JP2003215328A - 日射遮蔽用微粒子とこの微粒子を含む日射遮蔽膜形成用塗布液および日射遮蔽膜 - Google Patents

日射遮蔽用微粒子とこの微粒子を含む日射遮蔽膜形成用塗布液および日射遮蔽膜

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JP2003215328A
JP2003215328A JP2002010776A JP2002010776A JP2003215328A JP 2003215328 A JP2003215328 A JP 2003215328A JP 2002010776 A JP2002010776 A JP 2002010776A JP 2002010776 A JP2002010776 A JP 2002010776A JP 2003215328 A JP2003215328 A JP 2003215328A
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solar radiation
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sun protection
radiation shielding
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Takeshi Naganami
武 長南
Hiroko Kuno
裕子 久野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可視光透過率が高くて日射透過率が低く、し
かもヘイズ値が低い日射遮蔽膜の形成を可能とする日射
遮蔽用微粒子と日射遮蔽膜形成用塗布液および日射遮蔽
膜を提供する。 【解決手段】 この日射遮蔽用微粒子は、L***
色系における粉体色のL*が52〜80、a*が−10〜
−0.1、b*が−14〜20であり、かつ、比表面積
が55m2/g以上であるインジウム錫酸化物微粒子で
構成されることを特徴とする。また、日射遮蔽膜形成用
塗布液は上記特性を有するインジウム錫酸化物微粒子が
含有されることを特徴とし、日射遮蔽膜は基材上に塗布
された上記日射遮蔽膜形成用塗布液を熱処理して得られ
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両、ビル、事務
所、一般住宅などの窓、電話ボックス、ショーウィンド
ー、照明用ランプ、透明ケースなど、ガラス、プラスチ
ックスその他日射遮蔽機能を必要とする透明基材に用い
る日射遮蔽用微粒子とこの微粒子を含む日射遮蔽膜形成
用塗布液および日射遮蔽膜に係り、特に、ヘイズ値の低
い日射遮蔽膜の形成を可能とする日射遮蔽用微粒子と日
射遮蔽膜形成用塗布液および日射遮蔽膜の改善に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】太陽光や電球などの外部光源から熱成分
を除去・減少する方法として、従来、ガラス表面に赤外
線を反射する材料からなる膜を形成して熱線反射ガラス
とすることが行われていた。その材料にはFeOx、C
oOx、CrOx、TiOxなどの金属酸化物やAg、
Au、Cu、Ni、Alなどの自由電子を多量にもつ金
属材料が選択されてきた。
【0003】しかし、これらの材料では熱効果に大きく
寄与する赤外線以外に、可視光も同時に反射若しくは吸
収する性質があるため可視光透過率が低下する問題があ
った。そして、建材、乗り物、電話ボックスなどに用い
られる透明基材では可視光領域の高い透過率が必要とさ
れることから、上記材料を利用する場合は膜厚を非常に
薄くしなければならない。このため、スプレー焼付けや
CVD法、あるいはスパッタ法や真空蒸着法などの物理
成膜法を用いて10nmレベルの薄膜に成膜して用いら
れることが通常行われてきた。
【0004】しかしながら、これらの成膜方法は大がか
りな装置や真空設備を必要とし、生産性や大面積化に問
題があり、膜の製造コストが高いといった欠点がある。
また、これらの材料で日射遮蔽特性(波長域300〜2
100nmの光を遮蔽する特性)を高くしようとする
と、可視光領域の反射率も同時に高くなってしまう傾向
があり、鏡のようなギラギラした外観を与えて美観を損
ねてしまう。更に、これらの材料では膜の導電性が高い
ものが多く、膜の導電性が高いと携帯電話やTV、ラジ
オなどの電波を反射して受信不能になったり、周辺地域
に電波障害を引き起こすなどの問題がある。
【0005】このような従来の欠点を改善するには、膜
の物理特性として、可視光領域の光の反射率が低くて赤
外線領域の反射率が高く、かつ膜の導電性が概ね106
Ω/□以上に制御可能な膜を形成する必要があった。
【0006】ところで、可視光透過率が高くしかも優れ
た日射遮蔽機能を持つ材料として、アンチモン錫酸化物
やインジウム錫酸化物(以下、ITOと略す)が知られ
ている。そして、これらの材料は可視光反射率が比較的
低くギラギラした外観を与えることはない。但し、プラ
ズマ周波数が近赤外線領域にあるために可視光に近い近
赤外域におけるこれらの膜の反射・吸収効果が十分でな
かった。
【0007】そこで、不活性ガスあるいは弱還元性ガス
中で熱処理した特定の色のITO粉末を用いることによ
り、可視光に近い近赤外域の光も反射・吸収できるよう
にした方法が、特開平7−69632号公報、特開平8
−41441号に提案されている。そして、この方法に
よれば、高い可視光透過率を維持しつつ、低い日射透過
率が得られている。しかし、1%を下回るようなヘイズ
値の膜を形成するような材料は未だ実現されていなかっ
た。
【0008】上記ヘイズ値は、全透過光に対する拡散透
過光の割合であり、この値が高いと人間の目には曇って
見える。したがって、透明性が要求される窓材、特によ
り透明性を必要とする車両用途では、1%を下回るヘイ
ズ値の膜が望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこの様な問題
点に着目してなされたもので、その課題とするところ
は、可視光透過率が高くて日射透過率が低く、しかもヘ
イズ値が1%を下回る程度の低い日射遮蔽膜の形成を可
能とする日射遮蔽用微粒子を提供することにあり、更に
は高コストの物理成膜法を用いずに簡便な塗布法で成膜
できる日射遮蔽膜形成用塗布液と、これを用いた日射遮
蔽膜を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
するため本発明者等が鋭意研究を行ったところ、特定の
粉体色を有し、かつ高比表面積のITO微粒子を高度に
分散した膜の作製によって可視光領域に透過率の極大を
持つと共に、可視光領域に近い近赤外域に強いプラズマ
吸収を発現して透過率の極小を持ち、かつ、ヘイズ値が
極めて低くなるという現象を見出すに至り本発明を完成
した。ここで、特定の粉体色は、国際照明委員会(CI
E)が推奨しているL***表色系(JIS Z87
29)における粉体色のL*が52〜80、a*が−10
〜−0.1、b*が−14〜20であり、また、微粒子
の比表面積は55m2/g以上である。
【0011】すなわち、請求項1に係る発明は、日射遮
蔽用微粒子を前提とし、L***表色系における粉体
色のL*が52〜80、a*が−10〜−0.1、b*
−14〜20であり、かつ、比表面積が55m2/g以
上であるインジウム錫酸化物微粒子で構成されることを
特徴とする。
【0012】次に、請求項2に係る発明は、日射遮蔽膜
を形成するための日射遮蔽膜形成用塗布液を前提とし、
請求項1記載の日射遮蔽用微粒子が溶媒中に分散されて
いることを特徴とし、請求項3に係る発明は、請求項2
記載の発明に係る日射遮蔽膜形成用塗布液を前提とし、
バインダー成分として、無機バインダーまたは樹脂バイ
ンダーが含有されることを特徴とするものである。
【0013】また、請求項4に係る発明は、基材上に塗
布された日射遮蔽膜形成用塗布液を熱処理して形成され
る日射遮蔽膜を前提とし、上記日射遮蔽膜形成用塗布液
が請求項2または3記載の日射遮蔽膜形成用塗布液で構
成されていることを特徴とし、請求項5に係る発明は、
請求項4記載の日射遮蔽膜上に、珪素、ジルコニウム、
チタン若しくはアルミニウムの酸化物膜が形成されてい
ることを特徴とし、請求項6に係る発明は、請求項4ま
たは5記載の発明に係る日射遮蔽膜を前提とし、可視光
透過率80%以上のときの波長域300〜2100nm
における日射透過率が60%未満で、かつ、ヘーズ値が
1%未満であることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0015】まず、本発明に係る日射遮蔽用微粒子を構
成するITO微粒子において、元素換算での錫含有量
は、原則任意であるが可能なら1〜15重量%が好まし
い。1重量%未満では錫の添加効果が見られないことが
あり、15重量%を超えると錫の固溶が不十分となるこ
とがあるからである。また、上記ITO微粒子の比表面
積は上述したように55m2/g以上であることを要す
る。55m2/g未満では所望とする上記光学特性が得
られらないからである。
【0016】また、本発明に係る日射遮蔽用微粒子を構
成するITO微粒子の粉体色は、上述したようにL**
*表色系における粉体色のL*が52〜80、a*が−
10〜−0.1、b*が−14〜20であることを要す
るが、その理由は以下に説明する。
【0017】一般的な光と物質内の電子の相互作用につ
いて説明すると、ある物質には固有のプラズマ周波数が
あってこの周波数より長波長の光は反射され、短波長の
光は透過されることが知られている。
【0018】プラズマ周波数ωpは以下の式(1)で表
される。
【0019】ωp 2=nq2/εm (1) ここで、nは伝導電子密度、qは電子の電荷、εは誘電
率、mは電子の有効質量である。
【0020】一般に、伝導電子密度が増加するとプラズ
マ周波数が大きくなるため、短波長側の光まで反射され
ることになる。伝導電子密度は金属で1022/cm
3台、ITOで1021/cm3台であるため、金属では可
視光領域からすでに反射率が高いが、ITOでは、可視
光線は透過し近赤外線域から反射率が高くなるため、日
射遮蔽膜として用いることができる。
【0021】特開平8−41441号にも記載されてい
るように、ITO微粒子をアルコール含有不活性ガス、
若しくは還元性ガスと不活性ガスとの混合ガスで処理す
ると、その粉体色が黄色→黄緑色→淡青色→濃青色→暗
青色→黒色と変化すると同時に、その圧粉抵抗も減少す
る。これは、ITOを前記のようなガスで処理すること
によって空孔が生じ、この空孔が錫と同様にn型半導体
である酸化インジウムに対してドナーとして働くために
空孔の増加によって自由電子が増加したと考えられ、粉
体色と伝導電子密度、つまりプラズマ周波数とは深い関
係があることが予想されている。
【0022】そこで、ITO微粒子の粉体色および比表
面積と、成膜したときの日射透過率との関係を詳しく調
査して高日射遮蔽を達成するための条件を求めたとこ
ろ、比表面積55m2/g以上のITO微粒子における
***表色系による粉体色のL*が52〜80、a*
が−10〜−0.1、b*が−14〜20となると、高
い可視光透過率を維持しつつ日射透過率が60%未満と
低くなり、しかもヘイズ値が1%未満となることが確認
された。
【0023】次に、本発明に係る日射遮蔽膜形成用塗布
液は、ITO微粒子を溶媒中に分散したものであるが、
溶媒は特に限定されるものではなく、塗布条件、塗布環
境、および無機バインダーや樹脂バインダーを含有させ
たときはバインダー成分に合わせて適宜選択する。例え
ば、水やエタノール、プロパノール、ブタノール、イソ
プロピルアルコール、イソブチルアルコール、ジアセト
ンアルコールなどのアルコール類、メチルエーテル,エ
チルエーテル,プロピルエーテルなどのエーテル類、エ
ステル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、シクロヘキサノン、イソブチルケトンなどのケト
ン類といった各種の有機溶媒が使用可能であり、また必
要に応じて酸やアルカリを添加してpH調整してもよ
い。さらに、塗布液中の微粒子の分散安定性を一層向上
させるため、各種の界面活性剤、カップリング剤などの
添加も勿論可能である。
【0024】また、無機バインダーや樹脂バインダーの
種類は特に限定されるものではないが、無機バインダー
としては、珪素、ジルコニウム、チタン、若しくはアル
ミニウムの金属アルコキシドやこれらの部分加水分解縮
重合物あるいはオルガノシラザンが利用でき、樹脂バイ
ンダーとしてはアクリル樹脂などの熱可塑性樹脂、エポ
キシ樹脂などの熱硬化性樹脂などが利用できる。
【0025】次に、ITO微粒子を溶媒中に分散させる
方法は、塗布液中に均一に分散する方法であれば特に限
定されず、例えばビーズミル、ボールミル、サンドミ
ル、ペイントシェーカー、超音波ホモジナイザーなどが
挙げられる。
【0026】この塗布液を用いて膜を形成したときの膜
の導電性は、ITO微粒子の接触個所を経由した導電パ
スに沿って行われるため、例えば、界面活性剤やカップ
リング剤の量を加減することで導電パスを部分的に切断
することができ、膜の導電性を106Ω/□以上の表面抵
抗値へ低下させることは容易である。また、無機バイン
ダーあるいは樹脂バインダーの含有量の加減によっても
導電性を制御できる。
【0027】次に、本発明に係る日射遮蔽膜は、基材上
に日射遮蔽用微粒子を構成する上記ITO微粒子が高密
度に堆積して膜を形成するものであり、塗布液中に含ま
れる樹脂バインダーまたは無機バインダーは、塗布、硬
化後にITO微粒子の基材への密着性を向上させ、さら
に膜の硬度を向上させる効果がある。また、このように
して得られた膜上に、さらに珪素、ジルコニウム、チタ
ン、若しくはアルミニウムの金属アルコキシド、これら
の部分加水分解縮重合物からなる被膜を第2層として被
着し、珪素、ジルコニウム、チタン、若しくはアルミニ
ウムの酸化物膜を形成することで、ITO微粒子を主成
分とする膜の基材へ結着力や膜の硬度、耐候性を一層向
上させることができる。
【0028】また、塗布液中に樹脂バインダーまたは無
機バインダーを含まない場合に得られる膜は、基材上に
上記ITO微粒子のみが堆積した膜構造になる。このま
までも日射遮蔽効果を示すが、この膜上にさらに珪素、
ジルコニウム、チタン、若しくはアルミニウムの金属ア
ルコキシドやこれらの部分加水分解縮重合物などの無機
バインダーまたは樹脂バインダーを含む塗布液を塗布し
て被膜を形成して多層膜とするとよい。このようにする
ことにより、塗布液成分が第1層のITO微粒子の堆積
した間隙を埋めて成膜されるため、膜のヘイズが低減し
て可視光透過率が向上し、また微粒子の基材への結着性
が向上する。
【0029】上記ITO微粒子のみが堆積した膜上ある
いはITO微粒子を主成分とする膜上に、珪素、ジルコ
ニウム、チタン、若しくはアルミニウムの金属アルコキ
シドやこれらの部分加水分解縮重合物からなる被膜で結
着する方法としては、成膜工程の容易さやコストの観点
から塗布法が有効である。塗布液は、水やアルコール中
に珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムの金属ア
ルコキシドやこれらの部分加水分解縮重合物を1種若し
くは2種以上含むものであり、その含有量は加熱後に得
られる酸化物換算で全溶液中の40重量%以下が好まし
い。また、必要に応じて酸やアルカリを添加してpH調
整することも可能である。このような液をITO微粒子
を主成分とする膜上にさらに第2層として塗布し加熱す
ることで、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム
などの酸化物被膜を容易に作製することが可能である。
さらには、本発明の塗布液に使用するバインダー成分と
して、あるいはオーバーコート用の塗布液として、オル
ガノシラザン溶液を用いてもよい。
【0030】本発明に係る塗布液の塗布方法および本発
明で用いる酸化物被膜などの被膜形成用の塗布方法は特
に限定されない。例えば、スピンコート法、バーコート
法、スプレーコート法、ディップコート法、スクリーン
印刷法、ロールコート法、流し塗りなど、処理液を平坦
かつ薄く均一に塗布できる方法であればいずれの方法で
もよい。
【0031】そして、無機バインダーとして、珪素、ジ
ルコニウム、チタン、若しくはアルミニウムの金属アル
コキシドおよびその加水分解重合物を含む塗布液の塗布
後における基材加熱温度は、100℃未満では塗膜中に
含まれるアルコキシドまたはその加水分解重合物の重合
反応が未完結で残る場合が多く、また水や有機溶媒が膜
中に残留して加熱後の膜の可視光透過率の低減の原因と
なるので、100℃以上が好ましく、さらに好ましくは
塗布液中の溶媒の沸点以上で加熱を行う。
【0032】また、樹脂バインダーを使用した場合は、
それぞれの硬化方法に従って硬化させればよい。例え
ば、紫外線硬化樹脂であれば紫外線を適宜照射すればよ
く、また常温硬化樹脂であれば塗布後そのまま放置して
おけばよい。このため、既存の窓ガラスなどへの現場で
の塗布が可能である。
【0033】そして、本発明に係る日射遮蔽膜ではIT
O微粒子が分散しているため、物理成膜法により製造さ
れた酸化物薄膜のように結晶が緻密に膜内を埋めた鏡面
状表面をもつ膜に比べると可視光領域での反射が少な
く、ギラギラした外観を呈することが回避できる。ま
た、その一方で、上記のように可視から近赤外域にプラ
ズマ周波数をもつため、これに伴うプラズマ反射が近赤
外域で大きくなる。
【0034】また、可視光領域の反射をさらに抑制した
い場合には、本発明に係る日射遮蔽膜上に、SiO2
MgF2のような低屈折率の膜を成膜することにより容
易に視感反射率1%以下の多層膜を得ることができる。
【0035】また、本発明に係る日射遮蔽用微粒子、塗
布液、日射遮蔽膜のさらなる紫外線遮蔽機能を付与させ
るため、無機系の酸化チタンや酸化亜鉛、酸化セリウム
などの微粒子や、有機系のベンゾフェノンやベンゾトリ
アゾールなどの1種若しくは2種以上を添加してもよ
い。
【0036】本発明によれば、上述した特性を有するI
TO微粒子を日射遮蔽用微粒子として用いることによっ
て日射遮蔽効果を発揮する日射遮蔽膜の製造が可能であ
るが、このITO微粒子は無機材料であるので有機材料
と比べて耐候性は非常に高く、例えば太陽光線(紫外
線)の当たる部位に使用しても色や諸機能の劣化はほと
んど生じない。また、本発明に係る日射遮蔽膜形成用塗
布液は、焼成時の熱による塗布成分の分解あるいは化学
反応を利用して上記日射遮蔽膜を形成するものではない
ため、特性の安定した均一な膜厚の透過膜を形成するこ
とができる。
【0037】
【実施例】以下、本発明の実施例について具体的に説明
する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるもので
ない。
【0038】尚、得られた日射遮蔽膜の可視光透過率や
日射透過率および粉体の色彩(標準光源C,10°視
野)は日立製作所(株)製の分光光度計U−4000を
用いて測定した。また、ヘーズ値は村上色彩技術研究所
(株)製HR−200を用いて測定した。膜評価におい
ては線径の異なる3種のバーコーターで成膜し、得られ
た膜厚が異なる3種類の膜の可視光透過率、日射透過
率、ヘーズ値をそれぞれ測定し、可視光透過率84%の
ときの日射透過率およびヘーズ値を3点プロットから求
めた。
【0039】ITOの選定 日射遮蔽用微粒子として適用するITO粒子の選定のた
めに、以下の表1に示すような粉体色と比表面積を有す
る種々のITO粒子を準備した。
【0040】尚、表1において、a〜eが実施例に係る
ITO微粒子であり、f〜lが比較例に係るITO微粒
子である。
【0041】
【表1】 次に、上記ITO微粒子を用いて形成した実施例ならび
に比較例に係る日射遮蔽膜について光学特性を評価した
結果について述べる。
【0042】[実施例1]表1のaのITO微粒子20
重量%、メチルイソブチルケトン63.3重量%、分散
剤16.7重量%を、充填率63%相当の0.3mmジ
ルコニアビーズを入れたペイントシェーカーで12時間
分散した。
【0043】次に、得られた分散液67.5重量%、バ
インダーとしてメチルイソブチルケトンに溶解したアク
リル樹脂溶液27.5重量%および硬化剤5重量%から
成る塗布液を、番手40,24,6のバーでそれぞれ1
00mm×100mm×3mmのソーダライムガラス基
板に塗布した後、180℃で1時間焼成して日射遮蔽膜
Aを得た。表2に示すように、日射遮蔽膜Aの日射透過
率およびヘーズ値はそれぞれ58%、0.3%であっ
た。
【0044】[実施例2〜実施例5および比較例1〜比
較例7]同様に、表1に示すb〜lのITO微粒子を用
いた以外は、実施例1と同様にして、それぞれ日射遮蔽
膜B(実施例2)、日射遮蔽膜C(実施例3)、日射遮
蔽膜D(実施例4)、日射遮蔽膜E(実施例5)、日射
遮蔽膜F(比較例1)、日射遮蔽膜G(比較例2)、日
射遮蔽膜H(比較例3)、日射遮蔽膜I(比較例4)、
日射遮蔽膜J(比較例5)、日射遮蔽膜K(比較例
6)、および、日射遮蔽膜L(比較例7)を得た。
【0045】そして、以下の表2に示すように、実施例
1〜実施例5はいずれも日射透過率が60%未満で、か
つヘイズ値は1%未満であった。一方、比較例1〜比較
例7はいずれも日射透過率が60%を越えるものであ
り、かつ、比較例4のヘーズ値は11であった。
【0046】
【表2】
【0047】
【発明の効果】本発明に係る日射遮蔽用微粒子は、L*
**表色系における粉体色のL*が52〜80、a*
−10〜−0.1、b*が−14〜20であり、かつ、
比表面積が55m2/g以上であるインジウム錫酸化物
微粒子で構成されるため、可視光透過率が高くて日射透
過率が低く、しかもヘイズ値が1%を下回る程度の低い
日射遮蔽膜の形成を可能とする効果を有する。
【0048】また、この日射遮蔽用微粒子を含有させる
ことにより高コストの物理成膜法を用いずに簡便な塗布
法で成膜できる日射遮蔽膜形成用塗布液を提供でき、か
つ、この日射遮蔽膜形成用塗布液を用いた上記日射遮蔽
膜を提供できる効果を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 201/00 C09D 201/00 C09K 3/00 105 C09K 3/00 105 G02B 1/10 G02B 1/10 Z Fターム(参考) 2H048 FA01 FA04 FA05 FA07 FA09 FA13 FA21 2K009 BB02 CC03 CC09 CC24 DD02 DD06 EE00 EE01 EE03 4G059 AA01 AC06 EA03 EA18 EB09 4J038 CG141 DB001 DL171 DM001 EA011 HA216 KA12 KA20 MA10 NA19

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】日射遮蔽用微粒子において、 L***表色系における粉体色のL*が52〜80、a
    *が−10〜−0.1、b*が−14〜20であり、か
    つ、比表面積が55m2/g以上であるインジウム錫酸
    化物微粒子で構成されることを特徴とする日射遮蔽用微
    粒子。
  2. 【請求項2】日射遮蔽膜を形成するための日射遮蔽膜形
    成用塗布液において、 請求項1記載の日射遮蔽用微粒子が溶媒中に分散されて
    いることを特徴とする日射遮蔽膜形成用塗布液。
  3. 【請求項3】バインダー成分として、無機バインダーま
    たは樹脂バインダーが含有されることを特徴とする請求
    項2記載の日射遮蔽膜形成用塗布液。
  4. 【請求項4】基材上に塗布された日射遮蔽膜形成用塗布
    液を熱処理して形成される日射遮蔽膜において、 上記日射遮蔽膜形成用塗布液が請求項2または3記載の
    日射遮蔽膜形成用塗布液で構成されていることを特徴と
    する日射遮蔽膜。
  5. 【請求項5】請求項4記載の日射遮蔽膜上に、珪素、ジ
    ルコニウム、チタン若しくはアルミニウムの酸化物膜が
    形成されていることを特徴とする日射遮蔽膜。
  6. 【請求項6】可視光透過率80%以上のときの波長域3
    00〜2100nmにおける日射透過率が60%未満
    で、かつ、ヘーズ値が1%未満であることを特徴とする
    請求項4または5記載の日射遮蔽膜。
JP2002010776A 2002-01-18 2002-01-18 日射遮蔽用微粒子とこの微粒子を含む日射遮蔽膜形成用塗布液および日射遮蔽膜 Pending JP2003215328A (ja)

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