JP2003214600A - 多孔質体に対する流体通過方法及びその装置 - Google Patents

多孔質体に対する流体通過方法及びその装置

Info

Publication number
JP2003214600A
JP2003214600A JP2002008888A JP2002008888A JP2003214600A JP 2003214600 A JP2003214600 A JP 2003214600A JP 2002008888 A JP2002008888 A JP 2002008888A JP 2002008888 A JP2002008888 A JP 2002008888A JP 2003214600 A JP2003214600 A JP 2003214600A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
porous body
sound wave
fluid
conduit
frequency
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002008888A
Other languages
English (en)
Inventor
Shingo Takao
信吾 高雄
Hiroyuki Ida
博之 井田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
JFE Engineering Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Engineering Corp filed Critical JFE Engineering Corp
Priority to JP2002008888A priority Critical patent/JP2003214600A/ja
Publication of JP2003214600A publication Critical patent/JP2003214600A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 多孔質体の流れ抵抗減少と化学反応促進等を
同時に実現する。 【解決手段】 流体2の流路3a、3bに多孔質体6を
介在させて、流体が多孔質体6を通過するる多孔質体に
対する流体通過方法である。そして、多孔質体6に流入
する流体2に予め定められた一つ又は複数の所定周波数
域の音波を印加して、流体の多孔質体に対する通過を促
進する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体を多孔質体内
を通過させることによって、この流体に化学反応、熱交
換等を生じさせる多孔質体に対する流体通過方法、及び
多孔質体に対する流体通過装置に関する。
【0002】
【従来の技術】化学工場等においては、化学反応を促進
するために触媒が用いられる。この触媒は、自らは変化
することなく他の物質の化学反応を促進する機能を有す
る。この化学反応が生じる物資が流体の場合、一般に、
この触媒を流体が通流する導管の途中位置に挿入して、
流体をこの触媒の表面に沿って流通させる。この場合、
触媒の流体に接する表面積をできるだけ大きくするため
に、触媒を多孔質体で形成するようにしている。
【0003】なお、多孔質体とは、1つ又は複数の部材
から構成され、孔又は孔とみなせる隙間の連結路(以下
擬似孔)を多数備えた構造体を意味する。多孔質体を構
成する個々の部材としては、ハニカム状部材、コルゲー
ト状部材、ブロック状部材、ボール状部材、小片状部
材、その他ナゲット状部材、海綿状部材と種々の形態の
部材がある。
【0004】例えば、ハニカム状部材やコルゲート状部
材は、それ自体に、多数の孔が形成されており多孔質体
を構成する。ハニカム状部材やコルゲート状部材の孔は
多孔質体の長手方向に貫通しており、その断面形状は例
えば、四角形、三角形、六角形等がある。また、ボール
状部材は、ボール状部材が集合してなる多孔質体であ
り、ボール状部材相互間の隙間の空間連結により擬似孔
が形成される。
【0005】このような多孔質体で形成された触媒は、
上述した化学工場における種々の化学物質の化学反応の
促進に使用されるのみならず、自動車や焼却炉から出力
される排気ガスに含まれるスス、NOx等の有害成分の
無害成分への化学反応の促進、蓄熱式熱交換機のハニカ
ム構造蓄熱体等の多孔質体での蓄熱に使用される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような流体が通流
する導管内に触媒を介在させて、この触媒にて化学反応
を促進させる手法においてもまだ解消すべき次のような
課題があった。
【0007】すなわち、この触媒による化学反応促進の
性能を向上させるには触媒の量を増加する必要がある。
さらに、有害成分等の流体を触媒内を効率的に通過させ
るためには、導管内の多孔質体の上流位置で流体を多孔
質体内を通すための圧力を印加する必要がある。この圧
力のエネルギーを少なくするには、触媒を構成する多孔
質体の量を少なくするか、多孔質体内における流体が通
過する隙間を大きくして多孔質体の流体抵抗を低減させ
る必要がある。特に、自動車に搭載されたエンジン(内
燃機関)からの排気ガスの導管に触媒としての多孔質体
を挿入した場合、多孔質体の流体抵抗が大きいとエンジ
ン出力の低下を招く問題がある。
【0008】しかし、多孔質体内における流体の通過す
る隙間を大きく設定すると、流体に対する接触面積が減
少し、化学反応を促進する触媒性能が低下する。このよ
うに、触媒を構成する多孔質体の流体抵抗の低減と触媒
性能の向上とは互いに相反する性質を有する。
【0009】このような不都合を解消するためには、少
ない接触面積であっても、高い触媒効果が得られる高価
な材料を多孔質体として採用すれがよいが、装置全体が
高価格化する懸念がある。
【0010】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、少ない費用で、従来の触媒としての多孔質
体の構造や多孔質体の材料を変更することなく、結果的
に流入される流体に対する流体抵抗を減少でき、かつ流
体の化学反応の促進を図ることができる多孔質体に対す
る流体通過方法、及び多孔質体に対する流体通過装置を
提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記の課題を
解決するために行った検討の結果、多孔質体に流入する
流体に音波を印加することによって、流体抵抗の低減又
は化学反応の促進、あるいはの両方の効果を同時実現可
能とすることを見出した。
【0012】そこで、本発明は、流体の流路に多孔質体
を介在させて、流体が多孔質体を通過する過程で化学反
応、熱交換等を生じさせる多孔質体に対する流体通過方
法において、多孔質体に流入する流体に予め定められた
一つ又は複数の所定周波数域の音波を印加することによ
って、化学反応、熱交換等、及び流体の多孔質体に対す
る通過を促進する。
【0013】このように構成された多孔質体に対する流
体通過方法においては、多孔質体に流入される流体に音
波を印加することによって、この流体が、印加された音
波の周波数に応じて多孔質体の表面で微小振動により、
微細な渦などの乱れを生起する。この乱れが、多孔質体
の隙間を層流となって流れる流体と多孔質体の表面との
間に入ることで、粘性抵抗又は摺動抵抗が低下し、流体
が円滑に多孔質体の隙間内を通過する。
【0014】その結果、多孔質体の流体に対する流体抵
抗が低下すると考えられる。つまり、流体が多孔質体の
隙間のように狭い空間を流れる場合には、この流体は層
流となり流体抵抗が大きくなるが、この流体に音波を印
加することで多孔質体の表面に微小な渦のような乱れが
生じ、乱流に相当する抵抗に低下することが考えられ
る。なお、一般に、乱流状態時の流体抵抗は、乱流が発
生していない通常の流体の流れである層流状態時の流体
抵抗に比較して格段に小さい。
【0015】さらに、流体に印加された音波の周波数に
応じて多孔質体の表面で微小振動により微細な渦などの
乱れが生じ、流体と多孔質体の表面との接触が増大し、
さらに、層流となって流れる流体と渦などの乱れとの間
での熱と物質の移動が促進されると考えられる。
【0016】さらに、流体が音波の周波数で振動するこ
とによって、微細な流れを増幅し、通常の流体の流れで
ある層流より多くの分子が主流と微細な流れ渦によっ
て、多孔質体の表面に接触する量が増加し、流体の化学
反応がより促進されると考えられる。
【0017】また、別の発明は、上述した発明の多孔質
体に対する流体通過方法において、流体に印加する音波
の周波数は1kHz以下に設定している。上述した、流体
に音波を印加することによる流体抵抗低減効果と化学反
応促進効果の程度は音波の全ての周波数に亘って均一で
はなくて、周波数に応じて変動する。発明者の試験結果
より、流体に印加する音波の周波数は1kHz以下の場合
に比較的高い効果を奏することが確認できた。
【0018】さらに別の発明は、上述した発明の多孔質
体に対する流体通過方法において、多孔質体に流入する
流体に騒音として印加されている音波のうち流体の多孔
質体に対する通過を阻害する音波を検出して、この検出
した音波の位相を反転した音波を、多孔質体に流入する
流体に印加して、流体の多孔質体に対する通過を阻害す
る音波と相殺する。
【0019】多孔質体に流入する流体には、既に、この
流体の流路の周囲から発生する種々の騒音が印加されて
いる。この各騒音は種々の周波数を有する。この騒音の
中には流体の多孔質体に対する通過に悪影響を与える音
波が存在することが発明者によって実験的に確認され
た。
【0020】したがって、この悪影響を与える音波を除
去すればよいが、本発明においては、この悪影響を与え
る音波を除去する手法として、この悪影響を与える音波
を検出して、この音波と逆位相の音波を印加することに
よって、悪影響を与える音波を相殺している。
【0021】また、別の発明の多孔質体に対する流体通
過装置においては、一方端から流入された流体を他方端
へ通流させる導管と、この導管における他方端又は中途
位置に設けられ、流体が通過することによってこの流体
に化学反応を生じさせる多孔質体が収納された容器と、
導管内において、容器に収納された多孔質体に流入する
流体に予め定められた一つ又は複数の所定周波数域の音
波を印加する音波印加手段とを備え、化学反応及び流体
の多孔質体に対する通過を促進するようにしている。
【0022】また、別の発明は、上記発明の多孔質体に
対する流体通過装置において、流体に印加する音波の周
波数は1kHz以下に設定している。
【0023】さらに、別の発明は、上記発明の多孔質体
に対する流体通過装置において、多孔質体に流入する流
体に騒音として印加されている音波を検出する騒音検出
器と、この騒音検出器で検出された音波のうち流体の多
孔質体に対する通過を阻害する音波を抽出する阻害音波
抽出器と、この阻害音波抽出器で抽出した音波の位相を
反転した音波を、多孔質体に流入する流体に印加して、
流体の多孔質体に対する通過を阻害する音波と相殺する
音波相殺手段とを備えている。
【0024】このように構成された各多孔質体に対する
流体通過装置においても、上述した各多孔質体に対する
流体通方法とほぼ同様の作用効果を奏することができ
る。
【0025】さらに、別の発明は、上記発明の多孔質体
に対する流体通過装置において、多孔質体に流入する流
体に騒音として印加されている音波を検出する騒音検出
器と、騒音検出器で検出された音波のうち流体の多孔質
体に対する通過を阻害する音波を抽出する阻害音波抽出
器と、一端が導管に開口した1/4波長消音器と、1/
4波長消音器の消音波長を阻害音波抽出器で抽出した音
波の波長に一致させる1/4波長消音器の駆動機構と、
騒音検出器で検出された音波のうち流体の多孔質体に対
する通過を促進する音波を抽出する促進音波抽出器と、
一端が導管に開口したヘルムホルツ共鳴器と、ヘルムホ
ルツ共鳴器の共鳴音波長を促進音波抽出器で抽出した音
波の波長に一致させるヘルムホルツ共鳴器の駆動機構と
を備えている。
【0026】多孔質体に流入する流体には、既にこの流
体の流路の周囲から発生する種々の騒音が印加されてい
る。この各騒音は種々の周波数を有する。この騒音の中
には、前述した流体の多孔質体に対する通過に悪影響を
与える音波の他に、流体の多孔質体に対する通過に好影
響を与える音波が存在することが発明者によって実験的
に確認された。
【0027】したがって、この悪影響を与える音波を除
去し、好影響を与える音波を追加すればよいが、本発明
においては、悪影響を与える音波を除去する手法とし
て、この悪影響を与える音波を検出して、1/4波長消
音器でこの音波を消音している。さらに、好影響を与え
る音波を付加する手法として、この好影響を与える音波
を検出して、ヘルムホルツ共鳴器でこの音波を共鳴させ
て、結果的に、好影響を与える音波を付加している。
【0028】よって、たとえ多孔質体に流入する流体に
騒音が印加されている場合においても、効率的に、流入
される流体に対する流体抵抗を減少でき、かつ流体の化
学反応の促進を図ることができる。
【0029】さらに、別の発明は、上記発明の多孔質体
に対する流体通過装置において、多孔質体を通過した流
体に含まれる未反応成分を検出するガス検出器と、一端
が導管に開口した1/4波長消音器と、一端が導管に開
口したヘルムホルツ共鳴器と、ガス検出器で検出された
未反応成分が最小になるように、1/4波長消音器の消
音波長及びヘルムホルツ共鳴器の共鳴音波長をそれぞれ
制御する制御部とを備えている。
【0030】このように構成された多孔質体に対する流
体通過装置においては、多孔質体を通過した流体に含ま
れる未反応成分を検出するガス検出器を設け、このガス
検出器で検出された未反応成分が最小になるように、1
/4波長消音器の消音波長及びヘルムホルツ共鳴器の共
鳴音波長が制御される。
【0031】ここでいう流体は、例えば、自動車触媒で
の排ガス、化学反応触媒の排ガス/排液など考えられ
が、しかし、単一の気体成分又は液体成分だけではな
い。例えば、排ガスの場合は、水分等の液体成分、ス
ス、微粒子等の固体成分、あるいはその両方を含んだ状
態を含む。一方、排液の場合は、微細な気体成分、微粒
子等の固体成分、又はその両方を含んだ状態を含む。こ
のように流体は、気、液、気液、固液、固気、気固液の
各相状態を取り得る。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各実施形態を図面
を用いて説明する。 (第1実施形態)図1は本発明の第1実施形態の多孔質
体に対する流体通過方法が適用される多孔質体に対する
流体通過装置の概略構成を示す模式図である。この第1
実施形態装置においては、自動車に搭載されているエン
ジン(内燃機関)から排出される流体としての排ガスに
含まれるスス、NOx等の有害成分を触媒を用いて無害
成分に化学変化させる(有害ガスを低減させる)場合を
例にして説明する。
【0033】車載エンジン1から排出された排ガス2
は、導管3a内を触媒5が収納された容器4内へ流入す
る。排ガス2は容器4に収納された、例えば、図2に示
す白金系金属材料で多孔質体6に形成された触媒5内を
通過する過程で、排ガス2に含まれるNOx等の有害成
分の一部が低減される。有害成分が低減された排ガス2
は、触媒5の容器4から流出して、再度、導管3bを経
て消音器(マフラー)7へ導かれ、この消音器(マフラ
ー)7で消音されて、大気中へ放出される。その結果、
NOx等の有害ガスの放出量が低減される。
【0034】容器4内に収納された白金系金属材料で多
孔質体6は、図2(a)に示すように、円柱形状に形成
されたハニカム構造を有している。ハニカム構造におけ
る一つの孔は四角形断面を有し、一つの孔の一辺dは
1.2mmであり、円柱形状に形成されたハニカム構造
の直径Dは92mmであり、ハニカム構造の長さLは、
101.5mmである。
【0035】なお、容器4内に収納された円柱形状の多
孔質体6は、図2(a)に示すハニカム構造の他に、図
2(b)に示す粒子(ボール)構造、図2(c)に示す
海綿構造を採用することが可能である。
【0036】導管3aにおける触媒5の容器4の流入口
の近傍位置には、枝管8の一端が固定されている。この
枝管8の一端は導管3a内に開口しており、他端は閉じ
ている。この枝管8内の他端近傍には、導管3a内を触
媒5の容器4方向へ通流する排ガス2へ音波を印加する
スピーカ9が収納されている。スピーカ9の前面と裏面
とに印加される圧力を同一にして、圧力差に起因してス
ピーカ9が損傷することを防止するために、スピーカ9
の前面領域と裏面領域とを連通する連通管10が設けら
れている。
【0037】また、スピーカ9は連通管10の上流と下
流からの急激な圧力変動にも損傷防止できる位置に設置
される。さらに、スピーカ9における音波を発生する膜
は、十分、耐水、耐熱加工されている。
【0038】スピーカ9には、信号発生器11から増幅
器12を介して音波信号13が印加されている。この音
波信号13の周波数Fb及び信号レベルは制御部14で
指定される。したがって、スピーカ9から枝管8を介し
て排ガス2へ印加される音波の周波数Fb及び音圧レベ
ルは制御部14で指定される。
【0039】この排ガス2へ印加する音波の周波数Fb
は、排ガス2等の流体としての気体の種類、触媒5を構
成する多孔質体6の種類、多孔質体6の大きさ、多孔質
体6の穴径、多孔質体6の密度、多孔質体6の材質によ
って最適周波数域(周波数範囲)が異なるが、この第1
実施形態装置においては、図2(a)に示す白金系金属
材料でハニカム構造の多孔質体6を採用して実験的に求
めた1kHz以下である130Hz(=Fb)に設定さ
れている。
【0040】具体的には、図10に示す印加する音波の
周波数Fと触媒5通過後の排ガス2に含まれる有害ガス
であるNOxの濃度との関係、図11(a)、(b)に
示す印加する音波の周波数Fと多孔質体6の流れ抵抗係
数Kとの関係、図12(a)、(b)に示す印加する音
波の周波数Fと多孔質体6の流量Qとの関係において、
共通して高い特性を発揮できる周波数Fbである130
Hzに設定した。
【0041】このように構成された第1実施形態の多孔
質体に対する流体通過装置においては、車載エンジン1
から導管3a内へ出力された排ガス2は、容器4内に収
納された多孔質体6で構成された触媒5内を通過する過
程で、排ガス2内に含まれるNOx等の有害ガスの量は
低減化され、消音器7で消音されて、大気中へ排出され
る。
【0042】この場合、導管3aから触媒5へ流入され
る直前の排ガス2に対してスピーカ9から周波数Fb=
130Hzの音波が印加される。その結果、前述したよ
うに、排ガス2が多孔質体6で構成された触媒5を通過
するときの流れ抵抗係数Kが低下するので、結果的に、
車載エンジン1の出力を上昇できる。さらに、触媒5を
通過した排ガス2のNOx濃度を、音波を全く印加しな
い場合に比較して大幅に低下できる。
【0043】(第2実施形態)図3は本発明の第2実施
形態に係わる多孔質体に対する流体通過方法が適用され
る多孔質体に対する流体通過装置の概略構成を示す模式
図である。図1に示す第1実施形態の多孔質体に対する
流体通過装置と同一部分には同一符号を付して重複する
部分の詳細説明を省略する。
【0044】この第2実施形態の多孔質体に対する流体
通過装置においては、導管3aにおける音波印加用の枝
管8の設置位置のさらに上流側位置に、音波相殺用の音
波を導管3a内を通流する排ガス2に印加するための別
の枝管15が取付られている。先の枝管8と同様に、こ
の枝管15の一端は導管3a内に開口しており、他端は
閉じている。この枝管15内の他端近傍にはスピーカ1
6が収納されている。さらに、スピーカ16の前面領域
と裏面領域とを連通する連通管17が設けられている。
【0045】導管3aにおける枝管15の取付位置の隣
接位置に、この導管3aを通流する排ガス2に含まれる
エンジン音や車体振動音等の広い周波数帯域を有する騒
音を検出する騒音検出器としてのマイク18が取付けら
れている。このマイク18で検出された騒音信号19は
増幅器20で増幅された後、FFT(高速フーリエ変
換)解析器21及び信号抽出器22へ入力される。
【0046】FFT解析器21は、増幅器20で増幅さ
れた騒音信号19を実時間で周波数部分析を行い、その
周波数部分析結果(周波数スペクトラム)を制御部23
へ送出する。制御部23は、周波数スペクトラム結果か
ら、排ガス2の触媒5に対する通過に悪影響を与える
(阻害する)音波の周波数Faを特定して、FFT解析
器21を介して信号抽出器22へ指示する。
【0047】この悪影響を与える周波数Faは、排ガス
2等の流体の種類、触媒5を構成する多孔質体6の種
類、多孔質体6の大きさ、多孔質体6の穴径、多孔質体
6の密度、多孔質体6の材質によって異なるが、この第
2実施形態装置においては、図2(a)に示す白金系金
属材料でハニカム構造の多孔質体6を採用して実験的に
求めた20Hzに設定されている。
【0048】例えば、バンドパス・フィルタで構成され
た信号抽出器22は、マイク18で検出されて増幅器2
0で増幅された騒音信号19のうち、悪影響を与える周
波数Fa(=20Hz)の音波信号を抽出して、位相反
転器24へ送出する。位相反転器24は、入力された音
波信号の位相を180°反転して増幅器25へ送出す
る。
【0049】増幅器25は、入力され位相反転された音
波信号の信号レベルをマイク18で検出された騒音信号
19の信号レベルに調整して、スピーカ16へ送出す
る。スピーカ16は、入力され位相反転された周波数F
aの音波信号を音波に変換して枝管15を介して導管3
a内を触媒5の容器4方向へ通流する排ガス2に印加す
る。
【0050】その結果、排ガス2に印加されている騒音
に含まれる触媒5に対する通過に悪影響を与える音波
は、スピーカ16から印加された180°位相反転され
た音波と相殺される。
【0051】次に、触媒5に対する通過に悪影響を与え
る音波について、図4を用いて説明する。図11
(a)、(b)に示す印加する音波の周波数Fと多孔質
体6の流れ抵抗係数Kとの関係において、周波数F=0
は、音波を全く印加していない状態を示す。ここで、注
目すべきことは、前述した、NOx濃度の低下や流れ抵
抗係数Kの低下に顕著な効果を示す130Hzの周波数
Fbの他に、音波を印加することによって流れ抵抗係数
Kの増加を招く20Hzの低周波の周波数Faが存在す
ることである。
【0052】なお、音波を印加することによって流れ抵
抗係数Kの低下を招く55Hzの低周波の周波数Fcも
存在する。
【0053】図4(a)に示す抵抗特性は図11
(a)、(b)に示す流れ抵抗係数Kの模式特性であ
る。音波を印加する前の排ガス2に印加されている騒音
が図4(b)に示すように周波数Faを含む広い周波数
帯域を有する場合、スピーカ16から、図4(c)に示
すように、騒音中の周波数Faの音波の180°位相反
転した音波を排ガス2に印加する。すると、図4(d)
に示すように、排ガス2に印加されている騒音における
周波数Faの成分が相殺されて除去される。なお、図4
(e)はスピーカ9から排ガス2に印加される周波数F
b=130Hzの音波を示す。
【0054】このように構成された第2実施形態の多孔
質体に対する流体通過装置においては、先に説明した第
1実施形態の流体通過装置と同様に、導管3aから触媒
5へ流入される直前の排ガス2に対してスピーカ9から
周波数Fb=130Hzの音波が印加される。その結
果、多孔質体6で構成された触媒5を排ガス2が通過す
るときの流れ抵抗係数Kが低下し、かつ触媒5を通過し
た排ガス2のNOx濃度を大幅に低下できる。
【0055】また、Fb=130Hzと異なる有効な周
波数の音波を同時に印加することも可能である。さら
に、排ガス2に印加されている騒音に含まれる流れ抵抗
係数Kの増加を招く周波数Fa=20Hzの成分が除去
されるので、上述した流れ抵抗係数Kの低下効果をより
一層向上できる。
【0056】(第3実施形態)図5は本発明の第3実施
形態に係わる多孔質体に対する流体通過装置の概略構成
を示す模式図である。図3に示す第2実施形態の多孔質
体に対する流体通過装置と同一部分には同一符号を付し
て重複する部分の詳細説明を省略する。
【0057】この第3実施形の多孔質体に対する流体通
過装置においては、図3に示す第2実施形態と同様に、
導管3aの搭載エンジン1の近傍位置に、この導管3a
を通流する排ガス2に含まれる騒音を検出するマイク1
8が取付けられている。このマイク18で検出された騒
音信号19は増幅器20で増幅された後、FFT解析器
21及び信号抽出器22へ入力される。
【0058】FFT解析器21は、増幅器20で増幅さ
れた騒音信号19を実時間で周波数部分析を行い、その
周波数部分析結果(周波数スペクトラム)を制御部23
へ送出する。制御部23は、周波数スペクトラム結果か
ら、排ガス2の触媒5に対する通過に悪影響を与える
(阻害する)音波の周波数Faと好影響を与える(促進
する)音波の周波数Fcとを特定して、FFT解析器2
1を介して信号抽出器22aへ指示する。
【0059】この悪影響を与える周波数Fa及び好影響
を与える周波数Fcは、排ガス2等の流体の種類、触媒
5を構成する多孔質体6の種類、多孔質体6の大きさ、
多孔質体6の穴径、多孔質体6の密度、多孔質体6の材
質によって異なるが、この第3実施形態装置において
は、図2(a)に示す白金系金属材料でハニカム構造の
多孔質体6を採用して実験的に求めた20Hz(=F
a)、及び55Hz(=Fc)に設定されている。具体
的には、前述した図11(a)(b)の流れ抵抗係数K
の実験結果より求めた。
【0060】導管3aにおけるマイク18の下流側位置
に、この導管3a内に開口する1/4波長消音器40が
取付れている。この1/4波長消音器40は、一端が導
管3a内に開口した配管41aと、この配管41aの他
端に設けられた可動ピストン41bとで構成されてい
る。この可動ピストン41bの位置は駆動機構42にて
制御される。
【0061】この1/4波長消音器40の動作原理を図
6(a)を用いて説明する。1/4波長消音器40は、
導管3a内を伝搬される各音波のうち、配管41aの長
さM 0の4倍の波長λ(=4M0)の音波を消音する機能
を有する。この配管41aの長さM0を可動ピストン4
1bで可変できる。
【0062】信号抽出器22aは、制御部23からFF
T解析器21を介して受信した排ガス2の触媒5に対す
る通過に悪影響を与える(阻害する)音波の周波数Fa
を1/4波長消音器40の駆動機構42へ印加する。駆
動機構42は、配管41aの長さM0が周波数Faに対
応する波長λaの1/4倍(M0=λa/4)になるよう
に可動ピストン41bの位置を設定する。
【0063】その結果、導管3a内を通流する排ガス2
に騒音として印加されている音波のうち、排ガス2の触
媒5に対する通過に悪影響を与える(阻害する)音波が
選択されて消音される。
【0064】さらに、導管3aにおける1/4波長消音
器40の下流側位置に、この導管3a内に開口するヘル
ムホルツ共鳴器43が取付れている。このヘルムホルツ
共鳴器43は、一端が導管3a内に開口した小径配管4
4aと、この小径配管44aの他端に連通する大径配管
44bと、この大径配管44bの他端に設けられた可動
ピストン44cとで構成されている。この可動ピストン
44cの位置は駆動機構46にて制御される。
【0065】このヘルムホルツ共鳴器43の動作原理を
図6(b)を用いて説明する。小径配管44aの断面積
をS1、長さをM1とし、大径配管44bの断面積を
2、長さをM2とし、音速をcとすると、この小径配管
44aと大径配管44bとで形成される空間で生じる共
鳴音の周波数(共鳴周波数、共鳴振動数)F0は下式で
求まる。
【0066】 F0=(c/2π)[S1/(M1・M2・S2)]1/2 したがって、可動ピストン44cの位置を変更して、大
径配管44bの長さM 2を調節することによって、ヘル
ムホルツ共鳴器43の共鳴音の周波数(共鳴周波数)F
0を任意の値に設定可能である。
【0067】その結果、導管3a内を伝搬する音波のう
ち、ヘルムホルツ共鳴器43の共鳴周波数F0の音波の
みが、ヘルムホルツ共鳴器43内で共鳴して、大きなレ
ベルの共鳴音として、導管3a内に印加される。
【0068】信号抽出器22aは、制御部23からFF
T解析器21を介して受信した排ガス2の触媒5に対す
る通過に好影響を与える(促進する)音波の周波数Fc
をヘルムホルツ共鳴器43の駆動機構46へ印加する。
駆動機構46は、共鳴周波数F0が周波数Fcに一致
(F0=Fc)するように可動ピストン44cの位置を
設定する。
【0069】その結果、導管3a内を通流する排ガス2
に騒音として印加されている音波のうち、排ガス2の触
媒5に対する通過に好影響を与える(促進する)音波が
選択され、増幅されて共鳴音として、導管3a内に印加
される。
【0070】このように構成された第3実施形態の多孔
質体に対する流体通過装置においては、先に説明した第
1実施形態の流体通過装置と同様に、導管3aから触媒
5へ流入される直前の排ガス2に対してスピーカ9から
周波数Fb=130Hzの音波が印加される。その結
果、多孔質体6で構成された触媒5を排ガス2が通過す
るときの流れ抵抗係数Kが低下し、かつ触媒5を通過し
た排ガス2のNOx濃度を大幅に低下できる。
【0071】さらに、排ガス2に印加されている騒音に
含まれる流れ抵抗係数Kの増加を招く周波数Fa=20
Hzの成分が1/4波長消音器40で除去されるので、
上述した流れ抵抗係数Kの低下効果をより一層向上でき
る。
【0072】さらに、排ガス2に印加されている騒音に
含まれる流れ抵抗係数Kの減少を招く周波数Fc=55
Hzの成分がヘルムホルツ共鳴器41で増幅されるの
で、上述した流れ抵抗係数Kの低下効果をより一層向上
できる。
【0073】(第4実施形態)図7は本発明の第4実施
形態に係わる多孔質体に対する流体通過装置の概略構成
を示す模式図である。図5に示す第3実施形態の多孔質
体に対する流体通過装置と同一部分には同一符号を付し
て重複する部分の詳細説明を省略する。
【0074】この第4実施形の多孔質体に対する流体通
過装置においては、図5に示す第3実施形態装置と同様
に、導管3aに対して、1/4波長消音器40とヘルム
ホルツ共鳴器43とが取付けられ、各駆動機構42、4
6が設けられているが、マイク18は取付けられていな
い。
【0075】しかし、この第4実施形装置においては、
多孔質体6からなる触媒5を収納した容器4に、多孔質
体6を通過した排ガス2に含まれる有害ガスであるNO
xの濃度を検出するガス検出器48が組込まれている。
このガス検出器48で検出されたNOx濃度は、制御部
47へ送信される。
【0076】制御部47は、ガス検出器48で検出され
た未反応成分としてのNOxの濃度が最小になるよう
に、各駆動機構42、46を介して、1/4波長消音器
40の消音波長及びヘルムホルツ共鳴器43の共鳴周波
数F0をそれぞれ制御する。
【0077】このように構成された第4実施形態の多孔
質体に対する流体通過装置においては、多孔質体6を通
過した排ガス2に含まれるNOxの濃度が最小になるよ
うに、導管3aを通流する排ガス2に印加される雑音に
含まれる特定の音波が消音されたたり、特定の音波が増
幅される。
【0078】したがって、図5に示す第3実施形態の多
孔質体に対する流体通過装置とほぼ同様の効果を得るこ
とができる。
【0079】(第5実施形態)図8は本発明の第5実施
形態に係わる多孔質体に対する流体通過装置の概略構成
を示す模式図である。
【0080】鋼材51を溶融する炉50に対して一端が
開口する一対の導管58a、58bの途中位置に多孔質
体であるハニカム構造蓄熱体55a、55bを収納した
容器54a、54bが介挿されている。この一対の導管
58a、58bの他端は切替弁59に接続されている。
この切替弁59はこの一対の導管58a、58bの他端
を一定周期で排気口61又は吸気口60に切換接続す
る。ハニカム構造蓄熱体55a、55bを収納した各容
器54a、54bの入口及び出口は、中途位置にスピー
カ57a、57bが介挿された連通管56a、56bで
連通されている。また、各導管58a、58bにおける
炉50の近傍位置には、この炉50内へ燃料を供給する
燃料管52a、52bが開口している。
【0081】このような構成の多孔質体に対する流体通
過装置において、先ず、図8に示すように、切替弁59
が、一方のハニカム構造蓄熱体55aから導管58aを
経由した排ガスを排気口61から排出し、吸気口60か
ら空気を吸気して導管58bを介して他方のハニカム構
造蓄熱体55bへ供給する位置にある状態を検証する。
【0082】この場合、容器54b内に収納されたハニ
カム構造蓄熱体55bを通過してこのハニカム構造蓄熱
体55bで加熱された空気が、炉50の入口で燃料管5
2bから供給される燃料と混合され、混合ガスがバーナ
54bとして炉50内で燃焼する。なお、この場合、他
方の燃料管52aから燃料は供給されない。炉50内の
燃焼で発生した排ガスは、導管58aを経由して、容器
54a内のハニカム構造蓄熱体55aを通過して、導管
58a、切替弁59を経て排気口61より排出される。
この時、炉50内で高温であった排ガスは、ハニカム構
造蓄熱体55aで熱交換されるので、このハニカム構造
蓄熱体55aは高温となる。
【0083】次に、一定時間経過後、切替弁59が切換
られて、他方のハニカム構造蓄熱体55bから導管58
bを経由した排ガスが排気口61から排出し、吸気口6
0から空気を吸気して導管58aを介して一方のハニカ
ム構造蓄熱帯55aへ供給する位置にある状態を検証す
る。
【0084】この場合、容器54a内に収納されたハニ
カム構造蓄熱体55aを通過してこのハニカム構造蓄熱
体55aで加熱された空気が、炉50の入口で燃料管5
2aから供給される燃料と混合され、混合ガスがバーナ
54aとして炉50内で燃焼する。なお、この場合、他
方の燃料管52bから燃料は供給されない。炉50内の
燃焼で発生した排ガスは、導管58bを経由して、容器
54b内のハニカム構造蓄熱体55bを通過して、導管
58b、切替弁59を経て排気口61より排出される。
この時、炉50内で高温であった排ガスは、ハニカム構
造蓄熱体55bで熱交換されるので、このハニカム構造
蓄熱体55bは高温となる。
【0085】このように、一定時間経過(一定周期)す
る毎に、切替弁59及び燃料を炉50内へ供給する燃料
管52a、52bを切換操作することにより、排ガスの
排熱を有効に利用し、吸入口60から吸気された燃焼用
の空気の予熱(加熱)が可能となる。
【0086】ハニカム構造蓄熱体55bの容器54bの
入口及び出口には、スピーカ57bからの連通管56b
が接続され、スピーカ57bには、信号発生器64bか
ら増幅器63bを介して音波信号66bが印加されてい
る。この音波信号66bの周波数Fz及び信号レベルは
制御部65bで指定される。この空気へ印加する音波の
周波数Fzは、流体(空気)の種類、温度、ハニカム構
造蓄熱体55bの孔径、材質、密度によって最適周波数
域が設定される。このように、多孔質体(ハニカム構造
蓄熱体55b)での通気抵抗が低下することにより、空
気の通過が促進される。さらに、熱交換が促進される。
【0087】同様に、他方のハニカム構造蓄熱体55a
の容器54aの入口及び出口には、スピーカ57aから
の連通管56aが接続され、スピーカ57aには、信号
発生器64aから増幅器63aを介して音波信号66a
が印加されている。この音波信号66bの周波数Fz及
び信号レベルは制御部65aで指定される。この排ガス
へ印加する音波の周波数Fzは、流体(排ガス)の種
類、温度、ハニカム構造蓄熱体55aの孔径、材質、密
度によって最適周波数域が設定される。このように、多
孔質体(ハニカム構造蓄熱体55a)での熱交換が促進
され、多孔質体(ハニカム構造蓄熱体55a)による蓄
熱が促進される。さらに、排ガスの通過が促進される。
【0088】なお、切替弁59を切換えても、同様な作
用効果を奏する事が可能である。
【0089】(確認試験)発明者は、上述した各実施形
態の効果を確認するために、実際の自動車を用いて排ガ
スの浄化試験を実施した。
【0090】図9は試験装置の模式図である。図1に示
した第1実施形態装置と同一部分には同一符号が付して
ある。したがって、重複する部分の詳細説明は省略す
る。
【0091】乗用車30に搭載された車載エンジン(ガ
ソリン・エンジン)1の排ガス2を導管3aで車外へ導
く。導管3aで車外へ導かれた排ガス2は導管3aに接続
された容器4内に収納された図2(a)で示した多孔質
体6からなる触媒5内を通過して、再度、導管3bを経
て、消音器7で消音された後、大気中へ放出される。
【0092】導管3aの途中位置には、枝管8の一端が
取付けられ、枝管8の他端近傍にはスピーカ9が収納さ
れている。枝管8の他端と導管3aとの間には、連通管
10が設けられている。
【0093】導管3aの途中位置には、排ガス2の流量
Qを測定するオリフィス流量計31が取付けられてい
る。さらに、多孔質体6からなる触媒5を収納した容器
4の前後には、それぞれ排ガス2の圧力Pa、Pbを測
定する圧力計33a、33bが取付られている。また、
枝管8内の排ガス温度、及び導管3a内のスピーカ温度
を測定する温度計32a、32bが取付られている。
【0094】さらに、消音器7から大気中に放出される
排ガス2に含まれる有害ガスのNOxの濃度は、サンプ
リング容器34aで排ガス2がサンプリングされて、N
Ox測定器34で測定される。測定制御装置35は発振
器36を制御して、導管3a内を通流する排ガス2に対
して印加する音波の周波数Fを可聴領域である20Hz
から20kHzまで連続して変化させていく。
【0095】このような試験装置において、(A)NO
x測定試験と(B)流れ抵抗係数/流量測定試験とを実
施した。 (A)NOx測定試験 乗用車30の車載エンジン1を起動して、エンジン回転
数を933〜993rpmのアイドリング状態に一定時
間制御した状態で、導管3a内を通流する排ガス2に対
して印加する音波の周波数Fを0Hz(音波を印加しな
い状態)と20Hzから10kHzまで順番に変化させ
ていったときの各NOx濃度を測定するアイドリング時
の試験と、エンジン回転数を2000pmの通常走行状
態に一定時間制御した状態で、導管3a内を通流する排
ガス2に対して印加する音波の周波数Fを0Hz(音波
を印加しない状態)と20Hzから130Hzまで順番
に変化させていったときの各NOx濃度を測定する走行
時の試験とを実施した。なお、測定精度を確認するため
に、各周波数においてそれそれ2回測定を実施した。
【0096】表1及び図10にアイドリング時の試験結
果を示す。
【0097】
【表1】
【0098】表1及び図10に示す試験結果でも明らか
なように、音波を全く排ガス2に印加しない状態(周波
数F=0)のNOx濃度(ppm)よりも、1kHz以
下である周波数130Hz(=Fb)の音波を印加して
いる状態のNOx濃度(ppm)のほうが約8%低下す
ることが確認できた。
【0099】また、周波数が400Hzを越える領域に
おいては、音波を全く排ガス2に印加しない状態と同等
か若干増加する傾向が確認できた。
【0100】表2及び図10に走行状態の試験結果を示
す。
【0101】
【表2】
【0102】表2及び図10に示す試験結果でも明らか
なように、音波を全く排ガス2に印加しない状態(周波
数F=0)のNOx濃度(ppm)よりも、周波数13
0Hz(=Fb)の音波を印加している状態のNOx濃
度(ppm)のほうが約16%低下することが確認でき
た。
【0103】(B)流れ抵抗係数/流量測定試験 エンジン回転数を2000pmの通常走行状態に一定時
間制御した状態で、導管3a内を通流する排ガス2に対
して印加する音波の周波数Fを0Hz(音波を印加しな
い状態)と20Hzから20kHzまで順番に変化させ
ていったときのオリフィス流量計31、各圧力計33
a、33bの各測定値から、多孔質体6からなる触媒5
の排ガス2に対する流れ抵抗係数K、この触媒5を通過
する排ガス2の単位時間当たりの流量Q、排ガス2にお
ける触媒5前後の圧力差ΔPを算出した。
【0104】図11(a)に流れ抵抗係数Kの測定結果
を示す。なお、図11(a)中、点線は音波を全く印加
していない状態(F=0)の流れ抵抗係数Kの測定レベ
ルを示す。図11(b)は、図11(a)の特性におけ
る周波数0〜200Hzまでの部分の拡大図である。こ
の図11(a)、(b)の測定結果でも理解できるよう
に、55Hz(=Fc)、100Hz、130Hz(=
Fb)で流れ抵抗係数Kが、音波を印加していない状態
に比較して大きく低下する。
【0105】逆に、第2、第3実施形態装置で採用した
20Hz(=Fa)で流れ抵抗係数Kが、音波を印加し
ていない状態に比較して増加している。これにより、2
0Hz(=Fa)の音波を排ガス2に印加すると、流れ
抵抗係数Kが増加する悪影響が生じることが確認でき
た。
【0106】同様に、第3実施形態装置で採用した55
Hz(=Fc)の音波を排ガス2に印加すると、流れ抵
抗係数Kが低下する好影響が生じることが確認できた。
【0107】図12(a)に流量Q及び圧力差ΔPの測
定結果を示す。なお、図12(a)中、点線は音波を全
く印加していない状態(F=0)の流量Q及び圧力差Δ
Pの測定レベルを示す。図12(b)は、図12(a)
の特性における周波数0〜200Hzまでの部分の拡大
図である。この図12(a)、(b)の測定結果でも理
解できるように、55Hz(=Fc)、80Hz、10
0Hz、130Hz(=Fb)で流量Qが、音波を印加
していない状態に比較して大きく上昇する。
【0108】以上、図10、図11、図12の実験結果
に基づいて、1kHz以下である周波数Fb=130H
zの音波を導管3a内を多孔質体6からなる触媒5へ流
入する排ガス2に印加し、かつ、排ガス2に既に印加さ
れている騒音のうち周波数Fa=20Hzの成分を抽出
して、位相反転して、再度、排ガス2に印加することに
よって、排ガス2に含まれる有害ガスであるNOx成分
の量をより効果的に低減でき、かつ、排ガス2がより一
層、多孔質体6からなる触媒5を通過しやすくなること
が実証された。
【0109】また、排ガス2に既に印加されている騒音
のうち周波数Fa=20Hzの成分を1/4波長消音器
40で消音し、かつ騒音のうち周波数Fc=55Hzの
成分をヘルムホルツ共鳴器43で増幅することによっ
て、排ガス2に含まれる有害ガスであるNOx成分の量
をより効果的に低減でき、かつ、排ガス2がより一層、
多孔質体6からなる触媒5を通過しやすくなることが実
証された。
【0110】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の多孔質体
に対する流体通過方法及び多孔質体に対する流体通過装
置においては、多孔質体に流入する流体に予め定められ
た一つ又は複数の所定周波数域の音波を印加している。
【0111】したがって、少ない費用で、従来の触媒と
しての多孔質体の構造や多孔質体の材料を変更すること
なく、結果的に流入される流体に対する流体抵抗を減少
でき、かつ流体の化学反応の促進を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の多孔質体に対する流体
通過方法が適用される多孔質体に対する流体通過装置の
概略構成を示す模式図
【図2】同第1実施形態の多孔質体に対する流体通過装
置に触媒として採用される多孔質体の斜視図
【図3】本発明の第2実施形態の多孔質体に対する流体
通過方法が適用される多孔質体に対する流体通過装置の
概略構成を示す模式図
【図4】同第2実施形態の多孔質体に対する流体通過装
置の動作を説明するための周波数特性図
【図5】本発明の第3実施形態の多孔質体に対する流体
通過装置の概略構成を示す模式図
【図6】同第3実施形態の流体通過装置に組込まれたλ
/4消音器及びヘルムホルツ共鳴器の動作原理を説明す
るための図
【図7】本発明の第4実施形態の多孔質体に対する流体
通過装置の概略構成を示す模式図
【図8】本発明の第5実施形態の多孔質体に対する流体
通過装置の概略構成を示す模式図
【図9】本発明の効果を確認するための試験装置の概略
構成を示す模式図
【図10】排気ガスに印加する音波の周波数と排気ガス
のNOx濃度との関係を実験的に求めた図
【図11】排気ガスに印加する音波の周波数と触媒の流
れ抵抗係数との関係を実験的に求めた図
【図12】排気ガスに印加する音波の周波数と排気ガス
の流量及び圧力差との関係を実験的に求めた図
【符号の説明】
1…車載エンジン 2…排ガス 3a、3b、58a、58b…導管 4、54a、54b…容器 5…触媒 6…多孔質体 7…消音器 8、15…枝管 9、16…スピーカ 10、17…連通管 11…信号発生器 12、20、25…増幅器 14、23、47…制御部 18…マイク 21…FFT解析器 22、22a…信号抽出器 24…位相反転器 31…オリフス流量計 32a、32b…温度計 33a、33b…圧力計 34…NOx測定器 36…発振器 40…1/4波長消音器 43…ヘルムホルツ共鳴器 48…ガス検出器 50…炉 55a、55b…ハニカム構造蓄熱体 59…切換弁
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F17D 5/06 B01D 53/36 B Fターム(参考) 3J071 AA02 BB15 CC24 CC25 DD14 EE28 EE31 FF15 4D048 CC21 EA03 EA10 4G075 AA70 BD14 CA23 DA01 DA04 EC30

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体の流路に多孔質体を介在させて、前
    記流体が前記多孔質体を通過する流体通過方法におい
    て、 前記多孔質体に流入する流体に予め定められた一つ又は
    複数の所定周波数域の音波を印加して、前記流体の前記
    多孔質体に対する通過を促進することを特徴とする多孔
    質体に対する流体通過方法。
  2. 【請求項2】 前記流体に印加する音波の周波数は1k
    Hz以下であることを特徴とする請求項1記載の多孔質体
    に対する流体通過方法。
  3. 【請求項3】 前記多孔質体に流入する流体に騒音とし
    て印加されている音波のうち前記流体の前記多孔質体に
    対する通過を阻害する音波を検出して、この検出した音
    波の位相を反転した音波を、前記多孔質体に流入する流
    体に印加して、前記流体の前記多孔質体に対する通過を
    阻害する音波と相殺することを特徴とする請求項1又は
    2記載の多孔質体に対する流体通過方法。
  4. 【請求項4】 一方端から流入された流体を他方端へ通
    流させる導管と、 この導管における他方端又は中途位置に設けられ、前記
    流体が通過する多孔質体が収納された容器と、 前記導管内において、前記容器に収納された多孔質体に
    流入する流体に予め定められた一つ又は複数の所定周波
    数域の音波を印加する音波印加手段とを備え、前記流体
    の前記多孔質体に対する通過を促進することを特徴とす
    る多孔質体に対する流体通過装置。
  5. 【請求項5】 前記流体に印加する音波の周波数は1k
    Hz以下であることを特徴とする請求項4記載の多孔質体
    に対する流体通過装置。
  6. 【請求項6】 前記多孔質体に流入する流体に騒音とし
    て印加されている音波を検出する騒音検出器と、 この騒音検出器で検出された音波のうち前記流体の前記
    多孔質体に対する通過を阻害する音波を抽出する阻害音
    波抽出器と、 この阻害音波抽出器で抽出した音波の位相を反転した音
    波を、前記多孔質体に流入する流体に印加して、前記流
    体の前記多孔質体に対する通過を阻害する音波と相殺す
    る音波相殺手段とを備えたことを特徴とする請求項4又
    は5記載の多孔質体に対する流体通過装置。
  7. 【請求項7】 前記多孔質体に流入する流体に騒音とし
    て印加されている音波を検出する騒音検出器と、 この騒音検出器で検出された音波のうち前記流体の前記
    多孔質体に対する通過を阻害する音波を抽出する阻害音
    波抽出器と、 一端が前記導管に開口した1/4波長消音器と、 この1/4波長消音器の消音波長を前記阻害音波抽出器
    で抽出した音波の波長に一致させる1/4波長消音器の
    駆動機構と、 前記騒音検出器で検出された音波のうち前記流体の前記
    多孔質体に対する通過を促進する音波を抽出する促進音
    波抽出器と、 一端が前記導管に開口したヘルムホルツ共鳴器と、 このヘルムホルツ共鳴器の共鳴音波長を促進音波抽出器
    で抽出した音波の波長に一致させるヘルムホルツ共鳴器
    の駆動機構とを備えたことを特徴とする請求項4又は5
    記載の多孔質体に対する流体通過装置。
  8. 【請求項8】 前記多孔質体を通過した流体に含まれる
    未反応成分を検出するガス検出器と、 一端が前記導管に開口した1/4波長消音器と、 一端が前記導管に開口したヘルムホルツ共鳴器と、 前記ガス検出器で検出された未反応成分が最小になるよ
    うに、前記1/4波長消音器の消音波長及び前記ヘルム
    ホルツ共鳴器の共鳴音波長をそれぞれ制御する制御部と
    を備えたことを特徴とする請求項4又は5記載の多孔質
    体に対する流体通過装置。
JP2002008888A 2002-01-17 2002-01-17 多孔質体に対する流体通過方法及びその装置 Pending JP2003214600A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002008888A JP2003214600A (ja) 2002-01-17 2002-01-17 多孔質体に対する流体通過方法及びその装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002008888A JP2003214600A (ja) 2002-01-17 2002-01-17 多孔質体に対する流体通過方法及びその装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003214600A true JP2003214600A (ja) 2003-07-30

Family

ID=27647034

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002008888A Pending JP2003214600A (ja) 2002-01-17 2002-01-17 多孔質体に対する流体通過方法及びその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003214600A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005090951A (ja) * 2003-09-16 2005-04-07 General Electric Co <Ge> 燃焼器の音響を低減するための方法及び装置。
JP2008531913A (ja) * 2005-02-24 2008-08-14 ボルボ テクノロジー コーポレイション ガス流中の粒子の除去のための装置と方法
JP2013230472A (ja) * 2004-08-13 2013-11-14 Force Technology 固体物体と気体とに関わる過程を強めて層流底層を減少させる方法
CN107362682A (zh) * 2017-08-17 2017-11-21 南昌大学 声波强化过滤除尘及光催化脱硫脱硝装置
CN108662442A (zh) * 2018-08-23 2018-10-16 辽宁石油化工大学 管道泄漏的定位方法及装置

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005090951A (ja) * 2003-09-16 2005-04-07 General Electric Co <Ge> 燃焼器の音響を低減するための方法及び装置。
JP4620416B2 (ja) * 2003-09-16 2011-01-26 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ 燃焼器の音響を低減するための方法及び装置。
JP2013230472A (ja) * 2004-08-13 2013-11-14 Force Technology 固体物体と気体とに関わる過程を強めて層流底層を減少させる方法
JP2008531913A (ja) * 2005-02-24 2008-08-14 ボルボ テクノロジー コーポレイション ガス流中の粒子の除去のための装置と方法
JP4669885B2 (ja) * 2005-02-24 2011-04-13 ボルボ テクノロジー コーポレイション ガス流中の粒子の除去のための装置と方法
US8387363B2 (en) 2005-02-24 2013-03-05 Volvo Technology Corporation Arrangement and method for removal of particulates in a gas flow
CN107362682A (zh) * 2017-08-17 2017-11-21 南昌大学 声波强化过滤除尘及光催化脱硫脱硝装置
CN108662442A (zh) * 2018-08-23 2018-10-16 辽宁石油化工大学 管道泄漏的定位方法及装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7650965B2 (en) Exhaust system
JP5257517B2 (ja) 内燃機関の排気装置
EP3467276B1 (en) Vehicle exhaust system with resonance damping
WO2009019806A1 (ja) 排気浄化装置
AU2611595A (en) A silencer with incorporated catalyst
US11143069B2 (en) Method and apparatus to enable package space reduction in a vehicle exhaust system
JP2003214600A (ja) 多孔質体に対する流体通過方法及びその装置
JP6055305B2 (ja) 排気ガス浄化装置
JP5550957B2 (ja) 排気ガス浄化装置
JP2004519575A (ja) 導管内の共振を減衰する装置
JP4533802B2 (ja) ディーゼルエンジン用の排ガス浄化マフラー
JP2000257418A (ja) 排気消音装置
CA2180639C (en) Exhaust gas purifier
JP2005220871A (ja) 消音器
JP2005240633A (ja) マフラ構造
JP5550958B2 (ja) 排気ガス浄化装置
JP2008070235A (ja) 微粒子捕集フィルタの欠陥検出装置および検出方法
JP2005069191A (ja) 排気装置
Lavrentjev et al. On experimental techniques to determine acoustic performance of small exhaust silencers
JP5006740B2 (ja) ディーゼルエンジン用黒煙浄化装置
Shailender et al. Computational fluid dynamics analysis of a resistance muffler
JP2005207331A (ja) 排気マフラ装置
JP2009174343A (ja) 吸着部材付き触媒コンバータ
JP2004293456A (ja) 消音装置
JP3900291B2 (ja) 排気マフラ

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050315

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050513

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051206

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060130

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20061031