JP2003218466A - 半導体レーザ素子およびその製造方法 - Google Patents

半導体レーザ素子およびその製造方法

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JP2003218466A
JP2003218466A JP2002012763A JP2002012763A JP2003218466A JP 2003218466 A JP2003218466 A JP 2003218466A JP 2002012763 A JP2002012763 A JP 2002012763A JP 2002012763 A JP2002012763 A JP 2002012763A JP 2003218466 A JP2003218466 A JP 2003218466A
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etching
semiconductor laser
ridge
laser device
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Masaki Kondo
正樹 近藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基本横モード発振の高出力レーザ素子を歩留
り良く製造することができ、かつ、高信頼性で高出力な
半導体レーザ素子およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 この半導体レーザ素子では、リッジ部1
1が有するリッジ上部11Uの側面11aは、{11
1}A面の面方位が出ている側面である。したがって、
電流ブロック層7,8およびコンタクト層9内での結晶
欠陥、転移、歪の発生を防止できる。また、リッジ下部
11Lは、垂直異方性ドライエッチングによって、垂直
なリッジ側面11Lsとなるリッジ形状となっている。
したがって、レーザ発振の横モード制御に重要なリッジ
下部11Lのリッジ幅Dを高精度に制御できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、半導体レーザ素
子およびその製造方法に関し、特に、リッジ導波路型の
半導体レーザ素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】(第1従来例)図22に、第1従来例であ
る一般的なリッジ導波路型の半導体レーザ素子の断面を
示す。この半導体レーザ素子は、n−GaAs基板20
1の(100)面上に、n−AlGaAs第1クラッド層
202、量子井戸活性層203、p−AlGaAs第2
クラッド層204a、p−GaAsエッチングストップ
層205が形成されている。
【0003】このp−GaAsエッチングストップ層2
05上には、p−AlGaAs第3クラッド層204
b、p−GaAsキャップ層206がメサストライプ状
凸型に形成されている。このp−AlGaAs第3クラ
ッド層204bの両外側には、p−AlGaAs第3ク
ラッド層204bよりも低屈折率のn−AlGaAs電
流ブロック層207およびn−GaAs電流ブロック層
208が形成されている。さらにその上には、p−Ga
Asコンタクト層209が形成されている。
【0004】次に、図23(a)〜(d)および図24(e)
〜(g)を順に参照して、この第1従来例の半導体レーザ
素子の作製方法を説明する。
【0005】まず、第1回目の結晶成長によって、図2
3(a)に示すように、n−GaAs基板201の(10
0)面上に、n−AlGaAs第1クラッド層202、
量子井戸活性層203、p−AlGaAs第2クラッド
層204a、p−GaAsエッチングストップ層20
5、p−AlGaAs第3クラッド層204b、p−G
aAsキャップ層206を順次積層成長する。次に、図
23(b)に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術
を用いて、p−GaAsキャップ層206上の〈01バ
ー1〉方向にストライプ状のレジストマスク214を形
成し、公知のエッチング技術を用いてp−AlGaAs
第3クラッド層204b、p−GaAsキャップ層20
6をメサストライプ状凸型となる形状にエッチングす
る。このとき、エッチング方法としては、p−GaAs
キャップ層206およびp−AlGaAs第3クラッド
層204bの両層の非選択性エッチングを行う硫酸/過
酸化水素水/水の硫酸系エッチャントによってp−Ga
Asキャップ層206とp−AlGaAs第3クラッド
層204bの途中までエッチングを行う。このようにエ
ッチングされずに残したp−AlGaAs第3クラッド
層204bの厚さを、残し厚224と呼ぶ(図23
(c))。
【0006】次に、図23(d)に示すように、p−Al
GaAs第3クラッド層204bの選択性エッチングを
行うフッ化水素酸によって、p−AlGaAs第3クラ
ッド層204bのエッチングを行う。このエッチングで
は、深さ方向は、p−AlGaAs第3クラッド層20
4bの残し厚224だけのエッチングを行い、p−Ga
Asエッチングストップ層205でエッチングを停止さ
せて、リッジ形状のリッジ部211を作製する。このリ
ッジ部211のリッジ側面は、フッ化水素酸エッチング
のエッチング速度の面方位依存性によって、エッチング
速度の遅い面方位である{111}A面が露出し、リッ
ジ部211の底面とリッジ部211の側面の角度が5
4.7°となるメサストライプ状の凸型リッジ部211
となる。
【0007】次に、図24(e)に示すように、レジスト
マスク214を除去して、第2回目の結晶成長によっ
て、n−AlGaAs電流ブロック層207、n−Ga
As電流ブロック層208を積層する。
【0008】このとき、p−GaAsキャップ層206
上にも、n−AlGaAs電流ブロック層207、n−
GaAs電流ブロック層208が成長し、不要層21
7,218を形成する。
【0009】次に、図24(f)に示すように、フォトリ
ソグラフィ技術を用いて、p−GaAsキャップ層20
6上の不要層218の上部のみを開口したレジストマス
ク215を形成し、公知のエッチング技術によって、p
−GaAsキャップ層206上の不要層217および2
18を除去する。
【0010】次に、図24(g)に示すように、レジスト
マスク215を除去し、第3回目の結晶成長によってp
−GaAsコンタクト層209を積層する。
【0011】以上のように作製したウエハのn−GaA
s基板201側を公知の技術にて約100μmまで薄く
し、p−GaAsコンタクト層209の上面およびn−
GaAs基板201の下面に各々オーミック電極21
2,213を形成する。そして、リッジストライプ方向
に対して垂直にへき開することによって共振器端面を形
成し、さらに、へき開面にコーティング膜を形成するこ
とによって、図22に示す前記第1従来例の半導体レー
ザ素子が完成する。
【0012】(第2従来例)次に、図25に、第2従来例
のリッジ導波路型半導体レーザ素子の断面を示す。この
半導体レーザ素子は、n−GaAs基板上301の(1
00)面上に、n−AlGaAs第1クラッド層30
2、量子井戸活性層303、p−AlGaAs第2クラ
ッド層304aが形成されており、p−AlGaAs第
2クラッド層304a上にはp−AlGaAs第3クラ
ッド層304b、p−GaAsキャップ層306が矩形
ストライプ状凸型に形成されている。
【0013】上記p−AlGaAs第3クラッド層30
4bの両外側には、p−AlGaAs第3クラッド層3
04bよりも低屈折率のn−AlGaAs電流ブロック
層307およびn−GaAs電流ブロック層308が形
成されている、さらにその上にはp−GaAsコンタク
ト層309が形成されている。
【0014】次に、この第2従来例の半導体レーザ素子
の作製方法を、図26(a)〜(d),図27(e)〜(f)で
説明する。まず、第1回目の結晶成長によってn−Ga
As基板301の(100)面上に、n−AlGaAs第
1クラッド層302、量子井戸活性層303、p−Al
GaAs上クラッド層304、p−GaAsキャップ層
306を順次積層成長する(図26(a))。
【0015】次に、図26(b)に示すように、公知のフ
ォトリソグラフィ技術を用いて、p−GaAsキャップ
層306上の〈011〉方向に、ストライプ状のレジス
トマスク314を形成し、公知のドライエッチング技術
によって、所望の厚さが残るように、p−GaAsキャ
ップ層306、p−AlGaAs上クラッド層304を
エッチングする。これにより、図26(c)に示すよう
に、矩形ストライプ状凸型となるリッジ部311を形成
する。p−AlGaAs上クラッド層304のドライエ
ッチングせずに残した部分を、p−AlGaAs第2ク
ラッド層304aとし、リッジ部311を構成する部分
をp−AlGaAs第2クラッド層304bとする。
【0016】ここで、上記ドライエッチング方法として
は、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Et
ching)や反応性イオンビームエッチング(RIBE:Rea
ctive Ion Beam Etching)等の、物理的エッチングモー
ドが強い垂直異方性ドライエッチングによって、p−G
aAsキャップ層306、p−AlGaAs第3クラッ
ド層304bを垂直にエッチングし、リッジ部311を
形成する(図26(c))。
【0017】上記垂直異方性ドライエッチングによって
形成されたリッジ部311の側面と、リッジ部311の
底面とは、ほぼ90゜の角度を形成し、矩形ストライプ
状凸型の垂直リッジ形状を形成する。
【0018】以後の工程は、前述の第1従来例と同様で
あり、レジストマスク314を除去した後の第2回目の
結晶成長によって、電流ブロック層307,308を積
層する(図26(d))。その後、p−GaAsキャップ層
306上の不要層318上部にレジストマスク315の
開口部を設け、不要層317,318の除去を行う(図2
7(e))。次に、レジストマスク315を除去した後、
第3回目の結晶成長によってp−GaAsコンタクト層
309を積層する(図27(f))。
【0019】以上のように作製したウエハのn−GaA
s基板301側を公知の技術にて約100μmまで薄く
し、p−GaAsコンタクト層309の上面およびn−
GaAs基板301の下面に各々オーミック電極31
2,313を形成する。そして、リッジストライプ方向
に対して垂直にへき開することによって、共振器端面を
形成し、へき開面にコーティング膜を形成することによ
って、図25に示す第2従来例の半導体レーザ素子が完
成する。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、基本横モ
ード発振で高信頼性の高出力半導体レーザ素子およびそ
の製造方法を提供することを目的としており、上記従来
例の半導体レーザ素子の製造方法には、以下のような問
題点がある。
【0021】まず、第1従来例の半導体レーザ素子の製
造方法においては、リッジ形成のためのp−GaAsキ
ャップ層206、p−AlGaAs第3クラッド層20
4bのエッチングにおいて、深さ方向のエッチングと共
に、横方向のエッチングであるサイドエッチングが大き
く進行する。このため、リッジ部211の形成には、深
さ方向のエッチング量とサイドエッチング量を同時に制
御する必要があるから、光導波路および電流経路として
重要なリッジ幅の精密な制御が困難となっている。特
に、基本横モード発振で高出力特性を持つリッジ導波路
型半導体レーザを製造するためには、リッジ部211の
最も活性層203に近いリッジ部211下側のリッジ幅
は重要である。以下、特に部分指定が無い場合、リ
ッジ部の下側のリッジ幅を、リッジ幅と称す。
【0022】すなわち、図22に示すように、p−Ga
Asエッチングストップ層205とリッジ部211とが
接する部分のリッジ幅Wは、横モード制御の観点から
重要であり、このリッジ幅Wが広いと高次モードが発
生しやすくなることから、基本横モード発振のために
は、リッジ幅Wを狭く制御する必要がある。また一
方、高出力化の観点からは、端面光密度低減の必要性か
ら、リッジ幅Wを広く制御する必要があるといった相
反するリッジ幅制御が必要であり、これらを両立するリ
ッジ幅の設計範囲は非常に狭いものとなる。
【0023】また、半導体レーザの高出力化の観点か
ら、端面光密度低減のために、活性層203から垂直方
向への光しみ出し量を大きくした場合に、p−GaAs
キャップ層206での光吸収を防止するため、p−Al
GaAs第3クラッド層204bの厚膜化が必要であ
る。
【0024】ところが、第1従来例のリッジ形状では、
図22に示すように、リッジ部211は、上部に行くほ
ど狭くなる順メサ型リッジ形状である。このため、p−
AlGaAs第3クラッド層204bの最上部のリッジ
幅 (以下、リッジ首幅と称す)であるリッジ首幅W
は、狭くなり、素子抵抗増大といった不都合が生じる
問題があった。また、第1従来例では、リッジ部211
が延在するリッジストライプの方向を〈01バー1〉方
向の順メサリッジ方向としているが、〈011〉方向の
逆メサリッジ方向とした場合でも、フッ化水素酸のリッ
ジエッチングでは、p−AlGaAs第3クラッド層2
04bのエッチングは等方的に進む。このため、リッジ
部211の下部のリッジ幅W1に対して、リッジ部21
1の上部のリッジ首幅W2が狭いリッジ形状となり、順
メサリッジ形状と同等のリッジ形状となる。したがっ
て、〈011〉方向の逆メサリッジ方向とした場合で
も、〈01バー1〉方向の順メサリッジの場合と同様
に、リッジ幅制御、リッジ形状の点から、基本横モード
発振の高出力半導体レーザ素子の製造が困難であるとい
った問題点が生じる。
【0025】次に、第2従来例の半導体レーザ素子の製
造方法においては、ドライエッチングによってリッジ部
311を形成しているため、図25に示すリッジ幅W
の精密制御が可能であり、基本横モード発振および水平
方向光密度低減を両立するリッジ幅の半導体レーザ素子
を歩留まり良く作製することが可能となっている。ま
た、リッジ部311が矩形型リッジ形状であるため、高
出力化のために垂直方向の光しみ出し量を多くし、p−
GaAsキャップ層306での光吸収防止のため第3ク
ラッド層304bを厚膜化した場合でも、リッジ首幅W
の幅狭化が発生せず、半導体レーザ素子の高抵抗化の
不都合が生じることが無い。
【0026】ところが、ドライエッチングによって作製
した矩形型リッジ部311の側面上に、再成長したn−
AlGaAs電流ブロック層307、n−GaAs電流
ブロック層308およびp−GaAsコンタクト309
層内には、結晶欠陥、転移、歪が存在しており、これら
の結晶欠陥、転移は半導体レーザ素子の通電中に増殖
し、リッジ部311の下部の活性層303の発光領域に
達した場合に、急速な特性劣化を引き起こすこととな
る。また、これらリッジ部311の上部の電流ブロック
層307,308、コンタクト層309内の歪の存在
は、活性層303の発光領域に応力を加えることとな
る。このため、半導体レーザ素子の通電中に、活性層3
03の発光領域内に転移を発生させ、急速な特性劣化を
引き起こし易い状態となっている。
【0027】このような転移の増殖、発生は、半導体レ
ーザ素子を高出力駆動させている場合には、活性層30
3の発光領域周辺が高温となっているため、転移の増
殖、発生は促進され、特性劣化に至る場合が多くなる。
以上のような点から、第2従来例の半導体レーザ素子で
は、高信頼性の高出力半導体レーザ素子の製造が困難で
あるといった問題点が生じる。
【0028】この問題点について、上記の再成長したn
−AlGaAs電流ブロック層307、n−GaAs電
流ブロック層308およびp−GaAsコンタクト層3
09内に、結晶欠陥、転移、歪が発生する機構を、第2
従来例の工程図(図26,図27)と、図28(d)',図2
8(e)',図29を参照してより詳細に説明する。この図
28(d)',図28(e)',図29では、図26(d),図2
7(e),(f)に、結晶欠陥等が発生しやすい領域321,
322,323を追加記載した。
【0029】図28(d)'は、ドライエッチングによっ
て、矩形型リッジ部311を作製後、第2回目の結晶成
長によって、n−AlGaAs電流ブロック層307、
n−GaAs電流ブロック層308を積層した状態を示
す。
【0030】n−AlGaAs電流ブロック層307、
n−GaAs電流ブロック層308を結晶成長する際
に、矩形型リッジ部311の両側では、面方位が(10
0)面であるp−AlGaAs第2クラッド層304a
の表面から上方向の結晶成長が進行する。また、リッジ
部311の側面を構成するp−GaAsキャップ層30
6およびp−AlGaAs第3クラッド層304bのド
ライエッチング加工面から横方向の結晶成長が進行す
る。これにより、これらの電流ブロック層307,30
8が積層される。
【0031】上記の電流ブロック層307,308の結
晶成長において、リッジ部311の側面からの結晶成長
では、成長面であるリッジ側面がドライエッチングによ
る加工面であることから、面方位が出ていない格子面が
乱れた表面状態である。したがって、その上の結晶成長
層であるn−AlGaAs電流ブロック層307は、格
子面の乱れを引き継ぎ、その層307内に、結晶欠陥、
転移、歪を含んだものとなる。また、n−AlGaAs
電流ブロック層307の結晶欠陥等を含む領域上に結晶
成長したn−GaAs電流ブロック層308において
も、結晶欠陥等を引き継ぎ、その層308内に結晶欠陥
等を含むこととなる。
【0032】図28(d)'に、結晶欠陥、転移、歪を含
む電流ブロック層307,308の領域321,322を
示す。リッジ側面上側の両脇では、成長した電流ブロッ
ク層307,308に結晶欠陥等が含まれるのに対し
て、リッジ側面下側の両脇の電流ブロック層307,3
08では、結晶欠陥、転移、歪は含まれない。
【0033】その理由は、電流ブロック層307,30
8の成長速度が、リッジ側面から横方向への成長より
も、(100)面上から上方向への成長速度が速いことに
起因して、リッジ部311の下側の両脇における電流ブ
ロック層307,308の成長が、(100)面上から上
方向への結晶成長が支配的となるからである。
【0034】これにより、リッジ部311の側面下側の
両脇に成長する領域では、電流ブロック層307,30
8は、リッジ部311の側面の格子面の乱れを引き継が
ないことになる。
【0035】そして、図28(e)'に示すように、不要
層317,318を除去する工程後の断面構造では、リ
ッジ部311の両脇でのn−AlGaAs電流ブロック
層307およびn−GaAs電流ブロック層308の上
面側に、結晶欠陥、転移、歪を含む成長面が露出するこ
とになる。すなわち、領域321,322が、結晶欠陥
等を含む領域である。
【0036】次に、図29(f)'に、第3回目の結晶成
長によって、p−GaAsコンタクト層309を積層さ
せた断面構造を示す。この断面では、先のリッジ部31
1の両脇の結晶欠陥、転移、歪を含む電流ブロック層露
出面321,322上に結晶成長した、p−GaAsコ
ンタクト層309内には、結晶欠陥等が引き継がれる。
このため、p−GaAsコンタクト層309の領域32
3内には、結晶欠陥、転移、歪が含まれることになる。
【0037】以上のような機構で、ドライエッチング加
工面であるリッジ側面、特にリッジ部上側側面に起因し
て、電流ブロック層、コンタクト層内に結晶欠陥、転
移、歪が発生し、半導体レーザ素子の信頼性悪化を引き
起こすという問題点がある。
【0038】そこで、この発明の目的は、上述したよう
な問題点を解消することにある。すなわち、この発明の
目的は、レーザ発振の横モード制御に重要なリッジ下側
のリッジ幅を、高精度に制御することによって、基本横
モード発振の高出力レーザ素子を歩留り良く製造するこ
とができ、かつ、電流ブロック層、コンタクト層内での
結晶欠陥、転移、歪の発生を防止することができて、高
信頼性で高出力な半導体レーザ素子およびその製造方法
を提供することにある。
【0039】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の半導体レーザ素子は、第1導電型の半導
体基板上に、少なくとも第1導電型の第1クラッド層
と、活性層と、第2導電型の第2クラッド層と、共振器
の長さ方向に延在するリッジ部を構成する第2導電型の
第3クラッド層および第2導電型のキャップ層と、上記
リッジ部の両脇に配置された電流ブロック層と、上記リ
ッジ部の上に配置された第2導電型コンタクト層とを備
える半導体レーザ素子であって、上記リッジ部は、側面
の面方位出しが行われている0.3μm厚以上の部分を
含む上部を有し、上記リッジ部が有する下部の側面と上
記リッジ部の底面とがなす角度と90°との差が、上記
リッジ部の上部の側面と上記リッジ部の底面とがなす角
度と90°との差よりも小さいことを特徴としている。
ここで、差が小さいとは、差の絶対値を言っている。以
下同じである。
【0040】この発明では、上記リッジ部が、側面の面
方位出しが行われている0.3μm厚以上の部分を含む
上部を有することによって、上記リッジ部の側面の表面
を格子面が均一な状態としている。これにより、そのリ
ッジ部の上に積層する上記電流ブロック層およびコンタ
クト層内の結晶欠陥、転移、歪の発生を防止している。
また、上記リッジ部が有する下部の側面と上記リッジ部
の底面とがなす角度が、上記リッジ部の上部の側面と上
記リッジ部の底面とがなす角度よりも急であることによ
って、発光領域の光密度低減と、基本横モード発振を両
立する導波路構造となっている。これにより、この発明
によれば、高出力駆動での高信頼性の半導体レーザ素子
が得られる。
【0041】なお、上記リッジ部の、上部側面の面方位
出しが行われている部分が0.3μm厚未満の場合に
は、リッジ部の下部両脇の電流ブロック層の成長は、
(100)面上から上方向への成長だけではなく、面方位
が出ていないリッジ部の下部側面から横方向への成長の
影響が無視できなくなる。このため、電流ブロック層お
よびコンタクト層内に結晶欠陥,転移,歪が発生すること
となる。
【0042】また、上記リッジ部が有する下部の側面と
上記リッジ部の底面とがなす角度と90°との差が、上
記リッジ部の上部の側面と上記リッジ部の底面とがなす
角度と90°との差よりも小さい。このことは、上記リ
ッジ部が有する下部の側面と上記リッジ部の底面とがな
す角度が、上記リッジ部の上部の側面と上記リッジ部の
底面とがなす角度よりも急であることを意味している。
なお、上記差は、差の絶対値を意味しているので、たと
えば、逆メサ形状のリッジ部の側面と底面とがなす鈍角
と、順メサ形状のリッジ部の側面と底面とがなす鋭角と
の比較においては、逆メサ形状のリッジ部の側面の角度
を(180°−(上記鈍角))とし、順メサ形状のリッジ部
の側面の上記鋭角とを比較する。そして、角度の大きい
方(90゜に近い方)を、角度が急であるとする。
【0043】また、一実施形態の半導体レーザ素子は、
上記リッジ部の上記上部が、上記第2導電型のキャップ
層で構成されており、上記リッジ部の上記下部が、上記
第2導電型の第3クラッド層で構成されている。
【0044】この実施形態では、リッジ部の下部をなす
第3クラッド層の側面により、リッジ部を底面との角度
が急峻なリッジ形状とし、リッジ部の上部をなすキャッ
プ層の側面において、面方位出しを行う。これにより、
選択エッチングによって、リッジ部の下部をエッチング
させずに、リッジ部の上部の面方位出しエッチングが可
能となる。これにより、作製工程を簡略化した半導体レ
ーザ素子が得られる。
【0045】また、一実施形態の半導体レーザ素子は、
上記リッジ部の上記下部の側面と上記リッジ部の底面と
がなす角度が、70°以上、かつ、90゜以下である。
【0046】この実施形態では、上記リッジ部の上記下
部の側面と上記リッジ部の底面とがなす角度が、70°
以上、かつ、90゜以下であることによって、発光領域
の光密度低減および低抵抗化と、基本横モード発振とを
両立させたリッジ形状のリッジ部を容易に作製できるこ
ととなる。
【0047】また、一実施形態の半導体レーザ素子の製
造方法は、第1導電型の半導体基板上に、少なくとも、
第1導電型の第1クラッド層と、活性層と、第2導電型
の第2クラッド層と、共振器の長さ方向に延在するリッ
ジ部を構成する第2導電型の第3クラッド層および第2
導電型のキャップ層と、上記リッジ部の両脇に配置され
た電流ブロック層と、上記リッジ部の上に配置された第
2導電型コンタクト層とを備える半導体レーザ素子の製
造方法であって、上記リッジ部のうち、少なくとも上記
活性層に近い下部を、垂直異方性の強いドライエッチン
グによって形成し、上記リッジ部のうちの上部の側面の
面方位出しを行った後、上記電流ブロック層の結晶成長
を行う。
【0048】この実施形態の製造方法では、上記リッジ
部のうち、少なくとも上記活性層に近い下部を、垂直異
方性の強いドライエッチングによって形成する。これに
より、リッジ幅を高精度に制御でき、かつ、垂直性の高
いリッジ側面を持つリッジ部が作製可能となる。また、
上記リッジ部のうちの上部の側面の面方位出しを行っ
て、上記電流ブロック層の結晶成長を行うことにより、
上記リッジ部の側面を格子面が均一な状態とし、その上
に積層する電流ブロック層およびコンタクト層内の結晶
欠陥,転移,歪の発生を防止している。
【0049】また、一実施形態の半導体レーザ素子の製
造方法では、上記リッジ部の上記上部の側面の面方位出
しを、面方位選択性のある異方性エッチングによって行
う。
【0050】この実施形態の半導体レーザ素子の製造方
法では、上記のリッジ側面の面方位出し方法として、面
方位依存性がある異方性エッチングを用いている。これ
により、リッジ部の上部の側面に出す面方位を高精度化
できる。さらに、面方位を出したリッジ部の側面の加工
面が低ダメージであることから、リッジ部の側面への上
積層である電流ブロック層およびコンタクト層内の結晶
欠陥、転移、歪発生をさらに抑制できる。
【0051】また、一実施形態の半導体レーザ素子の製
造方法は、上記リッジ部の上記上部の側面の面方位を
{111}面にする。
【0052】この実施形態の半導体レーザ素子の製造方
法では、上記リッジ部の上記上部の側面の面方位出し面
を、一般的にエッチング速度の遅い面方位である{11
1}面とした。これにより、面方位選択性のある異方性
エッチングでは最も面方位を出しやすくなり、作製工程
を容易にできる。
【0053】また、一実施形態の半導体レーザ素子の製
造方法は、上記第3クラッド層がエッチングされること
なく、上記キャップ層のみがエッチングされる第1選択
エッチングによって、上記キャップ層の側面を面方位が
出るまでエッチングする。
【0054】この実施形態の半導体レーザ素子の製造方
法では、上記第3クラッド層がエッチングされることな
く、キャップ層のみがエッチングされる第1選択エッチ
ングによって、上記リッジ部の上部のリッジ側面の面方
位出しする領域を、上記キャップ層に限定している。こ
れにより、請求項7の発明の製造方法では、組成選択性
のあるエッチングによって、第3クラッド層から構成さ
れるリッジ部の下部側面の形状を崩すことなく、キャッ
プ層で構成されるリッジ部の上部側面の面方位出しエッ
チングが可能となる。したがって、リッジ部の下部をエ
ッチングから保護する処理を必要とせずに、リッジ部の
上部のみの面方位出しエッチングができ、作製工程を簡
略化できる。
【0055】また、一実施形態の半導体レーザ素子の製
造方法は、上記ドライエッチングによって、上記リッジ
部を形成した後、上記ドライエッチングにおけるドライ
エッチングマスクを残し、このドライエッチングマスク
を、上記キャップ層の側面を上記第1選択エッチングす
る時に上記キャップ層の上面を保護する保護マスクとし
て使用する。
【0056】この実施形態の半導体レーザ素子の製造方
法では、上記ドライエッチングによりリッジ部を形成す
る時に使用したドライエッチングマスクを残し、このド
ライエッチングマスクを、キャップ層の側面の面方位出
しのための第1選択エッチングの際に、キャップ層上面
保護マスクとして使用している。これにより、作製工程
を簡略化できる。
【0057】また、一実施形態の半導体レーザ素子の製
造方法は、上記第3クラッド層を、Alを構成元素とす
る化合物半導体層とし、上記キャップ層を、Alを構成
元素としない化合物半導体層とし、上記第3クラッド層
の表面に生成される酸化膜と上記キャップ層の表面に生
成される酸化膜との相違によって、上記第3クラッド層
がエッチングされることなく、上記キャップ層のみがエ
ッチングされる組成選択性ドライエッチングを行い、上
記キャップ層の側面を面方位が出るまでエッチングす
る。
【0058】この実施形態の半導体レーザ素子の製造方
法では、表面酸化膜に依存する組成選択性のあるドライ
エッチングによって、第3クラッド層から構成されるリ
ッジ部の下部の側面形状を崩すことなく、キャップ層で
構成されるリッジ部の上部側面の面方位出しエッチング
が可能となる。これにより、リッジ部の下部をエッチン
グから保護する処理を必要とせずに、リッジ部の上部の
みの面方位出しエッチングを実行でき、作製工程を簡略
化できる。また、リッジ部の形成と面方位出しのエッチ
ングとを共に、ドライエッチングで実行できるので、リ
ッジ形状の制御性および均一性を向上できる。
【0059】また、一実施形態の半導体レーザ素子の製
造方法は、上記第3クラッド層と上記キャップ層の露出
面の表面酸化工程を行った後、上記第3クラッド層がエ
ッチングされることなく、上記キャップ層のみがエッチ
ングされる組成選択性ドライエッチングを行い、上記キ
ャップ層の側面を面方位が出るまでエッチングする。
【0060】この実施形態の半導体レーザ素子の製造方
法では、表面酸化膜に依存する組成選択性のあるドライ
エッチングを行う前に、表面酸化処理を行うことによっ
て、均一性や再現性の高い酸化膜を作製でき、組成選択
性ドライエッチングの均一性と再現性を向上して、リッ
ジ形状の均一性と再現性を向上できる。
【0061】また、一実施形態の半導体レーザ素子の製
造方法は、上記第2クラッド層と上記第3クラッド層と
の間にエッチングストップ層を形成し、ドライエッチン
グによって、上記リッジ部を形成した後、上記キャップ
層の側面を第1選択エッチングすることによって、上記
キャップ層の側面の面方位出しを行い、その後、エッチ
ングストップ層までの第2選択エッチングを行うリッジ
作製工程において、上記第1選択エッチングによる上記
キャップ層の側面の面方位出しによって露出した上記第
3クラッド層の上面を、エッチング保護膜で被覆した
後、エッチングストップ層までの第2選択エッチング工
程を行う。
【0062】この実施形態の半導体レーザ素子の製造方
法では、上記第1選択エッチングによる上記キャップ層
の側面の面方位出しによって露出した上記第3クラッド
層の上面を、エッチング保護膜で被覆した後、エッチン
グストップ層までの第2選択エッチング工程を行う。こ
れにより、上記第2選択エッチングで、露出した第3ク
ラッド層上面がエッチングされることを防ぎ、リッジ部
の上部の形状崩れを防ぐことができる。
【0063】また、一実施形態の半導体レーザ素子の製
造方法は、上記エッチング保護膜としてレジストを使用
する。
【0064】この実施形態の半導体レーザ素子の製造方
法では、上記エッチング保護膜として、レジストを使用
することにより、露出した第3クラッド層の肩部のみを
被覆するエッチング保護膜を作製でき、作製工程の簡略
化を図れる。
【0065】また、一実施形態の半導体レーザ素子の製
造方法は、上記第2クラッド層と上記第3クラッド層と
の間にエッチングストップ層を形成し、ドライエッチン
グによって、上記リッジ部を形成した後、上記キャップ
層の側面を第1選択エッチングすることによって、上記
キャップ層の側面の面方位出しを行い、その後、エッチ
ングストップ層までの第2選択エッチングを行うリッジ
作製工程において、上記第3クラッド層と上記キャップ
層との間に、上記第1選択エッチングおよび上記第2選
択エッチングによってエッチングされることのないエッ
チング防止層を形成する。
【0066】この実施形態の半導体レーザ素子の製造方
法では、上記第3クラッド層と上記キャップ層との間
に、第1選択エッチングおよび第2選択エッチングでエ
ッチングされることのないエッチング防止層を形成す
る。これにより、キャップ層の側面の面方位出しによっ
て、第3クラッド層の上面が露出することを無くし、第
2選択エッチングによってリッジ部の上部の形状崩れを
防止できる。
【0067】また、一実施形態の半導体レーザ素子の製
造方法は、上記キャップ層をGaAs層とし、上記第
2,第3クラッド層をAlGa1−XAs(x=0.3
5〜0.6)とし、上記エッチングストップ層をGaAs
とし、上記エッチング防止層を、AlGa1−XAs
(x=0.1〜0.3)層とし、上記第1選択エッチングの
エッチャントとして、クエン酸と過酸化水素水と水の混
合エッチャントを使用し、上記第2選択エッチングのエ
ッチャントとして、フッ化水素酸を使用する。
【0068】この実施形態の半導体レーザ素子の製造方
法では、上記エッチング防止層として、AlGa
1−XAs(x=0.1〜0.3)層を用い、第1選択エッ
チングのエッチャントとして、クエン酸と過酸化水素水
と水の混合エッチャントを使用し、上記第2選択エッチ
ングのエッチャントとして、フッ化水素酸を使用する。
これにより、キャップ層の側面の面方位出しで露出する
クラッド層からなるリッジ部の肩部からのエッチングを
無くすことができ、GaAs系半導体レーザ素子におい
て、リッジ部の上部の幅狭化をさらに低減でき、高抵抗
化を防止した半導体レーザ素子を容易に作製できる。
【0069】このように、この実施形態の半導体レーザ
素子では、リッジ部の上部の側面の面方位出しによっ
て、上記リッジ部の上部の側面を、面方位が出ていない
格子面が乱れた状態ではなく、格子面が均一な状態にす
ることができ、リッジ部の側面上に成長する電流ブロッ
ク層内の結晶欠陥、転移、歪の発生を抑制できる。さら
には、上記リッジ部上および電流ブロック層上に成長す
るコンタクト層内の結晶欠陥、転移、歪の発生を防止で
きる。
【0070】これによって、半導体レーザ素子の長期高
出力駆動時に生じていた電流ブロック層およびコンタク
ト層内の結晶欠陥、および転移の活性層への増殖や、活
性層への歪の悪影響を防止でき、高信頼性の高出力半導
体レーザ素子を提供できる。
【0071】また、この実施形態の半導体レーザ素子の
製造方法では、上記リッジ部の上部の側面の面方位出し
を行うことによって、高信頼性の高出力レーザ素子の製
造方法を提供するものであり、また、ドライエッチング
による制御性の高いリッジ部の形成およびリッジ部の形
状の最適化が可能である。よって、基本横モード発振の
高出力半導体レーザ素子の製造方法を提供できる。
【0072】
【発明の実施の形態】以下、この発明を図示の実施の形
態に基いて詳細に説明する。
【0073】(第1の実施の形態)図1に、この発明の第
1の実施形態としてのリッジ導波路型の半導体レーザ素
子の断面を示す。また、図2(a)〜(d)および図3(e)
〜(g)に、この第1実施形態の製造方法を示す。図2,
図3を順に参照して、上記半導体レーザ素子の製造工程
を説明する。
【0074】まず、図2(a)に示すように、第1回目の
結晶成長によって、n−GaAs基板1の(100)面上
に、キャリア濃度1×1018cm−3で厚さ2.0μ
mのn−Al0.5Ga0.5As第1クラッド層2、ノ
ンドープ量子井戸活性層3、キャリア濃度1×1018
cm−3で厚さ1.5μmのp−Al0.5Ga0.5
s上クラッド層4、およびキャリア濃度1×1018
−3で厚さ0.2μmのp−GaAsキャップ層6を
順次積層成長させる。
【0075】次に、上記の半導体層が形成されたn−G
aAs基板1に、レジストを全面に塗布し、図2(b)に
示すように、公知のフォトリソグラフィ技術を用いてn
−GaAs基板1の〈011〉方向にストライプ状のレ
ジストストライプ14を形成する。
【0076】次に、図2(c)に示すように、硫酸/過酸
化水素水/水の非選択性エッチャントによって、p−G
aAsキャップ層6およびp−Al0.5Ga0.5As
上クラッド層4の途中までエッチングする。このとき形
成されるリッジ部側面11aは、硫酸系エッチャントの
エッチング速度の面方位依存性によって、{111}A
面となる。
【0077】次に、反応性イオンエッチング(RIE:R
eactive Ion Etching)や反応性イオンビームエッチング
(RIBE:Reactive Ion Beam Etching)等の物理的エ
ッチングモードが強い垂直異方性ドライエッチングによ
って、図2(d)に示すように、p−Al0.5Ga0.5
As上クラッド層4を垂直にエッチングし、厚さ0.2
μmだけ残してエッチングを止め、リッジ部11を形成
する。
【0078】このp−Al0.5Ga0.5As上クラッ
ド層4のドライエッチングせずに残した部分をp−Al
0.5Ga0.5As第2クラッド層4aとし、リッジ部
11を構成する部分をp−Al0.5Ga0.5As第3
クラッド層4bとする。
【0079】このリッジ部11が有するリッジ上部11
Uの側面11aは、{111}A面の面方位が出ている
側面である。また、リッジ下部11Lは、垂直異方性ド
ライエッチングによって、垂直なリッジ側面11Lsと
なるリッジ形状となっている。
【0080】次に、レジスト剥離液によって、レジスト
ストライプ14を除去した後、再度、n−GaAs基板
1を成長装置内にセットし、図3(e)に示すように、第
2回目の結晶成長によって、p−Al0.5Ga0.5
s第3クラッド層4bよりも低屈折率のn−AlGaA
s電流ブロック層7およびn−GaAs電流ブロック層
8を積層する。
【0081】この第2回目の結晶成長によって、p−G
aAsキャップ層6上にもn−AlGaAs電流ブロッ
ク層7およびn−GaAs電流ブロック層8が成長して
おり、電流ブロック層7,8に対応する不要層17,18
がキャップ層6上に形成される。
【0082】次に、再度、n−GaAs基板1を成長装
置から取り出し、フォトリソグラフィ技術を用いて、図
3(f)に示すように、p−GaAsキャップ層6上の不
要層18の上方部分のみを開口したレジストマスク15
を形成する。そして、このレジストマスク15を使用し
て、アンモニア水/過酸化水素水/水のアンモニア系エ
ッチャントによって、p−GaAsキャップ層6の上方
のGaAs層からなる不要層18をエッチング除去す
る。次に、フッ化水素酸/水のフッ酸系エッチャントに
よって、AlGaAs層からなる不要層17をエッチン
グ除去し、p−GaAsキャップ層6の表面を露出させ
る。
【0083】次に、図3(g)に示すように、レジストマ
スク15を除去し、n−GaAs基板1を、再々度、成
長装置内にセットして、第3回目の結晶成長によって、
p−GaAsコンタクト層9を積層する。
【0084】以上のようにして作製したウエハのn−G
aAs基板1側を公知の技術にて約100μmまで薄く
し、図1に示すように、p−GaAsコンタクト層9の
上面およびn−GaAs基板1の下面に各々オーミック
電極であるp電極12,n電極13を形成する。そし
て、リッジ部11が延びるストライプ方向に対して垂直
にへき開することによって、共振器端面を形成し、この
へき開面にコーティング膜を形成して、図1に示す第1
実施形態の半導体レーザ素子を作製する。
【0085】この第1実施形態の半導体レーザ素子の製
造方法では、リッジ部11の下部11Lは垂直異方性ド
ライエッチングによって、リッジ部11の下部11Lの
側面11Lsと底面11Lのなす角がほぼ90°とな
る垂直側面11Lsを持つリッジ部11を作製してい
る。したがって、上記製造方法によれば、リッジ部11
のリッジ幅Dの均一性と制御性に優れたリッジ部11を
形成でき、高出力化した場合の光密度低減と基本横モー
ド発振のための光閉じ込めとを両立させた半導体レーザ
素子を作製できる。
【0086】また、リッジ部11の下部11Lが垂直な
側面11Lsを有していることから、従来の順メサリッ
ジ構造において第3クラッド層厚膜化に伴い発生してい
た、リッジ上部の幅狭化による抵抗増大を低減すること
ができる。
【0087】一方、リッジ部11の上部11Uのリッジ
側面11aに{111}A面の面方位を出していること
によって、リッジ部11の上部11Uのリッジ側面11
aは、格子面が均一な状態となり、上記リッジ側面11
a上に成長する電流ブロック層7,8内の結晶欠陥、転
移、歪の発生を防止できる。また、リッジ部11の側面
11a上の電流ブロック層8の上に成長するコンタクト
層9内においても結晶欠陥、転移、歪の発生を防止でき
る。このことによって、半導体レーザ素子の長期高出力
駆動時に生じていた電流ブロック層7,8、コンタクト
層9内における結晶欠陥を防止でき、活性層3への転移
の増殖を防止でき、活性層3への歪の悪影響を防止でき
る。したがって、高信頼性の高出力半導体レーザ素子を
作製できる。なお、この第1実施形態においては、上記
リッジ部11からなる導波路リッジの方向を〈011〉
方向としたが、〈01バー1〉方向としてもよい。この
場合にも、リッジ部11の上部11Uのリッジ側面11
aの面方位出しによって、上述と同様の電流ブロック層
7,8、コンタクト層9内の結晶欠陥、転移、歪発生を
防止する効果が得られる。
【0088】また、この第1実施形態おいては、リッジ
部11の下部11Lの側面11Lsと底面11Lのな
す角がほぼ90゜となる垂直側面を持つリッジ形状を作
製したが、上記側面11Lsと底面11Lとがなす角
度が70〜90°の範囲であれば、垂直異方性ドライエ
ッチングによるリッジ形成の特長であるリッジ幅Dの均
一性と制御性に優れるという十分な効果が得られる。
【0089】また、この第1実施形態では、リッジ部1
1を、p−Al0.5Ga0.5As第3クラッド層4b
とp−GaAsキャップ層6から構成しているが、p−
GaAsキャップ層6が積層されていなくてもよい。す
なわち、リッジ部11がp−Al0.5Ga0.5As第
3クラッド層4bのみで構成され、p−Al0.5Ga
0.5As第3クラッド層4bの上面に、p−GaAs
コンタクト層9を成長させ、半導体レーザ素子を作製し
ても上述と同様の効果が得られる。
【0090】また、この第1実施形態においては、リッ
ジ部11の上部11Uの側面11aの面方位出しを、ウ
エットエッチングによるエッチング速度の遅い面方位
{111}A面としたが、この面方位出しエッチングを
化学的エッチングモードの強いガスエッチングによって
行い、リッジ部11の上部11Uの側面11aの面方位
出しを、ガスエッチングによるエッチング速度の遅い面
方位{111}B面としてもよい。この場合にも、上述
と同様の効果が得られる。
【0091】(第2の実施形態)次に、図4に、この発明
の第2の実施形態によるリッジ導波路型半導体レーザ素
子の断面を示す。また、図5(a)〜(d),図6(e)〜
(g)は、この半導体レーザ素子の第2実施形態の製造方
法を示す。図5,図6に従い、図4の半導体レーザ素子
の製造工程を説明する。
【0092】まず、図5(a)に示すように、n−GaA
s基板31の(100)面上に、第1回目の結晶成長によ
ってキャリア濃度1×1018cm−3で厚さ2.0μ
mのn−Al0.5Ga0.5As第1クラッド層32、
ノンドープ量子井戸活性層33、キャリア濃度1×10
18cm−3で厚さ1.4μmのp−Al0.5Ga
.5As上クラッド層34、およびキャリア濃度1×1
18cm−3で厚さ0.5μmのp−GaAsキャッ
プ層36を順次積層成長させる。次に、図5(b)に示す
ように、上記の半導体層が形成されたn−GaAs基板
31に、レジストを全面に塗布し、公知のフォトリソグ
ラフィ技術を用いてn−GaAs基板31の〈01バー
1〉方向にストライプ状のレジストストライプ44を形
成する。
【0093】次に、図5(c)に示すように、反応性イオ
ンエッチング(RIE)や反応性イオンビームエッチング
(RIBE)等の物理的エッチングモードが強い垂直異方
性ドライエッチングによって、p−Al0.5Ga0.5
As上クラッド層34を、厚さ0.2μmを残して、ほ
ぼ垂直にエッチングし、リッジ部41を形成する。
【0094】このp−Al0.5Ga0.5As上クラッ
ド層34のドライエッチングせずに残した部分をp−A
0.5Ga0.5As第2クラッド層34aとし、リッ
ジ部41を構成する部分をp−Al0.5Ga0.5As
第3クラッド層34bとする。
【0095】次に、図5(d)に示すように、アンモニア
/過酸化水素/水からなり、GaAsエッチング速度に
対してAlGaAsエッチング速度が十分に遅い組成選
択性のあるアンモニア系エッチャントによって、p−G
aAsキャップ層36の側面を面方位{111}A面が
出るまで、エッチングを行う。このとき、p−GaAs
キャップ層36の上面は、レジストマスク44で保護さ
れているので、リッジ部41の上部41Uの側面41a
となるp−GaAsキャップ層36の側面のサイドエッ
チングのみが進行する。
【0096】ここで、リッジ部41の下部41Lの側面
41Lsは、p−Al0.5Ga0. As第3クラッド
層34bで構成され、底面41Lはp−Al0.5
0. As第2クラッド層34aで構成されている。
このため、上記アンモニア系エッチャントでは、リッジ
部41の下部41Lの側面41Lsのエッチングは進行
しない。したがって、リッジ部41を構成するドライエ
ッチングで形成された第3クラッド層34bの垂直リッ
ジ形状が崩されることはない。
【0097】次に、図6(e)に示すように、レジスト剥
離液によってレジストストライプ44を除去した後、再
度、n−GaAs基板31を成長装置内にセットして、
第2回目の結晶成長によって、n−AlGaAs電流ブ
ロック層37、n−GaAs電流ブロック層38を積層
する。
【0098】この第2回目の結晶成長によって、p−G
aAsキャップ層36上にもn−AlGaAs電流ブロ
ック層37とn−GaAs電流ブロック層38が成長し
ており、キャップ層36上に不要層47,48が形成さ
れる。
【0099】次に、n−GaAs基板31を再度成長装
置から取り出し、フォトリソグラフィ技術を用いて、図
6(f)に示すように、p−GaAsキャップ層36上の
不要層48の上方のみを開口したレジストマスク45を
形成し、硫酸/過酸化水素/水からなる非選択性の硫酸
系エッチャントによって、n−GaAs層およびn−A
lGaAs層からなる不要層48,47をエッチング除
去する。これにより、p−GaAsキャップ層36を露
出させる。
【0100】次に、図6(g)に示すように、レジストマ
スク45を除去し、再々度、n−GaAs基板31を成
長装置内にセットして、第3回目の結晶成長により、p
−GaAsコンタクト層39を積層する。
【0101】以上のように作製したウエハのn−GaA
s基板31側を、第1実施形態と同様に、約100μm
まで薄層化を行い、図4に示すように、オーミック電極
であるp電極42,n電極43を形成し、共振器端面を
形成した後、へき開面にコーティング膜を形成すること
によって、この第2実施形態の半導体レーザ素子を作製
する。
【0102】この第2実施形態の半導体レーザでは、p
−Al0.5Ga0.5As第3クラッド層34bで構成
されるリッジ部41の下部41Lの側面41Lsは垂直
異方性ドライエッチングによって、リッジ部41の側面
41Lsと底面41Lとがなす角がほぼ90゜となる
垂直側面41Lsを持つリッジ形状を作製している。し
たがって、リッジ幅Dの均一性と制御性に優れたリッジ
部11を形成でき、高出力化した場合の光密度低減と基
本横モード発振のための光閉じ込めとを両立させた半導
体レーザ素子を作製できる。
【0103】また、リッジ部41の下部41Lが垂直な
側面41Lsを持っていることから、従来の順メサリッ
ジ構造において第3クラッド層厚膜化に伴い発生してい
た、リッジ上部の幅狭化による抵抗増大を低減できる。
【0104】一方、p−GaAsキャップ層36で構成
されるリッジ部41の上部41Uの側面41aは、{1
11}A面の面方位が出ていることから、格子面が均一
な状態であり、上記リッジ部41の側面41a上に成長
する電流ブロック層37,38内において、結晶欠陥、
転移、歪の発生を防止できる。また、リッジ部41の側
面41a上の電流ブロック層37,38上に成長させる
コンタクト層39内においても結晶欠陥、転移、歪の発
生を防止できる。このことによって、半導体レーザ素子
の長期高出力駆動時に生じていた電流ブロック層37,
38,コンタクト層39内での結晶欠陥を防止でき、活
性層33への転移の増殖を防止でき、活性層33に対す
る歪の悪影響を防止でき、高信頼性の高出力半導体レー
ザ素子を作製できる。なお、この第2実施形態において
は、上記リッジ部11からなる導波路リッジの方向を
〈01バー1〉方向としたが、〈011〉方向としても
よい。この場合にも、リッジ部41の上部41Uのリッ
ジ側面41aの面方位出しによって、電流ブロック層3
7,38,コンタクト層39内の結晶欠陥、転移、歪発生
を防止でき、上述と同様の効果が得られる。
【0105】また、この第2実施形態おいては、リッジ
部41の側面41Lsと底面41L のなす角がほぼ9
0°となる垂直側面を持つリッジ形状を作製したが、上
記垂直側面41Lsは70〜90°の範囲であれば、垂
直異方性ドライエッチングによるリッジ形成の特長であ
るリッジ幅Dの均一性と制御性に十分な効果が得られ
る。
【0106】(第3実施形態)次に、図7に、この発明の
第3の実施形態によるリッジ導波路型の半導体レーザ素
子の断面を示す。また、図8(a)〜(d),図9(e)〜
(h)は、この半導体レーザ素子の第3実施形態の製造方
法を示す。図8,9に従い、図7の半導体レーザ素子の
製造工程を説明する。
【0107】まず、図8(a)に示すように、n−GaA
s基板51の(100)面上に、第1回目の結晶成長によ
って、キャリア濃度1×1018cm−3で厚さ2.0
μmのn−Al0.5Ga0.5As第1クラッド層5
2、ノンドープ量子井戸活性層53、キャリア濃度1×
1018cm−3で厚さ0.2μmのp−Al0.5Ga
0.5As第2クラッド層54a、キャリア濃度1×1
18cm−3で厚さ0.003μmのp−GaAsエ
ッチングストップ層55、キャリア濃度1×10
−3で厚さ1.2μmのp−Al0.5Ga0.5As
第3クラッド層54b、およびキャリア濃度1×10
18cm−3で厚さ0.5μmのp−GaAsキャップ
層56を順次積層成長させる。
【0108】次に、上記の半導体層が形成されたn−G
aAs基板51に、レジストを全面に塗布し、公知のフ
ォトリソグラフィ技術を用いて、図8(b)に示すよう
に、n−GaAs基板51の〈011〉方向に延在する
ストライプ状のレジストストライプ64を形成する。
【0109】次に、図8(c)に示すように、反応性イオ
ンエッチング(RIE)や反応性イオンビームエッチング
(RIBE)等の物理的エッチングモードが強い垂直異方
性ドライエッチングによって、p−Al0.5Ga0.5
As第3クラッド層54bを、厚さ0.2μmを残した
ところまでエッチングを行い、残し厚74を0.2μm
とする。
【0110】次に、図8(d)に示すように、アンモニア
/過酸化水素/水のGaAsエッチング速度に対してA
lGaAsエッチング速度が十分に遅い組成選択性のあ
るアンモニア系エッチャントによって、p−GaAsキ
ャップ層56の側面が面方位{111}A面が出るま
で、エッチングを行う。このとき、p−GaAsキャッ
プ層56の上面は、レジストマスク64で保護されてい
るので、リッジ部61の上部61Uの側面61aをなす
p−GaAsキャップ層56の側面61aのサイドエッ
チングのみが進行する。また、リッジ部61の下部61
Lの側面61Lsは、p−Al0.5Ga0.5As第3
クラッド層54bで構成されており、また、底面61L
もp−Al0.5Ga0.5As第3クラッド層54b
で構成されている。このため、上記アンモニア系エッチ
ャントでは、リッジ部61の下部61Lの側面61Ls
のエッチングは進行せず、ドライエッチングで形成され
た垂直リッジ形状が崩されることはない。
【0111】次に、図9(e)に示すように、フッ化水素
酸を用いて、p−GaAsエッチングストップ層55ま
でエッチングを行い、深さ方向において、p−GaAs
エッチングストップ層55でエッチングを停止させる。
これにより、p−Al0.5Ga0.5As第3クラッド
層54bの厚さの制御性、および、ウエハ面内均一性を
向上させたリッジ形成が行える。
【0112】また、p−GaAsキャップ層56で構成
されるリッジ上部61Uの{111}A面を出した側面
61aは、フッ化水素酸ではエッチングが進まないの
で、{111}A面の面方位が出た形状は維持される。
【0113】一方、p−Al0.5Ga0.5As第3ク
ラッド層54bで構成されるリッジ下部61Lの側面6
1Lsでは、フッ化水素酸によってエッチングが進行
し、図9(e)に示すように、垂直異方性ドライエッチン
グで形成されたリッジ形状からは、リッジ下部61Lの
裾部が広がるような側面61Ls’の形状となる。しか
し、上記残し厚74を薄く制御することや、フッ化水素
酸エッチング時間を短く制御することによって、垂直異
方性ドライエッチングによるリッジ形成の効果であるリ
ッジ幅の均一性と制御性を維持することができる。ま
た、従来の順メサリッジ形状よりもリッジ部61の側面
61Ls’の垂直性が高いリッジ形状を維持できる。
【0114】なお、上記のように、垂直異方性ドライエ
ッチングによるリッジ形成の効果を維持するためには、
残し厚74が0.6μm以下であることが好ましい。
【0115】次に、図9(f)に示すように、レジスト剥
離液によって、レジストマスク64を除去した後、再
度、n−GaAs基板51を成長装置内にセットし、第
2回目の結晶成長によって、n−AlGaAs電流ブロ
ック層57、n−GaAs電流ブロック層58を積層す
る。
【0116】この第2回目の結晶成長によって、p−G
aAsキャップ層56上にも、n−AlGaAs電流ブ
ロック層57およびn−GaAs電流ブロック層58が
成長して、キャップ層56上に不要層67,68が形成
される。
【0117】次に、図9(g)に示すように、n−GaA
s基板51を、再度、成長装置から取り出し、フォトリ
ソグラフィ技術を用いて、p−GaAsキャップ層56
上の不要層68の上方のみを開口したレジストマスク6
5を形成する。そして、硫酸/過酸化水素/水からなる
非選択性の硫酸系エッチャントによって、n−GaAs
層およびn−AlGaAs層からなる不要層68,67
をエッチング除去し、p−GaAsキャップ層56を露
出させる。
【0118】次に、図9(h)に示すように、レジストマ
スク65を除去し、n−GaAs基板51を成長装置内
に再々度、セットして、第3回目の結晶成長によって、
p−GaAsコンタクト層59を積層する。
【0119】以上のように作製したウエハのn−GaA
s基板51側を、第1実施形態と同様に、約100μm
まで薄層化を行い、図7に示すように、オーミック電極
であるp電極62,n電極63を形成し、共振器端面を
形成した後、へき開面にコーティング膜を形成する。こ
れにより、この第3実施形態の半導体レーザ素子を作製
する。
【0120】この第3実施形態の半導体レーザ素子の製
造方法では、p−Al0.5Ga0. As第3クラッド
層54bで構成されるリッジ下部61Lの側面61L
s’は、垂直異方性ドライエッチング、および、その後
の短時間ウエットエッチングによって、リッジ幅の均一
性と制御性に優れたリッジ形状を作製できる。
【0121】したがって、高出力化した場合の光密度低
減と基本横モード発振のための光閉じ込めとを両立させ
た半導体レーザ素子を作製できる。
【0122】また、リッジ部61の下部61Lの側面6
1Ls’と底面61Lとがなす角度を、従来のウエッ
トエッチングのみで形成されるリッジ形状と比較して大
きくできる。このことにより、従来では高出力化のため
の第3クラッド層厚膜化に伴い発生していた、リッジ上
部の幅狭化による抵抗増大を低減できる。
【0123】一方、p−GaAsキャップ層56で構成
されるリッジ上部61Uの側面61aは、{111}A
面の面方位が出ていることから、格子面が均一な状態と
なり、上記リッジ側面61a上に成長する電流ブロック
層57,58内において、結晶欠陥、転移、歪の発生を
防止できる。また、リッジ側面61a上の電流ブロック
層57,58上に成長させるコンタクト層59内におい
ても、結晶欠陥、転移、歪の発生を防止できる。このこ
とによって、半導体レーザ素子の長期高出力駆動時に生
じていた電流ブロック層57,58,コンタクト層59内
の結晶欠陥を防止でき、活性層への転移の増殖を防止で
き、活性層53に対する歪の悪影響を防止できる。これ
により、高信頼性の高出力半導体レーザ素子を作製でき
る。なお、この第3実施形態においては、リッジ部61
からなる導波路リッジが延びている方向を〈011〉方
向としたが、〈01バー1〉方向としてもリッジ上部6
1Uのリッジ側面61aの面方位出しによって、電流ブ
ロック層57,58およびコンタクト層59内の結晶欠
陥、転移、歪発生を防止するという上述と同様の効果が
得られる。
【0124】また、この第3実施形態おいては、垂直異
方性ドライエッチング後に、ウエットエッチングしてい
ることに起因して、リッジ部61の形状がメサストライ
プ状凸型となるものの、上記ウエットエッチングの時間
を短く制御することで、リッジ側面61Ls’と底面6
1L’とがなす角度を大きくすることができる。した
がって、垂直異方性ドライエッチングによるリッジ形成
の特長であるリッジ幅の均一性と制御性に優れるという
効果が得られる。
【0125】(第4の実施形態)次に、図10に、この発
明の第4の実施形態であるリッジ導波路型半導体レーザ
素子の断面を示す。また、図11(a)〜(d),図12
(e)〜(h)は、この半導体レーザ素子の第4実施形態の
製造方法を示す。図11,12に従い、図10の半導体
レーザ素子の製造工程を説明する。
【0126】まず、図11(a)に示すように、n−Ga
As基板71の(100)面上に、第1回目の結晶成長に
よってキャリア濃度1×1018cm−3で厚さ2.0
μmのn−Al0.5Ga0.5As第1クラッド層7
2、ノンドープ量子井戸活性層73、キャリア濃度1×
1018cm−3で厚さ0.2μmのp−Al0.5Ga
0.5As第2クラッド層74a、キャリア濃度1×1
18cm−3で厚さ0.003μmのp−In0.5
0.5Pエッチングストップ層75a、キャリア濃度
1×1018cm−3で厚さ1.2μmのp−Al0.5
Ga0.5As第3クラッド層75b、およびキャリア
濃度1×1018cm−3で厚さ0.5μmのp−Ga
Asキャップ層76を順次積層成長させる。
【0127】次に、上記の半導体層が形成されたn−G
aAs基板71に、レジストを全面に塗布し、図11
(b)に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術を用
いて、n−GaAs基板71の〈011〉方向にストラ
イプ状のレジストストライプ84を形成する。
【0128】次に、図11(c)に示すように、反応性イ
オンエッチング(RIE)や反応性イオンビームエッチン
グ(RIBE)等の物理的エッチングモードが強い垂直異
方性ドライエッチングによって、p−Al0.5Ga
0.5As第3クラッド層74bを、厚さ0.2μmを残
したところまでエッチングを行い、残し厚94を0.2
μmとする。
【0129】次に、アンモニア/過酸化水素/水による
GaAsエッチング速度に対してAlGaAsエッチン
グ速度が十分に遅い組成選択性のあるアンモニア系エッ
チャントによって、p−GaAsキャップ層76の側面
が面方位{111}A面が出るまで、エッチングを行
う。図11(d)に示すように、このとき、p−GaAs
キャップ層76の上面は、レジストマスク84で保護さ
れているので、リッジ部81の上部81Uの側面81a
をなすp−GaAsキャップ層76の側面のサイドエッ
チングのみが進行する。
【0130】また、リッジ部81の下部81Lの側面8
1Lsは、p−Al0.5Ga0.5As第3クラッド層
74bからなり、また、底面81Lもp−Al0.5
Ga 0.5As第3クラッド層74bで構成されてい
る。このため、上記アンモニア系エッチャントでは、リ
ッジ下部81Lの側面81Lsのエッチングは進行せ
ず、ドライエッチングで形成された垂直リッジ形状が崩
されることはない。
【0131】次に、図12(e)に示すように、Cl
スを用いた反応性イオンエッチングによって、p−In
0.5Ga0.5Pエッチングストップ層75aまでエッ
チングを行う。このClガスを含む反応性イオンエッ
チングでは、Inを含む半導体層のエッチング速度が、
AlGaAs層に対するエッチング速度の100分の1
以下であるので、p−In0.5Ga0.5Pエッチング
ストップ層75aでエッチングを停止させることができ
る。これによって、p−Al0.5Ga0.5As第3ク
ラッド層74bの層厚の制御性とウエハ面内均一性を向
上させた垂直性の高いリッジ形成が行える。
【0132】また、ここで、上記エッチングが、p−I
0.5Ga0.5Pエッチングストップ層75aに達し
たときに、In元素を検出するエッチング終点検出器
(EPD)を用いても良く、エッチング停止の精度をより
高めることができる。
【0133】次に、図12(f)に示すように、レジスト
剥離液によって、レジストストライプ84を除去した
後、再度、n−GaAs基板71を成長装置内にセット
し、第2回目の結晶成長によって、n−AlGaAs電
流ブロック層77、n−GaAs電流ブロック層78を
積層する。
【0134】この第2回目の結晶成長によって、p−G
aAsキャップ層76上にもn−AlGaAs電流ブロ
ック層77およびn−GaAs電流ブロック層78が成
長しており、キャップ層76上に不要層87,88が形
成される。
【0135】次に、再度、n−GaAs基板71を成長
装置から取り出し、フォトリソグラフィ技術を用いて、
図12(g)に示すように、p−GaAsキャップ層76
上の不要層88の上方のみを開口したレジストマスク8
5を形成する。そして、硫酸/過酸化水素水の非選択性
の硫酸系エッチャントによって、n−GaAs層および
n−AlGaAs層からなる不要層88,87をエッチ
ング除去し、p−GaAsキャップ層76の上面を露出
させる。
【0136】次に、図12(h)に示すように、レジスト
マスク85を除去し、再々度、n−GaAs基板71を
成長装置内にセットして、第3回目の結晶成長によって
p−GaAsコンタクト層79を積層する。
【0137】以上のように作製したウエハのn−GaA
s基板71側を、第1実施形態と同様に、約100μm
まで薄層化を行い、図10に示すように、オーミック電
極であるp電極82とn電極83を形成する。そして、
共振器の端面を形成した後、へき開面にコーティング膜
を形成する。これにより、この第4実施形態の半導体レ
ーザ素子を作製する。
【0138】この第4実施形態の半導体レーザでは、p
−Al0.5Ga0.5As第3クラッド層74bで構成
されるリッジ下部81Lの側面81Lsは垂直異方性ド
ライエッチングによって、リッジ側面81Lsと底面L
のなす角がほぼ90°となる垂直側面を持つリッジ形
状を作製している。したがって、リッジ幅の均一性と制
御性に優れたリッジ形成が可能であり、高出力化した場
合の光密度低減と基本横モード発振のための光閉じ込め
とを両立させた半導体レーザ素子を作製できる。
【0139】また、リッジ下部81Lが垂直な側面81
Lsを持っていることから、従来の順メサリッジ構造に
おいて第3クラッド層厚膜化に伴い発生していた、リッ
ジ上部の幅狭化による抵抗増大を低減できる。
【0140】一方、p−GaAsキャップ層76で構成
されるリッジ部81の上部81Uの側面81aは、{1
11}A面の面方位が出ていることから、格子面が均一
な状態である。したがって、上記リッジ部81の側面8
1a上に成長する電流ブロック層77,78内におい
て、結晶欠陥、転移、歪の発生を防止できる。また、リ
ッジ部81の側面81a上の電流ブロック層77,88
上に成長させるコンタクト層79内においても、結晶欠
陥、転移、歪の発生を防止できる。このことによって、
半導体レーザ素子の長期高出力駆動時に生じていた電流
ブロック層77,78およびコンタクト層79内におけ
る結晶欠陥を防止でき、活性層73への転移の増殖や、
活性層73への歪の悪影響を防止できる。したがって、
高信頼性の高出力半導体レーザ素子を作製できる。
【0141】なお、この第4実施形態の製造工程におい
ては、Clガスを含む反応性イオンエッチングを採用
した一例を示したが、他に、CCl2,F2,PCl3等
のガスを用いても、上述と同様のエッチング停止を行え
る。
【0142】また、上記エッチングストップ層75a
は、組成にInを含んでいる半導体層であれば、InG
aAsP層,InGaAlP層,InGaAs層等でも良
く、また、薄層であれば、エッチングストップ層75a
が歪を含んでいても良い。また、この第4実施形態にお
いては、リッジ部81からなる導波路リッジの方向を
〈01バー1〉方向としたが、〈011〉方向としても
よい。この場合にも、リッジ上部81Uのリッジ側面8
1aの面方位出しによって、電流ブロック層77,78
およびコンタクト層79内の結晶欠陥、転移、歪発生を
防止する上述と同様の効果が得られる。
【0143】また、この第4実施形態おいては、リッジ
部81のリッジ側面81Lsと底面Lのなす角がほぼ
90゜となる垂直側面を持つリッジ形状を作製したが、
上記垂直側面は70〜90゜の範囲であれば、垂直異方
性ドライエッチングによるリッジ形成の特長であるリッ
ジ幅の均一性と制御性に優れるという十分な効果が得ら
れる。
【0144】(第5の実施形態)次に、図13に、この発
明の第5の実施形態によるリッジ導波路型半導体レーザ
素子の断面を示す。また、図14(a)〜(d),図15
(e)〜(h)に、この半導体レーザ素子の第5実施形態の
製造方法を示す。図14,図15に従い、図13に示す
半導体レーザ素子の製造工程を説明する。
【0145】まず、図14(a)に示すように、n−Ga
As基板91の(100)面上に、第1回目の結晶成長に
よって、キャリア濃度1×1018cm−3で厚さ2.
0μmのn−Al0.5Ga0.5As第1クラッド層9
2、ノンドープ量子井戸活性層93、キャリア濃度1×
1018cm−3で厚さ1.4μmのp−Al0.5Ga
0.5As上クラッド層94、およびキャリア濃度1×
1018cm−3で厚さ0.5μmのp−GaAsキャ
ップ層96を順次積層成長させる。
【0146】次に、上記の半導体層が形成されたn−G
aAs基板91に、レジストを全面に塗布し、公知のフ
ォトリソグラフィ技術を用いて、図14(b)に示すよう
に、n−GaAs基板91の〈011〉方向に延在する
ストライプ状のレジストストライプ104を形成する。
【0147】次に、図14(c)に示すように、反応性イ
オンエッチング(RIE)や反応性イオンビームエッチン
グ(RIBE)等の物理的エッチングモードが強い垂直異
方性ドライエッチングによって、p−Al0.5Ga0.
5As上クラッド層94を、厚さ0.2μmを残して、
ほぼ垂直にエッチングし、リッジ部101を形成する。
【0148】このp−Al0.5Ga0.5As上クラッ
ド層94のドライエッチングせずに残した部分をp−A
0.5Ga0.5As第2クラッド層94aとし、リッ
ジ部101を構成する部分をp−Al0.5Ga0.5
s第3クラッド層94bとする。
【0149】次に、図14(d)に示すように、リッジ1
01を形成したn−GaAs基板91表面上に、ハロゲ
ンランプ光を、矢印110で示すように、均一に、光照
射すると共に、酸素ガスに接触させる。このことによっ
て、リッジ部101の表面、および、リッジ底面の延長
表面に均一な酸化膜を形成する表面酸化処理を行う。
【0150】次に、化学的エッチングモードが強い塩素
系ガスエッチングによって、p−GaAsキャップ層9
6の側面のサイドエッチングを行う。この塩素系ガスエ
ッチングでは、GaAsエッチング速度に対してAlG
aAsエッチング速度が十分に遅い組成選択性がある。
これは、AlGaAsの表面酸化膜の影響であり、Ga
As表面酸化膜以上に、AlGaAs表面酸化膜のエッ
チングに時間がかかることによる。
【0151】また、化学的エッチングモードが強いガス
エッチングでは、エッチング速度の面方位依存性によっ
て、エッチング速度の遅い{111}B面が露出する。
以上のような塩素系ガスエッチングによって、p−Ga
Asキャップ層96の側面において面方位{111}B
面が出るまで、エッチングを行う。このとき、p−Ga
Asキャップ層96の上面は、レジストマスク104で
保護されているため、リッジ上部101Uの側面101
bをなすp−GaAsキャップ層96の側面のサイドエ
ッチングのみが進行する。
【0152】また、図15(e)に示すように、リッジ下
部101Lの側面101Lsは、p−Al0.5Ga
0.5As第3クラッド層94bからなり、また、底面
1010Lもp−Al0.5Ga0.5As第3クラッ
ド層94aで構成されている。このため、上記塩素系ガ
スエッチングでは、リッジ下部101Lの側面Lsのエ
ッチングは進行せず、垂直異方性ドライエッチングで形
成された垂直リッジ形状が崩されることはない。
【0153】次に、p−Al0.5Ga0.5As第2ク
ラッド層94a,p−Al0.5Ga 0.5As第2クラ
ッド層94b表面の酸化膜除去工程、およびレジストマ
スク104除去工程後、n−GaAs基板91を、再
度、成長装置内にセットする。そして、第2回目の結晶
成長によって、図15(f)に示すように、n−AlGa
As電流ブロック層97およびn−GaAs電流ブロッ
ク層98を積層する。
【0154】この第2回目の結晶成長によって、p−G
aAsキャップ層96上にもn−AlGaAs電流ブロ
ック層97とn−GaAs電流ブロック層98が成長し
ており、キャップ層96上に不要層107,108が形
成される。
【0155】次に、n−GaAs基板91を成長装置か
ら再度取り出し、フォトリソグラフィ技術を用いて、図
15(g)に示すように、p−GaAsキャップ層96上
の不要層108の上方のみを開口したレジストマスク1
05を形成する。そして、硫酸/過酸化水素/水からな
る非選択性の硫酸系エッチャントによって、n−GaA
s層およびn−AlGaAs層からなる不要層108,
107をエッチング除去し、p−GaAsキャップ層9
6を露出させる。
【0156】次に、図15(h)に示すように、レジスト
マスク105を除去し、再々度、n−GaAs基板91
を成長装置内にセットして、第3回目の結晶成長によっ
て、p−GaAsコンタクト層99を積層する。
【0157】以上のように作製したウエハのn−GaA
s基板91側を、第1実施形態と同様に、約100μm
まで薄層化を行い、図13に示すように、オーミック電
極であるp電極102およびn電極103を形成する。
さらに、共振器の端面を形成した後、へき開面にコーテ
ィング膜を形成する。これにより、この第5実施形態の
半導体レーザ素子を作製する。
【0158】この第5実施形態の半導体レーザでは、p
−Al0.5Ga0.5As第3クラッド層94bで構成
されるリッジ下部101Lの側面101Lsは垂直異方
性ドライエッチングによって、リッジ側面101Lsと
底面101Lのなす角がほぼ90°となる垂直側面を
持つリッジ形状を作製している。したがって、リッジ幅
の均一性と制御性に優れたリッジ形成が可能であり、高
出力化した場合の光密度低減と基本横モード発振のため
の光閉じ込めとを両立させた半導体レーザ素子が作製で
きる。
【0159】また、リッジ部101の下部101Lが垂
直な側面101Lsを有していることから、従来の順メ
サリッジ構造において第3クラッド層厚膜化に伴い発生
していたリッジ上部の幅狭化による抵抗増大を低減でき
る。
【0160】一方、p−GaAsキャップ層96で構成
されるリッジ上部101Uの側面101bは、{11
1}B面の面方位が出ていることから、格子面が均一な
状態であり、上記リッジ側面101b上に成長する電流
ブロック層97,98内において、結晶欠陥、転移、歪
の発生を防止できる。また、リッジ側面101b上の電
流ブロック層97,98上に成長させるコンタクト層9
9内においても結晶欠陥、転移、歪の発生を防止でき
る。このことによって、半導体レーザ素子の長期高出力
駆動時に生じていた電流ブロック層97,98およびコ
ンタクト層99内における結晶欠陥を防止でき、転移が
活性層93へ増殖することを防止でき、活性層93に歪
の悪影響が生じるのを防止できる。したがって、高信頼
性の高出力半導体レーザ素子を作製することができる。
なお、この第5実施形態においては、リッジ部101か
らなる導波路リッジが延在する方向を〈011〉方向と
したが、〈01バー1〉方向としてもよい。この場合に
も、リッジ部101の上部101Uのリッジ側面101
bの面方位出しによって、電流ブロック層97,98お
よびコンタクト層99内の結晶欠陥、転移、歪発生を防
止するという上述と同様の効果が得られる。
【0161】また、この第5実施形態においては、リッ
ジ側面101Lsと底面101Lのなす角がほぼ90
゜となる垂直側面を持つリッジ形状を作製しているが、
上記垂直側面は70〜90゜の範囲であればよい。この
範囲であれば、垂直異方性ドライエッチングによるリッ
ジ形成の特長であるリッジ幅の均一性および制御性に優
れるという十分な効果が得られる。
【0162】また、この第5実施形態では、垂直異方性
ドライエッチング後に、酸素雰囲気中での光照射によっ
て、表面酸化処理を行っているが、垂直異方性ドライエ
ッチング後に、大気中にウエハを出すことによる表面自
然酸化膜形成でも、その後の塩素系ガスエッチングでの
組成選択性の効果が得られる。
【0163】また、この第5実施形態では、表面酸化処
理として、酸素雰囲気中での光照射を行っているが、先
の垂直異方性ドライエッチングで、酸素を主成分とする
ECR励起のドライエッチングを行い、同時に、表面酸
化処理を行う等の他の表面酸化処理方法を用いても、同
様の効果が得られる。
【0164】また、この第5実施形態では、表面酸化処
理を、酸素雰囲気中での1回の光照射を行っているが、
ガスエッチングと表面酸化処理とを周期的に行い、p−
GaAsキャップ層96のサイドエッチングで新たに露
出するp−Al0.5Ga0. As第3クラッド層94
bの上面の肩部を酸化させることによって、この肩部か
らの不要なエッチングを防止できる。
【0165】(第6実施形態)次に、図16に、この発明
の第6の実施形態であるリッジ導波路型半導体レーザ素
子の断面を示す。また、図17(a)〜(e),図18(f)
〜(j)に、この半導体レーザ素子の第6実施形態の製造
方法を示す。図17,図18に従い、図16の半導体レ
ーザ素子の製造工程を説明する。
【0166】この第6実施形態の半導体レーザ素子の製
造工程では、上記第3実施形態における垂直異方性ドラ
イエッチングによるリッジ形成後、アンモニア系選択エ
ッチングによるp−GaAsキャップ層126側面のサ
イドエッチングを行い、p−GaAsキャップ層126
側面131aの{111}A面面方位出しを行う。ま
た、この工程の後、上記p−GaAsキャップ層126
側面のサイドエッチングで露出するp−Al0.5Ga
0.5As第3クラッド層124bの上部をレジストで
被覆する工程を追加した。さらに、リッジ形成のエッチ
ングマスクとしてSiOx膜139を使用した。これら
のこと以外は、この第6実施形態における製造工程で
は、第3実施形態と同様にして、半導体レーザを作製し
ている。
【0167】すなわち、まず、図17(a)に示すよう
に、n−GaAs基板上121の(100)面上に、第1
回目の結晶成長によって、n−A10.5Ga0.5As
第1クラッド層122、ノンドープ量子井戸活性層12
3、p−Al0.5Ga0.5As第2クラッド層124
a、p−GaAsエッチングストップ層125、p−A
0.5Ga0.5As第3クラッド層124b、p−G
aAsキャップ層126を順次積層し成長させる。
【0168】次に、図17(b)に示すように、上記の半
導体層が形成されたn−GaAs基板121に、誘電体
膜を全面に形成する。この実施形態では誘電体膜として
SiOx139を用い、プラズマCVD法によって厚さ
0.3μmに形成した。
【0169】次に、図17(c)に示すように、公知のフ
ォトリソグラフィ技術を用いて、n−GaAs基板12
1の〈011〉方向に、ストライプ状のレジストストラ
イプ134を形成する。次に、レジストストライプ13
4をマスクとして、SiOx膜139をストライプ形状
に加工する。
【0170】次に、図17(d)に示すように、レジスト
ストライプ134およびSiOx膜139をマスクとし
て、反応性イオンエッチング(RIE)や反応性イオンビ
ームエッチング(RIBE)等の物理的エッチングモード
が強い垂直異方性ドライエッチングによって、p−Al
0.5Ga0.5As第3クラッド層124bを、厚さ
0.2μmを残したところまでエッチングを行い、残し
厚144を0.2μmとする。
【0171】次に、図17(e)に示すように、アンモニ
ア/過酸化水素/水を用いたGaAsエッチング速度に
対して、AlGaAsエッチング速度が十分に遅い組成
選択性のあるアンモニア系エッチャントによって、p−
GaAsキャップ層126の側面が面方位{111}A
面が出るまで、エッチングを行う。このとき、p−Ga
Asキャップ層126の上面は、SiOx膜139で保
護されているので、リッジ上部131Uの側面131a
であるp−GaAsキャップ層126の側面のサイドエ
ッチングのみが進行する。また、リッジ下部131Lの
側面131Lsは、p−Al0.5Ga0.5As第3ク
ラッド層124bからなる。また、底面131Lもp
−Al0.5Ga0.5As第3クラッド層124bで構
成されている。このため、上記アンモニア系エッチャン
トでは、リッジ下部131Lの側面131Lsのエッチ
ングは進行せず、ドライエッチングで形成された垂直リ
ッジ形状が崩されることはない。
【0172】次に、図18(f)に示すように、SiOx
膜139上のレジスト134のレジスト剥離を行なった
後、リッジ131が形成された上記n−GaAs基板1
21に、全面レジスト塗布を行う。次に、このレジスト
が塗布された上記n−GaAs基板121の全面露光を
行う。このとき、p−GaAsキャップ層126の側面
のサイドエッチングで露出した、p−Al0.5Ga
0.5As第3クラッド層124bの上面の肩部124
b−1に塗布されたレジストは、SiOx膜139で遮
蔽されている。このため、上記レジストは上記全面露光
で感光されないので、レジスト現像処理後、図18(f)
に示すレジスト136の形状で残ることになる。
【0173】次に、図18(g)に示すように、フッ化水
素酸を用いて、p−GaAsエッチングストップ層12
5までエッチングを行い、深さ方向は、p−GaAsエ
ッチングストップ層125でエッチングを停止させる。
このことによって、p−Al 0.5Ga0.5As第2ク
ラッド層124aの厚さの制御性とウエハ面内均一性を
向上させたリッジ部131を形成できる。また、p−G
aAsキャップ層126で構成されるリッジ上部131
Uの{111}A面を出した側面131aは、フッ化水
素酸ではエッチングが進まないので、上部131Uの
{111}A面の面方位が出た形状は維持される。ま
た、上記フッ化水素酸によるエッチングにおいて、Si
Ox膜139は、エッチング除去されるので、p−Ga
Asキャップ層126およびレジスト136が、エッチ
ングマスクとなり、リッジ部131のエッチングがなさ
れる。
【0174】この第6実施形態では、アンモニア系選択
エッチングによるp−GaAsキャップ層126側面の
サイドエッチングによるp−GaAsキャップ層126
側面の{111}A面の面方位出しを行った際に露出す
るp−Al0.5Ga0.5As第3クラッド層124b
の上面の肩部124b−1をレジスト136で被覆す
る。このことによって、その後のフッ化水素酸エッチン
グ工程での上記肩部124b−1からの不要なエッチン
グを防止することができ、リッジ首幅を狭くすることを
防止できる。したがって、残し厚144が厚い場合およ
びフッ化水素酸エッチング時間が長い場合に顕著になっ
ていたp−Al0.5Ga0.5As第3クラッド層12
4bからなる上部131Uの幅狭化を防止でき、また、
素子抵抗の増大を防止することができる。これによっ
て、上記残し厚144の設定や、上記フッ化水素酸エッ
チング時間の許容範囲が広がり、製造が容易となる。
【0175】また、この第6実施形態では、第3実施形
態と同じく、p−Al0.5Ga0. As第3クラッド
層124bで構成されるリッジ下部131Lの側面13
1Lsは垂直異方性ドライエッチングと、その後の追加
ウエットエッチングによって、リッジ幅の均一性と制御
性に優れたリッジ形状を形成できる。したがって、高出
力化した場合の光密度低減と基本横モード発振のための
光閉じ込めを両立させた半導体レーザ素子を作製でき
る。また、リッジ下部131Lの側面131Ls’と底
面131Lとの角度を、従来のウエットエッチングの
みで形成されるリッジ形状と比較して大きくできる。し
たがって、この第6実施形態によれば、従来では第3ク
ラッド層の厚膜化に伴い発生していたリッジ上部の幅狭
化による抵抗増大を低減できる。
【0176】一方、p−GaAsキャップ層126で構
成されるリッジ上部131Uの側面131aでは、{1
11}A面の面方位が出ていることから、格子面が均一
な状態となり、上記リッジ側面131a上に成長する電
流ブロック層127,128内において、結晶欠陥、転
移、歪の発生を防止できる。また、リッジ側面131a
上の電流ブロック層127,128上に成長させるコン
タクト層129内においても結晶欠陥、転移、歪の発生
を防止できる。このことによって、半導体レーザ素子の
長期高出力駆動時に生じていた電流ブロック層127,
128およびコンタクト層129内の結晶欠陥を防ぎ、
転移の活性層123への増殖を防ぎ、活性層123に歪
の悪影響が生じることを防止できる。したがって、高信
頼性の高出力半導体レーザ素子を作製できる。
【0177】(第7実施形態)次に、図19に、この発明
の第7の実施形態であるリッジ導波路型半導体レーザ素
子の断面を示す。また、図20(a)〜(d),図21(e)
〜(h)は、この半導体レーザ素子の第7実施形態の製造
方法を示す。図20,図21に従い、図19の半導体レ
ーザ素子の製造工程を説明する。
【0178】まず、図20(a)に示すように、n−Ga
As基板151の(100)面上に、第1回目の結晶成長
によって、キャリア濃度1×1018cm−3で厚さ
2.0μmのn−Al0.5Ga0.5As第1クラッド
層152、ノンドープ量子井戸活性層153、キャリア
濃度1×1018cm−3で厚さ0.2μmのp−Al
0.5Ga0.5As第2クラッド層154a、キャリア
濃度1×1018cm で厚さ0.003μmのp−
GaAsエッチングストップ層155、キャリア濃度1
×1018cm−3で厚さ1.2μmのp−Al0.5
a0.5As第3クラッド層154b、キャリア濃度1
×1018cm−3で厚さ0.01μmのp−Al0.2
Ga0.8Asエッチング防止層160、およびキャリ
ア濃度1×1018cm−3で厚さ0.5μmのp−G
aAsキャップ層156を順次積層成長させる。
【0179】次に、上記の半導体層が形成されたn−G
aAs基板151に、レジストを全面に塗布し、図20
(b)に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術を用
いて、n−GaAs基板151の〈011〉方向にスト
ライプ状に延びるレジストストライプ164を形成す
る。
【0180】次に、図20(c)に示すように、反応性イ
オンエッチング(RIE)や反応性イオンビームエッチン
グ(RIBE)等の物理的エッチングモードが強い垂直異
方性ドライエッチングによって、p−Al0.5Ga
0.5As第3クラッド層154bを、厚さ0.2μmを
残したところまでエッチングを行い、残し厚174を
0.2μmとする。
【0181】次に、図20(d)に示すように、クエン酸
/過酸化水素/水を使用し、GaAsエッチング速度に
対してAl0.2Ga0.8Asエッチング速度が十分に
遅い組成選択性のあるクエン酸系エッチャントによっ
て、p−GaAsキャップ層156の側面が面方位{1
11}A面が出るまで、エッチングを行う。このとき、
p−GaAsキャップ層156上面は、レジストマスク
164で保護されているため、リッジ上部161Uの側
面161aであるp−GaAsキャップ層156の側面
のサイドエッチングのみが進行する。
【0182】また、図20(d)に示すように、リッジ下
部161Lの側面161Lsは、p−Al0.2Ga
0.8Asエッチング防止層160およびp−Al0.5
Ga0. As第3クラッド層154bで構成されてい
る。また、リッジ下部161Lの底面161Lはp−
Al0.5Ga0.5As第3クラッド層154bで構成
されている。このため、上記クエン酸系エッチャントで
は、リッジ下部161Lの側面161Lsのエッチング
は進行せず、ドライエッチングで形成された垂直リッジ
形状が崩されることはない。
【0183】次に、図21(e)に示すように、フッ化水
素酸を用いて、p−GaAsエッチングストップ層15
5までエッチングを行い、深さ方向は、p−GaAsエ
ッチングストップ層155でエッチングを停止させる。
これにより、p−Al0.5Ga0.5As第3クラッド
層154bの厚さの制御性およびウエハ面内均一性を向
上させたリッジ形成が行える。
【0184】上記フッ化水素酸エッチングでは、Al混
晶比0.4以下のAlGaAsについてはエッチング速
度が十分遅いため、上記p−Al0.2Ga0.8Asエ
ッチング防止層160が、p−Al0.5Ga0.5As
第3クラッド層154b上面の肩部154b−1からの
フッ化水素酸エッチングに対する保護膜となる。したが
って、残し厚174が厚い場合およびフッ化水素酸エッ
チング時間が長い場合に顕著になっていたp−Al
0.5Ga0.5As第3クラッド層154bの上部の幅
狭化を防止することができ、高抵抗化を防止できる。こ
れにより、上記残し厚174の設定や上記フッ化水素酸
エッチング時間の許容範囲が広がり、製造が容易とな
る。
【0185】また、第3実施形態と同じく、この第7実
施形態の半導体レーザでは、p−Al0.5Ga0.5
s第3クラッド層154bで構成されるリッジ下部16
1Lの側面161Ls’は、垂直異方性ドライエッチン
グと、その後の追加ウエットエッチングによって、リッ
ジ幅の均一性と制御性に優れたリッジ形状を形成でき
る。したがって、高出力化した時の光密度低減と基本横
モード発振のための光閉じ込めとを両立させた半導体レ
ーザ素子を作製できる。
【0186】また、この第7実施形態の半導体レーザで
は、リッジ下部161Lの側面161Lsと底面161
とがなす角度を、従来のウエットエッチングのみで
形成されるリッジ形状と比較して大きくできる。よっ
て、この第7実施形態の半導体レーザでは、従来では高
出力化のための第3クラッド層厚膜化に伴い発生してい
たリッジ上部の幅狭化による抵抗増大を低減できる。
【0187】一方、p−GaAsキャップ層156で構
成されるリッジ上部161Uの側面161aは、{11
1}A面の面方位が出ていることから、格子面が均一な
状態となり、上記リッジ側面161a上に成長する電流
ブロック層157,158内において、結晶欠陥、転
移、歪の発生を防止できる。また、リッジ側面161a
上の電流ブロック層157,158上に成長させるコン
タクト層159内においても結晶欠陥、転移、歪の発生
を防止できる。
【0188】このことによって、半導体レーザ素子の長
期高出力駆動時に生じていた電流ブロック層157,1
58およびコンタクト層159内における結晶欠陥を防
止でき、活性層153への転移の増殖や、活性層153
に歪の悪影響が発生するのを防止できる。したがって、
高信頼性の高出力半導体レーザ素子を作製できる。
【0189】
【発明の効果】以上より明らかなように、この発明の半
導体レーザ素子では、半導体レーザ素子のリッジ部の上
部の0.3μm厚以上の側面の面方位出しを行っている
ことから、電流ブロック層およびコンタクト層内の結晶
欠陥、転移、歪の発生を防止できる。また、上記リッジ
部が有する下部の側面と上記リッジ部の底面とがなす角
度と90°との差が、上記リッジ部の上部の側面と上記
リッジ部の底面とがなす角度と90°との差よりも小さ
いことによって、基本横モード発振の高出力特性を有す
るリッジ型導波路構造の形成を容易にしている。以上よ
り、高出力駆動での高信頼性の半導体レーザ素子が得ら
れる。
【0190】また、一実施形態の半導体レーザ素子で
は、リッジ部の下部をなす第3クラッド層の側面によ
り、リッジ部を底面との角度が急峻なリッジ形状とし、
リッジ部の上部をなすキャップ層の側面において、面方
位出しを行う。これにより、選択エッチングによって、
リッジ部の下部をエッチングさせずに、リッジ部の上部
の面方位出しエッチングが可能となる。これにより、作
製工程を簡略化した半導体レーザ素子が得られる。
【0191】また、一実施形態の半導体レーザ素子で
は、リッジ部の下部側面の角度を70°以上、90°以
下に制御し、リッジ部の上部側面の面方位出しをするこ
とによって、基本横モード発振および高出力特性で優位
性が更に高く、高信頼性の半導体レーザ素子が得られ
る。
【0192】また、一実施形態の製造方法では、半導体
レーザ素子の横モード発振や端面光密度に直接影響する
リッジ部の下部側面のリッジ形成を、高精度のリッジ幅
制御ならびに形状制御ができる垂直異方性ドライエッチ
ングで行う。このことにより、リッジ部の形状の最適化
ができ、基本横モード発振の高出力特性を有する半導体
レーザ素子を作製できる。
【0193】なお、リッジ部の側面に面方位が出ていな
い場合の電流ブロック層およびコンタクト層内の結晶欠
陥,転移,歪の発生起点はリッジ部の上部側面に集中して
いる。したがって、リッジ部の上部側面のみ面方位を出
すことで、電流ブロック層およびコンタクト層内の結晶
欠陥および転移や歪の発生を防止でき、高出力駆動での
高信頼性の半導体レーザ素子を作製できる。
【0194】また、一実施形態の製造方法では、リッジ
部の上部の側面の面方位出し方法として、面方位選択性
のある異方性エッチングを用いることによって、リッジ
部の上部の側面に出す面方位を高精度化できる。さら
に、面方位を出したリッジ部の側面の加工面が低ダメー
ジであることから、リッジ部の側面への上積層である電
流ブロック層およびコンタクト層内の結晶欠陥、転移、
歪発生をさらに抑制できる。
【0195】また、一実施形態の製造方法では、リッジ
部の上部の側面の面方位出しする面を{111}面とす
ることで、面方位選択性のある異方性エッチングでは最
も面方位を出しやすくなり、作製工程を容易にできる。
【0196】また、一実施形態の製造方法では、組成選
択性のあるエッチングによって、第3クラッド層から構
成されるリッジ部の下部側面の形状を崩すことなく、キ
ャップ層で構成されるリッジ部の上部側面の面方位出し
エッチングが可能となる。これによって、リッジ部の下
部をエッチングから保護する処理を必要とせずに、リッ
ジ部の上部のみの面方位出しエッチングができ、作製工
程を簡略化できる。
【0197】また、一実施形態の製造方法では、ドライ
エッチングによって、リッジ部を形成した後、使用した
ドライエッチングマスクを除去することなく、そのま
ま、キャップ層の側面の面方位出しエッチング時におけ
るキャップ層の上面の保護マスクとして使用する。この
ことにより、作製工程を簡略化できる。
【0198】また、一実施形態の製造方法では、表面酸
化膜に依存する組成選択性のあるドライエッチングによ
って、第3クラッド層から構成されるリッジ部の下部の
側面形状を崩すことなく、キャップ層で構成されるリッ
ジ部の上部側面の面方位出しエッチングが可能となる。
これにより、リッジ部の下部をエッチングから保護する
処理を必要とせずに、リッジ部の上部のみの面方位出し
エッチングを実行でき、作製工程を簡略化できる。ま
た、リッジ部の形成と面方位出しのエッチングとを共
に、ドライエッチングで実行できるので、リッジ形状の
制御性および均一性を向上できる。
【0199】また、一実施形態の製造方法では、表面酸
化膜に依存する組成選択性のあるドライエッチングを行
う前に、表面酸化処理を行うことによって、均一性や再
現性の高い酸化膜を作製でき、組成選択性ドライエッチ
ングの均一性と再現性を向上して、リッジ形状の均一性
と再現性を向上できる。
【0200】また、一実施形態の製造方法では、キャッ
プ層の側面の面方位出しのエッチングによって露出する
第3クラッド層からなるリッジ部の肩部(上面)をエッチ
ング保護膜で被覆する。これにより、ドライエッチング
によってリッジ部を形成し、キャップ層の側面の面方位
出し、およびエッチングストップ層までの第2選択エッ
チング工程によってリッジ部を形成した場合に、リッジ
部の肩部(上面)からのエッチングを無くして、リッジ部
の上部の幅狭化をさらに低減でき、高抵抗化を防止した
半導体レーザ素子の作製工程を容易にできる。
【0201】また、一実施形態の製造方法では、上記保
護膜としてレジストを使用することによって、露出した
第3クラッド層の上面(肩部)のみを被覆するエッチング
保護膜を作製でき、作製工程の簡略化を図れる。
【0202】また、一実施形態の製造方法では、キャッ
プ層とクラッド層の間にエッチング防止層を形成し、ド
ライエッチングでリッジ部を形成する。これにより、キ
ャップ層の側面をエッチングすることで露出するクラッ
ド層からなるリッジ部の肩部からのエッチングを無く
し、リッジ部の上部の幅狭化をさらに低減でき、高抵抗
化を防止した半導体レーザ素子を容易に作製できる。
【0203】また、一実施形態の製造方法では、GaA
s系半導体レーザ素子で用いられているキャップ層およ
び第3クラッド層に対して、エッチング防止層として、
Al Gal−XAs(x=0.1〜0.3)層を用い、第
1選択エッチングのエッチャントとして、クエン酸と過
酸化水素と水の混合エッチャントを使用し、第2選択エ
ッチングのエッチャントとして、フッ化水素酸を使用す
る。
【0204】これにより、キャップ層の側面の面方位出
しで露出するクラッド層からなるリッジ部の肩部からの
エッチングを無くすことができ、GaAs系半導体レー
ザ素子において、リッジ部の上部の幅狭化をさらに低減
でき、高抵抗化を防止した半導体レーザ素子を容易に作
製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の半導体レーザ素子の第1実施形態
の断面図である。
【図2】 上記第1実施形態の半導体レーザ素子の製造
方法を示す工程図(前半)である。
【図3】 上記製造方法を示す工程図(後半)である。
【図4】 この発明の半導体レーザ素子の第2実施形態
の断面図である。
【図5】 上記第2実施形態の半導体レーザ素子の製造
方法を示す工程図(前半)である。
【図6】 上記第2実施形態の半導体レーザ素子の製造
方法を示す工程図(後半)である。
【図7】 この発明の半導体レーザ素子の第3実施形態
の断面図である。
【図8】 上記第3実施形態の半導体レーザ素子の製造
方法を示す工程図(前半)である。
【図9】 上記第3実施形態の半導体レーザ素子の製造
方法を示す工程図(後半)である。
【図10】 この発明の半導体レーザ素子の第4実施形
態の断面図である。
【図11】 上記第4実施形態の半導体レーザ素子の製
造方法を示す工程図(前半)である。
【図12】 上記第4実施形態の半導体レーザ素子の製
造方法を示す工程図(後半)である。
【図13】 この発明の半導体レーザ素子の第5実施形
態の断面図である。
【図14】 上記第5実施形態の半導体レーザ素子の製
造方法を示す工程図(前半)である。
【図15】 上記第5実施形態の半導体レーザ素子の製
造方法を示す工程図(後半)である。
【図16】 この発明の半導体レーザ素子の第6実施形
態の断面図である。
【図17】 上記第6実施形態の半導体レーザ素子の製
造方法を示す工程図(前半)である。
【図18】 上記第6実施形態の半導体レーザ素子の製
造方法を示す工程図(後半)である。
【図19】 この発明の半導体レーザ素子の第7実施形
態の断面図である。
【図20】 上記第7実施形態の半導体レーザ素子の製
造方法を示す工程図(前半)である。
【図21】 上記第7実施形態の半導体レーザ素子の製
造方法を示す工程図(後半)である。
【図22】 第1従来例の半導体レーザ素子の断面図で
ある。
【図23】 第1従来例の半導体レーザ素子の製造方法
を示す工程図(前半)である。
【図24】 第1従来例の半導体レーザ素子の製造方法
を示す工程図(後半)である。
【図25】 第2従来例の半導体レーザ素子の断面図で
ある。
【図26】 第2従来例の半導体レーザ素子の製造方法
を示す工程図(前半)である。
【図27】 第2従来例の半導体レーザ素子の製造方法
を示す工程図(後半)である。
【図28】 図28(d)’および図28(e)’は上記第
2従来例における構造の欠点を示す断面図である。
【図29】 上記第2従来例における構造の欠点を示す
もう1つの断面図である。
【符号の説明】
1,31,51,71,91,121,151…n−GaAs
基板、2,32,52,72,92,123,153…n−A
lGaAs第1クラッド層、3,33,53,73,93,
123,153…量子井戸活性層、4,34,94…p−
AlGaAs上クラッド層、4a,34a,54a,74
a,94a,124a,154a…p−AlGaAs第2
クラッド層、4b,34b,54b,74b,94b,12
4b,154b…p−AlGaAs第3クラッド層、5,
55…p−GaAsエッチングストップ層、5a,75
a…p−In0.5Ga0.5Pエッチングストップ層、
6,36,56,76,96,126,156…p−GaAs
キャップ層、7,37,57,77,97,127,157…
n−AlGaAs電流ブロック層、8,38,58,78,
98,128,158…n−GaAs電流ブロック層、
9,39,59,79,99,129,159…p−GaAs
コンタクト層、10…p−AlGaAsエッチング防止
層、11,41,61,81,101,131,161…リッ
ジ部、11a,41a,61a,81a,101b,131
a,161a…リッジ部の面方位出し側面、11Ls,4
1Ls,61Ls',81Ls,101Ls,131Ls',
161Ls'…リッジ部の面方位出し側面、12,42,
62,82,102,132,162…p電極、13,43,
63,83,103,133,163…n電極。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1導電型の半導体基板上に、少なくと
    も第1導電型の第1クラッド層と、活性層と、第2導電
    型の第2クラッド層と、共振器の長さ方向に延在するリ
    ッジ部を構成する第2導電型の第3クラッド層および第
    2導電型のキャップ層と、上記リッジ部の両脇に配置さ
    れた電流ブロック層と、上記リッジ部の上に配置された
    第2導電型コンタクト層とを備える半導体レーザ素子で
    あって、 上記リッジ部は、側面の面方位出しが行われている0.
    3μm厚以上の部分を含む上部を有し、 上記リッジ部が有する下部の側面と上記リッジ部の底面
    とがなす角度と90°との差が、上記リッジ部の上部の
    側面と上記リッジ部の底面とがなす角度と90°との差
    よりも小さいことを特徴とする半導体レーザ素子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の半導体レーザ素子にお
    いて、 上記リッジ部の上記上部が、上記第2導電型のキャップ
    層で構成されており、上記リッジ部の上記下部が、上記
    第2導電型の第3クラッド層で構成されていることを特
    徴とする半導体レーザ素子。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の半導体レーザ
    素子において、 上記リッジ部の上記下部の側面と上記リッジ部の底面と
    がなす角度が、70°以上、かつ、90゜以下であるこ
    とを特徴とする半導体レーザ素子。
  4. 【請求項4】 第1導電型の半導体基板上に、少なくと
    も、第1導電型の第1クラッド層と、活性層と、第2導
    電型の第2クラッド層と、共振器の長さ方向に延在する
    リッジ部を構成する第2導電型の第3クラッド層および
    第2導電型のキャップ層と、上記リッジ部の両脇に配置
    された電流ブロック層と、上記リッジ部の上に配置され
    た第2導電型コンタクト層とを備える半導体レーザ素子
    の製造方法であって、 上記リッジ部のうち、少なくとも上記活性層に近い下部
    を、垂直異方性の強いドライエッチングによって形成
    し、 上記リッジ部のうちの上部の側面の面方位出しを行った
    後、上記電流ブロック層の結晶成長を行うことを特徴と
    する半導体レーザ素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の半導体レーザ素子の製
    造方法において、 上記リッジ部の上記上部の側面の面方位出しを、面方位
    選択性のある異方性エッチングによって行うことを特徴
    とする半導体レーザ素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項4または5に記載の半導体レーザ
    素子の製造方法において、 上記リッジ部の上記上部の側面の面方位を{111}面
    にすることを特徴とする半導体レーザ素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項4乃至6のいずれか1つに記載の
    半導体レーザ素子の製造方法において、 上記第3クラッド層がエッチングされることなく、上記
    キャップ層のみがエッチングされる第1選択エッチング
    によって、上記キャップ層の側面を面方位が出るまでエ
    ッチングすることを特徴とする半導体レーザ素子の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の半導体レーザ素子の製
    造方法において、上記ドライエッチングによって、上記
    リッジ部を形成した後、上記ドライエッチングにおける
    ドライエッチングマスクを残し、 このドライエッチングマスクを、上記キャップ層の側面
    を上記第1選択エッチングする時に上記キャップ層の上
    面を保護する保護マスクとして使用することを特徴とす
    る半導体レーザ素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項7または8に記載の半導体レーザ
    素子の製造方法において、 上記第3クラッド層を、Alを構成元素とする化合物半
    導体層とし、上記キャップ層を、Alを構成元素としな
    い化合物半導体層とし、 上記第3クラッド層の表面に生成される酸化膜と上記キ
    ャップ層の表面に生成される酸化膜との相違によって、
    上記第3クラッド層がエッチングされることなく、上記
    キャップ層のみがエッチングされる組成選択性ドライエ
    ッチングを行い、上記キャップ層の側面を面方位が出る
    までエッチングすることを特徴とする半導体レーザ素子
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の半導体レーザ素子の
    製造方法において、 上記第3クラッド層と上記キャップ層の露出面の表面酸
    化工程を行った後、上記第3クラッド層がエッチングさ
    れることなく、上記キャップ層のみがエッチングされる
    組成選択性ドライエッチングを行い、上記キャップ層の
    側面を面方位が出るまでエッチングすることを特徴とす
    る半導体レーザ素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項7乃至10のいずれか1つに記
    載の半導体レーザ素子の製造方法において、 上記第2クラッド層と上記第3クラッド層との間にエッ
    チングストップ層を形成し、 ドライエッチングによって、上記リッジ部を形成した
    後、上記キャップ層の側面を第1選択エッチングするこ
    とによって、上記キャップ層の側面の面方位出しを行
    い、その後、エッチングストップ層までの第2選択エッ
    チングを行うリッジ作製工程において、 上記第1選択エッチングによる上記キャップ層の側面の
    面方位出しによって露出した上記第3クラッド層の上面
    を、エッチング保護膜で被覆した後、エッチングストッ
    プ層までの第2選択エッチング工程を行うことを特徴と
    する半導体レーザ素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の半導体レーザ素子
    の製造方法において、 上記エッチング保護膜としてレジストを使用することを
    特徴とする半導体レーザ素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項7乃至10のいずれか1つに記
    載の半導体レーザ素子の製造方法において、 上記第2クラッド層と上記第3クラッド層との間にエッ
    チングストップ層を形成し、 ドライエッチングによって、上記リッジ部を形成した
    後、上記キャップ層の側面を第1選択エッチングするこ
    とによって、上記キャップ層の側面の面方位出しを行
    い、その後、エッチングストップ層までの第2選択エッ
    チングを行うリッジ作製工程において、 上記第3クラッド層と上記キャップ層との間に、上記第
    1選択エッチングおよび上記第2選択エッチングによっ
    てエッチングされることのないエッチング防止層を形成
    することを特徴とする半導体レーザ素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載の半導体レーザ素子
    の製造方法において、 上記キャップ層をGaAs層とし、上記第2,第3クラ
    ッド層をAlGa −XAs(x=0.35〜0.6)と
    し、上記エッチングストップ層をGaAsとし、上記エ
    ッチング防止層を、AlGa1−XAs(x=0.1〜
    0.3)層とし、 上記第1選択エッチングのエッチャントとして、クエン
    酸と過酸化水素水と水の混合エッチャントを使用し、上
    記第2選択エッチングのエッチャントとして、フッ化水
    素酸を使用することを特徴とする半導体レーザ素子の製
    造方法。
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