
流動塩素化において、塩素化反応を停止する際に、円滑
な反応の再開を可能とする工業的、経済的に有利な四塩
化チタンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】四塩化チタンは酸化チタン、金属チタン
の原料や触媒として、広く用いられている。四塩化チタ
ンは一般的に、コークス等の還元剤の存在下、チタン含
有鉱石と塩素ガスとを、塩化炉等の反応器中で流動させ
ながら、約1000℃の高温で反応させることで製造さ
れている。工業規模で四塩化チタンを製造する場合、製
造プラントのトラブルやメインテナンス等で塩素化反応
を一時的に停止させる必要が生じる。塩素ガスの供給を
止めて反応を停止させている間、反応器の温度が緩やか
に低下するので、液状化した内容物が反応器の底に堆積
し固結して、塩素ガスを再供給しても流動性が悪くな
り、反応性が低下したり、場合によっては流動化せず、
塩化炉から固結した堆積物を排出しなければならなかっ
た。また、従来より、安全対策及び内容物の酸化を防ぐ
ために、塩素ガスの供給停止後、窒素ガス等の不活性ガ
スで、反応器内をパージすることは行われていた。しか
し、このような不活性ガスパージでは、強固な固結物が
形成され反応再開に支障を来す場合があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上に述べ
た従来技術の問題点を克服し、塩素化反応を停止した後
の反応の再開が容易な四塩化チタンの製造方法を提供す
るものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、塩素化反応の
停止時に不活性ガスの供給により、塩化炉内の内容物の
流動状態を維持しながら冷却すれば良いことを見出し
た。
【0005】すなわち、本発明はチタン含有鉱石と塩素
ガスとを流動状態で反応させて四塩化チタンを製造する
方法において、塩素ガスの供給を止めて反応を停止する
際に、反応器内の内容物が流動状態を維持するよう不活
性ガスを供給して冷却することを特徴とする四塩化チタ
ンの製造方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、四塩化チタンの製造方
法であって、チタン含有鉱石と塩素ガスとを流動状態で
反応させて四塩化チタンを製造する方法において、塩素
ガスの供給を止めて反応を停止する際に、反応器内の内
容物が流動状態を維持するよう不活性ガスを供給して冷
却することを特徴とする。流動状態を維持して冷却され
た内容物は、ほとんど固結しないか、固結しても強固な
固結物を生成したり、反応器に固着することがないの
で、再び塩素ガスを供給すると速やかに流動状態に戻
り、四塩化チタンが製造できる。本発明では塩素ガスを
再供給するまで不活性ガスの供給を継続しても良いが、
ある程度冷却が進んだ時点で不活性ガスの供給を停止し
ても良い。
【0007】反応停止後の反応器内の内容物の流動状態
を維持させるには、塩素ガスの供給を停止した後、不活
性ガスを反応器に供給することにより行なう。反応器内
部の流動状態を確認するには、工業的には流動層上部と
下部と圧力差を測定することで行なわれており、本発明
においては、不活性ガス供給中の上記の圧力差、すなわ
ち図1に示すP1、P2で測定した圧力の差を5〜50k
Paの範囲にするのが好ましく、10〜30kPaの範
囲が更に好ましい。流動状態を維持させるための不活性
ガスの供給は、3〜30cm/秒の範囲の流速で供給す
るのが好ましく、10〜20cm/秒の範囲が更に好ま
しい。流速が3cm/秒より低いと、十分な流動状態に
なりにくく、また冷却も進みにくい。また、30cm/
秒より流速を高くしても更なる効果は得られないので経
済的でない。不活性ガスの供給期間は、内容物の温度が
不活性ガスの供給開始時より少なくとも20℃低下する
までとするのが好ましく、少なくとも30℃低下するま
で供給を続けると更に好ましい。
【0008】本発明において用いる不活性ガスとして
は、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等が挙げ
られるが、特に窒素ガスが安価であるので工業的に好ま
しい。反応器には特に制限は無く、種々の構成、形状、
大きさのものに本発明を適用できるが、例えば一般的な
底部に多孔分散盤を有する流動塩化炉や、多孔分散盤を
有さないもの、噴射型流動塩化炉等に用いることがで
き、特に底部に多孔分散盤を有するものに用いると、塩
素ガス供給口の閉塞防止にもなり、好ましい。また、チ
タン含有鉱石にも制限は無く、イルミナイト鉱、ルチル
鉱、アナターゼ鉱、チタンスラグ、合成ルチルやそれら
の混合物等公知のものを用いることができる。特に、本
発明の製造方法は、固結物を形成し易い夾雑物を多く含
むチタン含有鉱石を原料として使用する場合に有用であ
り、そのようなチタン含有鉱石として、例えばカルシウ
ム等のアルカリ土類金属を多く含むチタンスラグが挙げ
られる。
【0009】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらに制限されるものではない。
【0010】実施例1 コークスの存在下、チタンスラグと合成ルチルの混合物
(夾雑物としてカルシウムをCaO換算で0.10%含
有)と塩素ガスとを、流動塩化炉中で1050℃の温度
で反応させ、四塩化チタンを製造した。塩素ガスの供給
を停止した後、窒素ガスを15cm/秒の流速で塩化炉
に供給し、流動状態を保持しながら内容物を冷却した。
窒素ガス供給中の流動層上部と下部(図1のP1、P
2)との圧力差は20kPa、窒素ガス供給開始から1
時間後の内容物の温度は1000℃であった。その後、
窒素ガスを停止し、塩素ガスを供給したところ、流動層
上面と下面との圧力差から良好な流動状態で反応を再開
することができた。その後は同様の方法により、必要に
応じて反応の停止、再開を繰り返したが、特に問題は認
められず、1年間塩化炉の運転を継続した。
【0011】比較例1 窒素ガスのを流速を1cm/秒とした以外は実施例1と
同様にした。窒素ガス供給中の図1のP1、P2に相当
する内容物上部と下部との圧力差は1.0kPaであ
り、内容物は流動状態とはならなかったと推測される。
窒素ガス供給開始から1時間後の内容物の温度は104
0℃であった。その後は同様の方法により、必要に応じ
て反応の停止、再開を繰り返したところ、最初の反応再
開から60日後、塩化炉内の内容物の流動不良が生じた
ので、塩化炉の運転が不可能となった。反応停止後、塩
化炉を開放すると、内部に固結した堆積物が形成されて
いたので、これを排出して運転を再開した。
【0012】
【発明の効果】本発明は、チタン含有鉱石の流動塩素化
による四塩化チタンの製造方法において、塩素化反応を
一時的に停止した後の円滑な反応の再開を可能とするも
のであり、特に原料として夾雑物を多く含むチタン含有
鉱石を用いる場合に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】流動塩化炉の一例
【符号の説明】
1 流動塩化炉 2 チタン含有鉱石導入口 3 ガス供給口 4 排出口 5 上部圧力測定端(P1) 6 下部圧力測定端(P2)
フロントページの続き (72)発明者 前田 清 三重県四日市市石原町1番地 石原産業株 式会社四日市事業所内 (72)発明者 伊藤 利浩 三重県四日市市石原町1番地 石原産業株 式会社四日市事業所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】反応器中でチタン含有鉱石と塩素ガスとを
    流動状態で反応させて四塩化チタンを製造する方法にお
    いて、塩素ガスの供給を止めて反応を停止する際に、反
    応器内の内容物が流動状態を維持するよう不活性ガスを
    供給して冷却することを特徴とする四塩化チタンの製造
    方法。
  2. 【請求項2】不活性ガスを3〜30cm/秒の範囲の流
    速で供給することを特徴とする請求項1記載の四塩化チ
    タンの製造方法。
  3. 【請求項3】流動層上部と下部との差圧を5〜50kP
    aの範囲になるよう不活性ガスを供給することを特徴と
    する請求項1記載の四塩化チタンの製造方法。
  4. 【請求項4】内容物の温度が不活性ガスの供給開始時よ
    り少なくとも20℃低下するまで不活性ガスを供給する
    ことを特徴とする請求項1記載の四塩化チタンの製造方
    法。
  5. 【請求項5】不活性ガスが窒素ガスであることを特徴と
    する請求項1記載の四塩化チタンの製造方法。
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