JP3274449B2 - 磁気抵抗効果素子、ならびに、前記磁気抵抗効果素子を用いた薄膜磁気ヘッド - Google Patents

磁気抵抗効果素子、ならびに、前記磁気抵抗効果素子を用いた薄膜磁気ヘッド

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JP3274449B2
JP3274449B2 JP2000046350A JP2000046350A JP3274449B2 JP 3274449 B2 JP3274449 B2 JP 3274449B2 JP 2000046350 A JP2000046350 A JP 2000046350A JP 2000046350 A JP2000046350 A JP 2000046350A JP 3274449 B2 JP3274449 B2 JP 3274449B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐食性を向上で
き、しかもより大きい交換異方性磁界を得られるように
した交換結合膜を用いた磁気抵抗効果素子ならびに、前
記磁気抵抗効果素子を用いた薄膜磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】スピンバルブ型薄膜素子は、巨大磁気抵
抗効果を利用したGMR(giant magnetoresistive)素
子の1種であり、ハードディスクなどの記録媒体からの
記録磁界を検出するものである。
【0003】このスピンバルブ型薄膜素子は、GMR素
子の中でも比較的構造が単純で、しかも弱い磁界で抵抗
が変化するなど、いくつかの優れた点を有している。
【0004】前記スピンバルブ型薄膜素子は、最も単純
な構造で、反強磁性層、固定磁性層、非磁性導電層およ
びフリー磁性層から成る。
【0005】前記反強磁性層と固定磁性層とは接して形
成され、前記反強磁性層と固定磁性層との界面にて発生
する交換異方性磁界により、前記固定磁性層の磁化方向
は一定方向に単磁区化され固定される。
【0006】フリー磁性層の磁化は、その両側に形成さ
れたバイアス層により、前記固定磁性層の磁化方向と交
叉する方向に揃えられる。
【0007】前記反強磁性層にはFe−Mn(鉄−マン
ガン)合金膜、またはNi−Mn(ニッケル−マンガ
ン)合金膜、固定磁性層及びフリー磁性層にはNi−F
e(ニッケル−鉄)合金膜、非磁性導電層にはCu
(銅)膜、またバイアス層にはCo−Pt(コバルト−
白金)合金膜などが一般的に使用されている。
【0008】このスピンバルブ型薄膜素子では、ハード
ディスクなどの記録媒体からの漏れ磁界により、前記フ
リー磁性層の磁化方向が変動すると、固定磁性層の固定
磁化方向との関係で電気抵抗が変化し、この電気抵抗値
の変化に基づく電圧変化により、記録媒体からの洩れ磁
界が検出される。
【0009】ところで、前述したように、反強磁性層に
は、Fe−Mn合金膜やNi−Mn合金膜が用いられる
が、Fe−Mn合金膜は、耐食性が低く、また交換異方
性磁界が小さく、さらにブロッキング温度が150℃程
度と低くなっている。ブロッキング温度が低いことで、
ヘッドの製造工程中やヘッド動作中における素子温度の
上昇により、交換異方性磁界が消失してしまうという問
題が発生する。
【0010】これに対し、Ni―Mn合金膜は、Fe―
Mn合金膜に比べて、交換異方性磁界が比較的大きく、
しかもブロッキング温度が約300℃と高い。従って反
強磁性層には、Fe―Mn合金膜よりもNi―Mn合金
膜を用いる方が好ましい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、Ni
Mn合金は、比較的交換異方性磁界が大きく、またブロ
ッキング温度も約300℃と高くなっており、従来のF
eMn合金に比べて優れた特性を有しているが、耐食性
に関しては、FeMn合金と同じ様に、充分であるとは
いえなかった。
【0012】本発明は上記従来の課題を解決するための
ものであり、特に、耐食性を向上させることができ、し
かも、より大きな交換異方性磁界を発生させることが可
能な交換結合膜を用いた磁気抵抗効果素子、ならびに前
記磁気抵抗効果素子を用いた薄膜磁気ヘッドに関する。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、スライダのト
レーリング側端部に設けられたデュアルスピンバルブ型
の磁気抵抗効果素子において、前記トレーリング側端部
から磁気記録媒体の移動方向に向う方向を上側としたと
きに、下側から下側反強磁性層、固定磁性層、非磁性導
電層、フリー磁性層、非磁性導電層、固定磁性層、上側
反強磁性層の順に連続して接するように積層成膜された
もので、且つ前記フリー磁性層の磁化方向を前記下側と
上側の固定磁性層の磁化方向と交叉する方向に揃えるバ
イアス層が設けられており、前記下側と上側の反強磁性
、X″−Mn(ただしX″は、Pt,Pd,Ir,
Rh,Ru,Osのうちいずれか2種以上の元素であ
る)で形成されており、前記上側反強磁性層を構成する
X″−Mn合金のX″の組成比at%で、47〜57
の範囲内で、前記下側反強磁性層を構成するX″−Mn
合金のX″の組成比at%で、44〜57の範囲内で
あることを特徴とするものである。
【0014】本発明では、前記上側反強磁性層を構成す
X−Mn−X′合金のX+X′の組成比at%で、
50〜56の範囲内であり、前記下側反強磁性層を構成
するX−Mn−X′合金のX+X′の組成比がat%
で、46〜55の範囲内であることが好ましい。さら
に、前記上側反強磁性層と下側反強磁性層とで、前記
X″−Mn合金のX″の組成比を異ならせることが好ま
しい。
【0015】このように本発明では、白金族元素(P
t,Pd,Ir,Rh,Ru,Os)の中から2種以上
の元素を選択し、前記白金族元素とMnとから成る反強
磁性層を使用することにより、従来、反強磁性層として
使用されていたNi−Mn合金等に比べ、耐食性を向上
させることができ、しかもより大きな交換異方性磁界を
発生させることができる。従って、前記固定磁性層の磁
化を一定方向に強固に固定することが可能となり、従来
に比べて優れた再生特性を得ることが可能となってい
る。
【0016】上記のように、X″−Mn合金で形成され
る反強磁性層を強磁性層の上に形成するか下に形成する
かによって、全体に占める白金族元素の組成比を変える
ことで、より大きな交換異方性磁界を得ることが可能で
ある。
【0017】前記反強磁性層として用いられるX″−M
n合金の元素X″はPtであることが好ましい。
【0018】また、本発明は、スライダのトレーリング
側端部に設けられたデュアルスピンバルブ型の磁気抵抗
効果素子において、前記トレーリング側端部から磁気記
録媒体の移動方向に向う方向を上側としたときに、下側
から下側反強磁性層、固定磁性層、非磁性導電層、フリ
ー磁性層、非磁性導電層、固定磁性層、上側反強磁性層
の順に連続して接するように積層成膜されたもので、且
前記フリー磁性層の磁化方向を前記下側と上側の固定
磁性層の磁化方向と交叉する方向に揃えるバイアス層
設けられており、 前記下側と上側の反強磁性層が、X−
Mn−X′合金(ただしXは、Pt,Pd,Ir,R
h,Ru,Osのうちいずれか1種または2種以上の元
素であり、前記元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,
Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,
Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Z
r,Nb,Mo,Ag,Cd,Ir,Sn,Hf,T
a,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種
または2種以上の元素である)で構成されており、前記
上側反強磁性層を構成するX−Mn−X′合金のX+
X′の組成比at%で47〜57の範囲内で、前記下
反強磁性層を構成するX−Mn−X′合金のX+X′
の組成比at%で、44〜57の範囲内であることを
特徴とするものである。
【0019】本発明では、前記上側反強磁性層を構成す
X−Mn−X′合金のX+X′の組成比at%で、
50〜56の範囲内であり、前記下側反強磁性層を構成
するX−Mn−X′合金のX+X′の組成比がat%
で、46〜55の範囲内であることが好ましい。そし
て、前記上側反強磁性層と下側反強磁性層とで、前記X
−Mn−X′合金のX+X′の組成比を異ならせること
が好ましい。
【0020】上記のように本発明では、白金族元素から
選ばれた少なくとも1種の元素XとMnとで構成される
反強磁性材料に、元素XとMnで構成される結晶格子の
隙間に元素X′を侵入させ、あるいは元素XとMnで構
成される結晶格子の格子点の一部を元素X′に置換させ
ることにより、さらに大きな交換異方性磁界を得ること
が可能になる。元素X′を含有させることにより、より
大きな交換異方性磁界が得られるのは、反強磁性層の格
子定数を、元素X′を添加しない場合に比べ大きくでき
るからであると考えられる。また前記X−Mn−X′合
金は、耐食性にも優れている。
【0021】また、上記のように、X−Mn−X′合金
で形成される反強磁性層を強磁性層の上に形成するか下
に形成するかによって、全体に占めるX+X′の組成比
を変えることで、より大きな交換異方性磁界を得ること
が可能である。
【0022】本発明では、前記元素X′は、Ne,A
r,Kr,Xeのうち1種または2種以上の元素である
ことが好ましい。
【0023】また、本発明では、前記反強磁性層として
用いられるX−Mn−X′合金の元素XはPtであるこ
とが好ましい。
【0024】なお本発明では、前記元素X′の組成比は
at%で、0.2〜10の範囲内であることが好まし
く、より好ましくは前記元素X′の組成比はat%で、
0.5〜5の範囲内である。
【0025】上記条件によって反強磁性層を形成するこ
とにより、反強磁性層と強磁性層との界面で発生する交
換異方性磁界を飛躍的に大きくできることが、後述する
実験によって確認されている。
【0026】また本発明では、前記反強磁性層として用
いられるX−Mn−X′合金は、スパッタ法により形成
されることが好ましい。スパッタ法によって成膜された
X−Mn−X′合金は、膜中の元素X′が置換型あるい
は侵入型で固溶した状態となっている。また、前記下側
反強磁性層は下地膜の上に積層成膜されているものが好
ましく、例えば前記下地膜はTaである。
【0027】また本発明における薄膜磁気ヘッドは、前
述した磁気抵抗効果素子の上下にギャップ層を介してシ
ールド層が形成されていることを特徴とするものであ
る。
【0028】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施形態のデュ
アルスピンバルブ型薄膜素子の構造をABS面側から見
た断面図である。なお、図1ではX方向に延びる素子の
中央部分のみを破断して示している。
【0029】このデュアルスピンバルブ型薄膜素子は、
ハードディスク装置に設けられた浮上式スライダのトレ
ーリング側端部などに設けられて、ハードディスクなど
の記録磁界を検出するものである。なお、ハードディス
クなどの磁気記録媒体の移動方向はZ方向であり、磁気
記録媒体からの洩れ磁界の方向はY方向である。
【0030】図に示す示すように、下からTaなどから
なる下地層6、反強磁性層4、固定磁性層3、非磁性導
電層2、およびフリー磁性層1が連続して積層されてい
る。さらに前記フリー磁性層1の上には、非磁性導電層
2、固定磁性層3、反強磁性層4、および保護層7が連
続して積層されている。
【0031】また、下地層6から保護層7までの多層膜
の両側にはハードバイアス層5,5、導電層8,8が積
層されている。
【0032】本発明では前記フリー磁性層1および固定
磁性層3が、NiFe合金、CoFe合金、Co合金、
Co、CoNiFe合金などにより形成されている。
【0033】なお図1に示すようにフリー磁性層1は一
層で形成されているが、これが多層構造で形成されても
よい。つまり、前記フリー磁性層1が、例えばNiFe
合金とCoFe合金とが積層された構造となっていても
よいし、NiFe合金とCoとが積層された構造でもよ
い。
【0034】前記フリー磁性層1と固定磁性層3との間
に介在する非磁性導電層2は、Cuで形成されている。
さらに、ハードバイアス層5,5は、例えばCo−Pt
(コバルト−白金)合金やCo−Cr−Pt(コバルト
−クロム−白金)合金などで形成されており、導電層
8,8は、Cu(銅)やW(タングステン)、Cr(ク
ロム)などで形成されている。
【0035】本発明では、固定磁性層3の上または下に
形成されている反強磁性層4は、X″−Mn合金(ただ
しX″は、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち
いずれか2種以上の元素である)で構成される反強磁性
材料によって形成されている。本発明における反強磁性
層4として用いられるX″−Mn合金は、従来から反強
磁性層として使用されているFeMn合金、NiMn合
金などに比べて耐食性に優れており、またブロッキング
温度も高く、さらに交換異方性磁界(Hex)が大きい
など反強磁性材料として優れた特性を有している。
【0036】図1に示すように、フリー磁性層1よりも
下側に形成されている反強磁性層4は、固定磁性層3の
下に形成されており、前記反強磁性層4として用いられ
るX″−Mn合金の元素X″の組成比はat%で、44
〜57の範囲内であり、好ましくはX″−Mn合金の元
素X″の組成比はat%で、46〜55の範囲内であ
る。
【0037】反強磁性層4が固定磁性層3の下に形成さ
れる場合、反強磁性層4として用いられるX″−Mn合
金の元素X″の組成比がat%で44〜57の範囲内で
あると、400(Oe)以上の交換異方性磁界を得るこ
とが可能である。また、X″−Mn合金の元素X″の組
成比がat%で46〜55の範囲内であると、600
(Oe)以上の交換異方性磁界を得ることが可能であ
る。
【0038】また、フリー磁性層1よりも上側に形成さ
れている反強磁性層4は、固定磁性層3の上に形成され
ており、前記反強磁性層4として用いられるX″−Mn
合金の元素X″の組成比はat%で、47〜57の範囲
内であり、好ましくはX″−Mn合金の元素X″の組成
比はat%で、50〜56の範囲内である。
【0039】反強磁性層4が固定磁性層3の上に形成さ
れる場合、X″−Mn合金の元素X″の組成比の組成比
がat%で、47〜57の範囲内であると、400(O
e:エルステッド)以上の交換異方性磁界を得ることが
可能である。またX″−Mn合金の元素X″の組成比は
at%で、50〜56の範囲内であると、600(O
e)以上の交換異方性磁界を得ることが可能である。
【0040】この組成範囲内であれば、熱処理前におけ
る固定磁性層3の格子定数と反強磁性層4の格子定数と
の差を大きくすることができるので、熱処理前における
界面構造を非整合状態にすることができ、従って熱処理
を施すことにより、界面での前記反強磁性層4の一部の
結晶構造を不規則格子から交換異方性磁界を発揮するの
に必要な規則格子に変態させることが可能である。
【0041】界面構造が整合状態にあると、熱処理を施
しても、前記反強磁性層4の結晶構造が、不規則格子か
ら規則格子に変態しにくく、従って交換異方性磁界が得
られないという問題が生じる。
【0042】なお前記反強磁性層4がPtMn合金で形
成される場合、熱処理後における前記反強磁性層4の格
子定数a,cの比c/aは、0.93〜0.99の範囲
内であることが好ましい。
【0043】本発明では、図1に示す固定磁性層3と反
強磁性層4との界面構造は、非整合状態となっており、
また界面における前記反強磁性層4の少なくとも一部の
結晶構造は、L10型の面心正方格子(以下、規則格子
という)となっている。
【0044】ここで、L10型の面心正方格子とは、単
位格子の6面のうち、側面の4面の中心をX″原子
(X″=Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうちい
ずれか2種以上)が占め、単位格子の隅、および上面お
よび下面の中心にMn原子が占めるものをいう。
【0045】また本発明では、固定磁性層3と反強磁性
層4との結晶配向が異なっていることが、固定磁性層3
と反強磁性層4との界面構造が、非整合状態になりやす
い点で好ましい。
【0046】また本発明では、X−Mn合金(ただしX
は、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうちいずれ
か1種または2種以上の元素である)に、第3元素とし
て元素X′を添加することにより、反強磁性層4の格子
定数を大きくでき、熱処理前における反強磁性層4と固
定磁性層3との界面構造を非整合状態にすることが可能
である。
【0047】X−Mn合金に元素X′を加えたX−Mn
―X′合金は、元素XとMnとで構成される空間格子の
隙間に元素X′が侵入した侵入型固溶体であり、あるい
は、元素XとMnとで構成される結晶格子の格子点の一
部が、元素X′に置換された置換型固溶体である。ここ
で固溶体とは、広い組成範囲にわたって、均一に成分が
混ざり合った固体のことを指している。なお本発明では
元素XはPtであることが好ましい。
【0048】ところで本発明では前記X−Mn−X′合
金をスパッタ法により成膜している。スパッタによっ
て、前記X−Mn−X′合金は非平衡状態で成膜され、
成膜されたX−Mn−X′合金は、膜中の元素X′が、
元素XとMnとで構成される空間格子の隙間に侵入し、
あるいは、元素XとMnとで構成される結晶格子の格子
点の一部が、元素X′に置換される。このように、前記
元素X′が、X−Mn合金の格子に侵入型であるいは置
換型で固溶することにより、格子は押し広げられ、反強
磁性層4の格子定数は、元素X′を添加しない場合に比
べ大きくなる。
【0049】また本発明では、元素X′として様々な元
素を使用することが可能であるが、反応性の高いハロゲ
ンやO(酸素)等を使用すると、これらがMnとのみ選
択的に化学結合してしまい、面心立方晶の結晶構造を保
てなくなると考えられ好ましくない。本発明における具
体的な元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,
B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,
Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,N
b,Mo,Ag,Cd,Ir,Sn,Hf,Ta,W,
Re,Au,Pb、及び希土類元素(Sc,Yとランタ
ノイド(La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,
Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu))
のうち1種または2種以上の元素である。
【0050】上記に示した様々な元素X′のいずれを使
用しても、スパッタによって、反強磁性層4の格子定数
を大きくできるが、特に置換型で固溶する元素X′を使
用する場合は、前記元素X′の組成比が大きくなりすぎ
ると、反強磁性としての特性が低下し、固定磁性層3と
の界面で発生する交換結合磁界が小さくなってしまう。
【0051】特に本発明では、侵入型で固溶し、不活性
ガスの希ガス元素(Ne,Ar,Kr,Xeのうち1種
または2種以上)を元素X′として使用することが好ま
しいとしている。希ガス元素は不活性ガスなので、希ガ
ス元素が、膜中に含有されても、反強磁性特性に大きく
影響を与えることがなく、さらに、Arなどは、スパッ
タガスとして従来からスパッタ装置内に導入されるガス
であり、ガス圧やスパッタ粒子のエネルギーを適正に調
節するのみで、容易に、膜中にArを侵入させることが
できる。
【0052】なお、元素X′にガス系の元素を使用した
場合には、膜中に多量の元素X′を含有することは困難
であるが、希ガスの場合においては、膜中に微量侵入さ
せるだけで、熱処理によって発生する交換結合磁界を、
飛躍的に大きくできることが実験により確認されてい
る。
【0053】なお、反強磁性層4として使用されるX−
Mn−X′合金の元素X′が例えばガス系の元素である
場合には、熱処理を施すことにより、前記元素X′が膜
中から抜け出て、成膜された段階での元素X′の組成比
よりも、熱処理後の元素X′の組成比は小さくなり、あ
るいは完全に前記X′が膜中から抜け出してしまって、
組成がX−Mnになってしまうことがあるが、成膜段階
(熱処理前)における固定磁性層3と反強磁性層4との
界面構造が非整合状態となっていれば、熱処理を施すこ
とにより、前記反強磁性層4の結晶構造は、不規則格子
(面心立方格子)から規則格子に適性に変態し、大きい
交換異方性磁界を得ることが可能である。
【0054】なお、フリー磁性層1よりも下側に形成さ
れている反強磁性層4の場合、前記反強磁性層4として
用いられるX−Mn−X′合金のX+X′の組成比はa
t%で44〜57の範囲内であり、好ましくはX−Mn
−X′合金のX+X′の組成比はat%で、46〜55
の範囲内である。
【0055】また、フリー磁性層1よりも上側に形成さ
れている反強磁性層4の場合、前記反強磁性層4として
用いられるX−Mn−X′合金のX+X′の組成比はa
t%で、47〜57の範囲内であり、好ましくはX−M
n−X′合金のX+X′の組成比はat%で、50〜5
6の範囲内である。
【0056】上記組成範囲内であれば、熱処理前におけ
る固定磁性層3の格子定数と反強磁性層4の格子定数と
の差を大きくすることができ、熱処理前における界面構
造を非整合状態にすることができ、従って熱処理を施す
ことにより、界面での前記反強磁性層4の一部の結晶構
造を不規則格子から交換異方性磁界を発揮するのに必要
な規則格子に変態させることが可能である。
【0057】また反強磁性層4がX−Mn−X′合金で
形成される場合は、元素X′の組成比は、at%で、
0.2〜10の範囲内であり、より好ましい組成範囲は
at%で、0.5〜5の範囲内である。
【0058】元素X′の組成比を、上記範囲内で調整す
れば、成膜段階(熱処理前)における反強磁性層4の格
子定数を大きくでき、しかも熱処理を施すことにより反
強磁性層4と固定磁性層3との界面で発生する交換結合
磁界を、元素X′を含有しない場合に比べ、大きくする
ことが可能である。
【0059】また元素XとMnとの組成比の割合X:M
nは、4:6〜6:4の範囲内であることが好ましい。
【0060】なおこのデュアルスピンバルブ型薄膜素子
では、固定磁性層3は、交換異方性磁界により、図示Y
方向に単磁区化され固定されており、フリー磁性層1の
磁化は、ハードバイアス層5,5の影響を受けて図示X
方向に揃えられている。
【0061】導電層8からフリー磁性層1、非磁性導電
層2および固定磁性層3に定常電流が与えられ、しかも
記録媒体からY方向へ磁界が与えられると、フリー磁性
層1の磁化は図示X方向からY方向に変動し、このとき
非磁性導電層2とフリー磁性層1との界面、および非磁
性導電層2と固定磁性層3との界面でスピンに依存した
伝導電子の散乱が起こることにより、電気抵抗が変化
し、記録媒体からの漏れ磁界が検出される。
【0062】図1に示すデュアルスピンバルブ型薄膜素
子では、伝導電子の散乱が起こる場所が、非磁性導電層
2とフリー磁性層1との2箇所の界面と、非磁性導電層
2と固定磁性層3との2箇所の界面の計4箇所であるた
め、シングルスピンバルブ型薄膜素子に比べて大きい抵
抗変化率を得ることが可能である。
【0063】以上詳述したように、本発明では、反強磁
性層4をX″−Mn合金(ただしX″は、Pt,Pd,
Ir,Rh,Ru,Osのうちいずれか2種以上の元素
である)、好ましくはPtMn合金で形成する際に、前
記反強磁性層4の組成比を適性に調節することにより、
前記反強磁性層4と、この反強磁性層4と接して形成さ
れる固定磁性層3との界面構造を非整合状態とすること
ができ、従ってより大きな交換異方性磁界を得られ、従
来に比べて再生特性を高めることが可能である。あるい
は、前記反強磁性層4を元素X(ただしXは、Pt,P
d,Ir,Rh,Ru,Osのうちいずれか2種以上の
元素である)とMn以外に、第3元素として元素X′
(ただしX′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,
C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,F
e,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,N
b,Mo,Ag,Cd,Ir,Sn,Hf,Ta,W,
Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2
種以上の元素である)を添加することにより、前記元素
X′を添加しない場合に比べ、反強磁性層4の格子定数
を大きくすることができるので、前記反強磁性層4と、
この反強磁性層4と接して形成される固定磁性層3との
界面構造を非整合状態とすることができ、従ってより大
きな交換異方性磁界を得ることができ、従来に比べて再
生特性を高めることが可能である。
【0064】また反強磁性層4と固定磁性層3との結晶
配向を異なるようにしておくことが、より界面構造を非
整合状態にしやすくできる点で好ましい。
【0065】また界面構造を非整合状態としておくこと
で交換異方性磁界を得ることができるのは、熱処理を施
すことにより、前記反強磁性層4の結晶構造を不規則格
子から規則格子に変態させることができるからである
が、すべての結晶構造が規則格子に変態すると密着性な
どに問題が生じるため、一部の結晶構造のみが規則格子
に変態していることが好ましい。例えば前記反強磁性層
4がPtMn合金で形成される場合、熱処理後における
前記反強磁性層4の格子定数a,cの比c/aは、0.
93〜0.99の範囲内であることが好ましい(ちなみ
にすべての結晶構造が規則格子に変体した場合、前記格
子定数a,cの比c/aは0.918である)。
【0066】図2は、図1に示す磁気抵抗効果素子層が
形成された読み取りヘッドの構造を記録媒体との対向面
側から見た断面図である。
【0067】符号20は、例えばNiFe合金などで形
成された下部シールド層であり、この下部シールド層2
0の上に下部ギャップ層21が形成されている。また下
部ギャップ層21の上には、図1に示す磁気抵抗効果素
子層22が形成されており、さらに前記磁気抵抗効果素
子層22の上には、上部ギャップ層23が形成され、前
記上部ギャップ層23の上には、NiFe合金などで形
成された上部シールド層24が形成されている。
【0068】前記下部ギャップ層21及び上部ギャップ
層23は、例えばSiO2やAl2 3(アルミナ)など
の絶縁材料によって形成されている。図2に示すよう
に、下部ギャップ層21から上部ギャップ層23までの
長さがギャップ長Glであり、このギャップ長Glが小
さいほど高記録密度化に対応できるものとなっている。
【0069】
【実施例】本発明では、反強磁性層をPt―Mn―X′
(X′=Ar)合金で形成し、元素X′量と、Pt―M
n―X′合金の格子定数との関係について調べた。実験
に使用した膜構成は下から、Si基板/アルミナ/Ta
(50)/Co90Fe10(30)/Pt―Mn―X′
(300)/Ta(100)である。なお括弧内の数値
は膜厚を表しており、単位はオングストロームである。
【0070】反強磁性層の成膜は、スパッタ装置内に、
PtとMnとの割合が6:4、1:1、及び4:6とな
る3種類のターゲットを用意し、各ターゲットを用い
て、元素X′となるArの導入ガス圧を変化させなが
ら、DCマグネトロンスパッタ及びイオンビームスパッ
タによって、Pt―Mn―X′(X′=Ar)合金膜を
形成した。そして、Pt―Mn―X′(X′=Ar)合
金膜中に占めるX′(X′=Ar)量と、Pt―Mn―
X′(X′=Ar)の格子定数との関係について測定し
た。その実験結果を図3に示す。
【0071】図3に示すように、PtとMnとの組成比
の割合が、6:4、1:1、及び4:6のいずれかの場
合においても、元素X′(X′=Ar)量が大きくなる
ことにより、Pt―Mn―X′(X′=Ar)の格子定
数は大きくなることがわかる。なお固定磁性層として用
いられるNiFe合金、CoFe合金、またはCoの格
子定数は、図3に示すように、約3.5〜3.6の範囲
である。またこの実験では、元素X′(X′=Ar)量
を4at%程度までとし、それ以上大きい含有量の場合
について実験を試みていないが、これは、元素X′とな
るArはガス元素であるために、ガス圧を上げても、膜
中にArを含有しにくいことによるものである。
【0072】次に、上述の実験に使用したPt―Mn―
X′(X′=Ar)合金膜に対し、以下に記載する熱処
理工程を施した。熱処理工程における条件としては、ま
ず昇温に3時間をかけ、次に240度の温度状態を3時
間保持し、さらに、降温に3時間をかけた。なお、熱処
理真空度を5×10-6Torr以下とした。
【0073】図4は、Pt―Mn―X′(X′=Ar)
合金膜の元素X′(X′=Ar)量と、前記熱処理によ
って、反強磁性層と固定磁性層との界面に発生した交換
結合磁界の大きさとの関係を示すグラフである。
【0074】図4に示すように、元素X′(X′=A
r)量が大きくなると、交換結合磁界は大きくなってい
ることがわかる。すなわち、元素X′(X′=Ar)を
PtMnに添加すれば、元素X′(X′=Ar)を添加
しない場合に比べて大きい交換結合磁界を得ることが可
能である。
【0075】次に本発明では、別の元素X′を用いて、
反強磁性層をPt―Mn―X′(X′=Mo)合金で形
成し、元素X′(X′=Mo)量と、Pt―Mn―X′
(X′=Mo)合金膜の格子定数との関係について調べ
た。実験に使用した膜構成は下から、Si基板/アルミ
ナ/Ta(50)/Co90Fe10(30)/Pt―Mn
―X′(300)/Ta(100)である。なお括弧内
の数値は膜厚を表しており、単位はオングストロームで
ある。
【0076】反強磁性層の成膜には、PtMnのターゲ
ットに元素X′(X′=Mo)のチップを貼り合わせた
複合型ターゲットを用意し、ターゲットに占めるチップ
の面積比を変化させながら、膜中に占める元素X′
(X′=Mo)量を変化させて、前記元素X′(X′=
Mo)量とPt―Mn―X′(X′=Mo)合金の格子
定数との関係について測定した。その実験結果を図5に
示す。
【0077】図5に示すように、PtとMnとの組成比
の割合が6:4、1:1、4:6のいずれかの場合にお
いても、膜中に占める元素X′(X′=Mo)の濃度が
大きくなるほど、Pt―Mn―X′(X′=Mo)の格
子定数は大きくなることがわかる。なお固定磁性層とし
て用いられるNiFe合金、CoFe合金、またはCo
の格子定数は、図5に示すように、約3.5〜3.6の
範囲である。
【0078】次に、上記実験で使用したPt―Mn―
X′(X′=Mo)合金膜に対し、以下に記載する熱処
理工程を施した。熱処理工程における条件としては、ま
ず昇温に3時間をかけ、次に240度の温度状態を3時
間保持し、さらに、降温に3時間をかけた。なお、熱処
理真空度を5×10-6Torr以下とした。
【0079】図6は、Pt―Mn―X′(X′=Mo)
合金膜の元素X′(X′=Mo)の濃度と、前記熱処理
によって、反強磁性層と固定磁性層との界面に発生した
交換結合磁界の大きさとの関係を示すグラフである。
【0080】図6に示すように、PtとMnとの組成比
の割合が、6:4、1:1、4:6のいずれの場合であ
っても、膜中の元素X′(X′=Mo)量が約3at%
以上になれば、交換結合磁界は徐々に低下していくこと
がわかる。特に、膜中の元素X′(X′=Mo)量が約
10at%以上になると、PtとMnとの組成比の割合
が1:1の場合であっても、交換結合磁界は非常に小さ
くなってしまい好ましくない。
【0081】ところで、元素X′(X′=Mo)の適性
な含有量であるが、少なくとも、前記元素X′(X′=
Mo)を含有しない場合、すなわち、元素X′(X′=
Mo)量が0at%のときよりも、交換結合磁界が大き
くなることが好ましい。
【0082】Pt:Mnの組成比の割合が、6:4の場
合は、元素X′(X′=Mo)量が、約1at%以下で
あれば、元素X′(X′=Mo)量が0at%のときよ
りも、交換結合磁界が大きくなる。
【0083】また、Pt:Mnの組成比の割合が、1:
1の場合は、元素X′(X′=Mo)量が、約7at%
以下であれば、元素X′(X′=Mo)量が0at%の
ときよりも、交換結合磁界が大きくなる。
【0084】さらに、Pt:Mnの組成比の割合が、
4:6の場合は、元素X′(X′=Mo)量が、約10
at%以下であれば、元素X′(X′=Mo)量が0a
t%のときよりも、交換結合磁界が大きくなる。
【0085】次に、元素X′(X′=Mo)の適性な含
有量の下限であるが、Pt:Mnの組成比の割合が、
6:4の場合、元素X′(X′=Mo)量が、約0.5
at%になると、交換結合磁界が最も大きくなるので、
そこで本発明では、元素X′(X′=Mo)量が、0.
5at%よりも小さい0.2at%を下限として設定し
た。
【0086】以上の実験結果から本発明では、元素X′
の組成比の好ましい範囲をat%で0.2から10とし
た。またより好ましい範囲をat%で0.5から5とし
た。
【0087】
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば、前記反強
磁性層をX″−Mn合金(ただしX″は、Pt,Pd,
Ir,Rh,Ru,Osのうちいずれか2種以上の元素
である)で形成することにより、従来のようにNi−M
n合金等を反強磁性層に使用していた場合に比べ、耐食
性を向上させることができ、さらに、より大きい交換異
方性磁界を得ることが可能となっている。
【0088】あるいは本発明では、元素X′(ただし
X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,
Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,
Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,A
g,Cd,Ir,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,
Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素
である)を、X−Mn合金膜(ただしXはPt,Pd,
Ir,Rh,Ru,Osのうちいずれか1種または2種
以上の元素である)中に、侵入型、あるいは置換型で固
溶させることにより、さらに大きい交換異方性磁界を得
ることが可能となっている。
【0089】以上のように、大きな交換異方性磁界を得
ることが可能な交換結合膜を磁気抵抗効果素子に適用す
ることにより、耐食性を向上させることができ、しかも
前記磁気抵抗効果素子層の抵抗変化率を高めることがで
き、再生特性を向上させることが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のデュアルスピンバルブ型薄
膜素子の構造をABS面側から見た断面図、
【図2】本発明における薄膜磁気ヘッドを記録媒体との
対向面側から見た断面図、
【図3】反強磁性層をPt―Mn―X′(X′=Ar)
で形成した場合における元素X′(X′=Ar)量と前
記反強磁性層の格子定数との関係を示すグラフ、
【図4】反強磁性層をPt―Mn―X′(X′=Ar)
で形成した場合における元素X′(X′=Ar)量と交
換結合磁界との関係を示すグラフ、
【図5】反強磁性層をPt―Mn―X′(X′=Mo)
で形成した場合における元素X′(X′=Mo)量と前
記反強磁性層の格子定数との関係を示すグラフ、
【図6】反強磁性層をPt―Mn―X′(X′=Mo)
で形成した場合における元素X′(X′=Mo)量と交
換結合磁界との関係を示すグラフ、
【符号の説明】
1 フリー磁性層 2 非磁性導電層 3 固定磁性層 4 反強磁性層 5 ハードバイアス層 6 下地層 7 保護層 8 導電層 20 下部シールド層 21 下部ギャップ層 22 磁気抵抗効果素子層 23 上部ギャップ層 24 上部シールド層
フロントページの続き (72)発明者 山本 豊 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アル プス電気株式会社内 (72)発明者 牧野 彰宏 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アル プス電気株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−81915(JP,A) 特開 平8−249616(JP,A) 特開 平6−314617(JP,A) 特開 平9−35212(JP,A) 特開 平9−148132(JP,A) 特開 平10−91921(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 43/08 G11B 5/39 H01F 10/32

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スライダのトレーリング側端部に設けら
    れたデュアルスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子におい
    て、 前記トレーリング側端部から磁気記録媒体の移動方向に
    向う方向を上側としたときに、下側から下側反強磁性
    層、固定磁性層、非磁性導電層、フリー磁性層、非磁性
    導電層、固定磁性層、上側反強磁性層の順に連続して接
    するように積層成膜されたもので、且つ 前記フリー磁性
    層の磁化方向を前記下側と上側の固定磁性層の磁化方向
    と交叉する方向に揃えるバイアス層が設けられており、 前記下側と上側の反強磁性層、X″−Mn(ただし
    X″は、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうちい
    ずれか2種以上の元素である)で形成されており、前記上側 反強磁性層を構成するX″−Mn合金のX″の
    組成比at%で、47〜57の範囲内で、前記下側
    強磁性層を構成するX″−Mn合金のX″の組成比
    t%で、44〜57の範囲内であることを特徴とする磁
    気抵抗効果素子。
  2. 【請求項2】 前記上側反強磁性層を構成するX″−M
    n合金のX″の組成比at%で、50〜56の範囲内
    であり、 前記下側反強磁性層を構成するX″−Mn合金のX″の
    組成比at%で、46〜55の範囲内である請求項1
    に記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 【請求項3】 前記上側反強磁性層と下側反強磁性層と
    で、前記X″−Mn合金のX″の組成比を異ならせる請
    求項1または2記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 【請求項4】 前記下側と上側の反強磁性層を構成する
    X″−Mn合金の元素X″はPtである請求項1ないし
    3のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 【請求項5】 スライダのトレーリング側端部に設けら
    れたデュアルスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子におい
    て、 前記トレーリング側端部から磁気記録媒体の移動方向に
    向う方向を上側としたときに、下側から下側反強磁性
    層、固定磁性層、非磁性導電層、フリー磁性層、 非磁性
    導電層、固定磁性層、上側反強磁性層の順に連続して接
    するように積層成膜されたもので、且つ 前記フリー磁性
    層の磁化方向を前記下側と上側の固定磁性層の磁化方向
    と交叉する方向に揃えるバイアス層が設けられており、 前記下側と上側の反強磁性層が、 X−Mn−X′合金
    (ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osの
    うちいずれか1種または2種以上の元素であり、前記元
    素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,
    N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,C
    o,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,M
    o,Ag,Cd,Ir,Sn,Hf,Ta,W,Re,
    Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上
    の元素である)で構成されており、前記上側 反強磁性層を構成するX−Mn−X′合金のX
    +X′の組成比at%で47〜57の範囲内で、前記
    下側反強磁性層を構成するX−Mn−X′合金のX+
    X′の組成比at%で、44〜57の範囲内であるこ
    とを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  6. 【請求項6】 前記上側反強磁性層を構成するX−Mn
    −X′合金のX+X′の組成比at%で、50〜56
    の範囲内であり、 前記下側反強磁性層を構成するX−Mn−X′合金のX
    +X′の組成比がat%で、46〜55の範囲内である
    請求項に記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 【請求項7】 前記上側反強磁性層と下側反強磁性層と
    で、前記X−Mn−X′合金のX+X′の組成比を異な
    らせる請求項5または6に記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 【請求項8】 前記元素X′は、Ne,Ar,Kr,X
    eのうち1種または2種以上の元素である請求項5ない
    し7のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
  9. 【請求項9】 前記下側と上側の反強磁性層を構成する
    X−Mn−X′合金の元素XはPtである請求項5ない
    し8のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
  10. 【請求項10】 前記元素X′の組成比はat%で、
    0.2〜10の範囲内である請求項5ないし9のいずれ
    かに記載の磁気抵抗効果素子。
  11. 【請求項11】 前記元素X′の組成比はat%で、
    0.5〜5の範囲内である請求項10記載の磁気抵抗効
    果素子。
  12. 【請求項12】 前記X−Mn−X′合金の下側反強磁
    性層および上側反強磁性層は、スパッタ法により形成さ
    れる請求項5ないし11のいずれかに記載の磁気抵抗効
    果素子。
  13. 【請求項13】 前記下側反強磁性層は下地膜の上に積
    層成膜されている請求項1ないし12のいずれかに記載
    の磁気抵抗効果素子。
  14. 【請求項14】 前記下地膜はTaである請求項13に
    記載の磁気抵抗効果素子。
  15. 【請求項15】 請求項1ないし14のいずれかに記載
    された磁気抵抗効果素子の上下にギャップ層を介してシ
    ールド層が形成されていることを特徴とする薄膜磁気ヘ
    ッド。
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