JP2003213405A - 高純度ニッケル又はニッケル合金ターゲット及びその製造方法 - Google Patents

高純度ニッケル又はニッケル合金ターゲット及びその製造方法

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JP2003213405A
JP2003213405A JP2002009907A JP2002009907A JP2003213405A JP 2003213405 A JP2003213405 A JP 2003213405A JP 2002009907 A JP2002009907 A JP 2002009907A JP 2002009907 A JP2002009907 A JP 2002009907A JP 2003213405 A JP2003213405 A JP 2003213405A
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JP
Japan
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nickel
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uniformity
purity
nickel alloy
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JP2002009907A
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English (en)
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Yasuhiro Yamakoshi
康廣 山越
Hirohito Miyashita
博仁 宮下
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Nikko Materials Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 300mmウエハを用いた製造プロセスにお
いても、スパッタリング効率が高く、膜のユニフォーミ
ティ(膜厚の均一性)とプラズマのイグニッション(点
弧)性を良好にすることができるマグネトロンスパッタ
リング用高純度ニッケル又はニッケル合金ターゲット及
びその製造方法を提供する。 【解決手段】 マグネトロンスパッタリング用高純度ニ
ッケル又はニッケル合金ターゲットであって、該ターゲ
ットの透磁率が100未満であることを特徴とするスパ
ッタ膜のユニフォーミティに優れたマグネトロンスパッ
タリング用高純度ニッケル又はニッケル合金ターゲッ
ト。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、膜のユニフォーミ
ティ(膜厚の均一性)及びプラズマのイグニッション
(点弧)性に優れたニッケル又はニッケル合金スパッタ
リングターゲット及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ハードディスク用磁気記録媒体、磁気ヘ
ッド、LSIチップ等に磁性膜を形成する方法として、
スパッタリング法が広く用いられている。スパッタリン
グ法は、陽極となる基板と陰極となるターゲットとを対
向させ、不活性ガス雰囲気下でこれらの基板とターゲッ
トの間に高電圧を印加して電場を発生させるものであ
り、この時電離した電子と不活性ガスが衝突してプラズ
マが形成され、このプラズマ中の陽イオンがターゲット
表面に衝突してターゲット構成原子を叩きだし、この飛
び出した原子が対向する基板表面に付着して膜が形成さ
れるという原理を用いたものである。
【0003】現在、スパッタリングの多くは、いわゆる
マグネトロンスパッタリングと呼ばれている方法が使用
されている。マグネトロンスパッタリング法は、ターゲ
ットの裏側に磁石をセットしターゲット表面に電界と垂
直方向に磁界を発生させてスパッタリングを行なう方法
であり、このような直交電磁界空間内ではプラズマの安
定化および高密度化が可能であり、スパッタ速度を大き
くすることができるという特徴を有している。
【0004】一般に、このようなマグネトロンスパッタ
リング法を用い、NiやCo等の強磁性体またはフェリ
磁性体等の磁性体薄膜を基板上に形成することが行なわ
れている。マグネトロンスパッタリングは磁界中に電子
を捕らえて、効率よくスパッタガスを電離するが、ター
ゲットが磁化をもつ場合、ターゲットそのものが磁気特
性によって、スパッタ面近傍の磁界に影響を与える。近
年、特にゲート材料として、シリサイド化温度が低いこ
と、膜の電気抵抗が低いこと、さらにはシリサイド反応
で使用されるシリコンが少ないなどの特性があることか
ら、コバルトに替えてニッケル又はニッケル合金を使用
する提案がなされている。
【0005】一般に、強磁性体は磁気的に閉回路を作る
ためにマグネトロンスパッタリングすることが極めて難
しいという問題がある。このようなことから、スパッタ
リングターゲットのエロージョン領域を他の領域に比べ
て低い透磁率にして磁束の通路をつくり、ターゲット表
面で漏れ磁束を増大させる提案がなされている(特開2
000−152326)。しかし、このようなターゲッ
トではスパッタリングのエロージョンによるターゲット
形状変化でスパッタライフを通じて成膜の均一性が大き
く変動するという欠点がある。最近ではニッケル又はニ
ッケル合金のような強磁性体ターゲットでも、強力なマ
グネットを用いるなどのマグネトロンスパッタリング装
置の改善によって、ニッケル又はニッケル合金ターゲッ
トの厚さが5mm程度あれば、十分な成膜速度が得られ
るようになっている。しかし、逆に言うとニッケル又は
ニッケル合金のようなターゲットにおいては、その厚さ
を5mm以下好ましくは3mm以下に薄くし、かつ均一
な膜が得られるように、ターゲットを加工する必要があ
るという大きな課題がある。また、スパッタ面内の磁気
特性が不均一であるターゲットを用いると、エロージョ
ン部の最深部が歪み、予定した膜厚分布が得られないと
いう問題があり、磁性体であるニッケル又はニッケル合
金ターゲットは、特にこの傾向が著しいと言える。
【0006】圧延を施したターゲット素材は、当然歪み
が等方的ではない。すなわち結晶粒が一方向に延ばされ
た集合組織となる。このため、三次元的に見た場合には
勿論のこと、圧延面内ですら、磁気特性に異方性を生ず
る。ニッケル又はニッケル合金ターゲットは、この磁気
的異方性を利用するものであるが、内部組織に歪み等が
そのまま存在するという欠点を有している。このような
圧延板から円盤状のターゲットを切出してターゲットを
作製すると、本来円形のエロージョンが進行するところ
が、1方向に延ばされた形となる。本来、円形基板上へ
の成膜の際に、円形のエロージョンとなることが期待さ
れていたものであるから、該円形基板上での均一の膜厚
が得られないという問題がある。以上から、通常成膜の
厚さは磁気特性を左右するので、ある程度の膜厚があ
り、かつそれが均一であることが必要である。しかし、
ゲート膜は薄くても良く、成膜速度や膜厚は特に問題と
なることはない。しかしながら、上記の成膜特性におい
て、膜のユニフォーミティ(膜厚の均一性)がゲート膜
の特性に大きな影響を与え、特に、最近の300mmウ
エハプロセスでは大きな問題となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題または欠点に鑑みてなされたもので、300mm
ウエハを用いた製造プロセスにおいても、膜のユニフォ
ーミティ(膜厚の均一性)を良好にすることができ、か
つプラズマのイグニッション(点弧)性に優れたマグネ
トロンスパッタリング用高純度ニッケル又はニッケル合
金ターゲット及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明者はスパッタリング用ターゲットの製造に
際して、加工工程の改良により、膜のユニフォーミティ
(膜厚の均一性)を向上させることができ、これによっ
て得られた高純度ニッケル又はニッケル合金ターゲット
を用いてマグネトロンスパッタリングすることにより、
安定した製造条件で、再現性よくかつ品質の良いニッケ
ル又はニッケル合金薄膜を得ることができるとの知見を
得た。本発明はこの知見に基づき、 1.マグネトロンスパッタリング用高純度ニッケル又は
ニッケル合金ターゲットであって、該ターゲットの透磁
率が100未満であることを特徴とするスパッタ膜のユ
ニフォーミティに優れたマグネトロンスパッタリング用
高純度ニッケル又はニッケル合金ターゲット 2.ターゲットの透磁率が70未満であることを特徴と
する上記1記載のスパッタ膜のユニフォーミティに優れ
たマグネトロンスパッタリング用高純度ニッケル又はニ
ッケル合金ターゲット 3.平均結晶粒径の5倍以上に粒成長した粗大結晶粒を
含まないことを特徴とする上記1又は2記載のスパッタ
膜のユニフォーミティに優れたマグネトロンスパッタリ
ング用高純度ニッケル又はニッケル合金ターゲット、を
提供する。
【0009】本発明は、さらに 4.純度が4N5(99.995重量%)以上である高
純度ニッケル又はニッケル合金を熱間鍛造した後、30
%以上の圧延率で冷間圧延し、これをさらに200〜3
00°C(未満)の温度で熱処理工程からなり、前記冷
間圧延と熱処理を少なくとも2回以上繰り返すことを特
徴とするターゲットの透磁率が100未満であり、スパ
ッタ膜のユニフォーミティに優れたマグネトロンスパッ
タリング用高純度ニッケル又はニッケル合金ターゲット
の製造方法 5.純度が5N(99.999重量%)以上であること
を特徴とする上記4記載のスパッタ膜のユニフォーミテ
ィに優れたマグネトロンスパッタリング用高純度ニッケ
ル又はニッケル合金ターゲットの製造方法 6.高純度ニッケル又はニッケル合金の熱間鍛造に際
し、こねくり鍛造することを特徴とする上記4又は5記
載のスパッタ膜のユニフォーミティに優れたマグネトロ
ンスパッタリング用高純度ニッケル又はニッケル合金タ
ーゲットの製造方法 7.平均結晶粒径の5倍以上に粒成長した粗大結晶粒を
含まないことを特徴とする上記4〜6のそれぞれに記載
のスパッタ膜のユニフォーミティに優れたマグネトロン
スパッタリング用高純度ニッケル又はニッケル合金ター
ゲットの製造方法 8.最終的に歪取り焼鈍することを特徴とする上記4〜
7のそれぞれに記載のスパッタ膜のユニフォーミティに
優れたマグネトロンスパッタリング用高純度ニッケル又
はニッケル合金ターゲットの製造方法、を提供するもの
である。
【0010】
【発明の実施の形態】高純度ニッケル又はニッケル合金
ターゲットの製造に際しては、まず高純度ニッケル又は
ニッケル合金を溶製し、これをブロック(インゴット)
に鋳造する。次に、これを熱間鍛造し、さらに30%以
上の圧延率で冷間圧延し、これを200〜300°C
(未満)の温度で熱処理する。本発明においては前記冷
間圧延と熱処理を少なくとも2回以上繰り返す。そし
て、最終的に、平板状その他のマグネトロンスパッタリ
ング装置にセットできるターゲット形状に加工する。こ
の高純度ニッケル又はニッケル合金ターゲットの透磁率
が100未満、好ましくは70未満であることが重要で
あり、本発明の大きな特徴の一つである。上記の製造工
程によってこれを達成する。透磁率が高いとプラズマが
起ち難くなりスパッタリングが難しくなることは既に述
べた通りであり、本発明は透磁率を低下させてスパッタ
リング効率を高めることが目的であるが、さらに加工と
熱処理の組み合わせにより、スパッタ膜のユニフォーミ
ティを改善するものである。
【0011】また、高純度ニッケル又はニッケル合金は
軟質な材料であり、異常な粒成長を起こし易く、細粒の
中に粗大粒が混在する不均一な金属組織に成り易いとい
う傾向がある。そして、この不均一組織は膜の膜のユニ
フォーミティに大き影響する。また、このような高純度
ニッケル又はニッケル合金ターゲット内部組織の粗大粒
の混在は、プラズマのイグニッション(点弧)性にも悪
影響を与えると考えられる。上記のように、マグネトロ
ンスパッタリングの際に好適なプラズマを形成させるた
めには、ニッケル又はニッケル合金ターゲットを5mm
以下、好ましくは3mm程度の厚さにする必要がある
が、もし異常な粒成長を起こしたターゲットの不均一組
織が存在すると、それはターゲットが薄いだけに、ター
ゲット全体に大きく影響を与えることになる。その結
果、スパッタリング膜のユニフォーミティ及びプラズマ
のイグニッション(点弧)性をより悪化させる。したが
って、マグネトロンスパッタリング用高純度ニッケル又
はニッケル合金ターゲット中に、平均結晶粒径の5倍以
上に粒成長した粗大結晶粒を含まないことが望ましい。
これによって、膜のユニフォーミティ及びプラズマのイ
グニッション(点弧)性がさらに改善される。
【0012】このような、異常な粒成長を起こさない均
一組織のニッケル又はニッケル合金ターゲットにするた
めには、上記の通り凝固組織を破壊したインゴットを3
0%以上の圧延率での冷間圧延と200〜300°C
(未満)での熱処理を2回以上、繰り返して平板状に形
成していくことが重要である。また、このような加工の
繰り返しにより、ターゲット板に平坦性を持たせること
ができるという特徴を有する。30%未満の圧延率で
は、異常粒成長した粗大組織を十分破壊(分断)でき
ず、また200°C未満では熱処理の効果がなく、また
300°C以上では透磁率を100を超える可能性があ
り、また再結晶によって結晶が粗大化する虞があり、本
発明の目的を達成することができない。また、一回の3
0%以上の圧延率での冷間圧延と200〜300°Cの
温度での熱処理(たとえ80%程度の強加工をしても)
では、異常粒成長した粗大組織を十分に消失させること
ができない。したがって、この工程は少なくとも2回以
上、繰り返すことが必要である。なお、この冷間圧延と
熱処理は必ずしも同一条件とする必要はない。以上の工
程によって、膜のユニフォーミティ及びプラズマのイグ
ニッション(点弧)性に優れたマグネトロンスパッタリ
ング用高純度ニッケル又はニッケル合金ターゲットを製
造することができる。
【0013】高純度ニッケル又はニッケル合金ターゲッ
トとしては、純度が4N5(99.995重量%)以
上、さらに5N(99.999重量%)以上である高純
度ニッケル又はニッケル合金であることが望ましい。ニ
ッケル合金としては、Ni−Ti、Ni−Zr、Ni−
Hf、Ni−V、Ni−Nb、Ni−Ta、Ni−C
r、Ni−Co、Ni−Pt、Ni−Pd、Ni−I
r、Ni−Fe、Ni−Mnなどを挙げることができ
る。添加する合金元素は、強磁性体としての性質が大き
く変化するほどの含有量としないことは勿論であり、添
加量としては0.5〜7at%程度である。またターゲ
ット中の平均結晶粒径が10〜150μm、好ましくは
30〜70μmであり、スパッタリングのエロージョン
面における平均結晶粒径のばらつきが変動係数18%以
内であることが望ましい。これによって、膜のユニフォ
ーミティ及びプラズマのイグニッション(点弧)性に優
れた好適なマグネトロンスパッタリング用高純度ニッケ
ル又はニッケル合金ターゲットを得ることができる。な
お、下記実施例及び比較例に示すニッケル合金について
は、上記ニッケル合金の一部のみを例示するが、いずれ
の合金においても同様の結果が得られた。
【0014】
【実施例および比較例】以下、実施例および比較例に基
づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であ
り、この例によって何ら制限されるものではない。すな
わち、本発明は特許請求の範囲によってのみ制限される
ものであり、本発明の技術思想に含まれる実施例以外の
種々の変形を包含するものである。
【0015】(実施例1〜5)純度99.995%のニ
ッケルを原料として電子ビーム溶解し、これを鋳造して
インゴット(120φ×70h)とした。このインゴッ
トを均熱化処理(900〜1150°Cで2時間保持)
した後、熱間鍛造(こねくり鍛造)を行った。熱間鍛造
の開始温度は900°C〜1150°Cであり、真歪み
約5で行った。900°C未満の熱間鍛造では割れが入
ることが多く、1150°Cを超える温度では材料の酸
化が著しいので、上記の範囲の温度とした。これを圧延
率30〜60%で冷間圧延し、200°C〜300°C
(未満)で1時間熱処理し、再結晶させた。次に、これ
をさらに圧延率30〜60%で冷間圧延し、200°C
〜300°C(未満)で1時間熱処理し、再結晶させ
た。これによって得た圧延板から試料を切り出し、厚さ
3mm、直径440mmの円盤状ニッケル又はニッケル
合金ターゲット試料とした。ターゲット試料の平均粒径
は表1に示す通り31〜72μmにあり、異常結晶粒が
見られない組織のターゲットが得られた。また、このニ
ッケルターゲットの透磁率は58〜89であり、良好な
平坦性を有していた。組織観察と透磁率の測定は、ター
ゲットを放射状に均一に17点測定し、その平均値とし
た。なお、下記の実施例及び比較例はいずれも同様の測
定を行った。
【0016】次に、このニッケル又はニッケル合金ター
ゲットを用いて300mmウエハに対してマグネトロン
スパッタリングを実施し、膜のユニフォーミティ(%、
3σ)及びプラズマのイグニッション(点弧)性を測定
及び観察した。なお、膜のユニフォーミティはターゲッ
トライフ約5kwh毎に新しいウエハに1000Åの膜
を成膜して、間接的に4端子法による49点の抵抗値か
ら計算した。膜のユニフォーミティの測定結果は、いず
れも10以下であり、しかもターゲットライフ40kw
h(スパッタパワー1kw)まで持続し、優れた膜のユ
ニフォーミティを示した。その詳細を、同様に表1に示
す。なお、表1には、プラズマのイグニッション(点
弧)性を表示していないが、いずれも良好であった。
【0017】
【表1】
【0018】(比較例1〜8)実施例と同様の純度9
9.99%のニッケルを原料として電子ビーム溶解し、
これを鋳造してインゴット(120φ×70h)とし
た。このインゴットを均熱化処理(900〜1150°
Cで2時間保持)した後、熱間鍛造を行った。熱間鍛造
の開始温度は900°C〜1150°Cであり、真歪み
約5で行った。これを圧延率50〜80%で冷間圧延
し、200°C〜300°Cで1時間熱処理した。この
冷間圧延と熱処理は1回である。これによって得た圧延
板から試料を切り出し、厚さ3mm、直径440mmの
円盤状ニッケル又はニッケル合金ターゲット試料とし
た。ターゲット試料の平均粒径は表1に示す通り30.
5〜75μmにあり、粗大結晶粒が存在する組織のター
ゲットが得られた。また、比較例1と比較例5は再結晶
しておらず、加工組織が残留していた。以上から、比較
例1〜5については、スパッタ中の残留歪による影響で
ユニフォーミティが悪くなったと考えられる。
【0019】次に、このニッケル又はニッケル合金ター
ゲットを用いて実施例と同一の条件でマグネトロンスパ
ッタリングを実施し、膜のユニフォーミティ(%、3
σ)及びプラズマのイグニッション(点弧)性を測定及
び観察した。なお、膜のユニフォーミティの測定は間接
的に4端子法による抵抗値から計算した。膜のユニフォ
ーミティの測定結果は上限値が12〜22の範囲にあ
り、膜のユニフォーミティが著しく悪い結果となった。
その詳細を、同様に表1に示す。なお、表1には、プラ
ズマのイグニッション(点弧)性を表示していないが、
同イグニッション(点弧)性は不良であった。
【0020】(実施例6〜10)純度99、995%の
ニッケルを原料として電子ビーム溶解した。別に純度9
9.995%のチタンを原料として電子ビーム溶解し、
このニッケルにチタンを5at%添加して、コールドウ
ォールタイプの真空誘導炉で溶解してニッケル−チタン
合金とし、これを鋳造してインゴット(120φ×70
h)とした。このインゴットを均熱化処理(750〜1
150°Cで2時間保持)した後、熱間鍛造を行った。
熱間鍛造の開始温度は750°C〜1150°Cであ
り、真歪み約5で行った。750°C未満の熱間鍛造で
は割れが入ることが多く、1150°Cを超える温度で
は材料の酸化が著しいので、上記の範囲の温度とした。
これを圧延率30〜60%で冷間圧延し、200°C〜
300°C(未満)で1時間熱処理し、再結晶させた。
次に、これをさらに圧延率30〜60%で冷間圧延し、
200〜300°C(未満)で1時間熱処理し、再結晶
させた。
【0021】これによって得た圧延板から試料を切り出
し、厚さ3mm、直径440mmの円盤状ニッケル合金
ターゲット試料とした。ターゲット試料の平均粒径は表
2に示す通り13〜42μmにあり、異常結晶粒が見ら
れない組織のターゲットが得られた。また、このニッケ
ル合金ターゲットの透磁率は52〜88であり、良好な
平坦性を有していた。次に、このニッケル合金ターゲッ
トを用いてマグネトロンスパッタリングを実施し、膜の
ユニフォーミティ(%、3σ)及びプラズマのイグニッ
ション(点弧)性を測定及び観察した。なお、膜のユニ
フォーミティは間接的に4端子法による抵抗値から計算
した。膜のユニフォーミティの測定結果は、いずれも1
0%以下であり、しかもターゲットライフ40kwh
(スパッタパワー1kw)まで持続し、優れた膜のユニ
フォーミティを示した。その詳細を、同様に表2に示
す。なお、表2には、プラズマのイグニッション(点
弧)性を表示していないが、いずれも良好であった。
【0022】
【表2】
【0023】(比較例9〜16)純度99、995%の
ニッケルを原料として電子ビーム溶解した。別に純度9
9.995%のチタンを原料として電子ビーム溶解し、
このニッケルにチタンを5at%添加して、コールドウ
ォールタイプの真空誘導炉で溶解してニッケル−チタン
合金とし、これを鋳造してインゴット(120φ×70
h)とした。このインゴットを均熱化処理(750〜1
150°Cで2時間保持)した後、熱間鍛造を行った。
熱間鍛造の開始温度は750°C〜1150°Cであ
り、真歪み約5で行った。750°C未満の熱間鍛造で
は割れが入ることが多く、1150°Cを超える温度で
は材料の酸化が著しいので、上記の範囲の温度とした。
これを圧延率50〜80%で冷間圧延し、200°C〜
300°Cで1時間熱処理した。この冷間圧延と熱処理
は1回である。これによって得た圧延板から試料を切り
出し、厚さ3mm、直径440mmの円盤状ニッケル合
金ターゲット試料とした。比較例9と比較例13は再結
晶することなく、加工組織が残留していた。
【0024】次に、このニッケル合金ターゲットを用い
て同一の条件でマグネトロンスパッタリングを実施し、
膜のユニフォーミティ(%、3σ)及びプラズマのイグ
ニッション(点弧)性を測定及び観察した。なお、膜の
ユニフォーミティの測定は間接的に4端子法による抵抗
値から計算した。膜のユニフォーミティの測定結果は上
限値が12〜25の範囲にあり、膜のユニフォーミティ
が著しく悪い結果となった。その詳細を、同様に表2に
示す。なお、表2には、プラズマのイグニッション(点
弧)性を表示していないが、同イグニッション性は不良
であった。
【0025】(実施例11〜15)純度99、995%
のニッケルを原料として電子ビーム溶解した。別に純度
99.995%のマンガンを原料とし、このニッケルに
マンガンを0.5at%添加して、コールドウォールタ
イプの真空誘導炉でアルゴンガス雰囲気にて溶解してニ
ッケル−マンガン合金とし、これを鋳造してインゴット
(120φ×70h)とした。このインゴットを均熱化
処理(750〜1150°Cで2時間保持)した後、熱
間鍛造を行った。熱間鍛造の開始温度は750°C〜1
150°Cであり、真歪み約5で行った。750°C未
満の熱間鍛造では割れが入ることが多く、1150°C
を超える温度では材料の酸化が著しいので、上記の範囲
の温度とした。これを圧延率30〜60%で冷間圧延
し、200°C〜300°C(未満)で1時間熱処理
し、再結晶させた。次に、これをさらに圧延率30〜6
0%で冷間圧延し、300〜600°C(未満)で1時
間熱処理し、再結晶させた。
【0026】これによって得た圧延板から試料を切り出
し、厚さ3mm、直径440mmの円盤状ニッケル合金
ターゲット試料とした。ターゲット試料の平均粒径は表
3に示す通り24〜72μmにあり、異常結晶粒が見ら
れない組織のターゲットが得られた。また、このニッケ
ル合金ターゲットの透磁率は58〜89であり、良好な
平坦性を有していた。次に、このニッケル合金ターゲッ
トを用いてマグネトロンスパッタリングを実施し、膜の
ユニフォーミティ(%、3σ)及びプラズマのイグニッ
ション(点弧)性を測定及び観察した。なお、膜のユニ
フォーミティは間接的に4端子法による抵抗値から計算
した。膜のユニフォーミティの測定結果は、いずれも1
0%以下であり、しかもターゲットライフ40kwh
(スパッタパワー1kw)まで持続し、優れた膜のユニ
フォーミティを示した。その詳細を、同様に表3に示
す。なお、表3には、プラズマのイグニッション(点
弧)性を表示していないが、いずれも良好であった。
【0027】
【表3】
【0028】(比較例17〜24)純度99、995%
のニッケルを原料として電子ビーム溶解した。別に純度
99.995%のマンガンを原料とし、このニッケルに
マンガンを0.5at%添加して、コールドウォールタ
イプの真空誘導炉でアルゴンガス雰囲気にて溶解してニ
ッケル−マンガン合金とし、これを鋳造してインゴット
(120φ×70h)とした。このインゴットを均熱化
処理(750〜1150°Cで2時間保持)した後、熱
間鍛造を行った。熱間鍛造の開始温度は750°C〜1
150°Cであり、真歪み約5で行った。750°C未
満の熱間鍛造では割れが入ることが多く、1150°C
を超える温度では材料の酸化が著しいので、上記の範囲
の温度とした。これを圧延率50〜80%で冷間圧延
し、200°C〜300°Cで1時間熱処理した。この
冷間圧延と熱処理は1回である。
【0029】これによって得た圧延板から試料を切り出
し、厚さ3mm、直径440mmの円盤状ニッケル合金
ターゲット試料とした。次に、このニッケル合金ターゲ
ットを用いて同一の条件でマグネトロンスパッタリング
を実施し、膜のユニフォーミティ(%、3σ)及びプラ
ズマのイグニッション(点弧)性を測定及び観察した。
なお、膜のユニフォーミティの測定は間接的に4端子法
による抵抗値から計算した。膜のユニフォーミティの測
定結果は上限値が12〜23の範囲にあり、膜のユニフ
ォーミティが著しく悪い結果となった。その詳細を、同
様に表3に示す。なお、表3には、プラズマのイグニッ
ション(点弧)性を表示していないが、同イグニッショ
ン性は不良であった。
【0030】
【発明の効果】本発明のマグネトロンスパッタリング用
高純度ニッケル又はニッケル合金ターゲット及びその製
造方法は、透磁率が低くスパッタリング効率が高く、ま
た結晶粒径が均一で粗大化した異常結晶粒がなく、30
0mmウエハを用いた成膜プロセスにおいても、膜のユ
ニフォーミティ(膜厚の均一性)とプラズマのイグニッ
ション(点弧)性を良好にすることができるという優れ
た効果を有する。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 613 C22F 1/00 613 661 661Z 683 683 685 685Z 686 686B 691 691B 691C 694 694A 694B Fターム(参考) 4K029 BA12 BA25 BC06 BD11 DC03 DC04 DC07 DC08 5D112 AA05 BB01 FA04 FB14

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マグネトロンスパッタリング用高純度ニ
    ッケル又はニッケル合金ターゲットであって、該ターゲ
    ットの透磁率が100未満であることを特徴とするスパ
    ッタ膜のユニフォーミティに優れたマグネトロンスパッ
    タリング用高純度ニッケル又はニッケル合金ターゲッ
    ト。
  2. 【請求項2】 ターゲットの透磁率が70未満であるこ
    とを特徴とする請求項1記載のスパッタ膜のユニフォー
    ミティに優れたマグネトロンスパッタリング用高純度ニ
    ッケル又はニッケル合金ターゲット。
  3. 【請求項3】 平均結晶粒径の5倍以上に粒成長した粗
    大結晶粒を含まないことを特徴とする請求項1又は2記
    載のスパッタ膜のユニフォーミティに優れたマグネトロ
    ンスパッタリング用高純度ニッケル又はニッケル合金タ
    ーゲット。
  4. 【請求項4】 純度が4N5(99.995重量%)以
    上である高純度ニッケル又はニッケル合金を熱間鍛造し
    た後、30%以上の圧延率で冷間圧延し、これをさらに
    200〜300°C(未満)の温度で熱処理工程からな
    り、前記冷間圧延と熱処理を少なくとも2回以上繰り返
    すことを特徴とするターゲットの透磁率が100未満で
    あり、スパッタ膜のユニフォーミティに優れたマグネト
    ロンスパッタリング用高純度ニッケル又はニッケル合金
    ターゲットの製造方法。
  5. 【請求項5】 純度が5N(99.999重量%)以上
    であることを特徴とする請求項4記載のスパッタ膜のユ
    ニフォーミティに優れたマグネトロンスパッタリング用
    高純度ニッケル又はニッケル合金ターゲットの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 高純度ニッケル又はニッケル合金の熱間
    鍛造に際し、こねくり鍛造することを特徴とする請求項
    4又は5記載のスパッタ膜のユニフォーミティに優れた
    マグネトロンスパッタリング用高純度ニッケル又はニッ
    ケル合金ターゲットの製造方法。
  7. 【請求項7】 平均結晶粒径の5倍以上に粒成長した粗
    大結晶粒を含まないことを特徴とする請求項4〜6のそ
    れぞれに記載のスパッタ膜のユニフォーミティに優れた
    マグネトロンスパッタリング用高純度ニッケル又はニッ
    ケル合金ターゲットの製造方法。
  8. 【請求項8】 最終的に歪取り焼鈍することを特徴とす
    る請求項4〜7のそれぞれに記載のスパッタ膜のユニフ
    ォーミティに優れたマグネトロンスパッタリング用高純
    度ニッケル又はニッケル合金ターゲットの製造方法。
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