JP2003217962A - 反強磁性体膜とそれを用いた磁気抵抗効果素子および磁気装置 - Google Patents

反強磁性体膜とそれを用いた磁気抵抗効果素子および磁気装置

Info

Publication number
JP2003217962A
JP2003217962A JP2002316414A JP2002316414A JP2003217962A JP 2003217962 A JP2003217962 A JP 2003217962A JP 2002316414 A JP2002316414 A JP 2002316414A JP 2002316414 A JP2002316414 A JP 2002316414A JP 2003217962 A JP2003217962 A JP 2003217962A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
antiferromagnetic
sputtering target
magnetic
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002316414A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3727914B2 (ja
Inventor
Takashi Yamanobe
尚 山野辺
Naomi Fujioka
直美 藤岡
Takashi Ishigami
隆 石上
Nobuo Katsui
信雄 勝井
Hiromi Fukuya
ひろみ 福家
Kazuhiro Saito
和浩 齋藤
Hitoshi Iwasaki
仁志 岩崎
Masashi Sahashi
政司 佐橋
Takashi Watanabe
高志 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2002316414A priority Critical patent/JP3727914B2/ja
Publication of JP2003217962A publication Critical patent/JP2003217962A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3727914B2 publication Critical patent/JP3727914B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐食性や熱特性に優れるMn合金からなる反
強磁性体膜において、膜組成や膜質の安定化を図る。さ
らに、室温および高温域で十分な交換結合力を安定して
得られるようにする。 【解決手段】 10〜98原子%のMnを含み、残部が実質
的にNi、Pd、Pt、Co、Rh、Ir、V、Nb、
Ta、Cu、Ag、Au、Ru、Os、Cr、Mo、W
およびReから選ばれる少なくとも1種のR元素からな
るスパッタリングターゲットを用いて、スパッタ成膜し
てなる反強磁性体膜であって、スパッタリングターゲッ
トからの組成のずれが10原子%以下の膜組成を有してい
る。反強磁性体膜3は強磁性体膜4と積層して交換結合
膜2を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スパッタリングタ
ーゲットを用いて形成した反強磁性体膜と磁気抵抗効果
素子および磁気装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、高密度磁気記録における再生
用ヘッドとして、磁気抵抗効果素子(以下、MR素子と
記す)を用いた磁気ヘッド(MRヘッド)の研究が進め
られている。現在、磁気抵抗効果膜(MR膜)として
は、異方性磁気抵抗効果(AMR)を示すNi80Fe20
(at%)合金(パーマロイ)などが一般的に使用されて
いる。AMR膜は磁気抵抗変化率(MR変化率)が3%
程度と小さいことから、これに代わる磁気抵抗効果膜材
料として、巨大磁気抵抗効果(GMR)を示す(Co/
Cu)nなどの人工格子膜やスピンバルブ膜が注目され
ている。
【0003】AMR膜を用いたMR素子においては、A
MR膜が磁区を有することから、この磁区に起因するバ
ルクハウゼンノイズが実用化の上で大きな課題となって
いる。このため、AMR膜を単磁区化する方法が種々検
討されている。その1つとして、強磁性体であるAMR
膜と反強磁性体膜との交換結合を利用して、AMR膜の
磁区を特定方向に制御する方法が適用されている。ここ
での反強磁性体としては従来からγ−FeMn合金が広
く知られている(例えば、米国特許第4,103,315号明細
書、米国特許第5,014,147号明細書、米国特許第5,315,4
68号明細書など参照)。
【0004】一方、スピンバルブ膜は強磁性層/非磁性
層/強磁性層の積層構造からなるサンドイッチ膜を有
し、一方の強磁性層の磁化をピン止めすることによりG
MRを得ている。スピンバルブ膜における一方の強磁性
層の磁化をピン止めする際にも、反強磁性体膜と強磁性
体膜との交換結合を利用する技術が普及している。この
際の反強磁性体膜としてもγ−FeMn合金が広く使用
されている。しかしながら、γ−FeMn合金は耐食性
が低く、特に水により腐食しやすいという欠点を有して
いる。このため、γ−FeMn合金からなる反強磁性体
膜を用いたMR素子は、素子形状やヘッド形状への加工
工程で腐食、特に大気中の水分による腐食が生じやす
く、この腐食に基づいて経時的にMR膜との交換結合力
が劣化しやすいという問題がある。
【0005】反強磁性体膜と強磁性体膜との交換結合膜
には、信頼性という観点から例えば393Kで200Oe以上の
交換結合力が要求されている。393Kで200Oe以上の交換
結合力を得るためには、室温での交換結合力に加えて、
交換結合力の温度特性が良好である必要がある。交換結
合力の温度特性に関しては、強磁性体膜と反強磁性体膜
との交換結合力が失われる温度であるブロッキング温度
ができるだけ高いことが望ましい。しかし、γ−FeM
n合金はブロッキング温度が443K以下と低く、また交換
結合力の温度特性も非常に悪い。
【0006】一方、例えば米国特許第5,315,468号に
は、面心正方晶系の結晶構造を有するNiMn合金など
のθ−Mn合金を、反強磁性膜として使用することが記
載されている。θ−Mn合金からなる反強磁性体膜を用
いると、高温域でも反強磁性体膜と強磁性体膜との交換
結合力が低下しないことが示されている。さらに、ブロ
ッキング温度が高く、交換結合力が大きいと共に、耐食
性に優れる反強磁性体膜として、面心立方晶系の結晶構
造を有するIrMn合金が提案されている。同じ結晶構
造を有する反強磁性体膜としては、PtMn合金やRh
Mn合金などのγ−FeMn合金以外のγ−Mn合金が
知られている(米国特許第4,103,315号、第5,315,468号
など参照)。
【0007】上述したように、IrMn合金、PtMn
合金、RhMn合金、NiMn合金、PdMn合金、C
rMn合金などのMn合金は、耐食性に優れ、さらに交
換結合膜のブロッキング温度を高くすることができる。
よって、MR素子の長期的な信頼性を高める反強磁性体
として注目されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、反強磁性体
膜の形成には一般的にスパッタ法が採用されている。上
記したようなMn合金を構成する各元素からなるスパッ
タリングターゲットを用いて、反強磁性体膜をスパッタ
成膜している。しかしながら、従来のスパッタリングタ
ーゲットを用いて成膜した反強磁性体膜は、面内の膜組
成が不均一になりやすい。このような反強磁性体膜と強
磁性体膜との交換結合膜では、十分な交換結合力が得ら
れないという問題があった。また、そのような交換結合
膜を用いたMR素子やMRヘッドは、それらを構成する
他の層から反強磁性体膜が悪影響を受け、交換結合特性
が劣化しやすいなどの問題を有している。
【0009】さらに、従来のスパッタリングターゲット
は、スパッタ初期とライフエンド近くとで、成膜された
膜組成に大きな組成ずれが生じやすいという問題を有し
ている。このような反強磁性体膜の膜組成の経時変化も
交換結合特性の劣化を生じさせる原因になっている。
【0010】本発明はこのような課題に対処するために
なされたもので、耐食性や熱特性に優れるMn合金から
なる反強磁性体膜において、膜組成や膜質の安定化を図
った反強磁性体膜、さらには室温および高温域で十分な
交換結合力が安定して得られる反強磁性体膜を提供する
ことを目的としている。さらに、そのような特性を有す
る反強磁性体膜を使用することによって、安定した特性
や出力を再現性よく得ることを可能にした磁気抵抗効果
素子および磁気装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の反強磁性体膜
は、10〜98原子%のMnを含み、残部が実質的にNi、
Pd、Pt、Co、Rh、Ir、V、Nb、Ta、C
u、Ag、Au、Ru、Os、Cr、Mo、WおよびR
eから選ばれる少なくとも1種のR元素からなるスパッ
タリングターゲットを用いて、スパッタ成膜してなる反
強磁性体膜であって、前記スパッタリングターゲットか
らの組成のずれが10原子%以下の膜組成を有することを
特徴としている。
【0012】本発明の他の反強磁性体膜は、10〜98原子
%のMnを含み、残部が実質的にNi、Pd、Pt、C
o、Rh、Ir、V、Nb、Ta、Cu、Ag、Au、
Ru、Os、Cr、Mo、WおよびReから選ばれる少
なくとも1種のR元素からなり、かつターゲット組織の
少なくとも一部として前記R元素とMnとの合金相およ
び化合物相から選ばれる少なくとも1種を有するスパッ
タリングターゲットを用いて、スパッタ成膜してなる反
強磁性体膜であって、前記スパッタリングターゲットか
らの組成のずれが10原子%以下の膜組成を有することを
特徴としている。
【0013】本発明のさらに他の反強磁性体膜は、10〜
98原子%のMnを含み、残部が実質的にNi、Pd、P
t、Co、Rh、Ir、V、Nb、Ta、Cu、Ag、
Au、Ru、Os、Cr、Mo、WおよびReから選ば
れる少なくとも1種のR元素からなり、かつ酸素含有量
が1重量%以下(0を含む)であると共に、炭素含有量が
0.3重量%以下(0を含む)であるスパッタリングターゲ
ットを用いて、スパッタ成膜してなる反強磁性体膜であ
って、前記スパッタリングターゲットからの組成のずれ
が10原子%以下の膜組成を有することを特徴としてい
る。
【0014】本発明の反強磁性体膜は、Mn含有量が30
原子%以上のスパッタリングターゲットを用いる場合に
好適である。さらに、本発明で用いるスパッタリングタ
ーゲットは、さらにBe、Ti、Zr、Hf、Zn、C
d、Al、Ga、In、Si、Ge、SnおよびNから
選ばれる少なくとも1種の元素を40原子%以下の範囲で
含有していてもよい。本発明の反強磁性体膜は、さらに
面内の膜組成分布のばらつき(最大値と最小値との差)
が0.5原子%以下であることを特徴としている。
【0015】本発明の磁気抵抗効果素子は、上記した本
発明の反強磁性体膜を具備することを特徴としている。
本発明の磁気抵抗効果素子は、例えば上記した本発明の
反強磁性体膜と、前記反強磁性体膜と交換結合された強
磁性体膜とを具備している。さらには、上記した本発明
の反強磁性体膜と、前記反強磁性体膜と交換結合された
第1の強磁性層と、前記第1の強磁性層と非磁性層を介
して積層された第2の強磁性層とを具備している。本発
明の磁気抵抗効果素子は、例えば磁気ヘッドに用いられ
る。本発明の磁気抵抗効果素子は、MRAMのような磁
気記憶装置、磁気センサなどに使用することもできる。
このように、本発明の磁気装置は本発明の磁気抵抗効果
素子を具備するものである。
【0016】本発明においては、反強磁性体膜の成膜に
用いるスパッタリングターゲット中に、R元素をMnと
の合金相や化合物相として分布させている。R元素とM
nとの化合物相や合金相としてR元素をターゲット組織
中に分布させることによって、ターゲット中の組成を均
一化することができる。さらに、ターゲット組織として
も均一な状態に近付く。特に、ターゲットの全体組成が
Mnリッチである場合、R元素をMnとの合金相や化合
物相として分布させることによって、組成や組織の均一
性を向上させることができる。
【0017】さらに、スパッタリングターゲット中の酸
素含有量を1重量%以下とすることによって、Mnリッ
チのターゲット組成を有するスパッタリングターゲット
であっても、容易に高密度化することができる。スパッ
タリングターゲットの低酸素濃度化や高密度化は、それ
を用いて成膜した反強磁性体膜の高純度化および低酸素
濃度化に大きく寄与する。さらに、反強磁性体膜の膜質
や膜組成(ターゲット組成からのずれ)などの改善にも
寄与する。
【0018】上述したようなスパッタリングターゲット
を用いて、反強磁性体膜をスパッタ成膜することによっ
て、面内の膜組成の均一性に優れる反強磁性体膜が安定
して得られる。さらに、スパッタリングターゲットの組
成や組織の均一化は、スパッタ初期からターゲットのラ
イフエンドまでの組成ずれの抑制に効果を発揮する。ス
パッタリングターゲットの低酸素濃度化や高密度化も同
様である。このように、本発明の反強磁性体膜は膜組成
の安定性および面内の膜組成の均一性に優れるものであ
る。このような本発明の反強磁性体膜を例えば強磁性体
膜と積層して交換結合膜を構成することによって、十分
な交換結合力、良好な耐食性や耐熱性などの優れた特性
を安定して得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。本発明で用いられるスパッタリン
グターゲットとしては、実質的にNi、Pd、Pt、C
o、Rh、Ir、V、Nb、Ta、Cu、Ag、Au、
Ru、Os、Cr、Mo、WおよびReから選ばれる少
なくとも1種のR元素と、Mnとからなるものが挙げら
れる。このようなスパッタリングターゲットを用いて成
膜したRMn合金からなる反強磁性体膜は、種々の強磁
性体膜と積層することによって、例えば交換結合膜とし
て使用される。
【0020】本発明で用いるスパッタリングターゲット
において、Mnの含有量はR元素との組合せに基づいて
適宜設定されるが、少なくともMn含有量は10原子%以
上とする。Mn含有量があまり少なすぎると、良好な交
換結合力を得ることができない。一方、R元素の含有量
が少なすぎると耐食性が低下する傾向がある。このよう
なことから、Mn含有量は10〜98原子%の範囲とする。
本発明はMn含有量が30原子%以上というように、Mn
リッチな組成を有するスパッタリングターゲットを用い
る場合に対して特に効果的である。
【0021】Mn含有量のより好ましい範囲は、選択し
たR元素に基づいて設定される。例えば、R元素がI
r、Rh、Au、Ag、Co、Ru、Reである場合、
Mn含有量は40〜98原子%の範囲とすることが好まし
く、さらには60〜95原子%の範囲とすることが望まし
い。上記したR元素を含むRMn合金は、一般に上記し
たような組成範囲で面心立方晶系の結晶構造が安定とな
る。結晶構造の少なくとも一部が面心立方晶構造のRM
n合金は、特に高いネール温度(反強磁性体が反強磁性
を失う温度)を有することから、交換結合膜のブロッキ
ング温度をより一層向上させることができる。
【0022】また、R元素がNi、Pdである場合に
は、結晶構造が面心正方晶系のときに熱安定性が向上す
る。従って、このような結晶構造が安定となる組成範
囲、すなわちMn含有量を30〜70原子%の範囲とするこ
とが好ましい。R元素がCrである場合には、RMn合
金は体心立方晶構造や体心正方晶構造をとり、Mn含有
量は30〜70原子%の範囲とすることが好ましい。R元素
がPtである場合には、面心立方晶および面心正方晶共
に熱安定性に優れる。この際のMn含有量は30〜98原子
%の範囲、特に60〜95原子%の範囲とすることが好まし
い。
【0023】本発明で用いるスパッタリングターゲット
にはR元素の他に、Be、Ti、Zr、Hf、Zn、C
d、Al、Ga、In、Si、Ge、SnおよびNから
選ばれる少なくとも1種の元素(A元素)を含有させて
もよい。RMn合金からなる反強磁性体膜は、上述した
組成範囲や結晶構造などに基づいて、従来のFeMn合
金に比べて良好な耐食性が得られているが、このような
添加成分を含有させることで一段と耐食性を向上させる
ことができる。ただし、A元素をあまり多量に含有する
と、交換結合力が低下するおそれがある。A元素の配合
量は40原子%以下とすることが好ましく、さらに好まし
くは30原子%以下である。
【0024】本発明で用いられるスパッタリングターゲ
ットは、ターゲット組織の少なくとも一部として、R元
素とMnとの合金相およびR元素とMnとの化合物相か
ら選ばれる少なくとも1種を有している。R元素とMn
とを組合せたスパッタリングターゲットは、一般的に粉
末焼結法などで高密度化することが難しく、さらにMn
に対してR元素を均一に分布させることが困難である。
Mnリッチな組成範囲を適用した場合、特にR元素の分
布が不均一になりやすい。
【0025】このようなR元素とMnとの組合せにおい
て、本発明ではR元素をMnとの合金相や化合物相とし
て、スパッタリングターゲット中に分布させている。例
えば、R元素としてIrを用いた場合、これらの化合物
相としてはIrMn3が挙げられる。このようなMnリ
ッチな化合物相や合金相としてR元素をターゲット組織
中に分布させ、単相として存在するR元素量を極力減ら
すことによって、ターゲット中の組成を均一化すること
ができる。さらに、ターゲット組織(金属組織)として
も均一な状態に近付く。特に、ターゲットの全体組成が
Mnリッチである場合、R元素をMnとの合金相や化合
物相として分布させることによって、組成や組織の均一
性を向上させることができる。
【0026】ここで、R元素として2種類以上の元素を
使用する場合、R元素とMnとの合金相や化合物相は、
各R元素とMnとの合金や化合物であってもよいし、ま
た2種以上のR元素とMnとの合金や化合物であっても
よい。例えば、R元素としてIrとRhを選択した場
合、IrとMnの2元系の合金や化合物、RhとMnの2
元系の合金や化合物、およびIrとRhとMnの3元系
の合金や化合物のいずれか1種以上が存在していればよ
い。
【0027】なお、上記した合金相や化合物相を構成す
るMn以外は、Mn単相として存在することができる。
本発明で用いるスパッタリングターゲットにおいては、
R元素の一部も単相として存在することが許容される
が、その比率は上記したような理由から極力減少させる
ことが好ましい。
【0028】さらに、上記した合金相や化合物相を構成
するMnを除く残余のMnの粒径は50μm以下であるこ
とが好ましい。単相として残存するMnの粒径が大きい
と、微視的に見るとMnが偏析していることになる。こ
のようなMnの偏析に起因する組成や組織の不均一を解
消する上で、単相としてのMnの最大粒径は50μm以下
とすることが好ましい。そのようなMnの平均粒径は10
〜40μmの範囲とすることがより好ましい。Mn粒径の
微細化は、特にMnリッチなターゲット組成に対して効
果を示す。しかし、Mnの平均粒径があまり小さいと酸
素含有量の増大原因となるため、10μm以上とすること
が好ましい。Mnの最大粒径は30μm以下とすることが
さらに好ましい。ここで、Mnの粒径とはMn粒を囲む
最小円の直径のことを言う。
【0029】上述したようなスパッタリングターゲット
を用いて、反強磁性体膜をスパッタ成膜することによっ
て、面内の膜組成の均一性に優れる反強磁性体膜が安定
して得られる。スパッタリングターゲットの組成や組織
の均一化は、スパッタ初期からターゲットのライフエン
ドまでの組成ずれの抑制にも効果を発揮する。このよう
に、本発明のスパッタリングターゲットを用いることに
よって、膜組成の安定性に優れる反強磁性体膜を再現性
よく得ることができる。得られる反強磁性体膜は、さら
に面内の膜組成の均一性にも優れるものである。
【0030】本発明で用いるスパッタリングターゲット
は、さらにターゲット中の酸素含有量を1重量%以下(0
を含む)とすることが好ましい。ターゲット中の酸素含
有量があまり多いと、特に焼結時のMnの組成制御が難
しくなると共に、スパッタ成膜して得られる反強磁性体
膜中の酸素量が増大する。これらは反強磁性体膜の特性
劣化の要因となるおそれがある。さらに、ターゲット中
の酸素含有量が多いと、ターゲットを高密度化すること
が困難となる。また、加工性が悪くなる上に、スパッタ
中にターゲットに割れが入りやすくなるなどの問題が生
じる。より好ましい酸素含有量は0.7重量%以下であ
り、さらに好ましくは0.1重量%以下である。
【0031】さらに、ターゲット中の炭素含有量が多い
場合にも、焼結時や塑性加工時に割れなどの欠陥が生じ
やすくなる。さらに、得られる反強磁性体膜の交換結合
磁界やブロッキング温度などの特性も低下する。従っ
て、ターゲット中の炭素含有量は0.3重量%以下(0を含
む)とすることが好ましい。より好ましい炭素含有量は
0.2重量%以下であり、さらに好ましくは0.01重量%以
下である。
【0032】特に、スパッタリングターゲット中の酸素
含有量や炭素含有量を低減することによって、Mnリッ
チのターゲット組成を有するスパッタリングターゲット
であっても、容易に高密度化することができる。さら
に、スパッタリングターゲットの低酸素濃度化や低炭素
濃度化は、それを用いて成膜した反強磁性体膜の高純度
化、膜質や膜組成(ターゲット組成からのずれ)の改善
などに寄与する。これらは反強磁性体膜の交換結合磁界
やブロッキング温度などの特性を向上させる。
【0033】本発明で用いるスパッタリングターゲット
の密度は相対密度で90%以上であることが好ましい。ス
パッタリングターゲットの密度があまり低いと、スパッ
タ時にターゲットの欠陥部分での異常放電によりパーテ
ィクルが発生しやすくなる。パーティクルが反強磁性体
膜中に分散すると、特性が劣化すると共に、歩留りの低
下要因となる。より好ましい相対密度は95%以上であ
る。
【0034】なお、本発明で用いるスパッタリングター
ゲットにおいては、ターゲット組織の一部を合金相や化
合物相とする構成、および酸素含有量を1重量%以下と
すると共に、炭素含有量は0.3重量%以下とする構成の
一方を満足させることによって、少なくとも所期の効果
が得られる。ただし、これら構成はいずれも満足させる
ことが特に好ましい。
【0035】本発明で用いるスパッタリングターゲット
の製造には、焼結法および溶解法のいずれを適用しても
よい。ただし、製造コストや原料歩留りなどを考慮した
場合、焼結法を適用することが好ましい。
【0036】焼結法を適用してスパッタリングターゲッ
トを製造する場合、まず上記したようなターゲット組織
(合金相や化合物相を含む金属組織)を得る上で、極力
微細な原料粉末(R元素およびMnの各原料粉末)を使
用することが好ましい。例えば、微細なIr粉末などの
R元素粉末と微細なMn粉末とを用いることによって、
焼結の前段階で均一な混合状態が得られると共に、R元
素とMnとの間の反応を促進することができる。これら
は焼結時にR元素とMnとの合金相や化合物相の生成量
の増大に寄与する。さらに、単相として残存するMn粒
径の微細化に対しても効果を発揮する。
【0037】ただし、R元素およびMnの各原料粉末の
粒径があまり小さいと、原料段階での酸素含有量が増大
し、これがターゲット中の酸素量の増大原因となる。特
に、Mnは酸素を吸着しやすいため、それを考慮して粒
径を設定することが好ましい。このようなことから、R
元素の原料粉末の平均粒径は20〜50μmの範囲とするこ
とが好ましい。Mnの原料粉末の平均粒径は100μm以下
とすることが好ましく、特に40〜50μmの範囲とするこ
とが望ましい。
【0038】次に、上記したようなR元素の原料粉末と
Mnの原料粉末とを所定の比率で配合し、十分に混合す
る。原料粉末の混合にはボールミル、Vミキサーなど、
各種公知の混合方式を適用することができる。この際、
金属不純物の混入や酸素量の増加などが生じないよう
に、混合条件を設定することが重要である。原料粉末中
の酸素については、さらに積極的に減少させるために、
脱酸剤として微量の炭素を添加してもよい。ただし、炭
素自体も成膜された反強磁性体膜の特性低下要因となる
ため、上述したようにターゲット中の炭素量が0.3重量
%以下となるように条件設定することが好ましい。
【0039】例えば、ボールミル混合を適用する場合、
金属不純物の混入を防止するために、樹脂(例えばナイ
ロン)製容器やボール、あるいは原料粉末と同質の友材
を内張りした容器やボールを用いることが好ましい。特
に、原料粉末と同質の材料を適用することが好ましい。
さらに、混合工程中に容器内に閉じ込められたガス成分
が原料粉末に吸着もしくは吸収されることを防止するた
めに、混合容器内は真空雰囲気もしくは不活性ガスで置
換した雰囲気とすることが好ましい。ボールミル混合以
外の混合方式を適用する場合においても、同様な不純物
の混入防止策を施すことが好ましい。
【0040】混合時間は、混合方法、投入する粉末量、
混合容器の大きさなどにより適宜設定するものとする。
混合時間が短すぎると、均一な混合粉末が得られないお
それがある。一方、混合時間が長すぎると、不純物量が
増大するおそれがおおきくなる。混合時間はこれらを考
慮して適宜設定する。例えば、10リットルの混合容器を
用いて、粉末5kg投入でボールミル混合する場合、混合
時間は48時間程度とすることが適当である。
【0041】次に、上記したようなR元素の原料粉末と
Mnの原料粉末との混合粉末を焼結させてターゲット素
材を作製する。焼結は高密度の焼結体が得られるホット
プレス法やHIP法を適用して実施することが好まし
い。焼結温度は原料粉末の種類に応じて設定するものと
するが、特にR元素とMnとの反応を促進するように、
Mnの融点(1244℃)直下の1150〜1200℃の範囲とする
ことが好ましい。このような高温で混合粉末を焼結させ
ることで、スパッタリングターゲット中のR元素とMn
との合金相や化合物相の量を増加させることができる。
言い換えると、単相として存在するR元素量を低減する
ことが可能となる。ホットプレスやHIP時の押圧力
は、高密度化が可能な20MPa以上とすることが好まし
い。
【0042】得られたターゲット素材は、所定のターゲ
ット形状に機械加工される。これをバッキングプレート
に例えば半田接合することによって、本発明で用いるス
パッタリングターゲットが得られる。
【0043】上述したような条件を満足する焼結方法を
適用することによって、後述する溶解法より製造コスト
が安価な焼結法で、R元素をMnとの合金相や化合物相
として存在させると共に、酸素含有量や炭素含有量を低
減したスパッタリングターゲットを安定して製造するこ
とができる。さらに、焼結法は後述する溶解法に対して
使用する希少金属原料の歩留りが高いというような利点
も有している。
【0044】溶解法を適用してスパッタリングターゲッ
トを製造する場合には、まず所定の比率で配合したR元
素の原料とMnの原料を溶解する。溶解には一般的な誘
導式電気炉を適用することができる。誘導式で溶解する
場合には、不純物の揮発を促進するために、減圧下(真
空中)で溶解することが好ましい。ただし、Mnなどの
揮発による組成変動を抑制したい場合には、不活性ガス
中で実施してもよい。また、原料の形状によっては、ア
ーク溶解や電子ビーム溶解を適用することも可能であ
る。
【0045】上記したような溶解方法により得られたイ
ンゴットは、例えば塑性加工した後に、所定のターゲッ
ト形状に機械加工される。これをバッキングプレートに
例えば半田接合することによって、スパッタリングター
ゲットが得られる。溶解法によっても、上述した焼結法
と同様に、R元素をMnとの合金相や化合物相として存
在させると共に、酸素含有量や炭素含有量を低減したス
パッタリングターゲットを製造することができる。
【0046】本発明の反強磁性体膜は、上述したような
スパッタリングターゲットを用いて、常法によりスパッ
タ成膜することで得られるものである。上述したスパッ
タリングターゲットを用いて形成した反強磁性体膜は、
前述したように膜組成の安定性(膜組成のターゲット組
成からのずれ(膜組成とターゲット組成との差)が10原
子%以下)、および面内の膜組成の均一性(面内の膜組
成分布のばらつき(面内組成分布における最大値と最小
値との差)が0.5原子%以下)に優れるものである。こ
のような反強磁性体膜は、強磁性体膜と積層して交換結
合膜として用いる際に、十分な交換結合力、良好な耐食
性や耐熱性などの優れた特性が安定して得られる。
【0047】本発明の反強磁性体膜は、例えば強磁性体
膜と積層して交換結合膜として使用される。図1は、本
発明の反強磁性体膜を用いた交換結合膜の一実施形態の
構成を模式的に示す図である。基板1上に形成された交
換結合膜2は、積層された反強磁性体膜3と強磁性体膜
4とを有している。反強磁性膜体3と強磁性体膜4と
は、これらの間で交換結合が生じるように、少なくとも
一部を積層させて形成すればよい。なお、交換結合が生
じる条件下であれば、反強磁性膜体3と強磁性体膜4と
の間に他の層を介在させることも可能である。また、反
強磁性体膜3と強磁性体膜4との積層順は用途に応じて
設定され、反強磁性体膜3を上側に配置してもよい。反
強磁性体膜3と強磁性体膜4とを多重積層した積層膜で
交換結合膜を構成することも可能である。
【0048】RMn合金(もしくはRMnA合金)から
なる反強磁性体膜3の膜厚は、反強磁性を発現する範囲
内であれば特に限定されるものではないが、大きな交換
結合力を得るためには、反強磁性体膜3の膜厚を強磁性
体膜4の膜厚より厚くすることが望ましい。反強磁性体
膜3を強磁性体膜4の上側に積層する場合には、熱処理
後の交換結合力の安定性などの観点から3〜15nmの範囲
とすることが好ましく、さらに好ましくは10nm以下であ
る。また、強磁性体膜4の膜厚も同様の観点から1〜3nm
程度とすることが好ましい。一方、反強磁性体膜3を強
磁性体膜4の下側に積層する場合には3〜50nm程度とす
ることが好ましく、強磁性体膜4の膜厚も1〜7nmとする
ことが好ましい。
【0049】強磁性体膜4には、Fe、Co、Niやこ
れらの合金からなる各種の単層構造の強磁性層、さらに
は強磁性的な性質を示す磁性多層膜やグラニュラー膜な
どを用いることができ、具体的には異方性磁気抵抗効果
膜(AMR膜)やスピンバルブ膜、人工格子膜、グラニ
ュラー膜などの巨大磁気抵抗効果膜(GMR膜)などが
例示される。これら強磁性体のうち、特にCoまたはC
o合金はRMn合金からなる反強磁性体膜3と積層形成
することで、ブロッキング温度の非常に高い交換結合膜
2が得られることから好ましく用いられる。
【0050】上述した実施形態の交換結合膜2は、磁気
抵抗効果素子(MR素子)における強磁性体膜のバルク
ハウゼンノイズの除去、あるいは人工格子膜やスピンバ
ルブ膜における強磁性体膜の磁化固着などに有効に使用
されるものである。ただし、反強磁性体膜およびそれを
用いた交換結合膜2の用途はMR素子に限られるもので
はなく、例えば強磁性体膜からなる磁気ヨークのような
各種磁気路の磁気異方性制御など、各種の用途に使用し
得るものである。
【0051】次に、上述した交換結合膜を使用した磁気
抵抗効果素子(MR素子)の実施形態について、図2〜
図5を参照して説明する。MR素子は、例えばHDDの
ような磁気記録装置用の磁気ヘッドの再生素子や磁界検
出用センサなどとして有効であるが、これら以外に磁気
抵抗効果メモリ(MRAM(Magnetoresistive random
access memory))のような磁気記憶装置にも使用でき
る。
【0052】図2は本発明による交換結合膜を異方性磁
気抵抗効果膜(AMR膜)のバルクハウゼンノイズの除
去などに使用したAMR素子5の一構成例を示してい
る。AMR素子5は強磁性体膜として、電流の方向と磁
性膜の磁化モーメントの成す角度に依存して電気抵抗が
変化するNi80Fe20などの強磁性体からなるAMR膜
6を有している。AMR膜6の両端部上には、反強磁性
体膜3がそれぞれ積層形成されている。これらAMR膜
6と反強磁性体膜3とは交換結合膜を構成しており、A
MR膜6には反強磁性体膜3から磁気バイアスが付与さ
れている。
【0053】また、AMR膜6の両端部には、反強磁性
体膜3を介して電気的に接続されたCu、Ag、Au、
Al、これらの合金などからなる一対の電極7が形成さ
れており、この一対の電極7によりAMR膜6に電流
(センス電流)が供給される。これらAMR膜6、反強
磁性体膜3および一対の電極7によりAMR素子5が構
成されている。なお、電極7はAMR膜6に直接接触す
る形態としてもよい。また、これらの各構成要素は、例
えばAl23・TiCなどからなる基板1の主表面上に
形成されている。
【0054】上述したAMR素子5においては、AMR
膜6と反強磁性膜3との交換結合を利用し、AMR膜6
に磁気バイアスを付与して磁区制御しており、このAM
R膜6の磁区制御によって、バルクハウゼンノイズの発
生を抑制している。反強磁性体膜3によるAMR膜6へ
の磁気バイアスの付与は、図3に示すように、AMR膜
6上に交換バイアス磁界調整膜8を介して反強磁性体膜
3を積層形成し、これらAMR膜6と反強磁性体膜3と
の交換バイアス磁界調整膜8を介した交換結合により実
施してもよい。この場合、一対の電極7は反強磁性体膜
3の両端部と一部積層するように形成される。
【0055】AMR素子5におけるAMR膜6への磁気
バイアスの付与に、本発明の反強磁性体膜を使用した場
合には、前述したようにRMn合金などからなる反強磁
性体膜3の基本特性を十分かつ安定して発揮させ、室温
および高温域で十分な交換結合力を安定して得ることが
できるため、バルクハウゼンノイズの発生を各種条件下
で再現性よく抑制することが可能となる。
【0056】図4は、本発明の反強磁性体膜を巨大磁気
抵抗効果膜(GMR膜)の強磁性層の磁化固着に適用し
たGMR素子9の一構成例を示している。GMR素子9
は強磁性体膜として、強磁性層/非磁性層/強磁性層の
サンドイッチ構造の磁性多層膜を有し、これら強磁性層
間の磁化の成す角度に依存して電気抵抗が変化するスピ
ンバルブ膜、あるいは強磁性層と非磁性層との多層積層
膜を有し、GMRを示す人工格子膜などからなるGMR
膜10を有している。
【0057】図4に示すGMR素子9は、スピンバルブ
膜からなるGMR膜(スピンバルブGMR膜)10を有
している。このスピンバルブGMR膜10は、強磁性層
11/非磁性層12/強磁性層13のサンドイッチ膜を
有し、このうち上側の強磁性層13上に反強磁性体膜3
が積層形成されている。強磁性層13と反強磁性体膜3
とは交換結合膜を構成している。上側の強磁性層13は
反強磁性体膜3との交換結合力により磁化固着された、
いわゆるピン層である。一方、下側の強磁性層11は、
磁気記録媒体などからの信号磁界(外部磁界)により磁
化方向が変化する、いわゆるフリー層である。なお、ス
ピンバルブGMR膜10におけるピン層とフリー層の位
置は、上下逆であってもよい。
【0058】強磁性層11は、必要に応じて磁性下地層
(もしくは非磁性下地層)14上に形成される。磁性下
地層14は1種類の磁性膜で構成してもよいし、異なる
種類の磁性膜の積層膜であってもよい。具体的には、磁
性下地層14としてはアモルファス系軟磁性体や面心立
方晶構造を有する軟磁性体、例えばNiFe合金、Ni
FeCo合金、これらに各種添加元素を添加した磁性合
金などが用いられる。図中15はTaなどからなる保護
膜であり、必要に応じて形成される。
【0059】スピンバルブGMR膜10の両端部には、
Cu、Ag、Au、Al、これらの合金などからなる一
対の電極7が形成されており、この一対の電極7により
スピンバルブGMR膜10に電流(センス電流)が供給
される。これらスピンバルブGMR膜10および一対の
電極7によりGMR素子9が構成されている。なお、電
極7はスピンバルブGMR膜10の下側に形成する形態
としてもよい。
【0060】スピンバルブ型のGMR素子9において、
一方の強磁性層の磁化固着に本発明の反強磁性体膜を使
用した場合、前述したようにRMn合金などからなる反
強磁性体膜3の基本特性を十分かつ安定して発揮させ、
室温および高温域で十分な交換結合力を安定して得るこ
とができるため、ピン層の磁化固着状態が安定かつ強固
となり、よって良好なGMR特性を安定して得ることが
可能となる。
【0061】次に、前述した実施形態のMR素子(例え
ばGMR素子)を、再生用MRヘッドおよびそれを用い
た記録・再生一体型磁気ヘッドに適用する場合の実施形
態について、図5〜図6を参照して説明する。
【0062】図5に示すように、Al23・TiCなど
からなる基板21の主表面上には、Al23などからな
る絶縁層22を介して、軟磁性材料からなる下側磁気シ
ールド層23が形成されている。下側磁気シールド層2
3上には、Al23などの非磁性絶縁膜からなる下側再
生磁気ギャップ24を介して、例えば図4に示したGM
R素子9が形成されている。
【0063】図中25はスピンバルブGMR膜10にバ
イアス磁界を付与するCoPt合金などからなる硬質磁
性膜(ハードバイアス膜)である。バイアス膜は反強磁
性体膜で構成することも可能である。一対の電極7は硬
質磁性膜25上に形成されており、スピンバルブGMR
膜10と一対の電極7とは硬質磁性膜25を介して電気
的に接続されている。スピンバルブGMR膜10にバイ
アス磁界を付与する硬質磁性膜35は、図6に示すよう
に、予め下側再生磁気ギャップ24上に形成しておいて
もよい。この場合、一対の硬質磁性膜25上を含めて下
側再生磁気ギャップ24上にスピンバルブGMR膜10
を形成し、その上に一対の電極7が形成される。
【0064】GMR素子9上には、Al2 3 などの非
磁性絶縁膜からなる上側再生磁気ギャップ26が形成さ
れている。さらにその上には、軟磁性材料からなる上側
磁気シールド層27が形成されており、これらにより再
生ヘッドとして機能するシールド型GMRヘッド28が
構成されている。
【0065】シールド型GMRヘッド28からなる再生
ヘッド上には、誘導型薄膜磁気ヘッド29からなる記録
ヘッドが形成されている。シールド型GMRヘッド28
の上側磁気シールド層27は、誘導型薄膜磁気ヘッド2
9の下部記録磁極を兼ねている。この上側磁気シールド
層を兼ねる下部記録磁極27上には、Al23などの非
磁性絶縁膜からなる記録磁気ギャップ30を介して、所
定形状にパターニングされた上部記録磁極31が形成さ
れている。
【0066】このようなシールド型GMRヘッド28か
らなる再生ヘッドと、誘導型薄膜磁気ヘッド29からな
る記録ヘッドとによって、録再一体型磁気ヘッド32が
構成されている。なお、上部記録磁極31は、記録磁気
ギャップ上に形成されたSiO2などからなる絶縁層に
トレンチを設け、このトレンチ内に埋め込み形成したも
のであってもよく、これにより狭トラックを再現性よく
実現することが可能となる。録再一体型磁気ヘッド32
は、例えば半導体プロセスを利用して形状形成や分割な
どを行うことにより作製される。
【0067】上記した実施形態の録再一体型磁気ヘッド
32におけるシールド型GMRヘッド28では、RMn
合金からなる反強磁性体膜と強磁性体膜との交換結合膜
が有する大きな交換結合力および高いブロッキング温度
を十分に生かすことができる。なお、本発明によるAM
R素子を再生用磁気ヘッドに適用する場合においても、
同様にして記録・再生一体型磁気ヘッドを構成すること
ができる。
【0068】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0069】実施例1、2 R元素の原料粉末として、平均粒径が20μmのIr粉
末、Pt粉末、Rh粉末、Ni粉末、Pd粉末、Ru粉
末、Au粉末を用意した。一方、Mnの原料粉末として
平均粒径が40μmのMn粉末を用意した。これら各原料
粉末を表1にそれぞれ示す配合比(原料組成)で配合し
た後、金属不純物による汚染を防ぐために、ナイロン製
のボールミルを用いて混合した。混合はそれぞれ減圧下
で48時間実施した。これら各混合粉末を真空ホットプレ
スにより25MPaの圧力で焼結させた。ホットプレスはM
nの融点直下である1150℃で実施した。
【0070】得られた各ターゲット素材の構成相をXR
DとEPMAによる面分析により調べた。その結果、い
ずれもの素材もR元素とMnの合金相および化合物相を
有していることが確認された。各ターゲット素材の主要
合金相および主要化合物相を表1に示す。また、SEM
により単相として存在するMnの粒径を調べた。Mn粒
径はいずれのターゲット素材も最大で30μm、平均で20
μmであった。
【0071】次に、上述した各ターゲット素材をターゲ
ット形状に加工し、これらをバッキングプレートに半田
接合してスパッタリングターゲットをそれぞれ作製し
た。これら各スパッタリングターゲットを高周波マグネ
トロンスパッタ装置にセットし、基板加熱しない状態で
反強磁性体膜を磁界中成膜した。反強磁性体膜は交換結
合膜を形成するように成膜した。
【0072】具体的には、熱酸化膜を被覆したSi(10
0)基板上に、厚さ5nmのTa下地膜、厚さ5nmのCo系強
磁性体膜、厚さ15nmの各組成の反強磁性体膜を順次形成
した。このようにして、それぞれ交換結合膜を作製し
た。この段階で交換バイアス力を測定した。ただし、N
50Mn50膜およびPd50Mn50膜に関しては、熱処理
を施さないと交換結合力が得られないため、270℃で5時
間の熟処埋を施した後に交換バイアス力を測定した。こ
れらの測定結果を表1(実施例1)に示す。
【0073】本発明の他の実施例(実施例2)として、
平均粒径が150μmのMn粉末を用いる以外は同様な工程
により、それぞれ同一組成のスパッタリングターゲット
を作製した。この実施例2による各スパッタリングター
ゲットについても、実施例1と同様な評価を行った。そ
の結果を表1(実施例2)に併せて示す。
【0074】なお、実施例2による各スパッタリングタ
ーゲットの構成相をXRDとEPMAによる面分析によ
り調べた結果、同様な合金相や化合物相を有していた
が、SEMでMnの粒径を調べたところ、最大で100μ
m、最小40μm、平均で80μmであった。
【0075】また、本発明との比較例1として、実施例
1および実施例2で使用した各原料粉末を用いて、ホッ
トプレスの温度条件を合金相や化合物相が形成されない
温度条件(1000℃未満)とする以外は同様な工程によ
り、それぞれ同一組成のスパッタリングターゲットを作
製した。比較例1による各スパッタリングターゲットの
構成相をXRDとEPMAによる面分析により調べた結
果、合金相や化合物相は存在していなかった。
【0076】
【表1】
【0077】表1から分かるように、本発明のスパッタ
リングターゲットを用いて成膜した反強磁性体膜を含む
交換結合膜は、いずれも大きな交換結合力が得られてお
り、優れた特性を示しているのに対して、比較例の各ス
パッタリングターゲットを用いた交換結合膜は小さな交
換結合力しか得られなかった。
【0078】次に、上記した実施例1による各反強磁性
体膜のスパッタ時間の経過に伴う組成変動を調べた。組
成変動は、スパッタ初期(1時間後)の反強磁性体膜と2
0時間スパッタを実施した後に形成した反強磁性体膜の
組成を、蛍光X線分析により測定することにより調べ
た。その結果を表2に示す。
【0079】
【表2】
【0080】さらに、実施例1の試料1によるスパッタ
リングターゲットを用いて成膜した反強磁性体膜(Ir
Mn合金膜)と、比較例1によるスパッタリングターゲ
ットを用いて成膜した反強磁性体膜(IrMn合金膜)
を用いて、膜面内の組成分布を調べた。測定点はSi基
板の中心点(A点)と外周側に四方30mm離れた4点
(B,C,D,E点)とした。測定結果を表3に示す。
【0081】
【表3】
【0082】表2および表3から明らかなように、本発
明のスパッタリングターゲットを用いて形成した反強磁
性体膜は、スパッタ時間の経過に伴う組成ずれが小さ
く、また基板面内の組成分布の均一性にも優れているこ
とが分かる。
【0083】実施例3 実施例1と同様の方法で、各種組成のIrMnターゲッ
ト、RhMnターゲット、PtMnターゲットをそれぞ
れ作製した。これら種々の組成のIrMnターゲット、
RhMnターゲット、PtMnターゲットをそれぞれ用
いて、実施例1と同様にして交換結合膜を作製した。こ
れら各交換結合膜の交換結合力を測定し、交換結合力の
組成依存性を調べた。その結果を図7に示す。図7より
明らかなように、本発明のスパッタリングターゲットを
用いて成膜した反強磁性体膜を有する交換結合膜は、広
い組成範囲で十分な交換結合力が得られていることが理
解できる。
【0084】実施例4 表4に記載された平均粒径を有するMn粉末を用いる以
外は実施例1と同様な工程により、表4に示すMnの粒
径がそれぞれ異なるスパッタリングターゲットを作製し
た。得られた各スパッタリングターゲットの酸素含有量
を測定すると共に、実施例1と同様に膜を成膜し、交換
バイアス力を測定した。また、実施例1と同様の方法に
より膜面内の組成分布を調べた。その結果を表4に示
す。
【0085】
【表4】
【0086】表4から明らかなように、Mn粒の最大粒
径および平均粒径が大きなスパッタリングターゲットを
用いて成膜した膜の組成は、基板面内でのばらつきが大
きく、量産性の点で問題があることが理解できる。一
方、Mn粒の最大粒径および平均粒径が小さいスパッタ
リングターゲットを用いて成膜した膜は、基板面内での
組成のばらつき点では問題はないが、交換バイアス力が
低下する傾向にある。
【0087】実施例5 表5に示す各スパッタリングターゲットを、実施例1と
同様な焼結法とそれとは別に溶解法を適用してそれぞれ
作製した。これら各スパッタリングターゲットの加工性
とガス成分濃度(酸素含有濃度と炭素含有濃度)を調べ
た。さらに、実施例1と同様にして交換結合膜を作製
し、それら各交換結合膜の交換バイアス力とブロッキン
グ温度を測定した。これらの結果を表5に示す。なお、
この実施例5による各スパッタリングターゲット中の構
成相は実施例1と同様であった。
【0088】一方、本発明との比較例2として、炭素不
純物量が比較的多い原料粉末を用いると共に、混合を大
気中で行う以外は、上記実施例と同様な焼結法でスパッ
タリングターゲットを作製した。また、炭素不純物量が
比較的多い原料粉末を用いると共に、溶解時の脱ガス時
間を実施例より短く設定する以外は、上記実施例と同様
な溶解法でスパッタリングターゲットを作製した。これ
ら比較例による各スパッタリングターゲットについて
も、加工性とガス成分濃度、交換結合膜の交換バイアス
力とブロッキング温度を測定した。これらの結果を併せ
て表5に示す。
【0089】
【表5】
【0090】表5から明らかなように、酸素含有量およ
び炭素含有量を減少させたスパッタリングターゲットに
よれば、それを用いて形成した反強磁性体膜を有する交
換結合膜の特性を向上させることができる。
【0091】実施例6 この実施例では、実施例1と同様のスパッタリングター
ゲットを用いて成膜した反強磁性体膜と強磁性体膜との
交換結合膜を使用して、図4および図6に示したスピン
バルブ膜を有するGMR素子とそれを用いた磁気ヘッド
を作製した。
【0092】スピンバルブGMR膜10において、強磁
性層11、13としてはそれぞれ厚さが3nm、2nmのCo
90Fe10膜を、非磁性層12としては厚さ3nmのCu膜
をそれぞれ用いた。ここで成膜したCo90Fe10膜は、
いずれも面心立方晶系の結晶構造を有していた。反強磁
性体膜3には、上記実施例1および実施例3で作製した
各反強磁性体膜(膜厚8nm)を使用した。
【0093】また、磁性下地層14には厚さ10nmのCo
88Zr5Nb7膜と厚さ2nmのNi80Fe20膜の積層膜、
電極7には厚さ0.1μmのCu膜、保護膜15には厚さ20
nmのTa膜を使用した。さらに、硬質磁性膜25には厚
さ40nmのCo83Pt17膜を用いた。
【0094】強磁性層11、13、非磁性層12および
反強磁性体膜3の成膜は磁界中で行い、さらに磁界中で
熱処理を施して、強磁性層13と反強磁性体膜3との交
換結合に一方向異方性を付与した。また、磁性下地層1
4についても、磁界中で成膜した後に熱処理を施して、
一軸磁気異方性を付与すると共に、硬質磁性膜25を着
磁することでその一軸磁気異方性を一段と強めた。最後
に、通常の半導体プロセスに準じて素子加工を行って、
GMR素子およびそれを用いた磁気ヘッドを作製した。
【0095】この実施例で形成したGMR素子に外部か
ら磁界を印加して、その磁界応答性を調べたところ、反
強磁性体膜にγ−FeMn合金を用いたGMR素子と同
等以上の安定した出力が得られた。また、磁壁移動に伴
うバルクハウゼンノイズの発生も見受けられなかった。
しかも、反強磁性体膜にγ−FeMn合金を用いたGM
R素子に比べて、反強磁性体膜の耐食性が良好であるこ
と、さらに交換結合膜のブロッキング温度が高く、かつ
交換結合力が大きいことに起因して、安定した出力が得
られる高感度のGMR素子を歩留りよく得ることができ
た。さらに、そのようなGMR素子を有する磁気ヘッド
において、特に耐食性が高いIrMn系反強磁性体膜を
用いたヘッドによれば、腐食によりFeMnでは加工不
可能であった、0.1μmデプスが可能となり、大きな再生
出力を得ることができた。
【0096】実施例7 IrMn合金およびNi、Cu、Ta、Hf、Pb、T
i、Nb、Crを添加したIrMn合金を用いて、実施
例1と同様な工程によりスパッタリングターゲットをそ
れぞれ作製した。これら各スパッタリングターゲットを
用いて、実施例1と同様の方法で交換結合膜試料をそれ
ぞれ作製し、これらの試料に対して耐食性試験を行っ
た。耐食性試験は、上記各試料を水中に一昼夜浸漬した
後の腐食ピット発生率を調べた。その結果を図8に示
す。また、本発明との比較例として、IrMn合金に代
えて、(Fe0.5Mn0.589.5Ir10.5合金およびFe
50Mn 50合金からなる反強磁性体膜を用いた試料につい
ても、同様な耐食性試験を行った。その結果を併せて図
8に示す。
【0097】図8の耐食性試験の結果から明らかなよう
に、IrMn合金に添加元素を含有させることによっ
て、腐食ピットの発生率が低下していることが分かる。
また、図9および図10に各試料の交換バイアス磁界と
ブロッキング温度の測定結果を示す。図9および図10
から明らかなように、交換バイアス磁界とブロッキング
温度が向上している。
【0098】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば耐
食性や熱特性に優れるMn合金からなる反強磁性体膜の
膜組成や膜質の安定化を図ることができる。よって、十
分な交換結合力が安定して得られる反強磁性体膜を再現
性よく提供することが可能となる。このような本発明の
反強磁性体膜は、磁気抵抗効果素子などに有効に使用さ
れるものである。また、本発明の反強磁性体膜を用いた
磁気抵抗効果素子によれば、安定した特性や出力を再現
性よく得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の反強磁性体膜を使用した交換結合膜
の一実施形態の構成を示す断面図である。
【図2】 本発明の一実施形態による磁気抵抗効果素子
の構成を示す断面図である。
【図3】 図2に示す磁気抵抗効果素子の変形例を示す
断面図である。
【図4】 本発明の他の実施形態による磁気抵抗効果素
子の構成を示す断面図である。
【図5】 本発明の磁気抵抗効果素子を使用した磁気ヘ
ッドの一実施形態の構成を示す断面図である。
【図6】 図5に示す磁気ヘッドの変形例を示す断面図
である。
【図7】 本発明の実施例3によるスパッタリングター
ゲットを用いて成膜した反強磁性体膜の交換結合力の組
成依存性を示す図である。
【図8】 本発明の実施例7によるスパッタリングター
ゲットを用いて成膜した交換結合膜試料の耐食性試験の
結果を示す図である。
【図9】 本発明の実施例7によるスパッタリングター
ゲットを用いて成膜した交換結合膜試料の交換バイアス
力の測定結果を示す図である。
【図10】 本発明の実施例7によるスパッタリングタ
ーゲットを用いて成膜した交換結合膜試料のブロッキン
グ温度の測定結果を示す図である。
【符号の説明】
2……交換結合膜,3……反強磁性体膜,4……強磁性
体膜,5……AMR素子,9……GMR素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 43/08 H01L 43/08 M Z 43/10 43/10 (72)発明者 勝井 信雄 神奈川県横浜市神奈川区斎藤分町40−1− 31 (72)発明者 福家 ひろみ 神奈川県川崎市高津区二子512−11−1102 (72)発明者 齋藤 和浩 神奈川県横浜市旭区東希望が丘21−3 (72)発明者 岩崎 仁志 神奈川県横須賀市久里浜7−2−1−503 (72)発明者 佐橋 政司 神奈川県横浜市泉区中田町139−25 (72)発明者 渡辺 高志 神奈川県横浜市磯子区汐見台2−8−2、 B−207 Fターム(参考) 4K029 BA02 BA06 BA07 BA08 BA11 BA12 BA16 BC06 CA05 DC04 DC09 5D034 BA05 DA05 DA07 5E049 GC02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 10〜98原子%のMnを含み、残部が実質
    的にNi、Pd、Pt、Co、Rh、Ir、V、Nb、
    Ta、Cu、Ag、Au、Ru、Os、Cr、Mo、W
    およびReから選ばれる少なくとも1種のR元素からな
    るスパッタリングターゲットを用いて、スパッタ成膜し
    てなる反強磁性体膜であって、前記スパッタリングター
    ゲットからの組成のずれが10原子%以下の膜組成を有す
    ることを特徴とする反強磁性体膜。
  2. 【請求項2】 10〜98原子%のMnを含み、残部が実質
    的にNi、Pd、Pt、Co、Rh、Ir、V、Nb、
    Ta、Cu、Ag、Au、Ru、Os、Cr、Mo、W
    およびReから選ばれる少なくとも1種のR元素からな
    り、かつターゲット組織の少なくとも一部として前記R
    元素とMnとの合金相および化合物相から選ばれる少な
    くとも1種を有するスパッタリングターゲットを用い
    て、スパッタ成膜してなる反強磁性体膜であって、前記
    スパッタリングターゲットからの組成のずれが10原子%
    以下の膜組成を有することを特徴とする反強磁性体膜。
  3. 【請求項3】 10〜98原子%のMnを含み、残部が実質
    的にNi、Pd、Pt、Co、Rh、Ir、V、Nb、
    Ta、Cu、Ag、Au、Ru、Os、Cr、Mo、W
    およびReから選ばれる少なくとも1種のR元素からな
    り、かつ酸素含有量が1重量%以下(0を含む)であると
    共に、炭素含有量が0.3重量%以下(0を含む)であるス
    パッタリングターゲットを用いて、スパッタ成膜してな
    る反強磁性体膜であって、前記スパッタリングターゲッ
    トからの組成のずれが10原子%以下の膜組成を有するこ
    とを特徴とする反強磁性体膜。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれか1項
    記載の反強磁性体膜において、 前記スパッタリングターゲットは、さらにBe、Ti、
    Zr、Hf、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、G
    e、SnおよびNから選ばれる少なくとも1種の元素を4
    0原子%以下の範囲で含有することを特徴とする反強磁
    性体膜。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれか1項
    記載の反強磁性体膜において、 前記スパッタリングターゲットは前記Mnを30原子%以
    上含むことを特徴とする反強磁性体膜。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれか1項
    記載の反強磁性体膜において、 前記反強磁性体膜は面内の膜組成分布のばらつきが0.5
    原子%以下であることを特徴とする反強磁性体膜。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項6のいずれか1項
    記載の反強磁性体膜を具備することを特徴とする磁気抵
    抗効果素子。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の磁気抵抗効果素子におい
    て、 前記反強磁性体膜は3〜15nmの範囲の膜厚を有すること
    を特徴とする磁気抵抗効果素子。
  9. 【請求項9】 請求項7または請求項8記載の磁気抵抗
    効果素子を具備することを特徴とする磁気装置。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の磁気装置において、 前記磁気装置は、磁気ヘッド、磁気記録装置、磁気記憶
    装置、および磁気センサから選ばれる1種であることを
    特徴とする磁気装置。
JP2002316414A 1996-11-20 2002-10-30 反強磁性体膜とそれを用いた磁気抵抗効果素子および磁気装置 Expired - Lifetime JP3727914B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002316414A JP3727914B2 (ja) 1996-11-20 2002-10-30 反強磁性体膜とそれを用いた磁気抵抗効果素子および磁気装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30881696 1996-11-20
JP8-308816 1996-11-20
JP2002316414A JP3727914B2 (ja) 1996-11-20 2002-10-30 反強磁性体膜とそれを用いた磁気抵抗効果素子および磁気装置

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP52347798A Division JP3387934B2 (ja) 1996-11-20 1997-11-20 スパッタリングターゲット

Related Child Applications (3)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004265938A Division JP4268915B2 (ja) 1996-11-20 2004-09-13 反強磁性体膜の製造方法
JP2005023105A Division JP4434975B2 (ja) 1996-11-20 2005-01-31 反強磁性体膜の製造方法、交換結合膜の製造方法、磁気抵抗効果素子の製造方法、および磁気装置の製造方法
JP2005204355A Division JP4130451B2 (ja) 1996-11-20 2005-07-13 交換結合膜とそれを用いた磁気抵抗効果素子および磁気装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003217962A true JP2003217962A (ja) 2003-07-31
JP3727914B2 JP3727914B2 (ja) 2005-12-21

Family

ID=27666118

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002316414A Expired - Lifetime JP3727914B2 (ja) 1996-11-20 2002-10-30 反強磁性体膜とそれを用いた磁気抵抗効果素子および磁気装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3727914B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005333106A (ja) * 2004-04-20 2005-12-02 Ken Takahashi 交換結合素子とその製造方法並びに交換結合素子を具備したデバイス
DE102007050487A1 (de) * 2007-10-19 2009-04-30 W.C. Heraeus Gmbh Zur Schmelzpunktabsenkung modifiziertes MoRu-Hochtemperaturlot

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005333106A (ja) * 2004-04-20 2005-12-02 Ken Takahashi 交換結合素子とその製造方法並びに交換結合素子を具備したデバイス
DE102007050487A1 (de) * 2007-10-19 2009-04-30 W.C. Heraeus Gmbh Zur Schmelzpunktabsenkung modifiziertes MoRu-Hochtemperaturlot

Also Published As

Publication number Publication date
JP3727914B2 (ja) 2005-12-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3387934B2 (ja) スパッタリングターゲット
US7092222B2 (en) Exchange coupled film having improved current-carrying reliability and improved rate of change in resistance and magnetic sensing element using same
US6455178B1 (en) Exchange coupling film and magnetoresistive element
US5976713A (en) Exchange-coupling film and, magneto-resistance effect element and magnetic head using thereof
JP2962415B2 (ja) 交換結合膜
JPH10340813A (ja) 磁気抵抗効果膜および磁気抵抗効果型ヘッド
JP4130451B2 (ja) 交換結合膜とそれを用いた磁気抵抗効果素子および磁気装置
JP3497573B2 (ja) 交換結合膜および磁気抵抗効果素子
JP2672802B2 (ja) 交換結合膜および磁気抵抗効果素子
JP3727914B2 (ja) 反強磁性体膜とそれを用いた磁気抵抗効果素子および磁気装置
JP4268915B2 (ja) 反強磁性体膜の製造方法
JP4434975B2 (ja) 反強磁性体膜の製造方法、交換結合膜の製造方法、磁気抵抗効果素子の製造方法、および磁気装置の製造方法
JP2000068569A (ja) 交換結合膜およびそれを用いた磁気抵抗効果素子
JP3274449B2 (ja) 磁気抵抗効果素子、ならびに、前記磁気抵抗効果素子を用いた薄膜磁気ヘッド
JPH09237716A (ja) 交換結合膜、磁気抵抗効果素子および磁気抵抗効果素子の製造方法
JP3274440B2 (ja) 磁気抵抗効果素子、ならびに、前記磁気抵抗効果素子を用いた薄膜磁気ヘッド
JP3255901B2 (ja) 交換結合膜の製造方法
JP3048571B2 (ja) 交換結合膜と、この交換結合膜を用いた磁気抵抗効果素子、ならびに、前記磁気抵抗効果素子を用いた薄膜磁気ヘッド
JPH11329838A (ja) 磁気抵抗効果膜
JP2000031561A (ja) 交換結合膜と、この交換結合膜を用いた磁気抵抗効果素子、ならびに、前記磁気抵抗効果素子を用いた薄膜磁気ヘッド
JP2000031563A (ja) 磁気抵抗効果素子、ならびに、前記磁気抵抗効果素子を用いた薄膜磁気ヘッド

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040705

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040713

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040913

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041130

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050517

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050713

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20050811

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050920

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050929

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313114

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313114

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081007

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091007

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091007

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101007

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111007

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111007

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121007

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121007

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131007

Year of fee payment: 8

EXPY Cancellation because of completion of term