JP2003327429A - 日射遮蔽用微粒子とこの微粒子を含む日射遮蔽膜形成用塗布液および日射遮蔽膜 - Google Patents

日射遮蔽用微粒子とこの微粒子を含む日射遮蔽膜形成用塗布液および日射遮蔽膜

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JP2003327429A
JP2003327429A JP2002138278A JP2002138278A JP2003327429A JP 2003327429 A JP2003327429 A JP 2003327429A JP 2002138278 A JP2002138278 A JP 2002138278A JP 2002138278 A JP2002138278 A JP 2002138278A JP 2003327429 A JP2003327429 A JP 2003327429A
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Japan
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solar radiation
fine particles
radiation shielding
film
shielding film
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JP2002138278A
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Takeshi Naganami
武 長南
Hiroko Kuno
裕子 久野
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可視光透過率が高くて日射透過率が低く、し
かもヘイズ値が低い日射遮蔽膜の形成を可能とする日射
遮蔽用微粒子と日射遮蔽膜形成用塗布液および日射遮蔽
膜を提供する。 【解決手段】 この日射遮蔽用微粒子は、L***
色系における粉体色のL*が52〜80、a*が−10〜
−0.1、b*が−14〜20であり、かつ、比表面積
が40m2/g以上であるインジウム・錫・ゲルマニウ
ム酸化物微粒子若しくはインジウム・フッ素・錫酸化物
微粒子で構成されることを特徴とする。また、日射遮蔽
膜形成用塗布液は上記特性を有するインジウム・錫・ゲ
ルマニウム酸化物微粒子若しくはインジウム・フッ素・
錫酸化物微粒子が含有されることを特徴とし、日射遮蔽
膜は基材上に塗布された上記日射遮蔽膜形成用塗布液を
熱処理して得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両、ビル、事務
所、一般住宅などの窓、電話ボックス、ショーウィンド
ー、照明用ランプ、透明ケースなど、ガラス、プラスチ
ックスその他日射遮蔽機能を必要とする透明基材に用い
る日射遮蔽用微粒子とこの微粒子を含む日射遮蔽膜形成
用塗布液および日射遮蔽膜に係り、特に、ヘイズ値の低
い日射遮蔽膜の形成を可能とする日射遮蔽用微粒子と日
射遮蔽膜形成用塗布液および日射遮蔽膜の改善に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】太陽光や電球などの外部光源から熱成分
を除去・減少する方法として、従来、ガラス表面に赤外
線を反射する材料からなる膜を形成して熱線反射ガラス
とすることが行われていた。その材料にはFeOx、C
oOx、CrOx、TiOxなどの金属酸化物やAg、
Au、Cu、Ni、Alなどの自由電子を多量にもつ金
属材料が選択されてきた。
【0003】しかし、これらの材料では熱効果に大きく
寄与する赤外線以外に、可視光も同時に反射若しくは吸
収する性質があるため可視光透過率が低下する問題があ
った。そして、建材、乗り物、電話ボックスなどに用い
られる透明基材では可視光領域の高い透過率が必要とさ
れることから、上記材料を利用する場合は膜厚を非常に
薄くしなければならない。このため、スプレー焼付けや
CVD法、あるいはスパッタ法や真空蒸着法などの物理
成膜法を用いて10nmレベルの薄膜に成膜して用いら
れることが通常行われてきた。
【0004】しかしながら、これらの成膜方法は大がか
りな装置や真空設備を必要とし、生産性や大面積化に問
題があり、膜の製造コストが高いといった欠点がある。
また、これらの材料で日射遮蔽特性(波長域300〜2
100nmの光を遮蔽する特性)を高くしようとする
と、可視光領域の反射率も同時に高くなってしまう傾向
があり、鏡のようなギラギラした外観を与えて美観を損
ねてしまう。更に、これらの材料では膜の導電性が高い
ものが多く、膜の導電性が高いと携帯電話やTV、ラジ
オなどの電波を反射して受信不能になったり、周辺地域
に電波障害を引き起こすなどの問題がある。
【0005】このような従来の欠点を改善するには、膜
の物理特性として、可視光領域の光の反射率が低くて赤
外線領域の反射率が高く、かつ膜の導電性が概ね106
Ω/□以上に制御可能な膜を形成する必要があった。
【0006】ところで、可視光透過率が高くしかも優れ
た日射遮蔽機能を持つ材料として、アンチモン錫酸化物
やインジウム錫酸化物(以下、ITOと略す)が知られ
ている。そして、これらの材料は可視光反射率が比較的
低くギラギラした外観を与えることはない。但し、プラ
ズマ周波数が近赤外線領域にあるために可視光に近い近
赤外域におけるこれらの膜の反射・吸収効果が十分でな
かった。
【0007】そこで、不活性ガスあるいは弱還元性ガス
中で熱処理した特定の色のITO粉末を用いることによ
り、可視光に近い近赤外域の光も反射・吸収できるよう
にした方法が、特開平7−69632号公報、特開平8
−41441号に提案されている。そして、この方法に
よれば、高い可視光透過率を維持しつつ、低い日射透過
率が得られている。しかし、1%を下回るようなヘイズ
値の膜を形成するような材料は未だ実現されていなかっ
た。
【0008】上記ヘイズ値は、全透過光に対する拡散透
過光の割合であり、この値が高いと人間の目には曇って
見える。したがって、透明性が要求される窓材、特によ
り透明性を必要とする車両用途では、1%を下回るヘイ
ズ値の膜が望まれていた。
【0009】このような技術的背景の下、本発明者等
は、特定の粉体色を有しかつ高比表面積のITO微粒子
を適用することによって、可視光透過率が高くて日射透
過率が低く、しかもヘイズ値が1%を下回る程度の低い
日射遮蔽膜の形成を可能とする手法を既に提案している
(特願2000−10776号明細書参照)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の課題
とするところは、上記ITO微粒子以外の微粒子を用い
た可視光透過率が高くて日射透過率が低く、しかもヘイ
ズ値が1%を下回る程度の低い日射遮蔽膜の形成を可能
とする日射遮蔽用微粒子を提供することにあり、更には
高コストの物理成膜法を用いずに簡便な塗布法で成膜で
きる日射遮蔽膜形成用塗布液とこれを用いた日射遮蔽膜
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
するため本発明者等が更なる研究を行ったところ、特定
の粉体色を有しかつ高比表面積のインジウム・錫・ゲル
マニウム酸化物(以下、ITGOと略す)微粒子若しく
はインジウム・フッ素・錫酸化物(以下、IFTOと略
す)微粒子を高度に分散した膜の作製によっても可視光
領域に透過率の極大を持つと共に、可視光領域に近い近
赤外域に強いプラズマ吸収を発現して透過率の極小を持
ち、かつ、ヘイズ値が極めて低くなるという現象を見出
すに至った。ここで、特定の粉体色は、国際照明委員会
(CIE)が推奨しているL***表色系(JIS
Z8729)における粉体色のL*が52〜80、a*
−10〜−0.1、b*が−14〜20であり、また、
各微粒子の比表面積は40m2/g以上である。
【0012】すなわち、請求項1に係る発明は、日射遮
蔽用微粒子を前提とし、L***表色系における粉体
色のL*が52〜80、a*が−10〜−0.1、b*
−14〜20であり、かつ、比表面積が40m2/g以
上であるインジウム・錫・ゲルマニウム酸化物微粒子若
しくはインジウム・フッ素・錫酸化物微粒子で構成され
ることを特徴とする。
【0013】次に、請求項2に係る発明は、日射遮蔽膜
を形成するための日射遮蔽膜形成用塗布液を前提とし、
請求項1記載の日射遮蔽用微粒子が溶媒中に分散されて
いることを特徴とし、請求項3に係る発明は、請求項2
記載の発明に係る日射遮蔽膜形成用塗布液を前提とし、
バインダー成分として、無機バインダーまたは樹脂バイ
ンダーが含有されることを特徴とするものである。
【0014】また、請求項4に係る発明は、基材上に塗
布された日射遮蔽膜形成用塗布液を熱処理して形成され
る日射遮蔽膜を前提とし、上記日射遮蔽膜形成用塗布液
が請求項2または3記載の日射遮蔽膜形成用塗布液で構
成されていることを特徴とし、請求項5に係る発明は、
請求項4記載の日射遮蔽膜上に、珪素、ジルコニウム、
チタン若しくはアルミニウムの酸化物膜が形成されてい
ることを特徴とし、請求項6に係る発明は、請求項4ま
たは5記載の発明に係る日射遮蔽膜を前提とし、可視光
透過率80%以上のときの波長域300〜2100nm
における日射透過率が60%未満で、かつ、ヘイズ値が
1%未満であることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0016】まず、本発明に係る日射遮蔽用微粒子を構
成するITGO微粒子若しくはIFTO微粒子において
元素換算での錫含有量は原則任意であるが、可能なら1
〜15重量%が好ましい。1重量%未満では錫の添加効
果が見られないことがあり、15重量%を超えると錫の
固溶が不十分となることがあるからである。また、元素
換算でのゲルマニウム、フッ素含有量も原則任意である
が、可能なら0.1〜10重量%が好ましい。0.1重
量%未満ではこれ等元素の添加効果が見られないことが
あり、10重量%を超えるとゲルマニウム、フッ素の固
溶が不十分となることがあるからである。更に、ITG
O微粒子若しくはIFTO微粒子の比表面積は上述した
ように40m2/g以上であることを要する。40m2
g未満では所望とする上記光学特性が得られらないから
である。
【0017】また、本発明に係る日射遮蔽用微粒子を構
成するITGO微粒子若しくはIFTO微粒子の粉体色
は、先に提案した特願2000−10776号明細書に
記載されたITO微粒子と同様、L***表色系にお
ける粉体色のL*が52〜80、a*が−10〜−0.
1、b*が−14〜20であることを要するが、その理
由は以下に説明する。
【0018】一般的な光と物質内の電子の相互作用につ
いて説明すると、ある物質には固有のプラズマ周波数が
あってこの周波数より長波長の光は反射され、短波長の
光は透過されることが知られている。
【0019】プラズマ周波数ωpは以下の式(1)で表
される。
【0020】ωp 2=nq2/εm (1) ここで、nは伝導電子密度、qは電子の電荷、εは誘電
率、mは電子の有効質量である。
【0021】一般に、伝導電子密度が増加するとプラズ
マ周波数が大きくなるため、短波長側の光まで反射され
ることになる。伝導電子密度は金属で1022/cm
3台、ITOで1021/cm3台であるため、金属では可
視光領域からすでに反射率が高いが、ITOやITGO
若しくはIFTOでは、可視光線は透過し近赤外線域か
ら反射率が高くなるため、日射遮蔽膜として用いること
ができる。
【0022】そして、特開平8−41441号にも記載
されているように、ITO微粒子をアルコール含有不活
性ガス、若しくは還元性ガスと不活性ガスとの混合ガス
で処理すると、その粉体色が黄色→黄緑色→淡青色→濃
青色→暗青色→黒色と変化すると同時に、その圧粉抵抗
も減少する。これは、ITOを前記のようなガスで処理
することによって空孔が生じ、この空孔が錫と同様にn
型半導体である酸化インジウムに対してドナーとして働
くために空孔の増加によって自由電子が増加したと考え
られ、粉体色と伝導電子密度、つまりプラズマ周波数と
は深い関係があることが予想されている。
【0023】そこで、特願2000−10776号明細
書に記載したITO微粒子と同様、ITGO微粒子若し
くはIFTO微粒子の粉体色および比表面積と成膜した
ときの日射透過率との関係を詳しく調査して高日射遮蔽
を達成するための条件を求めたところ、比表面積40m
2/g以上のITGO微粒子若しくはIFTO微粒子に
おけるL***表色系による粉体色のL*が52〜8
0、a*が−10〜−0.1、b*が−14〜20となる
と、高い可視光透過率を維持しつつ日射透過率が60%
未満と低くなり、しかもヘイズ値が1%未満となること
が確認された。
【0024】次に、本発明に係る日射遮蔽膜形成用塗布
液は、ITGO微粒子若しくはIFTO微粒子を溶媒中
に分散したものであるが、溶媒は特に限定されるもので
はなく、塗布条件、塗布環境、および無機バインダーや
樹脂バインダーを含有させたときはバインダー成分に合
わせて適宜選択する。例えば、水やエタノール、プロパ
ノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、イソブ
チルアルコール、ジアセトンアルコールなどのアルコー
ル類、メチルエーテル,エチルエーテル,プロピルエーテ
ルなどのエーテル類、エステル類、アセトン、メチルエ
チルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、イソ
ブチルケトンなどのケトン類といった各種の有機溶媒が
使用可能であり、また必要に応じて酸やアルカリを添加
してpH調整してもよい。さらに、塗布液中の微粒子の
分散安定性を一層向上させるため、各種の界面活性剤、
カップリング剤などの添加も勿論可能である。
【0025】また、無機バインダーや樹脂バインダーの
種類は特に限定されるものではないが、無機バインダー
としては、珪素、ジルコニウム、チタン、若しくはアル
ミニウムの金属アルコキシドやこれらの部分加水分解縮
重合物あるいはオルガノシラザンが利用でき、樹脂バイ
ンダーとしてはアクリル樹脂などの熱可塑性樹脂、エポ
キシ樹脂などの熱硬化性樹脂などが利用できる。
【0026】次に、ITGO微粒子若しくはIFTO微
粒子を溶媒中に分散させる方法は、塗布液中に均一に分
散する方法であれば特に限定されず、例えばビーズミ
ル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、超
音波ホモジナイザーなどが挙げられる。
【0027】この塗布液を用いて膜を形成したときの膜
の導電性は、ITGO微粒子若しくはIFTO微粒子の
接触個所を経由した導電パスに沿って行われるため、例
えば、界面活性剤やカップリング剤の量を加減すること
で導電パスを部分的に切断することができ、106Ω/□
以上の表面抵抗値にして膜の導電性を低下させることは
容易である。また、無機バインダーあるいは樹脂バイン
ダーの含有量の加減によっても導電性を制御できる。
【0028】次に、本発明に係る日射遮蔽膜は、基板上
に日射遮蔽用微粒子を構成するITGO微粒子若しくは
IFTO微粒子が高密度に堆積して膜を形成するもので
あり、塗布液中に含まれる樹脂バインダーまたは無機バ
インダーは、塗布、硬化後に上記ITGO微粒子若しく
はIFTO微粒子の基材への密着性を向上させ、さらに
膜の硬度を向上させる効果がある。また、このようにし
て得られた膜上に、さらに珪素、ジルコニウム、チタ
ン、若しくはアルミニウムの金属アルコキシド、これら
の部分加水分解縮重合物からなる被膜を第2層として被
着し、珪素、ジルコニウム、チタン、若しくはアルミニ
ウムの酸化物膜を形成することで、ITGO微粒子若し
くはIFTO微粒子を主成分とする膜の基材への結着力
や膜の硬度、耐候性を一層向上させることができる。
【0029】また、塗布液中に樹脂バインダーまたは無
機バインダーを含まない場合に得られる膜は、基材上に
上記ITGO微粒子若しくはIFTO微粒子のみが堆積
した膜構造になる。このままでも日射遮蔽効果を示す
が、この膜上にさらに珪素、ジルコニウム、チタン、若
しくはアルミニウムの金属アルコキシドやこれらの部分
加水分解縮重合物などの無機バインダーまたは樹脂バイ
ンダーを含む塗布液を塗布して被膜を形成して多層膜と
するとよい。このようにすることにより、塗布液成分が
第1層のITGO微粒子若しくはIFTO微粒子の堆積
した間隙を埋めて成膜されるため、膜のヘイズが低減し
て可視光透過率が向上し、また微粒子の基材への結着性
が向上する。
【0030】上記ITGO微粒子若しくはIFTO微粒
子のみが堆積した膜上あるいはITGO微粒子若しくは
IFTO微粒子を主成分とする膜上に、珪素、ジルコニ
ウム、チタン、若しくはアルミニウムの金属アルコキシ
ドやこれらの部分加水分解縮重合物からなる被膜で結着
する方法としては、成膜工程の容易さやコストの観点か
ら塗布法が有効である。塗布液は、水やアルコール中に
珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムの金属アル
コキシドやこれらの部分加水分解縮重合物を1種若しく
は2種以上含むものであり、その含有量は加熱後に得ら
れる酸化物換算で全溶液中の40重量%以下が好まし
い。また、必要に応じて酸やアルカリを添加してpH調
整することも可能である。このような液をITGO微粒
子若しくはIFTO微粒子を主成分とする膜上にさらに
第2層として塗布し加熱することで、珪素、ジルコニウ
ム、チタン、アルミニウムなどの酸化物被膜を容易に作
製することが可能である。さらには、本発明の塗布液に
使用するバインダー成分として、あるいはオーバーコー
ト用の塗布液として、オルガノシラザン溶液を用いても
よい。
【0031】本発明に係る塗布液の塗布方法および本発
明で用いる酸化物被膜などの被膜形成用の塗布方法は特
に限定されない。例えば、スピンコート法、バーコート
法、スプレーコート法、ディップコート法、スクリーン
印刷法、ロールコート法、流し塗りなど、処理液を平坦
かつ薄く均一に塗布できる方法であればいずれの方法で
もよい。
【0032】そして、無機バインダーとして、珪素、ジ
ルコニウム、チタン、若しくはアルミニウムの金属アル
コキシドおよびその加水分解重合物を含む塗布液の塗布
後における基材加熱温度は、100℃未満では塗膜中に
含まれるアルコキシドまたはその加水分解重合物の重合
反応が未完結で残る場合が多く、また水や有機溶媒が膜
中に残留して加熱後の膜の可視光透過率の低減の原因と
なるので、100℃以上が好ましく、さらに好ましくは
塗布液中の溶媒の沸点以上で加熱を行う。
【0033】また、樹脂バインダーを使用した場合は、
それぞれの硬化方法に従って硬化させればよい。例え
ば、紫外線硬化樹脂であれば紫外線を適宜照射すればよ
く、また常温硬化樹脂であれば塗布後そのまま放置して
おけばよい。このため、既存の窓ガラスなどへの現場で
の塗布が可能である。
【0034】そして、本発明に係る日射遮蔽膜ではIT
GO微粒子若しくはIFTO微粒子が分散しているた
め、物理成膜法により製造された酸化物薄膜のように結
晶が緻密に膜内を埋めた鏡面状表面をもつ膜に比べると
可視光領域での反射が少なく、ギラギラした外観を呈す
ることが回避できる。また、その一方で、上記のように
可視から近赤外域にプラズマ周波数をもつため、これに
伴うプラズマ反射が近赤外域で大きくなる。
【0035】また、可視光領域の反射をさらに抑制した
い場合には、本発明に係る日射遮蔽膜上に、SiO2
MgF2のような低屈折率の膜を成膜することにより容
易に視感反射率1%以下の多層膜を得ることができる。
【0036】また、本発明に係る日射遮蔽用微粒子、塗
布液、日射遮蔽膜にさらなる紫外線遮蔽機能を付与させ
るため、無機系の酸化チタンや酸化亜鉛、酸化セリウム
などの微粒子や、有機系のベンゾフェノンやベンゾトリ
アゾールなどの1種若しくは2種以上を添加してもよ
い。
【0037】本発明によれば、上述した特性を有するI
TGO微粒子若しくはIFTO微粒子を日射遮蔽用微粒
子として用いることによって日射遮蔽効果を発揮する日
射遮蔽膜の製造が可能であるが、このITGO微粒子若
しくはIFTO微粒子は無機材料であるので有機材料と
比べて耐候性は非常に高く、例えば太陽光線(紫外線)
の当たる部位に使用しても色や諸機能の劣化はほとんど
生じない。また、本発明に係る日射遮蔽膜形成用塗布液
は、焼成時の熱による塗布成分の分解あるいは化学反応
を利用して上記日射遮蔽膜を形成するものではないた
め、特性の安定した均一な膜厚の透過膜を形成すること
ができる。
【0038】
【実施例】以下、本発明の実施例について具体的に説明
する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるもので
ない。
【0039】尚、得られた日射遮蔽膜の可視光透過率や
日射透過率および粉体の色彩(標準光源D65,10°
視野)は日立製作所(株)製の分光光度計U−4000
を用いて測定した。また、ヘイズ値は村上色彩技術研究
所(株)製HR−200を用いて測定した。膜評価にお
いては線径の異なる3種のバーコーターで成膜し、得ら
れた膜厚が異なる3種類の膜の可視光透過率、日射透過
率、ヘイズ値をそれぞれ測定し、可視光透過率84%の
ときの日射透過率およびヘイズ値を3点プロットから求
めた。
【0040】(1)ITGO若しくはIFTOの選定 日射遮蔽用微粒子として適用するITGO微粒子若しく
はIFTO微粒子の選定のために、以下の表1に示すよ
うな粉体色と比表面積を有する種々のITGO微粒子若
しくはIFTO微粒子を準備した。
【0041】尚、表1において、a〜dが実施例に係る
ITGO微粒子、e〜gが比較例に係るITGO微粒
子、h,iが実施例に係るIFTO微粒子である。
【0042】
【表1】 次に、上記ITGO微粒子若しくはIFTO微粒子を用
いて形成した実施例ならびに比較例に係る日射遮蔽膜に
ついて光学特性を評価した結果について述べる。
【0043】[実施例1]表1のaのITGO微粒子2
0重量%、メチルイソブチルケトン63.3重量%、分
散剤16.7重量%を、充填率63%相当の0.3mm
ジルコニアビーズを入れたペイントシェーカーで12時
間分散した。
【0044】次に、得られた分散液67.5重量%、バ
インダーとしてメチルイソブチルケトンに溶解したアク
リル樹脂溶液27.5重量%および硬化剤5重量%から
成る塗布液を、番手40,24,6のバーでそれぞれ1
00mm×100mm×3mmのソーダライムガラス基
板に塗布した後、180℃で1時間焼成して日射遮蔽膜
Aを得た。表2に示すように、日射遮蔽膜Aの日射透過
率およびヘイズ値はそれぞれ58.0%、0.30%で
あった。
【0045】[実施例2〜実施例4および比較例1〜比
較例2]同様に、表1に示すb〜gのITGO微粒子を
用いた以外は、実施例1と同様にして、それぞれ日射遮
蔽膜B(実施例2)、日射遮蔽膜C(実施例3)、日射
遮蔽膜D(実施例4)、日射遮蔽膜E(比較例1)、日
射遮蔽膜F(比較例2)および日射遮蔽膜G(比較例
3)を得た。
【0046】そして、以下の表2に示すように、実施例
1〜実施例4はいずれも日射透過率が60%未満で、か
つヘイズ値は1%未満であった。一方、比較例1〜比較
例3はいずれも日射透過率が60%を越えるものであ
り、かつ、比較例3のヘイズ値は10.0%であった。
【0047】[実施例5〜実施例6]同様に、表1に示
すh〜iのIFTO微粒子を用いた以外は、実施例1と
同様にして、それぞれ日射遮蔽膜H(実施例5)および
日射遮蔽膜I(実施例6)を得た。
【0048】そして、以下の表2に示すように、実施例
5〜実施例6はいずれも日射透過率が60%未満で、か
つヘイズ値は1%未満であった。
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】本発明に係る日射遮蔽用微粒子は、L*
**表色系における粉体色のL*が52〜80、a*
−10〜−0.1、b*が−14〜20であり、かつ、
比表面積が40m2/g以上であるインジウム・錫・ゲ
ルマニウム酸化物微粒子若しくはインジウム・フッ素・
錫酸化物微粒子で構成されるため、可視光透過率が高く
て日射透過率が低く、しかもヘイズ値が1%を下回る程
度の低い日射遮蔽膜の形成を可能とする効果を有する。
【0051】また、この日射遮蔽用微粒子を含有させる
ことにより高コストの物理成膜法を用いずに簡便な塗布
法で成膜できる日射遮蔽膜形成用塗布液を提供でき、か
つ、この日射遮蔽膜形成用塗布液を用いた上記日射遮蔽
膜を提供できる効果を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 7/12 C09D 7/12 201/00 201/00 G02B 5/20 G02B 5/20 Fターム(参考) 2H048 AA07 AA11 AA21 4J037 AA30 DD05 DD07 EE29 FF02 4J038 CG001 DB001 JC30 JC38 NA19 PB02 PB05 PC03 PC08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】日射遮蔽用微粒子において、 L***表色系における粉体色のL*が52〜80、a
    *が−10〜−0.1、b*が−14〜20であり、か
    つ、比表面積が40m2/g以上であるインジウム・錫
    ・ゲルマニウム酸化物微粒子若しくはインジウム・フッ
    素・錫酸化物微粒子で構成されることを特徴とする日射
    遮蔽用微粒子。
  2. 【請求項2】日射遮蔽膜を形成するための日射遮蔽膜形
    成用塗布液において、 請求項1記載の日射遮蔽用微粒子が溶媒中に分散されて
    いることを特徴とする日射遮蔽膜形成用塗布液。
  3. 【請求項3】バインダー成分として、無機バインダーま
    たは樹脂バインダーが含有されることを特徴とする請求
    項2記載の日射遮蔽膜形成用塗布液。
  4. 【請求項4】基材上に塗布された日射遮蔽膜形成用塗布
    液を熱処理して形成される日射遮蔽膜において、 上記日射遮蔽膜形成用塗布液が請求項2または3記載の
    日射遮蔽膜形成用塗布液で構成されていることを特徴と
    する日射遮蔽膜。
  5. 【請求項5】請求項4記載の日射遮蔽膜上に、珪素、ジ
    ルコニウム、チタン若しくはアルミニウムの酸化物膜が
    形成されていることを特徴とする日射遮蔽膜。
  6. 【請求項6】可視光透過率80%以上のときの波長域3
    00〜2100nmにおける日射透過率が60%未満
    で、かつ、ヘイズ値が1%未満であることを特徴とする
    請求項4または5記載の日射遮蔽膜。
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