JP2003226259A - 車両のアライメント調整方法及び調整支援装置 - Google Patents

車両のアライメント調整方法及び調整支援装置

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JP2003226259A
JP2003226259A JP2002029686A JP2002029686A JP2003226259A JP 2003226259 A JP2003226259 A JP 2003226259A JP 2002029686 A JP2002029686 A JP 2002029686A JP 2002029686 A JP2002029686 A JP 2002029686A JP 2003226259 A JP2003226259 A JP 2003226259A
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lateral force
toe angle
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JP2002029686A
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Shinichi Furuya
信一 古屋
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Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タイヤの特性の相違に拘らず、車両の走行安
定性等を確保できるようにアライメントを調整可能とす
る。 【解決手段】 調整対象の車両の全輪について、アライ
メントを測定する(102)と共に、トー角と転動時の横力
変動量との関係を表す横力変動特性を測定し(104〜11
2)、横力変動量が最大の車輪を選択し(114)、選択した
車輪が位置している側の前後輪の横力変動量が等しくな
るように前後輪の目標トー角を設定し(116〜122)、目標
トー角に調整した場合のスタビリティ・ファクタFstab
を演算する(124)。Fstabが適正範囲内か判定し、適正
範囲内でなければ目標トー角を修正し、Fstabを再演算
することを繰り返し(126〜144)、最終的に得られた目標
トー角を表示する(146)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両のアライメント
調整方法及び調整支援装置に係り、特に、車両の走行安
定性等を向上させるための車両のアライメント調整方
法、及び該車両のアライメント調整方法を適用したアラ
イメント調整を支援するための車両のアライメント調整
支援装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、車両の走行安定性等を確保す
るために車輪のアライメント調整が行われている。例え
ば車輪にキャンバー角を与え、このキャンバー角の付与
による片べり摩耗を防止するためにトー角が付与されて
いる。また逆に、車両のフロントタイヤ及びリアタイヤ
に発生する力をバランスさせ、車両の走行安定性を確保
するためにトー角を付与し、付与したトー角による片べ
り摩耗を防止するためにキャンバー角を付与している。
また、トー角及びキャンバー角を組み合わせて、車両の
構造寸法等の制約の下で車両の走行安定性の確保とタイ
ヤの片べり摩耗の最小化を両立させる調整も行われてい
る。
【0003】このように、車両の走行安定性等を確保す
るためには、車両の各車輪のトー角やキャンバー角等の
アライメントを調整することが重要になる。車輪のアラ
イメント調整は、従来、車両の各車輪毎に角度や寸法を
測定し、測定した角度や寸法が車両設計時に設定された
目標値に一致するように、トー角やキャンバー角を調整
することが一般的であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、タイヤ
は、タイヤの内部構造に起因して発生するプライステア
ー、車輪の回転方向と車両の進行方向とが異なることで
タイヤが進行方向に対し角度を持つことにより発生する
トーの力、接地面内で進行方向と力の作用点がずれるこ
とにより発生するセルフアライニングトルク、車輪に付
与されたキャンバー角によりタイヤが変形しタイヤの内
部構造によるタイヤの剛性との関係で発生するキャンバ
ースラスト、並びに接地面の左右の長さの違いにより発
生するキャンバーモーメント、工業製品として本来的に
有している形状上の製造誤差から生じるコニシティー、
内部の構造及びゴム等の部材によって異なる転がり抵抗
等の特性があるが、これらの特性は車輪に加わる荷重に
依存して各々変化し、かつタイヤの種類によっても相違
する。
【0005】従って、トー角やキャンバー角が車両設計
時に設定された目標値に一致するようにアライメント調
整を行ったとしても、常に一定の走行安定性等を確保で
きるとは限らないという問題があった。
【0006】本発明は上記事実を考慮して成されたもの
で、タイヤの特性の相違に拘らず、車両の走行安定性等
を確保できるようにアライメントを調整可能な車両のア
ライメント調整方法及び車両のアライメント調整支援装
置を得ることが目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】車両走行時(主に直進走
行時)の走行安定性はスタビリティ・ファクタによって
表すことができ、スタビリティ・ファクタが基準値以上
となるようにアライメントの調整を行うことで車両の走
行安定性を確保することができるが、スタビリティ・フ
ァクタには様々な要素が影響するため、スタビリティ・
ファクタを向上させるためのアライメントの具体的な調
整方法については確立されておらず、スタビリティ・フ
ァクタを基準値以上にするためには試行錯誤的にアライ
メント調整を行わざるを得ないのが実情である。
【0008】また、タイヤは、凹凸のある路面上で接地
転動する際に、接地面がタイヤに対して相対的に上下に
運動することによって発生する荷重変動により変形し、
この変形により、タイヤの構造的な要因によるプライス
テアーと称する横力、製造上の理由によって発生するコ
ニシティーと称する横力の荷重依存性による横力、及び
車輪にスリップ角(トー角)が付与されていることによ
り発生する横力が変動するが、この横力の変動も車両の
走行安定性に多大な影響を与えるので、アライメントの
調整にあたっては、路面の凹凸等の外乱が加わることに
よって生ずる横力変動の影響も考慮する必要がある。
【0009】ここで、本願発明者は、車両走行時に外乱
が加わった場合に、車両の幅方向に沿って同じ側に存在
する複数の車輪の横力変動量が同一又は近似していれ
ば、車両に発生する回転モーメントがゼロ又は非常に小
さくなり(例えば車両の右前輪が走行路上の或る突起を
乗り越える場合、右後輪も同じ突起を乗り越える可能性
が高く、右前輪と右後輪の横力変動量が同一又は近似し
ていれば、車両に発生する回転モーメントがゼロ又は非
常に小さくなる)、車両のスタビリティが高くなる(外
乱に伴う横力変動が及ぼす影響を小さくできる)ことに
想到した。
【0010】そして本願発明者は、車両の幅方向に沿っ
て同じ側に存在する複数の車輪の横力変動量を同一又は
近似させるための車輪のトー角を求め、求めたトー角に
調整した場合にスタビリティ・ファクタが良好な値とな
るか否かを確認し、スタビリティ・ファクタが良好な値
でなければ求めたトー角を修正するようにすれば、スタ
ビリティ・ファクタが良好な値になり、かつ外乱が加わ
った場合の横力変動による影響を抑制できる姿勢角を得
ることができ、タイヤの特性の相違に拘らず、車両の走
行安定性等を確保できることに想到し、本願発明を為す
に至った。
【0011】上記に基づき請求項1記載の発明に係る車
両のアライメント調整方法は、車輪のトー角と車輪転動
時の横力変動量との関係を表す横力変動特性を、調整対
象の車両の各車輪について各々取得し、取得した横力変
動特性に基づいて、調整対象の車両の幅方向に沿って同
じ側に存在する複数の車輪の転動時の横力変動量の差が
最小になるように、調整対象の車両の各車輪のトー角の
目標値を設定し、調整対象の車両の各車輪のトー角を前
記設定したトー角の目標値に調整したときの調整対象の
車両の走行安定性を表すスタビリティ・ファクタを演算
し、演算したスタビリティ・ファクタが基準値未満の場
合には前記トー角の目標値を修正し、トー角の目標値に
基づいて調整対象の車両の各車輪の姿勢角を調整する。
【0012】請求項1記載の発明では、車輪のトー角と
車輪転動時の横力変動量との関係を表す横力変動特性
を、調整対象の車両の各車輪について各々取得する。な
お、車輪転動時の横力変動量は、段差が形成された転動
路上の前記段差を車輪が乗り越す際の横力変動量(例え
ば横力変動量の最大値)であることが望ましいが、平坦
な転動路上を転動している間の横力変動量であってもよ
い。また、横力変動特性は、例えば請求項2に記載した
ように、調整対象の車両の各車輪を転動させて横力変動
量を測定することを車輪のトー角を変化させながら繰り
返すことによって取得することができる。この態様では
横力変動特性を実測するので、調整対象の車両の各車輪
の横力変動特性を高精度に得ることができる。
【0013】また、横力変動特性は、例えば請求項2に
記載したように、複数種のタイヤについて、荷重及びキ
ャンバ角と横力変動特性との関係を予め記憶手段に各々
記憶しておき、調整対象の車両に対応する横力変動特性
を記憶手段から読み出すことによって取得することも可
能である。この態様では、調整対象の車両の各車輪につ
いて少なくとも荷重及びキャンバ角を測定すれば、荷重
及びキャンバ角の測定結果と調整対象の車両の各車輪の
タイヤの種類に基づいて、調整対象の車両に対応する横
力変動特性を特定して読み出すことができるので、調整
対象の車両についての測定作業の省力化、本発明を実施
するために必要な装置の構成の簡素化を実現できる。
【0014】また、請求項1記載の発明では、取得した
横力変動特性に基づいて、調整対象の車両の幅方向に沿
って同じ側に存在する複数の車輪の転動時の横力変動量
の差が最小になるように、調整対象の車両の各車輪のト
ー角の目標値を設定する。これにより、路面の凹凸等の
外乱が加わることによる横力変動の影響を最小限に抑制
できるように、トー角の目標値を設定することができ
る。
【0015】続いて請求項1記載の発明では、調整対象
の車両の各車輪のトー角を設定したトー角の目標値に調
整したときの調整対象の車両の走行安定性(例えば直進
走行における走行安定性)を表すスタビリティ・ファク
タを演算し、演算したスタビリティ・ファクタが基準値
未満の場合にはトー角の目標値を修正する。これによ
り、トー角の目標値を、調整対象の車両のスタビリティ
・ファクタが基準値以上となり、かつ外乱が加わること
による横力変動が走行安定性に影響を及ぼすことを抑制
できるように設定することができる。
【0016】なお、スタビリティ・ファクタの基準値と
しては、調整対象の車両の各車輪の姿勢角を車両設計時
に設定された姿勢角に調整した状態でのスタビリティ・
ファクタの値を用いてもよいし、調整対象の車両の現在
の状態(姿勢角調整前の状態)でのスタビリティ・ファ
クタの値を用いてもよいし、調整対象の車両の現在の状
態でのスタビリティ・ファクタに所定値を加算した値を
用いてもよい。そして、請求項1記載の発明では、最終
的に得られたトー角の目標値に基づいて調整対象の車両
の各車輪の姿勢角を調整するので、タイヤの特性の相違
に拘らず、車両の走行安定性等を確保できるようにアラ
イメントを調整することができる。
【0017】なお、車両の各車輪の姿勢角は、左右共同
じ角度に調整することが一般的であることを考慮する
と、請求項1記載の発明において、トー角の目標値の設
定は、詳しくは、例えば請求項3に記載したように、調
整対象の車両の各車輪の中から転動時の横力変動量が最
大の車輪を選択し、調整対象の車両の幅方向に沿って前
記選択した車輪が位置している側に存在する複数の車輪
の転動時の横力変動量の差が最小になるように前記複数
の車輪のトー角の目標値を設定し、該設定したトー角の
目標値に基づいて、前記選択した車輪が位置している側
と反対側に存在する複数の車輪のトー角の目標値を設定
することにより行うことが好ましい。
【0018】これにより、調整対象の車両の幅方向に沿
った両側のうち、少なくとも転動時の横力変動量が調整
対象の車両の走行安定性に及ぼす影響がより大きい側
(転動時の横力変動量が最大の車輪が位置している側)
について、外乱が加わることによる横力変動が走行安定
性に及ぼす影響を最小限に抑制できるので、例えば車両
の両側のうち無作為に選択した側を優先してトー角の目
標値を設定する等の場合と比較して、外乱が加わること
による横力変動が走行安定性に及ぼす影響を効率良くか
つ確実に抑制することができる。
【0019】また、請求項1記載の発明において、トー
角の目標値の設定は、詳しくは、例えば調整対象の車両
の幅方向に沿って同じ側に存在する複数の車輪の横力変
動特性と、前記複数の車輪の現在のトー角での転動時の
横力変動量の大小関係に基づいて、前記複数の車輪のう
ちの少なくとも1つの車輪について現在のトー角に対す
るトー角の目標値の変化方向を決定し、前記複数の車輪
の転動時の横力変動量の差が最小になるように、前記少
なくとも1つの車輪のトー角の目標値を、現在のトー角
に対して前記決定した変化方向へ変化させることによっ
て行うことができる。
【0020】また、調整対象の車両の幅方向に沿って同
じ側に存在する複数の車輪の全てに対してトー角の目標
値を設定するようにしてもよいが、複数の車輪のうちの
一部についてのみ、姿勢角の調整を行うことを前提に目
標値を設定するようにしてもよい。これにより、車輪の
姿勢角の調整作業を省力化できる。また、例えば車両に
よっては一部の車輪(例えば後輪)のトー角を調整でき
ない場合もあるが、このような場合にも、例えば調整対
象の車両の幅方向に沿って同じ側に存在する複数の車輪
のうち、トー角を調整可能な車輪の転動時の横力変動量
が、トー角を調整できない車輪の転動時の横力変動量と
の差が最小となるように、トー角を調整可能な車輪のト
ー角についてのみ目標値を設定すればよい(トー角を調
整できない車輪についてはトー角を現状のままとす
る)。
【0021】ところで、請求項1記載の発明における調
整対象の車両のスタビリティ・ファクタの演算には様々
なデータが必要となり、該データの一部は測定によって
取得可能であるが、中には実測が困難なデータも存在す
る。このため、調整対象の車両のスタビリティ・ファク
タの演算は、例えば車両のスタビリティ・ファクタの演
算に必要なデータを予め記憶手段に複数種記憶してお
き、調整対象の車両に対応するデータを記憶手段から読
み出して用いることで行うことができる。
【0022】車両のスタビリティ・ファクタの演算に必
要なデータとしては、例えば調整対象の車両のタイヤの
特性を表すタイヤ特性データ(具体的には、例えばコー
ナリング・フォース及びセルフ・アライメント・トルク
の荷重依存性、スリップ角依存性、キャンバー角依存性
等)が挙げられる。このタイヤ特性データは調整対象の
車両から実測することも可能であるが、予め記憶手段に
記憶しておくようにしてもよい。
【0023】タイヤ特性データを予め記憶手段に記憶さ
せておく場合には、例えば請求項4に記載したように、
車両のスタビリティ・ファクタの演算に必要なデータと
してのタイヤ特性データを、複数種のタイヤについて予
め記憶手段に各々記憶しておき、調整対象の車両に対応
するタイヤ特性データを記憶手段から読み出して調整対
象の車両のスタビリティ・ファクタの演算に用いるよう
にすればよい。これにより、タイヤ特性データを取得す
るための測定作業を省略することができ、本発明を実施
するために必要な装置の構成を簡素化することが可能と
なる。
【0024】また、車両のスタビリティ・ファクタの演
算に必要なデータとしては調整対象の車両の特性を表す
車両特性データも挙げられ、この車両特性データについ
ても、例えば請求項5に記載したように、車両特性デー
タを複数の車両モデルについて予め記憶手段に各々記憶
しておき、調整対象の車両に対応する車両特性データを
記憶手段から読み出して調整対象の車両のスタビリティ
・ファクタの演算に用いることができる。
【0025】なお、スタビリティ・ファクタの演算方法
としては種々の演算方法があり、スタビリティ・ファク
タの演算に必要な車両特性データの内容も、スタビリテ
ィ・ファクタの演算方法によって相違する。例えば簡易
的な演算方法を採用した場合には、車両質量、車軸から
重心までの距離、ヨー慣性モーメント、オーバオールギ
アレシオ等の比較的少数の車両特性データからスタビリ
ィ・ファクタを演算可能である(但し、演算精度は若干
低下する)。一方、演算精度の高い演算方法を採用した
場合には、比較的多数の車両特性データ(具体的には、
例えばロールステア、ロールキャンバ特性、サスペンシ
ョンのバネ・ダンパー特性、ロール剛性、ステアコンプ
ライアンス特性等)が必要となる。請求項1記載の発明
におけるスタビリティ・ファクタの演算には任意の演算
方法を採用可能であり、請求項5に記載の記憶手段に車
両特性データとして記憶させるデータ項目は、スタビリ
ティ・ファクタの演算に用いる演算方法に応じて定める
ことができる。
【0026】また、特にスタビリティ・ファクタを高精
度に演算する場合に必要となる各種の車両特性データの
正確なデータは、個々の車両を設計した車両メーカが保
持しており、該車両メーカ以外の他者が知り得ない状態
におかれていることが殆どである。このため、調整対象
の車両を設計した車両メーカ以外の他者が本願発明を実
施する(アライメント調整を行う)場合には、例えば請
求項6に記載したように、スタビリティ・ファクタの演
算に必要な車両特性データとして平均的なデータを予め
記憶手段に記憶しておき、調整対象の車両に対応する車
両特性データとして前記平均的なデータを記憶手段から
読み出し、読み出したデータを調整対象の車両のスタビ
リティ・ファクタの演算に用いることが好ましい。請求
項6記載の発明では車両特性データとして平均的なデー
タ(近似データ)を用いているので、スタビリティ・フ
ァクタの演算精度は若干低下するものの、車両メーカ以
外の他者が本願発明を実施する(アライメント調整を行
う)ことが可能となり、アライメント調整の汎用性が向
上する。
【0027】また、スタビリティ・ファクタの演算に必
要なデータのうちの一部は実測可能であることを考慮す
ると、請求項1記載の発明において、例えば請求項7に
記載したように、スタビリティ・ファクタの演算に必要
なデータのうちの一部を調整対象の車両を用いて測定
し、測定したデータを調整対象の車両のスタビリティ・
ファクタの演算に用いることが好ましい。調整対象の車
両の特性は、調整対象の車両の経年変化やその他の要因
により車両設計時(製造直後)と相違している場合もあ
る。請求項7記載の発明では、スタビリティ・ファクタ
の演算に必要なデータ(例えば車両特性データやタイヤ
特性データ)のうちの一部について、調整対象の車両を
用いて測定し、スタビリティ・ファクタの演算に用いる
ので、スタビリティ・ファクタの演算精度を向上させる
ことができる。
【0028】また、請求項1記載の発明において、演算
したスタビリティ・ファクタが基準値未満の場合のトー
角の目標値の修正は、例えば請求項8に記載したよう
に、調整対象の車両の幅方向に沿って同じ側に存在する
複数の車輪の現在のトー角の差の絶対値に対し、修正後
の前記複数の車輪のトー角の差の絶対値が増大するよう
に行うことができる。
【0029】請求項9記載の発明に係る車両のアライメ
ント調整支援装置は、調整対象の車両の各車輪の荷重、
キャンバー角及びトー角を測定する測定手段と、調整対
象の車両の各車輪が転動して段差を乗り越す際の横力変
動量を求めるためのデータ、及び、調整対象の車両の走
行安定性を表すスタビリティ・ファクタの演算に必要な
データを記憶する記憶手段と、前記測定手段による測定
結果と前記記憶手段に記憶されているデータに基づい
て、調整対象の車両の各車輪が転動して段差を乗り越す
際の横力変動量、及び調整対象の車両のスタビリティ・
ファクタを演算する演算手段と、前記演算手段による演
算結果を出力する出力手段と、を含んで構成されてい
る。
【0030】請求項9記載の発明では、調整対象の車両
の各車輪が転動して段差を乗り越す際の横力変動量を求
めるためのデータ、及び調整対象の車両のスタビリティ
・ファクタの演算に必要なデータが記憶手段に記憶され
ており、調整対象の車両の各車輪の荷重、キャンバー角
及びトー角が測定手段によって測定され、演算手段は、
測定手段による測定結果と記憶手段に記憶されているデ
ータに基づいて、調整対象の車両の各車輪が転動して段
差を乗り越す際の横力変動量、及び調整対象の車両のス
タビリティ・ファクタを演算し、演算手段による演算結
果が出力手段によって出力される。
【0031】従って、調整対象の車両について測定手段
による測定が行われると、調整対象の車両の各車輪が転
動して段差を乗り越す際の横力変動量及び調整対象の車
両のスタビリティ・ファクタが演算・出力されることに
なるので、作業者は、出力された横力変動量及びスタビ
リティ・ファクタを参照することで、各車輪のトー角等
の姿勢角をどのように調整すべきかを容易に認識するこ
とができ、請求項1記載の発明に係るアライメント調整
方法を容易に実施することができる。
【0032】従って、請求項9記載の発明によれば、タ
イヤの特性の相違に拘らず、車両の走行安定性等を確保
できるようにアライメントを調整することが可能とな
る。また、測定手段としては既存のアライメント・テス
タ等を利用可能であるので、横力変動特性を測定可能に
測定手段を構成する場合と比較して、装置構成の簡素化
も実現できる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態の一例を詳細に説明する。図1には、本発明に係
る車両のアライメント調整方法の実施にあたって利用可
能なホイールアライメント測定装置50が示されてい
る。ホイールアライメント測定装置50は、主昇降装置
10によって昇降される載置台12と、副昇降装置14
により載置台12を基準として昇降される車両受け台1
6とを備えている。載置台12には、車両20の各車輪
を回転駆動させるための4つのタイヤ駆動装置18が取
り付けられている(図4も参照)。
【0034】図2に示すように、タイヤ駆動装置18
は、所定間隔隔てて互いに平行に配置された一対の主フ
レーム22Aと、一対の主フレーム22Aの各々の両端
部の間に掛け渡された側板22Bと、から成るフレーム
22を備えている。フレーム22は、主フレーム22A
の長手方向が車両20の前後方向に沿うように配置され
ている。一対の主フレーム22Aの間には、各々側板2
2Bの近傍に相当する位置に一対の駆動軸24が掛け渡
されており、この一対の駆動軸24は回転可能に主フレ
ーム22Aに軸支されている。
【0035】駆動軸24の一端側には各々歯車26が取
付けられている。この歯車26は、図示しない駆動力伝
達機構を介し、制御装置80(図4参照)によって駆動
が制御されるモータ(図示省略)の回転軸に連結されて
いる。従って、前記モータが駆動されると、モータで発
生した駆動力が駆動力伝達機構、歯車26を介して駆動
軸24に伝達され、一対の駆動軸24が各々回転される
ようになっている。
【0036】一対の駆動軸24には、各々2個のスプロ
ケット28が、他方の駆動軸24上のスプロケット28
と相互に対向する位置に取付けられている。一対の駆動
軸24間には無端のチェーン30が2組掛け渡されてい
る。この2組の無端のチェーン30は、対向する一対の
スプロケット28に各々巻掛けられている(図3も参
照)。これにより、駆動軸24が回転するとスプロケッ
ト28を介して2組のチェーン30が各々回転される。
【0037】またタイヤ駆動装置18は、長さがタイヤ
の幅を十分に越える長さでかつタイヤのトレッドパター
ンの溝に入り込まない程度の幅の細長いアルミニウム製
の板片32を多数備えている。多数の板片32は、各々
側板22Bと平行でかつチェーン30の長手方向に沿っ
て連続的に配置されており、両端部が図示しない連結材
を介して2組のチェーン30に各々取付けられている。
【0038】従って図2及び図3に示すように、チェー
ン30及び連結材により、板片32が板片32の幅方向
に沿って多数連結されて無限軌道34が構成されてお
り、この無限軌道34は、板片32の長手方向が車両2
0の左右方向を向くように一対の駆動軸24の間に掛け
渡されている。一対の駆動軸24はフレーム22に支持
されているので、無限軌道34は循環駆動可能にフレー
ム22に支持されている。なお以下では、タイヤ駆動装
置18を上方から見て、複数の板片32の上面によって
形成される面をタイヤ駆動面36と称する。
【0039】また、図3に示すように無限軌道34の外
面には、所定高さの平板状の突起38が、無限軌道34
の循環方向に沿って所定間隔毎に複数形成されている。
各突起38は、無限軌道34の循環方向に沿って隣合う
2個の板片32に亘って連続するように、無限軌道34
の外側に相当する前記2個の板片32の上面に形成され
ている。また各突起38の無限軌道34の幅方向(循環
軸方向)に沿った長さは、タイヤの幅よりも長くされて
いる。
【0040】無限軌道34が循環駆動されると各板片3
2は循環方向に沿って移動するが、各々突起38が形成
された隣合う2個の板片32が、タイヤ駆動面36に相
当する位置に各々移動された状態では、2個の板片32
の上面が互いに面一となるので、該2個の板片32の上
面に形成された2個の突起38の上面も面一になると共
に隣接した状態となり、無限軌道34の循環方向に沿っ
て所定長さ(タイヤ駆動面36に載置される車輪のタイ
ヤの接地部分の循環方向に沿った長さの略2〜3倍の長
さ)に亘って連続する1個の突起部が形成される。
【0041】上記構成により、タイヤ駆動面36に車両
20の車輪が載置された状態で無限軌道34が循環駆動
されると、車輪(タイヤ)はタイヤ駆動面36上を転動
され、板片32の上面から段差を通過して突起部の上面
に乗り上げ、次に突起部の上面から段差を通過して板片
32の上面に乗り下げることが繰り返されることにな
る。
【0042】また、タイヤ駆動装置18には車両20の
車輪に加わる荷重を検出する荷重センサと、無限軌道3
4が循環駆動され車両20の車輪がタイヤ駆動面36上
を転動している状態で、無限軌道34に作用する循環軸
方向の力(横力)を検出する横力センサが設けられてい
る(何れも図示省略)。これらのセンサは制御装置80
に接続されており(図4参照)、測定結果を制御装置8
0へ出力する。
【0043】更に、タイヤ駆動装置18は旋回装置(図
示省略)により、載置台12に対して鉛直軸回りに旋回
可能とされている。旋回装置も制御装置80に接続され
ており、制御装置80からの指示に応じてタイヤ駆動装
置18を鉛直軸回りに旋回させる。このタイヤ駆動装置
18の旋回に伴い、タイヤ駆動装置18のタイヤ駆動面
上に載置されているタイヤの回転方向と、タイヤ駆動装
置18の無限軌道34の循環方向とが相対的に変化し、
車輪のトー角を変化させたに等しい状態を得ることがで
きる。
【0044】また、載置台12には、タイヤ駆動装置1
8を挟んで車両前後方向前側及び後側に車輪止め板64
が一対配設されており、この一対の車輪止め板64に対
応して駆動機構が各々設けられている。一対の車輪止め
板64は、収納状態では載置台12の上面と各々略面一
とされており、車両前後方向に沿ってタイヤ駆動装置1
8に近い側の端部が回動可能に載置台12に軸支されて
いる。
【0045】さらに、載置台12の側部には、4つのタ
イヤ駆動装置18に対応して4箇所に、ロッド74が取
り付けられている。ロッド74は、その一端側に所定の
軸を中心として回動自在に支持されていると共に、伸縮
自在に構成されている。ロッド74の他端側には距離セ
ンサ76が取り付けられている。距離センサ76は、例
えば対象物にレーザ光を射出し、対象物で反射されたレ
ーザ光を受光することにより対象物との距離を検出する
非接触型のセンサで構成される。
【0046】ロッド74は、タイヤ駆動装置18上に車
輪が載置された状態で、距離センサ76が車輪の中心に
対向するように、手動により回動及び伸縮される。これ
により、距離センサ76がタイヤ駆動装置18上に載置
されている車輪との距離を検出可能な状態となる。距離
センサ76は、制御装置80に接続されており、車輪と
の距離の検出結果を制御装置80へ出力する。
【0047】なお、図示は省略するが、ホイールアライ
メント測定装置50にはキャンバー角を測定するキャン
バー角測定装置も取り付けられている。キャンバー角測
定装置は、各車輪のキャンバー角を測定し、測定結果を
制御装置80へ出力する。
【0048】図4に示す制御装置80は、例えばCP
U、RAM、ROM、入出力ポートがバスを介して互い
に接続されて構成されており(図示省略)、CRT等か
ら成り任意の情報を表示可能な表示装置82と、作業者
が情報を入力するためのキーボード等の入力装置84
と、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)86が接続
されている。制御装置80は、ホイールアライメント測
定装置50を構成する各装置の動作を制御すると共に、
タイヤ駆動装置18等から入力されたデータ(荷重や横
力等)をHDD86に記憶させる。
【0049】また、HDD86には、後述するスタビリ
ティ・ファクタFstabの演算に必要なデータとして、タ
イヤの特性を表すタイヤ特性データ、車両の特性を表す
車両特性データ、及びスタビリティ・ファクタの演算に
用いる演算式(車両の運動方程式を含む)が予め各々記
憶されている。
【0050】タイヤ特性データとしては、例えば車輪荷
重W、キャンバー角(Camber Angle)CA及びスリップ
角(Slip Angle)SAと、コーナリング・フォースCF
及びセルフ・アライニング・トルク(Self Aligning To
rque)SATとの関係を表すデータ(次式参照)が挙げ
られる。 CF=f(W,CA,SA) SAT=g(W,CA,SA) 本実施形態において、HDD86には複数種のタイヤの
タイヤ特性データが各々記憶されており、HDD86は
請求項4に記載の記憶手段に対応している。なお、タイ
ヤ特性データはHDD86に予め記憶しておくことに代
えて、調整対象の車両から実測することも可能である。
【0051】また、車両特性データについては、スタビ
リティ・ファクタの演算方法としてどのような演算方法
を採用するかに応じて内容が相違するが、例えば簡易的
な演算方法を採用した場合には、車両に微小横G(例え
ば0.05G)が加わったときの荷重変化量ΔW、キャ
ンバー角変化量ΔCA、トー角変化量ΔToe、車両質量
m、ボディスリップ角β、フロント軸から重心までの距
離LF、リア軸から重心までの距離LR、ヨー慣性モーメ
ントI、オーバーオールギアレシオλ等のデータを用い
ることができる。本実施形態において、HDD86には
複数の車両モデルについて車両特性データが各々記憶さ
れており、HDD86は請求項5に記載の記憶手段にも
対応している。
【0052】次に本実施形態の作用として、調整対象の
車両20のホイールアライメント調整作業について、図
5(ホイールアライメント測定装置50の制御装置80
で実行されるホイールアライメント調整処理のフローチ
ャート)を参照しながら説明する。なお、図5に示すホ
イールアライメント調整処理は、調整対象の車両20が
ホイールアライメント測定装置50の載置台12上に載
置された状態で実行される。また、本実施形態では車両
の各車輪のうち、右前輪に「FR」、右後輪に「R
R」、左前輪に「FL」、左後輪に「RL」の符号を付
し、必要に応じて各車輪を区別する。
【0053】ステップ100では、HDD86に記憶さ
れているデータの中から調整対象の車両20に対応する
データ(タイヤ特性データ及び車両特性データ)を特定
するために、表示装置82にメッセージを表示する等に
より、調整対象の車両に関するデータ(例えば調整対象
の車両20の車種や装着されているタイヤの種類等)を
入力するよう作業者に要請し、作業者により調整対象の
車両20に関する情報が入力装置84を介して入力され
ると、作業者によって入力されたデータをHDD86等
に記憶させる。また、次のステップ102では、調整対
象の車両の現在の状態、すなわち各車輪の荷重WFR,W
FL,WRR,WRL、キャンバー角CAFR,CAFL,C
RR,CARL及びトー角ToeFR,ToeFL,ToeRR,Toe
RLを各々測定し、測定結果をHDD86等に記憶させ
る。
【0054】次のステップ104以降では調整対象の車
両20の各車輪について横力変動特性の測定を行う。す
なわち、まずステップ104では測定対象の車輪を選択
し、測定対象の車輪以外の車輪が車両前後方向に移動し
ないように、対応する車輪止め板64を回動させてロッ
クした後に、測定対象の車輪に対応するタイヤ駆動装置
18を循環駆動する。これにより、測定対象の車輪がタ
イヤ駆動面36上を転動し、測定対象の基準車輪が板片
32の上面から突起部の上面に乗り上げ、次に突起部の
上面から板片32の上面に乗り下げることが繰り返され
ることになる。
【0055】この突起部への乗り上げ及び突起部からの
乗り下げにより、測定対象の車輪のタイヤに発生する横
力(循環軸方向の力)が変動し、この横力の変動が横力
センサによって検出される。ステップ106では横力セ
ンサによって検出された横力変動量Fy(横力変動量の
最大値)を取り込み、測定対象の車輪の現在のトー角と
対応付けてHDD86に記憶させる。
【0056】ステップ108では測定対象の車輪につい
ての横力変動特性の測定が終了したか否か判定する。判
定が否定された場合にはステップ110へ移行し、測定
対象の車輪に対応するタイヤ駆動装置18の循環駆動を
一旦停止させ、旋回装置を作動させることでタイヤ駆動
装置18を鉛直軸回りに所定角度旋回させ、測定対象の
車輪の見掛け上のトー角(タイヤ駆動装置18から見た
トー角)を所定角度変化させた後にステップ104に戻
る。これにより、ステップ108の判定が肯定される迄
の間、ステップ104〜ステップ110が繰り返される
ことになり、測定対象の車輪におけるトー角と車輪転動
時の横力変動量との関係を表す横力変動特性が得られる
ことになる。
【0057】単一の車輪についての横力変動特性の測定
が終了すると、ステップ108の判定が肯定されてステ
ップ112へ移行し、調整対象の車両20の全ての車輪
について横力変動特性を測定したか否か判定する。ステ
ップ112の判定が否定された場合にはステップ104
に戻り、測定対象の車輪を切替えてステップ104〜ス
テップ110が再度繰り返される。これにより、例とし
て図5にも示すように、調整対象の車両20の全ての車
輪について、横力変動特性を各々得ることができる。こ
のように、ステップ104〜ステップ112は「各車輪
について横力変動特性を取得する」ステップに対応して
いる。
【0058】次のステップ114では、ステップ102
で測定した調整対象の車両20の各車輪の現在のトー
角、及びステップ104〜ステップ112で測定した調
整対象の車両20の各車輪の横力変動特性に基づいて、
調整対象の車両20の現在の状態で横力変動量が最大の
車輪を選択する。ステップ116では、ステップ114
で選択した車輪が位置している側(右側又は左側)の前
後輪の現在のトー角及び横力変動特性を各々取り込み、
後輪の横力変動量が前輪の横力変動量に等しくなるよう
に後輪のトー角を変化させる場合のトー角の変化方向を
判定し、次のステップ118では、ステップ116で判
定した後輪のトー角の変化方向が、前輪のトー角ToeFX
と後輪のトー角ToeRXの差の絶対値(|ToeFX−Toe
RX|:xは左(L)及び右(R)の何れか(横力変動量
が最大の車輪が位置している側)を表す)を増大させる
方向か否か判定する。
【0059】車両走行時(主に直進走行時)の車両安定
性を表すスタビリティ・ファクタFstabは、前輪のトー
角ToeFXと後輪のトー角ToeRXの差の絶対値(|ToeFX
−ToeRX|)と高い相関があり、|ToeFX−ToeRX|が増
大するに従ってスタビリティ・ファクタFstabの値が高
くなり、|ToeFX−ToeRX|が減少するに従ってスタビリ
ティ・ファクタFstabの値が低くなる傾向にある。従っ
て、スタビリティ・ファクタFstabを向上させ、外乱に
伴う横力変動が走行安定性に及ぼす影響を小さくするに
は、後輪の横力変動量が前輪の横力変動量に等しくな
り、かつ|ToeFX−ToeRX|が増大するようにトー角を変
更することが有効である。
【0060】このため、ステップ118の判定が肯定さ
れた場合にはステップ120へ移行し、例えば図7
(A)に(1)として示すように、後輪の横力変動量が前
輪の現状の横力変動量(前輪の現状のトー角での横力変
動量)に等しくなるように後輪の目標トー角を設定する
(前輪のトー角は現状のままとする)。これに伴って|
ToeFX−ToeRX|も増大するので、スタビリティ・ファ
クタFstabが向上する可能性が高くなる。また、この場
合、スタビリティ・ファクタFstabとして良好な値が得
られれば前輪のトー角の調整も不要となる。なお、図7
は便宜上、横力変動量が最大の車輪が位置している側が
右(前輪がFR、後輪がRR)であった場合を示してい
る。
【0061】また、例えば図7(A)に(2)として示す
ように、後輪の横力変動量が前輪の現状の横力変動量を
越えて変化するように(前後輪の横力変動量の大小関係
が逆転するように)後輪の目標トー角を設定すると共
に、前輪の横力変動量が、後輪のトー角を目標トー角に
調整した場合の後輪の横力変動量に等しくなるように前
輪の目標トー角を設定するようにしてもよい。図6及び
図7からも明らかなように、トー角の変化に対する横力
変動量の変化の傾きは前輪と後輪とで相違していること
が一般的であるので、上記のように目標トー角を設定す
ることで|ToeFX−ToeRX|が図7(A)の(1)の場合よ
りも大きくなり、スタビリティ・ファクタFstabが向上
する可能性がより高くなる。
【0062】また、調整対象の車両20のスタビリティ
・ファクタFstabを大きく変化させたくない等の場合に
は、例えば図7(A)に(3)として示すように、後輪の
横力変動量が前輪の現状の横力変動量に近づくと共に、
前輪の現状の横力変動量には達しないように後輪の目標
トー角を設定すると共に、前輪の横力変動量が、後輪の
トー角を目標トー角に調整した場合の後輪の横力変動量
に等しくなるように前輪の目標トー角を設定する(前輪
のトー角の変化方向が図7(A)の(2)の場合と逆にな
る)ようにしてもよい。この場合、|ToeFX−ToeRX|の
増大量が図7(A)の(1)及び(2)の場合よりも小さく
なるので、スタビリティ・ファクタFstabの変化が抑制
される可能性が高くなる。
【0063】ステップ120における目標トー角の設定
には、図7(A)の(1)〜(3)の何れの設定方法を採用
してもよく、作業者が事前に選択した設定方法を採用す
るようにしてもよいし、調整対象の車両20の現状のス
タビリティ・ファクタFstabを演算し、演算結果に応じ
て設定方法を選択するようにしてもよいし、調整対象の
車両20の各車輪の現状のトー角や横力変動特性等に基
づいて設定方法を選択するようにしてもよい。
【0064】一方、ステップ118の判定が否定された
場合にはステップ122へ移行し、例えば図7(B)に
(1)として示すように、前輪の横力変動量が後輪の現状
の横力変動量(後輪の現状のトー角での横力変動量)に
等しくなるように前輪の目標トー角を設定する(後輪の
トー角は現状のままとする)。これにより、|ToeFX
ToeRX|は若干減少するのものの減少量を小さくするこ
とができるので、外乱に伴う横力変動が走行安定性に及
ぼす影響を小さくしつつ、スタビリティ・ファクタFst
abの低下が抑制される可能性が高くなる。また、この場
合、スタビリティ・ファクタFstabとして良好な値が得
られれば後輪のトー角の調整も不要となる。
【0065】また、例えば図7(B)に(2)として示す
ように、前輪の横力変動量が後輪の現状の横力変動量を
越えて変化するように(前後輪の横力変動量の大小関係
が逆転するように)前輪の目標トー角を設定すると共
に、後輪の横力変動量が、前輪のトー角を目標トー角に
調整した場合の前輪の横力変動量に等しくなるように後
輪の目標トー角を設定するようにしてもよい。上記のよ
うに目標トー角を設定することで|ToeFX−ToeRX|が図
7(B)の(1)の場合よりも大きくなり、スタビリティ
・ファクタFstabが図7(B)の(1)の場合よりも向上
する可能性が高くなる。
【0066】また、後述するようにスタビリティ・ファ
クタFstabが過大になることは望ましくなく、調整対象
の車両20のスタビリティ・ファクタFstabを低下させ
たい等の場合には、例えば図7(B)に(3)として示す
ように、前輪の横力変動量が後輪の現状の横力変動量に
近づくと共に、後輪の現状の横力変動量には達しないよ
うに前輪の目標トー角を設定すると共に、後輪の横力変
動量が、前輪のトー角を目標トー角に調整した場合の前
輪の横力変動量に等しくなるように後輪の目標トー角を
設定する(後輪のトー角の変化方向が図7(B)の(2)
の場合と逆になる)ようにしてもよい。この場合、|To
eFX−ToeRX|の減少量が図7(B)の(1)及び(2)の場
合よりも大きくなり、スタビリティ・ファクタFstabが
過大になることが抑制される可能性が高くなる。
【0067】ステップ122における目標トー角の設定
についても、図7(B)の(1)〜(3)の何れの設定方法
を採用してもよく、作業者が事前に選択した設定方法を
採用するようにしてもよいし、調整対象の車両20の現
状のスタビリティ・ファクタFstabを演算し、演算結果
に応じて設定方法を選択するようにしてもよいし、調整
対象の車両20の各車輪の現状のトー角や横力変動特性
等に基づいて設定方法を選択するようにしてもよい。な
お、ステップ120及びステップ122において、横力
変動量が最大の車輪が位置している側と反対側の各車輪
の目標トー角については左右等しい値が設定される(す
なわち、ToeFR=ToeFL、ToeRR=ToeRL)。
【0068】ステップ120又はステップ122で目標
トー角を設定するとステップ124へ移行し、先に説明
したステップ100において、作業者により入力装置8
4を介して入力された調整対象の車両20に関する情報
に基づいて、調整対象の車両20に対応するタイヤ特性
データ及び車両特性データをHDD86から読み出し、
調整対象の車両20のトー角を目標トー角に調整したと
きの調整対象の車両20のスタビリティ・ファクタFsta
bを演算する。
【0069】スタビリティ・ファクタFstabの演算には
種々の演算方法があるが、以下では比較的簡易的な演算
方法を例に説明する。まず、調整対象の車両20の直進
走行時の前軸(フロント)の操舵角αに対するコーナリ
ング・フォースCFFと、調整対象の車両20の直進走
行時の後軸(リア)の操舵角αに対するコーナリング・
フォースCFRを求める。 CFF=f(WFL,CAFL,ToeFL+α)+(WFR,CAFR,ToeFR+α)…(1) CFR=f(WRL,CARL,ToeRL+α)+(WRR,CARR,ToeRR+α)…(2)
【0070】車両の直進走行時はCFF=0,CFR=0
となるので、これを(1),(2)式に代入すると共に、
(1),(2)式のトー角ToeFR,ToeFL,ToeRR,ToeRL
として各車輪の目標トー角を各々代入し、(1)式からフ
ロントスリップ角αFを演算し、(2)式からリアスリッ
プ角αRを演算する。これにより、対地SAとして、以
下のαFL,αFR,αRL,αRRが得られる。 αFL=αF+ToeFL αFR=αF+ToeFR αRL=αR+ToeRL αRR=αR+ToeRR なお、(1),(2)式に代入する荷重W,キャンバー角C
Aとしては、ステップ102で調整対象の車両20につ
いて測定することで得られたデータを用いることができ
るが、これに代えて、荷重W,キャンバー角CAも車両
特性データとしてHDD86に予め記憶しておき、これ
を読み出して用いるようにしてもよい。
【0071】次に、調整対象の車両20に微小横G(=
0.05g)が加わっている状態での操舵角αに対する
フロント及びリアのコーナリング・フォースCFF,C
Rを、以下の(3),(4)式によって演算する。なお、
フロント及びリアの荷重変化量としてΔWF,ΔWRを、
フロント及びリアのキャンバー角変化量としてΔC
F,ΔCARを、フロント及びリアのトー角変化量とし
てΔToeF,ΔToeRを用いる。 CFF=f(WFL+ΔWF,CAFL+ΔCAF,ToeFL+ΔToeF+α) +(WFR−ΔWF,CAFR−ΔCAF,ToeFR−ΔToeF+α)…(3) CFR=f(WRL+ΔWR,CARL+ΔCAR,ToeRL+ΔToeR+α) +(WRR−ΔWR,CARR−ΔCAR,ToeRR−ΔToeR+α)…(4)
【0072】上記の(3),(4)式に以下の(5),(6)式
を代入する。 CFF=0.05×(WFL+WFR) …(5) CFR=0.05×(WRL+WRR) …(6) そして、(4)式から微小横Gのときのフロントスリップ
角αF及びリアスリップ角αRを求める。これにより、対
地SAとして、以下のαFL,αFR,αRL,αR Rが求めら
れる。 αFL=αF+ToeFL+ΔToeF αFR=αF+ToeFR−ΔToeF αRL=αR+ToeRL+ΔToeR αRR=αR+ToeRR−ΔToeR
【0073】直進走行時(横G=0)を基準として微小
横G(=0.05G)が加わった状態でのスリップ角α
F,αRの増分により、(5),(6)式の横力変動を除すこ
とで、フロント及びリアのそれぞれに対する等価コーナ
リングパワーCPF,CPRを求めることができる。この
等価コーナリングパワーCPF,CPRを、以下の(7)式
の運動方程式に代入して、ヨーレートゲインγを演算す
る。
【0074】
【数1】
【0075】なお、このときの各変数は以下の通りであ
る。 m:車両質量 V:速度 FF:フロント・コーナリング・フォース FR:リア・コーナリング・フォース β:ボディスリップ角 I:ヨー慣性モーメント LF:フロント軸から重心までの距離 LR:リア軸から重心までの距離 θ:ハンドル角 λ:オーバーオールギアレ
シオ ヨーレートゲインγを以下の(8)式に代入することで、
スタビリティ・ファクタFstabを求めることができる。
【0076】
【数2】
【0077】なお、上述したスタビリティ・ファクタF
stabの演算方法は単なる一例であり、他の演算方法を用
いて演算するようにしてもよい。また、スタビリティ・
ファクタFstabに代えて、直進走行時の車両安定性を表
す他のパラメータを用いてもよい。
【0078】上記のようにして、調整対象の車両20の
トー角を目標トー角に調整したときの調整対象の車両2
0のスタビリティ・ファクタFstabが求まると、次のス
テップ126でスタビリティ・ファクタFstabを基準値
と比較し、スタビリティ・ファクタFstabが適正な値か
否か判定する。この基準値としては、例えば調整対象の
車両20のアライメントを車両メーカが定めた値に調整
した状態でのスタビリティ・ファクタFstabの値を用い
ることができる。また、調整対象の車両20の現在の状
態(アライメント調整前の状態)でのスタビリティ・フ
ァクタFstabを事前に演算して用いてもよい。
【0079】また、スタビリティ・ファクタFstabが基
準値以上であれば、調整対象の車両20のトー角を目標
トー角に調整することで、直進走行時に十分な車両安定
性が得られると判断できるが、スタビリティ・ファクタ
Fstabが過大になると直進走行時の車両安定性が更に向
上する代わりに、調整対象の車両20の他の走行性能
(例えば直進走行時以外の走行状況での走行性能)に悪
影響を及ぼす可能性がある。このため、ステップ126
ではスタビリティ・ファクタFstabを基準値と比較して
基準値以上か否かを判断すると共に、スタビリティ・フ
ァクタFstabを上限値(例えば基準値の105%程度の
値)と比較して上限値以下か否かを判断することで、ス
タビリティ・ファクタFstabが適正な値か否か判定して
いる。
【0080】ステップ126でスタビリティ・ファクタ
Fstabが適正な値であると判定された場合はステップ1
46へ移行するが、スタビリティ・ファクタFstabが不
足している(基準値未満)と判定された場合にはステッ
プ128へ移行し、図7(C)に「スタビリティ・ファ
クタ過小の場合」と表記して示すように、前後輪の目標
トー角が、横力変動量が等しい状態を維持したまま|To
eFX−ToeRX|が増大する方向へ平行移動するように、前
後輪の目標トー角を変更設定する。これにより、スタビ
リティ・ファクタFstabが増大して適正な値になる可能
性が高くなることになる。
【0081】また、ステップ126でスタビリティ・フ
ァクタFstabが過大(上限値よりも大きい)と判定され
た場合にはステップ130へ移行し、図7(C)に「ス
タビリティ・ファクタ過大の場合」と表記して示すよう
に、前後輪の目標トー角が、横力変動量が等しい状態を
維持したまま|ToeFX−ToeRX|が減少する方向へ平行移
動するように、前後輪の目標トー角を変更設定する。こ
れにより、スタビリティ・ファクタFstabが減少して適
正な値になる可能性が高くなることになる。
【0082】ステップ128又はステップ130で前後
輪の目標トー角を変更設定するとステップ132へ移行
し、先に説明したステップ124と同様に、調整対象の
車両20のトー角を変更設定後の目標トー角に調整した
ときの調整対象の車両20のスタビリティ・ファクタFs
tabを演算する。そしてステップ134において、先に
説明したステップ126と同様にしてスタビリティ・フ
ァクタFstabが適正な値か否かを判定する。
【0083】なお、ステップ128,130における目
標トー角の変更量としては任意の値を設定可能である
が、例えば目標トー角の変更量として比較的小さい値を
用い、調整可能なトー角の限界値まで目標トー角を徐々
に変更する(平行移動させる)と共に、目標トー角を変
更する毎に、スタビリティ・ファクタFstabの演算、ス
タビリティ・ファクタFstabが適正な値になったか否か
の判定を行うことが好ましい。この態様においては、ス
タビリティ・ファクタFstabが適正な値になった場合に
はステップ146へ移行し、目標トー角が調整可能なト
ー角の限界値に達したにも拘らずスタビリティ・ファク
タFstabが適正な値にならなかった場合にのみ、ステッ
プ132へ移行するようにすればよい。
【0084】ステップ134でスタビリティ・ファクタ
Fstabが適正な値であると判定された場合はステップ1
46へ移行するが、ステップ134の判定においてスタ
ビリティ・ファクタFstabが適正な値でなかった場合に
は、前後輪の横力変動量が等しくなるように目標トー角
を設定している状態ではスタビリティ・ファクタFstab
を適正な値にすることは困難と判断できる。
【0085】このため、ステップ134でスタビリティ
・ファクタFstabが不足している(基準値未満)と判定
された場合にはステップ136へ移行し、「前輪及び後
輪の横力変動量を等しくする」という制限を外して、|
ToeFX−ToeRX|が増大する方向へ前輪及び後輪の少な
くとも一方の目標トー角を変更設定する。これにより、
スタビリティ・ファクタFstabが増大して適正な値にな
る可能性が高くなる。
【0086】また、ステップ134でスタビリティ・フ
ァクタFstabが過大(上限値よりも大きい)と判定され
た場合にはステップ138へ移行し、上記と同様に「前
輪及び後輪の横力変動量を等しくする」という制限を外
して、|ToeFX−ToeRX|が減少する方向へ前輪及び後輪
の少なくとも一方の目標トー角を変更設定する。これに
より、スタビリティ・ファクタFstabが減少して適正な
値になる可能性が高くなる。
【0087】ステップ136又はステップ138で前後
輪の目標トー角を変更設定するとステップ140へ移行
し、先に説明したステップ124,132と同様に、調
整対象の車両20のトー角を変更設定後の目標トー角に
調整したときの調整対象の車両20のスタビリティ・フ
ァクタFstabを演算する。そしてステップ142におい
て、先に説明したステップ126,134と同様にして
スタビリティ・ファクタFstabが適正な値か否かを判定
する。
【0088】なお、ステップ136,138では「前輪
及び後輪の横力変動量を等しくする」という制限を外し
ているので、前輪の横力変動量と後輪の横力変動量が相
違することで、ステップ136,138を実行する前に
比べて外乱に伴う横力変動が走行安定性に及ぼす影響が
増大することになる。このため、ステップ136,13
8における目標トー角の変更量は比較的小さい値である
ことが望ましく、調整可能なトー角の限界値まで前輪及
び後輪の少なくとも一方の目標トー角を徐々に変更する
と共に、目標トー角を変更する毎に、スタビリティ・フ
ァクタFstabの演算、スタビリティ・ファクタFstabが
適正な値になったか否かの判定を行い、スタビリティ・
ファクタFstabが適正な値になった場合にはステップ1
46へ移行し、目標トー角が調整可能なトー角の限界値
に達したにも拘らずスタビリティ・ファクタFstabが適
正な値にならなかった場合にのみ、ステップ142へ移
行するようにすることが好ましい。
【0089】また、図6からも明らかなように、トー角
の変化に対する横力変動量の変化の傾きは前輪よりも後
輪の方が小さいので、トー角の変化に対する|ToeFX
ToeR X|の変化の傾き(スタビリティ・ファクタFstab
の変化度合い)は逆に前輪よりも後輪の方が大きい。こ
のため、ステップ136,138における目標トー角の
変更設定に際しては、前輪よりも後輪の目標トー角を優
先的に変更設定することが望ましい。これにより、スタ
ビリティ・ファクタFstabが適正な値となる目標トー角
が短時間で得られる可能性が高くなる。
【0090】ステップ142でスタビリティ・ファクタ
Fstabが適正な値であると判定された場合はステップ1
46へ移行する。また、極めて稀なケースではあるが、
上述した一連の目標トー角の変更設定処理を経てもスタ
ビリティ・ファクタFstabが適正範囲内(基準値以上か
つ上限値以下の範囲内)にならず、ステップ142でス
タビリティ・ファクタFstabが適正な値でないと判定さ
れる場合もある。このような場合にはステップ144へ
移行し、前後輪の目標トー角として、上述した一連の目
標トー角の変更設定処理において、スタビリティ・ファ
クタFstabとして適正範囲に最も近い値が得られたとき
の前後輪の目標トー角を設定し、ステップ146へ移行
する。
【0091】そしてステップ146では、上述した処理
を経て最終的に得られた前後輪の目標トー角を表示装置
82に表示し、ホイールアライメント調整処理を終了す
る。表示装置82に調整対象の車両20の前後輪の目標
トー角が表示されると、作業者は、表示された目標トー
角に一致するように調整対象の車両20の前後輪のトー
角を調整する。これにより、直進走行時に十分は車両安
定性が得られ、かつ外乱に伴う横力変動が走行安定性に
及ぼす影響が小さくなるように、調整対象の車両20の
前後輪のアライメントが調整されることになる。
【0092】なお、上記ではスタビリティ・ファクタFs
tabの演算方法の一例として簡易的な演算方法を説明し
たが、これに限定されるものではなく、例えば複数の車
両モデルの車両特性データとして、例えばロールステ
ア、ロールキャンバ特性、サスペンションのバネ・ダン
パー特性、ロール剛性、ステアコンプライアンス特性等
のデータを予めHDD86(記憶手段)に各々記憶して
おき、調整対象の車両20に対応する車両モデルの車両
特性データとして上記のようなデータを記憶手段から読
み出すと共に、調整対象の車両20に対応するタイヤ特
性データを記憶手段から読み出し、これらのデータを用
い、公知の機構解析ソフトウェア(例えばADAMS
等)で採用されているアルゴリズムを利用してスタビリ
ティ・ファクタFstabを演算するようにしてもよい。こ
れにより、スタビリティ・ファクタFstabを高精度に演
算することができる。
【0093】また、上記のように機構解析ソフトウェア
で採用されているアルゴリズムを利用してスタビリティ
・ファクタFstabを演算する場合に必要となる各種の車
両特性データの正確な値は、個々の車両を設計した車両
メーカが保持しており、該車両メーカ以外の他者が知り
得ない状態におかれていることが殆どである。このた
め、演算に必要な車両特性データの正確な値が入手困難
である場合には、車両特性データとして平均的なデータ
(例えば多数種の車種を構造・機構が類似している車種
毎にグループ分けしたときの個々のグループ内の平均的
なデータ)を予め記憶手段に記憶しておき、このデータ
を記憶手段から読み出してスタビリティ・ファクタFst
abの演算に用いるようにしてもよい。この場合、スタビ
リティ・ファクタFstabの演算精度は若干低下するもの
の、車両特性データの正確な値が入手困難な場合にも、
比較的精度良くスタビリティ・ファクタFstabを演算す
ることが可能となり、本発明に係るアライメント調整方
法の汎用性の向上、調整精度の向上を実現できる。
【0094】また、上記では調整対象の車両20の車輪
が載置されたタイヤ駆動装置18を旋回装置によって鉛
直軸回りに所定角度ずつ旋回させながら、タイヤ駆動装
置18を循環駆動させて横力変動量を測定することを繰
り返すことで、調整対象の車両20の各車輪の横力変動
特性(車輪のトー角と車輪転動時の横力変動量との関
係)を測定する例を説明したが、これに限定されるもの
ではなく、例えば複数種のタイヤについて、荷重W及び
キャンバ角CAと横力変動特性との関係を予め測定し、
横力変動特性データベースとして記憶手段に各々記憶し
ておき、調整対象の車両に装着されているタイヤの種
類、荷重W及びキャンバ角CAに対応する横力変動特性
を記憶手段から読み出して用いるようにしてもよい。
【0095】上記のように横力変動特性を予め測定して
データベースとして記憶しておくことで、本発明に係る
アライメント調整方法を実施するにあたり、横力変動特
性を測定するための設備が不要となるので、例として図
8に示すように、車両の各車輪の荷重W、キャンバー角
CA、トー角Toe等のみ測定可能な既存のアライメント
・テスタ90(請求項9に記載の測定手段)に演算装置
92(請求項9に記載の演算手段)を接続すると共に、
この演算装置92に、車両特性データ、タイヤ特性デー
タ及び横力変動特性データベースが予め記憶されたHD
D94(請求項9に記載の記憶手段)、ディスプレイ等
から成る表示装置96(請求項9に記載の出力手段)、
キーボード等から成る入力装置98を接続することで、
アライメント調整支援装置88(請求項9記載の車両の
アライメント調整支援装置に対応)を構成することも可
能である。
【0096】このアライメント調整支援装置88は、演
算装置92が、アライメント・テスタ90によって測定
されて入力された調整対象の車両のアライメント(荷重
W、キャンバー角CA、トー角Toe)を表示装置96に
表示させると共に、該アライメントと、入力装置98を
介して作業者によって入力された調整対象の車両に関す
るデータに基づいて、調整対象の車両に対応する車両特
性データ、タイヤ特性データ及び横力変動特性をHDD
94から読み出し、調整対象の車両の現在の状態でのス
タビリティ・ファクタFstabと各車輪の横力変動量を演
算し、表示装置96に表示させるように構成されてい
る。
【0097】これにより、作業者は、表示装置96に表
示された各種の情報を参照することで、調整対象の車両
の各車輪のトー角等をどのように調整すべきかを容易に
認識することができ、本発明に係るアライメント調整方
法を容易に実施することができる。横力変動特性を測定
するための設備(タイヤ駆動装置18や旋回装置等)も
不要となるので、先に説明したホイールアライメント測
定装置50と比較して、装置構成の簡素化も実現でき
る。なお、アライメント調整支援装置88を、ホイール
アライメント測定装置50と同様に、目標トー角を演算
して表示装置96に表示するように構成することも可能
である。
【0098】更に、上記では「スタビリティ・ファクタ
Fstabを基準値以上(詳しくは基準範囲内)にする」と
いう第1の条件と、「前後輪の横力変動量の差を最小に
する」という第2の条件を満足するように、調整対象の
車両の各車輪の目標トー角を設定していたが、これに限
定されるものではなく、「左右の車輪(前左右輪、後左
右輪)の横力変動量の差を最小にする」という第3の条
件を加え、この第3の条件も考慮して目標トー角を設定
するようにしてもよい。
【0099】具体的には、例えば第1の条件及び第2の
条件を満足する目標トー角が得られた場合に、前後輪の
目標トー角が平行移動する(前後輪の横力変動量が等し
い状態が維持されるように前後輪の目標トー角を徐々に
変更しながらスタビリティ・ファクタFstabを繰り返し
演算することで、第1の条件及び第2の条件を満足する
目標トー角の範囲を求め、求めた範囲内で第3の条件に
照らして最良の目標トー角を選択することによって実現
できる。これにより、本願出願人が既に出願した特願2
000−270655号(未公知)からも明らかなよう
に、外乱に伴う横力変動が走行安定性に及ぼす影響を更
に小さくすることができ、車両の走行安定性を更に向上
させることができる。
【0100】また、上記ではタイヤ特性データや車両特
性データ等のデータを記憶するHDD86(記憶手段)
を備えた構成のホイールアライメント測定装置50を例
に説明したが、これに限定されるものではなく、記憶手
段が通信回線を介して複数のホイールアライメント測定
装置50と接続され、記憶手段に記憶されているデータ
を複数のホイールアライメント測定装置50で共有する
構成(個々のホイールアライメント測定装置50が必要
なデータを通信回線を介して記憶手段からダウンロード
して取得する構成)を採用することも可能である。
【0101】また、上記では調整対象の車両20に4個
(片側2個ずつ)の車輪が取り付けられている場合を前
提に説明したが、本発明はこれに限定されるものではな
く、例えば5個以上(例えば片側3個以上)の車輪が取
り付けられている車両のアライメント調整に適用するこ
とも可能である。
【0102】更に、上記では調整対象の車両20が全輪
のトー角の調整が可能な車両であることを前提に説明し
たが、本発明はこれに限定されるものではない。一般
に、車両の操舵輪はトー角が調整できる構造となってい
るが、非操舵輪についてはトー角が調整ができない構造
の車両もある。このような場合には、スタビリティ・フ
ァクタFstabが適正範囲内になり、かつ前輪と後輪の横
力変動量の差がなるべく小さくなるように、操舵輪の目
標トー角を設定するようにすればよい。
【0103】また、上記では車輪の姿勢角の1つである
トー角の調整についてのみ説明したが、同時にキャンバ
ー角も調整するようにしてもよいことは言うまでもな
い。
【0104】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の発明
は、車輪のトー角と車輪転動時の横力変動量との関係を
表す横力変動特性を、調整対象の車両の各車輪について
各々取得し、調整対象の車両の幅方向に沿って同じ側に
存在する複数の車輪の転動時の横力変動量の差が最小に
なるように、調整対象の車両の各車輪のトー角の目標値
を設定し、調整対象の車両の各車輪のトー角を目標値に
調整したときの調整対象の車両のスタビリティ・ファク
タが基準値未満の場合にはトー角の目標値を修正し、ト
ー角の目標値に基づいて調整対象の車両の各車輪の姿勢
角を調整するので、タイヤの特性の相違に拘らず、車両
の走行安定性等を確保できるようにアライメントを調整
できる、という優れた効果を有する。
【0105】請求項9記載の発明は、測定手段によって
測定された調整対象の車両の各車輪の荷重、キャンバー
角及びトー角と、記憶手段に記憶されている調整対象の
車両の各車輪の横力変動量を求めるためのデータ及び調
整対象の車両のスタビリティ・ファクタの演算に必要な
データに基づいて、調整対象の車両の各車輪が転動して
段差を乗り越す際の横力変動量、及び調整対象の車両の
スタビリティ・ファクタを演算・出力するので、タイヤ
の特性の相違に拘らず、車両の走行安定性等を確保でき
るようにアライメントを調整できる、という優れた効果
を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ホイールアライメント測定装置の側面図であ
る。
【図2】 タイヤ駆動装置の平面図である。
【図3】 タイヤ駆動装置を破断して示す側面図であ
る。
【図4】 ホイールアライメント測定装置の概略構成を
示すブロック図である。
【図5】 ホイールアライメント調整処理の内容を示す
フローチャートである。
【図6】 車両の各車輪(前輪左側:FL、前輪右側:
FR、後輪左側:RL、後輪右側:RR)の横力変動特
性の一例を示す線図である。
【図7】 トー角目標値の設定及び変更を説明するため
の線図である。
【図8】 アライメント調整支援装置の概略構成を示す
ブロック図である。
【符号の説明】
18 タイヤ駆動装置 20 車両 38 突起 50 ホイールアライメント測定装置 80 制御装置 82 表示装置 88 アライメント調整支援装置 90 アライメント・テスタ 92 演算装置 96 表示装置

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪のトー角と車輪転動時の横力変動量
    との関係を表す横力変動特性を、調整対象の車両の各車
    輪について各々取得し、 取得した横力変動特性に基づいて、調整対象の車両の幅
    方向に沿って同じ側に存在する複数の車輪の転動時の横
    力変動量の差が最小になるように、調整対象の車両の各
    車輪のトー角の目標値を設定し、 調整対象の車両の各車輪のトー角を前記設定したトー角
    の目標値に調整したときの調整対象の車両の走行安定性
    を表すスタビリティ・ファクタを演算し、演算したスタ
    ビリティ・ファクタが基準値未満の場合には前記トー角
    の目標値を修正し、 トー角の目標値に基づいて調整対象の車両の各車輪の姿
    勢角を調整する車両のアライメント調整方法。
  2. 【請求項2】 調整対象の車両の各車輪を転動させて横
    力変動量を測定することを車輪のトー角を変化させなが
    ら繰り返すことによって前記横力変動特性を取得する
    か、又は、複数種のタイヤについて、荷重及びキャンバ
    角と前記横力変動特性との関係を予め記憶手段に各々記
    憶しておき、調整対象の車両に対応する横力変動特性を
    前記記憶手段から読み出すことによって前記横力変動特
    性を取得することを特徴とする請求項1記載の車両のア
    ライメント調整方法。
  3. 【請求項3】 前記トー角の目標値の設定は、調整対象
    の車両の各車輪の中から転動時の横力変動量が最大の車
    輪を選択し、調整対象の車両の幅方向に沿って前記選択
    した車輪が位置している側に存在する複数の車輪の転動
    時の横力変動量の差が最小になるように前記複数の車輪
    のトー角の目標値を設定し、該設定したトー角の目標値
    に基づいて、前記選択した車輪が位置している側と反対
    側に存在する複数の車輪のトー角の目標値を設定するこ
    とにより行うことを特徴とする請求項1記載の車両のア
    ライメント調整方法。
  4. 【請求項4】 前記車両のスタビリティ・ファクタの演
    算に必要なデータとしてのタイヤ特性データを、複数種
    のタイヤについて予め前記記憶手段に各々記憶してお
    き、調整対象の車両に対応するタイヤ特性データを前記
    記憶手段から読み出して前記調整対象の車両のスタビリ
    ティ・ファクタの演算に用いることを特徴とする請求項
    1記載の車両のアライメント調整方法。
  5. 【請求項5】 前記車両のスタビリティ・ファクタの演
    算に必要なデータとしての車両特性データを、複数の車
    両モデルについて予め記憶手段に各々記憶しておき、調
    整対象の車両に対応する車両特性データを前記記憶手段
    から読み出して前記調整対象の車両のスタビリティ・フ
    ァクタの演算に用いることを特徴とする請求項1記載の
    車両のアライメント調整方法。
  6. 【請求項6】 前記スタビリティ・ファクタの演算に必
    要な車両特性データとして平均的なデータを予め記憶手
    段に記憶しておき、調整対象の車両に対応する車両特性
    データとして前記平均的なデータを前記記憶手段から読
    み出し、読み出したデータを前記調整対象の車両のスタ
    ビリティ・ファクタの演算に用いることを特徴とする請
    求項1記載の車両のアライメント調整方法。
  7. 【請求項7】 前記スタビリティ・ファクタの演算に必
    要なデータの一部を調整対象の車両を用いて測定し、測
    定したデータを前記調整対象の車両のスタビリティ・フ
    ァクタの演算に用いることを特徴とする請求項1記載の
    車両のアライメント調整方法。
  8. 【請求項8】 前記設定したトー角の目標値の修正は、
    調整対象の車両の幅方向に沿って同じ側に存在する複数
    の車輪の現在のトー角の差の絶対値に対し、修正後の前
    記複数の車輪のトー角の差の絶対値が増大するように行
    うことを特徴とする請求項1記載の車両のアライメント
    調整方法。
  9. 【請求項9】 調整対象の車両の各車輪の荷重、キャン
    バー角及びトー角を測定する測定手段と、 調整対象の車両の各車輪が転動して段差を乗り越す際の
    横力変動量を求めるためのデータ、及び、調整対象の車
    両の走行安定性を表すスタビリティ・ファクタの演算に
    必要なデータを記憶する記憶手段と、 前記測定手段による測定結果と前記記憶手段に記憶され
    ているデータに基づいて、調整対象の車両の各車輪が転
    動して段差を乗り越す際の横力変動量、及び調整対象の
    車両のスタビリティ・ファクタを演算する演算手段と、 前記演算手段による演算結果を出力する出力手段と、 を含む車両のアライメント調整支援装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1326737C (zh) * 2003-09-30 2007-07-18 三菱扶桑卡客车株式会社 车辆稳定系数学习方法、学习装置及车辆用控制装置
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