JP2003219699A - モータの駆動制御装置、駆動制御方法およびその方法を実現するプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

モータの駆動制御装置、駆動制御方法およびその方法を実現するプログラムを記録した記録媒体

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JP2003219699A
JP2003219699A JP2002015352A JP2002015352A JP2003219699A JP 2003219699 A JP2003219699 A JP 2003219699A JP 2002015352 A JP2002015352 A JP 2002015352A JP 2002015352 A JP2002015352 A JP 2002015352A JP 2003219699 A JP2003219699 A JP 2003219699A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィードバック制御系にトラブルが発生して
も、電気自動車の走行を継続する。 【解決手段】 逆ベクトル電圧指令値に基づいてフィー
ドバック電圧指令値を演算するPI制御部302、30
4と、電気自動車の運転者の要求に起因する電流指令値
に基づいてフィードフォワード電圧指令値を演算するフ
ィードフォワード電圧指令演算回路312と、PI制御
部302、304により算出されたフィードバック電圧
指令値が予め定められた範囲内にない場合には、範囲内
になかった時間に対応してフィードバック電圧指令値を
低下させる演算回路306と、フィードフォワード電圧
指令値と低下されたフィードバック電圧指令値とを合成
してインバータ400への制御信号を生成する座標変換
部308とを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車などの車輛
に搭載される駆動用モータの制御技術に関し、特に、フ
ィードバック制御系にトラブルが発生しても車輛の走行
を継続できる制御技術に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、地球環境の保全等を目的として電
気自動車の生産が行なわれている。電気自動車は、その
駆動に三相交流モータをはじめとする多相交流モータを
使用し、その制御にインバータ回路を使用することが多
い。
【0003】電気自動車の駆動用モータの負荷は、走行
条件によって大幅に変化する。この走行条件の変化に追
随して、駆動用モータに所定のトルクを発生させるため
に、フィードバック制御が行なわれる。さらに、過大な
負荷が発生して駆動用モータが過負荷状態になり、イン
バータ回路のスイッチング素子の熱的限界等によって定
められている設定電流値(電流の安全上限)を越えてイ
ンバータ回路の出力電流が流れ、インバータ回路が過電
流状態になる場合もあり得る。このように過電流状態に
なった場合には、インバータ回路に組込まれた過電流防
止装置により、直ちにスイッチングがオフにされる。そ
の結果、インバータ回路のスイッチング素子の出力電流
はゼロになり、これによりスイッチング素子の過電流な
いし過熱による破壊が防止されている。
【0004】特開平10−313592号公報は、この
ようにフィードバック制御と過電流状態を回避する制御
とを組込んだ制御装置を開示する。この公報に開示され
た制御装置は、多相交流モータへの電力線に装着され
て、電力線に流れる電流を検出する電流センサと、この
多相交流モータへの過電流を検出して出力電流を制限す
る過電流制限回路と、この多相交流モータを駆動するイ
ンバータ回路と、インバータ回路に駆動信号を供給して
このインバータ回路の出力電圧および出力電流を制御す
る電流制御マイクロコンピュータと、電流センサからの
モータ駆動電流信号を電流制御マイクロコンピュータに
フィードバックするフィードバック信号ラインと、過電
流が検出された場合には、フィードバック信号ラインの
フィードバックゲインを低減する制御、およびこのフィ
ードバック信号ラインの接続を切断する制御のうちのい
ずれかを実行するための制御手段とを含む。
【0005】この公報に開示された制御装置によると、
フィードバック信号ラインの影響を低減させるまたはな
くするため、過電流制限機能とフィードバック機能との
干渉が防止されて、制御不能に陥ることがなくなる。そ
の結果、過電流が検出された場合にも適正なインバータ
の出力制御を続けることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た公報に開示された制御装置では、フィードバック制御
系と過電流制御系との干渉を防止できても、電流センサ
が故障した場合やフィードバック制御系の演算回路が故
障した場合などに対応できない。すなわち、電気自動車
の走行中に電流センサが故障すると、フィードバック制
御系において実電流と目標電流との偏差を正しく算出で
きないため、フィードバック機能が作用しない。また、
過電流が流れても検知できないため、過電流制限機能が
作用しない。
【0007】本発明は、上述の課題を解決するためにな
されたものであって、フィードバック制御系においてト
ラブルが発生しても、電気自動車などの車輛の走行を継
続することができる、モータの駆動制御装置、駆動制御
方法およびその方法を実現するプログラムを記録した記
録媒体を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】第1の発明に係る駆動制
御装置は、車輛に搭載された多相モータにおいて所定の
トルクを発生させるための逆ベクトル電圧指令値に基づ
いてフィードバック電圧指令値を演算するためのフィー
ドバック電圧指令手段と、車輛の運転者の要求に起因す
る電流指令値に基づいてフィードフォワード電圧指令値
を演算するためのフィードフォワード電圧指令手段と、
フィードバック電圧指令手段に接続され、フィードバッ
ク電圧指令手段により演算されたフィードバック電圧指
令値が予め定められた第1の条件を満足すると、予め定
められた第2の条件を満足するように、フィードバック
電圧指令値を補正するためのフィードバック電圧指令補
正手段と、フィードバック電圧指令補正手段とフィード
フォワード電圧指令手段とに接続され、フィードバック
電圧指令値とフィードフォワード電圧指令値とに基づい
て、多相モータを制御するための電圧指令値を算出する
ための算出手段とを含む。
【0009】第1の発明によると、たとえばフィードバ
ック制御系の電流センサが故障すると実際に多相モータ
へ入力される電流値を計測できず、フィードバック電圧
指令手段は、正しいフィードバック電圧指令値を演算で
きない。このような場合、電流の偏差(目標値と誤電流
値との偏差)が実際よりも大きくなり、フィードバック
電圧指令値の絶対値が大きくなる。フィードバック電圧
指令補正手段は、フィードバック電圧指令値が第1の条
件を満足すると(たとえば、フィードバック電圧指令値
が予め定められた範囲外になる)、予め定められた第2
の条件を満足するように(たとえば、フィードバック電
圧指令値が予め定められた上下限値以内になるよう
に)、フィードバック電圧指令値を補正する。算出手段
は、アクセル開度などの運転者の要求に基づいて算出さ
れたフィードフォワード電圧指令値と、補正されたフィ
ードバック電圧指令値とを加算して、多相モータを制御
するインバータ回路への電圧指令値を算出する。これに
より、フィードバック制御系が正しく機能しない場合に
は、フィードバック電圧指令値を下げて、フィードフォ
ワード電圧指令値と加算する。その結果、フィードバッ
ク制御系においてトラブルが発生しても、トルクの急変
などが発生しないで、電気自動車などの車輛の安定な走
行を継続することができる、モータの駆動制御装置を提
供することができる。
【0010】第2の発明に係る駆動制御装置は、第1の
発明の構成に加えて、フィードバック電圧指令手段に接
続され、フィードバック電圧指令手段により演算された
フィードバック電圧指令値が予め定められた第1の値以
上である状態が、予め定められた時間以上継続すると、
フィードバック制御系が故障していると判断するための
故障判断手段をさらに含む。
【0011】第2の発明によると、たとえばフィードバ
ック制御系の電流センサが故障すると実際に多相モータ
へ入力される電流値を計測できず、フィードバック電圧
指令手段は、正しいフィードバック電圧指令値を演算で
きず、フィードバック電圧指令値の絶対値が大きくな
る。故障判断手段は、フィードバック電圧指令値が予め
定められた第1の値以上である状態が継続すると、フィ
ードバック制御系が故障していると判断する。これによ
り、フィードバック制御系の故障を検知できる。
【0012】第3の発明に係る駆動制御装置は、第2の
発明の構成に加えて、故障判断手段は、フィードバック
制御系に接続された電流検知センサが故障していると判
断するための手段を含む。
【0013】第3の発明によると、故障判断手段によ
り、電流検知センサの故障を検知できる。
【0014】第4の発明に係る駆動制御装置は、第1の
発明の構成に加えて、フィードバック電圧指令補正手段
は、フィードバック電圧指令手段により演算されたフィ
ードバック電圧指令値が予め定められた第1の値以上で
あると、フィードバック電圧指令値を予め定められた第
2の値以下になるように補正するための手段を含む。
【0015】第4の発明によると、たとえばフィードバ
ック制御系の電流センサが故障すると実際に多相モータ
へ入力される電流値を計測できず、フィードバック電圧
指令手段は、正しいフィードバック電圧指令値を演算で
きず、フィードバック電圧指令値の絶対値が大きくな
る。フィードバック電圧指令補正手段は、フィードバッ
ク電圧指令値が予め定められた第1の値以上であると、
予め定められた第2の値以下になるように(たとえば、
フィードバック電圧指令値が予め定められた上下限値以
内になるように)、フィードバック電圧指令値を補正す
る。これにより、フィードバック制御系が正しく機能し
ない場合には、フィードバック電圧指令値を下げて、フ
ィードフォワード電圧指令値と加算する。その結果、フ
ィードバック制御系においてトラブルが発生しても、ト
ルクの急変などが発生しないで、電気自動車などの車輛
の安定な走行を継続することができる、モータの駆動制
御装置を提供することができる。
【0016】第5の発明に係る駆動制御装置は、第4の
発明の構成に加えて、フィードバック電圧指令手段に接
続され、フィードバック電圧指令手段により演算された
フィードバック電圧指令値が予め定められた第1の値以
上である状態が、予め定められた時間以上継続すると、
算出手段により算出される電圧指令値におけるフィード
フォワード電圧指令値の影響を増大させるための電圧指
令補正手段をさらに含む。
【0017】第5の発明によると、フィードバック電圧
指令値が予め定められた第1の値以上である状態が継続
すると、フィードバック制御系が故障していると判断し
て、多相モータへの電圧指令値におけるフィードフォワ
ード電圧指令値の影響を増大させる。これにより、フィ
ードバック制御系が故障すると、フィードフォワード制
御系により多相モータが制御される。
【0018】第6の発明に係る駆動制御装置は、第5の
発明の構成に加えて、電圧指令補正手段は、第2の値を
漸次減少させるための手段を含む。
【0019】第6の発明によると、フィードバック制御
系が故障していると判断されると、第2の値を漸次減少
させることにより、フィードバック電圧指令値を漸次減
少させる。これにより、多相モータへの電圧指令値にお
けるフィードフォワード電圧指令値の影響が漸次増大す
る。これにより、フィードバック制御系が故障すると、
フィードバック制御系からフィードフォワード制御系に
移行して、多相モータが制御される。
【0020】第7の発明に係る駆動制御装置は、第1〜
4の発明の構成に加えて、多相モータと算出手段とに接
続され、多相モータを制御するためのインバータ回路を
さらに含む。
【0021】第7の発明によると、算出手段により算出
された電圧指令値はインバータ回路の送出され、インバ
ータ回路により多相モータが制御され、所定のトルクが
発生し、トルクの急変などが発生しない。
【0022】第8の発明に係る駆動制御装置は、第5ま
たは6の発明の構成に加えて、多相モータと算出手段と
に接続され、多相モータを制御するためのインバータ回
路と、電圧指令補正手段によりフィードフォワード電圧
指令値の影響が増大されている場合には、インバータ回
路におけるデッドタイムの影響を減少させるための低減
手段とをさらに含む。
【0023】第8の発明によると、フィードフォワード
制御の影響を増大させると、インバータ回路におけるデ
ッドタイムの影響が相対的に大きくなる。低減手段は、
たとえばキャリア周波数の低下、あるいはインバータ回
路への入力電圧の低下(DC−DCコンバータ利用時)
により、デッドタイムの影響を低減させる。
【0024】第9の発明に係る駆動制御装置は、第1〜
8のいずれかの発明の構成に加えて、フィードフォワー
ド電圧指令手段は、予め準備されたマップに基づいてフ
ィードフォワード電圧指令値を演算するための手段を含
む。
【0025】第9の発明によると、運転者の要求である
アクセル操作量またはブレーキ操作量からトルク指令値
を求めて、トルク指令値と予め準備されたマップとか
ら、フィードフォワード電流指令値、フィードフォワー
ド電圧指令値を算出する。
【0026】第10の発明に係る駆動制御方法は、車輛
に搭載された多相モータにおいて所定のトルクを発生さ
せるための逆ベクトル電圧指令値に基づいてフィードバ
ック電圧指令値を演算するフィードバック電圧指令ステ
ップと、車輛の運転者の要求に起因する電流指令値に基
づいてフィードフォワード電圧指令値を演算するフィー
ドフォワード電圧指令ステップと、フィードバック電圧
指令ステップにて演算されたフィードバック電圧指令値
が予め定められた第1の条件を満足すると、予め定めら
れた第2の条件を満足するように、フィードバック電圧
指令値を補正するフィードバック電圧指令補正ステップ
と、フィードバック電圧指令値とフィードフォワード電
圧指令値とに基づいて、多相モータを制御するための電
圧指令値を算出する算出ステップとを含む。
【0027】第10の発明によると、たとえばフィード
バック制御系の電流センサが故障すると実際に多相モー
タへ入力される電流値を計測できず、フィードバック電
圧指令ステップにて、正しいフィードバック電圧指令値
を演算できない。このような場合、電流の偏差が実際よ
りも大きくなり、フィードバック電圧指令値の絶対値が
大きくなる。フィードバック電圧指令補正ステップに
て、フィードバック電圧指令値が第1の条件を満足する
と(たとえば、フィードバック電圧指令値が予め定めら
れた範囲外になる)、予め定められた第2の条件を満足
するように(たとえば、フィードバック電圧指令値が予
め定められた上下限値以内になるように)、フィードバ
ック電圧指令値を補正する。算出ステップにて、アクセ
ル開度などの運転者の要求に基づいて算出されたフィー
ドフォワード電圧指令値と、補正されたフィードバック
電圧指令値とを加算して、多相モータを制御するインバ
ータ回路への電圧指令値を算出する。これにより、フィ
ードバック制御系が正しく機能しない場合には、フィー
ドバック電圧指令値を下げて、フィードフォワード電圧
指令値と加算する。その結果、フィードバック制御系に
おいてトラブルが発生しても、トルクの急変などが発生
しないで、電気自動車などの車輛の安定な走行を継続す
ることができる、モータの駆動制御方法を提供すること
ができる。
【0028】第11の発明に係る駆動制御方法は、第1
0の発明の構成に加えて、フィードバック電圧指令ステ
ップにて演算されたフィードバック電圧指令値が予め定
められた第1の値以上である状態が、予め定められた時
間以上継続すると、フィードバック制御系が故障してい
ると判断する故障判断ステップをさらに含む。
【0029】第11の発明によると、たとえばフィード
バック制御系の電流センサが故障すると実際に多相モー
タへ入力される電流値を計測できず、フィードバック電
圧指令ステップにて、正しいフィードバック電圧指令値
を演算できず、フィードバック電圧指令値の絶対値が大
きくなる。故障判断ステップは、フィードバック電圧指
令値が予め定められた第1の値以上である状態が継続す
ると、フィードバック制御系が故障していると判断す
る。これにより、フィードバック制御系の故障を検知で
きる。
【0030】第12の発明に係る駆動制御方法は、第1
1の発明の構成に加えて、故障判断ステップは、フィー
ドバック制御系に接続された電流検知センサが故障して
いると判断するステップを含む。
【0031】第12の発明によると、故障判断ステップ
にて、電流検知センサの故障を検知できる。
【0032】第13の発明に係る駆動制御方法は、第1
0の発明の構成に加えて、フィードバック電圧指令補正
ステップは、フィードバック電圧指令ステップにて演算
されたフィードバック電圧指令値が予め定められた第1
の値以上であると、フィードバック電圧指令値を予め定
められた第2の値以下になるように補正するステップを
含む。
【0033】第13の発明によると、たとえばフィード
バック制御系の電流センサが故障すると実際に多相モー
タへ入力される電流値を計測できず、フィードバック電
圧指令ステップにて、正しいフィードバック電圧指令値
を演算できず、フィードバック電圧指令値の絶対値が大
きくなる。フィードバック電圧指令補正ステップにて、
フィードバック電圧指令値が予め定められた第1の値以
上であると、予め定められた第2の値以下になるように
(フィードバック電圧指令ステップにて演算されたフィ
ードバック電圧指令値の80%以下になるように)、フ
ィードバック電圧指令値を補正する。これにより、フィ
ードバック制御系が正しく機能しない場合には、フィー
ドバック電圧指令値を下げて、フィードフォワード電圧
指令値と加算する。その結果、フィードバック制御系に
おいてトラブルが発生しても、トルクの急変などが発生
しないで、電気自動車などの車輛の安定な走行を継続す
ることができる、モータの駆動制御方法を提供すること
ができる。
【0034】第14の発明に係る駆動制御方法は、第1
3の発明の構成に加えて、フィードバック電圧指令ステ
ップにて演算されたフィードバック電圧指令値が予め定
められた第1の値以上である状態が、予め定められた時
間以上継続すると、算出ステップにて算出される電圧指
令値におけるフィードフォワード電圧指令値の影響を増
大させる電圧指令補正ステップをさらに含む。
【0035】第14の発明によると、フィードバック電
圧指令値が予め定められた第1の値以上である状態が継
続すると、フィードバック制御系が故障していると判断
して、多相モータへの電圧指令値におけるフィードフォ
ワード電圧指令値の影響を増大させる。これにより、フ
ィードバック制御系が故障すると、フィードフォワード
制御系により多相モータが制御される。
【0036】第15の発明に係る電圧駆動方法は、第1
4の発明の構成に加えて、電圧指令補正ステップは、第
2の値を漸次減少させるステップを含む。
【0037】第15の発明によると、フィードバック制
御系が故障していると判断されると、第2の値を漸次減
少させることにより、フィードバック電圧指令値を漸次
減少させる。これにより、多相モータへの電圧指令値に
おけるフィードフォワード電圧指令値の影響が漸次増大
する。これにより、フィードバック制御系が故障する
と、フィードバック制御系からフィードフォワード制御
系に移行して、多相モータが制御される。
【0038】第16の発明に係る電圧駆動方法は、第1
0〜15のいすれかの発明の構成に加えて、フィードフ
ォワード電圧指令ステップは、予め準備されたマップに
基づいてフィードフォワード電圧指令値を演算するステ
ップを含む。
【0039】第16の発明によると、運転者の要求であ
るアクセル操作量またはブレーキ操作量からトルク指令
値を求めて、トルク指令値と予め準備されたマップとか
ら、フィードフォワード電流指令値、フィードフォワー
ド電圧指令値を算出する。
【0040】第17の発明に係る記録媒体は、車輛に搭
載された多相モータにおいて所定のトルクを発生させる
ための逆ベクトル電圧指令値に基づいてフィードバック
電圧指令値を演算するフィードバック電圧指令ステップ
と、車輛の運転者の要求に起因する電流指令値に基づい
てフィードフォワード電圧指令値を演算するフィードフ
ォワード電圧指令ステップと、フィードバック電圧指令
ステップにて演算されたフィードバック電圧指令値が予
め定められた第1の条件を満足すると、予め定められた
第2の条件を満足するように、フィードバック電圧指令
値を補正するフィードバック電圧指令補正ステップと、
フィードバック電圧指令値とフィードフォワード電圧指
令値とに基づいて、多相モータを制御するための電圧指
令値を算出する算出ステップとを含むモータの駆動制御
方法を、コンピュータに実現させるプログラムを記録し
ている。
【0041】第17の発明によると、たとえばフィード
バック制御系の電流センサが故障すると実際に多相モー
タへ入力される電流値を計測できず、フィードバック電
圧指令ステップにて、正しいフィードバック電圧指令値
を演算できない。このような場合、電流の偏差が実際よ
りも大きくなり、フィードバック電圧指令値の絶対値が
大きくなる。フィードバック電圧指令補正ステップに
て、フィードバック電圧指令値が第1の条件を満足する
と(たとえば、フィードバック電圧指令値が予め定めら
れた範囲外になる)、予め定められた第2の条件を満足
するように(たとえば、フィードバック電圧指令値が予
め定められた上下限値以内になるように)、フィードバ
ック電圧指令値を補正する。算出ステップにて、アクセ
ル開度などの運転者の要求に基づいて算出されたフィー
ドフォワード電圧指令値と、補正されたフィードバック
電圧指令値とを加算して、多相モータを制御するインバ
ータ回路への電圧指令値を算出する。これにより、フィ
ードバック制御系が正しく機能しない場合には、フィー
ドバック電圧指令値を下げて、フィードフォワード電圧
指令値と加算する。その結果、フィードバック制御系に
おいてトラブルが発生しても、トルクの急変などが発生
しないで、電気自動車などの車輛の安定な走行を継続す
ることができる、モータの駆動制御方法を実現するプロ
グラムを記録した記録媒体を提供することができる。
【0042】第18の発明に係る記録媒体に記録された
プログラムによりコンピュータに実現される駆動制御方
法は、第17の発明の構成に加えて、フィードバック電
圧指令ステップにて演算されたフィードバック電圧指令
値が予め定められた第1の値以上である状態が、予め定
められた時間以上継続すると、フィードバック制御系が
故障していると判断する故障判断ステップをさらに含
む。
【0043】第18の発明によると、たとえばフィード
バック制御系の電流センサが故障すると実際に多相モー
タへ入力される電流値を計測できず、フィードバック電
圧指令ステップにて、正しいフィードバック電圧指令値
を演算できず、フィードバック電圧指令値の絶対値が大
きくなる。故障判断ステップは、フィードバック電圧指
令値が予め定められた第1の値以上である状態が継続す
ると、フィードバック制御系が故障していると判断す
る。これにより、フィードバック制御系の故障を検知で
きる。
【0044】第19の発明に係る記録媒体に記録された
プログラムによりコンピュータに実現される駆動制御方
法は、第18の発明の構成に加えて、故障判断ステップ
は、フィードバック制御系に接続された電流検知センサ
が故障していると判断するステップを含む。
【0045】第19の発明によると、故障判断ステップ
にて、電流検知センサの故障を検知できる。
【0046】第20の発明に係る記録媒体に記録された
プログラムによりコンピュータに実現される駆動制御方
法は、第17の発明の構成に加えて、フィードバック電
圧指令補正ステップは、フィードバック電圧指令ステッ
プにて演算されたフィードバック電圧指令値が予め定め
られた第1の値以上であると、フィードバック電圧指令
値を予め定められた第2の値以下になるように補正する
ステップを含む。
【0047】第20の発明によると、たとえばフィード
バック制御系の電流センサが故障すると実際に多相モー
タへ入力される電流値を計測できず、フィードバック電
圧指令ステップにて、正しいフィードバック電圧指令値
を演算できず、フィードバック電圧指令値の絶対値が大
きくなる。フィードバック電圧指令補正ステップにて、
フィードバック電圧指令値が予め定められた第1の値以
上であると、予め定められた第2の値以下になるように
(たとえば、フィードバック電圧指令値が予め定められ
た上下限値以内になるように)、フィードバック電圧指
令値を補正する。これにより、フィードバック制御系が
正しく機能しない場合には、フィードバック電圧指令値
を下げて、フィードフォワード電圧指令値と加算する。
その結果、フィードバック制御系においてトラブルが発
生しても、トルクの急変などが発生しないで、電気自動
車などの車輛の安定な走行を継続することができる、モ
ータの駆動制御方法を実現するプログラムを記録した記
録媒体媒体を提供することができる。
【0048】第21の発明に係る記録媒体に記録された
プログラムによりコンピュータに実現される駆動制御方
法は、第20の発明の構成に加えて、フィードバック電
圧指令ステップにて演算されたフィードバック電圧指令
値が予め定められた第1の値以上である状態が、予め定
められた時間以上継続すると、算出ステップにて算出さ
れる電圧指令値におけるフィードフォワード電圧指令値
の影響を増大させる電圧指令補正ステップをさらに含
む。
【0049】第21の発明によると、フィードバック電
圧指令値が予め定められた第1の値以上である状態が継
続すると、フィードバック制御系が故障していると判断
して、多相モータへの電圧指令値におけるフィードフォ
ワード電圧指令値の影響を増大させる。これにより、フ
ィードバック制御系が故障すると、フィードフォワード
制御系により多相モータが制御される。
【0050】第22の発明に係る記録媒体に記録された
プログラムによりコンピュータに実現される駆動制御方
法は、第21の発明の構成に加えて、電圧指令補正ステ
ップは、第2の値を漸次減少させるステップを含む。
【0051】第22の発明によると、フィードバック制
御系が故障していると判断されると、第2の値を漸次減
少させることにより、フィードバック電圧指令値を漸次
減少させる。これにより、多相モータへの電圧指令値に
おけるフィードフォワード電圧指令値の影響が漸次増大
する。これにより、フィードバック制御系が故障する
と、フィードバック制御系からフィードフォワード制御
系に移行して、多相モータが制御される。
【0052】第23の発明に係る記録媒体に記録された
プログラムによりコンピュータに実現される駆動制御方
法は、第17〜22のいずれかの発明の構成に加えて、
フィードフォワード電圧指令ステップは、予め準備され
たマップに基づいてフィードフォワード電圧指令値を演
算するステップを含む。
【0053】第23の発明によると、運転者の要求であ
るアクセル操作量またはブレーキ操作量からトルク指令
値を求めて、トルク指令値と予め準備されたマップとか
ら、フィードフォワード電流指令値、フィードフォワー
ド電圧指令値を算出する。
【0054】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ、本発明
の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一
の部品には同一の符号を付してある。それらの名称およ
び機能も同じである。したがってそれらについての詳細
な説明は繰返さない。
【0055】図1を参照して、本発明の実施の形態に係
る駆動制御装置が搭載される電気自動車の駆動系統の制
御ブロックについて説明する。図1に示すように、この
電気自動車の駆動系統の制御ブロックは、HV−ECU
(Hybrid Vehicle−Electronic Control Unit)100
とインバータ400とモータ700とを含む。
【0056】HV−ECU100は、この電気自動車の
運転者の要求(アクセル操作、ブレーキ操作)に基づい
てモータ700へのトルク指令値を演算するHV−CP
U(Hybrid Vehicle−Central Processing Unit)20
0と、HV−CPU200に接続され、モータ700を
インバータ400を介して制御するモータCPU300
とを含む。
【0057】モータCPU300は、本実施の形態に係
る駆動制御装置の主たる構成要素である。なお、以下の
説明においては、この駆動制御装置をモータCPU30
0にて実行されるソフトウェアにより実現されるものと
して説明する。すなわち、本実施の形態に係る駆動制御
装置は、コンピュータのハードウェアであるモータCP
U300と、このモータCPU300により実行される
ソフトウェアとにより実現される。一般的にこうしたソ
フトウェアは、様々な種類の記録媒体に格納されて流通
し、記録媒体から読取られてモータCPU300により
実行される。したがって、本発明の最も本質的な部分
は、様々な種類の記録媒体に記録されたソフトウェアで
ある。
【0058】モータCPU300は、HV−CPU20
0から受信したトルク指令値に基づいて電流指令値を算
出し、その電流指令値に基づいてフィードフォワード電
圧指令値を演算する。モータCPU300は、目標値で
ある電流指令値と電流センサにより検知されたモータへ
の入力電流値とに基づくフィードバック電圧指令値を演
算する。モータCPU300は、演算されたフィードフ
ォワード電圧指令値とフィードバック電圧指令値とに基
づいて、インバータ400への制御信号である電圧指令
値を演算する。
【0059】インバータ400は、モータCPU300
に接続され、短絡防止時間を作成する短絡防止時間作成
回路500と、ゲートドライブ回路600とを含む。短
絡防止時間について説明する。インバータ回路の各相で
直列に接続された2つのトランジスタが、わずかな時間
でも同時にオンすると直流電源短絡を引き起こし、トラ
ンジスタ破壊を招く。これを防止するために、2つのト
ランジスタのオン、オフ信号は両方ともオフ信号の時間
を設ける。この時間を短絡防止時間(デッドタイム)と
いう。本実施の形態にかかる駆動制御装置においてフィ
ードバック制御系による制御からフィードフォワード制
御系による制御に移行するに従い、この短絡防止時間の
影響が相対的に大きくなる。この場合、バッテリ電圧と
キャリア周波数と短絡防止時間との積に比例して電圧降
下が発生する。この電圧降下を抑制するために、たとえ
ば短絡防止時間作成回路500は、短絡防止時間をでき
るだけ低くなるように作成したり、キャリア周波数を低
下させたりする。
【0060】図2を参照して、図1に示したモータCP
U300の制御ブロックについて説明する。図2に示す
ように、モータCPU300は、d軸用のPI制御部3
02と、q軸用のPI制御部304と、フィードバック
電圧指令値に関する演算を実行する演算回路306と、
dp軸座標上の電圧指令値を三相(uvw)座標上の電
圧指令値に変換する座標変換部308と、三相座標上の
電圧指令値に基づいてPWM電圧指令値を作成するPW
M電圧指令作成部310と、フィードフォワード電圧指
令値を作成するフィードフォワード電圧指令演算回路3
12と、モータ700のロータ位置の移動量に基づいて
回転数を算出する回転数演算部314と、三相(uv
w)座標上の電圧指令値をdp軸座標上の電圧指令値に
変換する座標変換部316とを含む。
【0061】なお、図2に示すように、インバータ40
0からモータ700に出力される電流値を検知する電流
センサ800が設置されている。この電流センサ800
は、電流値(Iv、Iw)を検知する。
【0062】PI制御部302には、電流指令値(Idco
m)と、電流センサ800により検知された電流値(I
v、Iw)から算出されたフィードバック電流値(Id)と
の差分(ΔId)が入力される。PI制御部302は、比
例動作と積分動作とに基づいて算出されたフィードバッ
ク電圧指令値(Vd_fb)を出力する。
【0063】同じように、PI制御部304には、電流
指令値(Iqcom)と、電流センサ800により検知され
た電流値(Iv、Iw)から算出されたフィードバック電流
値(Iq)との差分(ΔIq)が入力される。PI制御部3
04は、比例動作と積分動作とに基づいて算出されたフ
ィードバック電圧指令値(Vq_fb)を出力する。
【0064】演算回路306は、電流指令値、バッテリ
電圧および回転数ごとに予め作成された電圧指令上下限
値マップから電圧指令上下限値(Vfb_max、Vfb_min)
を算出する。なお、この電圧指令上下限値マップのデー
タ間は、線形補間等により算出される。また、演算回路
306は、PI制御部302、304により算出された
フィードバック電圧指令値(Vd_fb、Vq_fb)が、電圧
指令上下限値を越えている場合、越えた時間に応じて、
新規フィードバック電圧指令値(Vd_fb’、Vq_fb’)
を算出する。このとき、演算回路306は、たとえば、
Vd_fb’=Vfb_max/経過時間Tとして算出する。この
ようにして算出すると、電圧指令上下限値を越えている
時間の経過に従い、新規フィードバック電圧指令値(Vd
_fb’、Vq_fb’)は零に漸近する。なお、電圧指令上
下限値を越えていない場合、新規フィードバック電圧指
令値(Vd_fb’、Vq_fb’)は、フィードバック電圧指
令値(Vd_fb、Vq_fb)として算出する。
【0065】フィードフォワード電圧指令演算回路31
2は、電流指令値、バッテリ電圧および回転数ごとに予
め作成されたフィードフォワード電圧指令マップに基づ
いてフィードフォワード電圧指令値(Vd_ff、Vq_ff)
を算出する。なお、このフィードフォワード電圧指令マ
ップのデータ間は、線形補間等により算出される。
【0066】上述したように、このモータCPU300
に含まれる演算部などは、実際にはモータCPU300
とモータCPU300で実行されるソフトウェアとによ
り、実現される。なお、上述した演算部をソフトウェア
ではなく、ハードウェアのみで実現するものであっても
よい。
【0067】図3を参照して、本実施の形態に係る駆動
制御装置で実行されるプログラムは、以下のような制御
構造を有する。
【0068】ステップ(以下、ステップをSと略す。)
100にて、モータCPU300は、フィードバック制
御系のdq軸電流指令値(Idcom、Iqcom)の入力を検知す
る。S102にて、モータCPU300は、入力された
電流指令値とフィードバック電流値との差分を算出す
る。このとき、ΔId=Idcom-Id、ΔIq=Iqcom−Iqと算
出される。
【0069】S104にて、PI制御部302、304
は、フィードバック電圧指令値(Vd_fb、Vq_fb)を算
出する。S106にて、演算回路306は、フィードバ
ック電圧指令上下限値を算出する。このとき、算出され
る上限値をVfb_max、下限値をVfb_minとする。
【0070】S108にて、演算回路306は、フィー
ドバック電圧指令値(Vd_fb、Vq_fb)が、フィードバ
ック電圧指令上下限値(Vfb_max、Vfb_min)の範囲内
に存在するか否かを判断する。フィードバック電圧指令
値がフィードバック電圧指令上下限値の範囲内にあると
(S108にてYES)、処理はS114へ移される。
もしそうでないと(S108にてNO)、処理はS11
0へ移される。
【0071】S110にて、演算回路306は、フィー
ドバック電圧指令値(Vd_fb、Vq_fb)が、フィードバ
ック電圧指令上下限値(Vfb_max、Vfb_min)の範囲外
である積算時間Tを計測する。S112にて、演算回路
306は、フィードバック電圧指令制限処理を行なう。
このとき、演算回路306は、積算時間Tに応じて、新
規フィードバック電圧指令値(Vd_fb’、Vq_fb’)を
算出する。
【0072】S114にて、モータCPU300は、フ
ィードフォワード電圧指令値とフィードバック電圧指令
値とを合成する。このときの合成対象となるフィードフ
ォワード電圧指令値の算出については後述する。
【0073】S116にて、座標変換部308は、dq軸
電圧指令値を三相電圧指令値に変換する。S118に
て、PWM電圧指令作成部310は、PWM出力を発生
させ、インバータ400に送出する。このような処理
が、繰返し実行され、インバータ400を介してモータ
700が制御される。
【0074】図4を参照して、本実施の形態に係る駆動
制御装置で実行されるプログラムは、フィードフォワー
ド電圧指令演算処理に関し、以下のような制御構造を有
する。
【0075】S200にて、フィードバック電圧指令演
算回路312は、アクセル操作およびブレーキ操作の状
態を検知する。S202にて、フィードフォワード電圧
指令演算回路312は、アクセル操作およびブレーキ操
作の状態に基づいて、モータ700へのトルク指令値を
算出する。
【0076】S204にて、フィードフォワード電圧指
令演算回路312は、トルク指令値、モータ回転数、バ
ッテリ電圧値に基づいて、電流指令値Idcom、Iqcomを算
出する。このS204における電流指令値の算出につい
て、図5および図6を用いて説明する。
【0077】トルク指令値と電流指令値Idcomとの間に
は、図5に示す関係が、トルク指令値と電流指令値Iqco
mとの間には、図6に示す関係が存在する。図5に示す
ように、トルク指令値と電流指令値Idcomとの間に存在
する関係は、モータ回転数およびバッテリ電圧値に依存
する。また、図6に示すように、トルク指令値とIqcom
との間に存在する関係は、モータ回転数およびバッテリ
電圧に依存しない。この図5および図6に示すトルク指
令値と電流指令値との関係に基づいて、トルク指令値か
ら電流指令値が算出される。
【0078】S206にて、フィードフォワード電圧指
令演算回路312は、算出された電流指令値に基づいて
フィードフォワード電圧指令値(Vd_ff、Vq_ff)を算
出する。このS206における電流指令値に基づくフィ
ードフォワード電圧指令値の算出について、図7および
図8を用いて説明する。
【0079】モータ700の特性により、電流指令値
(Idcom、Iqcom)に対し、電圧指令値(Vdcom、Vqcom)
は、図7および図8に示すように一義的に定まる。図7
に示すように電流指令値(Idcom)は、電圧指令値(Vqc
om)に影響を与えるが、電圧指令値(Vdcom)に影響を
与えない。また、図8に示すように、電流指令値(Iqco
m)は、電圧指令値(Vdcom)に影響を与えるが、電圧指
令値(Vqcom)に影響を与えない。また、電圧指令値(V
dcom、Vqcom)は、モータ700の回転数の影響を受け
る。図7および図8に示すマップに基づいて、電流指令
値に基づいて、フィードフォワード電圧指令値が算出さ
れる。
【0080】S208にて、フィードフォワード電圧指
令演算回路312は、算出されたフィードフォワード電
圧指令値(Vd_ff、Vq_ff)を演算回路306の出力側
に送出する。このような処理が繰返し行なわれる。な
お、S208にて送出されたフィードフォワード電圧指
令値は、前述の図3のS114にてフィードバック電圧
指令値と合成処理が行なわれる。
【0081】以上のような構造およびフローチャートに
基づく、本実施の形態に係る駆動制御装置の動作につい
て説明する。
【0082】モータCPU300に電流指令値(Idco
m、Iqcom)が入力される(S100)。
【0083】一方、フィードフォワード電圧指令演算回
路312は、アクセル操作およびブレーキ操作の状態を
検知し(S200)、アクセル操作およびブレーキ操作
の状態に基づいて、モータ700へのトルク指令値を算
出する(S202)。フィードフォワード電圧指令演算
回路312は、図5および図6に示すマップに基づい
て、トルク指令値から電流指令値(Idcom、Iqcom)を算
出する(S204)。さらに、フィードフォワード電圧
指令演算回路312は、算出された電流指令値(Idco
m、Iqcom)に基づいて、図7および図8に示すマップを
用いて、フィードフォワード電圧指令値(Vd_ff、Vq_
ff)を算出する(S206)。フィードフォワード電圧
指令演算回路312は、算出されたフィードフォワード
電圧指令値(Vd_ff、Vq_ff)を演算回路306の出力
側に送出する。
【0084】モータCPU300は、フィードバック制
御系の電流指令値とフィードバック電流値との差分を算
出し(S102)、PI制御部302、304に入力す
る。PI制御部302、304は、フィードバック電圧
指令値を(Vd_fb、Vq_fb)を算出する(S104)。
【0085】演算回路306は、フィードバック電圧指
令上下限値を算出する(S106)。フィードバック電
圧指令値が、フィードバック電圧指令上下限値の範囲内
にあるか否かが判断され(S108)、フィードバック
電圧指令値がフィードバック電圧指令上下限値の範囲内
にない場合には(S108にてNO)、フィードバック
電圧指令値がフィードバック電圧指令上下限値の範囲外
である時間が積算されて積算時間Tが算出される(S1
10)。演算回路306は、フィードバック電圧指令制
限処理を行ない、計測された積算時間Tに応じて、新規
フィードバック電圧指令値(Vd_fb’、Vq_fb’)を算
出する(S112)。このとき、積算時間Tが大きくな
るに従って新規フィードバック電圧指令値は小さくなる
ように算出される。
【0086】モータCPU300は、フィードフォワー
ド電圧指令値と、フィードバック電圧指令値とを合成す
る(S114)。合成された電圧指令値は、座標変換部
308によりdq軸電圧指令値が三相電圧指令値に変換さ
れ(S116)、PWM電圧指令作成部310によりP
WM出力が実行される(S118)。PWM電圧指令作
成部310により作成されたPWM出力は、インバータ
400に送出される。インバータ400は、PWM電圧
指令作成部310から受信した制御信号に基づいて、モ
ータ700が制御される。
【0087】このような動作が行なわれている場合に、
電流センサ800が故障して、実際に流れている電流値
を計測できなかった場合について説明する。電流センサ
800は実際の電流を測定することができないため、入
力された電流指令値(Idcom、Iqcom)に対する偏差が大
きく算出される(S102)。算出された差分が現実の
差分よりも大きいため、フィードバック電圧指令値も現
実よりも大きく算出される(S104)。そのため、算
出されたフィードバック電圧指令値が、フィードバック
電圧指令上下限値の範囲内になく(S108にてN
O)、フィードバック電圧指令値がフィードバック電圧
指令上下限値の範囲外である積算時間Tが計測される
(S110)。フィードバック電圧指令制限処理が実行
され、積算時間Tが大きくなると小さくなるような、新
規フィードバック電圧指令値が算出される(S11
2)。
【0088】このような状態で、フィードフォワード電
圧指令値と新規フィードバック電圧指令値とが合成され
(S114)、dq軸電圧指令値が三相電圧指令値に変換
され(S116)、さらにPWM出力され(S11
8)、インバータ400に入力される。
【0089】電流センサ800が故障している場合に
は、S110にて計測される積算時間Tが常に増加し、
そのためフィードバック電圧指令制限処理が常に実行さ
れる。そのため、S112において、フィードバック電
圧指令制限処理が実行され、積算時間Tが長くなるに従
い、新規フィードバック電圧指令値が小さくなるように
算出され、フィードバック制御系からフィードフォワー
ド制御系へ漸次移行する。その結果、電流センサ800
が故障して正しい電流値が計測できない場合には、フィ
ードバック制御系からフィードフォワード制御系に移行
することになる。
【0090】フィードフォワード電圧指令値をインバー
タ400に与えることにより、電流指令値(Idcom、Iqc
om)に近いd軸電流値およびq軸電流値をモータ700
に流すことができ、トルク指令値に近いトルクを発生す
ることができる。ただし、モータ700の特定のばらつ
き等により、流れる電流値は、電流指令値とはずれを生
じ、実際に発生するトルクは、トルク指令値とは若干の
ずれを生ずる場合がある。
【0091】以上のようにして、本実施の形態に係る駆
動制御装置によると、モータに入力される電流を検知す
る電流センサが故障したり、フィードバック系の演算回
路が故障した場合に、フィードバック電圧指令値が予め
定められた範囲にないと、その範囲内にない時間に応じ
てフィードバック電圧指令値が小さくなるように補正さ
れる。その結果、フィードフォワード制御系とフィード
バック制御系とから構成される駆動制御装置において
は、徐々にフィードバック制御系の影響が低減し、フィ
ードフォワード制御系に移行する。その結果、フィード
バック制御系においてトラブルが発生しても、電気自動
車などの車両の走行を継続することができる、モータの
駆動制御装置を実現することができる。
【0092】今回開示された実施の形態はすべての点で
例示であって制限的なものではないと考えられるべきで
ある。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求
の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味お
よび範囲内でのすべての変更が含まれることが意図され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る駆動制御装置が搭
載される車両の駆動系統の制御ブロック図である。
【図2】 本発明の実施の形態に係る駆動制御装置の制
御ブロック図である。
【図3】 本発明の実施の形態に係る駆動制御装置にお
いて実行される処理の制御構造を示すフローチャート
(その1)である。
【図4】 本発明の実施の形態に係る駆動制御装置にお
いて実行される処理の制御構造を示すフローチャート
(その2)である。
【図5】 トルク指令値と電流指令値との関係を示す図
(その1)である。
【図6】 トルク指令値と電流指令値との関係を示す図
(その2)である。
【図7】 電流指令値と電圧指令値との関係を示す図
(その1)である。
【図8】 電流指令値と電圧指令値との関係を示す図
(その2)である。
【符号の説明】
100 HV−ECU、200 HV−CPU、300
モータCPU、302、304 PI制御部、306
演算回路、308 座標変換部(dp→uvw変
換)、310 PWM電圧指令作成部、312 フィー
ドフォワード電圧指令演算回路、314 回転数演算
部、316 座標変換部(uvw→dp変換)、400
インバータ、500 短絡防止時間作成回路、600
ゲートドライブ回路、700 モータ、800 電流
センサ。
フロントページの続き Fターム(参考) 5H115 PA08 PC06 PG04 PI13 PI29 PU10 PV09 PV23 QN03 QN06 QN09 QN22 QN23 QN24 QN27 RB22 RB26 TI05 TO12 TO13 TO21 TO23 TO30 5H576 AA15 CC02 DD02 DD07 EE01 EE11 EE30 GG04 HA04 HB02 JJ03 JJ24 KK05 LL22 LL41 MM11

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輛に搭載された多相モータにおいて所
    定のトルクを発生させるための逆ベクトル電圧指令値に
    基づいてフィードバック電圧指令値を演算するためのフ
    ィードバック電圧指令手段と、 前記車輛の運転者の要求に起因する電流指令値に基づい
    てフィードフォワード電圧指令値を演算するためのフィ
    ードフォワード電圧指令手段と、 前記フィードバック電圧指令手段に接続され、前記フィ
    ードバック電圧指令手段により演算されたフィードバッ
    ク電圧指令値が予め定められた第1の条件を満足する
    と、予め定められた第2の条件を満足するように、前記
    フィードバック電圧指令値を補正するためのフィードバ
    ック電圧指令補正手段と、 前記フィードバック電圧指令補正手段と前記フィードフ
    ォワード電圧指令手段とに接続され、前記フィードバッ
    ク電圧指令値と前記フィードフォワード電圧指令値とに
    基づいて、前記多相モータを制御するための電圧指令値
    を算出するための算出手段とを含む、モータの駆動制御
    装置。
  2. 【請求項2】 前記駆動制御装置は、フィードバック電
    圧指令手段に接続され、前記フィードバック電圧指令手
    段により演算されたフィードバック電圧指令値が予め定
    められた第1の値以上である状態が、予め定められた時
    間以上継続すると、フィードバック制御系が故障してい
    ると判断するための故障判断手段をさらに含む、請求項
    1に記載の駆動制御装置。
  3. 【請求項3】 前記故障判断手段は、フィードバック制
    御系に接続された電流検知センサが故障していると判断
    するための手段を含む、請求項2に記載の駆動制御装
    置。
  4. 【請求項4】 前記フィードバック電圧指令補正手段
    は、前記フィードバック電圧指令手段により演算された
    フィードバック電圧指令値が予め定められた第1の値以
    上であると、前記フィードバック電圧指令値を予め定め
    られた第2の値以下になるように補正するための手段を
    含む、請求項1に記載の駆動制御装置。
  5. 【請求項5】 前記駆動制御装置は、フィードバック電
    圧指令手段に接続され、前記フィードバック電圧指令手
    段により演算されたフィードバック電圧指令値が予め定
    められた第1の値以上である状態が、予め定められた時
    間以上継続すると、前記算出手段により算出される電圧
    指令値におけるフィードフォワード電圧指令値の影響を
    増大させるための電圧指令補正手段をさらに含む、請求
    項4に記載の駆動制御装置。
  6. 【請求項6】 前記電圧指令補正手段は、前記第2の値
    を漸次減少させるための手段を含む、請求項5に記載の
    駆動制御装置。
  7. 【請求項7】 前記駆動制御装置は、前記多相モータと
    前記算出手段とに接続され、前記多相モータを制御する
    ためのインバータ回路をさらに含む、請求項1〜4のい
    ずれかに記載の駆動制御装置。
  8. 【請求項8】 前記駆動制御装置は、 前記多相モータと前記算出手段とに接続され、前記多相
    モータを制御するためのインバータ回路と、 前記電圧指令補正手段によりフィードフォワード電圧指
    令値の影響が増大されている場合には、前記インバータ
    回路におけるデッドタイムの影響を減少させるための低
    減手段とをさらに含む、請求項5または6に記載の駆動
    制御装置。
  9. 【請求項9】 前記フィードフォワード電圧指令手段
    は、予め準備されたマップに基づいてフィードフォワー
    ド電圧指令値を演算するための手段を含む、請求項1〜
    8のいずれかに記載の駆動制御装置。
  10. 【請求項10】 車輛に搭載された多相モータにおいて
    所定のトルクを発生させるための逆ベクトル電圧指令値
    に基づいてフィードバック電圧指令値を演算するフィー
    ドバック電圧指令ステップと、 前記車輛の運転者の要求に起因する電流指令値に基づい
    てフィードフォワード電圧指令値を演算するフィードフ
    ォワード電圧指令ステップと、 前記フィードバック電圧指令ステップにて演算されたフ
    ィードバック電圧指令値が予め定められた第1の条件を
    満足すると、予め定められた第2の条件を満足するよう
    に、前記フィードバック電圧指令値を補正するフィード
    バック電圧指令補正ステップと、 前記フィードバック電圧指令値と前記フィードフォワー
    ド電圧指令値とに基づいて、前記多相モータを制御する
    ための電圧指令値を算出する算出ステップとを含む、モ
    ータの駆動制御方法。
  11. 【請求項11】 前記駆動制御方法は、前記フィードバ
    ック電圧指令ステップにて演算されたフィードバック電
    圧指令値が予め定められた第1の値以上である状態が、
    予め定められた時間以上継続すると、フィードバック制
    御系が故障していると判断する故障判断ステップをさら
    に含む、請求項10に記載の駆動制御方法。
  12. 【請求項12】 前記故障判断ステップは、フィードバ
    ック制御系に接続された電流検知センサが故障している
    と判断するステップを含む、請求項11に記載の駆動制
    御方法。
  13. 【請求項13】 前記フィードバック電圧指令補正ステ
    ップは、前記フィードバック電圧指令ステップにて演算
    されたフィードバック電圧指令値が予め定められた第1
    の値以上であると、前記フィードバック電圧指令値を予
    め定められた第2の値以下になるように補正するステッ
    プを含む、請求項10に記載の駆動制御方法。
  14. 【請求項14】 前記駆動制御方法は、前記フィードバ
    ック電圧指令ステップにて演算されたフィードバック電
    圧指令値が予め定められた第1の値以上である状態が、
    予め定められた時間以上継続すると、前記算出ステップ
    にて算出される電圧指令値におけるフィードフォワード
    電圧指令値の影響を増大させる電圧指令補正ステップを
    さらに含む、請求項13に記載の駆動制御方法。
  15. 【請求項15】 前記電圧指令補正ステップは、前記第
    2の値を漸次減少させるステップを含む、請求項14に
    記載の駆動制御方法。
  16. 【請求項16】 前記フィードフォワード電圧指令ステ
    ップは、予め準備されたマップに基づいてフィードフォ
    ワード電圧指令値を演算するステップを含む、請求項1
    0〜15のいずれかに記載の駆動制御方法。
  17. 【請求項17】 車輛に搭載された多相モータにおいて
    所定のトルクを発生させるための逆ベクトル電圧指令値
    に基づいてフィードバック電圧指令値を演算するフィー
    ドバック電圧指令ステップと、 前記車輛の運転者の要求に起因する電流指令値に基づい
    てフィードフォワード電圧指令値を演算するフィードフ
    ォワード電圧指令ステップと、 前記フィードバック電圧指令ステップにて演算されたフ
    ィードバック電圧指令値が予め定められた第1の条件を
    満足すると、予め定められた第2の条件を満足するよう
    に、前記フィードバック電圧指令値を補正するフィード
    バック電圧指令補正ステップと、 前記フィードバック電圧指令値と前記フィードフォワー
    ド電圧指令値とに基づいて、前記多相モータを制御する
    ための電圧指令値を算出する算出ステップとを含むモー
    タの駆動制御方法を、コンピュータに実現させるプログ
    ラムを記録した記録媒体。
  18. 【請求項18】 前記駆動制御方法は、前記フィードバ
    ック電圧指令ステップにて演算されたフィードバック電
    圧指令値が予め定められた第1の値以上である状態が、
    予め定められた時間以上継続すると、フィードバック制
    御系が故障していると判断する故障判断ステップをさら
    に含む、請求項17に記載の記録媒体。
  19. 【請求項19】 前記故障判断ステップは、フィードバ
    ック制御系に接続された電流検知センサが故障している
    と判断するステップを含む、請求項18に記載の記録媒
    体。
  20. 【請求項20】 前記フィードバック電圧指令補正ステ
    ップは、前記フィードバック電圧指令ステップにて演算
    されたフィードバック電圧指令値が予め定められた第1
    の値以上であると、前記フィードバック電圧指令値を予
    め定められた第2の値以下になるように補正するステッ
    プを含む、請求項17に記載の記録媒体。
  21. 【請求項21】 前記駆動制御方法は、前記フィードバ
    ック電圧指令ステップにて演算されたフィードバック電
    圧指令値が予め定められた第1の値以上である状態が、
    予め定められた時間以上継続すると、前記算出ステップ
    にて算出される電圧指令値におけるフィードフォワード
    電圧指令値の影響を増大させる電圧指令補正ステップを
    さらに含む、請求項20に記載の記録媒体。
  22. 【請求項22】 前記電圧指令補正ステップは、前記第
    2の値を漸次減少させるステップを含む、請求項21に
    記載の記録媒体。
  23. 【請求項23】 前記フィードフォワード電圧指令ステ
    ップは、予め準備されたマップに基づいてフィードフォ
    ワード電圧指令値を演算するステップを含む、請求項1
    7〜22のいずれかに記載の記録媒体。
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